JP4614229B2 - 車両用シート - Google Patents
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また、従来、着座者の後方移動により可動フレームが後方回動することで、ヘッドレストを前方回動させて着座者の頭部を支持するようにし、この可動フレームの下方にランバーサポート機構を設けた構成は公知である(特許文献2)。
即ち、後方移動する可動フレームのエネルギーを回動中心軸を支点にヘッドレストの前方回動に変換させる着想のため、ヘッドレストと可動フレームとを直接縦フレーム杆により連結していたのである。
この構成では、必然的に可動フレームおよび縦フレーム杆は着座者の背が当たる部分の背凭シート内に設けるので、着座フィーリングが低下する。
また、後突時、可動フレームは背凭シート内を後方に移動するが、その移動量には限界があり、そのため、ヘッドレストの移動量を大きくできず、着座者の頭部の支持が十分でなく、むち打ち症防止効果を十分に発揮できないという課題がある。
即ち、単にシーソーのように、回動中心を支点として可動フレームの後方移動量をヘッドレストの前方移動に変換するのであるから、回動中心に対するヘッドレストおよび可動フレームの距離はシートの大きさに比して当然設計上の制約があり、ヘッドレストの移動量には限界が生じる。
また、ヘッドレストと可動フレームとを直接連結しているため、後突のときヘッドレストが頭部を支持しても、可動フレームが後方移動するので、着座者の上体と頭部との前後位置の差が広がり、着座姿勢が悪化するという課題もある。
前記公知例のうち後者のものも、ヘッドレストと可動フレームとを縦フレーム杆により直接連結しているため、前者の公知例と同様な課題を有している。
また、後者の公知例は、可動フレームより下方にランバーサポート機構のサポート部の上部を取付けているため、サポート部を上下に圧縮するために十分となる上下高さ(伸縮するための上下長さ)がなく、サポート部の前方押出量が少ないという課題がある。
即ち、サポート部の前方押出量を多くするには可動フレームの位置を高くしなければならないが、そうすると、必然的にヘッドレストの前方移動量は減少するから、サポート部の前方押出量とヘッドレストの前方移動量のどちらも多くすることはできない。
本願は、着座者の後方に位置する前後移動体によって着座者の後方移動荷重を検出する構成でありながら、ヘッドレストの移動量を十分に確保し、しかも、前方押出量を多くしたランバーサポート機構を設けて、着座感を向上するように特段の工夫したものである。
本発明は、前記後突感知体40は、着座前、クッション支持機構45のサポート部48を背凭フレーム3に取付けるガイド兼フレーム50の後方に所定間隔を置いて位置するように設け、着座すると、ガイド兼フレーム50の後方移動により後突感知体40に当接し、更にガイド兼フレーム50が後方に移動すると、後突感知体40はガイド兼フレーム50に追随して前後するように構成した車両用シートとしたものである。
本発明は、前記後突感知体40は、前記クッション支持機構45の最下部の横枠47の下側屈曲部56よりも上方位置に設けた車両用シートとしたものである。
この場合、後方には自由に移動するようにしている後突感知体40は、係合突起29とストッパ28の作用により、後突感知体40の前方回動が停止されて、後突感知体40は、着座前、クッション支持機構45のガイド兼フレーム50の後方に所定間隔を置いて位置する。
また、組付けの際、後突感知体40は、必ず、クッション支持機構45のガイド兼フレーム50の後方に位置するから、後突感知体40とクッション支持機構45との前後位置を誤認した組立てを防止する。
請求項2の発明では、後突感知体40は、着座前、クッション支持機構45のガイド兼フレーム50の後方に所定間隔を置いて位置するので、ガイド兼フレーム50と後突感知体40との接触が防止され、常時、後突感知体40に負荷が掛かるのを防止して、耐久性を向上させる。
また、後突感知体40とクッション支持機構45は前後に並設しているが、分離して取付けているので、夫々を確実に作動させる。
