JP4621475B2 - センサ一体型マイクロチップ、およびマイクロチップシステム - Google Patents
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Description
これらマイクロチップを用いた研究では、マイクロチップ内において流体の状態を制御するために、流体圧力等の状態量を計測することが必要とされている。ここで、流体の状態量の計測は、通常、マイクロチップに導入される前段階で、マイクロチップ外部の流体を対象として行われているが、マイクロチップの内部では複雑な圧力損失などに起因して流体の状態が変動しているため、マイクロチップ外部における流体の状態量を計測しただけでは、マイクロチップ内部の流体制御は困難である。
これ以外に、マイクロチップ自体にセンサを作り込むことによっても、マイクロチップの内部における流体の状態量を計測することができる(特許文献1および非特許文献1参照)。具体的に、特許文献1のマイクロチップは、ガラス基板と、このガラス基板と接合されるPDMS(ポリジメチルシロキサン)チップとを備え、PDMSチップの接合面に光学式の圧力検知部(回路格子)と、この圧力検知部と連通する流路とが一体に配設されている。そして、PDMSチップの流路には、PDMSチップに取り付けられたパイプ材から流体が導入されている。
非特許文献1のマイクロチップは、流路が形成されたPDMSチップと、このPDMSチップと接合されるセンサ配列チップ(pressure sensor array chip)とを備え、センサ配列チップの接合面には、複数の圧力センサが配設されている。ここで、PDMSチップには、中央を横切る一本の流路(流体の反応場)からセンサ配列チップの接合面に沿って複数のバイパスが形成され、各圧力センサは、このバイパスを通じて流体にアクセスしている。
一方、特許文献1および非特許文献1における構成では、マイクロチップ自体に流路および流路に臨むセンサの双方を作り込んでいるが、このように流路およびセンサが作り込まれたマイクロチップには汎用性がない。また、流路から流体を接合面に沿って導くバイパス部分で圧力損失が生じるという問題がある。さらに、これらの流路およびセンサの微細な作り込みが極めて難しいという問題もある。
ここで、孔のサイズが溝の幅寸法よりも大きいので、孔の内部に配設されたセンサの端部が溝の開口側端部に当接して溝の内部側への移動が規制されるため、センサが溝の内部に突出するようなことがない。これにより、マイクロチップ内部における流体の流れに影響を及ぼすことなくセンサを配設可能となる。また、孔の内部に配設されるセンサがセンサから流路へのアクセス用の孔などを介さずに流体に直接的に接触するぶん、流体の圧力損失が低減されるとともに、デッドボリュームが殆ど生じない。
このように、センサ配設に関して流体の流れへの影響がない状態でマイクロチップ内部の流体圧力を計測可能となるので、微小容量の流体の高効率反応に関して、本発明のマイクロチップを分析、合成の分野で利用できる。また、マイクロチップを用いた装置の実用化が図られる。
なお、この孔の位置は、任意に選択可能であって、孔の位置に応じて、流路における任意の箇所が制御可能となる。例えば、流体の導入時および排出時は流体の状態量の変動が大きいと考えられるため、導入口や排出口の近傍に孔を形成してもよい。
また、基板同士を接合する場合は、その接合方法として、熱融着、陽極接合、レーザー接合、ろう付け、表面活性化接合などを採用できる。なお、基板同士を接合する代わりに、基板と基板とを互いに挟みつけて固定することもできる。
そして、マイクロチップに配設されるセンサとしては、温度センサ、化学センサ、電気化学センサ、圧力センサ、流量センサなどを例示できる。
なお、マイクロチップに形成された孔には、センサのほかに、バルブ、ポンプ、マイクロチップの認識用IDタグなどのマイクロ流体デバイスを組み込むことも可能である。
この構成によれば、センサが孔の内部に納まり、基板表面から突出していないので、装置の挿入口(スロット)などに差し込んで使用することも容易となる。
