JP4614446B2 - 成形加工用マグネシウム合金材、マグネシウム合金成形加工体、およびマグネシウム合金成形加工体の製造方法 - Google Patents

成形加工用マグネシウム合金材、マグネシウム合金成形加工体、およびマグネシウム合金成形加工体の製造方法 Download PDF

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本発明は特に成形加工性に優れた成形加工用マグネシウム合金材、その成形加工用マグネシウム合金材を成形加工してなるマグネシウム合金成形加工体、およびマグネシウム合金成形加工体の製造方法に関する。
軽量なマグネシウム合金はモバイル通信機器やノートパソコンなどの小型の携帯用電子機器の外装ケース部材、旅行用のスーツケースや書類収納用のアタッシェケースなどの大型ケース部材、フード、トランクリッド、ドア、フェンダーなどの自動車用部材などへの適用が試みられている。マグネシウム合金は加工性に乏しく、高加工度で成形加工することが極めて困難である。このような難加工性のマグネシウム合金を絞り加工するため、絞り成形加工装置のダイ、パンチ、シワ押え部材の温度を150〜400℃程度まで加熱して絞り成形加工する方法(例えば特許文献1参照)、ダイ、パンチ、ブランクホルダーを加熱し、これらの成形加工工具を介してマグネシウムを再結晶温度域まで加熱し、その加熱によりマグネシウムが再結晶して軟化し塑性変形しやすい焼鈍効果を誘発させながらマグネシウムブランクを箱状に熱間深絞りするマグネシウム合金製ハードケースの製造方法(例えば特許文献2参照)などの成形加工時にマグネシウム合金を再結晶温度域まで加熱する方法や、ポンチとダイの少なくとも一方の表面に、マグネシウム材の板より軟質の純マグネシウム、純アルミニウム、樹脂などの板を取り付けて塑性加工を行う方法(例えば特許文献3参照)、加熱したマグネシウム薄板の上下面に断熱材としてフッ素樹脂フィルムを設置して、高温でプレス成形する方法(例えば特許文献4参照)などが提案されている。これらの提案に示されているように、マグネシウム合金に絞り加工などの成形加工を施す場合は、再結晶温度域まで加熱することが不可欠である。
さらに、加工を容易にするため潤滑剤を使用することも提案されている。例えば、プレス金型の型表面に、チタンナイトライド、ダイヤモンドライクカーボンなどの超硬質膜をコーティング処理により形成させる方法(例えば特許文献5参照)、生分解性油脂、防錆・潤滑剤、極圧添加剤、さらに有機亜鉛化合物、有機モリブデン系化合物を含有してなるマグネシウム合金またはアルミニウム合金用塑性加工油を用いて成形加工する方法(例えば特許文献6参照)が提案されている。しかしこれらの方法はいずれも冷間加工で成形加工する場合に用いられており、上記の例におけるように、200℃を超える加工温度で成形加工する場合には有効な潤滑効果が得られない。
本発明に関する先行技術文献として以下のものがある。
特開2003−290843号公報 特開2002−254115号公報 特開2001−300643号公報 特開平06−328155号公報 特開2003−154418号公報 特開2003−105364号公報
本発明は、350℃以下の温度域で優れた潤滑効果を発現し、潤滑油や二硫化モリブデンなどの固体潤滑剤を用いることなく、高加工度で成形加工体を得ることが可能な成形加工用マグネシウム合金材、その成形加工用マグネシウム合金材を成形加工してなるマグネシウム合金成形加工体、およびマグネシウム合金成形加工体の製造方法を提供することを目的とする。
本発明の目的を達成するため、本発明の請求項1の成形加工用マグネシウム合金材は、水溶性ウレタン樹脂、水溶性ポリエステル樹脂、水溶性アクリル樹脂、水溶性エポキシ樹脂、またはこれらの有機樹脂を変性した樹脂のいずれか1種、または2種以上からなり、かつ、耐熱性付与剤を含有する有機樹脂をマグネシウム合金材表面に被覆してなる、350℃以下の加工温度における摩擦係数が0.2以下であることを特徴とする。
