JP4622321B2 - 鉛蓄電池の製造方法 - Google Patents

鉛蓄電池の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、鉛蓄電池の製造方法に関するものである。
鉛蓄電池は安価で信頼性の高い電池として、自動車用バッテリや無停電電源装置などのさまざまな用途に用いられている。これらの鉛蓄電池のなかで制御弁式鉛蓄電池は、補水が不要であるという特徴があるために、近年、無停電電源装置などの用途として需要が増加している。
従来から使用されている比較的大型の制御弁式鉛蓄電池は、一般には図4に示されるような内部構造をしている。そして、これらの比較的大型の制御弁式鉛蓄電池は、図3に示されるようにして製造されていた。
すなわち、図3に示されるように、複数枚の電極板13(正極板、負極板)を、図示されていないセパレータを介して積層をした後に、平板状をしたそれぞれの電極板13の耳部9を櫛歯12で挟み込む。
次に、櫛歯12の部分に略直方体形状をした鉛部品14と極柱部品18とを置いて、プラズマ溶接装置3やバーナなどを用いて加熱をし、この部分を溶解・凝固をさせて一体化して、極柱8及びストラップ6を有する極板群を形成していた(例えば、特許文献1参照。)。ここで、プラズマ溶接装置3を使用して溶接をすると、制御が容易であり、高精度な溶接が可能となることが知られている。
そして、図4に示されるように、ストラップ6と極柱8とを有する極板群を樹脂製の電槽4に挿入した後に、その上部に樹脂製の蓋5を溶着などで取りつけて密閉して制御弁式鉛蓄電池を製造していた。
特願2003−358625号
しかしながら、図3に示されるような極柱部品18と略直方体形状をした鉛部品14と耳部9とを、例えばプラズマ溶接装置3などで加熱をし、溶接をして極柱8及びストラップ6を形成する手法は、大形の制御弁式鉛蓄電池の溶接には時間がかかるという問題点があった。
すなわち、大形の制御弁式鉛蓄電池には、極柱8やストラップ6も大形のものが用いられるために、プラズマ溶接装置3の出力容量が不足し、その結果、溶接に時間がかかるという問題点である。ここで、出力容量の大きなプラズマ溶接装置3を使用すれば、従来の略直方体形状をした鉛部品14を用いても通常の時間内での溶接は可能である。
しかしながら、出力容量の大きなプラズマ溶接装置3はコストが高いという問題点がある。さらに、最近の制御弁式鉛蓄電池では、ますます大電流での放電特性が要求されている。そこで、放電時の抵抗ドロップやそれに伴う発熱を少なくするために、さらにストラップ6も厚く、大きくする必要がある。そして、その溶接にますます時間がかかるという問題点や、出力容量不足による溶接不良となる場合があるという問題点があった。
本発明の目的は、上記した課題を解決するものであり、低コストで出力容量の小さなプラズマ溶接装置を使用した場合でも、短時間で極柱部品と耳部と鉛部品とを十分に溶接をすることができる大形の鉛蓄電池の製造方法を提供することである。
上記した課題を解決するために、本発明では、形状に特徴のある鉛部品を用いるとともに、プラズマ溶接装置を使用して複数回の溶接をして、大形の鉛蓄電池の極柱及びストラップを形成するものである。
すなわち、請求項1の発明は、複数枚の電極板をセパレータを介して積層をした後に、前記電極板の耳部を櫛歯に挟み込み、極柱部品と耳部と鉛部品とをプラズマ溶接装置を用いて溶接をして、極柱及びストラップを形成する鉛蓄電池の製造方法において、
前記鉛部品は、直方体形状をしており、底面の部分に凹部を有しており、その断面がコの字形をしている複数のコの字形鉛部品であり、形成するストラップよりも短い長さを有する複数のコの字形鉛部品を一列に並べた状態で溶接する工程を2回以上繰り返して前記極柱及び前記ストラップを形成することを特徴とするものである。
、複数枚の電極板をセパレータを介して積層をした後に、前記電極板の耳部を櫛歯に挟み込み、極柱部品と耳部と鉛部品とをプラズマ溶接装置を用いて溶接をして、極柱及びストラップを形成する鉛蓄電池の製造方法において、
前記鉛部品は、粒状をしている多数の粒状鉛部品であり、該粒状鉛部品を用いて複数回の溶接を繰り返して前記極柱及び前記ストラップを形成することも可能である。
