JP4621955B2 - 感染性排水の滅菌処理方法とその装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、感染性排水の滅菌処理方法とその方法の実施に用いる滅菌処理装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
医療施設から排出される感染病床排水、解剖室排水など(以下感染性排水という)には、病原性微生物が混入の虞のある血液や体液がふくまれているため、放流に際しては十分な滅菌処理が必要である。
【0003】
医療施設から排出される感染病床排水を滅菌処理する代表的な方法として、塩素滅菌法と、蒸気加熱滅菌法とが知られている。塩素滅菌法は、感染性排水に塩素を添加して滅菌する方法であるが、塩素滅菌法によるときには、塩素と、排水中の有機物とが急激に反応してガスが流出することがあり、排水の組成によってはダイオキシン類を作出する危険があるほか、排水の放流基準をクリアするには、後処理として排水中に添加した塩素を放流に先立って除去しなければならないという問題がある。
【0004】
この点、蒸気加熱滅菌法によれば、ガスの流出や、ダイオキシン発生の危険がなく、放流に先立って排水の温度を一定温度以下に降温させるほかには格別厄介な後処理の必要はない。図5に蒸気加熱滅菌法による感染性排水の従来の処理設備の一例を示す。
【0005】
図5に示す感染性排水の処理設備においては、敷地内の排水ピット31内に溜められた感染性排水を水中ポンプ32でくみ上げて滅菌槽33内に移し、次いで滅菌槽33内の感染性排水中に直接蒸気34を吹き込み、感染性排水を高温の蒸気に一定時間(121℃・20分)曝して滅菌処理が行なわれる。
【0006】
この方法は、感染性排水を高温の蒸気に直接曝すことから、「直接加熱滅菌法」といわれている。滅菌処理後の排水は、滅菌槽33の底部に設けたバルブ35を開いて冷却槽36内に取り出され、冷却槽36内に一旦溜め、冷却水として市水37を混合し、常温(約40℃)に降温してから下水管38に放流される。図5中、39は温度計である。
【0007】
このように直接加熱滅菌法は、滅菌槽内の感染性排水中に直接蒸気を吹き込み、蒸気の熱を排水中の感染性微生物に直接作用させて滅菌するため、滅菌効果に優れているものと考えられていた。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、直接加熱滅菌法によるときには、以下に述べるような問題点があることがわかった。すなわち、滅菌槽の上方から感染性排水の水面下に差し込まれた蒸気配管から蒸気を噴出し、噴出した蒸気が水面に浮上する間に蒸気と接触する排水を加熱するため、排水を直接加熱できる範囲は、蒸気配管の周囲の或る限られた範囲内に限られ、滅菌槽が大型になればなるほど、十分に加温されない領域が生じ、滅菌効率が低下するという問題が生ずるのである。
【0009】
もっとも、滅菌槽内に蒸気を噴出する蒸気配管の数を増やせば、蒸気配管を増やした分だけ加温されない領域を減少させてゆくことはできるが、蒸気配管の数を増すには自ずから限度があり、滅菌槽が、高さに比して幅または奥行きが長い槽、すなわち横型の槽には、実質的に適用することが難しい。
【0010】
また、直接加熱滅菌法によるときには、滅菌効果の問題に止まらず、保守管理の点でも種々の問題があることが分かった。たとえば、直接滅菌法は、滅菌槽内に充填された感染性排水に直接蒸気を吹き込むため、蒸気が凝縮した水分が感染性排水に加わることになって、排水の処理量が増大し、冷却のために多量の市水が必要になる。
【0011】
また、滅菌槽に圧入した余剰の蒸気は、配管を通して蒸気発生装置に戻されるが、その配管などから漏出して二次感染のおそれがあった。さらに、図5に示すような排水ピット内の感染性排水をポンプでくみ上げて滅菌槽に送り込む方式では、ポンプ配管の清掃が厄介であり、ポンプ配管内に異物が詰まったときには、設備から配管を取り外して配管内から異物を除去しなければならない。