このような流体制御により、合流部において相流となる各流体の相流状態を安定化させることができる。
なお、相流とは、例えば、流体が相分離した状態で流れるものをいう。
また、合流部では圧力変動や圧力損失などの流体の状態量の変動による影響が大きいと考えられるため、この合流部の近傍にセンサ配設用の孔を形成することにより、流体制御をより適切に行うことができる。
このような流体制御により、相分離した相流を複数経路に分けるなどの分岐操作を目論見通りに行うことができる。
また、分岐部では圧力変動や圧力損失などの流体の状態量の変動による影響が大きいと考えられるため、この分岐部の近傍にセンサ配設用の孔を形成することにより、流体制御をより適切に行うことができる。
この構成によれば、圧力センサによる計測結果により、マイクロチップ内の流路における流体の圧力変動や圧力バランスの制御が可能となり、本発明のマイクロチップを分析、合成の分野で利用できる。
ここで、本発明の圧力センサとしては、流体圧力の感応部に歪ゲージを備えるものや、感応部の変位を静電容量の変化として検出するものなど、その種類を問わない。なお、使用する圧力センサは、ゲージ圧力センサ、絶対圧力センサ、あるいは差圧センサのいずれでもよい。
この構成によれば、合流部の前段や分岐部の後段などの複数の経路をそれぞれ流れる流体の圧力差(差圧)が圧力センサにより検出されるので、センサの検出精度に個体差があったとしても、複数の経路における流体の圧力変動や分圧状態を適切に制御できる。
また、連結溝内に設けられたセンサ部が流路へのアクセス用の孔などを介さずに流体に直接的に接触するぶん、流体の圧力損失が低減されるとともに、デッドボリュームが殆ど生じない。
加えて、マイクロチップの製造と、流路ピースの製造とを別途行えばよいので、微細な流路やセンサ部の作り込みに関する問題が生じず、製造が容易である。マイクロチップに形成された孔に各種形状の連結溝が形成された流路ピースを挿入して簡単に組み込むことができ、汎用性に優れるとともに、マイクロチップ規格化の動向にも対応できる。
ここで、検出部としては、連結溝の底部や連結溝と対向するセンサ部本体に一端側が取り付けられ複数の経路における各流体の圧力に応じてこれらの経路の境界部分で回動する可動部材であって、歪ゲージ、ピエゾ素子、振動子などが設けられたものを例示できる。
検出部としては、合流手前側が軸支され複数の経路における各流体の圧力に応じてこれらの経路の合流部分で回動する可動部材であって、歪ゲージ、ピエゾ素子、振動子などが設けられたものを例示できる。
この構成によれば、センサないし連結溝内に設けられたセンサ部により計測されたマイクロチップ内部の流体の状態量に基いて、この流体に付与する流速または流圧、温度などの条件が変更されるので、マイクロチップ内部の流体の状態を所定の状態量とほぼ同じ状態とすることができる。これにより、マイクロチップ内部の流体制御を容易にかつ確実に行うことができる。
特に、合流部の前段や分岐部の後段で複数経路をそれぞれ流れる流体において、これらの流体の圧力やこれらの差圧を圧力発生源やバルブなどにフィードバックすることにより、各流体の圧力変動をより適切に制御することができる。
〔1.マイクロチップの構成〕
以下、本発明の第1実施形態を図1〜図3を参照して説明する。
図1は、本実施形態のマイクロチップ1の分解斜視図である。また、図2は、マイクロチップ1の平面図、図3は、マイクロチップ1の断面図である。
マイクロチップ1は、内部に形成された流路FAにおいて、試料RGの分析を行うために使用され、2枚の基板11,12による積層構造となっている。本実施形態では、このマイクロチップ1に3つの圧力センサ80が組み込まれ、これらの圧力センサ80により、流路FAにおける試料RGの圧力がそれぞれ計測されている。
なお、本実施形態では、経路FA1,FA2、FA3において溝14は同径となっているが、例えば、経路FA3における溝14の径を経路FA1,FA2における溝14の径よりも大径にするなど、溝14の径寸法は適宜設定できる。
