JP4620933B2 - 情報表示装置 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、2次元的に配列した複数の画素を有する表示素子上の画像を表示させる表示装置に関する。詳しくは、画素ずらし手段を用いて精細な画像を表示する技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
液晶ライトバルブやLCoS(Liquid Cristal on Silicon)などの空間光変調素子、広義には異なる色を発する複数の画素を配列してなる表示素子、を有する表示装置、具体的にはプロジェクタ、ヘッドマウントディスプレイ、などにおいて、表示素子の画素数は年々増加している。
図9は表示素子の一例を示す模式図である。
図10は拡大投影の概念を説明するための図である。
両図において符号1は表示素子、2はスクリーン上の投影像、X、Y、Zは座標軸をそれぞれ示す。
【0003】
光の進行方向をZ軸にとると、表示素子1はXY方向に2次元的に画素が配列されている。図との対応で、便宜上X軸方向を水平方向、Y軸方向を垂直方向と表現することがあるが、これは必ずしも実使用時における水平方向等を意味するものではない。この座標の取り方は以後のすべての説明において同様とする。
表示素子としては、透過型、反射型、あるいは自己発光型などがある。表示素子とスクリーンの間には拡大投影手段、画素ずらし手段などが配置される。また必要に応じて照明手段もそれらの近傍に配置される。
画素数の増大に付随して画素サイズは小さくなり画素の駆動機構も微細化、複雑化する傾向にありコストアップするという課題がある。また画素サイズが小さくなると有効画素面積比が低下して光利用効率が下がる場合がある。
【0004】
一方、表示素子のもつ画素数は増やさずに、表示される実効的な画素数を増加させる技術として、画素ずらし技術、ウォブリング技術などがある。これらの技術は、表示素子の画素を表示面上で画素サイズよりも小さい距離だけずらした像とずらさない像を、あるいはずらした像同士を、同時に重ねるか、あるいは、時分割的に重ねあわせて表示するものである。表示される画素の位置を時分割的に変えながら表示させる場合には第一の表示位置の像が残像効果で見えているうちに第2の表示位置に像を表示させることで、見かけ上2つの画素があるように見せることができる(例えば特許文献1 参照。)。あるいは複数の表示素子を用いて、各々の画素位置がわずかにずれるように重ねて表示する方法もある。画素をずらす距離としては画素サイズの1/2もしくは1/4なる例がある。
【0005】
画素ずらしを行う工程は、第1の位置に画素の像を表示させる工程、第2の位置に画素の像を移動させる工程、第2の位置に画素の像を表示させる工程、第一の位置に画素の像を移動させる工程から構成される。この場合、移動して表示される画素は2つであり、画素によって形成される画像フレーム数が通常の2倍になる。
【0006】
上記の表示原理の応用として、画素を縦横2方向に移動させて、表示される画素数を4つにすることもできることは容易に理解できる。この場合においては、画素ずらし手段は画素を縦横2方向にシフトさせる手段になる。この場合、表示される画像フレーム数は通常の4倍になり、表示される情報量も4倍になる。
【0007】
2方向にシフトさせるには、光軸をZとすると、±X方向にシフトさせる素子と±Y方向にシフトさせる素子を併用すればよい。このとき表示素子の縦横の配列方向もXY方向に一致させておけば画素は±Xおよび±Yの2方向にシフトする。
【0008】
図11ないし15は画素ずらしの一例を説明するための図である。
図11は表示素子の有する画素数で投影した場合のスクリーン上の画素の配置を模式的に示している。符号3は1つの画素を示す。
図12は1つの画素3を4分割して表示する場合の分割の状態を示す図である。符号4(4a〜4d)はサブ画素を示す。サブ画素4がそれぞれの位置に対応した画像情報を持っていれば、図11で表示される画像よりもきめの細かい画像が表示される。
図13はすべての画素3がサブ画素4で表示された状態を示す図である。サブ画素4は縦横両方向とも、画素3の画素ピッチの2分の1になるよう構成されるが、分割数が変われば画素ピッチに対する割合も変わる。
【0009】
元々、図11に示す画素数しかない表示素子を用いて、4倍の画素数を表示するのであるから、時分割手法を用いるしかない。
図14は時分割で4回画像を表示して、スクリーン上で合成する手順を示す一例の図である。1回目の画像表示では同図(a)に示すように、各画素3に対応するサブ画素4aのみがスクリーン上に離散的に表示される。この状態で所定時間経過して後、同図(b)に示すように、サブ画素4bのみが離散的に表示される。以下同様に、サブ画素4cのみの画像、サブ画素4dのみの画像が順次表示される。この4つの画像の切換が人の目の残像現象の続く時間内に行われる。そして、4回の離散的画像が合成された結果は、全体として隙間も重複もない1枚の画像として認識できるようになる。
【0010】
図11に示す表示素子は隣接する画素が特に離散的に作られているわけではないので、サブ画素を形成するために一工夫している。
図15は表示素子の前面にマイクロレンズアレイを設けた図である。
同図において符号5は表示画素、5’はマイクロレンズによる表示画素5の縮小像、6はマイクロレンズアレイをそれぞれ示す。
互いにわずかな間隔を置いて設けられた表示画素5a〜5eは、レンズ素子がそれぞれに対応するように設けられたマイクロレンズアレイ6によって、空中に画素ピッチの2分の1の縮小像5a’〜5e’として結像し、これがそのあとに設けられた投影手段によってスクリーンに離散的画像として投影される。ただし、これを単に投影しただけでは、何回に分けて投影しても毎回同じ位置に投影されてしまうので、ここに画素ずらしの必要性が生ずる。
