ここで、周辺領域において、基板上で複数の信号線が陰極配線に対して下層に形成されている場合、上述したような特許文献1の接続部では、陰極配線における陰極とのコンタクト部分の表面に、該コンタクト部分の直下に信号線が配置されていることに起因して、段差が生じる恐れがある。このように陰極配線の表面に段差が生じると、自発光装置の製造時、陰極配線のコンタクト部分の表面を保護膜で覆ってエッチング処理を行う際に、段差が生じている個所において保護膜の被覆性が悪くなり、エッチング不要な個所が削れてしまう可能性がある。この場合、自発光装置の製造プロセスにおける歩留まりが低下し、更には陰極配線と陰極との電気的接続が不良となることに起因して、自発光装置が誤動作する恐れがある。加えて、前述したような段差が生じると、陰極配線において、膜厚が不均一となることにより抵抗値も不均一となり、自発光装置の駆動時、低抵抗の個所に電流が集中して発熱し、自発光装置が劣化する、という問題点が生じる。以上の結果、自発光装置の信頼性が低下することとなる。
また、陰極配線のコンタクト部分において十分な電流容量を確保するために、コンタクト領域を増加させると周辺領域も増加することとなり、基板のサイズが増えるため自発光装置を小型化することが困難になる。
本発明は、例えば上記問題点に鑑みなされたものであり、周辺領域において陰極配線と陰極との電気的接続を良好に行い、小型化を実現して信頼性を向上させることが可能な自発光装置及びこのような自発光装置を備える電子機器を提供することを課題とする。
本発明の第1の自発光装置は上記課題を解決するために、基板上の画像表示領域に配線された複数の画素駆動用信号線と、前記画素駆動用信号線に電気的に接続され、前記画像表示領域における画素毎に形成された複数の第1電極と、該複数の第1電極に対向すると共に、前記画像表示領域から前記画像表示領域の周辺に位置する周辺領域に延在されて形成された第2電極と、前記第1電極及び前記第2電極間に画素毎に挟持される発光層と、前記周辺領域に配線され、一端側が前記画素駆動用信号線に電気的に夫々接続されると共に、他端側が前記画素駆動用信号線を駆動するための外部回路に電気的に夫々接続される複数の入出力信号線と、前記周辺領域に配線され、前記第2電極と電気的に接続される第2電極用配線とを備え、前記第2電極用配線は、前記周辺領域のうち前記複数の入出力信号線が配線されている領域内において、前記入出力信号線の上層側を、層間絶縁膜を介して前記入出力信号線に交差して又は重なって延びる重畳部分を含み、該重畳部分に前記第2電極と電気的に接続されるコンタクト部を有する。
本発明の第1の自発光装置によれば、基板上の画像表示領域には、画素毎に、第1電極及び第2電極に挟持された有機EL層等の発光層を含む発光素子が設けられている。各発光素子の第1電極は、画素駆動用信号線に電気的に接続されている。ここで、画素駆動用信号線は、例えばデータ線や走査線、又は電源供給線として画像表示領域に配線されている。また、第2電極は、基板上に複数の発光素子に共通に形成されると共に、画像表示領域から周辺領域に延在されて形成されている。
第1の自発光装置の駆動時、周辺領域に後述するように設けられた入出力信号線に外部回路から供給される駆動信号に基づいて画素駆動用信号線が駆動される。そして、駆動された画素駆動信号線に対応する発光素子は次のように発光する。即ち、例えば駆動されたデータ線及び走査線に対応する発光素子の第1電極に電源供給線より印加される電流に応じて発光層が発光する。そして、発光層を介して第2電極に印加された電流は、第2電極と後述するように接続される第2電極用配線を介して当該自発光装置外へと流れる。
基板上の周辺領域には、複数の入出力信号線が設けられている。複数の入出力信号線は夫々、その一端側が画素駆動用信号線に電気的に接続されると共に、他端側が外部回路に電気的に接続されており、外部回路から、例えば、駆動信号が入力される。尚、複数の入出力信号線は、外部回路からの駆動信号を入力する、専ら入力用であってもよい。或いは、部分的に外部回路へ制御用信号、検査用信号等を出力する、出力用であってもよい。ここでは、「画素駆動用信号線に電気的に接続される」とは、複数の入出力信号線が直接複数の画素駆動用信号線に接続される場合を示すほか、複数の入出力信号線が、画素駆動用信号線を駆動するための、基板上に設けられた又は内蔵された駆動回路に接続されているような場合も含まれる。前者の場合、複数の入出力信号線には、駆動信号として、データ線を駆動するための画像信号や走査線を駆動するための走査信号に加えて、電源供給線を駆動するための画素駆動用電源が供給される。また、後者の場合、複数の入出力信号線には、駆動信号として、駆動回路を駆動するための電源や各種信号が供給される。
本発明では特に、第2電極用配線は、基板上の周辺領域のうち、複数の入出力信号線が配線されている領域内に、入出力信号線の上層側を、層間絶縁膜を介して入出力信号線に交差して又は重なって延びる重畳部分を含む。よって、第2電極用配線の下地である層間絶縁膜の表面に、層間絶縁膜より下層側に入出力信号線が配置されることにより凹凸が生じることにより、第2電極用配線の表面には段差が生じることとなる。しかしながら、第2電極用配線の重畳部分に着目すれば、重畳部分の下層側に位置する入出力信号線の線の幅に応じて、重畳部分の下地となる層間絶縁膜の表面には、平坦な表面が形成される。或いは、入出力信号線の上面における、大なり小なり平坦な表面に応じて、重畳部分の下地となる層間絶縁膜の表面には、平坦な表面が形成される。例えば、入出力信号線の線の幅が比較的広ければ、これに応じて、その上層側に位置する、重畳部分の下地となる層間絶縁膜の表面として比較的広い平坦な表面が形成される。