圧力センサ80は、基板11の孔20に挿入される立方体形状のものであって、孔20に挿入された状態で被載置部141に配置され、流路FAを流れる試料RGと接触している。
この圧力センサ80には、詳しい図示を省略したが、溝14に対向する側に設けられるシリコン製のダイアフラム81と、このダイアフラム81を保持する保持体82とを備えている。保持体82は、2枚のガラス製基板が基板11,12が重ねられる方向と交差する方向に重ねられた積層体であり、基板間には、複数本の導電性パターンが形成されている。これにより、導電性パターン間の間隙で大気開放が図られるとともに、ダイアフラム81と反対側の取出電極とが導電性パターンを介して導通されている。そして、圧力センサ80の検出回路において、保持体82に設けられた電極とダイアフラム81との間の静電容量の変化により、試料RGの圧力が計測されるものとなっている。
以上のような構成のマイクロチップ1の製造手順を簡単に説明する。
まず、基板11にはサンドブラスト、エッチング、機械加工などにより溝14を形成する。また、基板12には、導入口121,122、排出口125、および孔20をサンドブラスト、放電加工、超音波加工、ドリル加工、レーザー加工、エッチング、プレス、射出成形などにより形成する。
なお、この熱融着のほか、陽極接合、レーザー接合、ろう付け、表面活性化接合によって基板11,12を接合してもよく、あるいは接合しないで、基板11,12を互いに重ねた状態で挟みつけてもよい。
これにより、圧力センサ80を配設するためのマイクロチップ1が完成する。
このようなマイクロチップ1を使用する際は、導入口121から試料RG1を、そして、導入口122からは試料RG2を、図示しないポンプやバルブにより所定の圧力でそれぞれ導入する。これにより、試料RG1,RG2は経路FA1,FA2をそれぞれ流れて、合流部JCTに向かう。そして、これらの試料RG1,RG2は、合流部JCTに達すると、混合流を形成し、そのまま経路FA3を流れて排出口125から排出される。
本実施形態では、マイクロチップ1内の流路FAにおいて、合流部JCT前段の経路FA1,FA2での試料RG1,RG2の各圧力と、合流部JCT後段の試料RG1,RG2の反応場であるFA3での圧力とを、圧力センサ80によってそれぞれ計測できる。
なお、試料RG1,RG2の混合に際しては、あえて乱流を生じさせて混合の効率を高めることも考えられる。
このような本実施形態によれば、次のような効果がある。
(1)溝14を形成した基板11と孔20を形成した他の基板12とを重ね合わせるだけで、溝14の内周面とこの溝14と向き合う基板12の板面との内側に流路FAが形成されるとともに、圧力センサ80配設用の孔20を容易に形成できる。
なお、マイクロチップ1には、圧力センサ80のほかに、温度センサ、化学センサ、電気化学センサ、加速度センサなど、試料RGの状態量を計測する各種のセンサを配設することができる。また、バルブ、ポンプ、マイクロチップの認識用IDタグなどのマイクロ流体デバイスをマイクロチップ1に組み込むことも可能である。
次に、本発明の第2実施形態について図4および図5を参照して説明する。
なお、以下の説明では、既に説明した実施形態と同様の構成については、同一符号を付して、説明を省略もしくは簡略化する。
これに対して、本実施形態では、マイクロチップを構成する2枚の基板を貫通する孔が形成されている点が第1実施形態とは相違する。これにより、マイクロチップに組み込まれる圧力センサも第1実施形態におけるものとは相違している。以下、具体的に説明する。
マイクロチップ2は、第1実施形態と同様の基板12と、この基板12と重ねられる基板21とを備えている。
基板21には、第1実施形態の基板11と同様の溝14が形成されているとともに、基板12に形成されている孔20と同じ位置および形状の孔20が溝14と連通するように形成されている。
ここで、基板12,21が互いに重ねられた状態では、基板12に形成された孔20と基板21に形成された孔20とが連続することにより、基板12,21を貫通するとともに溝14と連通する一つの貫通孔25が形成されている。本実施形態では、この貫通孔25に圧力センサ90が配設されている。
