JP4620920B2 - Rhd陰性遺伝子座の分子構造 - Google Patents
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Description
本発明は、RHD、SMP1およびRHCE遺伝子を含有するRhesus遺伝子座および/またはRhesusボックス(群)、好ましくはハイブリッドRhesusボックス、上流Rhesusボックスおよび/または下流Rhesusボックスを提示する核酸分子構造に関する。さらに、本発明は、一般的なRHD陰性ハプロタイプの特異的検出のための方法に関する。本発明はさらに、D陰性個体におけるRHD陽性ハプロタイプの検出に関する。診断用ツールの開発を可能にするRHD遺伝子における種々の変異が同定されている。本発明はまた、該ハイブリッドボックス、好ましくはブレークポイント(breakpoint)もしくはブレークポイントの領域に、または上流および下流Rhesusボックスに特異的とハイブリダイズするオリゴヌクレオチドに関する。さらにまた、本発明は、上述の本発明の化合物を含有または使用してなるキットに関する。
【0002】
いくつかの文献が本明細書の本文中で引用されているが、本明細書に引用された文献の各々の開示内容(製造業者の仕様書、指示書などをいずれも含む)は、参照により本明細書に取り込まれる。
【0003】
Rhesus D抗原(ISBT 004.001; RH1)は、タンパク質により決定される最も重要な血液型抗原である。抗−Dは、なお新生児溶血性疾患の主な原因である(Filbey, Acta Obstet Gynecol Scand, 74:687,1995; Bowman, J, Semin Perinatol 21:39, 1997)。集団によるが、白色系人種の3%〜25%は抗原Dをもたない(Mourant, The distribution of the human blood groups and other polymorphisms, London, Oxford University Press, 1976)。抗−D免疫化は、D−陰性レシピエントにおいて容易に起こり得る(Urbaniak, Transfusion 21:64, 1981)。
【0004】
RH血液型の抗原は、染色体上の位置1p34.1−1p36に(Cherif-Zahar, Hum. Genet. 86: 398, 1991; MacGeoch, Cytogenet. Cell Genet. 59:261, 1992)、おそらく450,000塩基対(bp)未満の間隔をあけて(Carritt, Hum. Mol. Genet. 6:843, 1997)存在するRHDおよびRHCEの2つの遺伝子にコードされるタンパク質に保有される。両遺伝子は、10個のエキソンを含み、その構造は高度に相同である。両遺伝子の相対方向、間隔および他の遺伝子が散在する可能性は未知であった(Flegel, Transfus. Med. 8:281, 1998)。ごく最近になって、Okudaらにより(Okuda, Biochem. Biophys. Res. Commun. 263:378, 1999)、RHDとRHCEとの間のDNAセグメントを示すと思われる約11,000bpの配列が報告された。
【0005】
白色系人種では、D−陰性ハプロタイプの大部分は、RHD遺伝子の欠失による。エキソン1から3’側非翻訳領域にわたるRHD−特異的配列は存在しないため(Gassner, Transfusion 37:1020, 1997)、この欠失は全RHD遺伝子にわたる。該欠失の正確な程度は不明確であり、隣接(neighboring)遺伝子もまた影響される可能性が残ったままである。
【0006】
D抗原の分子根拠としてのRHD遺伝子の同定により、DNAタイピングによるRhD表現型の予測が可能となった(Flegel, Transfus. Med. 8:281, 1998; Lo, Lancet 341:1147, 1993)。しかしながら、優勢(prevalent)D−陰性ハプロタイプの構造は未知であるため、RHD欠失の特異的検出は不可能なままであり、RHD+/RHD+ホモ接合性個体とRHD+/RHD-ヘテロ接合性個体との区別は間接的な方法に依存した。この区別は、抗−Dを有するD−陰性の母親において、父親がRHD+/RHD+である子が影響を受けるリスクは100%であるが、父親がRHD+/RHD-では50%だけであるであるため、特に臨床的に重要である。
【0007】
いくつかの間接的なアプローチが接合体構造を決定するために適用されている。(i)表現型に基づく単純な推測は症例の約95%において正確である、(ii)C抗原の存在などのファクターにより撹乱(confound)されうるD抗原密度の決定、および(iii)RHD−およびRHCE−特異的配列の同時(parallel)定量的増幅を含むいくつかの方法(Cossu, Electrophoresis 17:1911, 1996; Doescher, Infusionsr. Transfusionsmed. 26 (suppl 1): 31, 1999 (abstr.))。これらの精巧な技術は、通常の研究所では実用的でないことがある。また、何人かの研究者により、RHD遺伝子の欠損に遺伝的に連鎖した、RHCE遺伝子または隣接配列における多型が同定された(Carritt, Hum. Mol. Genet. 6:843, 1997; Huang, Am. J. Hum. genet. 58: 133, 1996; Fujiwara, Hum. genet. 104:301, 1999; Onda, Gene 159:225,1995)。この間接的アプローチは、RHD欠失を多型と関連づける連鎖不平衡に依存する。
【0008】
さらに、RHD PCRの有用性は、RhD−陰性においておそらく稀なRHD陽性対立遺伝子に関する不完全な知識によって制限される。RhD陰性におけるRHD陽性対立遺伝子は、RHD−CE−Dハイブリッド遺伝子(Huang, Blood 88:2326-33, 1996; Faas, Transfusion 37:38-44, 1997, Faas, Transfusion 36:506-11, 1996)、ナンセンス−変異(Avent, Blood 89:2568-77, 1997)、フレームシフト(Andrews, Blood 92:1839-40, 1998; Cherif-Zahar Br. J. Haematol. 102:1263-70, 1998)または偽遺伝子(Singleton, Blood 95:12-8, 2000)により引き起こされる。かかる対立遺伝子は、アフリカ系人種(Faas, Transfusion 37:38-44, 1997, Singleton, Blood 95:12-18, 2000)およびアジア系人種(Okuda, J. Clin. Invest. 100:373-9,1997)には頻繁にみられるが、白色系人種では稀である。それにもかかわらず、最近の解析(Avent, Blood 89:2568-77, 1997; Flegel, Transfus. Med. 8:281-302, 1998)では、白色人種においてさえ、これらの対立遺伝子が、おそらく、不正確なRh表現型予測の主な原因であることが示唆された。白色人種におけるいくつかの観察(Avent, Blood 89:2568-77, 1997; Hyland, Blood 84:321-4, 1994)は、これらの対立遺伝子が、CdeおよびcdEハプロタイプ内に集中発生(cluster)していることを示した。
【0009】
分子レベルでRHD遺伝子座を解析するための最も直接的なアプローチは、RHD欠失部位にまたがる部位(spanning)のPCR増幅であろう。このようなアッセイは、RhD陽性およびRhD陰性におけるRHD遺伝子座の構造の理解が不完全であったため、これまで利用可能ではなかった。
【0010】
したがって、本発明の下地となる技術的課題は、信頼性のある、核酸に基づいた、Rhesus D遺伝子座の解析のための手段および方法を提供することであった。これらの手段および方法は、RHD+/RHD+個体およびRHD+/RHD-個体の検出および/または区別に特に好適であるはずである。
【0011】
前述の技術的課題の解決は、特許請求の範囲において特徴づけられる実施態様を提供することにより達成される。
【0012】
したがって、本発明は、RHD、SMP1およびRHCE遺伝子を含有するRhesus遺伝子座および/またはRhesusボックス、好ましくはハイブリッドRhesusボックス、上流Rhesusボックスおよび/または下流Rhesusボックス(これらの配列を図8〜10に示す)を提示する核酸分子構造に関する。
【0013】
本発明の文脈において、用語「核酸分子構造体」は、広義において、上述の遺伝子、すなわち、順に5’側から3’側に配列されたRHD、SMP1およびRHCE遺伝子、および/または前述のRhesus遺伝子座を同時に規定(co-determine)するRhesusボックスの組合せを含んでなる線状DNA−セグメントと定義される。本発明の分子構造体を生じるDNA配列には、以下のものが含まれ、該ヌクレオチド配列構造体は、Rhesusボックス5’フランキング領域、ハイブリッドRhesusボックス、または介在RHD遺伝子を有する2つのRhesusボックス、およびRhesusボックス3’フランキング領域からなる。
【0014】
以下の構造は、本発明の核酸分子構造体に含まれる好ましい態様を示す。
【0015】
Rhesusボックス5’フランキング領域は、ゲノムクローンHS465N24(GenBank 寄託番号AL031432.1)、塩基1〜120,156で表される(represent)。
【0016】
ハイブリッドRhesusボックスは、GenBank 寄託番号AL252313、塩基33〜9,180に代表される。
【0017】
介在RHD遺伝子を有する2つのRhesusボックスは、GenBank 寄託番号AL252311 塩基34〜9,175に表される上流RhesusボックスとRHD遺伝子とGenBank 寄託番号AL252312塩基23〜9,177で表される下流Rhesusボックスとからなる(図8〜10参照のこと)。
【0018】
Rhesusボックス3’フランキング領域は、下流またはハイブリッドRhesusボックスとSMP1遺伝子、SMP1遺伝子およびRHCE遺伝子との間の小DNAセグメントからなる。
【0019】
RHD遺伝子は、ゲノムクローンHS469D22(GenBank 寄託番号AL031284.9)塩基56,012〜51,472に相同であり、「スタッファー(stuffer)断片」(GenBank 寄託番号AB029152)とも称する塩基7,716〜11,005のヌクレオチドセグメントで示されるRHD5’側領域;RHDプロモーター(GenBank 寄託番号AJ252314)塩基1〜1,246(図11参照)、およびRHD cDNA(GenBank 寄託番号X63097)塩基1〜1,371およびそのイントロン配列により規定されるRHD遺伝子からなる。
【0020】
小DNAセグメントは、好ましくは、下流またはハイブリッドRhesusボックスとSMP1遺伝子との間の15ヌクレオチドを含有し、AL252312塩基9,178〜9,192で表される。
【0021】
SMP1遺伝子は、GenBank 寄託番号AF0811282およびそのイントロン配列で表されるSMP1 cDNAにより規定される。
【0022】
RHCE遺伝子は、GenBank 寄託番号X63095およびそのイントロン配列で表され、さらに一部がゲノムクローンHS469D22 (GenBank 寄託番号AL031432.1)塩基1〜51,471で表されるRHCE cDNA、およびゲノムクローンHS469D22 塩基51,472〜84,811で表されるRHCE5’フランキング領域により規定される。
【0023】
本発明のこの構造体内において、上流Rhesusボックスは、RHD遺伝子の5’側に位置するが、下流Rhesusボックスは、RHD遺伝子とSMP1遺伝子との間に位置する。あるいはまた、用語「核酸分子構造体」は、ここで述べる(referenced)Rhesusボックスのみを含んでなるDNAセグメントに関する。あるいはまたさらに、この用語は、RHD、SMP1およびRHCE遺伝子と2つのRhesusボックス、すなわち上流Rhesusボックスおよび下流RHDボックスとを含んでなるDNAセグメントに関する。あるいはまたさらに、この用語は、ハイブリッドRhesusボックス、SMP1遺伝子とRHCE遺伝子とを含んでなるDNAセグメントを含む。あるいはまた、該用語は、SMP1遺伝子およびハイブリッドRhesusボックスを含んでなるDNAセグメントに関する。あるいはまた、この用語は、上流RhesusボックスとRHDと下流RhesusボックスとSMP1とを含んでなるDNAセグメントに関する。
【0024】
あるいはまた、この用語は、下流RhesusボックスとSMP1とを含有してなるDNAセグメントに関する。特許請求の範囲に記載された主題をより充分に理解するために、後に図1および7で言及する。
【0025】
本発明では、用語「核酸分子構造体」はまた、核酸プローブがハイブリダイズしうる、上述の核酸構造体の任意の可能な誘導体を含む。換言すれば、本発明の構造体は、合成または半合成的手段により調製してもよく、したがって、ペプチド核酸からなるか、ペプチド核酸を含んでなる。該用語はまた、核酸分子の意味合いももつ。
【0026】
本発明では、用語「Rhesusボックス」は、5’および3’末端でRHD遺伝子をフランキングする上流および下流DNAセグメントをいう。3つのRhesusボックスが、そのヌクレオチド配列により規定される。ハイブリッドRhesusボックスは、一態様においてGenBank 寄託番号AL252313 塩基33〜9,180で表される。介在RHD遺伝子を有する2つのRhesusボックスは、一態様においてGenBank 寄託番号AL252311 塩基34〜9,175で表される上流Rhesusボックス、および一態様においてGenBank 寄託番号AL252312 塩基23〜9,177で表される下流Rhesusボックスからなる。添付の実施例において例示するように、前記Rhesusボックスは、好ましくは、約9000bp長であり、98.6%同一性を有し、同一方向である。本発明では、上流および下流Rhesusボックスは、少なくとも95%相同である。これらのRhesusボックスの長さはさまざまでありうる。他の構造的特徴のうち、多数の反復エレメントのいくつかが縦列に配列されて(tandem array)構成されており、(配列の)伸長および欠失事象が生じやすいことが知られているため、Rhesusボックスの長さはさまざまでありうることが期待される。かかる事象が起こると、Rhesusボックスの長さは、1,000ヌクレオチド長未満まで縮小されうるか、または20,000ヌクレオチド長を超えるまで伸長されうる。
【0027】
本発明では、用語「同一性」は、BLASTなどの適切なアラインメント・プログラムを用いて同定される配列の決定をいう。
【0028】
先に指摘したように、分子レベルでのRHD陰性の診断的解析は、これまで、RHD/RHCE遺伝子座の全体構造が未知であるという事実により妨げられていた。ここで、驚くべきことに、2つの遺伝子、RHDおよびRHCEが正反対の方向であり、3’末端で互いに対向していることがわかった。本発明では、RHD遺伝子が2つの高度に相同なRhesusボックスにより囲まれていることがさらにわかった。RHDとRHCEとの間の物理的距離は、約30,000bpであり、その間にRhesusボックスおよびSMP1遺伝子が存在する。優勢RHD陰性ハプロタイプにおけるRHD欠失のブレークポイントは、Rhesusボックスの1,463bp同一性領域に位置する。類似のRHD欠失事象は、高度に相同なRhesusボックス内の任意の他の領域を伴いうる。したがって、一般的なRHD欠失以外のRHD欠失を含有するブレークポイントの領域は、先に定義したRhesusボックス内の任意の位置に生じうることが予測される。
【0029】
2つのRH遺伝子が正反対の方向であることは、MNSおよびRH血液型におけるハイブリッド遺伝子特徴の違いの説明となる。MNS抗原をコードするグリコホリン遺伝子は同じ向きで存在し(Onda, Gene 159:225, 1995)、多くの組換えが、単一のハイブリッド遺伝子をもたらす不等乗り換えとして説明されうる(Blumenfeld, Hum. Mutat. 6:1999, 1995)。上述した驚くべき所見に基づき、RHD陰性をもたらす分子レベルでの事象は、今ではより完全に理解することができる。RH遺伝子座では、互いに逆方向の配列は、不等乗り換えを誘起しにくく、この事象が起こった場合は、機能性ハイブリッド遺伝子は生じ得ない。RH遺伝子座での不等乗り換えがほとんどないという結論は、先に知得された(note)ように(Wagner, Blood 91:2157, 1998)、ほとんどのRHハイブリッド遺伝子がRHD−CE−DまたはRHCE−D−CE型であり、cisに位置する相同DNAのストレッチ(stretches)を含むという説明となる。現在、RH遺伝子システムは、2つの遺伝子が反対方向である唯一充分に調査された遺伝子座であり、ゲノム全体において頻度に存在する、隣接する逆方向遺伝子(neighboring, oppositely oriented genes)の進化のモデルシステムとなっている。
【0030】
