JP4619380B2 - 洗濯機 - Google Patents
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Description
これに対してパルセータ方式は、洗濯槽(又は洗濯兼脱水槽)の底部に配置されたパルセータを回転して、その回転によって「回流する水流」を発生させ、摩擦または振動などの機械的作用と洗剤による化学作用とによって汚れを除去する。また、洗濯された洗濯物の脱水には、洗濯槽を回転し、遠心力を利用している。さらに、脱水後の洗濯物の乾燥は、パルセータを回転させて洗濯物を攪拌させながら、洗濯槽内に温風を吹き込むことにより行っている。
また、従来のパルセータの構造は、左右対称であり、その回転の動き(回転量、回転速度)も左右対称であるため、重い洗濯物が偏った位置に集まってパルセータのバランスが崩れた場合には、パルセータが洗濯物を押す際にモータにかかる負荷が強すぎて回りにくくなって一方に偏った左右非対称の動きとなる。その結果、洗濯物に偏った機械力が加わり、ねじれや絡み付きが発生し易くなるという問題があった。
この洗濯機は、筐体(外箱)1の内部に、洗濯槽(内槽)3を内装した水槽(外槽)2と、洗濯槽3から出た空気を、除湿・乾燥して再び洗濯槽3に戻す風路とを、備えている。また、筐体1の四隅の上端部近くには吊棒4の上端部が設置されており、吊棒4の下端部にはバネが設けられている。水槽2は、このバネを介して複数の吊り棒4によって支持され、吊り棒可動部4Aによる吊り棒4の上げ下げにより、傾斜可能に構成されている。吊り棒4は、吊り板5および吊り座5Aから成る吊り棒支持部を介して筐体1に取り付けられており、水槽2はその吊り棒支持部において吊り棒4と連結している。
なお、洗濯槽3の左右方向の回転と区別するため便宜上、水槽2(洗濯槽3)の傾斜方向(上下方向)の回転を「傾動」と称呼する。
なお、筐体1の上部には、洗濯物30の出入口があり、その出入口は扉10で開閉自在に構成されている。
また、洗濯物30の乾燥に供される風路は、この例では、洗濯槽3、除湿風路11、乾燥フィルタ16、乾燥用ファン15および乾燥用ヒータ17などからなる循環風路として構成されている。
除湿風路11は洗濯槽3の外側の水槽2の後側外周に、水槽2と一体に形成されていて、除湿風路11の内部には、水冷式除湿用熱交換器である除湿板12が配置されている。
また、筐体1の後側上面には給水口13が設けられており、給水口13から取り入れられた水は、分岐弁14を介して、洗濯槽3または除湿風路11に導入される。
洗濯槽3は、その側面を構成している脱水槽側板3Aと、その底面を構成している脱水槽底板3Cから構成されており、天面が開放され、底面が閉塞された筒状で、脱水槽側板3Aには脱水のための複数の脱水槽孔3Bが設けられている。脱水槽側板3Aの上部周囲には流体バランサ6が配置されている。流体バランサ6の内周で囲まれた範囲が、開口部として洗濯物30を投入したり取り出したりするために供される。脱水槽底板3Cの上には洗濯時や乾燥時に左右に回転するパルセータ9が取り付けられている。水槽2の下側には回転モータ7が取り付けられており、この回転モータ7の動力が回転軸8を介して洗濯槽3やパルセータ9に伝達され、それらの回転に利用される。
洗濯槽3は、投入された洗濯物30の洗い、すすぎ、脱水及び乾燥に供するものであるから、洗濯兼脱水槽あるいは洗濯兼脱水兼乾燥槽とも称されるものである。洗濯槽3は水槽2内に回転自在に配置されている。また、洗濯槽3は吊り棒可動部4Aによる吊り棒4の上げ下げにより水槽2と共に傾動するものである。
パルセータ9は、給水口13および分岐弁14を通過し筐体1の上部に取り付けられた洗剤ケース20内の洗剤を溶かし込んで洗濯槽3に注水された水(以下「洗濯水」と称す)、及び洗濯槽3内に投入された洗濯物30を攪拌するためのものであり、上述したように脱水槽底板3Cの上に左右に回転自在に配置されている。以下、洗濯槽3の回転と区別するため便宜上、パルセータ9の回転を「旋回」と称する。
図2はこの実施の形態で用いるパルセータ9を示す斜視図、図3はパルセータ9を図2の矢印X方向から見た矢視図(側面図)である。このパルセータ9は、その上面の一端側を低くし、それに対向する他端側を高くしたことによる傾斜面が表面(上面)9Aに形成された円盤状のベース部9aと、該ベース部9aの傾斜面から突出してその傾斜面の傾斜方向に沿って延び、ベース部9a中央部を横断する形状の翼部9bとを備え、翼部9bの、ベース部9aの傾斜面からの突出高さを、ベース部9aの高さの低い側から高い側に向かってより高くなるようにした構造を基本としている。なお、図中の符号9Bはパルセータ9の裏面(底面)を示している。
