JP4612143B2 - 相対的回転位置検出装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、交流励磁されるコイルと、このコイルに対して磁気的に結合し、相対的に回転変位する1対の磁性体又は導電体とを含んで構成される相対的回転位置検出装置に関し、相対的に回転可能な2軸のねじれ量や回転ずれなどの相対的回転位置の検出に適したものであり、特に、1相の交流で励磁される1次コイルのみを使用して複数相の振幅関数特性を示す出力交流信号を検出対象たる相対的回転位置に応じて生成するものに関する。
【0002】
【従来の技術】
相対的に回転可能な2軸のねじれ量を検出するものとしては、従来からよく知られたものとして、トーションバーを介して結合された入力軸と出力軸の両軸にレゾルバ装置を設け、これら両レゾルバ装置からの角度信号に基づいて相対回転量(ねじれ量)を検出するものがある。また、相対的に回転可能な2軸の回転ずれを検出するものとして、誘導型電動パワーステアリング用非接触トルクセンサーも開発されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
従来知られたねじれ量検出装置は、トーションバーで結合された入力軸と出力軸の両方にレゾルバ装置を設けなくてはならないため、装置全体が大型化し、コスト的にも高価になるという難がある。また従来の誘導型電動パワーステアリング用非接触トルクセンサーとして知られたような回転ずれ検出装置は、微小な回転ずれに応じて生じるアナログ電圧レベルを測定する構成であり、その検出分解能において劣るものである。
【0004】
この発明は上述の点に鑑みてなされたもので、小型かつシンプルな構造を持つ相対的回転位置検出装置を提供しようとするものである。また、検出対象の相対的回転変位が微小でも高分解能での検出が可能であり、温度特性の補償も容易な、相対的回転位置検出装置を提供しようとするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る相対的回転位置検出装置は、相対的に回転可能な第1及び第2の軸の相対的回転位置を検出する相対的回転位置検出装置であって、交流信号で励磁される少なくとも1つのコイルを配置してなるコイル部と、前記第1及び第2の軸に配置された第1及び第2の磁気応答部材であって、前記コイル部に対して磁気的に結合し、前記相対的回転位置に応じて該第1及び第2の磁気応答部材の相対的位置が変化し、これに応じて前記コイルのインピーダンスを変化させ、このインピーダンス変化に基づき前記相対的位置が所定の範囲にわたって変化する間で前記コイルに生じる電圧が変化するようにしたものと、交流信号からなる少なくとも1つの基準電圧を発生する回路と、前記コイルに生じる電圧を取り出し、前記基準電圧と加算又は減算することで、所定の周期的振幅関数を振幅係数として持つ交流出力信号を少なくとも2つ生成する演算回路であって、前記各交流出力信号の前記周期的振幅関数はその周期特性においてサイン及びコサイン関数に相当する所定位相だけ異なっているものとを具えたものである。
【0006】
上記構成において、第1及び第2の磁気応答部材は、典型的には、磁性体及び導電体の少なくとも一方を含んでなるものである。第1及び第2の磁気応答部材が磁性体からなる場合は、第1及び第2の軸の相対的回転位置に応じて相対的位置が変化することでコイルに対する磁気結合の度合いが変化する。第1及び第2の磁気応答部材のコイルに対する磁気結合の度合いが増すほど、該コイルのインダクタンスが増加して、該コイルの電気的インピーダンスが増加し、該コイルに生じる電圧すなわち端子間電圧が増加する。反対に、第1及び第2の磁気応答部材のコイルに対する磁気結合の度合いが減少するほど、該コイル部のインダクタンスが減少して、該コイル部の電気的インピーダンスが減少する。こうして、検出対象の相対的回転に伴い、コイル部に対する第1及び第2の磁気応答部材の相対的回転位置が所定の回転角度範囲にわたって変化する間で該コイルの端子間電圧は、漸増(又は漸減)変化することとなる。
【0007】
一例として、第1及び第2の磁気応答部材は、所定ピッチの凹凸又はパターンを有し、前記第1及び第2の軸の相対的回転位置に応じて該第1及び第2の磁気応答部材の前記凹凸又はパターンの対応関係が変化し、これに応じて前記コイルの自己インダクタンスすなわちインピーダンスが変化するようにしたものである。このインピーダンスに対応する振幅レベルを持つ交流電圧が1個のコイルに生じる。
【0008】
例えば、典型的には、1対の磁気応答部材の相対的位置が所定の範囲にわたって変化する間で該コイルに生じる電圧が示す漸増変化カーブは、サイン関数における0度から90度までの範囲の関数値変化になぞらえることができる。ここで、交流信号成分をsinωtで示し、コイルの端子間電圧が示す漸増変化カーブにおける適当な区間の始まりの位置に対応して得られるコイル出力電圧Vxの振幅係数レベル値をPaとすると、該区間の始まりの位置に対応するコイル出力電圧Vxは、Pa sinωtと表わせる。そして、該区間の終わりの位置に対応して得られるコイル出力電圧Vxの振幅係数レベル値をPbとすると、該区間の終わりの位置に対応するコイル出力電圧は、Pb sinωtと表わせる。ここで、始まりの位置に対応するコイル出力電圧Vxの値Pa sinωtと同じ値の交流電圧を基準電圧Vaと定めて、これをコイル出力電圧Vxから減算すると、コイル出力電圧Vxの振幅係数を関数A(x)で示すと、
Figure 0004612143