請求項3の発明では、後突感知体40は着座者の腰部の後方に設けているので、後方移動を最適に感知できて感知精度を向上させることができる。
前記ヘッドレスト6は、少なくとも着座者の頭部を支持する頭部支持部7と、前記背凭シート2に装着するためピラー8とを有して構成する。ヘッドレスト6は背凭シート2に前後移動可能に取付け、後突されると通常の位置よりも前方移動して着座者の頭部を支持するように構成する。
前記ヘッドレスト取付杆10の左右両側は、上側リンク12を介して前後移動可能に背凭フレーム3に取付ける。上側リンク12の構成は任意であるが、以下一例を示す、上側リンク12の一部を構成する第一リンク杆13の一端(後端)を前記ヘッドレスト取付杆10の左右両端に固定した移動側ブラケット14に軸15により取付ける。第一リンク杆13の他端は背凭フレーム3の左右両側の上部に設けた固定側ブラケット16に軸17により回動自在に夫々取付ける。
前記上側リンク12は、第一リンク杆13と移動側ブラケット14と第二リンク杆20により構成し、背凭フレーム3の左右の側部フレーム23に夫々設ける。
また、上側リンク12の第一リンク杆13と移動側ブラケット14と第二リンク杆20は、縦の板状部材により厚み方向が左右方向となるように配置構成すると、側部フレーム23の間の空間を広くでき、一層、着座者の着座感を向上させ、好適である。
前記第二リンク杆20の他端には伝動部材(ロッド)31の上部を軸32により連結する。伝動部材31の下部は下側リンク35の回動アーム36の先端に伝動部材取付軸33により取付ける。回動アーム36の基部は軸39により背凭フレーム3に回動自在に取付ける。
回動アーム36の先端側には、後突感知体40のアーム部37の先端を感知体取付軸38により回動自在に取付ける。後突感知体40は後方から衝突された着座者が慣性によって後方移動して、後突を感知する。
即ち、回動アーム36を前下がりに傾斜させているので、後突感知体40からの力の伝達効率が良好になって、小さい力でヘッドレスト6を前方移動させ、しかも、後突感知体40の後方移動を伝動部材31の上動に変換する回動アーム36は、単に、アーム取付軸39を中心に後方回動するだけで、伝動部材取付軸33と感知体取付軸38も共に後方回動すればよいので、後突感知体40と下側リンク35と伝動部材31の作動スペースを小さくでき、クッション材4や側部フレーム23等の他の部材との干渉を防止して、確実に作動させる。
即ち、後突感知体40は自重で感知体取付軸38中心に前方回動してしまうので、ストッパ28と係合突起29により所定位置に位置させる。
即ち、単に、後突感知体40のアーム部37と回動アーム36との取付をボルトとナットの組合せで取付けると、アーム部37の回動による経年で緩むことがあるが、プッシュナット38Bにより取付けることで、アーム部37が感知体取付軸38の軸方向に移動するのを阻止するように取付けられる。
ガイド兼フレーム50の縦軸部51の上部には、上部取付枠51Aを設け、上部取付枠51Aの左右両側はコイルバネ51Bを介して左右の側部フレーム23に取付ける。左右の縦軸部51の下部は下側連結杆52により連結し、縦軸部51の下部と下側連結杆52の左右両側部分との間にはかぎ型状の係合部53を形成する。係合部53はサポート部48の横枠47の内の最下部の横枠47のL形状に屈曲させた下側屈曲部56に係合させて固定状態に取付ける。
しかして、ガイド兼フレーム50の縦軸部51の下部には下部取付枠51Cを設け、下部取付枠51Cの左右両側はワイヤーアーム51Dを介して左右の側部フレーム23に取付ける。ワイヤーアーム51Dは、少なくとも、後突感知体40の板状部40Aよりも下方に位置させると、サポート部48によるホールド性を向上させて、好適である。ワイヤーアーム51Dと下部取付枠51Cとの取付部分は、前後動は勿論のこと上下動も可能であり、サポート部48による着座フィーリングを、安定した良好なクッション性にする。
しかして、サポート部48の上側屈曲部49の左右何れか一方側にはワイヤー60のアウターチューブ61の端部を取付け、ワイヤー60のインナーケーブル62の先端はアーム63の一方端に接続する。アーム63の他端にはバネ64の下端を係止し、バネ64の上端はサポート部48の上側屈曲部49に係止する。