センサ部92は、詳しい図示を省略したが、第1実施形態で述べた圧力センサ80と同様に構成されている。
流路部91は、マイクロチップ2の基板21と同じ厚さで平面正方形状のガラス製基板であり、この流路部91の板面には、連結溝94が形成されている。
この連結溝94は、マイクロチップ2の溝14と同様の断面形状、および同様の寸法であって、流路部91の一辺に沿ってその板面を二分するように延びている。
そして、圧力センサ90がマイクロチップ2の貫通孔25に挿入されると、連結溝94が基板21の溝14と連結して、これらの溝14および連結溝94により、一つの連続した流路FAを構成する。
そして、マイクロチップ2に形成された貫通孔25に圧力センサ90を挿入した状態で貫通孔25の内周面に接合することにより、センサ一体型のマイクロチップ2が完成する。
(8)溝14を形成した基板21と基板12とを重ね合わせるだけで、基板12,21間に試料RGの流路が形成される。また、基板12,21にそれぞれ形成した孔20同士が連続することにより、圧力センサ90を試料RGに接触させることが可能な圧力センサ90配設用の貫通孔25が形成される。
これにより、マイクロチップ2内部における試料RGの流れに影響を及ぼすことなく圧力センサ90を配設可能となる。
次に、本発明の第3実施形態について図6および図7を参照して説明する。
前記各実施形態では、平面的な流路が形成されていたが、本実施形態では、立体的な流路が形成されている。
図6は、本実施形態におけるマイクロチップ3の分解斜視図である。
本実施形態のマイクロチップ3は、3枚の基板31,32,33が互いに重ねられた構造となっている。
中央の基板32の板面両面には、溝321,322が形成され、これらの溝321,322は、基板32を厚さ方向に貫通する孔323によって互いに連通している。
具体的に、基板32の一方の面には、長手方向に沿って延びる溝321が形成され、他方の面には、溝321の途中まで溝321に沿って延びる溝322が形成され、この溝322の端部は孔323を介して溝321の途中に連通されている。
図7は、溝321,322に沿った方向における断面図である。
本実施形態では、溝321,322および孔323により流路FAが構成され、孔323の部分が合流部JCTとなっている。この流路FAにおいても、前記実施形態と同様に、導入口121から合流部JCTまでが経路FA1であり、導入口122から合流部JCTまでが経路FA2であり、合流部JCTから排出口125までが経路FA3である。
基板33には、溝322の合流部JCTとは反対側の端部に相当する位置が穿孔されることにより、試料RG2の導入口122が形成されている。また、基板33においても、基板31の孔20と同様、溝322の開口に向かって貫通する孔20が合流部JCT近傍上流側に形成され、この孔20に圧力センサ80が配設されている。
なお、これらの基板31,33の厚さは、圧力センサ80が基板31,33の孔20にそれぞれ配設された際に、圧力センサ80が孔20に納まる寸法となっている。
(12)圧力センサ80が孔20の内部に納まって基板31,33表面から突出していないので、吸着冶具などを用いてマイクロチップ3をハンドリングする際に支障がない。
次に、本発明の第4実施形態について図8〜図10を参照して説明する。
本実施形態のマイクロチップ4は、内部に形成された流路の形状が前記各実施形態における流路とは異なり、このため、圧力センサが組み込まれている位置も前記各実施形態とは異なっている。本実施形態では、特に試料を相流状態とした後分岐する操作について説明する。
マイクロチップ4は、基板41,42が重ねられた構造であり、基本的に第1実施形態における基板11,12が重ねられた構造と同様であるが、マイクロチップ4内部の流路FAMの形状が第1実施形態のものとは相違し、基板41には、この流路FAMの形状に応じた溝44が形成されている。