請求項の発明は、複数枚の電極板をセパレータを介して積層をした後に、前記電極板の耳部を櫛歯に挟み込み、極柱部品と耳部と2種類の鉛部品とをプラズマ溶接装置を用いて溶接をして、極柱及びストラップを形成する鉛蓄電池の製造方法において、
前記2種類の鉛部品の一方は粒状をしている多数の粒状鉛部品であり、他方は直方体形状をしており、底面の部分に凹部を有しており、その断面がコの字形をしている複数のコの字形鉛部品であり、最初に前記粒状鉛部品を用いて溶接をし、次に前記コの字形鉛部品を一列に並べた状態で用いて溶接をして前記極柱及び前記ストラップを形成するものである。
請求項3の発明は、複数枚の電極板をセパレータを介して積層をした後に、前記電極板の耳部を櫛歯に挟み込み、極柱部品と耳部と2種類の鉛部品とをプラズマ溶接装置を用いて溶接をして、極柱及びストラップを形成する鉛蓄電池の製造方法において、
前記2種類の鉛部品の一方は粒状をしている多数の粒状鉛部品であり、他方は直方体形状をしており、底面の部分に凹部を有しており、その断面がコの字形をしている複数のコの字形鉛部品であり、
形成するストラップよりも短い長さを有する複数のコの字形鉛部品を先に一列に並べて配置し、その後に前記粒状鉛部品を前記コの字形鉛部品のすきま部分に充填した状態で、溶接する工程を2回以上繰り返して前記極柱及び前記ストラップを形成することを特徴とするものである。
本発明に係わる鉛部品を用い、複数回の溶接をすると、低コストで出力容量の小さなプラズマ溶接装置を使用した場合でも、大形の鉛蓄電池の極柱部品と鉛部品と耳部とを溶接することができる。
本発明に係わる鉛蓄電池の製造方法は、後述する実施例1及び実施例2において詳細に示すように、極柱部品18と耳部9との溶接位置に、複数個又は多数個の形状に特徴のある鉛部品を用いるとともに、比較的に小形のプラズマ溶接装置3を使用して、複数回の溶接をするものである。なお、使用したプラズマ溶接装置3は市販のものであり、アルゴンガスを主成分とし、水素を含む混合ガスを用いた雰囲気中で、通常使用されている条件で溶接をしている。以下において、本発明に係わる実施例について図1、2を用いて詳細に説明する。
(実施例1)
本発明に係わる実施例1では、図1に示されるように、略直方体形状をしており、底面の部分に凹部15を有しており、その断面の形状が略コの字形をしている複数個の鉛合金製の鉛部品(以下において、コの字形鉛部品1と呼ぶ。)を用いて、一列に並べた状態で溶接することを特徴としている。
複数枚の電極板13(正極板、負極板)をセパレータを介して積層をした後に、それぞれ電極板の耳部9に櫛歯12を挟み込む(図1(a))。そして、櫛歯12の部分の所定の位置には鉛を主成分とする極柱部品18を設置する。すなわち、平板状をした電極板13の耳部9の部分には、その上方から本発明に係わる複数個のコの字形鉛部品1を、被せるように一列に並べて設置する(図1(a))。ここで、複数個のコの字形鉛部品1を一列に並べて使用をしているために、その数を変えることによって、ストラップの寸法形状や厚みの異なる鉛蓄電池の製造にも容易に対応することができる。
次に、極柱部品18、コの字形鉛部品1及び耳部9の部分を、プラズマ溶接装置3を使用して加熱・溶解させてそれぞれを溶接する(図1(b))。ここで、プラズマ溶接装置3を使用するとバーナなどを使用する場合に比べて、スポット的に加熱をすることができるために、熱による櫛歯12の痛みが少なく、長期間にわたって同一の櫛歯12を使用することができる。
なお、底面の部分に凹部15を有するコの字形鉛部品1を用いると、凹部15を有しない鉛部品14(図3)を使用した場合に比べて、鉛を主成分とする合金の溶解がスムーズに起こり、短時間で溶接できることがわかった。
すなわち、本発明に係わる底面の部分に凹部15を有するコの字形鉛部品1を用いると、溶接時の作業性を向上させることができる。したがって、出力容量が小さく、低コストなプラズマ溶接装置を使用することができる。この詳細な理由は不明であるが、コの字形鉛部品1の底面部分と耳部9との間に、耳部9を囲むようなすきま部分(または、空間部分)が形成されていることによって、この部分が加熱しやすくなるとともに、コの字形鉛部品1から溶解した鉛合金が重力によって、自然に下方のすきまの部分に流れ込むためと考えられる。