しかして、クッション支持機構45は、ワイヤー60を牽引すると、サポート部48の上側屈曲部49と下側屈曲部56の間隔が狭くなって前記クッション材4を前方に押出す。反対に、ワイヤー60のインナーケーブル62を緩めると、バネ64の弾力およびサポート部48の弾性によりサポート部48の上側屈曲部49と下側屈曲部56の間隔が広くなってクッション材4を後方に引っ込める。
背凭フレーム3には、上側リンク12によりヘッドレスト6を前後移動自在に取付け、上側リンク12の第二リンク杆20には伝動部材31を取付け、伝動部材31の下部は下側リンク35の回動アーム36に取付け、回動アーム36には、アーム部37を介して後突感知体40を設けているから、後方から衝突された着座者が慣性により後方移動すると、後突感知体40が後方移動し、後突感知部後突感知体40の後方移動により伝動部材31を下方に牽引し、伝動部材31は上側リンク12の第二リンク杆20を軸22中心に下方回動させ、第二リンク杆20は軸21を斜め前方に押し上げ、軸21は移動側ブラケット14を第一リンク杆13により規制しながら押し上げ、移動側ブラケット14はヘッドレスト取付杆10を斜め前方に押し上げ、これによりヘッドレスト6は前方移動する。
この場合、前記下側リンク35は、後突感知体40よりも上方に位置させ、下側リンク35の回動アーム36のアーム取付軸39よりも下方且つ後方に後突感知体40が位置するように、アーム部37を配置構成しているから、後突感知体40による回動アーム36の回動および伝動部材31による上側リンク12の作動が確実となって、好適である。
即ち、後突感知体40の後方移動を下側リンク35の回動アーム36により伝動部材31の下方牽引運動に変換するから、荷重(慣性)の伝達効率が良く、作動が確実となる。
即ち、着座者が慣性により後方移動すると、クッション支持機構45のサポート部48が後方移動しながら着座者の背部全体を支持し、サポート部48の後方移動により後突感知体40が後方移動してヘッドレスト6が前方移動し、このヘッドレスト6が頭部を支持しているときに、クッション支持機構45のサポート部48が着座者の背部全体を支持するから、頭部を含めた着座者の着座姿勢を極めて安定させる。
したがって、サポート部48の上部は弾力的に着座者を支持し、サポート部48の下部は腰部を保持(サポート)でき、面状体で着座者の背および腰の全体を支持しつつ、支持する各部に対応して適切に支持するので、着座フィーリングを良好にすると共に、着座姿勢を安定させて良好にする
この場合、ワイヤーアーム51Dは、少なくとも、後突感知体40の板状部40Aよりも下方の下部取付枠51Cと左右の側部フレーム23との間に取付けているから、ワイヤーアーム51Dによるサポート部48の支持が確実となって、サポート部48のホールド性を向上させて、好適である。
即ち、コイルバネ51Bおよびワイヤーアーム51Dは、夫々、前記側部フレーム23に取付けているので、コイルバネ51Bおよびワイヤーアーム51Dの夫々の長さを十分に確保できるため、サポート部48が前後動するときのコイルバネ51Bおよびワイヤーアーム51Dのストロークも十分になり、サポート部48の前後動を円滑に行わせることができ、着座感を一層向上させることができる。
この場合、クッション支持機構45は、後突感知体40とは別体に形成し、後突感知体40の前側に位置しており、サポート部48がガイド兼フレーム50に対して前後に移動して、押圧程度を調節するように構成し、後突感知体40は、着座前、クッション支持機構45のガイド兼フレーム50の後方に所定間隔を置いて位置させ、着座すると、サポート部48およびガイド兼フレーム50が後方に移動して後突感知体40に当接するようにしているから、後突感知体40はサポート部48の後方移動の障害にならず、背部に対する背凭シート2の当たりの違和感を減少させ、クッション性を良好にする。
即ち、後突感知体40は、着座前、クッション支持機構45のガイド兼フレーム50の後方に所定間隔を置いて位置するので、ガイド兼フレーム50と後突感知体40との接触が防止され、常時、後突感知体40に負荷が掛かるのを防止して、耐久性を向上させる。