次に、動作を説明する。図6において、パルセータ9の旋回(正転及び反転)時、急斜面9sは洗濯物30を水平方向に押し出す力を与えるように作用し、緩斜面9gは洗濯物30を上下移動させるのに寄与する。従って、急斜面9sは洗い時やすすぎ時に効果を発揮し、緩斜面9gは乾燥時に効果を発揮する。
また図7に示すように、パルセータ9の裏面(底面)9Bには、水をすくい上げるポンプアップ用羽根9kが放射状に複数設けられており、高さが低い側には凸状リブ9mが設けられており、高い側と低い側の中間部には凸状リブ9nが設けられている。
水槽2の下方には、パルセータ9及び洗濯槽3を回転(旋回)駆動するための共通の回転モータ7が設置されている。加えて、回転モータ7の回転をパルセータ9または洗濯槽3に振り分ける回転分配手段と、該共通の回転分配手段からパルセータ9に回転(旋回)を伝達するパルセータ側回転伝達手段と、該共通の回転分配手段から洗濯槽3に回転を伝達する槽側回転伝達手段とが設置されているが、それらの手段は特に図示しない。回転モータ7及び回転分配手段は、後述の制御手段の指令によって、洗濯行程と脱水行程と乾燥行程において、それぞれ所定の回転/停止及び振り分けをするものである。
乾燥手段は、熱風によって洗濯物30を乾燥させるものであって、乾燥行程時に洗濯槽3内に温風を供給する乾燥用フアン15と、空気を加熱する乾燥用ヒータ17とを有している。
乾燥用フアン15は筐体1の後方上部に設置され、乾燥用フアン15のケーシング吐出口には乾燥用ヒータ17が設置されている。そして、水槽2の後部外壁に沿って立ち上がって上端が開口する除湿風路11が設置されており、水槽2の傾動に伴って傾動するものである。
乾燥用ヒータ17によって加熱された温風は、洗濯槽3内において洗濯物30の乾燥に供した後、脱水槽孔3Bを通過して、除湿風路11に排出され、ここで分岐弁14の切替えによって給水口13から給水された水によって冷却除湿された後再度、乾燥用ファン15によって乾燥フィルタ16を介して乾燥用ヒータ17に送られ循環する。
水槽2を図8のように傾斜させる水槽2の傾動動作は各種の方法で行うことができる。例えば、水槽2を支えている後ろ側の吊り棒4を上下動させて行うことができる。また、回転モータ7、ピニオン及びラックを利用して、傾動支点を中心に図示しない傾動台を回転させることで、水槽2を傾斜させることもできる。なお、除湿風路11は、水槽2が直立状態のときには図1に示すように水槽2の上部に設けられた乾燥用ファン15とは切り離されているが,水槽2の傾動動作時には図8に示すように乾燥用ファン15に連通するように構成されている。
また、除湿板12の水槽2の貫通穴の形成領域と対向する領域にも開口が形成されているため、この開口から風路の外周側へも水が流入し、その部分に溜まった泡も流されて、泡の蓄積が防止される。
また、洗いまたはすすぎ行程では、パルセータ9の回転により水がポンプアップされ、洗濯槽3内の水位が変化するが、貫通穴が除湿風路11の高さ方向に沿って設けられているため、洗濯槽3内の水位にかかわらず、貫通穴を水が行き来して、除湿風路11の底部の消泡が実行される。
このとき、除湿風路11内には、分岐弁14の切替により上方から冷却水が流下され、除湿板12の面上に沿って流れる。これにより、除湿風路11内で、上方に向かう湿潤空気と流下する冷却水の接触による熱交換(冷却除湿)が行われて、湿潤空気の除湿が進行する。
図9は、図1に示す洗濯機の動作を制御する制御手段の構成を説明するブロック図である。この洗濯機の制御手段110は、CPU130と、入力インターフェイス120と、出力インターフェイス140と、メモリ150と、クロック制御部160(タイマ170に接続されている)とを有している。入力インターフェイス120にはこれを介してCPU130に所定の信号を入力する運転コース設定スイッチ、電源スイッチなどの各種の操作スイッチ(図中、「…・SW]にて示す)や傾斜角度検出器が接続され、出力インターフェイス140には、CPU130からの所定の制御信号が出力される乾燥用フアン15やモータ(洗濯槽3の回転モータ7及び水槽2の傾動モータ等を総称する)やトルクセンサ18等が接続されている。