【0012】
本発明の目的は、滅菌槽内に充填された感染性排水を均一加熱して効率よく滅菌処理を行ない、しかもメンテナンスが容易な感染性排水の滅菌処理方法とその装置を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明による間接加熱方式の滅菌槽を有する感染性排水の滅菌処理方法においては、間接加熱方式の滅菌槽を有する感染性排水の滅菌処理方法であって、真空給水処理と、加熱・滅菌処理と、排水処理とを有し、
真空給水処理は、滅菌槽の槽本体内を脱気し、負圧となった槽本体内に感染性排水を真空吸引する処理であり、
加熱・滅菌処理は、槽本体内への感染性排水の給水停止後、真空状態で加熱して蒸気の熱を槽本体の壁面を通して内部の感染性排水に作用させ、槽本体内の感染性排水に熱対流を生じさせ、槽本体内の感染性排水を加熱して滅菌する処理であり、
排水処理は、圧縮空気発生装置に発生させた高圧空気を槽本体内に吹き込み、槽本体内に一定圧力を加え、加熱・滅菌処理された排水を一定量ずつ槽本体内から排出する処理である。
【0014】
また、加熱・滅菌処理は、槽本体内への感染性排水の給水停止後、再び槽本体内を脱気し、真空状態で加熱して感染性排水の滅菌効率を向上させ、槽本体内の空気の膨張による圧力の膨張を抑え、菌を含む空気が安全弁から放出されるのを防止する処理である。
【0016】
また、本発明による感染性排水の滅菌処理においては、間接加熱方式の滅菌槽と、真空ポンプと、圧縮空気発生装置とを有する感染性排水の滅菌処理装置であって、
滅菌槽は、槽本体と、蒸気加熱手段を有し、
槽本体は、滅菌すべき感染性排水を受入れる槽であり、
蒸気加熱手段は、槽本体の外周に設置されたジャケットを有し、ジャケット内に送入された蒸気の熱を槽本体の壁面を通して槽本体内部の感染性排水に作用させ、槽本体内に感染性排水の熱対流を生じさせるものであり、
真空ポンプは、排水ピット内に受入れられた感染性排水を真空吸引して槽本体内に送り込むものであり、
圧縮空気発生装置は、槽本体内の滅菌処理された排水を槽本体から排出する際に、高圧空気を槽本体内に吹き込み、一定圧力を加えて定量ずつ排出させるものである。
【0017】
また、蒸気加熱手段は、槽本体の外周に設置されたジャケットを有し、ジャケット内に送入された蒸気の熱を槽本体の壁面を通して槽本体内部の感染性排水に作用させ、槽本体内に感染性排水の熱対流を生じさせるものである。
【0018】
また、真空ポンプを有し、
真空ポンプは、排水ピット内に受入れられた感染性排水を真空吸引して槽本体内に送り込むものである。
【0019】
また、槽本体には、底部に排水用配管が接続され、
排水用配管は、滅菌処理された槽本体内の排水を放流する配管であり、配管の途中に、冷却水を供給する給水管が接続されているものである。
【0020】
また、前記圧縮空気発生装置は、槽本体内の滅菌処理された排水を槽本体から排出する際に、高圧空気を槽本体内に吹き込み、一定圧力を加えて排水を槽本体から排出後、さらに、空になった槽本体内を通して排水ピットと、槽本体とをつなぐ排水供給配管内に圧縮空気を圧送し、該配管内を逆洗浄するものである。
【0021】
また、槽本体は、高さに比して幅または奥行きが長い横型の槽である。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の実施の形態を図によって説明する。本発明による感染性排水の滅菌処理装置は、間接加熱方式の滅菌槽を有するものである。図1(a)において、滅菌槽1は、槽本体2と、蒸気加熱手段3を有している。
【0023】