加えて、本発明に係わるコの字形鉛部品1を用いると、ほぼ一定の速度でプラズマ溶接装置3の先端部分を移動させるような比較的単純な溶接手法を用いた場合でも、厚みのバラツキが少ないストラップ6を形成することができる。
そして、プラズマ溶接装置3を遠ざけて、溶接部を冷却して凝固をさせた後に、耳部9に挟み込んだ櫛歯12を取り外すことによって、極柱8を有するストラップ6が形成されるようにした(図1(d))。
ここで、大電流で放電されるような用途の制御弁式鉛蓄電池では、放電時の電圧ドロップを抑え、抵抗発熱を抑制するために、ストラップ6の厚みをさらに厚くする必要がある。このような場合には、凝固後のストラップ6の上方から本発明に係わるコの字形鉛部品1を再び設置して(図1(c))、再度、プラズマ溶接装置3を使用し、この部分を加熱し、溶解させて溶接するようにした(図1(b))。そして、2回または3回以上に分けてこの溶接を繰り返すことによって、ストラップ6の厚みをさらに厚くできるようにした。
2回目以降の溶接では、1回目の溶接によって、すでにストラップ6の部分が加熱されている。加えて、上述したように、コの字形鉛部品1とストラップ6との間に、すきまが形成されているため、この部分が加熱しやすくなるとともに、コの字形鉛部品1の溶解した鉛合金が重力によって、自然に下方のすきまの部分に流れ込むために、短時間でこの部分の溶接が終了する。したがって、本発明に係わる製造方法を用いると、低コストで出力容量の小さなプラズマ溶接装置を使用した場合でも、必要に応じて、ストラップ6の厚みを容易に調整することができる。
(実施例2)
本発明に係わる実施例2では、図2に示されるように、直径が約3〜5mmをした多数の粒状をした鉛合金製の鉛部品(以下において、粒状鉛部品2と呼ぶ。)を用いる。
図2に示されるように、従来の手法で複数枚の電極板13(正極板、負極板)をセパレータを介して積層をした後に、それぞれ電極板の耳部9に櫛歯12を挟み込む。そして、櫛歯12の部分の所定の位置には鉛を主成分とする極柱部品18を設置し、平板状をした電極板13の耳部9の付近には上方から本発明に係わる多数個の粒状鉛部品2を充填する(図2(a))。
そして、極柱部品18、粒状鉛部品2及び耳部9の部分を、プラズマ溶接装置3を使用して加熱・溶解をさせてそれぞれを溶接するようにした(図2(b))。ここで、プラズマ溶接装置3を使用するとバーナなどに比べて、スポット的に加熱をすることができるために、櫛歯12を痛めることもない。
なお、粒状鉛部品2を用いると、コの字形鉛部品1を用いた場合よりも溶解がさらにスムーズになることがわかった。すなわち、上記の粒状鉛部品2を用いると、溶接時の作業性を向上させることができる。この詳細な理由は不明であるが、粒状鉛部品2どうし、又は、粒状鉛部品2と耳部9との間には、すきまが形成されていることによって、この部分が加熱しやすくなるとともに、溶解した鉛合金が重力によって、自然に下方のすきまの部分に流れ込むためと考えられる。
また、粒状鉛部品2を使用しているために、その質量や個数を調整することによって、ストラップ6の寸法や厚みを容易に調整することもできる。
加えて、詳細なデータは示されていないが、上記の粒状鉛部品2を用いると、ほぼ一定の速度でプラズマ溶接装置3の先端部分を移動させるような比較的単純な手法を用いても、厚みのバラツキが少ないストラップ6を形成することができた。
そして、プラズマ溶接装置3を遠ざけて溶接部を冷却して凝固させた後に、耳部9に挟み込んだ櫛歯12を取り外すことによって、極柱8を有するストラップ6が形成されるようにした(図2(d))。
ここで、大電流で放電されるような用途の制御弁式鉛蓄電池では、放電時の電圧ドロップを抑え、抵抗発熱を抑制するためにストラップ6の厚みを、さらに厚くする必要がある。このような場合には、凝固後のストラップ6の上方から上記の粒状鉛部品2を再び充填をして(図2(c))、再度、プラズマ溶接装置3を使用して、この部分を加熱し、溶解させて溶接するようにした(図2(b))。そして、2回または3回以上の複数回に分けてこの溶接をすることによって、ストラップ6の厚みをさらに厚くできるようにした。すなわち、必要に応じて、ストラップ6の厚みを容易に調整することができる。