となる。前記区間の始まりの位置では、A(x)=Paであることから、この演算結果の振幅係数「A(x) −Pa 」は「0」となる。一方、前記区間の終わり位置では、A(x)=Pbであることから、この演算結果の振幅係数「A(x) −Pa 」は「Pb −Pa 」となる。よって、この演算結果の振幅係数「A(x) −Pa 」は、前記区間の範囲内において、「0」から「Pb −Pa 」まで漸増する関数特性を示す。ここで、「Pb −Pa 」は最大値であるから、これを等価的に「1」と考えると、前記式(1)に従う交流信号の振幅係数「A(x) −Pa 」は、前記区間の範囲内において、「0」から「1」まで変化することになり、この振幅係数の関数特性は、サイン関数の第1象限(つまり0度から90度の範囲)の特性になぞらえることができる。よって、前記式(1)に従う交流信号の振幅係数「A(x) −Pa 」は、等価的にsinθ(ただし、大体、0°≦θ≦90°)と表わせる。
【0009】
好ましい一実施形態は、前記コイル部は、1つのコイルを配置してなり、前記所定の基準電圧を発生する回路は、第1及び第2の基準電圧を発生し、前記演算回路は、前記1つのコイルから取り出した電圧と前記第1及び第2の基準電圧とを用いて所定の第1の加算又は減算及び第2の加算又は減算をそれぞれ行うことで、サイン関数を振幅係数として持つ第1の交流出力信号と、コサイン関数を振幅係数として持つ第2の交流出力信号とをそれぞれ生成するものである。この場合、コイル部は、ただ1つのコイルを持つだけでよいので、構成を最小限に簡略化することができる。上記第1の基準電圧として上記Vaを使用することで、上記第1の振幅関数として、サイン関数のほぼ第1象限(つまり0度から90度の範囲)の特性を持つものを得ることができる。
【0010】
また、前記区間の終わりの位置に対応するコイル出力電圧Vxの値Pb sinωtと同じ値の交流電圧を第2の基準電圧Vbと定め、これとコイル出力電圧Vxとの差を求めると、
Figure 0004612143
となる。前記区間の始まりの位置では、A(x)=Paであることから、この演算結果の振幅係数「Pb −A(x) 」は「Pb −Pa 」となる。一方、前記区間の終わり位置では、A(x)=Pbであることから、この演算結果の振幅係数「Pb −A(x) 」は「0」となる。よって、この演算結果の振幅係数「Pb −A(x) 」は、前記区間の範囲内において、「Pb −Pa 」から「0」まで漸減する関数特性を示す。前記と同様に、「Pb −Pa 」を等価的に「1」と考えると、前記式(2)に従う交流信号の振幅係数「Pb −A(x) 」は、前記区間の範囲内において、「1」から「0」まで変化することになり、この振幅係数の関数特性は、コサイン関数の第1象限(つまり0度から90度の範囲)の特性になぞらえることができる。よって、前記式(2)に従う交流信号の振幅係数「Pb −A(x) 」は、等価的にcosθ(ただし、大体、0°≦θ≦90°)と表わせる。なお、式(2)の減算は「Vx−Vb」であってもよい。
【0011】
こうして、1つのコイルと2つの基準電圧を用いるだけで、検出対象たる相対的回転位置に応じてサイン及びコサイン関数特性に従う振幅をそれぞれ示す2つの交流出力信号を生成することができる。例えば、検出対象たる相対的回転位置を所定の検出可能範囲を360度分の位相角に換算した場合の位相角θにて示すと、概ね、サイン関数特性を示す振幅を持つ交流出力信号は、sinθsinωtで示すことができるものであり、コサイン関数特性を示す振幅を持つ交流出力信号は、cosθsinωtで示すことができるものである。これは、レゾルバといわれる位置検出器の出力信号の形態と同様のものであり、極めて有用なものである。例えば、前記演算回路で生成された前記2つの交流出力信号を入力し、該2つの交流出力信号における振幅値の相関関係から該振幅値を規定する前記サイン及びコサイン関数における位相値を検出し、検出した位相値に基づき前記検出対象の位置検出データを生成する振幅位相変換部を具備するようにするとよい。なお、上記サイン及びコサイン関数は、ほぼ1象限分(90度)の範囲の特性を示すので、検出可能な位置範囲がほぼ90度の範囲の位相角に換算されて検出されることになる。
【0012】
別の一実施形態は、前記コイル部は、2つのコイルを配置してなり、検出対象の変位に応じて前記磁気応答部材に対する各コイルの相対的位置が逆特性で変化し、これに応じて前記各コイルのインピーダンスが逆特性で変化し、前記所定の基準電圧を発生する回路は、1つの基準電圧を発生し、前記演算回路は、前記各コイルから取り出した電圧と前記基準電圧とを用いて所定の第1の加算又は減算及び第2の加算又は減算をそれぞれ行うことで、サイン関数を振幅係数として持つ第1の交流出力信号と、コサイン関数を振幅係数として持つ第2の交流出力信号とをそれぞれ生成するものである。
【0013】
例えば、前述と同様に、1対の磁気応答部材の相対的位置が所定の範囲にわたって変化する間で第1のコイルの端子間電圧が示す漸増変化カーブは、サイン関数における0度から90度までの範囲の関数値変化になぞらえることができる。すなわち、適当な区間の始まりの位置に対応して得られるコイル出力電圧VxはPa sinωtと表わすことができ、これは最小値に相当する。この始まりの位置を基準電圧Vaで設定できる。基準電圧Va=Pa sinωtを用いて上記(式1)と同じ演算を行うことにより、
Vx−Va={A(x) −Pa }sinωt
となり、前述と同様に、この振幅係数「A(x) −Pa 」の関数特性として、サイン関数の第1象限(つまり0度から90度の範囲)の特性、つまり等価的にsinθ(ただし、大体、0°≦θ≦90°)になぞらえることができる。
【0014】
一方、第2のコイルの端子間電圧は、上記とは逆特性の漸減変化カーブを示し、前記区間の始まりの位置に対応して得られる第2のコイル出力電圧Vyを仮りにPa' sinωtと表わすと、これは最大値に相当する。上記基準電圧Vaを第2コイル出力電圧Vyから減算すると、コイル出力電圧Vyの振幅係数を関数A(y)で示すと、