また、メモリ150には、運転コースのそれぞれの行程に対応して制御条件が記憶されている。そして、CPU130は、傾斜角度の決定や、決定した傾斜角度に傾動させる制御指令を、運転コースの各行程に応じて発している。
図10は標準コースを選んだ場合の洗濯行程を示すフローチャートである。
また、図11は節水コースを選んだ場合の洗濯行程を示すフローチャートである。
また、図12は大容量の洗濯物と小容量の洗濯物における各水流と、図10の標準コースおよび図11の節水コースで共通に行われる運転の時間比率および傾斜角度との関係を示す表である。急斜面による洗濯に対応するパルセータの回転を右回転、緩斜面による洗濯に対応するパルセータの回転を左回転とした場合、図12の回転時間は、左回転のOFF時間を1とした場合の比率を示している。
まず標準コースを選んだ場合の洗濯行程の動作について図10および図12に基づいて説明する。
ユーザが図9の電源スイッチをON操作して洗濯機に電源が投入されると(ステップS101)、洗濯機の制御手段110は、洗濯槽3の傾斜角度が洗濯物30の投入が容易な角度である例えば20度か否かを調べる(ステップS102)。洗濯槽3の傾斜角度がすでに20度であればその傾斜を維持したまま、スタートスイッチの投入を待つ。傾斜角度が20度以外であれば、洗濯槽3を20度に傾動し(ステップS103)、傾動終了後に停止して扉スタートスイッチの投入を待つ。次に、ユーザは扉10を開けて、洗濯物30を洗濯槽3に投入する(ステップS104)。
一方、ステップS109において、検知した洗濯物30の重量が約6kg以上の場合には、制御手段110は、洗濯中のトルクが少なくなるように洗濯槽3の傾斜角度を0度、すなわち、洗濯槽3を傾斜させず直立させた状態で回転給水を行って洗濯物30に浸透するのに十分な水量を確保すると共に、洗濯中に洗濯槽3内の水が零れないようにする(ステップS10G)。そして、洗濯槽3を直立させた状態で洗いを行なった(ステップS10H)後、洗濯槽3を直立させた状態で強洗い(大容量)を実行する(ステップS10I)。強洗いが終了すると、ステップS10Jに進む。
(1)電源投入時、洗濯槽は自動的に洗濯物を収納し易い角度(20度)に傾動するので、ユーザは作業し易くなる。
(2)洗濯機の制御手段は、洗濯槽の傾斜角度変更時は、ロック機構を制御して洗濯機の扉が開かないようにロックをかけさせるので、安全を確保できる。
(3)洗濯機の制御手段は、上記傾斜角度を変更時は、ロック機構を制御して運転設定による運転スタートができないようにロックをかけさせるため、ユーザは、投入し易い傾斜角度で操作でき、確実にしかも安全に洗濯物の投入または取り出すことができ、さらに、負荷量検知において高精度を確保できる。
(4)槽傾斜を洗浄、乾燥の傾斜に変更すると同時に洗剤量を表示するので、洗剤を投入口に入れることができ、また洗剤投入口は洗濯槽3とは別にあるため、洗濯槽稼動中も洗剤投入は可能であり、時間の短縮を図ることができる。
(5)容量が少ないとき(15度で洗いを実施するとき)洗いの後に強洗いを実施するが、パルセータ9の急斜面による洗濯に対応するパルセータ9の回転を右旋回、緩斜面による洗濯に対応するパルセータ9の回転を左旋回とした時、強洗い(小容量)右旋回の回転量を長くまたは同等とすることで、洗濯物に機械力を与えることができ、洗浄力を上げることができる。また、左旋回中心でやさしい洗いをメインとすることで、洗濯物の傷みと絡みを抑え、消費電力を抑えることができる。
(6)最後に強洗いを実施することで洗浄力を確保、工程の時間短縮も可能となる。
即ち、容量が多いとき(0度で洗いを実施するとき)洗いの後に強洗いを実施するが、強洗い(大容量)は一方の回転量を極端に長くし、洗濯物を固まりとしてひっくり返すので、水が少なく洗濯物の量が多くても水面より上に出ている洗濯物もしっかり洗える。
脱水工程前に槽傾斜0度でほぐしを実施し、15度でほぐしを実施し、排水すると洗濯物が斜めに固まり,脱水工程時にアンバランスになり危険であるが、この問題を解消できる。
次に、節水コースを選んだ場合の洗濯行程の動作について図11および図12に基づいて説明する。
ユーザが図9の電源スイッチをON操作して洗濯機に電源が投入されると(ステップS111)、洗濯機の制御手段110は、洗濯槽3の傾斜角度が洗濯物30の投入が容易な角度である例えば20度か否かを調べる(ステップS112)。洗濯槽3の傾斜角度がすでに20度であればその傾斜を維持したまま、スタートスイッチの投入を待つ。傾斜角度が20度以外であれば、洗濯槽3を20度に傾動し(ステップS113)、傾動終了後に停止して扉スタートスイッチの投入を待つ。次に、ユーザは扉10を開けて、洗濯物30を洗濯槽3に投入する(ステップS114)。