【0011】
画素像の表示位置をずらす画素ずらし手段のなかに液晶を用いた手段がある。より詳細には、液晶中を通過する光の光軸を偏向(狭義にはシフト)して、表示素子上の画素の像を投射面に表示させる。液晶の複屈折性を用いると、液晶の配向角度を光軸と傾ける、すなわち、液晶分子の主軸と光軸を傾けて配置することによって、異常光線成分は複屈折作用を受ける。また、液晶分子の配向角度は、たとえば、液晶層に対して印加する電圧によってスイッチングできる。よって、液晶および液晶への電圧印加手段をもつ素子によって、液晶を通過する光の光軸シフトをスイッチング動作できる。以上の原理を用いた画素ずらし手段は既に知られるところのものである。
【0012】
図16〜20は液晶を用いた画素ずらし手段を説明するための図である。
同図において符号7は画素ずらし素子、8は液晶分子、9は常光線の光路、10は異常光線の光路、Lは入射光線をそれぞれ示す。
画素ずらし素子7(簡略化のため以下単に液晶板と呼ぶ)のXY平面内に任意の方向から電界をかけると、液晶分子8は図16に模式的に示した円錐の母線のいずれかの方向に傾斜した状態で位置する。
【0013】
いま、Xの正方向に或る大きさの電界をかけると、図17に断面で示すように、液晶分子8は右上がりの状態に配列が揃う。このとき、この液晶板7は光学的に異方性となり、複屈折性を有するようになる。この状態で左方向から通常の光線Lを入射させると、液晶板7にとっての常光線は何の作用も受けずそのまま光路9に沿って直進する。これに対し、異常光線の方は液晶板7によって屈折を受け、光路10aに沿って出射し、光路9と距離sだけ離れた上方、すなわち、Yの正方向にシフトされた状態になる。
ここで電界の極性を反転し、Xの負方向に電界をかけると、図18に示すように、液晶の分子8の配列が逆転して右下がりの状態に配列が揃う。その結果入射光Lの異常光線は光路10bに沿って出射し、光路9に対し、距離sだけ下方、すなわち、Yの負方向にシフトされた状態となる。
【0014】
このように、X方向に或る大きさの電界をかけて、その極性を逆転させることによって、異常光線に対し、Y方向に距離2sだけ出射位置の違いを与えることができる。距離2sが画素3のサイズの一辺の丁度2分の1になるように、電界の大きさと液晶の特性を合わせ、液晶板にとって異常光線のみになるよう入射光線Lを調整してやれば、図14(a)から(b)、(c)から(d)に示したような画素ずらしを達成することができる。このような結果が得られる電界を、以後所定の電界と呼ぶ。同図(b)から(c)、(d)から(a)へのシフトは、前記液晶板を透過した後の光束を第2の液晶板に入射させ、それにY方向の所定の電界をかけ、光束をX方向にシフトさせればよい。ただし、その入射光が第2の液晶板にとって異常光線となるようにしておく必要がある。
【0015】
図19は図14に示したような、2次元的画素シフトを行うための液晶板の構成の模式図である。
同図において符号11は第1の画素ずらし素子、12はλ/2波長板、13は第2の画素ずらし素子、Aは入射光の偏光方向をそれぞれ示す。
図15に示すような手法で形成された離散的な縮小像からなる光束は、像形性の前後いずれかの位置で、矢印Aで示すように、Y方向の直線偏光に整えられ、第1の画素ずらし素子11(以下単に液晶板11と称す。その他も同様)に入射する。ここで図示省略の電極に与えられたX方向の所定の電界により、光束の偏光方向が異常光線に相当するため、光束はY方向にシフトされる。その直後に設けられたλ/2波長板12によって光束の偏光方向が90°回転させられ、この光束が、Y方向に所定の電界をかけられた第2の液晶板13にとって異常光線になる。したがって、光束はX方向にシフトを受け、結果的に画素3を4分割したいずれかの位置に投影されることになる。
【0016】
図20は図19に示した2つの液晶板に与える電界のタイミングチャートである。
同図において符号V0は液晶板に所定の電界を与えるために電極に与える電位である。
第1の液晶板にはX方向に電界が与えられ、光束はY方向にシフトされる。ここでは正の電位を与えたとき、Yの正方向にシフトするよう関係づけられている。すなわち、画像は正の電位で上に、負の電位で下に変位する。
第2の液晶板にはY方向に電界が与えられ、光束はX方向にシフトされる。ここでは正の電位を与えたとき、Xの正方向にシフトするよう関係づけられている。すなわち、画像は正の電位で右に、負の電位で左に変位する。拡大投影されたスクリーン上では、通常上下左右が反転するが、煩雑になるので、スクリーン上の画像も表示素子上の画像と同じ関係で表示する。
【0017】
画素ずらし表示する場合には、第1の位置に表示される画像の残像効果が持続している間に画素を移動させて第2の位置に画像を表示する必要がある。また、動画再生表示の場合においては1つの画面フレームの表示周波数を60Hzないしそれ以上にすることが一般的である。したがって液晶配向を比較的高速に移動させる必要がある。印加電圧に対する応答性が速い液晶としては強誘電性液晶が挙げられる。
液晶の主軸が液晶層の厚さ方向に配向する垂直配向型強誘電性液晶は画素ずらしを高速に行うには好適な材料として知られるところである。
【0018】
画素ずらし表示をする場合に移動中の画素の像が表示されたままの状態だと画素がつながってみえる。たとえば表示する画像情報差が大きい場合には隣接画素の像がつながっていない方が画素間の分離が良好で分解能の高い表示性能が得られる。そこで、特許文献1には移動中の画素の像が表示されないようにする発明が開示されている。同特許は、厳密には特にデルタ配列された画素を有する液晶パネルにおける課題を主としているが、移動中の画素が表示されないようにするという概念に触れている。
【0019】