Figure 0004612143
となる。前記区間の始まりの位置では、A(y)=Pa' であることから、この演算結果の振幅係数「A(y) −Pa 」は「Pa' −Pa 」であり、「最大値−最小値」であるから、等価的に「1」とみなせる最大値、となる。一方、前記区間の終わり位置では、A(y)=Paであることから、この演算結果の振幅係数「A(y) −Pa 」は「0」となる。よって、この演算結果の振幅係数「A(y) −Pa 」は、前記区間の範囲内において、最大値「Pa' −Pa 」(つまり「1」)から「0」まで漸減する関数特性を示し、この振幅係数の関数特性は、コサイン関数の第1象限(つまり0度から90度の範囲)の特性になぞらえることができる。よって、前記式(3)に従う交流信号の振幅係数「A(y) −Pa 」は、等価的にcosθ(ただし、大体、0°≦θ≦90°)と表わせる。
【0015】
こうして、2つのコイルと1つの基準電圧を用いる場合も、検出対象たる相対的回転位置に応じてサイン及びコサイン関数特性に従う振幅をそれぞれ示す2つの交流出力信号(sinθsinωtとcosθsinωt)を生成することができる。この場合も、上記サイン及びコサイン関数は、ほぼ1象限分(90度)の範囲の特性を示すので、検出可能な位置範囲がほぼ90度の範囲の位相角に換算されて検出されることになる。また、前述と同様に、基準電圧Vaを可変することにより、検出可能な位置範囲を可変設定することができ、検出分解能を調整することができる。
【0016】
なお、磁気応答部材として、銅のような良導電体を使用した場合は、渦電流損によってコイルの自己インダクタンスが減少し、磁気応答部材のコイルに対する近接に伴い該コイルの端子間電圧が漸減することになる。この場合も、上記と同様に検出することが可能である。また、磁気応答部材として、磁性体と導電体を組合わせたハイブリッドタイプのものを用いてもよい。
別の実施形態として、磁気応答部材として永久磁石を含み、コイルは磁性体コアを含むようにしてもよい。この場合は、コイルの側の磁性体コアにおいて永久磁石の接近に応じて対応する箇所が磁気飽和又は過飽和となり、該磁気応答部材すなわち永久磁石のコイルに対する相対的変位に応じて該コイルの端子間電圧が漸減することになる。
【0017】
かくして、この発明によれば、1次コイルのみを設ければよく、2次コイルは不要であるため、小型かつシンプルな構造の位置検出装置を提供することができる。また、1つのコイルと2つの基準電圧を用いるだけで、あるいは2つのコイルと1つの基準電圧を用いることにより、検出対象位置に応じて所定の周期関数特性に従う振幅をそれぞれ示す複数の交流出力信号(例えばサイン及びコサイン関数特性に従う振幅をそれぞれ示す2つの交流出力信号)を容易に生成することができ、利用可能な位相角範囲として少なくともほぼ1象限(90度)分をとることができる。従って、少ないコイルでありながら比較的広い位相角範囲で検出を行うことができ、検出分解能を向上させることができる。また、検出対象の変位が微小でも高分解能での相対的位置検出が可能である。更に、基準電圧を発生する回路として、検出用のコイルと同等の温度特性を示す回路(例えばコイル)を使用すれば、演算回路におけ減算演算によって、温度ドリフト特性が自動的に補償されることとなり、温度変化の影響を排除した位置検出を容易に行うことができる。勿論、基準電圧を発生する回路は、コイルに限らず、抵抗等、その他適宜の構成からなる電圧生成回路を使用してよい。なお、コイルと基準電圧の数は1又は2に限定されず、それ以上であってもよく、これに伴い、利用可能な位相角範囲を、ほぼ1象限(90度)分に限らず、更に拡大することも可能である。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を参照してこの発明の実施の形態を説明する。図1(A)はこの発明の一実施の形態に係る相対的回転位置検出装置の構造を示す外観斜視図であって、コイル部10については断面で示したものである。同図(B)はその軸方向断面略図、(C)は同装置におけるコイルに関連する電気回路図である。この相対的回転位置検出装置は、トーションバー1を介して連結された入力軸(第1の軸)2及び出力軸(第2の軸)3の間のねじれ角を検出するものであり、コイル部10と、各軸2,3の端部にそれぞれ設けられていて非接触的に対向している1対の(第1及び第2の)磁気応答部材11,12とを含んで構成されている。コイル部10は、断面C字型のリング状の磁性体ケース10a内に収納された1個のコイルL1を含んでおり、このコイルL1は磁気応答部材11,12の対向箇所における後述する凹凸歯若しくはパターンの箇所をカバーしている。
【0019】
入力軸2及び出力軸3はそれぞれ他の機械系(図示せず)に連結されており、入力軸2の回転に連動して出力軸3が回転し、そのトルクの大きさに応じてトーションバー1を介して入力軸2と出力軸3の間にねじれが生じる。このねじれによって、入力軸2と出力軸3との間に回転誤差(回転ずれ)が生じる。例えば、自動車のパワーステアリングに適用する場合、入力軸2はステアリングホイールに連結され、出力軸3はステアリングギア機構に連結される。第1及び第2の磁気応答部材11,12は、例えば円筒状の鉄のような磁性体からなり、コイルL1と磁気的に結合する。第1及び第2の磁気応答部材11,12の対向端部には、入力軸2と出力軸3との相対的回転量に応じてコイル部10に対する磁気結合を変化させる可変磁気結合部としての凸部11a,12aが複数設けられている。この実施の形態では、凸部11a,12aを方形歯状に形成し、該凸部11a,12aを第1及び第2の磁気応答部材11,12の回転方向(周方向)に沿って所定ピッチPで繰り返し設けている。