流路FAMは、基板41の長手方向に沿って1往復半するように蛇行し、始端および終端に設けられた二股部分は、それぞれ試料RGの合流部JCTと分岐部BFRとなっている。すなわち、流路FAMは、合流部JCTにそれぞれ流れる経路FA1,FA2と、蛇行部分のFA3と、分岐部BFRから別れる経路FA4,FA5とを含んで構成されている。
また、基板41には、経路FA1,FA2に1つずつ、経路FA3に2つ、経路FA4,FA5に1つずつ、圧力センサ80配設用の孔20が計6つ形成されている。
さらに、これらの孔20にそれぞれ配設される圧力センサ80を外部に接続するための結線用パターンCP1,CP2,CP3,CP4,CP5,CP6が半導体プロセスやスクリーン印刷技術により、基板41の表面に形成されている。この結線用パターンCP1〜CP6は、基板41の長手方向に沿った一方の辺に沿って等ピッチで並んでおり、並んだ箇所から各孔20の隣接位置までそれぞれ延びている。具体的に、結線用パターンCP1が経路FA1における孔20に向かって、結線用パターンCP2が経路FA2における孔20に向かって、結線用パターンCP3は経路FA3における合流部JCT寄りの孔20に向かってそれぞれ延びている。また、結線用パターンCP4は経路FA3における略中間地点の孔20に向かって延び、そして、結線用パターンCP5からピッチ一つ分おいて配置されている結線用パターンCP6が経路FA4における孔20に向かって延び、結線用パターンCP6は経路FA5における孔20に向かってそれぞれ延びている。
なお、本実施形態は、特に、マイクロチップにおけるセンサの配設位置について説明するためのものであり、第2実施形態における圧力センサ90、およびこの圧力センサ90が配設される貫通孔が形成されたマイクロチップを採用した場合でも、以下に説明する作用効果と同様の作用効果を奏する。
本実施形態の試料RGとしては、例えば、気体と液体、油と水など、成分が互いに異なる試料RG1と試料RG2とが用いられている。
図9(A)に示すように、試料RG1と試料RG2とが導入口121,122からそれぞれ導入され、これらの試料RG1,RG2は、経路FA1,FA2を合流部JCTに向かってそれぞれ流れ、合流部JCTで相分離した相流となって経路FA3を流れる。そして、分岐部BFRにおいて再び、試料RG1と試料RG2のそれぞれの流れに分かれて、排出口125,126からそれぞれ排出される。
この検出回路200は、マイクロチップ4に試料RG1,RG2が導入される際には、バルブVLに信号を送り、試料RG1,RG2に所定の圧力を付与する。そして、各圧力センサ90から試料RG1あるいは試料RG2の圧力を受け取るたびに、演算部220にこの圧力値と所定の圧力値とを比較演算させ、この演算結果に応じて試料RG1,RG2の各圧力を増減する信号をバルブ指示部210に送信する。これにより、図9(A)に示すように、試料RG1,RG2を流路FA3において所定の分圧により相分離した相流状態に保ち、分岐部BFRにおいても、試料RG1,RG2を目論見どおりに分岐させることができる。
(14)上述のように、合流部JCTおよび分岐部BFRを有する流路FAMにおいて、6つの圧力センサ80を設けたことにより、各圧力センサ80の計測値に基づいて試料RG1、RG2における圧力変動や分圧状態が適切に制御される。これにより、各試料RG1,RG2による相流を相分離した状態に安定化させることができ、また、この相流を容易に分岐させることができる。
また、圧力センサ80の配設時にセンサ検出回路を含めて取り付ける必要がないことから、マイクロチップ4が規格化されたものであって大きさに制約がある場合でも、多数のセンサやその他のマイクロ流体デバイスをマイクロチップに搭載できる。
さらに、圧力センサ80配設のために長い配線を取り回すことも不要となるので、マイクロチップ4の可搬性が向上し、マイクロチップの交換も容易に行える。
次に、本発明の第5実施形態について説明する。
本実施形態は、複数の経路における試料の圧力差を用いて流体制御を実施する点が第4実施形態とは相違する。