槽本体2は、滅菌処理すべき感染性排水を受入れる槽であり、蒸気加熱手段3は、槽本体2の外周に設置され、蒸気発生装置4に発生させた蒸気の供給を受けるジャケット5を有し、蒸気発生装置4に発生させた蒸気は、蒸気配管6を通じてジャケット5内に送り込まれ、槽本体2内の感染性排水は、蒸気の熱によって間接的に加熱される。
【0024】
槽本体2には、真空ポンプ7と、放水手段8と、圧縮空気発生装置(コンプレッサー)9とがそれぞれの配管を通じて接続され、槽本体2の底部には、バルブ10を介して排水放流配管11が接続されている。院内に生じた感染性排水は、排水ピット12内に溜められる。
【0025】
槽本体2と、排水ピット12間は、排水供給配管13によって接続され、排水供給配管13には、バルブ14を有し、その下流側(槽本体側)には、バルブ14bを介して蒸気発生装置4に通ずる蒸気配管15が接続されている。
【0026】
真空ポンプ7は、排水ピット12内の感染性排水を槽本体2内に真空吸引するものである。真空ポンプ7は、ポンプ配管16を通じて槽本体2に接続され、ポンプ配管16には、フィルター17が装填されている。フィルター17は、槽本体2内の空気を吸引するときに、吸引空気に含まれているかもしれない菌を捕捉させるものである。ポンプ配管16には、前記蒸気発生装置4の蒸気配管15が接続され、フィルター17の交換時には、ポンプ配管含めて蒸気により滅菌処理される。
【0027】
放水手段8は、シャワーである。市水の給水管18に取付けられたシャワーが槽本体2内に取付られている。シャワーは、槽本体2内の洗浄用である。圧縮空気発生装置9は、エアコンプレッサである。圧縮空気発生装置9は、加圧用配管19を通して槽本体2内に接続されている。圧縮空気発生装置9は、排水供給配管13内の異物を除去する際に使用するものである。
【0028】
槽本体2の底部に接続された排水放流配管11は、滅菌処理された槽本体2内の処理済排水を下水として放流する配管である。排水放流配管11の途中には、冷却水供給配管20が接続され、冷却水として市水を排水放流配管11内に給水し、放流に先立って滅菌処理された槽本体2内の排水は一定温度以下に冷却される。図1中、21は温度センサである。温度センサ21は、槽本体2の内底部に設置されている。
【0029】
本発明において、病院内に発生した感染性排水は、一旦排水ピット12内に貯留される。排水ピット12内に溜められた感染性排水を滅菌処理するに際しては、真空給水処理、加熱・滅菌処理・排水処理を順次行なう。まず、真空給水処理として、排水供給配管13のバルブ14を閉じた状態で真空ポンプ7を起動し、ポンプ配管16を通じて槽本体2内を脱気する槽本体2内は負圧になる。一定の負圧のもとで真空ポンプ7を停止し、バルブ14を開くと、排水ピット12内の感染性排水は、排水供給配管13内に真空吸引されて槽本体2内に送り込まれ、真空状態が解除されて感染性排水の給水が停止する。
【0030】
次いで、加熱・滅菌処理として、真空ポンプ7を一定時間駆動し、再び槽本体2内を真空状態として蒸気配管6を通じて蒸気発生装置4に発生させた蒸気をジャケット5内に送入する。ジャケット5内部に送入された蒸気の熱は、槽本体2の壁面を通して内部の感染性排水に作用し、槽本体2内の感染性排水に熱対流を生じ、感染性排水は蒸気の熱によって、槽本体2の全体に渡り、均等に滅菌処理される。
【0031】
加熱・滅菌処理に際しては、真空ポンプ7を再駆動して槽本体2内を脱気することによって、滅菌効果を向上できる。さらに、槽本体2内を脱気したちに加熱・滅菌処理を行なうことによって、槽本体の空気の膨張による圧力の上昇を抑え、槽本体2に設けられる安全弁25(図2参照)から菌を含む空気が放出されるのを防止する。
【0032】
真空吸引によって負圧になった槽本体2内は、槽本体2内に発生する排水の蒸気によって、若干正圧側に戻るが内部圧力は負圧に保たれる。滅菌処理に際しては、処理温度121℃、処理時間20分処理することが規準として定められている。また、1日の作業終了時などの必要時においては、排水供給配管13およびポンプ配管16内に蒸気発生装置4に発生させた蒸気を導入して配管内の滅菌処理を行なう。