【0020】
コイルL1は、交流発生源30から発生される所定の1相の交流信号(仮にsinωtで示す)によって定電圧又は定電流で励磁される。コイルL1から発生した磁界は、図1(B)で破線で示すように、第1および第2の磁気応答部材11,12を通る磁気回路Φを形成する。
【0021】
図2は、第1及び第2の軸2,3間の相対的回転位置の変化に応じた、第1および第2の磁気応答部材11,12における凹凸歯の対応関係の変化を示す展開図である。図2(c)は、相対的回転位置0(つまり捩じれ量0)のときの凹凸歯の対応関係を示す。この状態では、それぞれの磁気応答部材11,12の凸部11a,12aと凹部11b,12bが半々で対応しており(磁気応答部材11,12の凹凸歯が1/4ピッチずれている)、該磁気応答部材11,12を通るコイルl1の磁気回路Φの磁気結合度合いは中間値をとる。
【0022】
図2(b)は、(c)の中間状態から第1の磁気応答部材11が第2の磁気応答部材12に対して相対的に矢印CW方向(時計回り方向)に1/4ピッチだけ回転した状態を示す。この状態では、それぞれの磁気応答部材11,12の凸部11a,12a同士及び凹部11b,12b同士が丁度一致しており(磁気応答部材11,12の凹凸歯のずれがない)、該磁気応答部材11,12を通るコイルl1の磁気回路Φの磁気結合度合いは最大値をとる。
【0023】
図2(a)は、(c)の中間状態から第1の磁気応答部材11が第2の磁気応答部材12に対して相対的に矢印CCW方向(反時計回り方向)に1/4ピッチだけ回転した状態を示す。この状態では、それぞれの磁気応答部材11,12の凸部11a,12aと凹部11b,12bが逆に対応しており(磁気応答部材11,12の凹凸歯が1/2ピッチずれている)、該磁気応答部材11,12を通るコイルL1の磁気回路Φの磁気結合度合いは最小値をとる。
【0024】
このように、入力軸2及び出力軸3の相対的回転位置に応じて第1及び第2の磁気応答部材11,12の凹凸歯11a,11b,12a,12bの相対的位置が変化することでコイルL1の磁気回路Φにおける磁気結合の度合いが変化し、該コイルL1の自己インダクタンスが変化し、電気的インピーダンスが変化する。する。よって、このインピーダンスに応じてコイルL1に生じる電圧(端子間電圧)は、検出対象たる相対的回転位置に対応するものとなる。
【0025】
図3(A)は、検出対象たる相対的回転位置(横軸x)に対応してコイルL1に生じる電圧(たて軸)を例示するグラフである。横軸xに記したa,c,bは図2の(a),(c),(b)に示す各位置に対応しており、上述のように、図2(a)に対応する位置aでは、インピーダンス最小のため、コイルL1に生じる電圧は最小レベル(最小振幅係数)であ。また、図2(b)に対応する位置bでは、インピーダンス最大のため、コイルL1に生じる電圧は最大レベル(最大振幅係数)である。
【0026】
コイルL1に生じる電圧は、第1及び第2の磁気応答部材11,12の相対的位置がaからbまで動く間で、最小値から最大値まで漸増変化する。この位置aにおいて最小値をとるコイルL1の出力電圧VxがPa sinωtであるとすると(Paは最小インピーダンス)、これを第1の基準電圧Vaとして設定する。すなわち、
Va=Pa sinωt
である。また、位置bにおいて最大値をとるコイルL1の出力電圧VxがPb sinωtであるとすると(Pbは最大インピーダンス)、これを第2の基準電圧Vbとして設定する。すなわち、
Vb=Pb sinωt
である。
【0027】
図1(C)に示すように、各基準電圧Va,Vbを発生するための回路として、コイルLr1,Lr2が設けられており、これらも交流発生源30からの交流信号によって駆動される。演算回路31Aは、検出用コイルL1の出力電圧Vxから第1の基準電圧Vaを減算するもので、前記式(1)のように、コイル出力電圧Vxの振幅係数を関数A(x)で示すと、
Figure 0004612143
なる演算を行う。第1基準電圧Vaによって設定した検出対象区間の始まりの位置aでは、A(x)=Paであることから、この演算結果の振幅係数「A(x) −Pa 」は「0」となる。一方、該検出対象区間の終わりの位置bでは、A(x)=Pbであることから、この演算結果の振幅係数「A(x) −Pa 」は「Pb −Pa 」となる。よって、この演算結果の振幅係数「A(x) −Pa 」は、該検出対象区間の範囲内において、「0」から「Pb −Pa 」まで漸増する関数特性を示す。ここで、「Pb −Pa 」は最大値であるから、これを等価的に「1」と考えると、前記式に従う交流信号の振幅係数「A(x) −Pa 」は、検出対象区間の範囲内において、図3(B)に示すように、「0」から「1」まで変化することになり、この振幅係数の関数特性は、図3(C)に示すようなサイン関数sinθの第1象限(つまり0度から90度の範囲)の特性になぞらえることができる。よって、前記式に従う交流信号の振幅係数「A(x) −Pa 」は、等価的にsinθ(ただし、大体、0°≦θ≦90°)を用いて表わせる。なお、図3(B)、(C)では、位置xに対するサイン関数特性の振幅係数のカーブsinθのみを示しているが、実際の演算回路31Aの出力はこの振幅係数sinθに対応する振幅レベルを持つ交流信号sinθsinωtである。
【0028】
演算回路31Bは、検出用コイルL1の出力電圧Vxと第2の基準電圧Vbとの差を求めるもので、前記式(2)のように、
Figure 0004612143
