JP4619676B2 - 時計用風防ガラスおよび時計 - Google Patents

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Description

この発明は、時計ケースの前面に装着される時計用風防ガラス、およびその時計用風防ガラスを備えた腕時計、懐中時計などの時計に関する。
腕時計や懐中時計などの小型の時計は、一般に金属製の胴と裏蓋からなる時計ケースの前面にパッキンを介して風防ガラスを装着して密閉空間を形成し、アナログ式の場合はその内部にムーブメントと文字盤や指針等を収納し、風防ガラスを通して文字盤と指針が見えることによって時刻が表示されるようになっている(例えば、特許文献1参照)。
デジタル式の場合は、その時計ケースの内部に液晶表示パネルとその駆動回路や計時回路を構成する回路基板等を収納し、風防ガラスを通して液晶表示器の時刻表示部やカレンダ表示部が見えるようになっている(例えば、特許文献2参照)。
そのため、風防ガラスには透明度が高く傷がつきにくいサファイアガラスや強化ガラスなどが用いられている。
特許第2766077号公報 特許第3310678号公報
このように、時計における風防ガラスは透明度が高く、外部からの入射光の殆どが透過し、時計内部の文字盤等からの反射光も殆ど透過して視認側に出射する。しかし、その風防ガラスと両側の空気との屈折率の差によって、入射光の一部は風防ガラスの視認側の面および反対側の面でそれぞれ反射し、時計内部の文字盤等からの反射光も一部が同様に両面でそれぞれ反射される。そのため、時計を見る角度によってはその反射によって時刻等の表示が見え難くなるという問題があった。
この風防ガラスは、時計ケースを密閉して内部にゴミや水分などが侵入しないように保護するものであるが、時刻等の表示の見易さやデザイン的な面からは、あたかも風防ガラスがないかのように、透明で無反射であるのが望ましい。
そのため、風防ガラスの表面に反射防止膜を形成して反射率を低減するようにした時計もあるが、その反射率が可視光領域全体に亘って充分低くなっていなかったり、使用しているうちに反射防止膜が傷ついたり磨耗あるいは剥離したりして、反射防止効果が低下したりムラが生じて、かえって見難くなるようなこともあり、満足できるものではなかった。
この発明は、このような問題を解決するためになされたものであり、時計用風防ガラスの反射率を可視光領域全体に亘って充分小さくして、どのような角度からでも常に時刻等の表示が見易くなるようにし、しかも長期間使用しても反射防止効果が低下したりムラが生じたりすることがなく、時刻等の表示の見易さが変わらないようにすることを目的とする。
この発明は上記の目的を達成するため、時計ケースの前面に装着される時計用風防ガラスにおいて、そのガラス基材の少なくとも視認側の面に、ガラス基材側から第1の窒化シリコン膜、第1の酸化シリコン膜、第2の窒化シリコン膜、および最外層の第2の酸化シリコン膜が順次形成された4層構造の反射防止膜を設けたものである。
上記ガラス基材の視認側の面とその反対側の裏面に、それぞれ上記4層構造の反射防止膜を設けた方がよい。
その4層構造の反射防止膜の各層は、第1の窒化シリコン膜が20〜50nm、第1の酸化シリコン膜が10〜40nm、第2の窒化シリコン膜が20〜60nm、最外層の第2の酸化シリコン膜が70〜120nmの各膜厚の範囲になるように形成する。
さらに好ましくは、第1の窒化シリコン膜が25〜40nm、第1の酸化シリコン膜が15〜30nm、第2の窒化シリコン膜が35〜50nm、最外層の第2の酸化シリコン膜が80〜100nmの各膜厚になるように形成するとよい。
そして、この4層構造の反射防止膜の各層を、第1の窒化シリコン膜が34.32nm、第1の酸化シリコン膜が20.9nm、第2の窒化シリコン膜が41.58nm、最外層の第2の酸化シリコン膜が91.3nmの各膜厚に形成するのが最適である。