「洗い」が終了すると、制御手段110は、蛇腹を上げさせ(ステップS11D)、さらにモータ11を制御して洗濯槽3の傾斜角度を0度、すなわち、洗濯槽3を傾斜させず直立させ(ステップS11E)、この直立状態を維持したまま「ほぐし」(ステップS11F)、「脱水」(ステップS11G)、「すすぎ」(ステップS11H)、「脱水」(ステップS11I)の順に運転を行う。次に、制御手段110は、乾燥スイッチが設定されているか調べる(ステップS11J)。乾燥が設定されていれば、「乾燥運転」を行なった(ステップS11K)後、洗濯物を取り出し易いように洗濯槽3を20度に傾動して(ステップS11L)運転を終了する。乾燥が設定されていなければ、洗濯槽3を20度に傾動して(ステップS11M)運転を終了する。
(1)節水コースでは洗濯槽の傾斜角度が15度で「洗い」を実施するため、傾斜の手前側は水位が高くなっているので、水が少なくても洗濯物に水を浸透させることができる。
(2)槽回転洗い(パルセータを使う「洗い」工程前に洗濯槽を50rpmでゆっくり回転させる)をするので、洗濯物(とくに槽内の外側に配置された洗濯物)に水分を浸透させることができる。
以下、本発明に係る洗濯行程の各実施の形態について説明する。
実施の形態1.
図13は、6kg以上の重い洗濯物30を洗濯する場合(例えば9kg定格のトルクをかけた場合)のパルセータON時間(単位:秒)と1周期当たりのトルク(急斜面による洗濯に対応するパルセータの回転を右旋回、緩斜面による洗濯に対応するパルセータの回転を左旋回とした場合の左旋回のトルクを1とした場合の右旋回トルクの比率)との関係を示すグラフである。
また、図14は、本実施の形態1におけるパルセータを用いた洗濯行程における制御手段110の動作を示すフローチャートである。
洗濯時には、洗濯槽の回転に同期させてパルセータを「右旋回→休み→左旋回→休み」の順序で繰り返し実行させ、「右旋回」、「左旋回」、「休み」の各動作をそれぞれ異なる適当な時間(数秒程度)実行する。この場合、右向きにパルセータ9を旋回させることで急斜面による洗濯が行われるが、パルセータ9によって洗濯物30は押されるので時間の経過とともにねじれや絡みつきが発生する。そこで、この後一旦パルセータ9を休止させた上で逆の方向へ旋回させることで緩斜面によるほぐしを兼ねた洗濯が行われる。また、同じ向きによる洗濯時間が長すぎると洗濯物30のねじれや絡みつきが発生するので、適当な時間経過したら再び一旦パルセータ9を休止させた上で逆の方向へ旋回させることにより急斜面によるほぐしを兼ねた洗濯が行われる。以上の動作を繰り返し行うことで、ねじれや絡みつきがない洗濯が可能になる。
そこで、この実施の形態1では、このような場合について説明する。
図13では、左旋回すると、洗濯物30を上方へ跳ね上げるため時間とともにトルクが減っていく。そこで、トルクが最小になったら基本洗いを行うように制御する。この場合には、小さいトルクで洗濯を行うため、洗濯物30のねじれや絡みつきが発生しにくい。従って、左旋回の洗濯時間を多少長くしても問題がない。一方、右旋回の場合には、衣類を水平方向に押すことになり、時間とともに洗濯物30の抵抗によりトルクが増大していき、洗濯物30のねじれや絡みつきが発生し易い。従って、右旋回の洗濯時間を短くするのが好ましい。また、トルクが小さい洗濯時間をトルクが大きい洗濯時間より長くしたので、回転モータ7にかかる負荷が少なくなり、スムーズな洗濯が可能になる。
制御手段110は、洗濯する前に、図13に示される右トルクと左トルクとの関係から予め、右方向の回転時間T1と左方向の回転時間T2を算出して内部のメモリ150に保存しておく。
そして、洗濯行程に入ったら、回転モータ7を起動して時間T1だけパルセータ9を右旋回させて洗濯する(ステップS141)、次に所定時間T2だけモータ11を停止させてパルセータ9を休止させる(ステップS142)。次に回転モータ7を逆回転させてパルセータ9を時間T3だけ左旋回させて洗濯する(ステップS143)。次に所定時間T2だけ回転モータ7を停止させてパルセータ9を休止させる(ステップS144)。そして、ステップS145において、洗濯行程が終了したか否かを判定し、まだ終了していない場合にはステップS141に戻り、上記洗濯行程を再開する。そして、以上の動作を洗濯行程が終了するまで、繰り返し実行する。ステップS145において、洗濯行程が終了したらこの処理フローを終了して洗濯行程の次の行程に進む。