RH遺伝子座の構造(図1)に基づいて、RHD遺伝子欠失事象の節減(parsimonious)モデルを提案する(図7)。出願人は、理論に拘束されることを望まないが、RhD陰性の発生に関して以下のことが信じられている。RHD欠失は、RHD遺伝子を囲む(embracing)高度に相度なRhesusボックスにより引き起こされる不等乗り換えにより説明されうる。上流および下流Rhesusボックスの同一性領域内のブレークポイントの領域が関与する欠失事象をもたらす乗り換えがおこると、RHD−陰性のハイブリッド型Rhesusボックスが生じる。したがって、ハイブリッドRHDボックスは、下流RHDボックス由来3’側部分に融合した上流RHDボックス由来5’側部分を特徴とする。好ましい一態様では、ブレークポイントの領域は903bp長である。この好ましいハイブリッドRhesusボックスの配列を図5に示す。実施例に記載した具体的な態様では、Rhesusボックス内の該903bpブレークポイントの領域は、相同性99.9%の1,463bpストレッチに位置し、THE−1Bヒト転位因子およびL2反復DNAエレメント(図4)に類似する。興味深いことに、RHD陰性ハプロタイプにおいて欠失している>60,000bpのDNAセグメントは、RHD陽性ハプロタイプにおいて重複するすべての配列のみからなるか、または該配列を含んでいた。
【0031】
本明細書において上述した本発明の所見は、RH遺伝子座に関して個体の遺伝子型の解析のための実施しやすい、または洗練された方法をいくつか確立することを可能にする。かかる方法の例を本明細書において以下に提供する。
【0032】
優勢RHD陰性ハプロタイプをもたらす分子機構は、今や明らかであるが、どの程度古い重複事象が、RHD陽性におけるRH遺伝子の構造を生じたのかはあまり明確でない。2つのRhesusボックス全体の相同性は、RH遺伝子のものと非常に類似しているため、RhesusボックスおよびRH遺伝子の重複は、おそらく、単独事象として起こった。理論に拘束されないが、RHD重複が、ほぼ(near)完全長の重複THE−1Bトランスポゾン様ヒトエレメントの挿入片との因果関係に由来すると推測することは興味深い。しかしながら、THE−1Bエレメントのオープン・リーディング・フレームは、おそらく重複の時点では非機能性であった。
【0033】
本発明の好ましい態様では、該核酸分子構造は、一般的なRHD陰性ハプロタイプの代表例である。
【0034】
本発明では、用語「表す」は、配列上および構造上の特徴を共有する一群の分子構造に構造を関連させるために、該特徴のすべてを含有する核酸分子構造に関する。上述の好ましい態様では、該特徴により一般的なRHD陰性ハプロタイプが生じる。本文脈において、これは、好ましくは、上流Rhesusボックスと下流Rhesusボックスとの間に位置する全RHD遺伝子およびその5’側領域を含むRHD遺伝子の欠失を意味する。
【0035】
本文脈において、これはまた、RHD遺伝子のタンパク質産物の発現を終結または消去する、RHD遺伝子内の例えばナンセンス変異、ミスセンス変異、スプライス部位変異、部分欠失、部分挿入、部分逆位またはその組合せを共有するすべての構造がRHD陰性ハプロタイプの代表例であることを意味しうる。
【0036】
用語「ハプロタイプ」は、母方または父方の単一の染色体上の規定領域内の一連の連鎖対立遺伝子に関する。
【0037】
用語「一般的なRHD陰性ハプロタイプ」は、ハイブリッドRhesusボックスを含有してなる任意のRhD抗原陰性ハプロタイプをいう。好ましくは、上流Rhesusボックスと下流Rhesusボックスとの間に位置する全RHD遺伝子およびその5’側領域を含むDNAセグメントが欠失している。
【0038】
別の態様では、本発明は、一般的なRHD陰性ハプロタイプにおけるRHD欠失のブレークポイントの領域にフランキングする2つのRhesusボックスである核酸分子構造に関する。
【0039】
本発明では、用語「RHD欠失のブレークポイントの領域」は、RHD欠失に関与する異なるDNAセグメントをいう。先に示したように、該欠失は、上流および下流Rhesusボックスの両方が関与する不等乗り換え事象、散在配列の欠失および最終的な核酸分子構造の発生の結果であり得(上流および下流Rhesusボックスからよりよく範囲規定するために、記載のRhesusボックスをハイブリッドRhesusボックスともよぶ)、ここで、上流RHDボックスの5’側部分は、下流RHDボックスの3’側部分に空間的に隣接している。上述し、かつ図7および4に示すように、この領域は、好ましくは、903bp長であり、Rhesusボックス内の1,463bpストレッチ内に位置し、このセグメントにおいて99.9%相同性を有しうる。別の好ましい代替例では、該領域は、該903bp断片より下流に位置するが、なお該1463bpストレッチ内に含まれる。好ましくは、該断片は、556〜560bp長である。実際のブレークポイントは、上流Rhesusボックスおよび下流Rhesusボックスがそれぞれの個体において異なるように変わり得る。しかしながら、本発明では、任意の場合のブレークポイントが上流および下流Rhesusボックスに存在しうる。
【0040】
ハイブリッドRhesusボックスは、RHD−陰性ハプロタイプの解析に特に有用である。例えば、RHD欠失の結果生じた、ブレークポイントを含有する核酸配列とハイブリダイズするオリゴヌクレオチドを使用しうる。かかるオリゴヌクレオチドは、欠失事象を示すために実際のブレークポイントの領域の5’側および3’側に位置する、好ましくは20ヌクレオチドを含む有意な(significant)部分とハイブリダイズする必要があることが理解される。例えば、かかるオリゴヌクレオチドが0.2×SSC、0.1 SDS、65℃、プローブが943ヌクレオチド長などのストリンジェント条件下でハイブリダイズする場合、ハイブリダイズ領域は、ブレークポイントの3’側および5’側とハイブリダイズする部分を含むべきである。
【0041】
例えば、Rhesusボックスまたはブレークポイントの領域を含むその部分を増幅する。その後、増幅産物を、約6ヌクレオチド長以上のオリゴヌクレオチドとのハイブリダイゼーションにより、配列特異的にアッセイする。
【0042】
好ましくは、Rhesusボックスまたはブレークポイントの領域を含むその部分を表すDNAのストレッチを2種類のプライマーを用いて増幅する。一方のプライマーは、Rhesusボックス内の同一性領域の5’側に位置し得、上流RhesusボックスおよびハイブリッドRhesusボックスの両方に特異的である。他方のプライマーは、Rhesusボックス内の同一性領域の3’側に存在し得、下流RhesusボックスおよびハイブリッドRhesusボックスの両方に特異的である。この適用(application)では、期待する大きさの増幅産物の存在は、ハイブリッドRhesusボックスの存在を示し、したがってRHD欠失を示す。
【0043】
プライマーの別の可能な組合せは以下の通りである。一方のプライマーは、Rhesusボックス内の同一性領域の5’側に位置し得、上流RhesusボックスおよびハイブリッドRhesusボックスの両方に特異的である。他方のプライマーは、Rhesusボックス内の同一性領域の3’側に位置し得る。この適用では、ハイブリッドRhesusボックスの存在は、Rhesusボックスの同一性領域の3’側のDNAストレッチに関する増幅産物の部分の特異性を調べることにより決定される。これは、例えば、ハイブリッドRhesusボックスおよび下流Rhesusボックスとハイブリダイズするが、上流Rhesusボックスとはハイブリダイズしないオリゴヌクレオチドとのハイブリダイゼーションにより、またはハイブリッドRhesusボックスおよび下流Rhesusボックスを切断するが上流Rhesusボックスは切断しない制限酵素での消化により、またはハイブリッドRhesusボックスおよび下流Rhesusボックスを切断しないが上流Rhesusボックスは切断する制限酵素での消化により、または塩基配列決定により行ないうる。
【0044】
プライマーの別の可能な組合せは以下の通りである。一方のプライマーは、Rhesusボックス内の同一性領域の5’側に位置し得る。他方のプライマーは、Rhesusボックス内の同一性領域の3’側に位置し得、下流RhesusボックスおよびハイブリッドRhesusボックスの両方に特異的である。この適用では、ハイブリッドRhesusボックスの存在は、Rhesusボックスの同一性領域の5’側のDNAストレッチに関する増幅産物の部分の特異性を調べることにより決定される。これは、例えば、ハイブリッドRhesusボックスおよび上流Rhesusボックスとハイブリダイズするが、下流Rhesusボックスとはハイブリダイズしないオリゴヌクレオチドとのハイブリダイゼーションにより、またはハイブリッドRhesusボックスおよび上流Rhesusボックスを切断するが下流Rhesusボックスは切断しない制限酵素での消化により、またはハイブリッドRhesusボックスおよび上流Rhesusボックスを切断しないが下流Rhesusボックスは切断する制限酵素での消化により、または塩基配列決定により行ないうる。
【0045】
ハイブリッドRhesusボックスはまた、ハイブリッドボックスの1種以上の態様に特異的な抗−DNA抗体、scFvFabまたはF(ab’)2断片などの該抗体の断片もしくは誘導体またはアプタマーなどを用いて解析した場合のRHD欠失の存在の診断用ツールとして役立ち得る。したがって、抗体、その断片もしくは誘導体またはかかるアプタマーは、従来技術に従って当業者により作製されうる(例えば、 HarlowおよびLane, "Antibodies, A Laboratory Manual", CSH Press 1988, Cold Spring Harborを参照のこと)。
【0046】
好ましい態様では、本発明は、上流Rhesusボックス、下流Rhesusボックスまたはその両方が関与するRHD遺伝子欠失を含有する、RHD陰性ハプロタイプを表す核酸分子構造に関する。
【0047】
本発明は、さらに、一般的なRHD陰性ハプロタイプにおいてRhesusボックスにフランキングする核酸分子構造に関する。これらの構造または配列は、RHD遺伝子座の分子解析のためのロングレンジ(long range)PCRなどの増幅反応のためのプライマーを誘導するのに使用しうる。
【0048】
例えば、Rhesusボックスおよびそのフランキング領域の部分またはブレークポイントの領域を含むその部分の代表的なDNAのストレッチは、2種類のプライマーを用いて増幅する。一方のプライマーは、Rhesusボックスの5’フランキング領域内に位置し得る。あるいはまた、このプライマーは、Rhesusボックス内の同一性領域の5’側に位置し得、上流RhesusボックスおよびハイブリッドRhesusボックスの両方に特異的である。他方のプライマーは、Rhesusボックス内の3’フランキング領域内に存在し得る。あるいはまた、このプライマーは、Rhesusボックス内の同一性領域の3’側に位置し得、下流RhesusボックスおよびハイブリッドRhesusボックスの両方に特異的である。この適用では、期待する大きさの増幅産物の存在は、ハイブリッドRhesusボックスの存在を示し、したがってRHD欠失を示す。
【0049】
プライマーの別の可能な組合せは以下の通りである。一方のプライマーは、Rhesusボックスの5’フランキング領域内に位置し得る。他方のプライマーは、Rhesusボックス内の同一性領域の3’側に位置し得る。この適用では、ハイブリッドRhesusボックスの存在は、Rhesusボックスの同一性領域の3’側のDNAストレッチに関する増幅産物の部分の特異性を調べることにより決定される。これは、例えば、ハイブリッドRhesusボックスおよび下流Rhesusボックスとハイブリダイズするが、上流Rhesusボックスとはハイブリダイズしないオリゴヌクレオチドとのハイブリダイゼーションにより、またはハイブリッドRhesusボックスおよび下流Rhesusボックスを切断するが上流Rhesusボックスは切断しない制限酵素での消化により、またはハイブリッドRhesusボックスおよび下流Rhesusボックスを切断しないが上流Rhesusボックスは切断する制限酵素での消化により、または塩基配列決定により行ないうる。
【0050】
プライマーの別の可能な組合せは以下の通りである。一方のプライマーは、Rhesusボックス内の同一性領域の5’側に位置し得る。他方のプライマーは、Rhesusボックスの3’フランキング領域内に位置し得る。この適用では、ハイブリッドRhesusボックスの存在は、Rhesusボックスの同一性領域の5’側のDNAストレッチに関する増幅産物の部分の特異性を調べることにより決定される。これは、例えば、ハイブリッドRhesusボックスおよび上流Rhesusボックスとハイブリダイズするが、下流Rhesusボックスとはハイブリダイズしないオリゴヌクレオチドとのハイブリダイゼーションにより、またはハイブリッドRhesusボックスおよび上流Rhesusボックスを切断するが下流Rhesusボックスは切断しない制限酵素での消化により、またはハイブリッドRhesusボックスおよび上流Rhesusボックスを切断しないが下流Rhesusボックスは切断する制限酵素での消化により、または塩基配列決定により行ないうる。
【0051】
好ましい態様では、核酸分子構造は、RHD陽性ハプロタイプを表す。
【0052】
用語「RHD陽性ハプロタイプ」は、RHD遺伝子に特異的なDNA配列を含有する任意のハプロタイプをいう。
【0053】
好ましい態様では、本発明は、一般的なRHD陽性ハプロタイプを表す核酸分子構造に関する。
【0054】
別の好ましい態様では、核酸分子構造は、血清学的にはRhD陰性に分類されるRHD陽性ハプロタイプを含有する試料に由来する。
【0055】
本発明の文脈において、用語「血清学的にRhD陰性に分類される」とは、例えば常套的な血清学的アッセイを用い、RhD抗原の存在について試験した結果が陰性であった試料をいう。
【0056】
特に好ましい態様では、RhD陰性に分類される試料は、白人(Caucasian)集団から得られる。
【0057】
別のより好ましい態様では、核酸分子構造は部分RHD欠失を含有する。
【0058】
通常RHD陽性であると診断される対立遺伝子がRhD−陰性表現型を生じることの説明の1つは、RHD遺伝子の部分の欠失、またはPCRなどの標準的診断方法により検出されないRHCE遺伝子由来の対応DNAセグメントによるRHD遺伝子の部分の置換である。
【0059】
好ましい態様では、該欠失または置換は、CcddEe表現型を生じるRHDエキソン3〜7もしくは4〜7、または1〜9を含有する。
【0060】
最も好ましい態様では、該置換は、RHD−CE(3〜7)−Dハイブリッド遺伝子、CcddEe表現型を生じる。RHD−CE(4〜7)−Dハイブリッド遺伝子、またはRHCE(1〜9)−D(10)ハイブリッド遺伝子(これらはすべてRhD陰性表現型と相関する)を含有する。
【0061】
別の最も好ましい態様では、本発明の核酸分子構造は、CdeSハプロタイプに代表的であるが他のRhesusハプロタイプにも存在するRHD−CE−Dハイブリッド対立遺伝子を含有し、イントロン3に位置する5’側ブレークポイント領域(該ブレークポイント領域の配列を図12に示す)および/またはイントロン7に位置する5’側ブレークポイント領域(該ブレークポイント領域の配列を図13に示す)または両方のブレークポイント領域を保有する。
【0062】
r'Sとしても知られるCdeSは、最初に、抗原eの代わりに抗原eSを発現し、抗原cを発現し、低減および改変された抗原Cを発現するとして特徴付けられた、Cdeに類似するRHハプロタイプである(Issitt, P.D. Aplied Blood Group Serology, Miami: Montgomery Scientific Publications, 1985, 239頁)。このハプロタイプの下地となる分子構造は最近明らかにされた(Blunt, T., Daniels, G.およびCarritt, B. Serotype switching in a partially deleted RHD gene. Vox Sang. 67:397-401, 1994; Faas, B.H.W., Becker, E.A.M., Wildoer, P., Ligthart, P.C., Overbeeke, M.A.M., Zondervan, H.A., von dem Borne, A.E.G.K.およびvan der Schoot, C.E. Molecular background of VS and weak C expression in blacks. Transfusion 37:38-44, 1997; Daniels, G.L., Faas, B.H., Green, C.A., Smart, E., Maaskant-van Wijk, P.A., Avent, N.D., Zondervan, H.A., von dem Borne, A.E., and van der Schoot, C.E. The VS and V blood group polymorphisms in Africans: a serologic and molecular analysis. Transfusion 38:951-958, 1998.)。CdeSハプロタイプは、抗原C免疫反応性をコードするRHD−CE−Dハイブリッド遺伝子を含み、ここでエキソン4〜7はRHCEに由来し、エキソン3はRHD様構造を有するがRHCE特異的Thrをコドン152に保持する。
【0063】
RhD陰性個体に存在するいくつかのさらなるRHD陽性対立遺伝子が、これまでに部分的または完全に特性付けされている(表10)。公表されたこれらの10個のRHD対立遺伝子のうち3個が、RHCE特異的ストレッチが少なくともエキソン4〜7を含むRHD−CE−Dハイブリッド対立遺伝子であった。これらの3個のハイブリッドRHD対立遺伝子の各々について、パートナーが適合性でありうる対立遺伝子が見出された(表10)。本研究で観察された7個のRhD陰性パターンのうち、6個がかかるタイプのハイブリッドRHD対立遺伝子と適合性であった。公表された10個のRHD対立遺伝子のうち7個が、欠失、ナンセンス変異または偽遺伝子を提示した。これらの対立遺伝子は本研究において存在せず、これは、それらが白色系人種に稀であることを示す。別の態様では、本発明は、これまでRHDエキソン9陰性といわれており(Gassner, Transfusion 37:1020ff, 1997)、好ましくは、イントロン7およびイントロン8の部分におけるRHD特異的配列の欠失によりハイブリッドRHD−CE(9)−Dハイブリッド対立遺伝子を提示するRHD対立遺伝子の検出または決定を提供する。本方法で実施される具体的な工程は、本明細書に記載される本発明のさらなる方法で言及される任意の工程の単独または組み合せでありうる。