また、時計用風防ガラスのガラス基材の少なくとも視認側の面に、ガラス基材側から第1の窒化シリコン膜、第1の酸化シリコン膜、第2の窒化シリコン膜、第2の酸化シリコン膜、第3の窒化シリコン膜、および最外層の第3の酸化シリコン膜が順次形成された6層構造の反射防止膜を設けるようにするとなおよい。
この場合も、上記ガラス基材の視認側の面とその反対側の裏面に、それぞれ上記6層構造の反射防止膜を設けた方がよい。
その6層構造の反射防止膜の各層は、第1の窒化シリコン膜が10〜30nm、第1の酸化シリコン膜が10〜30nm、第2の窒化シリコン膜が20〜50nm、第2の酸化シリコン膜が10〜30nm、第3の窒化シリコン膜が20〜50nm、最外層の第3の酸化シリコン膜が70〜130nmの各膜厚の範囲になるように形成する。
さらに好ましくは、第1の窒化シリコン膜が15〜30nm、第1の酸化シリコン膜が10〜25nm、第2の窒化シリコン膜が30〜45nm、第2の酸化シリコン膜が15〜30nm、第3の窒化シリコン膜が25〜45nm、第3の酸化シリコン膜が90〜110nmの各膜厚になるように形成するとよい。
そして、この6層構造の反射防止膜の各層を、第1の窒化シリコン膜が19.8nm、第1の酸化シリコン膜が17.6nm、第2の窒化シリコン膜が39.6nm、第2の酸化シリコン膜が20.9nm、第3の窒化シリコン膜が35.6nm、第3の酸化シリコン膜が101.2nmの各膜厚に形成するのが最適である。
これらの各反射防止膜にアニール処理(例えば大気中で500〜600℃で5〜20分加熱する)を施すと、耐久性がさらに向上する。
この発明はまた、上記いずれかの時計用風防ガラスを備えた時計も提供する。
この発明による風防ガラスは、反射率が可視光領域全体に亘って1.0〜1.5%であり充分小さく、どのような角度からでも反射が殆ど生じないので、この風防ガラスを備えた時計は、あたかも風防ガラスがないかのように、常に時刻等の表示が見易くなる。また、風防ガラスに設けた反射防止膜が多層構造であり、その最外層が酸化シリコンで最も大きな膜厚を有するので、充分な耐久性があり、長期間使用しても反射防止効果が低下したりムラが生じたりすることがなく、時刻等の表示の見易さが変わらない。
以下、この発明を実施するための最良の形態を図面に基づいて具体的に説明する。
〔時計用風防ガラスの第1実施例〕
この発明による時計用風防ガラスの第1実施例を図3及び図1によって説明する。図3はその全体の厚さ方向の断面図であり、図1はその表面付近の反射防止膜の層構成を示す拡大断面図である。
図3に示す風防ガラス1は、透明度の高いサファイアガラス等のガラス基材2の全面、すなわち視認側となる表(おもて)面とその反対側(時計内部の文字盤等に面する側)の裏面の両面に、透明で硬質の反射防止膜3を形成している。そして、金属製の胴と裏蓋からなる時計ケースの前面に、外周部との間にパッキンを介して固着される。そのとき図3で上側の面が視認側で、下側の面が時計内部の文字盤等に面する側となる。
反射防止膜3は、図1に示すように、ガラス基材2側から第1の窒化シリコン(SiN)膜31、第1の酸化シリコン(SiO)膜32、第2の窒化シリコン膜33、および最外層の第2の酸化シリコン膜34が順次形成された4層構造になっている。
そして、各層の膜厚は、厚すぎると色付きが生じ、薄過ぎると傷つき易い(特に最外層の第2の酸化シリコン膜34)ので、種々実験した結果、反射率が可視光領域の略全域で2%以下(略1.5%)と低く、色付きが生じず、耐傷性も充分ある各層の膜厚を次の範囲にするとよいことが判った。
第1の窒化シリコン膜31:20〜50nm、より望ましくは25〜40nm、
第1の酸化シリコン膜32:10〜40nm、より望ましくは15〜30nm、
第2の窒化シリコン膜33:20〜60nm、より望ましくは35〜50nm、
第2の酸化シリコン膜34:70〜120nm、より望ましくは80〜100nm、