【0033】
加熱・滅菌処理後、排水処理として、槽本体2の底部のバルブ10を開き、槽本体2内の滅菌処理された排水を排水放流配管11内に排出するとともに、排水放流配管11内に市水を給水し、処理済の排水を放流しつつ一定温度以下に冷却する。このとき、圧縮空気発生装置9に発生させた高圧空気を槽本体2内に吹き込んで一定圧力を加える事によって定量ずつ排出することができる。
【0034】
空になった槽本体2内を洗浄するには、空になった槽本体内2に給水管18を通し市水を放水し、シャワーによって、槽本体2の内壁に付着した異物を洗い流し、槽本体2内を洗浄する。また、バルブ14を開いた状態で圧縮空気発生装置9に発生させた高圧空気を槽本体2内に圧入すると、槽本体2内に圧入された高圧空気は排水供給配管13内を逆流し、排水供給配管13内に残存する異物などは導入された高圧空気に押し流されて排水ピット12に排出される。
【0035】
本発明においては、ジャケット5に圧入した蒸気によって槽本体2内の感染性排水を加熱する、いわゆる“間接加熱方式”によるため、槽本体2内には蒸気が混入することがない。また、脱気後の加熱による滅菌効果が向上する。間接加熱によれば、蒸気が感染性排水に触れることがないため、余剰の蒸気を蒸気発生装置4側に戻しても、二次感染のおそれが全くない。また、蒸気の冷却によって生ずる水分が処理済の排水中に混入することがないため、排水量が増量せず、排水の処理量、排水冷却用の市水の使用量は、従来の直接加熱法に比べて少なくて済ませることができる。
【0036】
したがって、本発明において、処理済の排水の冷却処理は、排水放流配管11内を流出する排水中に市水を供給すればよく、排水が配管内を流動する間の管路冷却によって、十分冷却は可能であるが、あるいは、図1(b)に示すように従来と同様に排水放流配管に冷却槽22を設け、冷却槽22に溜められた処理済の排水中に、冷却水として市水を給水しつつ冷却を行なうことも勿論できる。
【0037】
また、間接加熱法によれば、槽本体2内で熱対流が均一に生じて槽本体内に無滅菌の領域が生ずる虞がない。本発明装置に用いる滅菌槽には、図2に示すような耐圧容器を蓋体で密閉して用いるが、滅菌槽1の槽本体2には、図3に示すような、高さに比して幅または奥行きが長い横型の槽を用いるのが有利である。いわゆる“間接加熱”方式によれば、槽本体の周囲から加熱するため、横型の槽であっても、槽本体内で熱対流を生じさせて槽本体内の排水を均等に加熱して滅菌できる。
【0038】
槽本体2に横型の槽を用いることによって、本発明装置を設置する場合にその設置場所の制約からかなり開放される。たとえば、病院の地下室の一隅を利用して設置することが可能になる。最近の病院の建物には、免震構造が適用されている場合が多い。免震床は、スペースはあるものの階高がないために、縦型の槽を設置することができないが、横型の槽であれば、階高がなくても平面上のスペースが確保できれば容易に設置できる。
【0039】
また、間接加熱法による今ひとつ有利な点は、槽本体2の内底部の温度を測定できる点である。当然のことながら槽本体2内に充填された排水の水面近くの温度は、底の排水の温度より高い。よって、処理温度121℃、処理時間20分で規準どおりに滅菌処理を行なって、仮に死滅しない菌が存在するようなことがあったとしても、直接加熱法によるよりも安全性は高いといえる。直接加熱法によるときには、蒸気が噴出する個所、図5の場合には槽本体の側部にて計測される。あるいは液面に近い槽本体の上部にて計測される場合もある。
【0040】