また、パルセータの急斜面による洗濯時間を緩斜面による洗濯時間よりも短くし、緩斜面による洗濯時間を急斜面による洗濯時間よりも長くしたので、少ないトルクで長時間洗濯することが可能になり省電力が図れる。
また、上記の例では、パルセータ9の急斜面による洗濯をパルセータ9の右旋回によって行い、緩斜面による洗濯を逆の左旋回によって行う場合について説明したが、これに限らず、パルセータの急斜面による洗濯をパルセータの左旋回によって行い、緩斜面による洗濯を逆の右旋回によって行ってもよい。
この実施の形態2では、左右の回転トルクが略同じになるようにパルセータのON時間を設定する場合について説明する。
図9と図13は、この実施の形態2でも用いられる。
図15はこの実施の形態2におけるパルセータを用いた洗濯における制御手段110の動作を示すフローチャートである。
次に、本実施の形態2の動作を、図9〜図13、図15を用いて説明する。
そして、洗濯行程に入ったら、回転モータ7を起動して時間T1だけパルセータ9を右旋回させて洗濯する(ステップS151)。次に、回転モータ7の回転軸8などに取り付けられたトルク計測手段21により右旋回時の回転モータ7のトルクを計測して、この計測された右旋回のトルクを内蔵メモリ150にW1として記憶する(ステップS152)。次に、右旋回のトルクW1(初期値はゼロ)を累積、すなわち積算して内蔵メモリ150にW1として記憶する(ステップS153)。次に、所定時間T2だけ回転モータ7を停止させてパルセータ9を休止させる(ステップS154)。次に、回転モータ7を逆回転させて時間T3だけパルセータ9を左旋回させて洗濯する(ステップS155)。次に、トルク計測手段21により左旋回時のトルクを計測し、計測された左旋回のトルクを内蔵メモリ150にW2として記憶する(ステップS156)。次に、左旋回のトルクW2(初期値はゼロ)を積算して内蔵メモリ150にW2として記憶する(ステップS157)。次に、所定時間T4だけ回転モータ7を停止させてパルセータ9を休止させる(ステップS158)。次に、積算された左旋回のトルクW2を積算された右旋回のトルクW1と比較する(ステップS159)。比較の結果、左旋回のトルク積算値W2が右旋回回転のトルク積算値W1未満の間はステップS155に戻って左旋回による洗濯を続行し、左旋回のトルク積算値W2が右旋回のトルク積算値W1以上になったら洗濯行程が終了したか否かを判定する(ステップS15A)。洗濯行程が終了していない場合には、ステップS151に戻って、洗濯を続行する。ステップS15Aにおいて、洗濯行程が終了したらこの処理フローを終了して洗濯行程の次の行程に進む。
実施の形態2では、左右のトルクがバランスするように洗濯する形態について説明したが、この実施の形態3では、急斜面による洗濯時間を時間の経過とともに減少させていくことでトータル洗濯時間の短縮を図る場合について説明する。
図9と図13は、この実施の形態3でも用いられる。
図16はこの実施の形態3におけるパルセータを用いた洗濯における制御手段110の動作を示すフローチャートである。
次に、本実施の形態3の動作を、図9〜図13、図16を用いて説明する。
洗濯物30は洗濯回数が増えていくに従って、どんどんきれいになっていく。そこで、強いトルクにより洗濯に大きく寄与する、急斜面による洗濯の時間を時間の経過とともに減少させていっても洗濯能力は維持できる。この実施の形態3では、このような場合について説明する。
そして、洗濯行程に入ったら、制御手段110は、回転モータ7を起動して時間T1だけパルセータ9を右旋回させて洗濯する(ステップS161)。次に所定時間T2だけ回転モータ7を停止させてパルセータ9を休止させる(ステップS162)。次に、回転モータ7を逆回転させて時間T3だけパルセータ9を左旋回させて洗濯する(ステップS163)。次に所定時間T4だけ回転モータ7を停止させてパルセータ9を休止させる(ステップS164)。次に右旋回の時間T1を閾値αと比較し(ステップS165)、右旋回の時間T1が閾値αより大きい間はT1から所定の小さい値(刻み値)βを減算する(ステップS166)。一方、ステップS165において、時間T1が閾値αより小さくなったらこれ以上少ない時間で洗濯しても意味がないため、減算をやめてステップS167へ進む。次に、ステップS167において、洗濯行程が終了したか否かを判定する。洗濯行程が終了していない場合には、ステップS161に戻って、洗濯を続行する。ステップS167において、洗濯行程が終了したらこの処理フローを終了して洗濯行程の次の行程に進む。