このように入出力信号線の線の幅或いはその上面における平坦度に応じて、第2電極用配線において表面が平坦とされる重畳部分に、コンタクト領域が設けられる。第2電極用配線のコンタクト部は、コンタクト領域にその表面が露出するように形成されると共に、周辺領域に形成された第2電極の一部分は、コンタクト部に重畳するように或いは上下導通材を介して電気的に接触するように形成される。これにより第2電極と第2電極用配線とが接続される。
既に説明したように、コンタクト部の表面に段差が生じると、コンタクト部における抵抗値が不均一となる。よって、自発光装置の駆動時、低抵抗の個所に電流が集中して発熱するのを防止するため、コンタクト部を平面的に見た面積を大きく確保する必要がある。これに対して、第1の自発光装置によれば、コンタクト部の表面を平坦にすると共に、コンタクト部の膜厚が不均一となるのを防止することができる。従って、コンタクト部を平面的に見た面積を大きく確保しなくても、コンタクト領域では第2電極用配線と第2電極との電気的接続を良好に行うことができる。尚、ここでいう「平坦」とは、第2電極用配線のコンタクト部の表面の凹凸が、当該第2電極用配線の成膜時の膜厚ばらつき及び表面粗さの範囲内程度であることを意味する。
また、このように、第2電極用配線における表面が平坦な重畳部分を利用することにより、周辺領域のサイズを変化させなくても、コンタクト領域を確保することが可能となる。即ち、より多数の表面が平坦な重畳部分を利用することにより、コンタクト領域のサイズを相対的に大きく確保することが可能となる。よって、コンタクト領域におけるコンタクト部と第2電極との接続を十分な電流容量を確保して行うことが可能となる。
以上詳細に説明したように、本発明の第1の自発光装置では、第2電極用配線と第2電極との電気的接続を良好に行うことが可能となる。よって、本発明の第1の自発光装置によれば、小型化を実現しつつ信頼性を向上させることができる。
本発明の第1の自発光装置の一態様では、前記画素駆動用信号線は、電源供給線を含み、前記入出力信号線は、前記一端側が前記電源供給線に電気的に接続され、前記外部回路から前記電源供給線へ画素駆動用電源を供給するための画素駆動用電源線を含み、前記第2電極用配線は、前記画素駆動用電源線に対する前記重畳部分に前記コンタクト部を有する。
この態様によれば、第1の自発光装置の駆動時、画素駆動用電源線を介して画素駆動用電源が供給された電源供給線に対応する発光素子の第1電極には、電源供給線より電流が印加される。
ここで、画素駆動用電源線は、画像表示領域に配線された全ての電源供給線に共通に設けられてもよいし、所定数の電源供給線毎に共通に設けられてもよい。例えば、発光素子が、赤色(R)用、緑色(G)用、青色(B)用の3種として形成されている場合には、これに対応して、R用、G用、B用の3種の電源供給線及び画素駆動用電源線が設けられる場合がある。この場合、画素駆動用電源線は、複数の電源供給線に画素駆動用電源を供給するため、即ち、比較的大きな電流を供給する電源線であるため、その低抵抗化に鑑みて平面的に見て比較的幅の広い配線とされる。
この態様では、第2電極用配線は、画素駆動用電源線に対する重畳部分を有する。画素駆動用電源線が比較的幅の広い配線である場合、第2電極用配線における重畳部分において平坦な表面を得ることができる。
本発明の第1の自発光装置の他の態様では、前記周辺領域に、前記複数の画素駆動用信号線の少なくとも一部を駆動する駆動回路を更に備えており、前記入出力信号線は、前記一端側が前記駆動回路に電気的に接続され、前記外部回路から前記駆動回路を駆動するための駆動回路用信号が供給される駆動回路用信号線を含む。
この態様によれば、第1の自発光装置の駆動時、駆動回路は、駆動回路用信号線を介して供給される駆動回路用信号に基づいて、画像信号や走査信号を生成する。そして、駆動回路より出力される画像信号や走査信号に基づいて、画素駆動用信号線としてデータ線や走査線が駆動される。
これに対して、既に説明したように、複数の入出力信号線が直接複数の画素駆動用信号線に接続される場合、駆動回路を複数の入出力信号線と電気的に接続することにより実装して設ける必要がある。この場合、駆動回路は外部回路の一部として形成される。これに対して、この態様では、駆動回路を実装して設ける必要がないため、自発光装置の製造コストを低く抑えると共に、当該自発光装置をより小型化することが可能となる。
この周辺領域に駆動回路を更に備える態様では、前記駆動回路用信号線は、前記駆動回路用信号として、前記駆動回路の電源である駆動回路用電源が供給される駆動回路用電源線を含み、前記第2電極用配線は、前記駆動回路用電源線に対する前記重畳部分に前記コンタクト部を有するように構成してもよい。
この態様では、駆動回路用電源線は、駆動回路用電源の値に応じて、即ち、画素駆動用電源線と同様、比較的大きな電流を供給する電源線であるため、平面的に見て比較的幅の広い配線とされる。従って、第2電極用配線における駆動回路用電源線に対する重畳部分において平坦な表面を得ることが可能となる。
本発明の第1の自発光装置の他の態様では、前記第2電極用配線は、前記周辺領域のうち、前記複数の入出力信号線が配線されている領域から前記複数の入出力信号線が形成されていない領域内に延びて配線されると共に、前記コンタクト部は、前記複数の入出力信号線が形成されていない領域に配置されている。
この態様によれば、基板面上で平面的に見て複数の入出力信号線が形成されていない領域において、層間絶縁膜の表面には入出力信号線の存否に応じた凹凸が存在しない。よって、第2電極用配線において、複数の入出力信号線が形成されていない領域に配置された部分で平坦な表面を得ることが可能となる。