また、本発明によれば、メンテナンスの点でも非常に有利である。排水ピット12内の感染性排水を槽本体2内に導入するポンプには真空ポンプ7を用いるため、水中ポンプを用いる場合のように、ポンプが排水に直接触れることがないので、真空ポンプ7やポンプ配管16に目詰まりが生ぜず、洗浄処理が容易であり、滅菌処理後、配管内に蒸気を通すだけで真空ポンプ7及びポンプ配管16の滅菌処理を行なうことができる。
【0041】
もっとも、排水ピット12と、槽本体2間をつなぐ排水供給配管13には、感染性排水中に含まれる異物が付着し、さらには目詰まりが生ずることがあるが、圧縮空気発生装置9に発生させた高圧空気を槽本体2内に圧送し、排水供給配管13内にブローすることによって容易に洗浄でき、配管内に付着する異物を排水ピット12側に排除することができる。
【0042】
【実施例】
以下に本発明の実施例を示す。図2に示す滅菌槽を用い、感染性排水(実排水)の滅菌処理試験を行なった。
図2に示す滅菌槽は、ステンレス製、丸型、二重構造缶であり、蓋板をボルト・ナットにて缶に締め付けたものである。缶の仕様を以下に示す。
【0043】
〇寸法
内缶(槽本体) :Φ600×1000+20+37(胴長)
外缶(ジャケット):Φ670×772+20(胴長)
〇材質
内缶 :SUS316L−t5(胴板、鏡板)
外缶 :SUS304L−t5(胴板、鏡板)
蓋板 :SUS316L
【0044】
〇最高使用圧力
内缶:0.30MPa(−0.1MPa)
外缶:0.30MPa
総重量 :約350kg
【0045】
滅菌処理試験は、図4に示す2基の滅菌槽1A,1Bを第1槽、第2槽とし用い、以下の手順にて各処理を順次行なった。
【0046】
〇真空給水処理
真空ポンプにて次工程への移行のタイミングの設定は、真空ポンプ7A、7Bにてそれぞれ滅菌槽1A,1B内を個別に脱気して真空状態とし、−0.8(MPa)まで脱気したのち、バルブを開いて排水ピットより感染性排水を吸水した。
真空ポンプによる排気は、0.2(μm)メンブレンフィルターを介して行なった。
【0047】
滅菌槽1A,1B内への満水確認及び排水ピット12内の低水位を確認して次工程の処理への移行のタイミングを設定した。各滅菌槽への吸水は1槽ずつ行い、第1槽(1A)の満水を確認した後、第2槽(1B)への吸水を行なった。
【0048】
〇加熱・滅菌処理
真空ポンプ7A、7Bにてそれぞれ滅菌槽1A,1B内を再び−0.8(MPa)まで脱気したのち、ジャケット内に蒸気を送り込んで排水の加熱を開始した。
滅菌槽の槽本体内の底部に設置した温度センサーにて滅菌温度121℃を確認後、タイマーの計時を開始し、20分経過後、次工程の処理に移行した。
【0049】
〇排水処理
各槽本体内より設備排水槽24へ排水し、槽本体内の低水位を確認した後、槽本体内部を一定時間、水にてシャワー洗浄し、計時完了と共に排水し、低水位を確認して次工程の処理に移行した。槽本体からの排水には、排水管路の途中に設けたミキサーにおいて冷水(市水)と直接混合して40℃以下に冷却して放流した。また、排水処理に際しては、槽本体内には圧縮空気を導入して一定圧力にて排水を排出した。
【0050】
〇受水待機
他の滅菌槽がいまだ真空吸水中のときには、その滅菌槽の満水が確認されるまで待機する。他の滅菌槽が、真空吸水以外のときには、真空吸水処理に移行し、2基の滅菌槽によるバッチ処理を行なう。真空給水中に排水ピット内排水の低水位を確認した場合には、真空吸水を中止し、そのまま加熱・滅菌処理に移行してバッチ処理を行なうが、再度の連続運転を開始するにあたっては、排水ピット内の満水を確認してから行なう。
【0051】
以上の感染性排水(実排水)の滅菌処理試験によれば、1バッチあたりそれぞれ1時間程度で処理を完了することができ、排水温度もほぼ40℃以下で排水されていることが確認でき、試験は概ね良好であると判断できた。表1、表2に、それぞれ滅菌槽1Aと滅菌槽1Bとによる処理時間を示す。
【0052】
【表1】
【0053】