請求項2の成形加工用マグネシウム合金材は、上記請求項1の成形加工用マグネシウム合金材において、前記有機樹脂がシランカップリング剤、コロイダルシリカ、潤滑剤、金属アルコキシドのいずれか1種、または2種以上を含有してなることを特徴とする。
請求項3の成形加工用マグネシウム合金材は、上記請求項1の成形加工用マグネシウム合金材において、前記耐熱性付与剤がシロキサン化合物であることを特徴とする。
本発明の請求項4のマグネシウム合金成形加工体は、上記請求項1〜3のいずれかの成形加工用マグネシウム合金材を成形加工してなることを特徴とする。
請求項5のマグネシウム合金成形加工体は、請求項4において、前記マグネシウム合金成形加工体が自動車用部材であることを特徴とする。
請求項6のマグネシウム合金成形加工体は、請求項4において、前記マグネシウム合金成形加工体が容器であることを特徴とする。
請求項7のマグネシウム合金成形加工体は、請求項6において、前記容器が絞り容器であることを特徴とする。
請求項8のマグネシウム合金成形加工体は、請求項7において、前記絞り容器の絞り比が4.0以下であることを特徴とする。
本発明の請求項9のマグネシウム合金成形加工体の製造方法は、水溶性ウレタン樹脂、水溶性ポリエステル樹脂、水溶性アクリル樹脂、水溶性エポキシ樹脂、またはこれらの有機樹脂を変性した樹脂のいずれか1種、または2種以上からなり、かつ、耐熱性付与剤を含有する有機樹脂をマグネシウム合金材表面に被覆し、350℃以下の温度範囲で成形加工することを特徴とする。
請求項10のマグネシウム合金成形加工体の製造方法は、請求項9において、前記有機樹脂として、シランカップリング剤、コロイダルシリカ、潤滑剤、金属アルコキシドのいずれか1種、または2種以上を含有してなる有機樹脂を用いることを特徴とする。
請求項11のマグネシウム合金成形加工体の製造方法は、請求項9において、前記耐熱性付与剤として、シロキサン化合物を用いることを特徴とする。
本発明の成形加工用マグネシウム合金材は、潤滑性を有する有機樹脂をマグネシウム合金材の表面に被覆してなるので、高加工度でマグネシウム合金成形加工体に製造することが可能であり、特に有機樹脂にシロキサン化合物などの耐熱性付与剤を含有させた場合は、特に200〜350℃の温間加工温度域で優れた潤滑効果が発現し、自動車用部材、小型ケースや大型ケースなどの容器、特に絞り比が4.0以下の高加工度で絞り加工する絞り容器などのマグネシウム合金成形加工体に成形加工することが可能となる。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明のマグネシウム合金成形加工体の製造に用いるマグネシウム合金材としては、純マグネシウムや、合金成分としてアルミニウムを1.0〜9.0重量%、亜鉛を0.5〜6.0重量%、マンガンを0.05〜2.0重量%含有してなり、残部がマグネシウムおよび不可避的不純物からなるマグネシウム合金からなり、結晶粒径が2〜50μm、より好ましくは2〜10μmであるマグネシウム合金であることが好ましい(以下、説明を簡略にするため、純マグネシウムとマグネシウム合金の両方を併せてマグネシウム合金と称する)。これらのマグネシウム合金は押出材、切削加工材、熱延材などの板材として、下記に示す成形加工に適用する。板材を用いる場合は板厚が0.05〜3.0mmのものであることが好ましい。これらのマグネシウム合金材の表面に有機樹脂を被覆して、成形加工用マグネシウム合金材とする。
マグネシウム合金材表面に被覆する有機樹脂としては、水溶性または水分散性樹脂であることが好ましく、水溶性ウレタン樹脂、水溶性ポリエステル樹脂、水溶性アクリル樹脂、水溶性エポキシ樹脂、またはこれらの有機樹脂を変性してなる水溶性のアクリル変性ポリエステル樹脂、フェニルシリコン変性アクリル樹脂などが好ましい。これらの有機樹脂は1種のみで用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。有機樹脂の添加%は、20〜85重量%の範囲が望ましい。20重量%未満では、形成した有機樹脂皮膜が加工により損傷しやすく望ましくない。85重量%を超えると特性上問題ないが経済的でない。さらに、マグネシウム合金材の加工温度として、150℃を越えるような温度が好適に使用される場合が多いため、耐熱性に優れた有機樹脂を使用するのが好ましい。