また、この態様によれば、第2電極用配線を平面的に見た面積を比較的大きくすることができるため、第2電極用配線における抵抗を小さくすることが可能となる。また、第1の自発光装置の駆動時に、第2電極用配線において電圧値が不均一となることにより電圧勾配が生じても、その影響を各発光素子の発光機能に及ばない程度のものとして抑制することが可能となる。
本発明の第2の自発光装置は上記課題を解決するために、基板上の画像表示領域に配線された複数の画素駆動用信号線と、前記画素駆動用信号線に電気的に接続され、前記画像表示領域における画素毎に形成された複数の第1電極と、該複数の第1電極に対向すると共に、前記画像表示領域から前記画像表示領域の周辺に位置する周辺領域に延在されて形成された第2電極と、前記第1電極及び前記第2電極間に画素毎に挟持される発光層と、前記周辺領域に配線され、一端側が前記画素駆動用信号線に電気的に夫々接続されると共に、他端側が前記画素駆動用信号線を駆動するための外部回路に夫々接続される複数の入出力信号線と、前記周辺領域に配線され、前記第2電極と電気的に接続される第2電極用配線とを備え、前記第2電極用配線は、前記周辺領域のうち前記複数の入出力信号線が形成されていない領域に配置されると共に前記第2電極と電気的に接続されるコンタクト部を有する。
本発明の第2の自発光装置によれば、第2電極用配線の下地となる層間絶縁膜において、複数の入出力信号線が形成されていない領域に配置された一部分の表面には、入出力信号線の存否に応じた凹凸が存在しない。従って、第2電極用配線において、複数の入出力信号線が形成されていない領域に配置された一部分で平坦な表面を得ることが可能となる。そして、この表面が平坦な部分にコンタクト領域が設けられる。
第2電極用配線において、コンタクト部は、入出力信号線が形成されていない領域、即ち第2電極用配線の下地となる層間絶縁膜の表面が、入出力信号線の不存在に応じて平坦であるコンタクト領域に配置されている。よって、第2の自発光装置によれば、第1の自発光装置と同様、第2電極用配線のコンタクト部の表面を平坦にすると共に、コンタクト部の膜厚が不均一となるのを防止することができる。尚、ここでいう「平坦」とは、第2電極用配線のコンタクト部の表面の凹凸が、当該第2電極用配線の成膜時の膜厚ばらつき及び表面粗さの範囲内程度であることを意味する。従って、コンタクト部を平面的に見た面積を大きく確保しなくても、コンタクト領域では第2電極用配線と第2電極との電気的接続を良好に行うことができる。従って、本発明の第2の自発光装置によれば、小型化を実現しつつ信頼性を向上させることができる。
本発明の第2の自発光装置の一態様では、前記第2電極用配線は、前記コンタクト部から、前記周辺領域のうち前記複数の入出力信号線が配線されている領域内に延びる。
この態様によれば、第2電極用配線における抵抗を小さくすると共に、第2電極用配線において発生した電圧勾配の影響を各発光素子の発光機能に及ばない程度のものとして抑制することが可能となる。
本発明の第1又は第2の自発光装置の他の態様では、前記発光層は有機EL層を含む。
この態様によれば、発光素子は有機EL素子として各画素部に設けられる。この場合、第1電極及び第2電極は有機EL素子の陰極及び陽極として形成される。また、この態様では、基板及び第1電極を透明材料を用いて構成し、第2電極を例えば金属材料等の不透明な導電性材料を用いて形成することにより、有機EL素子の発光を画素毎に基板側から表示光として出射させるボトムエミッション型として当該自発光装置を構成することが可能となる。或いは、基板及び第1電極を不透明な材料を用いて構成し、第2電極を例えば透明な導電性材料を用いて形成することにより、発光素子の発光を画素毎に第2電極側から表示光として出射させるトップエミッション型として当該自発光装置が構成されてもよい。
本発明の電子機器は上記課題を解決するために、上述した本発明の自発光装置(但し、その各種態様も含む)を具備する。
本発明の電子機器は、上述した本発明の自発光装置を具備してなるので、小型化を実現しつつ信頼性を向上させることが可能なテレビ、携帯電話、電子手帳、ワードプロセッサ、ビューファインダ型又はモニタ直視型のビデオテープレコーダ、ワークステーション、テレビ電話、POS端末、タッチパネルなどの各種電子機器を実現できる。また、本発明の電子機器として、例えば電子放出装置(Field Emission Display及びConduction Electron-Emitter Display)等を実現することも可能である。
本発明のこのような作用及び他の利得は次に説明する実施の形態から明らかにされる。
以下では、本発明の実施の形態について図を参照しつつ説明する。以下の実施形態は、本発明を自発光装置に適用したものである。
<1:第1実施形態>
本発明の自発光装置に係る第1実施形態について、図1から図8を参照して説明する。
<1−1;有機EL装置の全体構成>
先ず、図1を参照して有機EL装置の全体構成について説明する。図1は、素子基板を封止基板の側から見た有機EL装置の概略的な平面図である。ここでは、自発光装置の一例である駆動回路内蔵型のアクティブマトリクス駆動方式の有機EL装置を例にとる。
図1において、素子基板10上の画像表示領域110には、複数の画素駆動用信号線116aが配線されると共に、夫々画素駆動用信号線116aに電気的に接続される複数の画素部が所定パターンで配列されて形成されている。複数の画素部は夫々有機EL素子を含んでいる。尚、図1中、画像表示領域110における画素駆動用信号線116aや画素部の具体的な構成については図示を省略し、その詳細については後述する。