そして、最も良好な結果を得た例は、第1の窒化シリコン膜31が34.32nm、
第1の酸化シリコン膜32が20.9nm、第2の窒化シリコン膜33が41.58nm、第2の酸化シリコン膜34が91.3nmであった。
この反射防止膜3の各層の成膜は、真空チャンバ内にガラス基材2を入れて真空に排気し、ターゲットとしてシリコン(Si)を使用したスパッタリングによって行なう。各層毎の成膜時に真空チャンバ内に流入させるガスの種類と、スパッタリングパワーと、膜厚の例を次に示す。なお、「sccm」は、標準化された1分間当たりの流量(cc/m)である。
<第1層:窒化シリコン膜31>
ガス:窒素 9.5sccm アルゴン 9.0sccm
スパッタリングパワー:2000W
膜厚:35nm
<第2層:酸化シリコン膜32>
ガス:酸素 10.5sccm アルゴン 9.0sccm
スパッタリングパワー:1500W
膜厚:21.5nm
<第3層:窒化シリコン膜33>
ガス:窒素 9.5sccm アルゴン 9.0sccm
スパッタリングパワー:2000W
膜厚:42nm
<第4層:酸化シリコン膜34>
ガス:酸素 10.5sccm アルゴン 9.0sccm
スパッタリングパワー:1500W
膜厚:96.5nm
このようにして、反射防止膜3の各層を成膜した風防ガラス1を、加熱炉に入れて、大気中で500℃に加熱して20分程度のアニール処理を行なうと、色付きが消えて透明になる。それは、反応が不充分であった窒化シリコンや酸化シリコンの粒子が反応して結晶化が進むためと思われる。それによって、傷付きにくさである耐傷性も向上する。
加熱温度を600℃にして、5分程度アニール処理をするようにしてもよいが、安定性が悪くなる。
次に、この実施例の時計用風防ガラスの反射防止膜とその比較例(従来例)に対する耐傷性を比較評価するために、各種の試料に対して次の内容で耐傷試験を実施した。
磨耗試験機 スガ試験機 NUS−ISO−2型
ラッピングフィルム 住友3M 酸化アルミニウム 12μ(#1200)
試験荷重 500g一定
摺動回数 100回
反射率測定器 日立分光光度計 U−3300
評価方法 磨耗試験前後の平均反射率(450〜650nm)の差で評価
<試験方法>
上記磨耗試験機に試料の風防ガラスをセットし、12μ(#1200)のラッピングフィルムで、その表面に対して、荷重500gで100回摺動して、その前後の反射率を測定した。その試験前後の反射率の差が小さいほど耐傷性が高いことになる。
そこで、磨耗試験前後の平均反射率(450〜650nm)の差で評価することができるが、各試料について、この磨耗試験前後の光の波長と反射率との関係を図5〜図9に示す。これらの図において、太線は磨耗試験前の反射率曲線、細線は磨耗試験後の反射率曲線を示す。
図5は、この発明の第1実施例の最適試料の場合で、各層の膜厚が最も好ましい値の反射防止膜3をガラス基材2の両面に形成した時計用風防ガラスの場合の磨耗試験前後の反射率特性を示す。この場合は磨耗試験前後の反射率がいずれも可視光領域の両端部付近を除く広い範囲でほぼ均一に2%前後の低い値を示し、且つ磨耗試験前後の反射率の差が全波長域に亘って1%未満である。したがって、可視光領域の略全域でムラなく反射率が低く、耐傷性が高い優れた特性を示している。
図6は、この発明の第1実施例の許容試料の場合で、各層の膜厚が上記許容範囲内ではあるが最適値ではない値の反射防止膜3をガラス基材2の両面に形成した時計用風防ガラスの場合の磨耗試験前後の反射率特性を示す。この場合は磨耗試験前後の反射率がいずれも可視光領域の両端部付近を除く広い範囲で2〜4%の範囲にあり、且つ磨耗試験前後の反射率の差が全波長域に亘って1%未満である。したがって、可視光領域の略全域で反射率が低く、耐傷性が高く、かなり優れた特性を示している。
しかし、図5に示した最適試料の場合と比べると、反射率が1〜1.5%高く、波長による反射率のムラも若干生じている。