これらの有機樹脂は樹脂単独で上記のマグネシウム合金材に塗布乾燥して皮膜形成させて用いてもよいが、成形加工性や耐食性を向上させるために、下記に示す物質を有機樹脂に含有させて用いてもよい。シランカップリング剤を含有させることにより、有機樹脂皮膜のマグネシウム合金材に対する密着性、特に成形加工時の密着性が著しく向上する。シランカップリング剤には、ビニル系、エポキシ系、スチリル系、メタクリロキシ系、アクリロキシ系、アミノ系、ウレイド系、クロロプロピル系、メルカプト系、イソシアネート系などの官能基の種類によって分類され、これらはすべて効果的に使用可能である。これは、シランカップリング剤がほとんどの樹脂に対して結合性、すなわち密着性にすぐれているためと考えられる。具体的には、エポキシ系のシランカップリング剤KBM403はウレタンやエポキシ系の樹脂等との結合に優れ、アミノ系のシランカップリング剤KBM903はアクリル系の樹脂等との結合に優れ、優れた密着性を示す。また、ウレタン系の樹脂と言っても種々の物があるため、エポキシ系のシランカップリング剤KBM403だけではなく、アミノ系のシランカップリング剤KBM903でも優れた効果が得られる。シランカップリング剤は有機樹脂皮膜中に5重量%以下で含有していることが好ましく、1重量%以下で含有していることがより好ましい。5重量%を超えて含有しても密着性の向上効果は飽和し、経済的に有利でなくなる。
また、コロイダルシリカを含有させることにより、有機樹脂皮膜の硬さが向上して耐疵付性が向上し、耐食性も向上する。コロイダルシリカは有機樹脂皮膜中に50重量%以下で含有していることが好ましい。50重量%を超えて含有すると、有機樹脂皮膜が硬くなりすぎて、有機樹脂皮膜の加工性が劣化し、成形加工時に有機樹脂皮膜にクラックが生じやすくなる。
さらに、潤滑剤を含有させることにより、マグネシウム合金材に有機樹脂皮膜を形成させた成形加工用マグネシウム合金材の成形加工性が向上する。潤滑剤としては、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸などの高級脂肪酸、これらの高級脂肪酸のカルシウム塩、アルミニウム塩、亜鉛塩、バリウム塩、マグネシウム塩、これらの高級脂肪酸エステル、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックスなどのポリオレフィンワックス、ポリテトラフルオロエチレン、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリフッ化ビニルなどのフッ素系ワックス、グラファイト、二硫化モリブデン、ボロンナイトライドなどの無機質粉末などを用いることができる。これらの潤滑剤は有機樹脂皮膜中に20重量%以下で含有していることが好ましい。20重量%を超えて含有すると、マグネシウム合金材に対する有機樹脂皮膜の成形加工時も密着性が劣化する。
さらにまた、金属アルコキシドを含有させることにより、マグネシウム合金材に有機樹脂皮膜を形成させた成形加工用マグネシウム合金材の耐熱性が向上する。金属アルコキシドとしては、ボロン、アルミニウム、チタン、バナジウム、マンガン、鉄、コバルト、銅、イットリウム、ジルコニウム、ニオブ、ランタン、セリウム、タンタル、タングステンのアルコキシドをあげることができるが、中でもチタン系のアルコキシドが好適に用いることができる。これらの金属アルコキシドは、有機樹脂皮膜中に10重量%以下で含有していることが好ましい。10重量%を超えて含有すると、マグネシウム合金材に有機樹脂皮膜を形成させた成形加工用マグネシウム合金材の成形加工性が低下する。上記のシランカップリング剤、コロイダルシリカ、潤滑剤、金属アルコキシドは有機樹脂皮膜中にそれぞれ1種で単独で含有していてもよいが、2種以上が含有していてもよい。