また、画像表示領域110の周辺に位置する周辺領域において、画像表示領域110を挟んで対向する素子基板10の2辺に沿って、Y側駆動回路部132が設けられると共に、この2辺に隣接する一辺に沿ってX側駆動回路部152が設けられている。複数の画素駆動用信号線116aは、Y側駆動回路部132及びX側駆動回路部152に電気的に接続されている。図1には、複数の画素駆動用信号線116aのうち、X側駆動回路部152と電気的に接続される画素駆動用信号線116aについて、画像表示領域110の一辺からX側駆動回路部152に延びて配線される一部分について示してある。更に、X側駆動回路部152が設けられた素子基板10の一辺に沿って、複数の実装端子102が設けられている。
Y側駆動回路部132には、走査線駆動回路が設けられると共に、例えば画素駆動用信号線116aと走査線駆動回路内の回路素子等とを電気的に接続するための配線や、走査線駆動回路を駆動するための各種信号の供給経路となる配線等が設けられる。また、X側駆動回路部152には、データ線駆動回路が設けられると共に、例えば画素駆動用信号線116aとデータ線駆動回路内の回路素子等とを電気的に接続するための配線や、データ線駆動回路を駆動するための各種信号の供給経路となる配線等が設けられる。更に、Y側駆動回路部132に設けられる配線がX側駆動回路部152内に延びて形成されると共に、X側駆動回路部152に設けられる配線がY側駆動回路部132内に延びて形成されることある。このように形成された配線の一例として、図1には、Y側駆動回路部132からX側駆動回路部152に対して延びる配線116bが示してある。この配線116bは例えばX側駆動回路部152を介して入出力信号線118に電気的に接続される。
加えて、素子基板10上の周辺領域のうち、X側駆動回路部152が設けられた画像表示領域110の一辺側に位置する部分領域には、複数の入出力信号線118及び本発明に係る「第2電極用配線」である陰極配線200が形成されている。
ここで、複数の実装端子102には、配線基材300が、例えばTAB(Tape Automated Bonding)方式やCOG(Chip On Grass)方式により実装される。配線基材300には、走査線駆動回路やデータ線駆動回路を駆動するための各種信号を供給する外部回路が実装されて設けられる。
本実施形態では、複数の入出力信号線118の一端側は、X側駆動回路部152及びY側駆動回路部132に電気的に接続される。図1において、複数の入出力信号線118の一端側は部分的に、前述したようにY側駆動回路部132からX側駆動回路部152内に延びて形成された配線116bを介して、Y側駆動回路部132に電気的に接続される。また、複数の入出力信号線118の他端側は夫々、実装端子102に電気的に接続されている。
尚、入出力信号線118は、外部回路に入出力される信号の種類に対応して、複数種類設けられる。例えば、複数の入出力信号線118には、以下のような画素駆動用電源線118aや駆動回路用信号線が設けられる。画素駆動用電源線118aには、外部回路から画素駆動用電源が供給される。画素駆動用電源線118aの一端側は、X側駆動回路部152又はY側駆動回路部132を介して、画素駆動用信号線116aとしての電源供給線に電気的に接続される。また、駆動回路用信号線には、外部回路から走査線駆動回路やデータ線駆動回路を駆動するための駆動回路用信号が供給される。このような駆動回路用信号線には、例えば、図1に示すように、駆動回路用信号として、走査線駆動回路やデータ線駆動回路の電源となる駆動回路用電源が供給される駆動回路用電源線118bが含まれる。
また、陰極配線200は、後述するように、素子基板10上において部分的に、複数の入出力信号線118より上層側に形成されている。素子基板10上にはコンタクト領域202が設けられており、陰極配線200は、図1には図示しない、本発明に係る「第2電極」である陰極と、コンタクト領域202において後述するように電気的に接続される。陰極は、図1には図示しない、素子基板10と対向するように配置された封止基板上に形成されている。尚、陰極配線200も実装端子102に電気的に接続されている。
本実施形態では、図1を参照して説明したように、走査線駆動回路やデータ線駆動回路が夫々、X側駆動回路部152若しくはY側駆動回路部132に含まれて素子基板10上に形成されているため、これらの駆動回路を外部回路として素子基板10上に実装して設ける必要がない。従って、自発光装置の製造コストを低く抑えると共に、当該自発光装置を小型化することが可能となる。
<1−2;画素部の構成>
次に、図1に加え、図2から図4を参照して、有機EL装置の画像表示領域110における画素部の構成について具体的に説明する。図2は、有機EL装置の全体構成を示すブロック図であり、図3は、データ線、走査線、陽極や発光層等が形成された素子基板の任意の画素部の平面図であり、図4は図3に示す画素部のA−A'断面図である。なお、図3及び図4においては、各層・各部材を図面上で認識可能な程度の大きさとするため、各層・各部材ごとに縮尺を異ならしめてある。
先ず、図2を参照して、有機EL装置の画像表示領域110の電気的な構成について説明する。
有機ELパネル100における画像表示領域110には、画素駆動用信号線116aである、縦横に配線されたデータ線114及び走査線112が設けられており、それらの交点に対応する各画素部70はマトリクス状に配列される。更に、画像表示領域110には各データ線114に対して配列された画素部70に対応する電源供給線117が設けられている。電源供給線117は、図1に示す画素駆動用信号線116aに相当する。