これとは別に、表示素子の画素が表示する画像は1フレーム毎にフレームメモリから読み込まれ更新されるのが一般的である。一般に表示素子のフレーム更新において全ての画素を一斉に更新するには高速性が要求されるので、画素列からなる走査線単位で線順次的に更新されることが多い。画素ずらしする場合においては1フレーム中に複数回画素ずらしをすることになる。画素ずらしして表示するフレームをサブフレームと称すれば、サブフレームの更新に要する速度はこれより更に速いので、全面一斉更新はより難しくなり、線順次的な更新になる可能性が高い。
【0020】
ここで問題になるのは、画素ずらしするタイミングとサブフレームの画像更新タイミングの関係である。
図21は、図16〜18で示したような液晶による画素ずらし素子の作動を示すタイミングチャートである。
電極に対し、一方向に電位がかけられて−sのシフトが生じている状態から、時刻t1において逆極性の電位に切り換えられたとき、シフト量が+sに変化するが、変化が完了するのは時刻t2であり、この変化にわずかではあるがΔt=t2−t1の時間を要する。
【0021】
図22〜24は画像表示と画素ずらしのタイミングにおける問題点を説明するための図である。
これらの図の符号Tは時刻を表し、縦軸は表示素子の上下位置、横軸は時間をそれぞれ表す。
線図T1・T3は最上位の画素列が画像更新を開始してから最下位の画素列が画像更新を開始するまでの、線順次的な画像開始タイミングを示す線である。詳細に示すならT1・T3は直線ではなく、画素列毎に微小な遅延時間を与えているので、画素列ごとの階段状の折れ線で示すべきであるが、画素列の数が大きく微細な階段になるので、便宜上直線で示してある。
【0022】
画像更新期間中において表示階調をゼロレベルにするように表示素子を変調制御し、画像更新期間内に画素ずらしを完了させれば移動する画素の像は表示されない。
線図T2・T4はT1・T3に対応して、画像更新が終了するタイミングを示す。四辺形T1・T3・T4・T2に含まれる領域では画像が表示されていない。時刻T1からT3の間は部分的に画像表示が行われているが、時刻T3からT2までの間は、スクリーン上に何も画像が表示されていない時間帯である。
時刻T5〜T6は画素ずらしを行っている時間帯であり、その時間幅は前述のΔtに等しい。したがって、時間幅Δt=T6−T5が、時間幅T2−T3より短ければ、画像更新中に一斉に画素ずらしを行えばよい。
【0023】
画像更新期間は画像を表示しないので、表示機能にとってはいわば無駄な時間であるから極力短くしなければならない。
図23は画像更新時間を最も短くした場合を示す図である。
画像が表示されていない間に一斉に画素ずらしを行う限り、前記時間幅T3−T2は時間幅T6−T5より短くすることはできない。すなわち、画素ずらし期間は最終走査線の更新開始から先頭走査線の更新終了の間に行わなければならない。つまり、画素ずらしに要する時間よりも表示素子全体の更新時間を長くとらなければならなくなる。
【0024】
図24は画像更新期間と画素ずらしに要する時間がほぼ等しい場合を示した線図である。
表示素子を液晶で構成した場合、画素ずらし素子とほぼ同程度の時間で画像更新ができるはずであるが、同図を見れば明らかなように、画像更新期間中のどのタイミングで画素ずらしを行っても、部分的に画像表示中に画素ずらしが生じてしまう。
これらの点については特許文献1では触れられていない。
【0025】
走査線の垂直走査に同期するように画素位置をシフトさせる方法に触れている例がある(例えば、特許文献2 参照。)。この方法によるとフレーム更新された走査線領域のみが偏光作用を受けて画素がずらされて表示され、1フレーム前の状態の走査線領域は偏光作用を受けないので画素がずれない、というものである。しかしフレーム更新期間中の動作作用における上記課題には触れられていない。また、同特許の開示技術を以って2方向に画素ずらしすることは難しい。
【0026】
先に述べた垂直配向型強誘電性液晶を用いた画素ずらし手段の公知構成(例えば、特願2002−261339)では、画素ずらしする方向が光軸Zに対しX軸方向およびY軸方向である手段を併用して2方向の画素ずらしを実現しているが、この構成では2方向のうちの一方向にのみ更新走査線移動方向に合わせて、画素ずらし領域を移動させながら画素ずらしすることができる。残る一方向については更新走査線移動方向と画素ずらし領域を移動させる方向が直交してしまい更新走査と画素ずらしを同期させることはできない。その結果、その方向にずらす画素が表示されないようにするためには、更新時間を長くするか、更新完了してから次フレームを表示するまでに待機時間をとらざるを得ない。
【0027】
表示素子の走査方向を必要に応じて上下方向から左右方向へ、あるいはその逆へ切り替えできる表示装置が提案されている(例えば、特許文献3 参照。)。この切り換えは、表示素子の設置方向や使用状況により、自動または使用者の意志により行うものであって、利用者に対し常に正立の画像を与えようとするものである。したがって、サブフレーム毎に走査方向を切り換える用途は示されていない。
【0028】
【特許文献1】
特開平9−15548号公報(第5頁、第2図)
【特許文献2】
特開平6−324320号公報(第10頁、第22、23図)
【特許文献3】
特開平10−268848号公報(第3頁、第1図)
【0029】
【発明が解決しようとする課題】
以上の問題を解決するため、本発明では、表示素子のおける画素列すなわち走査線の移動にともない、画素ずらしをする領域における画素ずらしのタイミングを、画素ずらしすべき領域の更新タイミングに合うようにする。表示エリア全体をみた場合に、表示素子の画像更新期間は線順次的に遅延しているが、画素ずらしするタイミングも同様に遅延させる。以上の動作を2方向の画素ずらしのいずれにおいても行えるようにする。そのようにすることによって、移動中の画素が表示されないようにするために要する時間を短くすることができ、それによって表示している時間を長くすることができる。その結果表示を明るくすることができる。同時に画像のぼけを少なくする。以上のような表示装置を実現することが本発明の目的である。