上記のようにして得られる有機樹脂をマグネシウム合金材の表面に塗布乾燥して有機樹脂皮膜を形成させる。有機樹脂皮膜の厚さは乾燥後の厚さで0.1〜50μmであることが好ましく、1〜10μmであることがより好ましい。このようにして成形加工用マグネシウム合金材が得られるが、加工温度での表面の摩擦係数は0.2以下であることが好ましい。加工温度での摩擦係数とは、成型加工用マグネシウム合金材を加工する温度での摩擦係数を、HEIDON製球接触式摩擦係数測定装置(Dynamic Strain Amplifer 3K-34D, Peeling/Slipping/Scratching TESTER HEIDON-14)を使用して測定した値である。
以上のようにして得られる成形加工用マグネシウム合金材は、加工温度での摩擦係数が0.2以下であり、成形加工性に優れており、絞り加工、鍛造、圧延、プレスフォージングなどの成形加工でこれまで常用されていた潤滑油や二硫化モリブデンなどの固体潤滑剤を用いることなく、好適に成形加工することができる。また、これまで常用されていた潤滑油や二硫化モリブデンなどの固体潤滑剤を併用しても好適に成形加工することができるので、従来の潤滑油塗布が必要なマグネシウム合金材の製造方法と本発明の無塗油加工が可能な製造方法を併用して、従来の塗油を行う製造工程の中で連続して加工することも可能である。さらに、成形加工用マグネシウム合金材を350℃以下の温度範囲、好ましくは200〜350℃の温間加工温度範囲に加熱して絞り加工すると、200℃未満の温度域と比較してさらに加工性が向上し、高加工度で成形加工することが可能となる。しかし200℃を超える温度範囲で成形加工する場合、有機樹脂皮膜が分解して変色したり皮膜にクラックが生じ、見栄えが劣化するとともに加工度を向上させることが困難になる。そのため、有機樹脂単独での耐熱性を向上させるだけでなく、有機樹脂皮膜にさらに耐熱性付与剤を含有させることにより、200〜350℃以下の高温の温間加工温度範囲で有機樹脂皮膜が変色したり、クラックを生じることなく、安定して成形加工を行うことが可能となり、加工度も向上させることができる。結果として、成形加工用マグネシウム合金材の成形加工において、従来から実施されている潤滑油を使用した場合と同じ加工性が得られる加工温度を、350℃以下の温度領域において、より低くすることが可能となり、必要以上の加熱処理が不要となるメリットが得られる。もちろん、成形加工時の潤滑油塗布が不要となることは言うまでもない。
耐熱性付与剤としては、ポリイミドなどの耐熱性樹脂やシロキサン化合物を用いることが好ましい。シロキサン化合物としては、ジメチルシロキサン、ジエチルシロキサン、メチルエチルシロキサン、ジフェニルシロキサン、メチルフェニルシロキサンなどのオルガノシロキサンのポリマーやモノマー、またはこれらのオルガノシロキサン分子内にポリアルキレンオキシド基、水酸基、アミド基、カルボキシル基、スルホン基、アミノ基のいずれか1種または2種以上の置換基を1個以上有するものが好適に好適に用いられる。これらの耐熱性付与剤は、有機樹脂皮膜中に5〜80重量%含有されていることが好ましく、10〜60重量%含有されていることがより好ましい。このように、有機樹脂皮膜中に耐熱性付与剤を含有させることにより、成形加工用マグネシウム合金板を200〜350℃の温間加工温度範囲まで加熱し、高加工度で成形加工することが可能となる。なお、耐熱性付与剤は有機樹脂に単独で含有してもよいが、上記のシランカップリング剤、コロイダルシリカ、潤滑剤のいずれか1種、または2種以上と併用して含有していてもよい。