尚、本実施形態では、カラー表示を行うために、画像表示領域110には例えば、R用、G用、及びB用の3種の画素部70が設けられると共に、3種の画素部70に対応する3種のデータ線114及び3種の電源供給線117が設けられる。図2において、例えば隣接する3本のデータ線114毎に3種の画素部70が設けられる。3本のデータ線114のうち、いずれか1本のデータ線114には、3種のうちいずれか1種の画素部70が配列される。また、このように配列された画素部70には、対応する種類の電源供給線117が電気的に接続される。
図1を参照して説明したように、周辺領域には、走査線駆動回路130及びデータ線駆動回路150が設けられている。走査線駆動回路130及びデータ線駆動回路150は、実装端子102及び入出力信号線118としての駆動回路用信号線を介して、外部回路から供給される駆動回路用信号に基づいて駆動する。そして、走査線駆動回路130は複数の走査線112に走査信号を順次供給する。また、データ線駆動回路150は、画像表示領域110に配線された3種のデータ線114に、R用、G用、及びB用の3種の画像信号を供給する。尚、2種の走査線駆動回路130の動作と、データ線駆動回路150の動作とは、外部回路から供給される同期信号160によって相互に同期が図られる。
また、周辺領域の部分領域には、3種の電源供給線117に対応して3種の画素駆動用電源線118aが設けられる。3種の電源供給線117には夫々、外部回路から実装端子102及び対応する画素駆動用電源線118aを介して画素駆動用電源が供給される。
ここで、図2中、一つの画素部70に着目すれば、画素部70には、有機EL素子72が設けられると共に、例えばTFTを用いて構成されるスイッチング用トランジスタ76及び駆動用トランジスタ74、並びに保持容量78が設けられている。画素部70において、各トランジスタは、例えば、薄膜トランジスタ(Thin Film Transistor;以下適宜、“TFT”と称する)等により構成される。
スイッチング用トランジスタ76のゲート電極には走査線112が電気的に接続されており、スイッチング用トランジスタ76のソース電極にはデータ線114が電気的に接続され、スイッチング用トランジスタ76のドレイン電極には駆動用トランジスタ74のゲート電極が電気的に接続されている。また、駆動用トランジスタ74のソース電極には、電源供給線117が電気的に接続されており、駆動用トランジスタ74のドレイン電極には有機EL素子72の陽極が電気的に接続されている。
尚、図2及び図3に例示した画素回路の構成の他にも、電流プログラム方式の画素回路、電圧プログラム型の画素回路、電圧比較方式の画素回路、サブフレーム方式の画素回路等の各種方式の画素回路を採用することが可能となる。
次に、図3及び図4を参照して、画素部70の更に詳細な構成について説明する。
例えば透明樹脂やガラス基板等の透明基板を用いて構成される素子基板10上には、スイッチング用トランジスタ76及び駆動用トランジスタ74の半導体層3が形成されている。半導体層3は例えば低温ポリシリコン膜を用いて形成されている。また、半導体層3上には、半導体層3を埋め込んで、スイッチング用トランジスタ76及び駆動用トランジスタ74のゲート絶縁層2が形成されている。更には、ゲート絶縁層2上に、駆動用トランジスタ74のゲート電極3a及び走査線112が形成されている。走査線112の一部は、スイッチング用トランジスタ76のゲート電極として形成されている。ゲート電極3a及び走査線112は、Al(アルミニウム)、W(タングステン)、Ta(タンタル)、Mo(モリブデン)、Ti(チタン)、銅(Cu)等のうち少なくとも一つを含む金属材料を用いて形成されている。
また、走査線112や駆動用トランジスタ74のゲート電極3aを埋め込んで、ゲート絶縁層2上には層間絶縁層41が形成されている。層間絶縁層41及びゲート絶縁層2は例えばシリコン酸化膜から構成されている。
層間絶縁層41上には、例えばアルミニウム(Al)又はITO(Indium Tin Oxide)を含む導電材料から夫々構成される、データ線114及び電源供給線117、更には駆動用トランジスタ74のドレイン電極42が形成されている。層間絶縁層41には、層間絶縁層41の表面から層間絶縁層41及びゲート絶縁層2を貫通して、駆動用トランジスタ74の半導体層3に至るコンタクトホール501及び502が形成されている。図4に示すように、電源供給線117及びドレイン電極42を構成する導電膜は、コンタクトホール501及び502の各々の内壁に沿って半導体層3の表面に至るように連続的に形成されている。
ここで、保持容量78の下部容量電極は、走査線112と同一の層に、例えば同様の材料を用いて形成され、電源供給線117の一部が保持容量78の上部容量電極として形成されている。層間絶縁層41は誘電体膜として形成されており、層間絶縁層41の一部分が下部容量電極及び上部容量電極の間に挟持される。
層間絶縁層41上には、電源供給線117及びドレイン電極42を埋め込んで、保護層45として例えばシリコン窒化膜(SiN)が形成されている。保護層45上には、発光材料保持層47より親水性の高い層として、例えばシリコン酸化膜よりなる親水層46が形成され、更に親水層46上に発光材料保持層47が形成されている。親水層46及び発光材料保持層47によって、画素部70における開口領域が形成されている。開口領域には保護層45上に本発明に係る「第1電極」である陽極34が形成されている。陽極34は、透明性導電材料としてITOを用いて、開口領域から延びてドレイン電極42の一部と重畳するように形成されている。また、開口領域において、陽極34上には有機EL層50が形成されている。