この実施の形態4では、実施の形態2以上に左右のON時間差をつけることによって、敢えて洗濯物30に偏った力を加え、この洗濯物30を塊としてひっくり返す場合について説明する。
図9と図13は、この実施の形態4でも用いられる。
図17は、この実施の形態4の動作原理を説明するための概略説明図である。
図18はこの実施の形態4におけるパルセータを用いた洗濯における制御手段110の動作を示すフローチャートである。
次に、本実施の形態4の動作を、図9〜図13、図17〜図18を用いて説明する。
図17に示すように、左旋回を実施の形態2よりも多く実行することで、洗濯物30は周囲の洗濯ドラムとの摩擦や水の抵抗などにより少しずつ回転していく。そして、やがて重心がずれて洗濯物30はコロッと自重によって転倒する場合がある。この場合、洗濯物30が別の位置に移動するので、洗濯物30の転倒前後でのトルクの変化が急激になる。そこで、制御手段10はトルクセンサ18を用いてトルクを計測し、前回計測したトルク値と比較して、偏差が所定値より小さい場合、すなわちさほど大きな変化がない場合には、パルセータ9の右旋回を続行し、所定値より大きな変化があった場合には洗濯物30の転倒が発生したと判断して、今度はパルセータ9を左旋回する。この場合、制御手段10は右回転時のトルク積算値と、左回転時のトルクとに基づいて左旋回の回転時間を換算する。但し、洗濯物30がなかなか転倒しない場合もあり、この状態で左回転ばかり度を超して続行するとトルクが異常に増大して故障の原因になる恐れもあるので、制御手段10は上限値を決めておき、回転数がこの上限値に達したら洗濯物30に転倒が発生しなくても自動的に左旋回で洗濯するように回転モータ7を駆動制御する。
パルセータ9の急斜面による洗濯に対応するパルセータ9の回転を右旋回、緩斜面による洗濯に対応するパルセータ9の回転を左旋回とした時、制御手段110は、洗濯する前に、左旋回の時間T1を設定して内部のメモリ150に保存しておく。
そして、洗濯行程に入ったら、制御手段110は、初期化を行う。ここでは、後述の左旋回の回数を数えるカウンタの値をゼロにクリアしておく(ステップS181)。次に、制御手段10は回転モータ7を起動して予め設定した時間T1だけパルセータ9を左旋回させて洗濯する(ステップS182)。次に、制御手段110は、回転モータ7の回転軸8などに取り付けられたトルクセンサ18により左旋回時のトルクを計測して、この計測された左旋回のトルクを内蔵メモリ150にW1として記憶する(ステップS183)。次に、制御手段110は所定時間T2だけ回転モータ7を停止させてパルセータ9を休止させる(ステップS184)。次に、左旋回の回数(初期値はゼロ)を1つカウントアップし(ステップS185)、この数が上限値に達したか否かを調べる(ステップS186)。上限値に達していなければ、まだトルクに余裕があるので、ステップS187に進み、上限値に達したら、これ以上続行すると危険なため、左旋回から右旋回に移行するためステップS188に進む。ステップS187では、メモリ150に保存しておいた今回の左旋回のトルクと前回の左旋回のトルクとの偏差を調べ、トルクに所定値より大きな変化があったか否かを調べる。左旋回のトルクの変化が所定値以上に達していなければ、ステップS182に戻り、大きな変化があるまで左旋回による洗濯を続行する。一方、ステップS187において左旋回のトルクの変化が所定値以上に達したら、制御手段110は洗濯物30が転倒したと判断し、今度は右旋回に移行するために左旋回のトルク積算値(左旋回のトルクとその回数との乗算結果)と右旋回のトルクから、右旋回の時間T3を算出する(ステップS188)。この場合、右旋回のトルクは左旋回のそれよりも強いので、右旋回時間は、左旋回時間に比べてその分短くなる。次に、制御手段110は回転モータ7を起動して算出された時間T3だけパルセータ9を右旋回させて洗濯する(ステップS189)。次に、制御手段110は所定時間T4だけ回転モータ7を停止させてパルセータ9を休止させる(ステップS18A)。次に、制御手段110は洗濯行程が終了したか否かを判定し(ステップS18B)、洗濯行程が終了していない場合には、ステップS182に戻って、洗濯を続行する。ステップS18Bにおいて、洗濯行程が終了したらこの処理フローを終了して洗濯行程の次の行程に進む。