【0064】
特に好ましい態様では、本発明の核酸分子構造における本発明のRHD−CE−Dハイブリッドが、抗原C反応性を有するポリペプチドをコードする。
【0065】
抗原Cは、当該技術分野において公知のRH血液型にシステムに属する血液型抗原であり、ISBT命名法にしたがって004.002で指定される。免疫血液学に関する多くのテキストブック、例えば、Reid, M.E.およびLomas-Francis, C. The Blood Group Antigen Facts Book, San Diego: Academic Press, 1997に記載がある。
【0066】
さらに、本発明の好ましい態様では、本発明の核酸分子構造、またはRHD遺伝子に由来する核酸分子は、RHD遺伝子のコード領域内または5’または3’スプライス部位内に一塩基置換を含有する。
【0067】
用語「RHD遺伝子に由来する核酸分子」は、この核酸分子が、RHD遺伝子に由来するが、コード領域、任意のスプライス部位または非コード領域内に変異、欠失、挿入、置換または重複を含有することを意味するものとする。好ましくは、該核酸分子は異常型ポリペプチドを生じる。
【0068】
さらに好ましい態様では、該塩基置換は、コドン16に終止コドンを生じる。
【0069】
より好ましい態様では、該置換遺伝子は、RHD(W16X)変異を生じる。
【0070】
さらにより好ましい態様では、該置換はヌクレオチド48位でのG A置換である。
【0071】
本発明のさらに好ましい態様では、該塩基置換は、コドン330に終止コドンを生じる。
【0072】
本発明のより好ましい態様では、該置換はRHD(Y330X)変異を生じる。
【0073】
本発明のさらにより好ましい態様では、該置換は、ヌクレオチド985位でのCからGへの置換である。
【0074】
本発明の別の好ましい態様では、該置換はコドン212にミスセンス変異を生じる。
【0075】
本発明の別の好ましい態様では、該置換は、RHD(G212V)ミスセンス変異を生じる。
【0076】
本発明のより好ましい態様では、該置換は、ヌクレオチド635位におけるGからTへの置換である。
【0077】
本発明の別の好ましい態様では、該置換は、エキソン8/イントロン8境界にコンセンサススプライス部位を含有する4ヌクレオチド配列、6−ヌクレオチド配列または8−ヌクレオチド配列内での変異を生じる。
【0078】
本発明の別のより好ましい態様では、該置換はRHD(G1153(+1)A)変異を生じる。
【0079】
本発明のさらにより好ましい態様では、該置換は、イントロン8の5’スプライス部位でのAGgtからAGatへの置換である。
【0080】
さらにより好ましい態様では、本発明の核酸分子構造またはRHD遺伝子に由来する核酸分子はRhD−陰性表現型と相関する。
【0081】
本発明の別の好ましい態様では、該置換は、エキソン3/イントロン3境界のコンセンサススプライス部位を含有する4−ヌクレオチド、6−ヌクレオチド配列または8−ヌクレオチド配列内での変異を生じる。
【0082】
本発明のさらに好ましい態様では、該置換は、RHD(G486(+1)A)変異を生じる。
【0083】
本発明のさらにより好ましい態様では、該置換は、イントロン3の5’スプライス部位でのACgtからACatへの置換である。
【0084】
本発明のさらに好ましい態様では、該置換は、エキソン9/イントロン9境界のコンセンサススプライス部位を含有する4−ヌクレオチド配列、6−ヌクレオチド配列または8−ヌクレオチド配列内での変異を生じる。
【0085】
別の好ましい態様では、該置換は、RHD(K409K)変異を生じる。
【0086】
本発明のさらにより好ましい態様では、該置換は、イントロン9の5’スプライス部位でのAGgtからAAgtへの置換である。
【0087】
本発明のより好ましい態様では、本発明の核酸分子構造またはRHD遺伝子に由来する核酸分子はDel−表現型と相関する。
【0088】
上述のことを要約して述べると、RHD陽性対立遺伝子は、D−抗原発現の終結または低減をもたらす一塩基置換を保有しうる。本発明において開示される改良された検出方法を用い、RhD陰性において、これまで記載されていなかった4個のRHD陽性対立遺伝子を見出した。2個の対立遺伝子、RHD(W16X)およびRHD(Y330X)は、完全なRhDタンパク質の発現を妨げる終止コドンを保有する。3個の対立遺伝子において、正確なスプライシングおよびRhD発現を妨げ得るスプライス部位変異が見出された。
【0089】
試験された全RHD PCR法において、これらのアレレは、RHD陽性に分類され、正確な抗原D予測は、これらのアレレ又はこれらのアレレに連動した多型の特異的検出を必要とする。
【0090】
以前、RHD同型接合体とRHD異型接合体との区別化は、困難であった。優勢なRHD陰性アレレは、特異的に検出されなかった(Flegel, Transfus. Med. 8:281, 1998; Cossu, Electrophoresis 17:1911, 1996)。本発明により見出された前記規定された変異は、優勢なRHD陰性ハプロタイプの検出の基礎を提供するため、今や、真のRHD遺伝子タイピングが、実施できる。
【0091】
また、本発明は、当該技術分野で公知の技術、好ましくは、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、より好ましくは、PCR-RFLP、PCR-SSP又はロング−レンジ(long range)PCRなどの増幅反応により、任意の構造的特徴又は塩基配列又は前記核酸配列分子構造の療法又はそれらの組合せを利用することによる、試料中のRHD陰性ハプロタイプの特異的検出方法に関する。
【0092】
前記PCR-RFLP法及びロングレンジPCR法は、Rhesusボックス配列又はRhesusボックス隣接配列のいずれかを利用する。同じDNAストレッチ又はそれらの組合せを利用することにより、他の方法、PCR-SSO又はバイオチップなどが開発され、適用される。
【0093】
本発明の1つの好ましい態様において、前記共通のRHD陰性ハプロタイプの特異的検出方法は、下記ステップ:
(a) 血液試料又は血液ドナーからDNAを単離するステップ、
(b) PCRを行なうように、ストリンジェントな条件下に、少なくとも2つの逆に向き合うプライマーをDNAにハイブリダイズさせるステップ、
(c) 標的配列を増幅するステップ、
(d) ゲルで増幅産物を分離するステップ、及び
(e) 増幅物(amplicon)を解析するステップ、
を含む。
【0094】
前記試料は、血液、血清、痰、糞便又は他の体液であってもよく、由来するものであってもよい。解析対象の試料は、処理して抽出物としたもの、とりわけ、核酸であってもよい。好ましくはEDTA凝集血液試料又はクエン酸凝集血液試料からのDNAの単離は、改良塩析法、続くGassner, Transfusion 37: 1020, 1997に記載の標準技術により、行なわれうる。プライマーは、好ましくは、天然に生じたオリゴヌクレオチド又は精製制限消化物又は合成的に生産されたオリゴヌクレオチドのいずれかである。プライマーは、本発明の方法における効率を最大にするために、好ましくは、一本鎖であり、好ましくは、オリゴデオキシリボヌクレオチドである。当業者に周知の技術である高速液体クロマトグラフィー(HPLC)又はポリアクリルアミドゲル電気泳動(PAGE)を含む前記プライマーの精製は、本発明の方法における前記プライマーの使用に先立ち、一般的に認識される。PCR又はLCRなどの増幅方法は、当該技術分野において周知であり、例えば、Flegel, Transfusion Medicine 8 (1998), 281-302; Maaskant, Transfusion 38 (1998), 1015-1021及びLegler, Transfusion (1996), 426-31に記載される。
【0095】
本発明によれば、RHD欠失を検出する好ましい方法は、エクスパンドハイフィデリティーPCRシステムと、Rhesusボックス同一(identity)領域の5'末端に結合する非特異的プライマー並びにRhesusボックスの下流に特異的であり、かつRhesusボックス同一(identity)領域の3'末端に結合するプライマーとを用いたPCR-RFLPを行なうことである。PCR条件は、好ましくは、65 oCでのアニーリング、68oC10分間での伸長を含む。その後、PCR増幅物(amplicon)をPstIを用いて37 oCで3時間消化し、1%アガロースゲルを用いて、断片を分離(resolved)した。実施例10及び11に、さらなる好ましい方法がさらに記載される。
【0096】
本発明の他の態様は、ハイブリッドRhesusボックスの検出を含む、共通のRHD陰性ハプロタイプの特異的検出方法に関する。
【0097】
ハイブリッドRhesusボックスの検出は、対応のRHDアレレの性質に関する不明瞭でない結果を開業医に提供する。前記ハイブリッドrhesusボックスが検出されれば、ついで、RHD遺伝子が、欠失される。前記ハイブリッドRhesusボックスの検出は、ブレークポイント(breakpoint)を含有する領域に特異的にハイブリダイズするオリゴヌクレオチドを用いることにより、優先的に行われる。ハイブリダイゼーションに用いられるオリゴヌクレオチドは、直接的に、ブレークポイントのものにハイブリダイズし、かつ、さらに、前記ブレークポイントの5'及び3'の少なくとも943ヌクレオチドにハイブリダイズする必要がある。ハイブリダイゼーションは、好ましくは、0.2 X SSC、0.1% SDS、65°Cなどのストリンジェントな条件下に起こる。ハイブリッドRhesusボックス内の実際のブレークポイントは、推定乗換え事象の正確な性質により変動するであろう。したがって、ハイブリッドRhesusボックスは、ハイブリダイゼーションに用いられる多くのオーバーラップするオリゴヌクレオチド又はオーバーラップしないオリゴヌクレオチドを用いても検出されるであろう。また、ハイブリッドRhesusボックスは、制限解析(好ましくは、サザンブロット解析との組合せ)、又は本明細書において前述のように、PCR技術などの他のプロトコルを用いて検出することもできる。
【0098】
さらに、本発明の他の態様は、ハイブリッドRhesusボックスとその隣接領域とを含有した核酸分子構造を評価するステップを含む、共通のRHD陰性ハプロタイプの特異的検出方法に関する。
【0099】
本発明によれば、分子核酸構造の評価は、アガロースゲル又はポリアクリルアミドゲルのいずれかを用いるゲル電気泳動、制限酵素による処理、サザン若しくはノーザンブロッティングなどのブロッティング技術又はハイブリダイゼーションの蛍光ガイド検出などの関連技術及び当該技術分野で公知の他の技術などの解析ステップを含む。
【0100】
また、本発明は、本発明で述べられた任意のブレークポイント領域を検出するステップを含む、試料中のRHD陰性ハプロタイプの特異的検出方法に関する。
【0101】
好ましい態様では、本発明は、前記検出又は評価が、ハイブリッドRhesusボックス又はその一部を含有した核酸分子の長さの決定を含む、前記方法に関する。
【0102】
また、本発明の方法のこの好ましい態様は、ゲル電気泳動若しくはクロマトグラフィーなどの標準分離技術又は当業者に公知の塩基配列決定の標準技術を用いる。好ましくは、本発明は、この目的のために、実施例5にさらに記載されるように、市販のシークエンシングキット及びApplied Biosystems (ABI 373A又はABI 377)の自動シークエンシングマシーンを用いられる。
【0103】
本発明の他の好ましい態様は、前記検出又は評価がPCR-RFLP、PCR-SSP若しくはロングレンジPCR 又はハイブリッドRhesusボックス、好ましくは、ブレークポイント又は図4若しくは5又は図12若しくは13に記載のブレークポイント領域に特異的にハイブリダイズするプローブあるいは上流又は下流Rhesusボックスにハイブリダイズするプローブを用い、好ましくは、サザンブロット解析、ゲル電気泳動、バイオチップ解析、分子量測定又は蛍光により、行われる、前記方法に関する。
【0104】
本発明によれば、用語「〜にハイブリダイズ」とは、ストリンジェント又は非ストリンジェント条件をいう。条件の設定は、当業者に周知であり、例えば、Sambrook, loc. cit.又は HamesとHiggins、「核酸ハイブリダイゼーション、実用アプローチ(Nucleic acid hybridization, a practical approach)」、IRC Press, Oxford (1985)などに記載のプロトコルにしたがって、決定されるべきである。特異的にハイブリダイズする配列の検出は、通常、65oCで0.2 x SSC, 0.1% SDSなどのストリンジェントなハイブリダイズ及び洗浄条件を必要とするであろう。同質及び正確ではないが相補的な配列の検出のための非ストリンジェント条件は、50°C又は65oCで6x SSC, 1% SDSで設定されてもよい。周知のように、プローブの長さ及び測定対象の核酸の組成は、ハイブリダイゼーション条件のさらなるパラメータを構成する。
【0105】
さらに、本発明は、本発明の核酸分子構造又は核酸分子を含有したベクターに関する。
【0106】
前記ベクターは、増殖及び/又は発現のために用いられてもよく、遺伝子移入又はターゲティング目的のためにデザインされてもよい。かかるベクターの製造方法は、当該技術分野において周知である。同様のことが、変異を有する核酸の前記ベクターへのクローニング、適切な宿主中でのベクターの増殖などにあてはまる。
【0107】
前記ベクターは、特に、本発明の核酸分子を含有するものであって、遺伝子工学に慣用的に用いられるプラスミド、コスミド、ウイルス又はバクテリオファージであってもよい。レトロウイルス、ワクシニアウイルス、アデノ随伴ウイルス、ヘルペスウイルス又はウシパピローマウイルスなどのウイルス由来の発現ベクターは、本発明の核酸分子又はベクターの標的細胞集団への送達に用いられうる。当業者に周知の方法を用いて、組換ウイルスベクターを構築することができる;例えば、Sambrook, Molecular Cloning A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory (1989) N.Y. 及びAusubel, Current Protocols in Molecular Biology, Green Publishing Associates and Wiley Interscience, N.Y. (1989)などを参照のこと。一方、本発明のポリペプチド及びベクターは、標的細胞への送達のために、リポソームに再構成されうる。本発明の核酸分子を含有したベクターは、宿主細胞のタイプによって異なる周知の方法により宿主細胞に導入されうる。例えば、塩酸カルシウムトランスフェクションは、原核細胞に慣用的に用いられるが、リン酸カルシウム処理又はエレクトロポレーションは、他の宿主細胞型に用いられうる;例えば、上記Sambrookを参照のこと。
【0108】
かかるベクターは、適切な細胞内及び適切な条件下での前記ベクターの選別を可能にするマーカー遺伝子などの遺伝子をさらに含有してもよい。好ましくは、本発明の核酸分子は、原核細胞又は真核細胞中での発現を可能にする発現調節配列に実施可能に連結される。前記ポリヌクレオチドの発現は、翻訳されうるmRNAへのポリヌクレオチドの転写を含む。真核細胞、好ましくは、哺乳動物細胞における発現を保証する調節エレメントは、当業者に周知である。前記調節エレメントは、通常、転写開始を保証する調節配列及び任意に転写の終結と転写産物の安定化とを保証するポリ-Aシグナルを含む。さらなる調節エレメントは、転写エンハンサー、翻訳エンハンサー及び/又は天然に付随する若しくは異質なプロモーター領域を含んでもよい。原核宿主細胞における発現を可能にする可能な調節エレメントとしては、例えば、大腸菌におけるPL、lac、trp又はtacプロモーターが含まれ、真核宿主細胞における発現を可能にする調節エレメントの例示としては、酵母におけるAOX1又はGAL1プロモーター、哺乳動物及び他の動物細胞におけるCMVプロモーター、SV40プロモーター、RSVプロモーター(ラウス肉腫ウイルス)、CMVエンハンサー、SV40エンハンサー又はグロブリンイントロンなどが含まれる。また、転写開始に応答するエレメントの他に、かかる調節エレメントは、前記核酸分子の下流にSV40−ポリA部位又はtk−ポリA部位などの転写終結シグナルを含んでもよい。さらに、用いられる発現系に応じて、前記ポリペプチドを細胞内成分に向けうるリーダー配列又は培地に分泌しうるリーダー配列を、本発明のポリヌクレオチドのコード配列に付加してもよく、前記リーダー配列は、当該技術分野に周知である。リーダー配列は、適当な段階で翻訳、開始、終結配列で組み立てられ、好ましくは、翻訳されたタンパク質又はその一部をペリプラズム域又は細胞外培地に分泌させうるリーダー配列である。任意に、異質の配列は、所望の性質、例えば、発現された組換産物の安定化又は単純化精製を与えうるC末端又はN末端識別ペプチドを含む融合タンパク質をコードしてもよい。このような状況下、適切な発現ベクターは、岡山−バーグcDNA発現ベクターpcDV1(Pharmacia)、pCDM8、pRc/CMV、pcDNA1、pcDNA3(In-vitrogene)、又はpSPORT1(GIBCO BRL)など、当該技術分野に公知である。