なる演算を行う。検出対象区間の始まりの位置aでは、A(x)=Paであることから、この演算結果の振幅係数「Pb −A(x) 」は「Pb −Pa 」となる。一方、第2の基準電圧Vbによって設定した該区間の終わりの位置bでは、A(x)=Pbであることから、この演算結果の振幅係数「Pb −A(x) 」は「0」となる。よって、この演算結果の振幅係数「Pb −A(x) 」は、該検出対象区間の範囲内において、「Pb −Pa 」から「0」まで漸減する関数特性を示す。前記と同様に、「Pb −Pa 」を等価的に「1」と考えると、前記式に従う交流信号の振幅係数「Pb −A(x) 」は、検出対象区間の範囲内において、図3(B)に示すように、「1」から「0」まで変化することになり、この振幅係数の関数特性は、図3(C)に示すようなコサイン関数の第1象限(つまり0度から90度の範囲)の特性になぞらえることができる。よって、前記式に従う交流信号の振幅係数「Pb −A(x) 」は、等価的にcosθ(ただし、大体、0°≦θ≦90°)を用いて表わせる。この場合も、図2(B)では、位置xに対するコサイン関数特性の振幅係数のカーブcosθのみを示しているが、実際の演算回路31Bの出力はこの振幅係数cosθに対応する振幅レベルを持つ交流信号cosθsinωtである。なお、演算回路31Bでの減算は「Vx−Vb」であってもよい。
【0029】
こうして、検出対象位置xに応じてサイン及びコサイン関数特性に従う振幅をそれぞれ示す2つの交流出力信号sinθsinωtとcosθsinωtを生成することができる。これは一般にレゾルバといわれる位置検出器の出力信号の形態と同様のものであり、有効に活用することができる。例えば、演算回路31A,31Bで生成されたレゾルバタイプの2つの交流出力信号を位相検出回路(若しくは振幅位相変換手段)32に入力し、該2つの交流出力信号における振幅値の相関関係から該振幅値を規定する前記サイン及びコサイン関数sinθ及びcosθの位相値θを計測することで、検出対象位置をアブソリュートで検出することができる。この位相検出回路32としては、例えば本出願人の出願に係る特開平9−126809号公報に示された技術を用いて構成するとよい。例えば、第1の交流出力信号sinθsinωtを電気的に90度シフトすることで、交流信号sinθcosωtを生成し、これと第2の交流出力信号cosθsinωtを加減算合成することで、sin(ωt+θ)およびsin(ωt−θ)なる、θに応じて進相および遅相方向に位相シフトされた2つの交流信号(位相成分θを交流位相ずれに変換した信号)を生成し、その位相θを測定することで、ストローク位置検出データを得ることができる。位相検出回路32は、専用回路(例えば集積回路装置)で構成してもよいし、プログラム可能なプロセッサまたはコンピュータを使用して所定のソフトウェアを実行することにより位相検出処理を行うようにしてもよい。あるいは、公知のレゾルバ出力を処理するために使用されるR−Dコンバータを、この位相検出回路32として使用するようにしてもよい。また、位相検出回路32における位相成分θの検出処理は、ディジタル処理に限らず、積分回路等を使用したアナログ処理で行ってもよい。また、ディジタル位相検出処理によって回転位置θを示すディジタル検出データを生成した後、これをアナログ変換して回転位置θを示すアナログ検出データを得るようにしてもよい。勿論、位相検出回路32を設けずに、演算回路31A,31Bの出力信号sinθsinωt及びcosθsinωtをそのまま出力するようにしてもよい。
【0030】
なお、図3(B)に示すように、サイン及びコサイン関数特性の交流出力信号sinθsinωt及びcosθsinωtにおける振幅特性は、位相角θと検出対象位置xとの対応関係が線形性を持つものとすると、図3(C)に示すような真のサイン及びコサイン関数特性を示していない。しかし、位相検出回路32では、見かけ上、この交流出力信号sinθsinωt及びcosθsinωtをそれぞれサイン及びコサイン関数の振幅特性を持つものとして位相検出処理する。その結果、検出した位相角θは、検出対象位置xに対して、線形性を示さないことになる。しかし、位置検出にあたっては、そのように、検出出力データ(検出した位相角θ)と実際の検出対象位置との非直線性はあまり重要な問題とはならない。つまり、所定の反復再現性をもって位置検出を行なうことができればよいのである。また、必要とあらば、位相検出回路32の出力データを適宜のデータ変換テーブルを用いてデータ変換することにより、検出出力データと実際の検出対象位置との間に正確な線形性を持たせることが容易に行なえる。よって、本発明でいうサイン及びコサイン関数の振幅特性とは、真のサイン及びコサイン関数特性を示していなければならないものではなく、図3(B)に示されるように、実際は三角波形状のようなものであってよいものであり、要するに、そのような傾向を示していればよい。つまり、サイン等の三角関数に類似した関数であればよい。なお、図3(B)の例では、観点を変えて、その横軸の目盛をθと見立ててその目盛が所要の非線形目盛からなっているとすれば、横軸の目盛をxと見立てた場合には見かけ上三角波形状に見えるものであっても、θに関してはサイン関数又はコサイン関数ということができる。
【0031】
