JP4616062B2 - 角型基板研磨用ガイドリング及び研磨ヘッド並びに角型基板の研磨方法 - Google Patents
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Description
このようなフォトマスク基板の製造において基板の研磨を行う場合、複数枚の基板を両面研磨装置にて研磨する方法がある。複数枚の基板の両面を同時に研磨すれば、量産の点で有利である。また、主に使用される透過型マスクでは、露光光を十分透過させるために、フォトマスク基板の両面にスクラッチ等の欠陥のないことが要求されており、両面研磨はスクラッチ対策にも有効である。
例えば、粒径の異なる研磨剤を混合して研磨を行うことで平坦度の高い基板に仕上げる方法が提案されている(特許文献1参照)。また、最初に両面研磨装置により基板の中央部が早く研磨される条件で凹型の基板を作った後、片面研磨装置で周辺部がより早く研磨される条件で研磨を行なうことで平坦度の高い基板を得る方法が提案されている(特許文献2参照)。
しかし、フォトマスク基板に対してより高い平坦度が要求される場合、片面研磨装置を用いて研磨を行っても、面全体にわたって平坦度が高い基板を得ることは極めて困難であり、特に角部が過研磨されるという問題が起こりやすい。
また、対象性が崩れた形のフォトマスク基板から良好な平坦度を持つ基板を得ようとする場合、図8のような一般的なガイドリング30を用いても平坦度を修正する効果が得られないという問題がある。
しかし、これらの方法による制御は技術的に非常に難しく、これらの方法により基板の研磨を行っても必ずしも高い平坦度が達成されない場合があった。
高い平坦度が要求されるフォトマスク基板は一般的に四角形であるため、上記のようなガイドリングを好適に使用することができる。
角型基板は辺の部分よりも角部が過剰に研磨され易いが、基板の辺の部分に対応する位置に切り欠き部が形成されているガイドリングを用いれば、対応する基板の辺の部分における研磨が促進され、角部と辺の部分をほぼ同じ研磨速度で研磨することが可能となる。
このように外部に向けて幅広となる切り欠き部が形成されていれば、切り欠き部を通じてガイドリングの外側から研磨剤を呼び込み易くなり、研磨効率を確実に向上させることができるものとなる。
このようなガイドリングであれば、ガイドリングと基板の辺の部分との間に形成される大きなクリアランスの部分は、切り欠き部を通じて外部から研磨剤が呼び込まれるとともに、研磨布の沈み込みが小さくなる。従って、基板の辺の部分の研磨効率がより向上し、高い平坦度及び対称性を有する角型基板に仕上げることができる。
フォトマスク基板は特に高い平坦度が要求される角型基板であるので、本発明に係るガイドリングを用いた研磨方法が特に有効となる。
本発明者らはフォトマスク基板等の角型基板の研磨について鋭意検討を重ねたところ、基板を収容する収容部の周辺の一部においてガイドリングの外部に通じる切り欠き部が形成されているガイドリングとすれば、基板の周辺部のうち、ガイドリングの切り欠き部に面している部分は、相対的に多量の研磨剤が供給されるとともに研磨布の強い弾性力を受けることにより、研磨を促進することができることを見出した。従って、角型基板の周辺部の研磨速度を高くしたい部分に対応する位置に外部に通じる切り欠き部が形成されたガイドリングとすれば、基板の周辺部をほぼ均一に研磨したり、あるいは対称性の崩れた基板の平坦性を修正することができ、全体として平坦度の高い基板に仕上げることができることを見出し、本発明の完成に至った。
図1は、本発明に係る角型基板用ガイドリングの一例を概略的に示している。このガイドリング1は四角形状のフォトマスク基板6を収容するため、基板6の形状に対応した収容部2を有している。そして、ガイドリング1の研磨布と接する側の面3には、収容部2に収容される基板6の各辺6aに対応する位置に、収容部2からガイドリング1の外部に通じる切り欠き部4が形成されている。各切り欠き部4は外部に向けて幅広となるように形成されており、いわば開口部となるような形状をしている。
一方、基板6の四隅の角部6bに対応する位置には、基板6の角部6bを支持することにより位置決めする支持部5が形成されている。
また、研磨剤は、図7の研磨装置と同様に研磨ヘッドの外側から供給することができるが、研磨ヘッドの内部に研磨剤を供給する機構を設けてもよい。
また、ゴムリング7の代わりに、図3に示したようなゴム製のバッキングパッド11を介して基板6を保持してもよい。全面に多数の通気孔が形成されたバッキングパッド11を用いることでトップリング9の通気路8を通じて基板6を真空吸着することができ、バッキングパッド11を介して基板6の全面を均一に押圧することができる。
一方、基板6の角部6bの周囲では、図2(B)に見られるように研磨布13がガイドリング1の支持部5により押圧され大きく沈み込まれる。従って、基板6の角部6bの付近では、辺6aの中央部分に比べ、研磨剤の供給量が少なく、研磨布13の弾性力も小さいため、研磨が抑制される。
図4は、本発明に係るガイドリングの他の例を示している。このガイドリング51は、研磨布と接する側の面において、フォトマスク基板6の1つの辺6aに対応する位置に、収容部52から外部に向けて幅広となる切り欠き部(開口部)54が形成されている。このようなガイドリング51は、対称性が崩れた基板の平坦度を修正する場合に好適に使用することができる。例えば、初期の研磨において、両面研磨装置により基板の左右で対称性が崩れた形で研磨された場合、基板の平坦度を上げるために、より削り取るべき側が開口部54に面するように基板6を収容して研磨を行う。開口部54に面する部分には相対的に多量の研磨剤が供給されるとともに研磨布による弾性力を強く受けるので、研磨が促進され、平坦度が大きく改善されることになる。従って、このようなガイドリング51を用いれば、複雑な押圧機構を設けなくても位置選択的な研磨が可能となり、対称性が崩れた基板の平坦度を修正することができる。