有機EL素子72は、陽極34及び陰極49と、陽極34及び陰極49間に挟持される有機EL層50を含む。各画素部70において、有機EL素子72は、R用、G用、及びB用の3種のうちいずれか一種として設けられている。尚、図4には封止基板について図示を省略してある。陰極49は、例えばアルミニウム(Al)を含む金属材料を用いて形成されるか、又はカルシウム(Ca)、フッ化リチウム(LiF)、フッ化ストロンチウム(SrF2)、マグネシウム(Mg)、銀(Ag)等のうち少なくとも一つを含む金属材料を用いて形成された導電膜の積層膜として形成されている。
有機EL装置の駆動時、走査線112を介して走査信号が供給されることにより、スイッチング用トランジスタ76がオン状態になる。スイッチング用トランジスタ76がオン状態となると、データ線114より画像信号が保持容量78に書き込まれる。この保持容量78に書き込まれた画像信号の電流に応じて、駆動用トランジスタ74の電気的な導通状態が決まる。そして、駆動用トランジスタ74のチャネルを介して電源供給線117より、保持容量78に書き込まれた画像信号に応じた電流が有機EL素子72の陽極34に供給されると、供給された電流に応じて有機EL層50が、赤色、緑色、又は青色のいずれか一種に相当する光を発光する。そして、有機EL層50を介して陰極49に印加された電流は、陰極49から陰極配線200及び実装端子102を介して当該有機EL装置外へと流れる。本実施形態では、図4中、矢印Xで示すように、有機EL素子72からの発光を素子基板10側から表示光として出射させるボトムエミッション型として、有機EL装置は構成されている。尚、本実施形態では、有機EL装置を封止基板側から表示光として有機EL素子72の発光を出射させるトップエミッション型として構成してもよい。
<1−3;周辺領域の構成>
次に、図1に加えて図5から図8を参照して、有機EL装置の周辺領域における入出力信号線118や陰極配線200の構成について説明する。図5には、素子基板10上における陰極49の構成を概略的に示してあり、図6には、陰極配線200、コンタクト領域202、及び入出力信号線118の配置関係とその構成を概略的に示してある。また、図7は、図6のB−B'断面図であり、図8は、比較例に係る有機EL装置の構成を示す概略的な平面図である。
図5において、同図中には図示しない封止基板上に形成された陰極49は、画像表示領域110に設けられた有機EL素子72に共通に形成されると共に、画像表示領域110から周辺領域に延在されて形成されている。陰極49は、周辺領域に位置する一部分が、素子基板10上においてコンタクト領域202を含むように形成されている。尚、本実施形態では、有機EL装置において、封止基板の代わりに、陰極49上に封止膜を形成することにより、各有機EL素子72が封止されてもよい。
本実施形態では、陰極配線200は、図1に示すように、周辺領域の部分領域において、複数の入出力信号線118が形成されていない領域から複数の入出力信号線118が配線されている領域に跨って形成されている。図6には、陰極配線200において、複数の入出力信号線118が形成されていない領域から複数の入出力信号線118が配線されている領域に跨って設けられた一部分を示してある。
また、図6に示すように、各画素駆動用電源線118aは、画像表示領域110のX側駆動回路部152が設けられた一辺に沿って延在する第1の部分118aaと、第1の部分118aaと交差して又は重なって延びる第2の部分118abとを含む。画素駆動用電源線118aの第2の部分118abにおいて、第1の部分118aaと交差する一端側に対して、他端側は実装端子102に接続される。そして、画素駆動用電源線118aの第1の部分118aaは、第2の部分118abより上層側に形成されている。本実施形態では、画素駆動用電源線118aの第1の部分118aaは、陰極配線200と同一層に形成されている。図6に示すように、図7に示す層間絶縁膜210を貫通して、コンタクトホール62が形成される。そして、コンタクトホール62を介して、画素駆動用電源線118aの第1の部分118aaは、第2の部分118abと電気的に接続されている。
更に、画素駆動用電源線118aの第1の部分118aaは、第1の部分118aaと交差するか又は重なるように配線された入出力信号線118や駆動回路電源線118bより上層側に形成されている。ここで、画素駆動用電源線118aと同様、駆動回路用電源の値が夫々異なる複数種類の駆動回路用電源線118bが設けられるようにしてもよい。例えば図1に示すように、図2に示す2種の走査線駆動回路130に夫々、2種の駆動回路用電源を供給するために、2種の駆動回路用電源線118bが設けられる。
本実施形態では、陰極配線200において、複数の入出力信号線118が形成されていない領域にコンタクト領域202が設けられる。図7には、図6に示すB−B'部分について素子基板10等の構成要素も含めた断面図を示してある。
図7において、素子基板10上に、駆動回路用電源線118bが形成されている。駆動回路用電源線118bと同一層には、画素駆動用電源線118aの第2の部分118abや、画素駆動用電源線118aの第1の部分118aaと交差して又は重なって配線された入出力信号線118が形成されている。尚、画素駆動用電源線118aや駆動回路用電源線118b、及び入出力信号線118は夫々、Al(アルミニウム)、W(タングステン)、Ta(タンタル)、Mo(モリブデン)、Ti(チタン)、銅(Cu)等のうち少なくとも一つを含む金属材料を用いて形成されている。