マイクロチップ5の内部に形成された流路FAMMは、第4実施形態における流路FAMと同様に、長手方向に沿って一往復半するように蛇行し、流路FAMMの両端はそれぞれ二股に分かれていて、これらはそれぞれ試料RGの合流部JCTと分岐部BFRとなっている。なお、本実施形態では、合流部JCTおよび分岐部BFRの二股部分が流路FAMMの端部に向かってそれぞれ平行に延びている形状となっている。
また、本実施形態の流路FAMMは、蛇行する途中に合流部JCTSを有している。このような流路FAMMは、合流部JCTにそれぞれ流れる経路FA1とFA2と、蛇行部分のFA3と、分岐部BFRからそれぞれ流れる経路FA4,FA5と、もう一つの合流部JCTSに向かって流れる経路FA6を含んで構成されている。
また、基板51には、経路FA1,FA2に試料RGを導入する導入口121,122と、経路FA4,FA5から試料RGを排出する排出口125,126と、経路FA6に試料RGを導入する導入口128とが形成されている。
一方、基板52には、センサ配設用の平面視矩形状の孔30が3つ形成されている。具体的に、導入口121,122と合流部JCTとの間に、孔30が経路FA1とFA2とに跨るように形成されている。また、合流部JCTSと重なる位置で、かつ経路FA3と経路FA6とに跨るように別の孔30が形成され、さらに、分岐部BFRと排出口125,126との間には、経路FA3とFA4とに跨るようにもう一つの孔30が形成されている。
なお、図示を省略したが、これらの孔30の近傍には、第4実施形態の結線用パターンCP1〜CP6などと同様のパターンが配置されており、孔30に配設された圧力センサ100の計測値は検出回路に取り出されている。
本実施形態では、第4実施形態と同様の検出回路によってフィードバック処理を実施しているが、このフィードバック処理では、圧力センサ100により得られる複数経路における圧力差が用いられている。
具体的には、検出回路の演算部では、各圧力センサ100から受け取った圧力差が所定の圧力差と比較演算され、この演算結果に基いて試料RG1,RG2,RG3の各圧力を増減する信号がバルブ指示部に送信される。これにより、試料RG1,RG2による相流、あるいは試料RG2,RG3による混合流の安定化が図られる。試料RG2,RG3による混合流においては、試料RG2,RG3の混合比率が一定となるので、試料RG1と試料RG2,RG3との相流状態も安定化し、分岐部BFRにおいて、試料RG1と試料RG2,RG3とを目論見どおりに分岐させることができる。
(17)合流部JCTの前段や分岐部BFRの後段で複数経路を流れる試料RG1、RG2,RG3相互の差圧が用いられるので、圧力センサ100に個体差などがあっても、各試料RGの圧力バランスが正確に測定され、これに基いて流路FAMM内の圧力変動や分圧状態を適切に制御できる。
次に、本発明の第6実施形態について図12〜図15を参照して説明する。
本実施形態は、第5実施形態と略同様のマイクロチップに第2実施形態における流路一体型の圧力センサと同タイプのセンサを組み込んでセンサ一体型のマイクロチップとし、
さらにセンサの構成を第5実施形態と同様に複数経路における試料の圧力差を計測するものとした。
この圧力センサ110は、板部材であるガラス製のブロック112およびセンサ部111による積層体となっている。
センサ部111には、平面視略Y字状の連結溝114が形成されている。この連結溝114は、圧力センサ110がマイクロチップ6に配設されるとマイクロチップ6側の溝54と連結するので、連結溝114の二股部分は、流路FAにおける経路FA3,FA6をそれぞれ構成することになる。
検出部115は、矩形平板状の可動部材であって、連結溝114の二股部分の間で長辺端面側の基端部のみが連結溝114の底部に取り付けられ、一方の板面が二股部分の経路FA3における試料RG1,RG2に接触し、他方の板面が経路FA6における試料RG3に接触するように設けられている。
この検出部115の基端部には、歪ゲージ、ピエゾ素子、振動子などの検出素子115Aが設けられている。
圧力センサ130では、流路部131に2本の連結溝134が略平行に並んでおり、これらの連結溝134の間に検出部135が形成されている。