ここで、温度ドリフト特性の補償について説明する。温度に応じて検出用コイルL1のインピーダンスが変化しても、基準電圧Va,Vbもこれと同様の温度ドリフト特性を持つものとすれば、演算回路31A,31Bにおける差演算によって、温度ドリフト分が相殺されることになり、温度ドリフト特性が補償さることになる。そのためには、基準電圧発生用に、検出用コイルL1と同等の特性のコイルLr1,Lr2を使用し、これらのコイルLr1,Lr2と検出用コイルL1と同様の温度環境に置く(つまり検出用コイルL1の比較的近くに配置する)のがよい。図4はその一例を示すものである。これらの基準電圧発生用コイルLr1,Lr2は、磁気応答部材11,12の凹凸歯11a,11b,12a,12bをカバーしておらず、これらの相対的変位によるインピーダンス変化を受けない。その代わりに、所定の基準電圧Va,Vbを定電圧で発生し得るようにするために、鉄のような磁性体又は銅のような導電体若しくはそれらのハイブリッド構造からなる適宜のマスキング部材17,18をこれらの基準電圧発生用コイルLr1,Lr2に施して、そのインダクタンスすなわちインピーダンスを設定する。よって、各マスキング部材17,18の材質は異なり、それぞれ所定の最小値電圧Va及び最大値電圧Vbに対応する第1及び第2の基準電圧が発生されるように調整される。
【0032】
勿論、基準電圧発生用のコイルLr1,Lr2の特性を検出用コイルL1と同等の特性とすることは好ましいが、必須の要素ではなく、付加抵抗の調整等によって実質的に同等の温度ドリフト特性を持たせるように構成することが可能である。また、基準電圧発生用回路は、コイルLr1,Lr2に限らず、抵抗その他の適当な定電圧発生回路を使用してもよい。
【0033】
図1あるいは図4の例では、コイルL1の軸線は回転軸2,3の軸線と同じ方向(スラスト方向)であるが、これに限らず、コイルL1の軸線の方向が回転軸2,3のラジアル方向になるようにしてもよい。図5はその一例を示すもので、コイルL1の軸線方向が回転軸のラジアル方向を指向するように設置されており、かつ、コイルL1の直径は磁気応答部材11,12の凹凸歯11a,11b,12a,12bの1/2ピッチ程度かそれ以下のサイズとしている。
【0034】
図6は、この発明に係る相対的回転位置検出装置の別の実施例を示すもので、コイル部10において2つのコイルL1,L2を設け、1つの基準電圧Vaだけを使用する例を示している。図6(A)は、コイル部10と磁気応答部材11,12との物理的配置関係の一例を側面略図によって示すもの、同図(B)は該コイル部10に関連する電気回路の一例を示す図である。図6では、図5と同様に各コイルL1,L2の軸線方向が回転軸のラジアル方向を指向するように設置されており、かつ、各コイルL1,L2の直径は磁気応答部材11,12の凹凸歯11a,11b,12a,12bの1/2ピッチ程度かそれ以下のサイズとしている。そして、コイルL1とL2が逆相となるように配置されている(例えば、コイルL1が凸部11aにフルに対応するとき、コイルL2が凹部11bにフルに対応するような配置)。
【0035】
磁気応答部材11,12の凹凸歯11a,11b,12a,12bに対するコイルL1とL2の対応関係が逆相となるように配置されていることにより、検出対象の変位に応じて磁気応答部材11,12の凹凸歯11a,11b,12a,12bに対する各コイルL1,L2の相対的位置が逆特性で変化し、これに応じて各コイルL1,L2のインピーダンスが逆特性で変化する。図7(A)は、検出対象位置(横軸x)に対するコイルL1及びL2の出力電圧(たて軸)を例示するグラフである。
【0036】
コイルL1の端子間電圧は、磁気応答部材11,12の相対的位置がaからbまで動く間で、最小値Vaから最大値Vbまで漸増変化する。一方、コイルL2の端子間電圧は、磁気応答部材11,12の相対的位置がaからbまで動く間で、最大値Vbから最小値Vaまで漸減変化する。
図6(B)に示すように、検出用のコイルL1及びL2は、交流発生源30から発生される所定の1相の交流信号(仮にsinωtで示す)によって定電圧又は定電流で励磁される。前述の通り、各コイルL1,L2のインダクタンスは、検出対象位置に応じて可変であるため、図では等価的に可変インダクタンスとして図示してある。また、基準電圧Vaを発生するための回路として、コイルLr1が設けられており、これも交流発生源30からの交流信号によって駆動される。
【0037】
演算回路31Cは、図1の演算回路31Aと同様に、検出用コイルL1の出力電圧Vxから基準電圧Vaを減算するもので、前記式(1)と同様に、
Figure 0004612143
なる演算を行う。よって、前述と同様に、演算回路31Cの出力交流信号における振幅係数の関数特性は、図7(B)に示すように、サイン関数の第1象限(つまり0度から90度の範囲)の特性になぞらえることができる。
【0038】
演算回路31Dは、もう一方の検出用コイルL2の出力電圧Vyと基準電圧Vaとの差を求めるもので、前記式(3)のように、
Figure 0004612143
なる演算を行う。図7(A)から理解できるように、コイルL2の端子間電圧Vyは、コイルL1の端子間電圧Vxとは逆特性の漸減変化カーブを示し、区間Rの始まりの位置に対応して得られる該コイル出力電圧Vyを仮りにPa' sinωtと表わすと、これは最大値に相当する。このように区間Rの始まりの位置では、A(y)=Pa' であることから、演算回路31Dの出力交流信号の振幅係数「A(y) −Pa 」は「Pa' −Pa 」であり、「最大値−最小値」であるから、等価的に「1」とみなせる最大値、となる。一方、該区間Rの終わり位置では、A(y)=Paであることから、この演算結果の振幅係数「A(y) −Pa 」は「0」となる。よって、演算回路31Dの出力交流信号の振幅係数「A(y) −Pa 」は、検出対象区間Rの範囲内において、最大値「Pa' −Pa 」(つまり「1」)から「0」まで漸減する関数特性を示し、この振幅係数の関数特性は、コサイン関数の第1象限(つまり0度から90度の範囲)の特性になぞらえることができる。よって、演算回路31Dの出力交流信号の振幅係数「A(y) −Pa 」は、図7(B)に示すように、等価的にcosθ(ただし、大体、0°≦θ≦90°)で表わせる。
【0039】
