JP4619029B2 - 医療用器具封入用トレイ - Google Patents

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Description

本発明は、カテーテルを用いた診断や治療などの手術に利用するための医療用器具を収納する医療用器具封入用トレイに関するものである。
カテーテルを用いた診断や治療などの手術は、患者に対する負担が少ないことから、普及が進んでいる。このような手術は、患者の腕や脚等に形成した動脈へ貫通する穿刺孔に、カテーテルを始めとする各種器具を導入して行われるものである。また、手術中、患者の血管内の様子は、X線による造影画像で観察される。具体的には、X線を受けて画像を表示する造影装置の上に患者を横たわらせ、その上方よりX線を照射して行われる。
このような手術においては、造影装置上に敷く使い捨ての不織布(ドレープ)や、患者に抗血栓薬であるヘパリンを点滴するための針やチューブの集合からなる点滴のためのセットなどの手術前の準備段階に使用する器具や消毒薬などの薬剤、医師の手術衣、手袋、足袋、マスク、消毒薬を塗布するための脱脂綿類等やピンセット、鉗子、はさみ類、手術の開始後に用いる切皮メス、留置針、イントロデューサシースとダイレータ、イントロデューサ用ガイドワイヤ、シリンジ、血管造影カテーテル、血管造影カテーテル用ガイドワイヤ、血管造影剤、マイクロカテーテル等の診断や治療に用いる器具、手術後に用いる止血用デバイス、各種薬剤を一次保管するためのビーカー、カップ類等、非常に多種多様に渡った数十種類もの医療器具および薬剤が使用される。また、感染予防のため、これらの器具類は使い捨てのものとされることが多い。
従来、このような器具類は、看護師により事前にテーブル上に配置されるなどの準備が行われているが、医師のように入念な消毒を行わない看護師は直接患者の血液に触れ得る器具には触ることを許されない。従って、鉗子類を用いるなどして遠隔的に包装から器具を取り出すなど、非常に煩雑な作業が行われていた。また、これらのような多くの器具類を購入準備する用度作業も非常に煩雑なものであった。
このような状況下において、カテーテル手術の準備段階までに使用される器具をひとつに同封してキット化し、購入や配置の手間を簡略化するとともに、誤使用や誤準備を防止しようとする動きがある。しかしながら、包装に使用されるパッケージは手術の際には邪魔に成り、また、手術の際にはカテーテルやガイドワイヤなど、血管内に挿入される器具を予め生理食塩水等に浸しておくことにより、血管内への空気の混入を防ぐ作業が行われるが、そのためのトレイが別途必要になる。
また、このようなトレイは通常繰り返し使用可能な金属製のものが用いられるが、金属製のトレイは扁平な内面構造を有する単純な形状のものであるため、細長いガイドワイヤやカテーテルが濡れた状態で置かれると、トレイ内表面に張り付いて取り出しにくくなるなどの問題点があった。
本発明は、このような問題点に鑑みてなされ、事前の準備が極めて容易で、別途トレイの準備が必要なく、しかも使用時にガイドワイヤやカテーテルの取り出しが容易な医療用器具封入用トレイを提供することを目的とする。
このような目的は、下記(1)から(2)の本発明により達成される。
(1)四角形状の底板と、該底板の周囲を囲むように設けられた壁部材とを有する医療用器具封入用トレイであって、前記底板は、円形に配置された複数の突起を有し、前記壁部材と前記複数の突起との間には、カテーテルを配置する区画が形成されており、該突起は、前記円形の内側に設けられた略垂直な面と、前記円形の外側に設けられ、前記カテーテルを取り出すための該突起上部より外側へ下るなだらかな傾斜面とを有することを特徴とする医療用器具封入用トレイ。
(2)前記突起は、円形の内側において、前記略垂直な面の下部に前記円形の内側へ下る傾斜面を更に有することを特徴とする(1)に記載の医療用器具封入用トレイ。
以上述べたごとく、本発明の医療用器具封入用トレイによれば、事前の準備が容易で医療従事者の負担を軽減することが可能となる。
以下、本発明の医療用器具封入用トレイを添付図面に示す好適構成例に基づいて詳細に説明する。図1は、本発明の医療用器具封入用トレイ1の実施形態を示す全体図である。