このようにして得られるマグネシウム合金成形加工体は、必要に応じて有機樹脂皮膜上に塗装を施すことが可能である。あるいは上記の成形加工用マグネシウム合金材の有機樹脂皮膜上に予め塗装を施しておいた塗装材を成形加工してマグネシウム合金成形加工体としてもよい。もちろん、有機樹脂皮膜を単独で被覆したまま使用することも可能である。また、マグネシウム合金成形加工体に成形加工した後にアルカリ溶液を用いて有機樹脂皮膜を溶解除去したり、研磨粒子を表面に吹き付けるショットブラスト法用いて除去した後、公知の陽極酸化処理やめっきなどの表面処理を施したり、さらにその上に塗装を施すことも可能である。
以下、実施例にて本発明を詳細に説明する。
(成形加工用マグネシウム合材材の作成)
成形加工用マグネシウム合材材として、下記の合金成分を有する板厚0.4mmのマグネシウム合金板の両面に、表1に示す樹脂溶液、または、表1に示す樹脂に表1に示すシランカップリング剤、コロイダルシリカ、潤滑剤、金属アルコキシド、耐熱性付与剤を含有させてなる樹脂溶液を、乾燥後の状態でそれぞれの添加物が表1に示す含有量となるように、また乾燥後の樹脂皮膜の厚さが表1に示す厚さとなるようにバーコーターを用いて塗布し乾燥させ、試料番号1〜13で示す供試用の成形加工用マグネシウム合材を作成した。
<合金成分>
Al:3.1重量%、Zn:1.1重量%、Mn:0.31重量%、残部:Mgおよび不可避的不純物元素
<平均結晶粒径>
8μm
(マグネシウム合金成形加工体の作成)
上記のようにして得られた試料番号1〜13で示す供試用の成形加工用マグネシウム合金板を、下記の条件で絞り加工して絞り容器に成形加工し、マグネシウム合金成形加工体とした。加工温度はダイスおよびブランクホルダーの温度を同一とし、パンチ温度のみ常温とした。この絞り加工時の限界絞り比を求め、加工性を評価した。また、加工温度での摩擦係数を、ホルダー加熱装置が付属したHEIDON製摩擦係数測定装置により測定した。測定に際して、ホルダーに固定した成形加工用マグネシウム合金材を加工時の温度に加熱した後、接触球は装置に付属した直径10mmのSUS球、測定荷重200g、測定時間1.6mm/secの条件で測定した。
<パンチ肩R>
5mm
<パンチ温度>
25℃
<ダイス温度>
150℃、200℃、250℃、300℃、350℃
<ブランクホルダー温度>
150℃、200℃、250℃、300℃、350℃
<絞り速度>
1mm/秒
<潤滑油および潤滑剤>
本発明のマグネシウム合金材を加工する時は潤滑油および潤滑剤を不使用
比較用として、上記のマグネシウム合金材の両面に市販の塑性加工用油G3080(日本工作油(株)製)を塗布したものを比較例の試料番号14、およびマグネシウム合金材の両面に50μmの厚さのフッ素樹脂フィルムを取付けたものを比較例の試料番号15として同様の条件で絞り加工し、比較用のマグネシウム合金成形加工体とした。なお、フッ素樹脂フィルムを取付けない試料番号14のマグネシウム合金材の場合、加工温度が低い場合の加工性が極めて劣っており、絞り加工することが困難であるので、ダイス温度およびブランクホルダー温度が200℃以上の場合にのみ絞り加工した。また、フッ素樹脂フィルムを取付けた試料番号15のマグネシウム合金材の場合は、ダイス温度およびブランクホルダー温度が350℃であるとフッ素樹脂フィルムの損傷が激しく絞り加工することが困難であるので、ダイス温度およびブランクホルダー温度が150〜300℃の場合にのみ絞り加工した。
(有機樹脂皮膜の外観の評価)
成形加工後のマグネシウム合金成形加工体(絞り容器)表面の有機樹脂皮膜の外観を肉眼観察し、下記の基準で評価した。
◎:皮膜の変色および損傷は認められない。
○:わずかに皮膜の変色が認められるが、実用上問題となる損傷は認められない。
△:皮膜の変色および損傷が認められるが、成形加工体(絞り容器)の形状に加工可能 であり、内部部材等にそのまま使用可能である。また、簡単な傷取り研磨処理等を 施すことにより、美麗な外観が得られ、十分に外装部材として使用可能である。
×:皮膜の激しい損傷、および成形加工体(絞り容器)表面に実用上問題となる疵が認 められる。
これらの結果を表2〜4に示す。