【0109】
好ましくは、前記発現調節配列は、真核宿主細胞を形質転換しうるベクター又はトランスフェクトしうるベクターでの真核プロモーター系であるが原核宿主用の調節配列も使用されうる。
【0110】
また、前記のように、本発明のベクターは、遺伝子伝達又はターゲティングベクターであってもよい。治療用遺伝子をエクス・ビボ又はイン・ビボ技術で細胞に取り込むことに基づく遺伝子治療は、遺伝子伝達の最も重要な応用の1つである。エクス・ビボ又はイン・ビボ遺伝子治療に適したベクター及び方法は、文献に記載され、当該技術分野に公知である;例えば、Giordano、Nature Medicine 2 (1996)、534-539;Schaper、Circ. Res. 79 (1996)、911-919;Anderson、Science 256 (1992)、808-813;Isner、Lancet 348 (1996)、370-374;Muhlhauser、Circ. Res. 77 (1995)、1077-1086;Wang、Nature Medicine 2 (1996)、714-716;国際公開第94/29469号パンフレット;国際公開第97/00957号パンフレット又はSchaper, Current Opinion in Biotechnology 7 (1996), 635-640及び本明細書に記載の参考文献などを参照のこと。本発明のポリヌクレオチド及びベクターは、細胞への直接導入又はリポソーム若しくはウイルスベクター(例えば、アデノウイルス、レトロウイルス)を介する細胞への導入のためにデザインされてもよい。好ましくは、前記細胞は、生殖系細胞、胚性細胞若しくは卵細胞又はそれら由来の細胞であり、最も好ましくは、前記細胞は、幹細胞である。
【0111】
さらに、本発明は、本発明のベクターで形質転換された非ヒト宿主に関する。
【0112】
適切な宿主は、トランスジェニック動物;細菌、酵母細胞、動物、好ましくは、哺乳動物細胞、糸状菌細胞又は昆虫細胞などの細胞を含む。トランスフェクション、マイクロインジェクション、エレクトロポレーションなどを含む形質転換プロトコルも当該技術分野で周知である。
【0113】
さらに、本発明は、適切な条件下に本発明の宿主を培養する工程及びRHD遺伝子のタンパク質産物を単離する工程を含む、RHD遺伝子のタンパク質産物の製造方法に関する。
【0114】
RHD遺伝子のタンパク質産物は、慣例/方法にしたがって、回収されうる培養培地に移出することが好ましい。また、本発明において用いられる用語「培養」は、トランスジェニック動物の創出を含む。適切なベクター、構築及び任意に適切なフィードを用いて、抗原は、例えば、トランスジェニックウシのミルクから単離されてもよい。
【0115】
本発明は、さらに、本発明の核酸分子にコードされたRHD遺伝子のタンパク質産物又は本発明の方法により製造されたRHD遺伝子のタンパク質産物に関する。
【0116】
好ましくは、タンパク質は、天然の抗原と同様に、翻訳後修飾され、天然の抗原と同じ化学構造を有する。したがって、本発明の方法により製造される場合、前記タンパク質は、好ましくは、ヒト細胞において製造される。
【0117】
さらに、本発明は、ストリンジェントな条件下に、前記(ミスセンス)変異若しくは前記終止コドンを含有する本発明の核酸分子構造若しくは核酸分子の一部、又はその相補的成分にハイブリダイズするオリゴヌクレオチドあるいは本明細書上記に同定された遺伝子変換のブレークポイントにハイブリダイズするオリゴヌクレオチドに関する。
【0118】
本発明のこの態様において、オリグヌクレオチドは、変異配列又はブレークポイントに直接的にハイブリダイズする。ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件の設定は、例えば、Sambrook et al, "Molecular Cloning, A Laboratory Handbook" CSH Press, Cold Spring Harbor 1989又はHames及びHiggins, "Nucleic acid hybridization, a practical approach", IRL Press, Oxford (1985)によく記載されている。したがって、特異的にハイブリダイズする配列の検出は、通常、65°で0.2 x SSC, 0.1% SDS などのハイブリダイゼーション及び洗浄条件を必要とする。周知のように、プローブの長さ及び決定対象の核酸の組成は、ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件のさらなるパラメータを構成する。さらに、オリゴヌクレオチドは、12〜50ヌクレオチド、より好ましくは、15〜24ヌクレオチドを含むことが好ましい。ブレークポイントへのハイブリダイゼーションは、ストリンジェント又は非ストリンジェント条件下であってもよい。非ストリンジェントハイブリダイゼーション条件の例示は、50°Cで4 x SSC、0.1% SDSのハイブリダイゼーション及び洗浄である。
【0119】
さらに、本発明は、本発明のRHD遺伝子のタンパク質産物に特異的に結合する抗体又はアプタマーに関する。
【0120】
抗体は、試験管、ゲル、固相での凝集技術及び2次抗体の存在若しくは非存在下での捕獲技術などの当該技術分野に周知のいかなる血清学技術又は免疫蛍光エンハンスメントの存在若しくは非存在下でのフローサイトメトリーで試験され、用いられてもよい。
【0121】
本発明の抗体は、モノクローナル抗体であってもよく、ポリクローナル抗血清に由来又は含有される抗体であってもよい。さらに、本発明により用いられる用語「抗体」は、Fab、F(ab')2、Fv又はscFv断片などの前記抗体の断片を含む;例えば、Harlow及びLane、"Antibodies, A Laboratory Manual" CSH Press 1988, Cold Spring Harbor, N.Y.を参照のこと。前記抗体又はその断片は、天然起源のものであってもよく、(半)合成的に生産されてもよい。また、かかる合成産物は、本発明の抗体と同じ又は実質的に同じ結合特異性を有する非タンパク質性物質又は半タンパク質性物質(non-proteinaceous as semi-proteinaceous material)を含む。かかる産物は、例えば、ペプチド模倣物により得られるであろう。
【0122】
用語「アプタマー」は、当該技術分野で周知であり、例えば、Osborneら, Curr. Opin. Chem. Biol. I (1997), 5-9 or in Stall and Szoka, Pharm. Res. 12 (1995), 465-483に定義される。
【0123】
さらに、本発明は、ストリンジェントな条件下に本発明のオリゴヌクレオチドを、ヒトから得られた試料中に含有される核酸分子にハイブリダイズするステップ、及び前記ハイブリダイゼーションを検出するステップを含む、変異Rhesus D抗原をコードする核酸分子又は本発明の核酸分子構造若しくは核酸分子により特徴づけられたRHD遺伝子の欠失を有する核酸分子の試料中における存在の試験方法に関する。
【0124】
好ましくは、本発明の方法は、制限酵素で前記ハイブリダイゼーションの産物を消化するステップ又は前記ハイブリダイゼーションの産物を制限酵素での消化に供するステップ、及び前記消化の産物を解析するステップをさらに含む。
【0125】
本発明のこの好ましい態様は、慣用の手段により、有効なハイブリダイゼーションと無効なハイブリダイゼーションとの差別化を可能にする。例えば、野生型RHD遺伝子は、制限酵素部位を含有する場合、ハイブリダイズした産物は、適切な制限酵素により切断され得るであろうが、変異した配列は、二本鎖産物を生じないか、認識されうる制限部位を含有せず、それゆえ、切断されないであろう。一方、ハイブリダイズするオリゴヌクレオチドは、変異された配列にハイブリダイズするのみであってもよい。この場合、野生型配列でなく、変異配列を含有したハイブリッドだけが適切な制限酵素で切断されるであろう。消化産物の解析は、例えば、臭化エチジウムを用いた核酸の染色と任意に組み合わせてもよいゲル電気泳動などの慣用の手法により実施されうる。サザンブロッティングなどのさらなる技術との組合せも考えられうる。
【0126】
前記ハイブリダイゼーションの検出は、例えば、抗DNA二本鎖抗体により、又は標識オリゴヌクレオチドの利用により実施されてもよい。慣用的には、本発明の方法は、サザン又はノーザンブロッティング及び関連技術などのブロッティング技術とともに行われる。標識は、例えば、標準プロトコルにより実施されてもよく、放射活性マーカー、蛍光、リン光、化学発光、酵素標識などによる標識が挙げられる。
【0127】
また、本発明は、本発明のオリゴヌクレオチドとRHDΨ構造にハイブリダイズする少なくとも1つの他のオリゴヌクレオチドのいずれかを、ヒトから得られた試料中に含有された核酸分子にストリンジェントな条件下にハイブリダイズするステップ及び前記ハイブリダイゼーションを検出するステップを含む、本発明のRHDΨ及びRHD分子構造の存在の同時検出方法に関する。
【0128】
さらに、本発明は、前記(ミスセンス)変異、前記ストップコドン又は前記ハイブリッド遺伝子のブレークポイントをコードする本発明の核酸分子構造又は核酸分子の少なくとも一部の核酸配列を決定するステップ、及びRHDΨ構造の少なくとも一部を決定するステップを含む、試料中の本発明のRHDΨ及びRHD分子構造の存在の同時試験方法に関する。
【0129】
さらに、本発明は、前記(ミスセンス)変異、前記ストップコドン又は前記ハイブリッド遺伝子のブレークポイントをコードするものであって、かつ本発明の核酸分子構造又は核酸分子の少なくとも一部の核酸配列を決定するステップを含む、変異Rhesus D抗原をコードする核酸の存在又は本発明の核酸分子構造又は核酸分子により特徴付けられたようにRHD遺伝子の欠失を有する核酸分子の試料中における存在の同時試験方法に関する。
【0130】
好ましくは、本発明の方法は、前記核酸配列を決定するに先立ち、前記核酸分子構造の少なくとも前記部分の増幅をさらに含む。
【0131】
さらに、本発明は、前記配列の少なくとも一部を増幅するプライマーのセットであって、かつ増幅反応に用いられる前記プライマーの少なくとも1つが、本発明のオリゴヌクレオチドであり、少なくとも1つのプライマーが、RHDΨ構造を(例えば、特異的にハイブリダイズすることにより)増幅するものであるプライマーのセットを用いた増幅反応を行うステップ、及び増幅産物を解析するステップを含む、RHDΨ及び本発明のRHD分子構造のいずれかの試料中における存在の同時試験方法に関する。
【0132】
RHDΨは、Singletonら(Singleton, B.K., Green, C.A., Avent, N.D., Martin, P.G., Smart, E., Daka, A., Narter-Olaga, E.G., Hawthorne, L.M.,及びDaniels, G. Rh D-陰性血液群表現型のアフリカ人における37塩基対重複を含むRHD 偽遺伝子及びナンセンス変異の存在、Blood 95(1):12-18, 2000).によりキャラクタライズされているD陰性に検出されたRHDアレレである。
【0133】
さらに、本発明は、前記配列の少なくとも一部を増幅するプライマーのセットであって、かつ増幅反応に用いられる前記プライマーの少なくとも1つが、本発明のオリゴヌクレオチドであるプライマーのセットを用いて増幅反応を行うステップを含む、変異Rhesus D抗原をコードする核酸分子又は本発明の核酸分子構造又は核酸分子により特徴付けられたようにRHD遺伝子の欠失を有する核酸分子の試料中における存在を同時に試験する方法に関する。
【0134】
さらに、さらなる態様において、本発明の方法は、前記増幅反応に用いられる少なくとも1つのプライマーが本発明のオリゴヌクレオチドである方法である。
【0135】
好ましくは、増幅は、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)で実施される。リガーゼ連鎖反応などの他の増幅方法も用いられてもよい。
【0136】
本発明の方法の好ましい態様において、前記PCRは、PCR-RFLP、PCR-SSP 又はロング−レンジPCRである。
【0137】
さらに、本発明の他の好ましい態様において、増幅産物の分子量が解析される。分子量の前記解析は、アガロースゲル電気泳動SDS-PAGEマススペクトロメトリー、この目的のためには、MALDI-TOFなどの当業者に周知である標準技術などを用いる。
【0138】
本発明の方法の1つの好ましい態様において、RHD陽性アレレの検出方法は、下記ステップ:
(a) 血液試料又は血液ドナーからDNAを単離するステップ;
(b) PCRを行なうように、少なくとも2つの対向するプライマーをストリンジェントな条件下にDNAにハイブリダイズさせるステップ、
(c) 標的配列を増幅するステップ、
(d) ゲル上で増幅産物を分離するステップ、及び
(e) 増幅物(amplicon)を解析するステップ、
を含む。
【0139】
種々のステップにおいて適用されるべき特定の条件に関して、本明細書で前記の対応の記載に述べられる。
【0140】
好ましい態様において、RHD陽性アレレは、血清学的にRhD陰性である集団に由来する。他の好ましい態様において、RhD陰性試料は、白人(Caucasian)集団から選ばれる。
【0141】
本発明の方法は、標的配列が変異そのものであるか、少なくとも1つの変異を有する場合、標的配列のみの増幅をもたらすであろう。これは、前記オリゴヌクレオチドは、好ましくはストリンジェントな条件下に、野生型配列とはハイブリダイズしないが(増幅産物が得られないという結果を伴う)、変異配列にのみハイブリダイズするであろうためである。もちろん、2つの変異配列などの1以上のものにハイブリダイズするプライマーオリゴヌクレオチドが、本発明の方法に用いられるであろう。後者の態様は、変異の組合せが試験される場合に好ましいであろう。前記変異がほとんどないか、あるいはないことが、ミスセンス変異に必要であることに注目することが重要である。これは、他の型の変異が、前記ミスセンス変異との組合せ、又は前記遺伝子変換との組合せで生じる場合にあてはまるであろう。
【0142】
好ましくは、本発明の方法において、前記増幅又は増幅反応があるか、あるいは、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)により行われる。リガーゼ連鎖反応などの他の増幅方法も用いられるであろう。
【0143】
さらに、本発明は、本発明の抗体又はアプタマー又はファージへの特異的結合について、ヒトから得られた試料をアッセイするステップを含む、本発明のRHD遺伝子のタンパク質産物の試料中における存在の試験方法に関する。
【0144】
また、結合に関する試験は、ELISAなどの標準技術の実施を含むであろう;例えば、Harlow and Lane, "Antibodies, A Laboratory Manual" CSH Press 1988, Cold Spring Harborなどを参照のこと。
【0145】
他の好ましい態様において、本発明は、直接凝集法、間接抗グロブリン試験、モノクローナル抗D抗体及び吸着/溶出技術を用いるステップを含む、本発明の核酸分子構造又は本発明の核酸分子をコードするRHD遺伝子のタンパク質産物の存在の試験方法に関する。
【0146】
したがって、前記態様は、2つのモノクローナル抗D抗体を用いた直接凝集、他に、オリゴクローナル抗D抗体を含有したゲルマトリックスを用いた間接抗グロブリン試験、さらに他に、赤血球へのポリクローナル抗D抗体の吸収及びクロロホルム技術を用いた溶出を含んでもよい。本方法のさらなる記載は、実施例18に示される。
【0147】
好ましくは、本発明の方法において、前記試料は、血液、血清、血漿、胎児組織、唾液、尿、粘膜組織、粘液、膣組織、膣から得られた胎児組織、皮膚、毛髪、毛包又は他のヒト組織である。
【0148】
さらに、本発明の方法は、好ましくは、胎児細胞を富化するステップを含む。本富化は、適切な抗体、レクチン若しくは胎児細胞に特異的に結合する他の試薬を用いること又は母体組織と胎児細胞との区別的分離を試みる任意の技術、例えば、密度勾配などにより達成されうる。また、好ましくは、前記方法において、有利には、慣用の手法にしたがって、末梢血、血清又は血漿などの母体組織から胎児DNA又はmRNAを抽出することもできる。
【0149】
本発明の方法のさらなる好ましい態様において、前記試料由来の前記核酸分子又はタンパク質加水分解物質を固相に固定化する。
【0150】
好ましくは、前記固相は、チップである。
【0151】
チップの利点は、当該技術分野で周知であり、本明細書においては、詳細には、論議される必要がない。これらには、小さいサイズ及び分析対象物のコンピューターに基づく解析の容易なアクセスを含む。
【0152】
さらに、本発明は、陰性又は陽性Rhesus D表現型の解析のための本発明の核酸分子構造又は核酸分子の使用に関する。
【0153】
前記解析は、例えば、本明細書で前記した方法に基づく。
【0154】
また、本発明は、モノクローナル抗D若しくは抗C抗体又はポリクローナル抗D若しくは抗C抗血清又は抗グロブリン又は抗ヒトグロブリン抗血清又はその製剤のアフィニティー、アビディティ及び/又は反応性の評価のための、本発明の核酸分子構造又は核酸分子、本発明のベクター又は本発明のRHD遺伝子のタンパク質産物の使用に関する。
【0155】
抗Cは、抗原Cに結合するモノクローナル抗体又はポリクローナル抗体である。
【0156】
また、本発明は、モノクローナル抗D若しくは抗C抗体又はポリクローナル抗D若しくは抗C抗血清又は抗グロブリン又は抗ヒトグロブリン抗血清又はその製剤のアフィニティー、アビディティ及び/又は反応性の評価のための、本発明の核酸分子構造又は核酸分子を保持するプロバンド由来の細胞、好ましくは赤血球細胞の使用に関する。