図1において、トレイ1は、第1のトレイ10と第2のトレイ20の長辺同士を接合した状態となっている。各トレイ10,20は、長辺30cm〜70cm、短辺20cm〜60cm程度の長方形の底板3の四方を高さ3cm〜20cmの壁2により囲まれた構造となっている。使用するカテーテルやシース、ガイドワイヤ等の血管内へ導入する器具は、使用前に生理食塩水に浸す必要があるが、本発明においては各トレイ10,20がこのような寸法や構造を取っているため、トレイを適切な量の生理食塩水で満たすことができる。すなわち、トレイの壁2が無ければ生理食塩水を貯留することはできないし、トレイの寸法が大きすぎれば大量の生理食塩水が必要となり、不経済である。また、トレイの寸法が大きすぎた場合には、使用後にトレイを廃棄する際に不便でもある。
トレイ20は底部に円形に配置された複数の突起21を有している。突起21には、包装時にガイドワイヤ等、円形状に包装された器具を動かないように抑える効果がある。ガイドワイヤは超弾性合金の細長い線材を樹脂で被覆した形態のものであるため、変形させても癖がつきにくく、丸めて包装することができる。また、トレイ20は、手術時に生理食塩水を注がれ、血管造影カテーテルやガイドワイヤを生理食塩水に浸すのに使用される。突起21はその際にガイドワイヤとカテーテルの混在による取り出しにくさを防ぐための区画分けの役割も持っている。更に、突起21は円の内側をほぼ垂直の面を有する壁とし、外側を円の外側へ下るなだらかな傾斜面とすることによって、弾性の高いガイドワイヤを円状に配置された突起21の内側に置かれた際に、ガイドワイヤが円の外側へ飛び出すことを防ぐと共に、取り出しの際に用意に術者の指に乗せることができ、円の外側に置かれたカテーテルの取り出しが容易となる効果を有している。また、円の内側は、ほぼ垂直な面の下部に、円の内側へ下る傾斜面を設けてあるため、一般的に親水性の外表面を有し、非常に潤滑性の高いガイドワイヤを円の内側から取り出す際に、まず傾斜の部分に引き上げて底板3から浮かせることによって、各突起21の間から容易に取り出すことができる。
仮に、突起21が上記のような複数のものでなく、単独で円形をなす突起の場合、ガイドワイヤを円の内側に配置すると、内周側に張り付いてを取り出しにくい。突起21は、円周上の一部に切り欠きを有するので、切り欠き部分より指をかけて用意にガイドワイヤを取り出すことができる。
また、トレイ内部に突起21を設けた為、生理食塩水を注ぐ場合、突起の部分の体積により通常の平らな底よりも少ない生理食塩水で器具を生理食塩水に浸すことができる。
また、トレイ20の周囲を囲む壁2の縁部分には、複数の窪み22が設けられている。窪み22は、手術の際に、カテーテルの基端部のハブを取り付けることができるように構成されている。これにより、手術の際に複数のカテーテル100を使用する順番に事前に設置しておくことができ、また、容易に取り出すことが可能となる。なお、窪み24は、後述するようにカテーテルを梱包する際に、トレイ10,20間をまたがらせるためのものである。
また、トレイ20の壁2の中央部分には、複数の突起23が設けられている。突起23は、指で押し込むことによってトレイ20の内側と外側、いずれの方向にも突出させることが可能であり、カテーテル100をトレイ20内で生理食塩水に浸す際にはトレイ20の内側へ突出させ、カテーテル100のトレイ外部への飛び出しを防止し、手術の終了後に生理食塩水や使用済みの器具を廃棄する際にはトレイ20の外側へ突出させ、廃棄の邪魔とならないよう機能を変更することができる。
トレイ10,20は、ABS、AES、PC、PP、PE、PS、HIPS、PET、PVC等の所望の強度を有する高分子物質により、真空成形や圧空成形プレス成形等の製造方法で形成されている。
図2〜図6は、図1に示すトレイ10,20の接合の様子のバリエーションを示す図である。図2〜図6に示すいずれの実施形態においても、トレイ10,20は固定部材30(a〜f)により固定されている。固定部材30は、単独でも良いが、複数設けることによって、より強固に2つのトレイ同士を固定できる。
図2(a)に示す実施形態においては、固定部材30aは、隣接させた2つのトレイ10,20の底面と側面に密着するL字状の板材からなり、金属又は硬質のプラスチック材料からなる。固定部材30aはトレイ側面と底面に対し、粘着テープ等によってトレイ10,20に貼り付けられており、トレイ10,20が輸送中に分離しないよう強固に固定されている。なお、固定部材30aの内側に両面テープ等の粘着材が貼り付けられたものであっても良い。
図2(b)に示す実施形態においては、固定部材30bの幅がトレイ10,20の短辺の合計の幅を略覆う大きさとなっている点のみが図2(a)のものと異なる。