【0030】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明では、複数の画素を2次元の両方向に配列して該2次元の両方向のうちの1つの方向に走査するとともに前記2次元の両方向のうちの他の1つの方向に線順次に走査しながら画像情報により変調して線順次的に更新する表示素子と、該表示素子からの光束を透過させ、該光束を前記表示素子の前記他の1つの走査方向に一致した第1の走査方向にずらす第1の画素ずらし素子と、前記表示素子からの光束を透過させ、前記光束を前記表示素子の前記1つの走査方向に一致した第2の走査方向にずらす第2の画素ずらし素子と、前記第1の画素ずらし素子及び第2の画素ずらし素子に所定の電界をかけて前記第1の画素ずらし素子及び第2の画素ずらし素子を制御する制御装置とを有し、前記制御装置は、前記第1の画素ずらし素子を前記表示素子の前記他の1つの方向の線順次な走査に同期して前記光束を前記表示画面上の画素の間隔より小さい所定の間隔だけ前記第1の走査方向又はその逆の方向にずらすとともに、前記第2の画素ずらし素子を前記表示素子の前記1つの方向の走査に同期して前記光束を前記表示画面上の画素の間隔より小さい間隔だけ前記第2の走査方向又はその逆の方向にずらして前記第1の画素ずらし素子及び第2の画素ずらし素子のずらし位置を走査することで、前記表示画面上の画素をその画素ピッチより小さい複数のサブ画素に分割して該複数のサブ画素を切り換えて表示し、前記第1の画素ずらし素子および前記第2の画素ずらし素子はそれぞれ前記表示素子の複数の画素列からの光束を同じ画素ずらし位置で画素ずらしするチャンネルを複数有し、前記第1の画素ずらし素子および前記第2の画素ずらし素子の隣接するチャンネル間の動作開始時間は、前記チャンネルに対応する前記表示素子の前記複数の画素列の遅延時間の和に等しい時間だけ遅延させることを特徴とする。
【0031】
請求項2の発明では、請求項1に記載の情報表示装置において、前記第1の画素ずらし素子および前記第2の画素ずらし素子は、前記所定の電界をかける方向線が前記走査の方向線と一致しており、前記光束は前記走査の方向線と直交する方向にシフトされることを特徴とする。
請求項3の発明では、請求項1または2に記載の情報表示装置において、前記第1の画素ずらし素子および前記第2の画素ずらし素子は、前記チャンネル単位で走査されることを特徴とする。
【0032】
請求項4の発明では、請求項3に記載の情報表示装置において、前記チャンネルの数は前記表示素子の2次元のそれぞれの方向における画素列数の整数分の1であることを特徴とする。
請求項5の発明では、請求項4に記載の情報表示装置において、前記遅延時間の和は前記表示素子の画素列に対する基本クロックを1つのチャンネルに対応する画素列数分合算したものであることを特徴とする。
【0033】
請求項6の発明では、請求項3ないし5のいずれか1つに記載の情報表示装置において、前記第1の画素ずらし素子および前記第2の画素ずらし素子の1つの前記チャンネルに対応する前記表示素子の画素列数は、nを正の整数として2 n 列であり、前記第1の画素ずらし素子および前記第2の画素ずらし素子の隣接するチャンネル間の動作開始時間は、前記表示素子の画素列に対する基本クロックをn段分周したクロック分遅延させることを特徴とする。
請求項7の発明では、請求項1ないし6のいずれか1つに記載の情報表示装置において、前記表示画面上の画素のそれぞれは、前記2つの走査方向のいずれにおいても、2以上の前記サブ画素に分割されることを特徴とする。
【0034】
【発明の実施の形態】
以下に実施の形態に従って本発明を説明する。
図1は本発明を適用する画像表示装置の一例を示す図である。
同図において符号101は照明用光源、102は赤外線除去フィルタ、103は照度分布均一化手段(フライアイレンズアレイ、ロッドインテグレータなど)、104は偏光板、105は偏光ビームスプリッタ、106はダイクロイックプリズム、107R、107G、107Bは液晶からなる三原色別の反射型画像表示素子、108は第1の画素ずらし素子としての液晶板、109はλ/2波長板、110は第2の画素ずらし素子としての液晶板、111は拡大投影手段、112はスクリーンをそれぞれ示す。
両画素ずらし素子は図示しない制御装置に接続され、図19、20で説明したような動作を行う。
【0035】
照明用光源101から出て赤外線除去フィルタで熱戦を除去された白色光束は、照度均一化手段103でほぼ均等な強度分布をもった光束になり、偏光板104で直線偏光に整えられる。偏光光束は偏光ビームスプリッタ105にはいると、その偏光成分のみが反射面で反射され、ダイクロイックプリズム106に入射する。該プリズム内に設けられた分光ミラーにより、白色光束の内、赤色成分は上方に反射され、青色成分は下方に反射される。どちらのミラーにも反射されなかった緑色成分はそのまま直進する。
【0036】
分光されたそれぞれの光束は対応する色の反射型画像表示素子(以下単に表示素子と呼ぶ)107R、107G、107Bに入射し、それぞれの色情報によって変調を受けた後反射される。反射光は入射光に対して偏光方向が90°回転されるようになっている。
反射光はダイクロイックプリズムにより、来た光路を逆にたどるが、偏光ビームスプリッタに至ると、今度は偏光方向が90°変わっているので反射されずそのまま透過し、第1の液晶板108に入射する。このとき入射光の偏光方向は第1の液晶板108にとって異常光線となるように設定されている。このように、液晶板には常に異常光線のみが入射するように設定されるので、以後は液晶板に入射する異常光線からなる光束のことを単に光束と呼ぶ。