図5に示すガイドリングは、フォトマスク基板6の1つの辺6aに対応する位置に、基板6の角部6bに対応する位置よりも基板6とのクリアランス65が大きくなる部分が形成され、この大きなクリアランス65と、ガイドリング61の外部に通じる切り欠き部(溝部)64a,64bとが連通している。このようなガイドリング61の収容部62内にフォトマスク基板6を収容して研磨を行えば、溝部64a,64bを通じてガイドリング61の外側から研磨剤がクリアランス65内に取り込まれ、また、大きなクリアランス65が形成されている部分では研磨布の沈み込みが小さくなる。すなわち、大きなクリアランス65が形成されている基板6の辺6aの中央部分は、相対的に多量の研磨剤が供給されるとともに、研磨布による弾性力を強く受けることで研磨が促進されることになる。従って、このガイドリング61を用いれば、複雑な押圧機構を設けなくても位置選択的な研磨が可能となり、対称性が崩れた基板の平坦度を修正することができる。
また、目的に応じてフォトマスク基板の角部における研磨をより促進したい場合には、角部に対応する位置に図1に示したような外部に通じる開口部を設けてもよいし、図5に示したような大きなクリアランスとこれに連通する溝を設けてもよい。
さらに、ガイドリングは円形状のものに限定されず、例えば図13に示したような四角形状のガイドリング91とすることもできる。なお、このガイドリング91には、四角形の基板の各辺に対応する位置に一定幅の開口部94が形成されている。
(実施例)
図10に示したようにフォトマスク基板6の各辺に対応する位置に外側に向けて幅広となる開口部(切り欠き部)84を形成した四角形状のガイドリング81(PPS製)を作製した。このガイドリング81を研磨ヘッドに装着し、片面研磨装置を用いて152mm×152mm×6.35mmの合成石英ガラス基板の研磨を行った。研磨では、基板の押圧荷重を20kPaとし、研磨剤としてコロイダルシリカを用い、研磨布はスエード状のものを使用し、10分間研磨を行った。なお、凹形状の基板から研磨を開始し、基板の辺の中央部分が基板の中心部と標高がほぼ同じ高さとなる時点を研磨終了の目安とした。
研磨前後において、142mm×142mmの内側領域の平坦度を測定した。図11は研磨前後における基板の平坦度を示している。研磨前(A)の平坦度は0.314μmであったが、研磨後(B)は0.139μmの平坦度が達成された。
図8に示したような研磨側の面も切り欠き部がなく、クリアランスも一定となっているガイドリングを用いて実施例と同様に合成石英ガラス基板の研磨を行った。
研磨前後において、142mm×142mmの内側領域の平坦度を測定した。図12は研磨前後における基板の平坦度を示している。研磨前(A)の平坦度は0.322μmであったが、研磨後(B)の平坦度は0.376μmに悪化していた。特に辺部に比べて四隅の角部の過研磨が著しかった。
Claims (9)
- 角型基板を研磨布に対して押圧しながら研磨する際に、前記基板の周囲で前記研磨布を押圧することにより基板の周辺部の過剰な研磨を防ぐためのガイドリングであって、前記基板を収容する収容部を有し、少なくとも前記研磨布と接する側の面において、前記収容部の周辺の角型基板の周辺部の研磨速度を高くし、研磨を促進したい部分に対応する位置に該ガイドリングの外部に通じる切り欠き部が形成されていることを特徴とする角型基板研磨用ガイドリング。
- 前記収容部が、四角形状の角型基板を収容するものであることを特徴とする請求項1に記載の角型基板研磨用ガイドリング。
- 前記切り欠き部が、前記収容部に収容される角型基板の少なくとも1つの辺に対応する位置に形成されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の角型基板研磨用ガイドリング。
- 前記切り欠き部が、前記収容部に収容される角型基板の各辺に対応する位置に形成されていることを特徴とする請求項3に記載の角型基板研磨用ガイドリング。
- 前記切り欠き部が、前記収容部から外部に向けて幅広となるように形成されていることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の角型基板研磨用ガイドリング。
- 前記角型基板の辺に対応する位置に、該基板の角部に対応する位置よりも基板とのクリアランスが大きくなる部分が形成されており、該大きなクリアランスと外部に通じる切り欠き部が連通するように形成されていることを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載の角型基板研磨用ガイドリング。
- 角型基板を保持し、該基板を研磨布に押圧して研磨するための研磨ヘッドであって、少なくとも、前記基板を吸着保持するための基板保持手段と、前記基板を研磨布に押圧するための基板押圧手段と、前記請求項1ないし請求項6のいずれか1項に記載のガイドリングとを具備することを特徴とする角型基板用研磨ヘッド。
- 角型基板を保持し、研磨布に対して研磨剤を供給するとともに、該研磨布に前記基板を押圧しながら研磨する方法において、前記請求項1ないし請求項6のいずれか1項に記載のガイドリングを用い、該ガイドリングの収容部に前記角型基板を収容して研磨を行うことを特徴とする角型基板の研磨方法。
- 前記角型基板として、フォトマスク基板を研磨することを特徴とする請求項8に記載の角型基板の研磨方法。
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