この場合、係合突起29とストッパ28の作用により、後突感知体40の前方回動が停止されるから、後突感知体40は、着座前、クッション支持機構45のガイド兼フレーム50の後方に所定間隔を置いて位置する。
また、組付けの際、後突感知体40は、必ず、クッション支持機構45のガイド兼フレーム50の後方に位置するから、後突感知体40とクッション支持機構45との前後位置を誤認した組立てを防止する。
しかして、クッション支持機構45は、合成樹脂により左右一対の縦枠46にあばら骨状に側方に突き出る横枠47を上下に所定間隔を置いて複数並設して弾性変形するサポート部48を形成し、サポート部48の上部はガイド兼フレーム50の縦軸部51に上下摺動自在に取付けられているから、ワイヤー60を牽引すると、アーム63の一端を上動させ、アーム63の他端が可動してバネ64を牽引し、バネ64は上下動自在の上側屈曲部49を下方に牽引して下動させ、これにより、サポート部48の上側屈曲部49と下側屈曲部56の間隔が狭くなって前記クッション材4を前方に押出す。
したがって、クッション支持機構45は、クッション材4を面状に支持するのみならず、着座者の背の押圧程度を変更調節するランバー機能を発揮でき、着座フィーリングを向上させる。
また、下側リンク35の回動アーム36およびアーム部37は、平板部材により形成する。そのため、左右の側部フレーム23の間の空間を占有する回動アーム36およびアーム部37の取付スペースを小さくし、その分、サポート部48の横枠47の左右幅を大きくでき、クッション性能を向上させ、且つ、後突感知体40による後突感知精度を低下させない。
しかして、感知体取付軸38とプッシュナット38Bにより、後突感知体40を回動アーム36に取付けるにあたって、後突感知体40は左右のアーム部37と板状部40Aとの何れかを分割して構成しているから、取付作業を容易にしている。
したがって、左右のアーム取付軸39の先端の間隔より広い後突感知体40(アーム部37)を、変形させることなく、頗る容易に取付けられる。
Claims (3)
- 背凭シート2の背凭フレーム3は、左右の側部フレーム23の上部を上部フレーム24により、前記左右の側部フレーム23の下部を下部フレーム25により夫々連結して中抜きの四角枠形状に形成し、前記上部フレーム24にヘッドレスト6を上側リンク12により前後移動可能に取付け、前記背凭フレーム3には伝動部材31により連結して前記上側リンク12を作動させる下側リンク35を設け、該下側リンク35に着座者の慣性による後方移動を感知する後突感知体40の左右両端側を取付け、該後突感知体40の前側位置の前記背凭フレーム3の中抜きの枠内には、該後突感知体40とは別体のクッション支持機構45を設け、該クッション支持機構45は、左右一対の縦枠46に対して側方に突き出る横枠47を上下に所定間隔を置いて複数並設してサポート部48を形成し、該サポート部48は合成樹脂により弾性変形しかつ上下に伸縮してクッション材4を前方に押圧する程度を調節可能に構成し、前記後突感知体40は、その左右のアーム部37の先端を感知体取付軸38により前記下側リンク35の回動アーム36に回動自在に取付け、後突感知体40の左右のアーム部37と回動アーム36との何れか一方には係合突起29を設け、何れか他方にはストッパ28を設け、係合突起29とストッパ28とにより後突感知体40が所定位置に位置するように構成した車両用シート。
- 請求項1において、前記後突感知体40は、着座前、クッション支持機構45のサポート部48を背凭フレーム3に取付けるガイド兼フレーム50の後方に所定間隔を置いて位置するように設け、着座すると、ガイド兼フレーム50の後方移動により後突感知体40に当接し、更にガイド兼フレーム50が後方に移動すると、後突感知体40はガイド兼フレーム50に追随して前後するように構成した車両用シート。
- 請求項1または請求項2において、前記後突感知体40は、前記クッション支持機構45の最下部の横枠47の下側屈曲部56よりも上方位置に設けた車両用シート。
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