【0037】
第1の液晶板108、λ/2波長板109、第2の液晶板110の作用は図19、20で説明したとおりである。その結果スクリーン112には図14(a)〜(d)で示したような画像が、時系列で変化しながら投影表示される。
【0038】
次に、前記特願2002−261339に示された画素ずらし素子の説明をする。
図2ないし4は、本発明に用いる画素ずらし素子としての液晶板の一例を説明するための図である。図2(a)は断面模式図、同(b)は平面図、図3は動作説明図、図4は電極間の電位勾配を示すグラフである。
これらの図において符号201は液晶板、202は上基板、203は下基板、204は配向膜、205は垂直配向型強誘電性の液晶、206はスペーサ、207は制御装置、208は液晶板と制御装置を結ぶ配線、209は直列抵抗、210は電極板、211〜223は個別の帯状電極をそれぞれ示す。
図3において符号TRはスイッチング素子、Vは電位、X、Y、Zは座標軸をそれぞれ示す。図4において横軸は電極位置、縦軸は印加電圧をそれぞれ示す。
【0039】
液晶板201は、片面に電極板210と配向膜204が重ねて設けられた2枚の透明基板202、203を、配向膜204が互いに内側になるようスペーサ206を介して向き合わせて、間に液晶205を充填したものである。
座標軸を図のように設定し、Z軸方向を光の透過方向とした場合、電極板210はY軸方向に長い複数の透明な帯状電極(以下単に電極と呼ぶ)がX軸方向に等間隔で並んでいる。説明の都合上、電極の数は実際より少なく示している。透明基板202側と203側に設けられたそれぞれの電極は、相手側基板に対し上記等間隔のピッチの2分の1だけずらしてある。したがって、図2(b)の平面図において、X軸方向で左から右に電極の電極番号を211〜223と付与した場合、透明基板202側の電極はすべて奇数番に、透明基板203側の電極はすべて偶数番になる。
【0040】
図2(a)ではZ方向を誇張して描いてあるが、実際は電極211と電極212のZ方向はもっと近接している。ここで、電極211から電極212に向けて正の電界を印加すると、その電界は液晶205中ではほぼX方向に向く。電界の強さが液晶205の配向方向を変えるのに十分なレベル(以下所定レベルという)であれば、両電極間にある液晶205は特定の方向に配列が揃う。その結果、透過光束はY方向下方にシフトされる。このように、隣接した電極の間にある液晶領域を便宜上シフト領域と呼ぶ。
【0041】
図3は制御装置207の一部を詳細に示した図である。すべての電極にかける電位を直接制御することによって、すべてのシフト領域を個別に制御することもできるが、ここでは、幾つかのシフト領域を纏めて1つの制御単位として扱い、全体を複数の制御単位に分ける方法について説明する。
例えば、全体を4つの制御単位に分けるものとする。電極211〜214の間に含まれる3つのシフト領域をチャンネル1、次の3つのシフト領域をチャンネル2、以下同様にチャンネル3、チャンネル4とする。
【0042】
それぞれのチャンネル(以下Chと略称する)の両端の電極には、制御装置207から直接制御電位が与えられるが、中間にある電極には、制御装置207に内蔵される直列抵抗209により、両端の電極に与えられる電位差が分圧されて間接的に電位が与えられる。各電極間に挟まれる抵抗値を等しくしておけば、3つのシフト領域にかかる電界レベルはすべて等しくなる。
Chの両端の電極にかかる電位の電位差が逆転し、シフト領域にかかる電界の極性が反転した場合、中間に含まれる3つのシフト領域は個別の動作はせず、一斉にシフト方向が反転する。
なお、直列抵抗209は液晶板201側に設置することもできる。その場合、制御装置207と液晶板201を結ぶ配線208が簡略化できる。
【0043】
図3において、供給電圧V4は分圧回路により、基準の0レベルであるV0との間をV3、V2、V1に等分に4段に分割してある。各段における電位差は、液晶205に対する前記所定レベルの電界が与えられる大きさに設定されている。各段の間の電位差を便宜上、単位電圧Vuと呼ぶ。
スイッチング回路TR00〜TR04は電極211に与える電位を前記V0〜V4のいずれか1つに定める。
スイッチング回路TR40〜44は電極223に与える電位を前記V0〜V4のいずれか1つに定める。スイッチング回路TR10およびTR14は電極214に与える電位を最高電位のV4、最低電位のV0をそれぞれ与えられるように構成されていて、いずれか一方の電位を与えるか、どちらも与えないように制御される。電極217、電極220のそれぞれに接続されたスイッチング回路も同様の働きをする。
【0044】
一例として、電極214に最高電位V4が与えられたとする。このとき、電極217、220はスイッチング回路をともに切断しておき、特定の電位は与えない。電極211にはV3の電位、電極223にはV1の電位を与えるものとする。
Ch1のシフト領域は、電極211にかかる電位より、電極214にかかる電位の方が高いので、X軸方向に見た場合、負方向に単位電圧Vuによる電界がかかっている。
【0045】
Ch2〜Ch4のシフト領域は電極214にV4の電位、電極223にV1の電位が与えられている。すなわち、3つのChに対し、単位電圧Vuの3倍が与えられたことになり、両電極の間に挟まれる直列抵抗により、電極217には電位V3が、電極220には電位V2が与えられることになる。したがって、Ch2〜Ch4のシフト領域は、X軸方向に見た場合、すべて正方向に単位電圧Vuによる電界がかかる。
こうすることにより、各シフト領域にかかる電界レベルは絶対値がすべて等しくなる。
【0046】
この制御状態において、Z軸正方向に光束が入射すると、Ch1では光束がY軸正方向にシフトされ、Ch2〜Ch4では光束がY軸負方向にシフトされる。