図7は、この発明の実施例に近い許容外試料による比較例の場合で、この発明の第1実施例と同様な4層構造の反射防止膜を形成した時計用風防ガラスであるが、その第2の窒化シリコン膜33の厚さが60nmより厚い場合である。この場合は、光の波長が580nm前後の領域では極めて低い反射率を示し、また全波長域に亘って磨耗試験前後の反射率の差は極めて小さく、耐傷性は高いが、反射率の均一性に欠け、短波長領域および長波長領域で反射率が上昇するので好ましくない。
図8は、他の比較例である従来品、すなわち酸化ジルコニウム(ZrO)膜とフッ化マグネシウム(MgF)膜の積層膜による反射防止膜が形成された時計用風防ガラスの場合で、磨耗試験前は極めて低い反射率を示すが波長によりムラがあり、磨耗試験後には反射率がかなり上昇し、よって磨耗試験前後の反射率の差が大きく、耐傷性がよくないことが判る。
図9は、反射防止膜を形成していない従来のサファイアガラスのみの時計用風防ガラスの比較例であり、磨耗試験前後の反射率の差は殆どなく、可視光領域の全域に亘って反射率のムラも殆どないが、その反射率は14%前後と高い値を示しており、反射光が多く文字盤等が見難くなることが判る。
なお、この実施例では、ガラス基材の両面に反射防止膜3を形成したが、ガラス基材の視認側の面だけに前述した反射防止膜3を形成しても、反射率が若干上昇するが、その均一性と耐傷性については変わらず、充分実用になるものである。
〔時計用風防ガラスの第2実施例〕
次に、この発明による時計用風防ガラスの第2実施例について図2と図3によって説明する。この第2実施例の時計用風防ガラスも、前述の第1実施例と同様に図3に示すように、透明度の高いサファイアガラス等のガラス基材2の全面に、透明で硬質の反射防止膜30を形成している。
図2は、その反射防止膜30の膜構成を示す拡大断面図であり、この第2実施例の反射防止膜は、窒化シリコン(SiN)膜と酸化シリコン(SiO)膜とが交互に3層ずつ形成された6層構造になっている。
すなわち、ガラス基材2側から第1の窒化シリコン膜31、第1の酸化シリコン膜32、第2の窒化シリコン膜33、第2の酸化シリコン膜34、第3の窒化シリコン膜35、および最外層の第3の酸化シリコン膜36が順次形成されている。
この反射防止膜30も、その各層の膜厚が厚すぎると色付きが生じ、薄過ぎると傷つき易い(特に最外層の第3の酸化シリコン膜36)ので、種々実験した結果、反射率が可視光領域の略全域で2%以下(略1.5%)と低く、色付きが生じず、耐傷性も充分ある各層の膜厚を次の範囲にするとよいことが判った。
第1の窒化シリコン膜31:10〜30nm、より望ましくは15〜30nm、
第1の酸化シリコン膜32:10〜30nm、より望ましくは10〜25nm、
第2の窒化シリコン膜33:20〜60nm、より望ましくは30〜45nm、
第2の酸化シリコン膜34:10〜30nm、より望ましくは15〜30nm、
第3の窒化シリコン膜35:20〜50nm、より望ましくは25〜45nm、
第3の酸化シリコン膜36:70〜130nm、より望ましくは90〜110nm
そして、最も良好な結果を得た反射防止膜30の例は、第1の窒化シリコン膜31が19.8nm、第1の酸化シリコン膜32が17.6nm、第2の窒化シリコン膜33が39.6nm、第2の酸化シリコン膜34が20.9nm、第3の窒化シリコン膜35が35.6nm、第3の酸化シリコン膜36が101.2nmであった。
この第2実施例の反射防止膜30も、前述の第1実施例の反射防止膜3と同様に、真空チャンバ内にガラス基材2を入れて真空に排気し、ターゲットとしてシリコン(Si)を使用したスパッタリングによって各層の成膜を行なう。窒化シリコン膜31,33,35を形成する際には、真空チャンバ内に窒素ガスを10.5sccm、アルゴンガスを9.0sccmで送り込み、スパッタリングパワーを2000Wにする。酸化シリコン膜32,34,36を形成する際には、真空チャンバ内に酸素ガスを11.0sccm、アルゴンンガスを9.0sccmで送り込み、スパッタリングパワーを1500Wにする。