また、駆動回路用電源線118bを埋め込むように、例えばシリコン酸化膜又はシリコン窒化膜として層間絶縁層210が形成されている。そして、層間絶縁層210上に、例えばアルミニウム(Al)又はITOを含む導電材料からなる陰極配線200が形成されている。陰極配線200は、周辺領域の部分領域うち、コンタクト領域202に配置されるコンタクト部200aから、複数の入出力信号線118が配線されている領域内に延びて設けられている。陰極配線200において、駆動回路用電源線118bや入出力信号線118と交差して又は重なって伸びる重畳部分上には、例えばシリコン酸化膜又はシリコン窒化膜として保護層212が形成されている。そして、保護層212上には、陰極配線200のコンタクト部200aに重畳するように陰極49が形成されている。
陰極配線200における、駆動回路用電源線118bに対する重畳部分には、層間絶縁層210の表面に、層間絶縁層210より下層側に駆動回路用電源線118bが配置されることにより凹凸が生じ、段差が生じる。他方、陰極配線200におけるコンタクト領域202に配置されるコンタクト部200aの直下には駆動回路用電源線118bや入出力信号線118が配置されないため、陰極配線200のコンタクト部200aの表面を平坦にすることが可能となる。
ここで、図8には、比較例として、周辺領域のうち、複数の入出力信号線118が配線されている領域に、コンタクト領域202を設ける場合の構成について示してある。図8に示す比較例によれば、陰極配線200におけるコンタクト領域202に配置されるコンタクト部200aの表面には段差が生じる。従って、有機EL装置の製造時、エッチング処理を行う際に、陰極配線200のコンタクト部200aにおいてエッチング不要な個所が削れてしまう可能性がある。また、陰極配線200のコンタクト部200aにおいて、膜厚が不均一となることにより抵抗値も不均一となる恐れがある。このため、図8に示すように、有機EL装置の駆動時に、陰極配線200のコンタクト部200aにおいて抵抗値の低い部分に電流が集中することによる発熱を防止するため、陰極配線200のコンタクト部200aを平面的に見た面積を比較的大きく確保する必要がある。
これに対して、本実施形態では、陰極配線200のコンタクト部200aの表面を平坦にすることができるため、有機EL装置の製造時にエッチング不要な個所が削れてしまう事態を防止することができる。更に、陰極配線200の下地である層間絶縁層210におけるコンタクト領域202に配置された部分の表面には、入出力信号線118の存否に応じた凹凸が存在しない。このため、陰極配線200のコンタクト部200aの膜厚が不均一となるのを防止することが可能となる。よって、陰極配線200のコンタクト部200aを平面的に見た面積を大きくする確保しなくても、コンタクト領域202において陰極配線200と陰極49との電気的接続を良好に行うことができる。
加えて、図1及び図6に示すように、陰極配線200は、複数の入出力信号線118が形成されていない領域から複数の入出力信号線118が配線されている領域に跨って形成されている。従って、陰極配線200を平面的に見た面積を比較的大きくすることができるため、陰極配線200における抵抗を小さくすることが可能となる。また、有機EL装置の駆動時に、陰極配線200において電圧値が不均一となることにより電圧勾配が生じても、その影響を各有機EL素子72の発光機能に及ばない程度のものとして抑制することが可能となる。
従って、以上説明したような本実施形態によれば、有機EL装置の小型化を実現しつつ信頼性を向上させることができる。
尚、本実施形態ではコンタクト領域202を、陰極配線200は、素子基板10上にコンタクト領域202にのみ形成されるようにしてもよい。
また、図1におけるX側駆動回路部152の配置を、同図中、X側駆動回路部152が設けられた画像表示領域110の一辺側から、該一辺と対向する他辺側に変えるか、若しくはX側駆動回路部152を他辺側にも配置するようにしてもよい。この場合、周辺領域のうち、X側駆動回路部152が設けられた画像表示領域110の他辺側に位置する部分領域に、複数の入出力信号線118や陰極配線200、及び複数の実装端子102が、図1と同様に設けられることとなる。
更には、X側駆動回路部152が設けられた素子基板10の1辺に代えて若しくは加えて、Y側駆動回路部132が設けられた素子基板10の2辺、若しくは該2辺のうち一辺に沿って実装端子102が設けられるようにしてもよい。この場合、Y側駆動回路部132が設けられた素子基板10の2辺、若しくは該2辺のうち一辺に沿って設けられた実装端子102に対して、図1と同様に入出力信号線118が配線され、更に陰極配線200が設けられると共に配線基材300が実装される。
加えて、素子基板10上における、複数の入出力信号線118、陰極49及び陰極配線200の積層順序は図7を参照して説明した構成に限定されない。また、図3及び図4を参照して説明した画素部の構成について、各画素毎に陰極が本発明に係る「第1電極」として形成されると共に、これらの複数の陰極と対向して封止基板上に本発明に係る「第2電極」として陽極が形成されてもよい。
<2;第2実施形態>
次に、本発明の自発光装置に係る第2実施形態について説明する。第2実施形態では、周辺領域の部分領域におけるコンタクト領域202の構成が第1実施形態と異なる。よって、第1実施形態と異なる点についてのみ、図9から図13を参照して詳細に説明する。
先ず、第2実施形態における有機EL装置の周辺領域の構成について、図9から図11を参照して説明する。図9は、第2実施形態における、素子基板を封止基板の側から見た有機EL装置の一の構成を示す概略的な平面図であり、図10には、有機EL装置の一の構成について、陰極配線200、コンタクト領域202、及び入出力信号線118の配置関係とその構成を概略的に示してある。図11は、図10のC−C'断面図である。尚、第1実施形態と同様の構成については同一の符号を付して示し、重複する説明は省略する。