この状態における各電極の電位を表したのが図4の実線のグラフである。同グラフにおいて、白丸印のプロットは、その電位が電極に直接与えられたことを示す。黒丸印のプロットは、分圧によりその電位が電極に間接的に与えられたことを示す。
電極間を結ぶグラフが右上がりのシフト領域は負方向の電界、右下がりのシフト領域は正方向の電界がかかっていることを示す。
【0047】
電極211を最高電位V4に設定し、かつ電極223を最低電位V0に設定し、さらに中間電極には特定の電位を与えないようにすれば、Ch1〜Ch4のすべてのシフト領域を透過する光束は下方にシフトされる。中間の電極214、217、220のいずれか1つを選択して最高電位V4を与え、その両側が互いに逆極性で、かつ、各Chに単位電圧Vuがかかるように、両端の電極211および223にかける電位を選べば、透過する光束は、選択した中間電極を境に、左側は上方に、右側は下方にシフトされる。
電極223を最高電位V4に設定し、かつ電極211を最低電位V0に設定し、さらに中間電極には特定の電位を与えないようにすれば、Ch1〜Ch4のすべてのシフト領域を透過する光束は上方にシフトされる。
【0048】
上記の制御の仕方は、最高電位V4を与える電極さえ決まれば、他の電極に与える電位は一義的に決まるので、以後の制御の説明では、最高電位V4を与える電極のみで制御の状態を代表するものとする。
最高電位V4を与える電極を、電極211、214、217、220、223と順次切り換えていくことを考える。このように選択された電極の位置を、その前後で画素ずらし方向が反転していることから、画素ずらし変更の位置と呼ぶ。例として前記したように、電極214が選択されている状態から電極217が選択された状態に切り替わった場合を説明する。
【0049】
この状態を図4の破線のグラフで示す。同グラフにおいて、三角印のプロットは、その電位が電極に直接与えられたことを示す。黒丸印のプロットは、分圧によりその電位が電極に間接的に与えられたことを示す。
この状態では、光束はCh1、Ch2においては上方に、Ch3、Ch4においては下方にシフトされる。すなわち、Ch2のみが電界方向が逆転し、下方シフトから上方シフトへと変化する。
このように、最高電位V4を与える電極の選択位置が右に移動するにつれ、その電極のすぐ左側に位置するChの電界方向が逆転して、光束のシフト方向が下方から上方へ逆転していく。
【0050】
これに対して、最低電位V0を与える電極の選択位置を右に移動させると、その電極のすぐ左側に位置するChの電界方向が逆転して、光束のシフト方向が上方から下方へとシフト方向が逆転していく。
電極の選択位置の移動のことを、表示素子の画像情報更新における走査になぞらえて、これも走査と呼ぶ。電界をかける方向には正負の極性があるが、極性を意識しないで単に水平方向のような意味に用いるときは電界の方向線と呼ぶ。走査方向、シフト方向などについても同様とする。
【0051】
図1における液晶板108、110はこのような構成の画素ずらし素子を用いるものとする。
表示素子107R、107G、107Bの走査方向と、第1の液晶板108の走査方向とは同方向になるよう設定されている。すなわち、図2に示すように電極の長手方向が上下方向になるよう液晶板を配置し、電極をCh単位で水平方向に走査する。3個の表示素子による1サブフレームのための水平走査の方向を一致させておき、その走査と同方向になるよう第1の液晶板108の走査をほぼ同期して行う。ただし、液晶板の走査はCh単位の走査であり、1つのChが表示素子の複数の走査線に対応している。この構成によって図14(a)から(b)に示すような画像シフトが行われる。
【0052】
図5は液晶板に与える信号のタイミングチャートである。同図(a)は第1の液晶板108に与える信号、同図(b)は第2の液晶板110に与える信号をそれぞれ示すチャートである。ただしここでは、Chは4以上あるものとして示した。
同図において、縦軸はCh単位で与えられる電圧であり、各Chには前述の単位電圧Vuが正負極性を換えて与えられる。横軸は時間をそれぞれ示す。時間Tuはサブフレームの周期に等しい。各Ch間の時間差、すなわち遅延時間δtは、1つのChが対応している表示素子の走査線数(画素列数)分の前記した遅延時間の和に等しくしてある。この遅延時間δtは、図3において選択電極を電極214に切り換えてから電極217に切り換える遅延時間に相当する。
表示素子の図示しない駆動回路には、画素列単位の走査を行うための基本クロック生成手段が設けられているので、この基本クロックを1Chに対応する画素列数分だけ合算して時間δtとすることができる。
【0053】
ここで問題になるのが、先に述べた第2の液晶板と表示素子の、走査方向不一致の問題である。そこで、本発明では、表示素子107R〜Bとして、特許文献3に示されるような、上下、左右いずれにも走査できる表示素子を用いる。そして、左右方向に画像シフトするサブフレームの情報更新に対応させるため、第2の液晶板の電極が水平方向になるよう配置して、電極の走査を上下方向に行う。これに対応するように、表示素子も上下方向に走査方向を一致させて走査する。こうすることによって、図14(b)から(c)に示すような画像シフトが最短時間で行える。
【0054】
図5(b)に示すように、Ch1の電位が正から負に切り替わるタイミングは第1の液晶板の同じ切り替わりのタイミングから時間Tuだけ遅らせてある。また、Ch2の切り替わりタイミングは、第1の液晶板におけるのと同様、Ch1に対してδtだけ遅延している。
【0055】
Tuとδtの関係は1つのChに対応する表示素子の画素列数と表示時間によって決まる。例えば、画素列数が1024列であったとし、8列を1Chに対応させるとし、情報更新が終わってから次の情報更新を開始するまでの時間幅をTdとすれば、
Tu=Td+δt(1024/8)=Td+128δt