この場合も、ガラス基材2の表面に上記のようにして反射防止膜30を形成した後、前述の第1実施例の場合と同様に、大気中で、500℃、20分程度のアニール処理を行なうとよい。
この第2実施例の時計用風防ガラスに対しても前述のように耐傷性試験を実施し、その試験前後での可視光領域における反射率特性を測定した結果、第1の実施例の場合と同様に、可視光領域の略全域に亘ってムラなく反射率が極めて低く(この場合は1.5%以下)、試験前後での反射率の差も極めて小さく、耐傷性が一層高くなった。
なお、この実施例でも、ガラス基材の両面に反射防止膜30を形成したが、ガラス基材の視認側の面だけに前述した反射防止膜30を形成しても、反射率が若干上昇するが、その均一性と耐傷性については変わらず、充分実用になるものである。
〔時計の実施例〕
次に、この発明による時計用風防ガラスを備えた時計の実施例を図4によって説明する。図4はその時計の断面図である。
この時計は腕時計であり、胴11の裏面側に裏蓋12をOリング14でシールして嵌合させて時計ケース10を形成し、その前面にこの発明による時計用風防ガラス1をその外周部と胴11の内周段部との間にパッキン13を介して密嵌して固着し、時計内にチリやホコリ、水分等が侵入しないように気密構造にしている。
この時計ケース10内にはムーブメント5と文字盤6とが一体に、中枠15と押えリング16に挟持されて収納され、そのムーブメント5の中心部から文字盤6を貫通して突出する指針軸7に、時針、分針、および秒針からなる指針8が取り付けられている。胴11の内周と文字盤の外周付近との間に見切枠17が装着されている。
この腕時計は、風防ガラス1の透明度が高く色付きもなく、反射率が可視光領域の略全域において2%以下と低いので、ほとんど風防ガラスがあることが判らないくらいであり、かなり傾斜した角度でも、反射光が殆どないので時計内部の文字盤6と指針8による時刻表示をはっきりと視認することができる。
時刻やカレンダが液晶表示器によってデジタル表示されるデジタル式腕時計などに適用した場合でも、風防ガラス1による入射光の反射が極めて少ないので、その液晶表示器による時刻やカレンダの表示を鮮明に見ることができる。
しかも、長歩期間使用しても風防ガラス1の反射防止膜が傷付いたり剥離したりすることがなく、反射率が殆ど変化しないので、時刻表示等の見やすさが変わらない。
この発明による時計用風防ガラスおよびそれを備えた時計は、腕時計や懐中時計、小型の置時計などに適用でき、その時刻表示を見易くし、商品価値を高めることができる。
この発明による時計用風防ガラスの第1実施例の表面付近の拡大断面図である。 この発明による時計用風防ガラスの第2実施例の表面付近の拡大断面図である。 この発明による時計用風防ガラスの全体の断面図である。 この発明による時計用風防ガラスを備えた時計の一実施例を示す断面図である。
この発明の第1実施例の最適試料による磨耗試験前後の可視光領域における反射率特性を示す線図である。 この発明の第1実施例の許容試料による図5と同様な線図である。 この発明の第1実施例の許容外試料である比較例による図5と同様な線図である。 従来品の比較例による図5と同様な線図である。 従来のサファイアガラスのみの風防ガラスによる図5と同様な線図である。
符号の説明
1:風防ガラス 2:ガラス基材 3,30:反射防止膜
5:ムーブメント 6:文字盤 7:指針軸 8:指針
10:時計ケース 11:胴 12:裏蓋 13:パッキン
14:Oリング 15:中枠 16:押えリング 17:見切枠
31:第1の窒化シリコン膜 32:第1の酸化シリコン膜
33:第2の窒化シリコン膜 34:第2の酸化シリコン膜
35:第3の窒化シリコン膜 36:第3の酸化シリコン膜

Claims (10)