【0157】
前記製剤は、当業者に周知の技術にしたがって提供されうる。前記製剤は、アルブミンなどの安定化剤、さらには、アジ化ナトリウム、塩イオン、緩衝液などを含有してもよい。製剤の処方は、当該技術分野に周知のように、抗体の結合特性に影響を有するであろう。
【0158】
例えば、第1のステップにおいて、キャリヤー又は血液ドナーのRhesus D遺伝子及びそのアレレ状態を解析し、前記遺伝子が本発明により、見出される変異を含有するかどうかを決定する。第2のステップにおいて、前記変異は、赤血球細胞の表面における特定のRhD抗原密度に相関する。慣用的には、前記相関は、本発明により提供されたデータ(変異自体など)及び当該技術分野に周知の技術(例えば、Jonesら、1996、Flegel及びWagner、1996など)により確立されうる。第3のステップにおいて、反応性、感度、アフィニティー、アビディティ及び/又は特異性などの抗体又は抗血清の特徴は、好ましくは、分子的に、及びRhD 抗原表面密度に関してステップ2で記載のようにキャラクタライズされた赤血球細胞を用いた適切な血液群血清学的技術で決定されうる。かかるデータは、例えば、性質調節、標準化などに用いられうる。
【0159】
本発明は、モノクローナル及びポリクローナル抗血清、好ましくは、抗Dモノクローナル又は抗血清のキャラクタリゼーション、標準化及び性質調節に最も有用であろう。さらに、例えば、抗グロブリン及び抗ヒトグロブリン抗血清は、本発明の教示に基づいてキャラクタライズされうる。適切にキャラクタライズされた抗Dモノクローナル抗体は、RhD診断に慣用的に用いられうる。例えば、適切にキャラクタライズされたモノクローナル抗体は、血液細胞の表面のD抗原密度を決定するのに有用であろう。したがって、診断に有用なモノクローナル抗体カットオフ値が確立されうる。これは、RhD診断に用いられる抗体の性質調節に重要である。
【0160】
したがって、本発明は、
(a) 本発明により決定されたブレークポイント又は変異の存在について、プロバンドの試料の核酸を試験するステップ;
(b) RHD遺伝子の変異又は欠失状態とアレレ状態とに基づき、該核酸と、該プロバンドの赤血球細胞の表面におけるRHD遺伝子のタンパク質産物の密度とを相関させるステップ;
(c) 前記モノクローナル抗体又はポリクローナル抗血清又はその製剤と、表面にRHD遺伝子のタンパク質産物を有する細胞とを反応させるステップ;
(d) ステップ(c)で得られた結果に基づき、前記モノクローナル抗体又はポリクローナル抗血清又はその製剤をキャラクタライズするステップ
を含む、モノクローナル抗体又はポリクローナル抗血清又はそれらの製剤のキャラクタリゼーション法にも関する。
【0161】
用語「アレレ状態」に関して、本用語は、プロバンドにおけるRHDアレレは、均質、異質又は半均質状態で存在する可能性を述べる。また、2つのアレレが、本明細書において、上記で規定された2つの異なる変異(変換を含む)を有する可能性が、本用語により含まれる。
【0162】
本発明の方法の好ましい態様において、前記キャラクタリゼーションは、抗体及び抗血清の反応性、感度、アビディティ、アフィニティー、特異性及び/又は他の特徴の決定を含む。
【0163】
さらに、好ましくは、表面にRHD遺伝子のタンパク質産物を有する細胞が赤血球細胞である方法である。
【0164】
また、本発明は、本発明の1以上の核酸分子構造又は核酸分子の存在について、患者由来の試料を試験するステップを含み、ここで、2種の前記核酸分子構造又は核酸分子についての陽性試験が、Rh陰性血液を用いた輸血が必要であることの指標である、輸血の必要がある患者が、ドナー由来のRhD陰性血液で輸血すべきかどうかを決定する方法に関する。他方、前記核酸分子構造又は核酸分子の1つの同一の2コピーの付随する存在を示す陽性試験が、Rh陰性血液を用いた輸血の必要の指標である。
【0165】
一方、他の本発明のRHD陰性核酸分子構造又は核酸構造を表す1以上の核酸分子構造又は核酸分子についての陰性試験を行うか、あるいは行わない、共通のRHD陰性ハプロタイプを表わす核酸分子構造又は核酸分子についての陰性試験は、RhD陽性としてタイプづけられた血液の輸血を可能にする。目下、例えば、患者が、実際にRhD陰性血液を用いた輸血を必要とするかどうか、又はかかる警戒が必要でないかどうかを簡便に調べることができる。
【0166】
また、本発明は、ドナー由来の試料について、本発明の核酸分子構造の存在を試験するステップを含み、ここで、本発明の核酸分子構造の陽性試験が、ドナーの血液の輸血を排除する、ドナーの血液が、抗原Cに曝露されるべきでない輸血の必要がある患者への輸血に適するかどうかを決定する方法に関する。
【0167】
さらに、本発明は、ドナー由来の試料について、本発明の1以上の核酸分子構造又は核酸分子の存在を試験するステップを含み、ここで、他の本発明のRHD陰性ハプロタイプを表す1以上の核酸分子構造又は核酸分子について陰性試験をともなうか、あるいはともなわない共通のRHD陰性ハプロタイプを表す核酸分子構造の陰性試験が、RhD陰性としてタイプ付けられた患者へのドナーの血液の輸血を排除する、ドナーの血液が輸血の必要がある患者への輸血に用いてもよいかどうかを決定する方法に関する。
【0168】
また、本発明は、ドナー由来の試料について、1以上の本発明の核酸分子構造又は核酸分子の存在を試験するステップを含み、ここで、2種の異なる前記核酸分子構造又は核酸分子が、RhD陰性としてタイプ付けられた患者へのドナーの血液の輸血の可能性の指標である、ドナーの血液が、RhD陰性としてタイプ付けられた患者に輸血してもよいかどうかを決定する方法に関する。
【0169】
他方、前記核酸分子構造又は核酸分子の1つの同一の2つのコピーの付随する存在が、RhD陰性としてタイプ付けられた患者へのドナーの血液の輸血の可能性の指標である。
【0170】
前記方法で述べられた試料は、血液、血清などの明細書を通して述べられた試料であってもよい。
【0171】
前記いずれかの方法に基づき、患者に輸血するガイドラインに関して、次善の輸血ポリシーが避けられることに、最大級のケアが、払われなけれならない。リスク因子は、つねに、受け持つ医者により考慮されるべきである。全ての症例において、患者の潜在的なリスクを最小化されるべきである。
【0172】
本発明はまた、本発明の1つ又はそれ以上の該核酸分子構造又は核酸分子の存在について胎児の父親から得られた試料を評価する工程を含む、RhD陽性胎児を妊娠するか保有するRhD陰性の母親の危険性、又は新生児の溶血性疾患を発生する危険性がある胎児を妊娠するか又は保有する抗D力価を有する母親の危険性を評価する方法に関し、ここで通常のRHD陰性ハプロタイプを表す核酸分子構造又は核酸分子に関する陰性試験は、本発明の他のRHD陰性ハプロタイプを表す1つ又はそれ以上の核酸分子構造又は核酸分子に関する陰性試験のありなしに関わらず、RhD陽性胎児を妊娠している高い危険性を示す。
【0173】
本発明の方法の好ましい態様では、該核酸分子構造は、変異又は欠失を有する。
【0174】
本発明はまた、本発明の1つ又はそれ以上の核酸分子構造又は核酸分子の存在について父親に由来する試料を試験する工程を含む、父親がRhD陰性であるかどうかを決定する方法に関し、ここで、2つの異なる該核酸分子構造又は核酸分子についての陽性試験は、父親がRhD陰性であることを示す。
【0175】
あるいは、RHD陰性ハプロタイプを表す該核酸分子構造又は核酸分子の一方の2つの同一のコピーが同時に存在することを示す陽性試験は、父親がRhD陰性であることを示す。
【0176】
さらに、本発明は、本発明の1つ又はそれ以上の該核酸分子構造又は核酸分子の存在について男性から得られた試料をアッセイすることにより男性が子供の父親である可能性又は尤度を評価する方法に関し、ここで試験結果は、該男性が子供の父親である可能性又は尤度を推測するために使用される本発明のRHD陰性ハプロタイプを表す任意の核酸分子構造又は核酸分子の同型接合性、異型接合性又は非存在を決定するために使用される。
【0177】
製剤は、診断製剤又は医薬製剤であり得る。
【0178】
本発明の医薬組成物は、さらに薬学的に許容されうるキャリア及び/又は希釈剤を含み得る。適切な医薬キャリアの例は、当該分野で周知であり、リン酸緩衝化生理食塩水溶液、水、エマルジョン、例えば、オイル/水エマルジョン、種々のタイプの湿潤剤、無菌溶液等が挙げられる。かかるキャリアを含有する組成物は、周知の従来の方法により製剤化されうる。これらの医薬組成物は、適切な用量で被験体に投与されうる。
【0179】
非経口投与のための製剤としては、無菌の水性又は非水性の溶液、懸濁物、及びエマルジョンが挙げられる。非水性溶媒の例は、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、オリーブオイル等の植物油、及びオレイン酸エチルのような注射可能な有機エステルである。水性キャリアとしては、水、アルコール性/水性溶液、エマルジョン又は懸濁物が挙げられ、生理食塩水及び緩衝化媒体が含まれる。非経口ベヒクルとしては、塩化ナトリウム溶液、Ringerのデキストロース、デキストロース及び塩化ナトリウム、乳酸化したRinger、又は不揮発油が挙げられる。静脈内ベヒクルとしては、流体及び栄養の補充剤、電解質補充剤(例えば、Ringerのデキストロースに基づくもの)等が挙げられる。例えば、抗菌剤、抗酸化剤、キレート剤、及び不活性ガス等の保存剤及び他の添加剤もまた存在し得る。さらに、本発明の医薬組成物は、医薬組成物の意図される使用に応じて、インターロイキン又はインターフェロン等のさらなる薬剤を含み得る。
【0180】
本発明はまた、女性に抗Dを投与することを含む、Rhesus D陰性である妊娠女性の治療方法に関し、ここで、胎児は、本発明の2つの核酸分子構造又は核酸分子を保有しないか、又は本発明の任意の核酸分子構造又は核酸分子について同型接合性でない。
【0181】
Rhesus陰性の母親がRhD陽性の胎児を保有する場合、妊娠女性は、現在、抗D予防法で治療され得る。本発明は、本発明のRhDタンパク質を保有する母親及び/又は胎児の状態に応じて、抗D予防法の必要の区別を可能にする。本発明の1つ又はそれ以上のRhDタンパク質は、それらのキャリアーの免疫化を容易にし得、従って、母親の治療の指標となる。同様に、本発明の1つ又はそれ以上のRhDタンパク質は、胎児により保有される場合、母親に対して低い免疫原性を示すことが知られ得、従って、現在の臨床治療とは異なり抗D予防法の省略を示す。
【0182】
投与は、臨床医により規定されうる標準的な経路及び用量により達成されうる;Mollison,1993。好ましくは、モノクローナル抗D又はモノクローナル抗Dの組み合わせ/混合物は、静脈内投与又は筋肉内投与については50μg〜500μgの抗D抗体/抗血清又はそれ以上の用量で投与される(Bowman,1998)。これらの抗D抗体/抗血清の質的対照のために、本発明により提供される結果及び方法が好都合に使用され得る。
【0183】
本発明はまた、RHD遺伝子のタンパク質産物の測定に関して本発明において特徴付けられるファージ、アプタマー、モノクローナル抗体若しくはポリクローナル抗血清又はその製剤の使用に関する。
【0184】
該使用の好ましい態様において、RHD遺伝子のタンパク質産物の該測定は、血液型分類に関連して達成される。
【0185】
さらに、本発明は、本発明の抗体又はアプタマー又はファージを含む製剤に関する。
【0186】
本発明はまた、(a)本発明のRHD遺伝子のタンパク質産物を、ファージの表面上のVH鎖若しくはVL鎖又はその組み合わせを示すファージライブラリー又はアプタマーと接触させる工程;
(b)該RHD遺伝子のタンパク質産物に結合するファージ又はアプタマーを同定する工程;及び任意に
(C)工程(a)及び(b)を1回又はそれ以上繰り返す工程を含む、本発明のRHD遺伝子のタンパク質産物に特異的に結合する抗体VH鎖若しくはVL鎖又はその組み合わせあるいはアプタマーを同定する方法に関する。
【0187】
ファージライブラリーの調製及び所望の抗体(鎖)のスクリーニング/同定は、それ自体当該分野で周知であり、例えば、Winterら、Annu.Rev.Immunol. 12(1994),433-455及びそこに引用される参考文献に総説されている。また、アプタマーは、従来のプロトコルに従って調製され、ファージにクローン化されうる。単一のVH鎖又はVL鎖は、本発明のRHD遺伝子のタンパク質産物に結合するので本発明の方法により同定され得るが、この状況は天然の抗体が結合する状況に似ているので、ファージにより発現されるVH−VL組み合わせを同定することが好ましい。工程(a)及び(b)を1回又はそれ以上繰り返すことにより、より良好な結合特異性が同定され得る。結合したファージを取り出す溶出工程を含む、アフィニティー等の結合特性を最適化するためのプロトコルは当該分野で充分に確立されている。例えば、好都合な結合能力を有するVH鎖が見出されれば、例えば、第一の選択工程においてVH鎖と会合するVL鎖をより適切なVL鎖に置換することにより、抗体の結合能力を有意に改善するVL鎖が同定され得る。
【0188】
本発明はまた、(a)本発明のRHD遺伝子のタンパク質産物を1つ又はそれ以上のモノクローナル抗体と接触させる工程;
(b)RHD遺伝子の該タンパク質産物に結合するモノクローナル抗体を同定する工程;及び任意に
(c)工程(a)及び(b)を1回又はそれ以上繰り返す工程、
を含む、本発明のRHD遺伝子のタンパク質産物に特異的に結合するモノクローナル抗体を同定する方法に関する。
【0189】
本発明はまた、(aa)RHD遺伝子のタンパク質産物及び
(ab)(aa)のRHD遺伝子のタンパク質産物より高いか、等しいか、又は低いモル質量で存在する、正常なDポリペプチドをファージの表面上にVH鎖あるいはVL鎖又はその組み合わせを示すファージライブラリーあるいはアプタマーと接触させる工程、
(b)(a)の該RHD遺伝子のタンパク質産物に結合するファージ又はアプタマーを同定する工程;及び任意に
(c)工程(a)及び(b)を1回又はそれ以上繰り返す工程
を含む、本発明のRHD遺伝子のタンパク質産物に特異的に結合する抗体VH鎖若しくはVL鎖又はその組み合わせあるいはアプタマーを同定する方法に関する。
【0190】
工程(ab)において特に好ましくは、正常なDポリペプチドのモル質量は、(aa)のRHD遺伝子のタンパク質産物よりも高い。
【0191】
1回だけの選択が同定に使用される場合(すなわち、工程(c)が適用されない場合)、(aa)のRHD遺伝子のタンパク質産物の数がファージ粒子の数に対してモル過剰であることが好ましい。本明細書上記の抗体VH鎖若しくはVL鎖又はその組み合わせあるいはアプタマーの同定方法の好ましい態様は、本発明の当該態様に等しく適用する。
【0192】
本発明はまた、(aa)RHD遺伝子のタンパク質産物及び
(ab)(aa)のRHD遺伝子のタンパク質産物より高いか、等しいか、又は低いモル質量で存在する、正常なDポリペプチドを1つ又はそれ以上のモノクローナル抗体と接触させる工程;
(b)(aa)の該RHD遺伝子のタンパク質産物に結合するモノクローナル抗体を同定する工程;及び任意に
(c)工程(a)及び(b)を1回又はそれ以上繰り返す工程
を含む、本発明のRHD遺伝子のタンパク質産物に特異的に結合するモノクローナル抗体の同定方法に関する。
【0193】
好ましくは、RHD遺伝子のタンパク質産物は、細胞の表面に露出される。適切な表面は、赤血球の表面である。しかし、他の宿主細胞は、本発明のRHD遺伝子のタンパク質産物の発現に適したベクターでトランスフェクトされ、その表面上に同物を発現し得る。抗体はまた、D抗原のタンパク質の組換えタンパク質又は一部及び精製タンパク質に結合し得る。
【0194】
ポリペプチド又は宿主細胞が、固相支持体に固定されることがさらに好ましい。固相支持体の適切な例は、マイクロタイタープレート又はビーズである。
【0195】
さらに好ましい抗体においては、工程(b)又は(c)に続いて、以下の工程が行われる:
(d)VH鎖又はVL鎖のアミノ酸配列を同定する工程及び/又は該アミノ酸配列をコードする核酸配列を同定する工程。
【0196】
アミノ酸配列/核酸配列の同定は、従来のプロトコルに従って達成されうる;例えば、Sambrookら、loc.cit.を参照のこと。
【0197】
それゆえ、及び要約すると、本発明は、上記の共通なRHD陰性ハプロタイプ、ならびに血清学的にRhD陰性な集団中のおそらく稀なRHD陽性アレレを含む、RHDハプロタイプの検出のための手段及び方法を提供する。RHD配列を保有し、それゆえRHD陽性として決定される後者のアレレは、RHD/RHCEハイブリッド遺伝子、終止コドン、スプライシング部位変異又は遺伝子欠失のいずれかを含み、これはRhD抗原発現を終結又は減少させる。本発明の改善された検出方法を行うことにより、驚くことに、ルーチンな血清学においてRhD陰性であると測定されたいくつかの試料がRHD陽性アレレを有すると同定され得ることを見出した。さらに、それらの試料のいくつかは、吸着及び溶出に基づく検出アッセイを行った場合にもRhD抗原陽性であり、RhD陰性においてRHD陽性アレレに基づく分子が、予測されるよりも不均一であることを示す。有益なことに、本発明の開示内容はいまや、RHDの特定の配列がRhD陽性の表現型を引き起こすかRhD陰性の表現型を引き起こすかを決定するための新規で実行可能な核酸増幅技術を提供する。
【0198】
特に好ましい態様では、本発明の方法は、1回だけの選択が同定に使用される場合、(a)のRHD遺伝子のタンパク質分子の数は、ファージ粒子の数に対してモル過剰である。
【0199】
さらに、本発明は、細胞、好ましくは本発明のRHD遺伝子のタンパク質産物を含む赤血球、又は本発明の方法により、本発明のモノクローナル抗D抗体若しくは抗C抗体又はポリクローナル抗D抗血清若しくは抗C抗血清又は抗グロブリン抗血清若しくは抗ヒトグロブリン抗血清又はその製剤のアフィニティー、アビディティ及び/又は反応性の評価のためにプロバンドから生産された赤血球の使用に関する。