こうして、2つの検出用コイルL1,L2と1つの基準電圧Vaを用いる場合も、検出対象位置に応じてサイン及びコサイン関数特性に従う振幅をそれぞれ示す2つの交流出力信号(sinθsinωtとcosθsinωt)を生成することができる。この場合も、上記サイン及びコサイン関数は、ほぼ1象限分(90度)の範囲の特性を示すので、検出可能な位置範囲つまり検出対象区間Rがほぼ90度の範囲の位相角θに換算されて検出されることになる。また、前述と同様に、基準電圧Vaを可変することにより、検出可能な位置範囲つまり検出対象区間Rを可変設定することができ、検出分解能を調整することができる。また、図1の実施例と同様に、図6の実施例でも、温度ドリフト特性の補償を行うことができる。
【0040】
次に、更に別の実施例について説明する。
図8は、1つの基準電圧VNだけを使用する実施例を示す。この場合、磁気応答部材11,12の凹凸歯の1/2ピッチに対応する有効検出範囲の位相変化幅は、90度未満となる。図11(A)の例では、ダミーコイルLNは、磁気応答部材11,12の変位の影響を受ける検出用コイルL1に直列に接続されているが、該磁気応答部材11,12の変位の影響を受けないようになっており、コイルL1から得られる最大電圧Vbと同じ定電圧VNを基準電圧として常時発生する。よって、コイルL1から出力される検出電圧Vxと基準電圧VNとは同等の温度特性をもつ。これにより、磁気応答部材11,12の相対的変位に応じたコイルL1の端子間電圧VxとダミーコイルLNの端子間電圧VNとは、図8(B)のように生成される。演算回路318はこれら電圧Vx,VNを所定の演算式に従って演算し、例えば図8(C)に示すように、「Vx+VN」なる演算によってサイン関数特性の交流出力信号sinθsinωtを生成し、「Vx−VN」なる演算によってコサイン関数特性の交流出力信号cosθsinωtを生成する。これは、図8(D)に示すように或る90度未満の幅の角度範囲における特性に対応づけることができる。よって、これらの交流出力信号を位相検出回路32に入力することにより、該当する90度未満の幅の角度範囲における位相角θをアブソリュート検出することができる。なお、図8(A)のような直列接続に限らず、図8(E)のように、ダミーコイルLNを検出用コイルL1に並列に接続するようにしてもよい。
【0041】
図9は、図8の変形例であり、ダミーコイルLNに代えて抵抗素子R1を用いて基準電圧を発生するものである。同図(A)に示すように、コイルL1に直列に抵抗素子R1を接続してなる。これにより、磁気応答部材11,12の相対的変位に応じてコイルL1の端子間電圧Vxの振幅成分が図9(B)に示すように漸増変化すると、これに応じて抵抗素子R1の端子間の電圧降下VRの振幅成分が図9(B)に示すように漸減変化する。抵抗素子R1の端子間電圧VRをサイン関数特性の交流出力信号sinθsinωtとみなし、コイルL1の端子間電圧Vxをコサイン関数特性の交流出力信号cosθsinωtとみなせば、図9(C)に示すようにサイン関数とコサイン関数とがクロスする或る90度未満の幅の角度範囲における特性に対応づけることができる。よって、これらの交流出力信号を位相検出回路32に入力することにより、該当する90度未満の幅の角度範囲における位相角θをアブソリュート検出することができる。
【0042】
なお、上記各実施例において、磁気応答部材11,12として、磁性体の代わりに、銅のような非磁性良導電体を使用してもよい。その場合は、渦電流損によってコイルのインダクタンスが減少し、磁気応答部材11,12の凸部11a,12aの近接に応じてコイルの端子間電圧が減少することになる。この場合も、上記と同様に位置検出動作することが可能である。また、磁気応答部材として、磁性体と導電体を組合わせたハイブリッドタイプのものを用いてもよい。例えば、凸部11a,12aを磁性体とし、凹部11b,12bのギャップを導電体で埋める。また、磁気応答部材11,12は凹凸歯形状からなるものに限らず、適宜の漸減又は漸増形状であってよく、また所定の基材の表面上にめっき等で適宜の漸減又は漸増形状からなるパターンを形成したものであってもよい。
【0043】
また、磁気応答部材11,12として永久磁石を含み、コイル部10のコイルには鉄心コアを含むようにしてもよい。永久磁石が、コイルに接近するとその近接箇所に対応する鉄心コアが部分的に磁気飽和ないし過飽和状態となり、該コイルの端子間電圧が低下する。これにより、磁気応答部材11,12の相対的変位に応じたコイルの端子間電圧の漸減(又は漸増)変化を引き起こさせることができる。
【0044】
本発明に係る相対的回転位置検出装置は、ねじり量検出装置に限らず、例えば、エンジンオーバーヘッドカムの相対的な回転角度を検出するエンジン噴射タイミング制御用センサにも応用することができる。その他、要するに、回転可能な2軸の所定角度範囲にわたるねじれ量や回転ずれなどの相対的回転位置の検出センサとして好適なものである。
【0045】
【発明の効果】
以上のとおり、この発明によれば、1次コイルのみを設ければよく、2次コイルは不要であるため、小型かつシンプルな構造の相対的回転位置検出装置を提供することができる。また、第1及び第2の軸の相対的回転位置に応じて第1及び第2の磁気応答部材の相対的位置が変化する間に生じるコイルの電圧の漸増(又は漸減)変化特性を利用し、これを基準電圧と演算して組み合わせることにより、検出対象の相対的回転位置に応じて所定の周期関数特性に従う振幅をそれぞれ示す複数の交流出力信号(例えばサイン及びコサイン関数特性に従う振幅をそれぞれ示す2つの交流出力信号)を容易に生成することができる。また、温度ドリフト特性を自動的に補償し、温度変化の影響を排除した相対的回転位置検出を容易に行うことができる。更に、これら複数の交流出力信号における振幅値の相関関係から該振幅値を規定する所定周期関数(例えばサイン及びコサイン関数)における位相値を検出することで、検出対象の変位が微小でも高分解能での相対的回転位置検出が可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施例に係る相対的回転位置検出装置の構造例を示すもので、(A)は外観斜視図、(B)は同装置の軸方向断面図、(C)は同装置のコイルに関連る電気回路図。