図3は、トレイ10,20と固定部材30cとの関係を断面図で示すものである。図3の実施形態において、固定部材30cは、中央の突起31cと左右の突起32c,33cの3つの突起を有する。中央の突起31cは、トレイ10,20の間に挿入される。トレイ10,20は、使い勝手や成形上の都合で、壁2に傾斜が付いている。具体的には、底板3よりも上面の方が面積が広いように、外側に広がる傾斜となっている。また、壁2の頂部には、強度付与や手で保持する際の安全性を考慮して、外側へ折り返し部(縁)が形成されている。従って、トレイ10,20を長辺同士が接するように並べると、壁2の折り返し部分が接することとなるので、両者の間には、上部で折り返し部2つ分の隙間、下部でそれに加えて壁2の傾斜2つ分の隙間が生じる。固定部材30cの突起31cは、この隙間に係合する形状に形成されている。
また、左右の突起32c,33cは、それぞれトレイ10,20の壁2に形成された凹部11,12に係合する形状に形成されている。トレイ10,20を並べた状態で、両側から固定部材30cを2つ差し込むことによって、2つのトレイは固定され、輸送時や使用時に一体化された状態を維持することができる。なお、図示しない粘着テープ等を使用して固定部材30cを各トレイの壁2により強固に固定することもできる。なお、トレイ10,20の壁を完全に垂直なものとすれば、中央の突起31cを省略することもできる。
図4の実施形態において、固定部材30dは、上述したトレイ上部の折り返し部分に嵌合する2つの突起32d、33dと、トレイ10,20間の隙間に係合する突起31dを有する。本実施形態によれば、トレイ自体に凹部を設けるなどの特殊な加工が必要無い点で有効である。なお、本実施形態においても、図示しない粘着テープ等を使用して固定部材30dを各トレイの壁2により強固に固定することもできる。
図5の実施形態において、固定部材30eは、トレイ上部の折り返し部分における角の部分に嵌合するL字状固定部31e、32eを2つ接合した状態で一体化されており、更に、2つの翼状部材33e、34eを有している。図5(b)に断面図として示すように、翼状部材33e、34eは、回転して折り返されることによって、トレイの折り返し部分をL字状固定部31e、32eと共に挟み込む。本実施形態によれば、トレイ自体に凹部を設けるなどの特殊な加工が必要無い点で有効である。
図6の実施形態においては、トレイ10,20の長辺における壁2の縁同士が2つの回動部2fにおいて回動可能に一体化されている。一体化の手段としては、蝶番状の回動部2fを設ける他に、トレイの縁に筒状の部分を互い違いに設け、中央に金属軸等を通すことによってヒンジを形成したり、粘着テープで回動可能に縁を接続する方法を用いることができる。本実施形態においては、トレイ10,20が予め一体化されているため、固定部材30fとしては、高い保持力が要求されず、粘着テープ状のものを用いることができる。図中、31f、32fで示す部分が粘着部である。本実施形態においては、トレイ10,20の廃棄時には回動部2fを回動させて、2つのトレイの縁同士を重ね合わせることで小型化できる。このため、手術中にトレイ内に放置された使用済みの医療器具を2つのトレイの内側に密封して廃棄することもできる。
図7は、図1に示すトレイ1に、血管造影カテーテル100を配置する様子を示す図である。図7に示すように、血管造影カテーテル100は、血管に導入される先端部が、導入時に血管の分岐部において選択性を高める目的や、X線透視下で血管の影像を得るための血管造影剤を効率的に分布する目的などによって、先端にいわゆるピッグテール形状等の先端形状部110が設けられている。また、造影する血管に応じて適した形状が異なるため、一回の手術において、2〜3本程度の複数のカテーテルが使用されることもある。また治療用カテーテル用のガイディングカテーテルが封入されることもあるので、本発明においては、トレイ1内に複数の長尺なカテーテル100が封入されることもある。トレイ上の配置の際には、カテーテル100の先端10〜50cmは、先端形状の保持およびトルク伝達性等の操作性を維持するため、直線状態で保持されるのが望ましい。そのため、直線保持部分は、トレイ10の短辺の壁に沿った形で配置されるのが好ましい。また、カテーテル100の基端側10〜100cmは、トレイ20内に収まるように、湾曲状態で配置される。この湾曲の直径は、15cm〜35cmの範囲内であることが好ましい。湾曲の直径が35cm以上だとトレイのサイズが大きくなりすぎて好ましくなく、15cm以下だと曲がり癖が許容以上のものとなり、好ましくない。カテーテル100におけるトレイ10、20間をまたがる部分は、トレイの壁2に設けられた窪み24に配置される。