【0200】
さらに、本発明は、SMP1多型に遺伝的に関連する特定のRH(RHD−RHCE)−ハプロタイプを決定するためのSMP1多型の使用に関する。
【0201】
本発明の当該態様の基礎は、3つの遺伝子:RHD、RHCE、及びSMP1を含む、RH遺伝子座の独特の構造により提供される。後者の遺伝子のヌクレオチド配列は、18kDa小膜タンパク質ファミリーの推定上のメンバーとしてGenbankに寄託されている。その機能は、未だ不明である。それは、第21染色体上のオープンリーディングフレームに相同性を示す(Reboul, Genome res.9:242,1999)。両方のRH遺伝子の間の位置は、SMP1遺伝子の任意の多型が特定のRHハプロタイプに密接に関連しており、SMP1遺伝子の機能的に関連する変異が特定のRHハプロタイプについて、又はそれに対して選択圧を引き起こし得ることが予想される。かかる因子は、欧州においてRH陰性の頻度が高いことのような、RHハプロタイプ分布の以前には解決されなかったいくつかの問題を説明する。SMP1における多型のスクリーニングは、それゆえ、RH遺伝子座の理解ならびにその診断適用のためにかなり興味深い。
【0202】
本発明による用語「多型」とは、集団における1より多くの遺伝子構造若しくはハプロタイプの遺伝子又はDNAセグメントの存在に関する。にもかかわらず、時には、かかる遺伝的多型は、常に異なる表現型を生じるわけではなく、遺伝子レベルでのみ検出され得る。
【0203】
他の好ましい態様では、本発明は、当該分野で公知の技術、好ましくはPCR−RFLP、PCR−SSP又はロングレンジPCRにより、任意の構造特徴又はヌクレオチド配列若しくは両方のRH遺伝子座又はその組み合わせを利用することにより、SPM1遺伝子におけるSMP1多型の決定を含む、特定のRH(RHD−RHCE)−ハプロタイプの検出方法に関する。
【0204】
さらに、本発明は、(a)本発明のオリゴヌクレオチド;及び/又は
(b)本発明の抗体;
(c)本発明のアプタマー;及び/又は
(d)本発明のファージ;
(e)本発明の増幅反応を行うために有用なプライマー対
を含んでなるキットに関する。
【0205】
キットのパーツは、バイアルに又は容器若しくは多容器単位との組み合わせに独立してパッケージされうる。本発明のキットは、本発明の方法を行うために好都合に使用され得、とりわけ上記の種々の適用に使用され得る。キットの製造は、好ましくは、当業者に公知の標準的な手順に従う。
【0206】
本発明はまた、本発明に記載の任意のブレークポイント領域を検出する工程を含む、RHD遺伝子によりコードされる抗原Cの存在を決定するためのプロセスに関する。
【0207】
最後に、本発明は、本発明のプロセスの工程を含む、抗原Cの存在を決定するためのプロセスに関する。
【0208】
本明細書中に引用される文献の開示内容は、参考として本明細書に援用される。
【0209】
本実施例は、本発明を説明する。
【0210】
実施例1:血液試料およびDNA単離
白人の血液ドナーからEDTA−またはクエン酸−抗凝固血液試料を回収し、抗−Dを用いる抗グロブリン試験を含む通常の分類においてD陰性として特徴付けた(Wissenschaftlicher Beirat der Bundesaerztekammer;Paul−Ehrlich−Institut.Richtlinien zur Blutgruppenbestimmung und Bluttransfusion(Haemotherapie).Koeln:Deutscher Aerzte−Verlag;1996;Wagner,Infusionsther Transfusionsmed 22:285−90,1995)。必要な場合、特異的なCcEe表現型に対してランダムに試料を回収した。全部で314個のccddee、433個のCcddee、271個のccddEe、19個のCcddEe、24個のCCddee、1個のCcddEEおよび6個のccddEEの試料を試験した。Gassnerら、Transfusion 37;1020、1997に記載の改変した塩析手順により、DNAを単離した。
【0211】
実施例2:分子研究
RHDプロモーター、イントロン4、エキソン7、およびエキソン10の3’非翻訳領域に位置する4つの異なるRHD特異的多型の存在に対して、PCR−SSPにより、全試料を試験した。少なくとも1つの陽性PCR反応を用いて48試料を検出した(表5)。エキソン3、エキソン4、エキソン5、エキソン6、エキソン7、イントロン7およびエキソン9におけるRHD特異的多型の存在に対して、それらの試料をさらに調査した。26試料は、陽性および陰性反応の混合物を伴う8つの明確なPCRパターンの1つを示した(表6)。22試料は、調査された全てのRHD特異的多型に対して陽性であり、ゲノムDNA由来の10個のRHDエキソンのRHD特異的配列決定により8個のRHDアレレに割り当てた(表7)。各PCRパターンおよび各RHDアレレに対して、1つの試料を血清学的に調査した。弱いD、部分的にD、およびDelを示すために表現型を測定するか、吸着/溶出により血清学的にD陰性であると確認した(表6および7)。
【0212】
実施例3:DNAデータベース調査および解析
BLASTプログラムを用いてRHD(RhXIII、寄託番号X63097)およびRHCE(RhVI、X63095)の代表的なcDNA配列を用いて、GenBank(http://www.ncbi.nlm.nih.gov/BLAST/)およびSanger Centerの第1染色体データベース(http://www.sanger.ac.uk/cgi−bin/nph−Blast_Server.html)を調査した。84,810bpゲノムクローンdJ469D22(GenBank寄託番号AL031284)、129,747bpゲノムクローンdJ465N24(GenBank寄託番号AL031432)および2,234bp SMP1 cDNA(GenBank寄託番号AF081282)を同定した。dJ469D22は、RHCE開始コドンの33,340bp5’側で始まり、エキソン9の1,142bp3’側で終わるRHCE遺伝子の主要な断片を表した。dJ465N24において、120,158〜121,568の間に位置する1,418bpの内部ストレッチは、RHD cDNAの3’末端に96%相同であった。SMP1 cDNAの3’末端は、RHCE cDNAの3’末端に相補的であり、58bpが重複した。
【0213】
実施例4:PCR
特に記載しないかぎり、拡大したロングテンプレート(expand long template)または拡大した高度忠実性PCRシステム(expand high fidelity PCR systems)(Boehringer Mannheim、Mannheim、Germany)および記載したプライマー(表1)を用いて60℃のアニーリング、68℃で10分間伸長および92℃での変性によりPCR反応を行なった。3つのPCR反応を用いて、RH遺伝子の3’隣接領域におけるギャップを埋めた。プライマーrea7およびrend31を用いてPCR1を行なった(PCR2、rend32、sf1c;PCR3、rea7、sf3)。センスプライマーrend32、rey14a、rey15aおよびアンチセンスプライマーre011dおよびre014を伴うPCR増幅で5’隣接領域の構造を確認した。RHDに対してrb10bおよびrr4(RHCEに対してre96およびrh7)を用いるPCR増幅に基づいてイントロン9のサイズを約9,000bpであると見積もった。
【0214】
実施例5:ヌクレオチド配列決定
DNA配列決定ユニット(Prism BigDyeターミネーターサイクル−シークエンシングレディー反応キット;ABI 373A、Applied Biosystems、Weiterstadt、Germany)を用いてヌクレオチド配列決定を行なった。
【0215】
実施例6:RH遺伝子座の特徴付け
RH遺伝子座の物理的構造を誘導した(図1)。以下の考察からこの構造を推測した。(i)3’隣接領域。RHDの3’隣接領域は、dJ465N24の3’部分に高度に相同性であった(図1B、領域c)。PCR増幅産物を得ることができたという事実により証明されるように、この相同性は、RHD cDNAの末端を越えて続き、少なくとも8,000bp伸びた(図1B、PCR1)。dJ465N24の3'部分に対して相同な配列は、SMP1遺伝子の5'領域に隣接した(図1B;PCR2)。SMP1遺伝子の3'末端は、それぞれのcDNAの3'末端の相補性により示されるようにRHCE遺伝子にすぐ隣接して存在し、PCRにより確認した(図1B、PCR3)。RHD3'隣接領域(Rhesusボックス)およびSMP1遺伝子のさらなる詳細を以下に記載する。(ii)5'隣接領域。dJ469D22は、RHCEの隣接領域の5'側に33,340bpを含有した。RHDに対して、dJ465N24の3'末端およびdJ469D22の間での466bp相同性は、dJ465N24がRHDの5'隣接配列を表わすことを示した。この仮説をPCRにより証明した(図2)。(iii)YAC 38A−A10の解析。YAC 38A−A10由来のDNA(UK HGMP資源センター、Cambridge、UK)を、標準法(http://hdklab.wustl.edu/lab_manual/yeast)による単一増殖期間後、単離した。このYACがRH DNAを含むことを確認した。さらに、ショットガンクローニング実験は、その挿入物のいくつかがおそらくX染色体に由来することを示した(データ示さず)。このYACは、RHCEエキソン2〜10およびRHDエキソン1〜10を含むことが知られており(Carritt,Hum.Mol.Genet.6:843、1997)、したがってRHDおよびRHCEの間に散在したDNAセグメントを含むことが予期された。このYACにおけるRH座の異なる部分に代表的なDNAセグメントの存在を観察した(表2)。結果は、図1、パネルAで示されるRH座の提案された構造に一致した。
【0216】
実施例7:RHDプロモーターにおけるRHD特異的配列の同定
染色体ウォーキング(GenomeWalkerキット、Clontech、Heidelberg、Germany)により、約2,000bpのRHDプロモーター配列を確立した。プライマーre04およびre11d(表1)を用いた、D−陽性およびD−陰性試料を増幅し、内部プライマーを用いた配列決定により開始コドンの5’側の1,200bpに対してRHD−およびRHCE−特異的配列を確立した。RHD遺伝子における短い欠失を同定し、RHD−特異的プライマーre011dを開発するために使用した。RHDプロモーターを含む1,200bp配列を寄託番号AJ252314のもとでEMBLに寄託した。
【0217】
実施例8:Rhesusボックスの特徴付け
RHD遺伝子の5’および3’に位置する約9,000bpの2つのDNAセグメントは、高度に相同性であり、同一配向を有し、「Rhesusボックス」と命名した(図4)。Rhesusボックスを増幅し、PCRプライマー対のrez4/rend31およびrend32/re011d(Rhesusボックス上流)、rea7/rend31およびrend32/sr9(Rhesusボックス下流)ならびにrez4/rend31およびrend32/sr9(RHD−陰性のハイブリッドRhesusボックス)を使用して2つの重複断片における内部プライマーを用いて配列決定を行なった。Rhesusボックスの上流(RHDの5’)は、約9,142bp長であり、RHD開始コドンの4,900bp5’側で終了した。Rhesusボックスの下流(RHDの3’)は、9,145bp長であり、RHD終始コドン後104bpで始まった。Rhesusボックスは、RHCEに対して相同性を有するRHDの部分を正確に含む。両方のRhesusボックスの中央部分は、トランスポゾン様ヒトエレメント(THE−1B)のほとんど完全な残りを含んだ。THE−1Bエレメントにおいて通常見出される単一オープンリーディングフレームは、しかしながら、コドン4でのナンセンス以上を含む、両方のRhesusボックスにおいて平行で生じるいくつかのヌクレオチド異常のために除外した。両方のRhesusボックスの間では全部で98.6%相同であった一方で、5,701〜7,163位の間に位置する1,463bp「同一領域」は、ポリT区域での4bpT挿入の単一の例外を除き完全に同一であった。
【0218】
実施例9:SMP1のゲノム構造の評価
内部プライマーを用いるPCRおよびヌクレオチド配列決定により、SMP1遺伝子のゲノム構造を評価した(図3)。プライマーrend32、sr9、sf1c、sf1、sm19、sr45、sr47、sr47c、sr5、sr5c、sr55、sr55c、sr3、sr3kp、rea7を用いて得られたPCR増幅産物により、SMP1イントロンのサイズを見積もった。イントロン/エキソンジャンクションの位置およびさらなるイントロンの不在を、ヌクレオチド配列決定により決定した。6個のイントロンを同定し得た。エキソン1は5’非翻訳配列のみを含み、Rhesusボックスから15bp離れていた。エキソン7のロング3’非翻訳配列は、RHCEエキソン10と重複した。全遺伝子サイズは20,000bpであると見積もられ、Rhesusボックスの下流と連結すると、約30,000bpのRHDおよびRHCEの間の距離をもたらした、(図1)。
【0219】
実施例10:RHD陰性ハプロタイプにおけるRHD遺伝子欠失の局在
2つのRhesusボックスの相同は、共通のRHD陰性ハプロタイプにおけるRHD欠失の機構の助けになると推論した。RHD陰性DNAにおけるRhesusボックスのヌクレオチド配列を決定した(図5)。RHD陰性において検出された単一Rhesusボックスは、ハイブリッド構造を有した。このRhesusボックスの5’末端はRhesusボックスの上流を表わし、3’末端はRhesusボックスの下流を表した。RHD欠失の903bpブレークポイント領域は、Rhesusボックスの同一領域に位置した(図4、左を指す矢印)。
【0220】
実施例11:PCRによるRHD欠失の特異的検出
優勢なRHD陰性ハプロタイプに生じるRHD遺伝子欠失の特異的な検出のために、2つのPCRに基づく方法を開発した(図6)。バッファー3ならびにプライマーrez4(Rhesusボックスの上流の5’)およびsr9(SMP1エキソン1)を用いて拡大したロングテンプレートPCRシステムを使用して、ロングレンジPCR−SSPを行なった。アニーリングは60℃であり、伸長は20分間68℃であった。1%アガロースゲルを用いてPCR増幅産物を分離した。拡大した高度忠実性PCRシステムならびにプライマーrez27(非特異的、Rhesusボックス同一領域の5’)およびrnb31(Rhesusボックスの下流に特異的、Rhesusボックス同一領域の3’)を用いて、PCR−RFLPを行なった。アニーリングは65℃であり、伸長は10分間68℃であった。PCR増幅産物を、PstIで3時間37℃で消化し、断片を1%アガロースゲルを用いて分離した。これらの技術により、たとえRHD陰性ハプロタイプがRHD陽性ハプロタイプに対してトランスであっても、共通のRHD陰性ハプロタイプの便利で直接の検出が可能になった。より多くの試料にPCR−RFLPをさらに適用した(表3)。予期したように、既知の遺伝子型を有する全部で33個の試料を正しく分類した。ごく普通の表現型に代表的な68個のさらなる試料において、結果は集団における既知のハプロタイプ頻度と一致した。
【0221】
実施例12:RHD PCR−SSP
PCR−SSP反応(表4)を、前に記載したRHDエキソン特異的PCR−SSP法(Gassner、Transfusion 37:1020−6、1997)から適合および拡張し、同一のサーモサイクリング条件下で研究するために誘引(trigger)した。エキソン6(0.1μM)、イントロン7(0.4μM)およびエキソン9(0.4μM)を例外とし、全ての反応に対して特異的プライマーの濃度は0.2μMであった。ほとんどの試料に対して、0.2μMのエキソン7(プライマーセットga71/ga72)および0.1μMのイントロン4プライマーを含む頻回反応としてイントロン4/エキソン7を試験した。各反応物は、プロモーター、イントロン4、およびga71/ga72を有するエキソン7に対して0.05μM;エキソン10に対して0.075μM;イントロン7に対して0.1μM;エキソン3、エキソン4、rb26/re71を有するエキソン7およびエキソン9に対して0.15μM;エキソン5およびエキソン6に対して0.2μMの濃度で、内部対照としてHGHプライマー(Gassner、Transfusion 37:1020−6、1997)の1セットを含んだ。Mg2+濃度はイントロン7に対して0.4μMであり、全ての他の反応物に対して0.15μMであった。エキソン6に対して、20%溶液Q(Quiagen、Hilden、Germany)を添加した。
【0222】
実施例13.通常のDNAタイピングのための改良したRHD PCR−SSP
本研究で検出され、前記したアレレに基づいて、我々は、単一PCR管におけるRHD(W16X)と同様に、本研究で検出されたRHDΨおよびアレレの特異的な検出を含む通常のDNAタイピングのための改良したRHD PCR−SSPを考案した。反応Aは、0.3μMのプライマーga71およびga72、0.1μMのrb12およびre41、ならびに0.1μMのHGHプライマーを含んだ。Mg2+は、0.175μMであった。反応Bは、0.5μMのプライマーRhPsiFおよびRhPsiB、0.3μMのre11dおよびRhX1f1、0.2μMのre721およびrb9ならびに対照プライマーとして0.2μMのrend9b1およびrend9b2を含んだ。プライマー配列は、ga71,gttgtaaccgagtgctggggattc;ga72,tgccggctccgacggtatc;rb12,tcctgaacctgctctgtgaagtgc;re41,cgatacccagtttgtctgccatgc;RhPsiF,agacagactaccacatgaacttac;RhPsiB,tctgatctttatcctccgttccctc;re11d,agaagatgggggaatctttttcct;RhX1f1,cgctgcctgcccctctga;re721,ctggaggctctgagaggttgag;rb9,aagctgagttccccaatgctgagg;rend9b1,cactgcacttggcaccattgag;rend9b2,ttccgaaggctgcttttcccであった。PCR反応を2つの管で(図15)、5つの多型を試験することができ、1:10,000より少ない偽−陽性率を有することを予測した(表11)。