  1. 時計ケースの前面に装着される風防ガラスであって、ガラス基材の少なくとも視認側の面に、ガラス基材側から第1の窒化シリコン膜、第1の酸化シリコン膜、第2の窒化シリコン膜、および最外層の第2の酸化シリコン膜が順次形成された4層構造の反射防止膜を設け、前記4層構造の反射防止膜は、
    前記第1の窒化シリコン膜が20〜50nm、
    前記第1の酸化シリコン膜が10〜40nm、
    前記第2の窒化シリコン膜が20〜60nm、
    前記第2の酸化シリコン膜が70〜120nm
    のそれぞれ膜厚を有することを特徴とする時計用風防ガラス。
  2. 請求項1記載の時計の風防ガラスにおいて、前記ガラス基材の視認側の面とその反対側の裏面に、それぞれ前記4層構造の反射防止膜を設けたことを特徴とする時計用風防ガラス。
  3. 請求項1又は2記載の時計の風防ガラスにおいて、前記4層構造の反射防止膜は、
    前記第1の窒化シリコン膜が25〜40nm、
    前記第1の酸化シリコン膜が15〜30nm、
    前記第2の窒化シリコン膜が35〜50nm、
    前記第2の酸化シリコン膜が80〜100nm
    のそれぞれ膜厚を有することを特徴とする時計用風防ガラス。
  4. 請求項記載の時計の風防ガラスにおいて、前記4層構造の反射防止膜は、
    前記第1の窒化シリコン膜が34.32nm、
    前記第1の酸化シリコン膜が20.9nm、
    前記第2の窒化シリコン膜が41.58nm、
    前記第2の酸化シリコン膜が91.3nm
    のそれぞれ膜厚を有することを特徴とする時計用風防ガラス。
  5. 時計ケースの前面に装着される風防ガラスであって、ガラス基材の少なくとも視認側の面に、ガラス基材側から第1の窒化シリコン膜、第1の酸化シリコン膜、第2の窒化シリコン膜、第2の酸化シリコン膜、第3の窒化シリコン膜、および最外層の第3の酸化シリコン膜が順次形成された6層構造の反射防止膜を設け、前記6層構造の反射防止膜は、
    前記第1の窒化シリコン膜が10〜30nm、
    前記第1の酸化シリコン膜が10〜30nm、
    前記第2の窒化シリコン膜が20〜50nm、
    前記第2の酸化シリコン膜が10〜30nm、
    前記第3の窒化シリコン膜が20〜50nm、
    前記第3の酸化シリコン膜が70〜130nm
    のそれぞれ膜厚を有することを特徴とする時計用風防ガラス。
  6. 請求項記載の時計の風防ガラスにおいて、前記ガラス基材の視認側の面とその反対側の裏面に、それぞれ前記6層構造の反射防止膜を設けたことを特徴とする時計用風防ガラス。
  7. 請求項5又は6記載の時計の風防ガラスにおいて、前記6層構造の反射防止膜は、
    前記第1の窒化シリコン膜が15〜30nm、
    前記第1の酸化シリコン膜が10〜25nm、
    前記第2の窒化シリコン膜が30〜45nm、
    前記第2の酸化シリコン膜が15〜30nm、
    前記第3の窒化シリコン膜が25〜45nm、
    前記第3の酸化シリコン膜が90〜110nm
    のそれぞれ膜厚を有することを特徴とする時計用風防ガラス。
  8. 請求項記載の時計の風防ガラスにおいて、前記6層構造の反射防止膜は、
    前記第1の窒化シリコン膜が19.8nm、
    前記第1の酸化シリコン膜が17.6nm、
    前記第2の窒化シリコン膜が39.6nm、
    前記第2の酸化シリコン膜が20.9nm、
    前記第3の窒化シリコン膜が35.6nm、
    前記第3の酸化シリコン膜が101.2nm
    のそれぞれ膜厚を有することを特徴とする時計用風防ガラス。
  9. 前記反射防止膜がアニール処理を施されていることを特徴とする請求項1乃至10のいずれかー項に記載の時計用風防ガラス。
  10. 請求項1乃至のいずれか一項に記載の時計用風防ガラスを備えた時計。
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