以上の実施の形態では、洗濯物30の重量が6kgより重い(9kg定格)場合を前提として説明してきた。この実施の形態5では、洗濯物30の重量が6kg以下の相対的に軽い場合について説明する。
洗濯物30の重量が6kg以下の場合にはトルクに影響が少ないので、パルセータの急斜面を利用した洗濯時間をより多くすることが可能である。本実施の形態5ではこの場合について説明する。
図19はこの実施の形態5におけるパルセータを用いた洗濯における制御手段110の動作を示すフローチャートである。
次に、本実施の形態5の動作を、図9〜図13および図19を用いて説明する。
そして、洗濯行程に入ったら、制御手段110は、回転モータ7を起動して時間T1だけパルセータ9を左旋回させて洗濯させる(ステップS191)。次に、制御手段110は、回転モータ7の回転軸8などに取り付けられたトルクセンサ18により左旋回時の回転モータ7のトルクを計測して、この計測された左旋回のトルクを内蔵メモリ150にW1として記憶する(ステップS192)。次に、制御手段110は、左旋回のトルクW1(初期値はゼロ)を積算して内蔵メモリ150にW1として記憶する(ステップS193)。次に、制御手段110は、所定時間T2だけ回転モータ7を停止させてパルセータ9を休止させる(ステップS194)。次に、制御手段110は、回転モータ7を逆回転させて時間T3だけパルセータ9を右旋回させて洗濯する(ステップS195)。次に、制御手段110は、トルクセンサ18により右旋回のトルクを計測し、計測された右旋回のトルクを内蔵メモリ150にW2として記憶する(ステップS196)。次に、制御手段110は、右旋回のトルクW2(初期値はゼロ)を積算して内蔵メモリ150にW2として記憶する(ステップS197)。次に、制御手段110は、所定時間T4だけ回転モータ7を停止させてパルセータ9を休止させる(ステップS198)。次に、積算された右旋回のトルクW2を積算された左旋回のトルクW1と比較する(ステップS199)。比較の結果、右旋回のトルクの積算値W2が左旋回のトルク積算値W1未満の間はステップS195に戻って右旋回による洗濯を続行し、右旋回のトルク積算値W2が左旋回のトルク積算値W1+α以上になったら、制御手段110は洗濯行程が終了したか否かを判定する(ステップS19A)。ここで、αは、緩斜面による洗濯時間である右回転時間の増分であり、洗濯物30の重量が6kg以下の場合にトルクに影響が少ないので、右回転時間を多少増やしても問題がない程度の値を予め設定しておく。ステップS19Aにおいて、洗濯行程が終了していない場合には、制御手段110は、ステップS191に戻って、洗濯を続行させる。ステップS19Aにおいて、洗濯行程が終了したらこの処理フローを終了して洗濯行程の次の行程に進ませる。
Claims (18)
- 洗濯機本体の底部に配された回転体であるパルセータと、
このパルセータの回転を制御する制御手段と、を備え、
前記パルセータは、上面の一端側を低くしそれに対向する上面の他端側を高くしたことにより表面が傾斜面に形成されたベース部と、このベース部の傾斜面に立設し前記傾斜面の傾き方向に沿って延びる翼部とを備え、前記ベース部をさらに前記翼部で隔てられその縁部からまたは表面の前記翼部と平行な所定位置から前記翼部の方向に向かって異なる勾配で高くなる傾斜面に形成された両側面を有するように変形することで構成され、
前記両側面は、所定値より緩やかな勾配をもつ緩斜面と、この緩斜面より急な勾配をもつ急斜面とから成り、
前記制御手段は、前記緩斜面での洗濯に対応する正転、第1の休止、前記急斜面での洗濯に対応する逆転、第2の休止の順序で構成される洗濯周期毎に、前記正転と逆転を交互に行わせるとともに前記正転の時間を前記逆転の時間よりも長くなるように前記パルセータを制御することを特徴とする洗濯機。 - 前記制御手段は、前記パルセータの正転のトルクの積算値と、逆転のトルクの積算値とが略同じになるように前記パルセータの正転および逆転を制御することを特徴とする請求項1記載の洗濯機。
- 前記制御手段は、前記パルセータの正転の時間を時間の経過とともに、徐々に少なくすることを特徴とする請求項1記載の洗濯機。