【0223】
実施例14:CdeS に対するPCR反応
0.3μMの特異的プライマーRh152Tbおよびga31を用いるPCR−SSP反応により、CdeS ハプロタイプに生じるN152T置換を有するハイブリッドエキソン3を検出した。CdeS で観察されるL245V置換を0.2μMの特異的プライマーRh223VfおよびRh245Vbを用いて検出した。HGHプライマー濃度は0.1μMであった。他のPCR条件は、前の段落で記載したものと同じであった。プライマー配列は、Rh152Tb,gatattactgatgaccatcctcatgg;Rh223Vf,ttgtggatgttctggccaagtg;およびRh245Vb,gctgtcaccactctgactgctacであった。CdeSハプロタイプは、アフリカ人で頻繁であり(Faas、Transfusion 37:38−44、1997;Singleton、Blood 95:12−8、2000)、RHCE特異的N152T置換を有するハイブリッドエキソン3を持つ(Faas、Transfusion 37:38−44、1997)。このハイブリッドエキソンは、383位(コドン128)でAを検出し、RHDエキソン3特異的PCRによりRHD陽性として分類されることが予期され、集団調査に使用した。パターン4およびパターン8がCdeSハプロタイプについての既知のデータと一致するので、エキソン3の3’部分の配列決定およびCdeS を示すエキソン3ハイブリッドに特異的なPCR−SSPにより、ハイブリッドエキソン3の存在を2つの試料において評価した。パターン4の試料は、通常のRHDエキソン3を持ち、一方パターン8の試料は、CdeS ハプロタイプを予測するハイブリッドエキソン3を有した。また、CdeS ハプロタイプに典型的であり(Daniels、Transfusion 38:951−8、1998)、DカテゴリーIIIタイプIVにも存在する410位のT(A137V置換)を検出した。733位でのG(L245V置換)を検出するPCR−SSPにより、パターン8とCdeS の同一性をさらに確証した。
【0224】
実施例15:イントロン3におけるCdeS の5’ブレークポイント領域
そのcDNAに基づいて、エキソン3の5’部分がRHDに由来し、コドン152を含むエキソン3の3’部分がRHCEに由来するRHD−CE(3−7)−Dハイブリッド遺伝子として、CdeS を特徴付けた。我々は、N152T置換を有する同様のハイブリッドエキソン3が、DカテゴリーIIIタイプVIで(Wagner,F.F.,Frohmajer,A.,Ladewig,B.,Eicher,N.I.,Lonicer,C.B.,Mueller,T.H.,Siegel,M.H.,およびFlegel,W.A.弱いDアレレは明白な表現型を発現する(Weak D alleles express distinct phenotypes)、Blood 95:2699−2708,2000)およびDカテゴリーIVaで(Rouillac,C.,Colin,Y.,Hughes−Jones,N.C.,Beolet,M.,D'Ambrosio,A.−M.,
Cartron,J.P.,およびLe Van Kim,C.、Dカテゴリー表現型の転写解析はDエピトープの改変に関連するハイブリッドRh D−CE−Dタンパク質を予測する(Transcript analysis of D category phenotypes predicts hybrid Rh D-CE-D proteins associated with alteration of D epitopes)、Blood 85:2937−2944,1995)、エキソン4〜7がRHDに由来する2つの異常型RHDアレレが見られることに注目した。我々は、N152T置換がCdeS におけるRHDエキソン4〜7の置換より前であると推論した。この場合、5’ブレークポイント領域は、cDNAから予測されるようにエキソン3よりもむしろイントロン3に位置すると予期した。我々は、それゆえにCdeS イントロン3におけるRHD特異的多型の存在を評価した。
【0225】
EcoRV−部位のヌクレオチド752位(RHD特異的)および2872位(RHCE特異的)ならびにPvuII−部位のヌクレオチド1777位(RHCE特異的)の存在を評価するために、RHDおよびRHCEのイントロン3の5’部分をプライマーrb3およびrb33を用いて増幅し、EcoRVまたはPvuIIで消化した。SacI−部位のヌクレオチド7797位(RHCE特異的)およびAlw44I−部位のヌクレオチド8550位(RHD特異的)の存在を評価するために、RHDおよびRHCEのイントロン3の3’部分をプライマーrb34およびrb5を用いて増幅し、SacIまたはAlw44Iで消化した。プライマー配列は、rb3,aaggtcaacttggcgcagttggtgg;rb33,gtgagactgagttctgtattctgg;rb34,ccagaatacagaactcagtctcac;rb5,ggcagacaaactgggtatcgttgcであった。
【0226】
これらのイントロン3多型のPCR−RFLP解析は、RHD特異的配列が、少なくともイントロン3の2872位までに存在することを示した。さらに、CdeS の5’ブレークポイント領域を決定するために、我々はブレークポイント領域を含むDNAストレッチを配列決定した。DNAをプライマーrb3およびrb37を用いて増幅し、プライマーrb33、rb34およびCdesf1を用いて配列決定した。プライマー配列は、re37,gggttaaagtcacatacacagatg;Cdesf1,atacagaactcagtctcacaacttagであった。我々は、図12に示されるように、ブレークポイント領域がイントロン3に位置すると確定した。
【0227】
実施例16:イントロン7におけるCdeS の3’ブレークポイント領域
イントロン7におけるCdeS の3’ブレークポイント領域を決定するために、我々はイントロン7の部分を配列決定した。センスプライマーrb8、re77およびrex1、ならびにアンチセンスプライマーrb51およびre711bを使用してDNAを増幅した。プライマーrb43、rex19c、cdes7b2およびcdes7f2をヌクレオチド配列決定のために用いた。プライマー配列は、rb8,gtgttgtaaccgagtgctgggg;re77,tctccacagctccatcatggg;rex1,ggctgtaaaaatggctgaagcag;rb51,gcatgacgtgttctgcctcttg;re711b,ctatcagcattctgatctcaacg;rb43,gaatagcagagaaaacctcagactgcc;rex19c,gctccattcttgacaatacaggc;cdes7b2,gcttatactatataagttgggttttttgg;cdes7f2,gtttgaatcccaagagccactcatであった。我々は、図13に示されるように、ブレークポイント領域を確定した。RHCEおよびRHDの特異的配列の間に多数のスイッチがあるために、3’ブレークポイント領域の構造は興味深いものであった。これらの特徴はブレークポイント領域にはまれであり、CdeS の特異的診断に使用しうる。それらは、親のアレレが標準のRHCEまたはRHD配列と異なったか、または主要な遺伝子変換の後、さらなる小さな遺伝子変換が導入されたことを示しうる。
【0228】
実施例17:CdeS を特異的に検出するためのPCR−SSP
通常、CdeS の存在は、RHDエキソン特異的PCRにおけるRHD−CE−Dハイブリッドパターンにより同定される。かかるアプローチは、RHD陽性ハプロタイプがトランスで生じる場合、D陰性CdeSハプロタイプの特異的検出をすることができない。CdeS はハイブリッドRhesusボックスを含まないので、RHD/CdeS 異型接合のヒトが、RHD+ /RHD+ 同型接合として誤って分類されることが起こりうる。プロモーター、イントロン2、エキソン2およびエキソン3にCdeS のいくつかの明白な特徴があり、それを特異的な検出に使用しうる。これらの特徴は、しかしながら、D陽性アレレDカテゴリーIVaによりおよび部分的にDカテゴリーIIIタイプIVにより共有され、それゆえにかかる検出方法を混乱させうる。
【0229】
イントロン7におけるCdeS 特異的DNA配列に基づいて、我々は、CdeS を特異的に検出するPCR−SSPを開発した。0.4μMの特異的プライマーCdes7f2およびCdes7b2ならびに0.15μMのHGH対照プライマーを用いるPCR−SSPにより、イントロン7におけるCdeS の3’ブレークポイント領域を検出した。他のPCR条件は、実施例12で記載したものと同じであった。プライマー配列は、Cdes7f2,gtttgaatcccaagagccactcat;Cdes7b2,gcttatactatataagttgggttttttggであった。我々は、インデックスCdeS 試料(図14)、2つのさらなるCdeS 試料およびRHDΨ/CdeS 異型接合試料(図14)を用いて特異的な産物を得た。通常のRHD陽性およびRHD陰性試料ならびにDカテゴリーIIIタイプIVおよびDカテゴリーIVaの試料は、特異的なPCR産物を生じなかった(図14)。我々は、我々のPCR−SSP法が、CdeS の特異的な検出を、たとえそれがもう1つのRHD陽性アレレに対してトランスで生じたとしても可能にすると結論付けた。さらに、CdeS を有するN152T置換を共有するDカテゴリーIIIタイプIVまたはDカテゴリーIVaにより、この検出方法は混乱されなかった。後者のハプロタイプは、CdeS が優勢であるアフリカ系民族のバックグラウンドを含む集団で頻繁であることに注目すべきである。本実施例で我々が記載した方法は、CdeS の特異的な検出を可能にし、他のハプロタイプと混同されることがなく、それゆえに従来技術に対するかなりの改良を提示する。5’ブレークポイント領域の我々の特徴付けは(実施例15)、PCR−SSP、PCR−LP、PCR−RFLP、PCR−SSO、サザンブロットなどのような、当該技術分野で公知の任意の適切な方法によりCdeS の特異的な検出を同様に可能にする。
【0230】
CdeS の特異的な検出はまた、抗原Cの正確な予測に重要である。CdeSのRHD遺伝子は、抗原Cの予測のためのDNAに基づく方法においてしばしば見落とされる抗原Cをコードする。
【0231】
実施例18:免疫血液学
各RHD陽性アレレの1例を、2つのモノクローナル抗D(Seraclon 抗D、クローンBS226;Biotest, Dreieich, GermanyおよびFrekaklon 抗D、クローンMS201;Gull, Bad Homburg, Germany)を用いた直接凝集により評価した。間接的な抗グロブリン試験を、オリゴクローナル抗D(Seraclon抗Dブレンド、クローンH41 11B7, BS221およびBS232;Biotest)を用いて、ゲルマトリックス試験(LISS-Coombs 37℃、DiaMed-ID Micro Typing System, DiaMed, Cressier sur Morat, Switzerland)において行った。ゲルマトリックス技術において反応性の試料を、モノクローナル抗D HM10, HM16, P3x61, P3x35, P3x212 11F1, P3x212 23B10, P3x241, P3x249, P3x290(Diagast, Loos, France)およびH41 11B7(Biotest)を用いてさらに調べた。Del表現型の存在を、500μlの赤血球に対する500μlのポリクローナル抗D(ヒト不完全抗D;Lorne Laboratories, Reading,UK)の37℃で1時間の吸収およびクロロホルム技術(Flegel, Transfusion 40:428-434,2000)を用いた溶出により決定した。D陰性であると通常分類される試料の分析により、16のDel試料、および弱いかまたは部分的なDを伴った3のD陽性試料が明かになった。これらの試料は、CまたはEを有するD陰性であると以前に考えられていた試料中に集まっていた(表9)。通常の血清学とイントロン4およびエキソン7のPCR試験との間の27の内の19の不一致は、血清学により見落とされたD陽性試料を示し、8つのみが偽陽性PCRによるものであった。
【0232】
実施例19:ハプロタイプ頻度
一度より多く観察されたアレレについて、それらのハプロタイプ関連性はわずかであった。一度だけ観察されたアレレを、cdeハプロタイプよりむしろCdeまたはcdEハプロタイプに関連すると仮定した。なぜなら、RHD陽性アレレがいずれのccddee試料においても検出されなかったからである。単一のCcddEe試料に存在するアレレは、Cdeについて2分の1であり、cdEについて2分の1であると形式的に計数した。Ccddee試料は、1つの異常な、および1つの正常なCdeアレレを保有すると仮定した。そのハプロタイプにおける所定の異常なRHDアレレの頻度を、観察下で対応するハプロタイプの数で観察された試料の数を割ることにより計算した(500のCde、302のcdE)。RHDアレレの集団頻度を、そのハプロタイプ中の当該アレレの頻度および地方集団におけるハプロタイプの既知の頻度から計算した(Wagner, Infusionsther. Transfusionsmed. 22:285-90, 1995)。各PCRパターンおよび各RHDアレレについてのハプロタイプ頻度を計算した(表8)。Aventらによる英国における以前の研究(Avent, Blood 89:2568-77,1997)と一致して、4.9%のCdeハプロタイプおよび1.5%のcdEハプロタイプが、我々の集団においてRHD陽性であった。RHD陽性アレレが314のccddee試料内で検出されなかったので、cdeハプロタイプの頻度は0.5%未満であった(片側の上限、95%の信頼区間、ポアソン分布)。3つの頻度は互いに統計学的に有意に異なっていた(p<0.05;Bonferoni-Holmにより補正された各々の対比較法に関する両側フィッシャー正確(検定)。任意のD陰性RHD陽性ハプロタイプの集団頻度は、1:1,606であると推定した。Delアレレは、仮定されたCdeハプロタイプでのみ観察され得た。血液バンクの常套手法においてD陰性に分類された抗原Cを保有する約3%の試料はDelを示した。Delアレレの集団頻度は、1:3,030であった。
【0233】
【表1】
【0234】
【表2】
【0235】
【表3】
【0236】
【表4】
【0237】
【表5】
【0238】
【表6】
【0239】
【表7】
【0240】
【表8】
【0241】
【表9】
【0242】
【表10】
【0243】
【表11】
【0244】
引用文献
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【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は、RH遺伝子座の模式的構造を示す図である。遺伝子及びRhesusボックスの位置及び方向を、それぞれ白抜きの矢印及び三角で示す(パネルA)。エキソンを垂直方向のバーとして示し、エキソン数を示す。2つのRH遺伝子は、反対の方向を有し、互いに3’末端で向かい合っており、約30,000bp離れている。第3の遺伝子、SMP1は、RHDと同じ方向を有し、RHDとRHCEとの間に位置する。RHD遺伝子は、両端で2つの高度に相同的なRhesusボックス(b)に隣接する。全てのエキソンは、RHD及びSMP1の3’末端のエキソンを除いて200bp未満である。当該構造を確立するために使用されるデータ(パネルB)としては、cDNA(水平方向の矢印)において表されるゲノム配列の伸長、ゲノムクローンに対する同一性及び相同性(バーa:dJ465N24と同一;b:dJ469D22に対するRHDの相同性;c:dJ465N24に対するRHDの3’部分の相同性;d:dJ469D22との同一性)が挙げられる。3つのブリッジするPCR反応の位置が示されている。RHDとRHCEとの間の「スペーサー」配列としてOkudaら(Okuda, Biochem.Biophys.Res.Commun.263:378,1999)により以前に報告されたヌクレオチドストレッチの正確な位置が標識されたバーにより示されている。
【図2】 図2は、RHD及びRHCE遺伝子の5’に位置するDNA領域の染色体機構を示す図である。RHCE及びRHDの5’隣接領域の提案される構造を示す(パネルA)。ATG開始コドンのすぐ5’の全4,941bpがRHCEとRHD遺伝子との間で相同である(垂直方向に平行線を引いたバー)。当該相同領域を越えて相同性は存在しない(斜めに平行線を引いたバー)。2つのゲノムクローン、dJ469D22及びdJ465N24を、プライマー設計に利用した。DJ469D22は、示されたRHCE領域の全長を含み、一方でdJ465N24は、相同領域に466bpのみが伸長している。いくつかのPCRプライマーの位置を示す(a、rey14a;b、rend32;c、rey15a;d、re014;e、re011d)。この提案される構造は、いくつかのPCR反応により支持されている(パネルB)。フォワードプライミングは、プライマーa(RHCE特異的、レーン1〜3)、プライマーb(RHD特異的、レーン4〜6)、及びプライマーc(RHCE及びRHD相同領域、レーン7〜9)を用いて行った。増幅産物は、RHD特異的リバースプライマーe(レーン2)でプライマーaについて欠失しており、及びRHD陰性DNA(レーン6)でプライマーbについて欠失していた。他の7つのPCR反応は、パネルAに示されるゲノム構造に従って推定サイズの増幅産物を生じた。