【図2】 同実施例における第1及び第2の磁気応答部材の相対的位置の関係を示す図。
【図3】 図1の実施例の検出動作説明図。
【図4】 本発明に係る相対的回転位置検出装置の別の実施例を示す軸方向断面略図。
【図5】 本発明に係る相対的回転位置検出装置の更に別の実施例を示す側面略図。
【図6】 本発明に係る相対的回転位置検出装置の更に他の実施例を示すもので、(A)は側面略図、(B)は電気回路図。
【図7】 図6の実施例の検出動作説明図。
【図8】 本発明に係る相対的回転位置検出装置の更に他の実施例を示すもので、(A)はコイル部に関連する電気回路図、(B)は各コイルの出力例を示す図、(C)は各コイル出力の演算合成例を示す図、(D)は演算合成出力に基づく検出原理を説明するための図、(E)はコイル接続の変更例を示す回路図。
【図9】 本発明に係る相対的回転位置検出装置の更に他の実施例を示すもので、(A)はコイル部に関連する電気回路図、(B)はコイルの出力例を示す図、(C)はコイル出力に基づく検出原理を説明する図。
【符号の説明】
1 トーションバー
2 入力軸
3 出力軸
10 コイル部
L1,L2 コイル
11,12 磁気応答部材
11a,12a 凸部
11b,12b 凹部
30 交流発生源
31A,31B,31C,31D アナログ演算回路
17,18 マスキング部材
32 位相検出回路
Lr1,Lr2 基準電圧発生用コイル

Claims (7)

  1. 相対的に回転可能な第1及び第2の軸の相対的回転位置を検出する相対的回転位置検出装置であって、
    交流信号で励磁される少なくとも1つのコイルを配置してなるコイル部と、
    前記第1及び第2の軸に配置された第1及び第2の磁気応答部材であって、前記コイル部に対して磁気的に結合し、前記相対的回転位置に応じて該第1及び第2の磁気応答部材の相対的位置が変化し、これに応じて前記コイルのインピーダンスを変化させ、このインピーダンス変化に基づき前記相対的位置が所定の範囲にわたって変化する間で前記コイルに生じる電圧が変化するようにしたものと、
    交流信号からなる少なくとも1つの基準電圧を発生する回路と、
    前記コイルに生じる電圧を取り出し、前記基準電圧と加算又は減算することで、所定の周期的振幅関数を振幅係数として持つ交流出力信号を少なくとも2つ生成する演算回路であって、前記各交流出力信号の前記周期的振幅関数はその周期特性においてサイン及びコサイン関数に相当する所定位相だけ異なっているものと
    を具えた相対的回転位置検出装置。
  2. 前記コイル部は、1つのコイルを配置してなり、
    前記基準電圧を発生する回路は、第1及び第2の基準電圧を発生し、
    前記演算回路は、前記1つのコイルから取り出した電圧と前記第1及び第2の基準電圧とを用いて所定の第1の加算又は減算及び第2の加算又は減算をそれぞれ行うことで、サイン関数を振幅係数として持つ第1の交流出力信号と、コサイン関数を振幅係数として持つ第2の交流出力信号とをそれぞれ生成するものである請求項1に記載の相対的回転位置検出装置。
  3. 前記第1及び第2の基準電圧は、前記第1及び第2の交流出力信号における前記サイン関数及びコサイン関数の周期特性における特定の位相区間を定めるものであり、この第1及び第2の基準電圧を可変することで、該特定の位相区間と前記相対的位置の変化範囲との対応関係を可変できることを特徴とする請求項2に記載の相対的回転位置検出装置。
  4. 前記コイル部は、2つのコイルを配置してなり、検出対象の変位に応じて前記磁気応答部材に対する各コイルの相対的位置が逆特性で変化し、これに応じて前記各コイルのインピーダンスが逆特性で変化し、
    前記基準電圧を発生する回路は、1つの基準電圧を発生し、
    前記演算回路は、前記各コイルから取り出した電圧と前記基準電圧とを用いて所定の第1の加算又は減算及び第2の加算又は減算をそれぞれ行うことで、サイン関数を振幅係数として持つ第1の交流出力信号と、コサイン関数を振幅係数として持つ第2の交流出力信号とをそれぞれ生成するものである請求項1に記載の相対的回転位置検出装置。
  5. 前記基準電圧を発生する回路は、前記磁気応答部材の変位の影響を受けないように配置された所定インピーダンスのコイルを含む請求項1乃至4のいずれかに記載の相対的回転位置検出装置。
  6. 前記第1及び第2の基準電圧を発生する回路は、前記磁気応答部材の変位の影響を受けないように配置された所定の第1及び第2インピーダンスの第1及び第2のコイルを含み、該第1及び第2のコイルの一方を少なくとも磁性体を用いてマスキングし、他方を少なくとも導電体を用いてマスキングすることで前記所定の第1及び第2インピーダンスの調整を行うようにした請求項2又は3に記載の相対的回転位置検出装置。
  7. 前記第1及び第2の磁気応答部材は、所定ピッチの凹凸又はパターンを有し、前記第1及び第2の軸の相対的回転位置に応じて該第1及び第2の磁気応答部材の前記凹凸又はパターンの対応関係が変化し、これに応じて前記コイルのインピーダンスが変化するようにした請求項1乃至6のいずれかに記載の相対的回転位置検出装置。
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