また、圧力センサ130においても同様に、経路FA1,FA2間、あるいは経路FA4,FA5間における各試料RGの圧力に応じて検出部135が各経路の境界部分で回動し、検出素子135Aの信号が検出回路で検出されている。
また、圧力センサ130によって得られる経路FA1,FA2間あるいは経路FA4,FA5間の差圧に基いて、合流部JCTSにおける合流、あるいは分岐部BFRにおける分岐が所望の状態に制御される。
(18)試料RGの合流部JCTSが圧力センサ110内部に形成され、また合流部JCTや分岐部BFR近傍の複数経路が圧力センサ130内部に形成されていることにより、基板に形成した合流部あるいは分岐部近傍にセンサを配設する場合よりも、合流部JCT,JCTSや分岐部BFRが占める寸法を小さくできる。これにより、面積に制約がある規格化されたマイクロチップを使用する場合でも、複雑かつ微細な流路FAMMを実現できる。
次に、本発明の第7実施形態について説明する。
本実施形態は、複数経路における流体の圧力差を得るための構成として、第6実施形態における圧力センサ110と置換可能な他の構成の圧力センサを示すものである。
圧力センサ140は、流路FAにおける合流部JCTSに配置され、流路部141における連結溝144、および検出部145以外は第6実施形態における圧力センサ110の構成と略同様である。
圧力センサ140の流路部141には、平面視Y字状の連結溝144が形成されている。この連結溝144の二股部分である経路FA3,FA6が合わさる二股の根元部分、すなわち連結溝144の内側側面には、矩形平板状の検出部145の短辺端面側が取り付けられている。そして、検出部145の一方の板面が経路FA3における試料RG1,RG2に接触し、他方の板面が経路FA6における試料RG3に接触するように設けられている。連結溝144に取り付けられている検出部145の基端部には、歪ゲージ、ピエゾ素子、振動子などの検出素子145Aが設けられている。
(20)複数の経路FA3,FA6の試料RG1,2および試料RG3が合わさる合流部JCTSでこれらの試料RG1,RG2,RG3の圧力差を直接検出できるので、合流部JCTSの前段や後段で各試料RGの圧力を検出する場合と比べて、合流操作をより適切に実施できる。
本発明は、前述の各実施形態に限定されるものではなく、以下に示すような変形や改良をも含むものである。
また、これらの結線用パターンを別途形成したシートを貼り付けてもよい。
そして、第1実施形態などでは孔20の形状は平面視正方形であったが、この正方形の四隅部分に連結する小孔をそれぞれ穿孔して、正方形四隅のアールを排除することにより、立方体形状の圧力センサ80を容易かつ確実に配設できる。なお、センサが配設される孔の形状は、このような平面視正方形状に限らず、円形状やその他の形状であっても勿論よい。
11,12,21,31,32,33,41,42,51,52・・・基板
14,44,54,321,322・・・ 溝
20,30・・・ 孔
25,35・・・ 貫通孔
80,90,100,110,130・・・ 圧力センサ
91,131・・・ 流路部
92・・・ センサ部(本体)
94,114,124,134・・・ 連結溝
111・・・ センサ部
112・・・ ブロック(蓋部)
115,125,135・・・ 検出部
121,122,128・・・ 導入口
125,126・・・ 排出口
135・・・ 検出部(センサ部本体を構成する)
200・・・ 検出回路(制御装置)
BFR・・・ 分岐部
FA,FAM,FAMM・・・ 流路
FA1,FA2,FA3,FA4,FA5,FA6・・・経路
JCT,JCTS・・・ 合流部
RG,RG1,RG2,RG3・・・ 試料(流体)
Claims (11)
- 互いに重ねられる複数の基板を備え、これらの基板のうち互いに重ねられる一方の基板の板面と他方の基板の板面から窪んで形成される溝とから流路が構成されたマイクロチップを有し、