【図3】 図3は、SMP1遺伝子の染色体機構を示す図である。SMP1遺伝子は7つのエキソンを有する。イントロンの位置及びおおよそのサイズが示されている。公開されたcDNA(Genbank登録番号AF081282)の開始は、Rhesusボックスの下流からの15ヌクレオチドにより分離されている。エキソン1は、5’非翻訳配列のみを含み、SMP1開始コドンはエキソン2に配置されている。エキソン7は、16コドンを含み、1,656bpの3’非翻訳配列を含み、RHCEエキソン10の3’非翻訳配列と近接している。
【図4】 図4は、Rhesusボックスの染色体機構を示す図である。Rhesusボックス上流の物理的伸長(5’からRHD)は、9,145bp(黒バー)である。ボックスのヌクレオチド配列の約63%が反復DNAからなる;反復ファミリーのタイプが示されている。Rhesusボックスの上流と下流との間の全体の相同性は、98.6%であるが、1,463bp同一領域(水平方向の矢印)内では、単一の4bp挿入が存在するだけである(垂直方向の二重線)。CpGアイランド(Island)(2つの矢尻を有する矢印)が、3’末端に配置され、 SMP1プロモーターに隣接するRhesusボックスの下流(3’からRHD)に存在する。
【図5】 図5は、Rh陰性ハプロタイプ中のRHD遺伝子欠損を示す図である。Rhesusボックスの3つの3,100bpセグメントが示されている。上部の線は、D陽性におけるRhesusボックスの上流のヌクレオチド配列を示し、下部の線は、D陽性におけるRhesusボックスの下流のヌクレオチド配列を示す。中央の線は、Rh陰性により保有される単一のRhesusボックスのヌクレオチド配列を示す。星印は、同一のヌクレオチドを示す。RHD欠失は、1,463bpの同一領域の一部である完全に同一な903bpセグメントで起こった。プライマーrez7及びrnb31の位置を示す(mはミスマッチを示す)。PstI制限部位は、挿入記号(^)により示す。3つのRhesusボックスを登録番号AJ252311(Rhesusボックス上流)、AJ252312(Rhesusボックス下流)、及びAJ252313(ハイブリッドRhesusボックス)の下でEMBLに寄託されている。
【図6】 図6は、一般的なRHD陰性ハプロタイプにおけるRHD欠損の特異的検出のための2つの技術的手順を示す図である。非Rhesusボックス配列内に配置されたプライマーを用いたロングレンジPCR増幅(パネルA)及びRhesusボックス内に配置されたプライマーを用いたPCR−RFLPを示す(パネルB)。推定される遺伝子型を示す。ロングレンジPCRのプライマーをRhesusボックスの上流の5’(プライマーrez4)かつSMP1エキソン1内(プライマーsr9)に配置した。RHD陰性ハプロタイプを特異的に検出した(パネルA、レーン1〜6)。RHD遺伝子についてDNA同型接合性は陰性であった。なぜなら、PCRはRHD遺伝子の70,000bpのDNAストレッチを増幅し得ないからである。PCR−RFLP法に関して、PCR増幅産物(プライマーrez7及びrnb31)をPstIで消化した。D陰性において、増幅産物中に3つのPstI部位が存在し(図5参照)、1,888bp、564bp、397bp、及び179bpの断片を生じる(レーン1〜3)。D陽性のRhesusボックスの下流は、1つのPstI部位を欠失し、1,888bp、744bp、及び397bpの断片を生じる(レーン7〜9)。RHD+/RHD-異型接合性は、744及び564bpの両方の断片を示す(レーン4〜6)。ヘテロダイマーがPstIにより切断されないため、564bp断片は弱く現れる。プライマーrnb31は、D陽性のRhesusボックスの上流を増幅しない。
【図7】 図7は、白人に優勢なRHD陰性ハプロタイプを引き起こす提案される機構のモデルを示す図である。RHD及びRHCE遺伝子の遺伝子座の物理的構造を示す(パネルA)。Rhesusボックスの上流と下流との間にわたる不均一な横断は、それらの高相同性により引き起こされうる(パネルB)。Rhesusボックス内のブレークポイント領域は、903bpについて100%相同であることが見出された(図5を参照)。染色体をわたる横断(crossed over chromosome)を分離することにより、現存しているRHD陰性ハプロタイプのRH遺伝子構造が生じる(パネルC)。
【図8】 図8は、RHD陰性のハイブリッドRhesusボックスのDNA配列を示す図である。
【図9】 図9は、D陽性のRhesusボックスの上流のDNA配列を示す図である。
【図10】 図10は、D陽性のRhesusボックスの下流のDNA配列を示す図である。
【図11】 図11は、RHDプロモーターのDNA配列を示す図である。最後の3つのヌクレオチドは、RHD遺伝子のコドン1を示す。
【図12】 図12は、RHDイントロン3中のCdeSブレークポイント領域を示す図である。エキソン3/イントロン3ジャンクションの3’の2,938〜3,636bpのCdes、RHD及びRHCEのイントロン3の一部のヌクレオチド配列を示す。RHCE(GenBank登録番号AL031284)の遺伝子の5’部分を含有する、染色体1p35.1−36.13上のクローンRP3−469D22に由来するヒトDNA配列をリファレンスとして入手した;数字は、RHCE遺伝子中のイントロン3の最初の塩基と比べたこの配列における位置を示す。対応するRHD遺伝子配列は、GenBank登録番号AL139426に由来する。CdeS配列のRHD又はRHCEの起点を示すヌクレオチドを強調する。CdeSのブレークポイント領域を含む154bpのDNAストレッチを星印で示す。
【図13】 図13は、RHDイントロン7中のCdeSブレークポイント領域を示す図である。エキソン7/イントロン7ジャンクションの3’の約2,726〜3,719のCdeS、RHD及びRHCEのイントロン7の一部のヌクレオチド配列を示す。RHCE(GenBank登録番号AL031284)の遺伝子の5’部分を含む染色体1p35.1−36.13上のクローンRP3−469D22に由来するヒトDNA配列をリファレンスとして入手した;数字はRHCE遺伝子中のイントロン7の最初の塩基と比べた当該配列中の位置を示す。対応するRHD遺伝子配列は、GenBank登録番号AL139426に由来する。CdeS配列のRHD又はRHCEの起点を示すヌクレオチドを強調する。CdeSのブレークポイント領域を含む666bpのDNAストレッチを星印で示す。
【図14】 図14は、PCR−SSPによるCdeSの特異的検出を示す図である。イントロン7中のCdeSの3’ブレークポイント領域を検出するPCR−SSPを示す。RHD陰性試料(レーン1、ccddee)及び正常なRHD陽性試料(レーン2、ccD.EE)の両方が、434bp対照産物のみを生じ、これはHGH遺伝子に由来する。対照的に、CdeS試料(CcddEe、レーン3)は、434bp対照断片に加えて、338bp特異的産物を生じ、これはイントロン7中のブレークポイント領域に由来する。当該反応は、CdeSに特異的である;2つの部分的なD表現型DIVa(レーン4)及びDIIIタイプIV(レーン5)は特異的産物を生じない。該反応はまた、CdeSが、RHDΨ/CdeS試料(レーン6)におけるように、他のRHDアレレにトランスで生じる場合、CdeSを特異的に検出する。
【図15】 図15は、通常のDNAタイピングのためのRHD PCR−SSPを示す。2つの頻回反応、イントロン4/エキソン7頻回PCR−SSP(パネルA)およびRHD(W16X)およびRHDΨの特異的検出により高められたイントロン7PCR(パネルB)からなるモジュラーシステムとしてPCRを行なう。通常のD陽性試料(レーン1)、通常のD陰性試料(レーン2)、数個のまれなD陰性試料(レーン3〜6)および主なD陽性RHDバリアント(レーン7および8)に対する結果を示す。標準のD陽性およびD陰性試料ならびにDカテゴリーIVおよびVIを反応Aにおいて認識する。イントロン7バンドの不在により反応BでRHD−CE(8−9)−Dが検出される。RHD(W16X)およびRHDΨの存在もまた反応Bで検出される。バンドサイズは、パネルA、対照、434bp(HGH遺伝子);イントロン4、226bp;エキソン7、123bpであり;パネルB、対照、659bp(Rhesusボックスの約90,000bp5’側の第1染色体ゲノム配列);イントロン7、390bp;RHD(W16X)、248bp;RHDΨ、154bpである。内部対照増幅産物(amplicon)は、特異的な増幅産物より大きくなるように工夫され、特異的な産物が増幅される場合、競合のために抑制されうる。
Claims (34)
- Rhesusハイブリッドボックス、上流Rhesusボックス又は下流Rhesusボックスのいずれかを表し、その配列が、それぞれ配列番号:18〜20に示されてなる、核酸分子構造体。
- 共通のRHD陰性ハプロタイプを示し、該RHD陰性ハプロタイプが、ハイブリッドRhesusボックスを含むRhD抗原陰性ハプロタイプのことを指す、請求項1記載の核酸分子構造体。
- 上流Rhesusボックス、下流Rhesusボックス又はその両方を含むRHD遺伝子欠失を含むRHD陰性ハプロタイプを示してなる、請求項1記載の核酸分子構造体。
- 共通のRHD陽性ハプロタイプを示し、該RHD陽性ハプロタイプが、RHD遺伝子に特異的なDNA配列を含むハプロタイプのことを指す、請求項1記載の核酸分子構造体。
- 血清学的にRhD陰性に分類されたRHD陽性ハプロタイプを含有した試料に由来し、ここで、該血清学的にRhD陰性に分類されたRHD陽性ハプロタイプは、常套的な血清学的アッセイを用いて、RhD抗原の存在について試験され、かかるアッセイの結果が陰性であった試料であることを示している、請求項1記載の核酸分子構造体。
- 該試料が、白人集団から選ばれたものである、請求項5記載の核酸分子構造体。
- 配列がそれぞれ配列番号:18〜20に示されるハイブリッドRhesusボックス、上流Rhesusボックス又は下流Rhesusボックス、あるいは請求項2〜6いずれか1項に記載の構造的特徴を利用して、試料中におけるRHD遺伝子のタンパク質産物の発現を終結又は消すRHD遺伝子内のナンセンス変異、ミスセンス変異、スプライス部位変異、部分欠失、部分挿入、部分逆位又はその組合せにより引き起こされるRHD陰性ハプロタイプを、PCR-RFLP、PCR-SSP又はロング−レンジPCRにより、特異的に検出する方法。
- 請求項1〜6いずれか1項に記載の核酸分子構造体を含んでなるベクター。
- 請求項8記載のベクターにより形質転換されてなる非ヒト宿主。
- 請求項1〜6いずれか1項に記載の核酸分子構造体の一部にストリンジェントな条件下でハイブリダイズするオリゴヌクレオチドであって、
該一部が前記ハイブリッド遺伝子のブレークポイントを含む領域、又はその相補的な部分にハイブリダイズし、該ブレークポイントを含む領域が、上流RHDボックスの5'部分が下流RHDボックスの3'部分と空間的に近接することを特徴とし、該オリゴヌクレオチドが20ヌクレオチドを含んで、実際のブレークポイントの5'及び3'に位置する、オリゴヌクレオチド。 - ストリンジェントな条件下に、請求項10記載のオリゴヌクレオチドを、ヒトから得られた試料に含まれる核酸分子にハイブリダイズする工程、及び該ハイブリダイゼーションを検出する工程を含む、請求項1〜6いずれか1項に記載の核酸分子構造体を特徴とするRHD遺伝子の欠失を保持する核酸分子の試料中における存在の試験方法。
- 該ハイブリダイゼーションの産物を制限エンドヌクレアーゼで消化する工程、及び該消化の産物を分析する工程をさらに含む、請求項11記載の方法。
- 請求項1〜6いずれか1項に記載の核酸分子構造体の少なくとも一部分であって、該ハイブリッド遺伝子のブレークポイントをコードする部分の核酸配列を決定する工程を含む、請求項1〜6いずれか1項に記載の核酸分子構造体を特徴とするRHD遺伝子の欠失を保持する核酸分子の試料中における存在の試験方法。
- 該核酸配列を決定する前に、該核酸分子構造体の少なくとも前記部分を増幅する工程をさらに含む、請求項13記載の方法。
- 該配列の少なくとも一部を増幅するプライマーのセットを用いて増幅反応を行なう工程を含む、請求項1〜6いずれか1項に記載の核酸分子構造体を特徴とするRHD遺伝子の欠失を保持する核酸分子の試料中における存在の試験方法であって、該増幅反応に用いられるプライマーの少なくとも一つが、請求項1〜6いずれか1項に記載の核酸分子構造体の一部に、ストリンジェントな条件下でハイブリダイズするオリゴヌクレオチドであり、該一部が、該ハイブリッド遺伝子のブレークポイントを含む領域、又はその相補的な部分にハイブリダイズし、該ブレークポイントを含む領域が、上流RHDボックスの5'部分が下流RHDボックスの3'部分と空間的に近接することを特徴とする、試験方法。
- 該増幅が行われ、該増幅反応は、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)である、請求項14又は15記載の方法。
- 該PCRが、PCR-RFLP、PCR-SSP又はロング−レンジPCRである、請求項16記載の方法。
- 増幅産物の分子量が分析される、請求項14〜17いずれか1項に記載の方法。
- 下記工程:
(a) 血液試料又は血液ドナーから得られた試料からDNAを単離する工程;
(b) ストリンジェントな条件下に、少なくとも2つの逆に向き合うプライマーを、PCRを行なうようにDNAにハイブリダイズさせる工程;
(c) 標的配列を増幅する工程;
(d) ゲル上で増幅産物を分離する工程;及び
(e) 増幅産物を分析する工程
を含む、RHD陽性対立遺伝子をコードする請求項5又は6記載の核酸分子構造体の存在の試験方法。 - 該RHD陽性対立遺伝子が、血清学的にRhD陰性試料に由来するものである、請求項19記載の方法。
- 該試料が、白人集団から選ばれる、請求項19又は20記載の方法。
- 該試料が、血液、血清、血漿、胎児組織、唾液、尿、粘膜組織、粘液、膣組織、膣から得られた胎児組織、皮膚、毛髪、毛包又は他のヒト組織である、請求項7及び11〜21いずれか1項に記載の方法。
- 該試料から胎児細胞を濃縮すること又は末梢血、血清若しくは血漿などの母体組織の試料から胎児DNA若しくはmRNAを抽出することを含む、請求項22記載の方法。
- 該試料由来の該核酸分子又はタンパク質性物質が、固体支持体に固定される、請求項7及び11〜23いずれか1項に記載の方法。
- 該固体支持体がチップである、請求項24記載の方法。
- 陰性又は陽性Rhesus D表現型の分析のための、請求項1〜6いずれか1項に記載の核酸分子構造体の使用。
- 請求項2、5及び6いずれか1項に記載の1以上の核酸分子構造体の存在について、患者由来の試料を試験する工程を含み、ここで、2つの異なる該核酸分子構造体に対する試験が陽性の場合、Rh陰性血液の輸血を必要とすることを示す、輸血の必要がある患者がドナーからRhD陰性血液を輸血されるべきかどうかを決定する方法。
- 請求項1〜6いずれか1項に記載の1以上の核酸分子構造体の存在について、ドナー由来の試料を試験する工程を含み、ここで、請求項4〜6いずれか1項に記載の1以上の核酸分子構造体に対する試験が陰性であってもなくても、請求項2記載の核酸分子構造体に対する試験が陰性の場合、RhD陰性にタイプ分けされる患者へのドナーの血液の輸血を排除する、ドナーの血液が輸血を必要とする患者への輸血に用いられ得るかどうかを決定する方法。
- 請求項1〜6いずれか1項に規定された1以上の核酸分子構造体の存在について、胎児の父から得られた試料を評価する工程を含む、RhD陰性母がRhD陽性胎児を妊娠若しくはもつリスク、又は抗D力価をもつ母が、新生児の溶血性疾患を発症するリスクをもって胎児を妊娠若しくはもつリスクの評価方法。
- 該核酸分子構造体が、変異又は欠失を保持する、請求項29記載の方法。
- 請求項1〜6いずれか1項に記載の1以上の核酸分子構造体の存在について、男性から得られた試料をアッセイすることによる男性が子供の父である可能性又は見込みの評価方法であって、ここで、試験結果は、該男性が、子供の父である可能性又は見込みを推量するのに用いられた請求項2及び4〜6いずれか1項に記載の核酸分子構造体のホモ接合、ヘテロ接合又は非存在を決定するために用いられる、男性が子供の父である可能性又は見込みの評価方法。
- (a) 請求項10記載のオリゴヌクレオチド;及び/又は
(b) 請求項15〜17いずれか1項に記載の増幅反応を行うに有用な一対のプライマー
を含んでなるキット。 - 請求項1〜6いずれか記載の核酸分子構造体の一部にストリンジェントな条件下でハイブリダイズするためのオリゴヌクレオチドの使用であって、該一部が、該ハイブリッド遺伝子のブレークポイントを含む領域、又はその相補的な部分にハイブリダイズし、該ブレークポイントを含む領域が、上流Rhesusボックスの5'部分が下流Rhesusボックスの3'部分と空間的に近接することを特徴とする、オリゴヌクレオチドの使用。
- 下記工程:
(a) 血液試料又は血液ドナーから得られた試料からDNAを単離する工程;
(b) ストリンジェントな条件下に、少なくとも2つの逆に向き合うプライマーを、PCRを行なうようにDNAにハイブリダイズさせる工程;
(c) 標的配列を増幅する工程;
(d) ゲル上で増幅産物を分離する工程;及び
(e) 増幅産物を分析する工程
を含む、共通のRHD陰性ハプロタイプを示す請求項3記載の核酸分子構造体の存在の試験方法。
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