表2〜4に示すように、マグネシウム合金板に有機樹脂を被覆してなる本発明の成形加工用マグネシウム合金材は優れた加工性を有しており、従来法によるマグネシウム合金板に潤滑油を塗布して絞り加工した場合の比較例(試料番号14)と比較して、大幅に優れた加工性を示す。さらに、従来では最も優れた加工性を示すことから、主として研究開発で用いられていた、潤滑剤として高価なフッ素樹脂フィルムを用いた比較例(試料番号15)と比較した場合、同等以上の加工性を示しており、量産用としてはコストと生産性に問題があるフッ素樹脂フィルムを用いる方法に替わる方法として、本発明の成形加工用マグネシウム合金材の優位性は明瞭である。さらに、有機樹脂に耐熱性付与剤を含有させた場合は、350℃までの高温で絞り加工することが可能であり、このような高温で絞り加工した場合に限界絞り比4.0までの高加工度でマグネシウム合金成形加工体(絞り容器)に成形加工することが可能である。
マグネシウム合金材の表面に、潤滑性を有する有機樹脂を被覆してなる本発明の成形加工用マグネシウム合金板は、高加工度でマグネシウム合金成形加工体として製造することが可能であり、特に有機樹脂にシロキサン化合物などの耐熱性付与剤を含有させた場合は、200〜350℃の温間加工温度範囲で優れた潤滑効果が発現し、フード、トランクリッド、ドア、フェンダーなどの自動車用部材、モバイル通信機器やノートパソコンなどの携帯用電子機器の小型の外装ケース、旅行用のスーツケースや書類収納用のアタッシェケースなどの大型ケースなどの容器、特に絞り比が4.0以下の高加工度で絞り加工する絞り容器などのマグネシウム合金成形加工体に好適に適用することができる。

Claims (11)

  1. 水溶性ウレタン樹脂、水溶性ポリエステル樹脂、水溶性アクリル樹脂、水溶性エポキシ樹脂、またはこれらの有機樹脂を変性した樹脂のいずれか1種、または2種以上からなり、かつ、耐熱性付与剤を含有する有機樹脂をマグネシウム合金材表面に被覆してなる、350℃以下の加工温度における摩擦係数が0.2以下である成形加工用マグネシウム合金材。
  2. 前記有機樹脂がシランカップリング剤、コロイダルシリカ、潤滑剤、金属アルコキシドのいずれか1種、または2種以上を含有してなる請求項1に記載の成形加工用マグネシウム合金材。
  3. 前記耐熱性付与剤がシロキサン化合物である請求項1に記載の成形加工用マグネシウム合金材。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の成形加工用マグネシウム合金材を成形加工してなるマグネシウム合金成形加工体。
  5. 前記マグネシウム合金成形加工体が自動車用部材であることを特徴とする、請求項4に記載のマグネシウム合金成形加工体。
  6. 前記マグネシウム合金成形加工体が容器であることを特徴とする、請求項4に記載のマグネシウム合金成形加工体。
  7. 前記容器が絞り容器であることを特徴とする、請求項6に記載のマグネシウム合金成形加工体。
  8. 前記絞り容器の絞り比が4.0以下であることを特徴とする、請求項7に記載のマグネシウム合金成形加工体。
  9. 水溶性ウレタン樹脂、水溶性ポリエステル樹脂、水溶性アクリル樹脂、水溶性エポキシ樹脂、またはこれらの有機樹脂を変性した樹脂のいずれか1種、または2種以上からなり、かつ、耐熱性付与剤を含有する有機樹脂をマグネシウム合金材表面に被覆し、
    350℃以下の温度範囲で成形加工することを特徴とする、マグネシウム合金成形加工体の製造方法。
  10. 前記有機樹脂として、シランカップリング剤、コロイダルシリカ、潤滑剤、金属アルコキシドのいずれか1種、または2種以上を含有してなる有機樹脂を用いることを特徴とする、請求項9に記載のマグネシウム合金成形加工体の製造方法。
  11. 前記耐熱性付与剤として、シロキサン化合物を用いることを特徴とする、請求項9に記載のマグネシウム合金成形加工体の製造方法。
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