【表2】
【0054】
【発明の効果】
以上のように本発明は、間接加熱方式の滅菌槽を用いて感染性排水の滅菌処理を行うものであり、本発明によるときには、感染性排水の滅菌処理を効率よく行なうと共に、滅菌処理の作業終了後の各部のメンテナンスを容易に行なうことができる効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)は、本発明の1実施形態を示す構成図、(b)は他の実施形態を示す図である。
【図2】本発明装置に用いる滅菌槽の1例を示す図である。
【図3】横型の滅菌槽の例を示す図である。
【図4】滅菌処理の実験に用いた装置の構成図である。
【図5】従来の感染性排水滅菌処理装置の1例を示す構成図である。
【符号の説明】
1 滅菌槽
2 槽本体
3 蒸気加熱手段
4 蒸気発生装置
5 ジャケット
6 蒸気配管
7 真空ポンプ
8 放水手段
9 圧縮空気発生装置
10 バルブ
11 排水放流配管
12 排水ピット
13 排水供給配管
14,14b バルブ
15 蒸気配管
16 ポンプ配管
17 フィルター
18 給水管
19 加圧用配管
22 冷却槽
Claims (4)
- 間接加熱方式の滅菌槽を有する感染性排水の滅菌処理方法であって、真空給水処理と、加熱・滅菌処理と、排水処理とを有し、
真空給水処理は、滅菌槽の槽本体内を脱気し、負圧となった槽本体内に感染性排水を真空吸引する処理であり、
加熱・滅菌処理は、槽本体内への感染性排水の給水停止後、真空状態で加熱して蒸気の熱を槽本体の壁面を通して内部の感染性排水に作用させ、槽本体内の感染性排水に熱対流を生じさせ、槽本体内の感染性排水を加熱して滅菌する処理であり、
排水処理は、圧縮空気発生装置に発生させた高圧空気を槽本体内に吹き込み、槽本体内に一定圧力を加え、加熱・滅菌処理された排水を一定量ずつ槽本体内から排出する処理であることを特徴とする感染性排水の滅菌処理方法。 - 加熱・滅菌処理は、槽本体内への感染性排水の給水停止後、再び槽本体内を脱気し、真空状態で加熱して感染性排水の滅菌効率を向上させ、槽本体内の空気の膨張による圧力の膨張を抑え、菌を含む空気が安全弁から放出されるのを防止する処理であることを特徴とする請求項1に記載の感染性排水の滅菌処理方法。
- 間接加熱方式の滅菌槽と、真空ポンプと、圧縮空気発生装置とを有する感染性排水の滅菌処理装置であって、
滅菌槽は、槽本体と、蒸気加熱手段を有し、
槽本体は、滅菌すべき感染性排水を受入れる槽であり、
蒸気加熱手段は、槽本体の外周に設置されたジャケットを有し、ジャケット内に送入された蒸気の熱を槽本体の壁面を通して槽本体内部の感染性排水に作用させ、槽本体内に感染性排水の熱対流を生じさせるものであり、
真空ポンプは、排水ピット内に受入れられた感染性排水を真空吸引して槽本体内に送り込むものであり、
圧縮空気発生装置は、槽本体内の滅菌処理された排水を槽本体から排出する際に、高圧空気を槽本体内に吹き込み、一定圧力を加えて定量ずつ排出させるものであることを特徴とする感染性排水の滅菌処理装置。 - 前記圧縮空気発生装置は、槽本体内の滅菌処理された排水を槽本体から排出する際に、高圧空気を槽本体内に吹き込み、一定圧力を加えて排水を槽本体から排出後、さらに、空になった槽本体内を通して排水ピットと、槽本体とをつなぐ排水供給配管内に圧縮空気を圧送し、該配管内を逆洗浄するものであることを特徴とする請求項3に記載の感染性排水の滅菌処理装置。
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- 2001-08-16 JP JP2001247350A patent/JP4621955B2/ja not_active Expired - Lifetime
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