図8は、トレイ1に、カテーテル100の先端部を保護するためのカテーテル保護カバー40および小トレイ50を設置した様子を示すものである。カテーテル100は、血管内に挿入可能なほどに細径であり、かつ柔軟なものであるため、潰れや曲がりに弱く、輸送中にトレイ1内に同封されている他の器具によって押し潰されたりすることの無いよう、保護を行うことが必要である。本実施形態においては、カテーテル100は2つのトレイ10,20間をまたがるように配置されるため、このまたがる部分についての保護も重要である。また、カテーテル100の先端に立体的な形状が形成されている場合には、先端部の保護も重要である。そこで、カテーテル保護カバー40は、箱状、若しくは筒状のカバーとしてカテーテルの一部を覆い、保護するための立体的なカバーである。
カテーテル保護カバー40は、カテーテル100の先端形状部を覆うための比較的内部空間の広い箱状の部分41と、2つのトレイ10,20間をまたがる比較的内部空間の小さな箱状の部分42とからなる。箱状の部分41,42には、カテーテル100が挿通することの可能な連通した内部通路を有しており、内部にカテーテル100の先端部を設置した状態でトレイ10,20間にセットされる。ここで、カテーテルをより保護するために、カテーテル保護カバー内部に設置するカテーテル100を、予め図示しない台紙等にセットしてから設置してもよい。
小トレイ50は、長方形の底面51とその四方を囲む壁52からなり、搬送時には、シリンジや針などの比較的小型の医療器具が荷崩れを起こさないよう設けられている。
小トレイ50の底面51には、大小複数の穴53が設けられている。小トレイ50は、手術が始まる際に、天地逆転させることで底面51を天板とすることによって、図9に示すように穴53にビーカー101や針102、シリンジ等を入れ、転倒し難いように立てておく部材として利用することができる。
図10は、トレイ20内に配置される仕切り板60を示す図である。仕切り板60は、搬送時にトレイ20の底面に配置されるカテーテル100やガイドワイヤが、その上に包装されるその他の器具類によって潰されることの無いように設けられている。
仕切り板60は、樹脂製のシートを立体的に成形したもので、表面に複数の窪みが設けられている。このように成形されることによって、仕切り板60にも医療器具を固定することができる。具体的には、仕切り板60には、カテーテル100やガイドワイヤを使用する前に手術に用いられる複数のイントロデューサシースや、ダイレータ、留置針、イントロデューサ用ガイドワイヤ等がセットされる。このように構成することにより、仕切り板60の上部には、手術衣や手袋、ドレープ、点滴用器具類等の手術の前段階で使用する器具、仕切り板60自体には手術の最初に使用されるイントロデューサ等の器具、仕切り板60の下部には手術後半で使用されるガイドワイヤやカテーテル100を配置し、使用する順序にしたがって各器具を取り出すことが可能となり、非常に利便性の高いものとなる。
本発明の医療用器具封入用トレイ1の実施形態を示す全体図である。 図1に示すトレイ10,20の接合のバリエーションを示す図である。 図1に示すトレイ10,20の接合のバリエーションを示す図である。 図1に示すトレイ10,20の接合のバリエーションを示す図である。 図1に示すトレイ10,20の接合のバリエーションを示す図である。 図1に示すトレイ10,20の接合のバリエーションを示す図である。 図1に示すトレイ1に、血管造影カテーテル100を配置する様子を示す図である。 図1に示すトレイ1に、カテーテル保護カバー40および小トレイ50を設置した様子を示す図である。 小トレイ50を上下反転させた様子を示す図である。 トレイ20内に配置される仕切り板60を示す図である。
符号の説明
1 トレイ
2 壁
3 底板
10 第1のトレイ
20 第2のトレイ
30 固定部材
40 カテーテル保護カバー
50 小トレイ
60 仕切り板
100 カテーテル


Claims (2)

  1. 四角形状の底板と、該底板の周囲を囲むように設けられた壁部材とを有する医療用器具封入用トレイであって、
    前記底板は、円形に配置された複数の突起を有し、
    前記壁部材と前記複数の突起との間には、カテーテルを配置する区画が形成されており、
    該突起は、前記円形の内側に設けられた略垂直な面と、前記円形の外側に設けられ、前記カテーテルを取り出すための該突起上部より外側へ下るなだらかな傾斜面とを有することを特徴とする医療用器具封入用トレイ。
  2. 前記突起は、円形の内側において、前記略垂直な面の下部に前記円形の内側へ下る傾斜面を更に有することを特徴とする請求項1に記載の医療用器具封入用トレイ。
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