となる。
このように、1Chを2n列(上記の例ではn=3)に対応させておくと、表示素子に入力される基本クロックを単純にn段分周するだけで、液晶板用の走査クロックが得られるので都合がよい。
【0056】
図6は画像表示と画素ずらしの関係を示す図である。
同図において符号25はサブ画素4aからなるサブフレーム表示時間帯、26はY方向画素ずらしの時間帯、27はサブ画素4bからなるサブフレーム表示時間帯、28はX方向画素ずらしの時間帯、29はサブ画素4cからなるサブフレーム表示時間帯をそれぞれ示す。
同図において、横軸は時間、縦軸は表示素子の画素列の位置をそれぞれ示す。
ただし、縦軸は、時間帯26の前後ではX軸方向であり、時間帯28の前後ではY軸方向に切り換えて示してある。
【0057】
図7、8は図6のタイミングの関係を表示素子と液晶板との関係で示した図である。両図は理解を容易にするため、動作に関係する素子のみで示し他の部材は省略してある。
以下、図6〜8を用いて走査と画素ずらしの関係を説明する。
時間帯25における最上位の画素列は、表示素子上では1番右端の縦の画素列である。なお、煩雑さを避けるため、画素列は上下の一部のみを省略形で示している。画像情報の更新に当たっては、以下順次左に向かって水平走査を行う。すなわち、図2に示した走査方向とは逆になる。
これに対応して液晶板も水平走査するように配置されている。液晶板の1Chは表示素子の画素列n列に対応して、全部でNChで構成されているものとする。説明の便宜上、表示素子の走査線数も、液晶板の走査Ch数も縦横が同数であるものとする。
【0058】
表示素子107の情報更新開始の時刻T1から時間δt遅れた時刻T5に、図5に示すCh1への印加電位の極性反転により、液晶板108の水平走査が開始される。このδtは表示素子のn列の遅延時間に対応している。以後、時間δt経過毎に次のChが走査されていく。したがって、液晶板の走査は表示素子の走査に対してδtの遅延時間があるが全体としてはほぼ同期しているといえる。
なお、液晶板の構成を表示素子と全く同じ走査線数に構成した場合は、δtの遅延時間を必要とせず、液晶板は表示素子と完全に同期させて走査すればよい。このような完全な同期も、上記”ほぼ同期”の中に含めるものとする。
【0059】
Ch1の画素ずらし終了時刻T6より後の時刻T2までに情報更新を終了させ、画像表示を開始すれば表示中の画像が移動するようなことがない。
時刻T3で情報更新を開始した左端の画素列が更新を終了し、第NChの画素ずらしも終了して表示を開始する時刻T4から、次のサブフレームのための情報更新開始時刻T1’までの間はサブフレームの全画像が表示されている。
【0060】
図7は水平走査の途中の状態を模式的に示す図である。素子中に示す大きい矢印は走査の方向を示す。小さい矢印は光束のシフト方向を示す。両矢印の方向は直交している。
表示素子107の情報更新位置に合わせて、現在、液晶板108のkx番目のChが画素ずらし動作中である状態を示す。それまで上方にシフトされていた光束が、画素ずらし走査を受けると下方にシフトされるようになる。これにより、図14(a)から(b)へのシフトが行われる。
ただし、図6に示したように、実際にはChkxが画素ずらしを開始しても、それ以前のChの画素ずらしが必ずしも終了しているわけではないので、図7〜8は単に概念を示すものである。
【0061】
時間帯27においてサブ画素4bによるサブフレームが全画像表示された時点で、縦軸をY軸方向に切り換えたものとして説明する。
時間帯27の表示終了時刻T1’における最上位の画素列は、表示素子107の一番上の画素列である。以下、時間帯28において、上下と左右の違いはあっても、基本的な動作は時間帯26と同様な動作で垂直走査が行われ、光束の右方向へのシフトにより、図14(b)から(c)への画素ずらしが行われる。
【0062】
図8は垂直走査の途中の状態を模式的に示す図である。素子中に示す大きい矢印は走査の方向を示す。小さい矢印は光束のシフト方向を示す。
表示素子107の情報更新位置に合わせて、現在、液晶板110のky番目のChが画素ずらし動作中である状態を示す。それまで左方にシフトされていた光束が、画素ずらし走査を受けると右方にシフトされるようになる。これにより、図14(b)から(c)へのシフトが行われる。
【0063】
図は省略したが、図7〜8に対し逆方向への画素ずらしも同様の原理で行うことができる。それによって図14(c)から(d)へ、また同図(d)から(a)への画像シフトを行うことができる。すなわち、サブ画素4が画素3の4分割である場合は、垂直方向走査と水平方向走査は交互に行うことになる。
これまでの説明では反射型画像表示素子を例にとって説明してきたが、透過型画像表示素子、あるいは、自己発光型画像表示素子であっても、水平走査と垂直走査のように、2次元の各方向に走査可能な表示素子であればどれでも使えることは明らかである。
また、画素ずらし素子として垂直配向型強誘電性の液晶を用いた例で説明したが、特許文献2に示されたような画素ずらし素子を用いることもできる。
【0064】
これまで、X軸方向、Y軸方向ともにシフト位置が2カ所ずつ、したがって、サブフレームが4個の場合で説明してきたが、それぞれの軸方向のシフト位置を3カ所、あるいは4カ所以上にしても、本発明の原理は全く同様に適用することができる。すなわち、サブフレームも4個に限らず、6個、8個、9個、12個、16個、あるいはそれ以上も原理的には可能である。ただし、サブフレームの数が多くなると、それだけ高速の画像処理が必要となるので、処理速度の能力で最大のサブフレーム数は制約される。また、この場合画素ずらし素子も、光束シフトのための電圧印加レベルを複数与えることで、各軸方向のシフト量を、単に±sとするのではなく、たとえば、±sおよび±2sのように、正負各方向に多段にすればよい。