前記一方の基板には、前記流路における流体の状態を検出するセンサを配設するために、前記溝の開口に向かって貫通し、かつ、平面的に見た際に前記流路の幅方向における前記溝の寸法よりも大きい孔が形成され、前記孔に前記センサが組み込まれ、前記センサの前記流路に面する面が前記一方の基板の板面と面一となることを特徴とするセンサ一体型マイクロチップ。 - 請求項1に記載のセンサ一体型マイクロチップにおいて、
前記孔が形成される基板の厚さは、前記孔に配設された状態の前記センサの高さよりも大きいことを特徴とするセンサ一体型マイクロチップ。 - 請求項1または請求項2に記載のセンサ一体型マイクロチップにおいて、
前記基板には、前記流体を前記流路に導入する複数の導入口と、前記流路から前記流体を排出する排出口とが前記溝と連通するようにそれぞれ形成され、
前記流路は、前記複数の導入口から前記流体が複数の経路に沿ってそれぞれ流入する合流部を有し、
前記孔は、前記流路において前記導入口と前記合流部との間に設けられている
ことを特徴とするセンサ一体型マイクロチップ。 - 請求項1から請求項3のいずれかに記載のセンサ一体型マイクロチップにおいて、
前記基板には、前記流体を前記流路に導入する導入口と、前記流路から前記流体を排出する複数の排出口とが前記溝と連通するようにそれぞれ形成され、
前記流路は、前記流体が前記複数の排出口へと複数の経路に分かれて流れる分岐部を有し、
前記孔は、前記流路において前記分岐部と前記排出口との間に設けられていることを特徴とするセンサ一体型マイクロチップ。 - 請求項1から請求項4のいずれかに記載のセンサ一体型マイクロチップにおいて、
前記センサは、前記流体の圧力を検出する圧力センサである
ことを特徴とするセンサ一体型マイクロチップ。 - 請求項5に記載のセンサ一体型マイクロチップにおいて、
前記圧力センサは、前記流路における複数の経路にそれぞれ配置され流体の圧力差を検出していることを特徴とするセンサ一体型マイクロチップ。 - 互いに重ねられる複数の基板を備え、これらの基板のうち互いに重ねられる一方の基板の板面と他方の基板の板面から窪んで形成される溝とから流路が構成されたマイクロチップを有し、
前記互いに重ねられた複数の基板を貫通した貫通孔に、前記溝と連結して前記流路を構成する流路ピースが配設され、
前記流路ピースは、前記溝と連結する連結溝に設けられたセンサ部と、このセンサ部の前記連結溝が形成された側に重ねられる板部材とを有し、
前記センサ部には、前記連結溝の内部に配置され流体の状態を検出するセンサ部本体が設けられていることを特徴とするセンサ一体型マイクロチップ。 - 請求項7に記載のセンサ一体型マイクロチップにおいて、
前記流路は、前記流体がそれぞれ流入する合流部、および/または、前記流体が分かれて流れる分岐部を有し、
前記合流部および/または前記分岐部は、前記連結溝により構成され、
前記センサ部本体は、前記合流部近傍および/または前記分岐部近傍に配置されていることを特徴とするセンサ一体型マイクロチップ。 - 請求項7または請求項8に記載のセンサ一体型マイクロチップにおいて、
前記センサ部には、前記連結溝により構成される複数の経路が並んで延びており、
前記センサ部本体は、前記流体の圧力差を検出する検出部を有し、
この検出部は、前記複数の経路同士の境界部分に、かつこの境界部分両側の流体のいずれにも接触するように設けられていることを特徴とするセンサ一体型マイクロチップ。 - 請求項7から請求項9のいずれかに記載のセンサ一体型マイクロチップにおいて、
前記センサ部には、前記連結溝により構成される前記複数の経路が互いに異なる方向から延びて合流しており、
前記センサ部本体は、前記流体の圧力差を検出する検出部を有し、
この検出部は、前記複数の経路の流体が合わさる部分に、かつこれらの流体のいずれにも接触するように設けられていることを特徴とするセンサ一体型マイクロチップ。 - 請求項1から請求項10のいずれかに記載のセンサ一体型マイクロチップと、
前記センサまたは前記センサ部により検出された流体の状態量についてフィードバック制御する制御装置とを備えたことを特徴とするマイクロチップシステム。
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