- 前記パルセータを駆動する駆動手段と、
この駆動手段のトルクを計測するトルク計測手段と、を備え、
前記制御手段は、前記洗濯周期毎に、前記正転または前記正転と前記第1の休止の動作を連続的に行わせ、前記トルク計測手段によって計測されるトルクの変化が所定値よりも大きい場合に前記パルセータの回転方向を逆に変えさせることを特徴とする請求項1記載の洗濯機。 - 前記制御手段は、洗濯物の重量が所定値よりも軽い場合には、各洗濯周期において前記パルセータの逆転の時間を、前記洗濯物の重量が重い場合よりも相対的に少なくすることを特徴とする請求項1または請求項4に記載の洗濯機。
- 前記制御手段は、洗濯物の重量が所定値よりも軽い場合には、各洗濯周期において前記パルセータの逆転の時間を、前記パルセータの正転の時間よりも長くまたは同等とすることを特徴とする請求項1または請求項4に記載の洗濯機。
- 洗濯槽を傾斜させる傾動手段を備え、
前記制御手段は、標準コースでの運転において洗濯物の容量が所定値よりも少ない場合には、洗濯槽を回転させながら給水を行う回転給水時、通常の洗い時、前記正転の時間または回数と前記逆転のそれとの偏差が前記通常の洗い時よりもさらに大きい強洗い時の少なくとも一つにおいて前記洗濯槽の傾斜角度が所定の値になるように前記傾動手段を制御することを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の洗濯機。 - 洗濯槽を傾斜させる傾動手段を備え、
前記制御手段は、標準コースでの運転において洗濯物の容量が所定値よりも多い場合には、洗濯槽を回転させながら給水を行う回転給水時、通常の洗い時、前記正転の時間または回数と前記逆転のそれとの偏差が前記通常の洗い時よりもさらに大きい強洗い時の少なくとも一つにおいて前記洗濯槽が略直立するように前記傾動手段を制御することを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の洗濯機。 - 前記制御手段は、通常の洗いの後に前記正転の時間または回数を前記逆転のそれよりもさらに大きくした強洗いを引き続き実行させるように前記パルセータを制御することを特徴とする請求項7または請求項8に記載の洗濯機。
- 洗濯槽を傾斜させる傾動手段を備え、
前記制御手段は、節水コースでの運転の場合には、洗濯槽を回転させながら給水を行う回転給水時、洗濯槽を所定の速度で回転させながら洗いを行う槽回転洗い時、通常の洗い時の少なくとも一つにおいて前記洗濯槽の傾斜角度が所定の値になるように前記傾動手段を制御することを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の洗濯機。 - 洗濯槽から洗濯水が外部へ漏れるのを防ぐ蛇腹を備え、
前記制御手段は、前記回転給水、前記通常の洗い、前記強洗いの少なくとも一つにおいて、事前に前記蛇腹を下ろさせることを特徴とする請求項7または請求項10に記載の洗濯機。 - 前記制御手段は、ほぐし、脱水、すすぎの少なくとも一つの運転時には、前記洗濯槽が略直立するように前記傾動手段を制御することを特徴とする請求項1〜11のいずれかに記載の洗濯機。
- 前記制御手段は、乾燥運転時には、前記洗濯槽の傾斜角度が所定の値になるように前記傾動手段を制御することを特徴とする請求項1〜12のいずれかに記載の洗濯機。
- 前記制御手段は、電源投入時、洗濯槽の傾斜角度が所定の角度以外の場合には、前記所定の角度になるように傾動させることを特徴とする請求項1〜13のいずれかに記載の洗濯機。
- 洗濯機の扉をロックするロック機構を備え、
前記制御手段は、前記洗濯槽の傾斜角度変更時には、前記ロック機構を制御して前記が開かないようにロックをかけさせることを特徴とする請求項1〜14のいずれかに記載の洗濯機。 - 洗濯機の扉をロックするロック機構を備え、
洗濯機の制御手段は、上記傾斜角度を変更時は、ロック機構を制御して運転設定による運転スタートができないようにロックをかけさせることを特徴とする請求項1〜14のいずれかに記載の洗濯機。 - 洗剤投入口は、洗濯槽とは別に設けられたことを特徴とする請求項1〜16のいずれかに記載の洗濯機。
- 洗濯槽を傾斜させる傾動手段を備え、前記洗濯槽を傾斜させて少量の水で洗濯を行なうコースを備えたことを特徴とする請求項1〜17のいずれかに記載の洗濯機。
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