【0065】
【発明の効果】
本発明によれば、2次元方向の画素ずらしを行っても、画像表示時間を十分とることのできる画像表示装置を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用する画像表示装置の一例を示す図である。
【図2】本発明に用いる画素ずらし素子としての液晶板の一例を説明するための図である。
【図3】本発明に用いる画素ずらし素子としての液晶板の一例を説明するための図である。
【図4】本発明に用いる画素ずらし素子としての液晶板の一例を説明するための図である。
【図5】液晶板に与える信号のタイミングチャートである。
【図6】画像表示と画素ずらしの関係を示す図である。
【図7】図6のタイミングの関係をを表示素子と液晶板との関係で示した図である。
【図8】図6のタイミングの関係をを表示素子と液晶板との関係で示した図である。
【図9】表示素子の一例を示す模式図である。
【図10】拡大投影の概念を説明するための図である。
【図11】画素ずらしの一例を説明するための図である。
【図12】画素ずらしの一例を説明するための図である。
【図13】画素ずらしの一例を説明するための図である。
【図14】画素ずらしの一例を説明するための図である。
【図15】画素ずらしの一例を説明するための図である。
【図16】液晶を用いた画素ずらし手段を説明するための図である。
【図17】液晶を用いた画素ずらし手段を説明するための図である。
【図18】液晶を用いた画素ずらし手段を説明するための図である。
【図19】液晶を用いた画素ずらし手段を説明するための図である。
【図20】液晶を用いた画素ずらし手段を説明するための図である。
【図21】図16〜18で示したような液晶による画素ずらし素子の作動を示すタイミングチャートである。
【図22】画像表示と画素ずらしのタイミングにおける問題点を説明するための図である。
【図23】画像表示と画素ずらしのタイミングにおける問題点を説明するための図である。
【図24】画像表示と画素ずらしのタイミングにおける問題点を説明するための図である。
【符号の説明】
3 画素
4 サブ画素
107 反射型画像表示素子
108 第1の画素ずらし素子
109 λ/2波長板
110 第2の画素ずらし素子
201 画素ずらし素子
205 液晶
210 電極板
Claims (7)
- 複数の画素を2次元の両方向に配列して該2次元の両方向のうちの1つの方向に走査するとともに前記2次元の両方向のうちの他の1つの方向に線順次に走査しながら画像情報により変調して線順次的に更新する表示素子と、該表示素子からの光束を透過させ、該光束を前記表示素子の前記他の1つの走査方向に一致した第1の走査方向にずらす第1の画素ずらし素子と、前記表示素子からの光束を透過させ、前記光束を前記表示素子の前記1つの走査方向に一致した第2の走査方向にずらす第2の画素ずらし素子と、前記第1の画素ずらし素子及び第2の画素ずらし素子に所定の電界をかけて前記第1の画素ずらし素子及び第2の画素ずらし素子を制御する制御装置とを有し、
前記制御装置は、前記第1の画素ずらし素子を前記表示素子の前記他の1つの方向の線順次な走査に同期して前記光束を前記表示画面上の画素の間隔より小さい所定の間隔だけ前記第1の走査方向又はその逆の方向にずらすとともに、前記第2の画素ずらし素子を前記表示素子の前記1つの方向の走査に同期して前記光束を前記表示画面上の画素の間隔より小さい間隔だけ前記第2の走査方向又はその逆の方向にずらして前記第1の画素ずらし素子及び第2の画素ずらし素子のずらし位置を走査することで、前記表示画面上の画素をその画素ピッチより小さい複数のサブ画素に分割して該複数のサブ画素を切り換えて表示し、
前記第1の画素ずらし素子および前記第2の画素ずらし素子はそれぞれ前記表示素子の複数の画素列からの光束を同じ画素ずらし位置で画素ずらしするチャンネルを複数有し、前記第1の画素ずらし素子および前記第2の画素ずらし素子の隣接するチャンネル間の動作開始時間は、前記チャンネルに対応する前記表示素子の前記複数の画素列の遅延時間の和に等しい時間だけ遅延させることを特徴とする情報表示装置。 - 請求項1に記載の情報表示装置において、前記第1の画素ずらし素子および前記第2の画素ずらし素子は、前記所定の電界をかける方向線が前記走査の方向線と一致しており、前記光束は前記走査の方向線と直交する方向にシフトされることを特徴とする情報表示装置。
- 請求項1または2に記載の情報表示装置において、前記第1の画素ずらし素子および前記第2の画素ずらし素子は、前記チャンネル単位で走査されることを特徴とする情報表示装置。
- 請求項3に記載の情報表示装置において、前記チャンネルの数は前記表示素子の2次元のそれぞれの方向における画素列数の整数分の1であることを特徴とする情報表示装置。
- 請求項4に記載の情報表示装置において、前記遅延時間の和は前記表示素子の画素列に対する基本クロックを1つのチャンネルに対応する画素列数分合算したものであることを特徴とする情報表示装置。
- 請求項3ないし5のいずれか1つに記載の情報表示装置において、前記第1の画素ずらし素子および前記第2の画素ずらし素子の1つの前記チャンネルに対応する前記表示素子の画素列数は、nを正の整数として2n列であり、前記第1の画素ずらし素子および前記第2の画素ずらし素子の隣接するチャンネル間の動作開始時間は、前記表示素子の画素列に対する基本クロックをn段分周したクロック分遅延させることを特徴とする情報表示装置。
- 請求項1ないし6のいずれか1つに記載の情報表示装置において、前記表示画面上の画素のそれぞれは、前記2つの走査方向のいずれにおいても、2以上の前記サブ画素に分割されることを特徴とする情報表示装置。
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