第2実施形態では、陰極配線200において、入出力信号線118の上層側を、図11に示す層間絶縁層210を介して入出力信号線118に交差して又は重なって延びる重畳部分にコンタクト領域202が更に設けられる。
ここで、入出力信号線118として、各画素駆動回路用電源線118aは、対応する複数の電源供給線117に共通に設けられている。そして、画素駆動回路用電源線118aは、対応する複数の電源供給線117に画素駆動用電源を供給するため、その低抵抗化に鑑みて、素子基板10の基板面上に平面的に見て比較的幅の広い配線とされる。また、駆動回路用電源線118bは、駆動回路用電源の供給経路となるため、その低抵抗化に鑑みて、素子基板10の基板面上に平面的に見て比較的幅の広い配線とされる。即ち、画素駆動回路用電源線118a及び駆動回路用電源線118bは、それらを除く入出力信号線118と比べて幅広の配線として形成されている。
第2実施形態では、図9及び図10に示すように、陰極配線200において、上述したように基板面上に平面的に見て比較的幅の広い配線である画素駆動用電源線118aや駆動回路用電源線118bに対する重複部分にコンタクト領域202が設けられるのが好ましい。
図11に示すように、陰極配線200における、駆動回路用電源線118bや入出力信号線118に対する重複部分の表面には段差が生じる。ここで、陰極配線200における、駆動回路用電源線118bに対する重複部分に着目すれば、駆動回路用電源線118bの表面のうち、素子基板10の基板面に対して平行に配置された部分は表面が平坦となっている。そして、この駆動回路用電源線118bの表面形状が、層間絶縁膜210を介して陰極配線200の重畳部分の表面形状として反映されるため、重畳部分の表面は平坦となる。よって、陰極配線200におけるコンタクト領域202に配置されたコンタクト部200aの表面を平坦にすると共に、コンタクト部200aの膜厚が不均一となるのを防止することが可能となる。更に、このように、陰極配線200において、画素駆動用電源線118aや駆動回路用電源線118bに対する重複部分を利用することにより、周辺領域の部分領域のサイズを変化させなくても、コンタクト領域202を確保することが可能となる。
従って、第2実施形態では、コンタクト領域202におけるコンタクト部200aと陰極49との接続を十分な電流容量を確保して行うことが可能となる。よって、有機EL装置の小型化を実現しつつ信頼性を向上させることができる。
尚、図9及び図10には、同図中、画像表示領域110の縦方向に配線された画素駆動用電源線118aや駆動回路用電源線118bの一部分であって、陰極配線200より下層側に形成されて実装端子102に向かって延びる一部分上にコンタクト領域202を設ける構成を示してある。この構成に加えて若しくは代えて図12及び図13に示すようにコンタクト領域202が設けられるようにしてもよい。
図12は、第2実施形態における、素子基板を封止基板の側から見た有機EL装置の他の構成を示す概略的な平面図であり、図13には、有機EL装置の他の構成について、陰極配線200、コンタクト領域202、及び入出力信号線118の配置関係とその構成を概略的に示してある。
図12及び図13に示すように、例えば、周辺領域の部分領域において、画像表示領域110の一辺に沿って延在する画素駆動用電源線118aの第1の部分118aaのうち一部分と重なるように、この一部分上に陰極配線200は部分的に延在して形成されている。第1の部分118aaのうち、陰極配線200と重なる一部分は、例えば図6を参照して説明した第2の部分118abと同一層に形成される。そして、第1の部分118aaのうち陰極配線200と重なる一部分と、陰極配線200と同一層に形成された第1の部分118aaの他の部分とは、図6に示すコンタクトホール62と同様に設けられたコンタクトホール63を介して互いに電気的に接続される。
このように構成することにより、新たに陰極配線200において、第1の部分118aaに対する重複部分にコンタクト領域202を確保することが可能となる。
<3:電子機器>
次に、上述した自発光装置が各種の電子機器に適用される場合について説明する。
<3−1:モバイル型コンピュータ>
先ず、この自発光装置を、モバイル型のパーソナルコンピュータに適用した例について説明する。図14は、このパーソナルコンピュータの構成を示す斜視図である。図において、コンピュータ1200は、キーボード1202を備えた本体部1204と、自発光装置を用いて構成された表示ユニット1206とを備えている。
<3−2;携帯電話>
さらに、この自発光装置を、携帯電話に適用した例について説明する。図15は、この携帯電話の構成を示す斜視図である。図において、携帯電話1300は、複数の操作ボタン1302とともに自発光装置として例えば有機EL装置を備えるものである。
この他にも、自発光装置は、ノート型のパーソナルコンピュータ、PDA、テレビ、ビューファインダ、モニタ直視型のビデオテープレコーダ、カーナビゲーション装置、ページャ、電子手帳、電卓、ワードプロセッサ、ワークステーション、POS端末、タッチパネル、プリンタを備えた装置等に適用することができる。
本発明は、上述した実施形態に限られるものではなく、請求の範囲及び明細書全体から読み取れる発明の要旨、あるいは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う自発光装置、及びそのような自発光装置を備えた各種電子機器もまた、本発明の技術的範囲に含まれるものである。
10…素子基板、34…陽極、49…陰極、50…有機EL層、102…実装端子、110…画像表示領域、116a…画素駆動用信号線、132…Y側駆動回路部、152…X側駆動回路部、118…入出力信号線、200…陰極配線、202…コンタクト領域、300…配線基材