2回目以降の溶接では、1回目の溶接によって、すでにストラップ6は加熱されていることや、粒状鉛部品2どうし、又は、粒状鉛部品2とストラップ6との間に、すきまが形成されていることによって、この部分が加熱されやすくなるとともに、溶解した鉛合金が重力によって、自然に下方のすきまの部分に流れ込むために、短時間で溶接が終了する。したがって、低コストで出力容量の小さなプラズマ溶接装置を使用した場合でも、必要に応じて、ストラップ6の形状や厚みを容易に調整する
ことができる。
ここで、(実施例1)のコの字形鉛部品1に比べて、上記の粒状鉛部品2を用いると、よりスムーズに溶接ができることや、ストラップ厚みの調整が容易にできるものの、材料コストがやや割高になるという問題点がある。そこで、最初の溶接は粒状鉛部品2を用い、プラズマ溶接装置3で溶接をする(図2(a)(b))。そして、二回目以降のストラップ6が加熱されている状態では、コの字形鉛部品1のみを用いた溶接を行うようにした(図1(c))。この溶接方法を用いることによって、原材料である鉛部品のコスト低減をはかることができる。
さらに、図示されてはいないが、(実施例1)のコの字形鉛部品1を主として用い、そのすきま部分に、上記の粒状鉛部品2を上方から充填した状態で、プラズマ溶接装置3でこの部分を溶接することもできる。そして、二回目以降のストラップ6が加熱されている状態では、同様の溶接をより短時間で行うことができる。このような溶接方法を用いると、溶接時間をさらに短縮することができる。この詳細な理由は不明であるが、プラズマ溶接装置3による加熱によって、最初に溶解した粒状鉛部品2が、コの字形鉛部品1に付着することによって、その後のコの字形鉛部品1の溶解が促進されているためと考えられる。
上述した実施例では、本発明を制御弁式鉛蓄電池の製造方法に用いる場合について詳細に説明をしたが、自動車用バッテリなどの液式の鉛蓄電池の製造方法にも同様に用いることができる。
本発明に係わるコの字形鉛部品を用いた溶接工程の概略図である。 粒状鉛部品を用いた溶接工程の概略図である。 従来の溶接工程の概略図である。 制御弁式鉛蓄電池の切欠き断面斜視図である。
1:コの字形鉛部品、2:粒状鉛部品、3:プラズマ溶接装置、4:電槽、5:蓋、6:ストラップ、7:端子、8:極柱、9:耳部、10:安全弁部、11:突部、12:櫛歯、13:電極板、14:鉛部品、15:凹部、18:極柱部品

Claims (3)

  1. 複数枚の電極板をセパレータを介して積層をした後に、前記電極板の耳部を櫛歯に挟み込み、極柱部品と耳部と鉛部品とをプラズマ溶接装置を用いて溶接をして、極柱及びストラップを形成する鉛蓄電池の製造方法において、
    前記鉛部品は、直方体形状をしており、底面の部分に凹部を有しており、その断面がコの字形をしている複数のコの字形鉛部品であり、
    形成するストラップよりも短い長さを有する複数のコの字形鉛部品を一列に並べた状態で溶接する工程を2回以上繰り返して前記極柱及び前記ストラップを形成することを特徴とする鉛蓄電池の製造方法。
  2. 請求項1に記載された鉛蓄電池の製造方法において、
    鉛部品として前記コの字形鉛部品と粒状をしている多数の粒状鉛部品との2種類を用い、最初に該粒状鉛部品を用いて溶接をし、次に前記コの字形鉛部品を一列に並べた状態で用いて溶接をして前記極柱及び前記ストラップを形成することを特徴とする鉛蓄電池の製造方法。
  3. 請求項1に記載された鉛蓄電池の製造方法において、
    鉛部品として前記コの字形鉛部品と粒状をしている多数の粒状鉛部品との2種類を用い、複数のコの字形鉛部品を先に一列に並べて配置し、その後に前記粒状鉛部品を前記コの字形鉛部品のすきま部分に充填した状態で、溶接する工程を2回以上繰り返して前記極柱及び前記ストラップを形成することを特徴とする鉛蓄電池の製造方法。
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