JP4611855B2 - スイッチ - Google Patents

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この発明は、押しボタンスイッチの座屈や転倒を防ぎ、かつ、スイッチのオン、オフ位置やボタンの押し圧及びオーバーストロークなどの微妙な調整をできるようにしたスイッチに関するものである。
押し圧部がケースに設けられた開口から露出するように設置されたスイッチキャップと、前記ケース内部に備えられた押しボタンスイッチとで構成されるスイッチとして、PTTスイッチがある。
ちなみに、前記PTTは、Push To Talk または Press To Talkの略で、PTTスイッチとは、無線通信機の送受信切換用スイッチのことである。
このようなPTTスイッチの例として特許文献1に記載されたものがある。このPTTスイッチは、図4に示すように、一端を回動自在に支持され、ケースに設けられた開口から露出するように設置されたスイッチキャップ1と、押しボタンスイッチ(タクトスイッチ)2とを内壁3を介して柱状のアタッチメント4と成型弾性部材5で係合させるようにしたもので、前記スイッチキャップ1と内壁3との間にスプリング6を設けて、前記スプリング6が前記キャップ1を押した際に抗するようにしたものである。
ここで、アタッチメント4は、防水用パッキンを備えたもので内壁3に設けられた貫通孔7に嵌合するものである。また、成型弾性部材5は、伝達時に弾性変形することにより、ストロークの小さなタクトスイッチ2のストロークを増幅(オーバーストローク)して適度なクリック感を与えようとするものである。
ところで、上記のスイッチでは、スイッチキャップ1とタクトスイッチ2とを係合させるために、柱状のアタッチメント4と成型弾性部材5の2つの部材を使用しており、これを一つの部品で構成できるようにすれば、取り付け工数も減らすことができるし、部品数も減るのでコストの低減も可能になることが期待できる。
そのため、図3に示すような柱状の弾性部材8を使用していた。この弾性部材8は、円柱形の支持部8aとその支持部8aに鍔のように設けられたパッキン部8bとからなっており、全体をシリコンゴムなどのゴム材料で形成したものである。
特開2001−297659号公報
しかしながら、上記の支持部とパッキン部からなる全体を、ゴム材料で形成した弾性部材では、部材を一つにしたことにより支持部を長くしなければならなかった。そのため、コシが弱くなって曲がり易く、押し圧が加わった際に座屈を起こしたり、スイッチを誤って落下した際の衝撃で弾性部材自体が転倒したりして使用できなくなる場合があった。
また、支持部のコシが弱いため、スイッチを押した際の感触も悪く、感触を良くしようとゴムの硬度を調整すると、その都度、スイッチの押し圧や、スイッチのオン、オフの位置、スイッチをオンにしてからのオーバーストロークなども連動して変化するため、微妙な調整が難しく、要望に答えられない場合が多々あった。
そこで、この発明の課題は、座屈や転倒を防ぎ、スイッチの例えば、押し圧やオーバーストロークなどの調整も容易にできるようにすることである。
上記の課題を解決するため、この発明では、押圧部がケースに設けられた開口から露出するように設置されたスイッチキャップと、前記ケース内部に備えられた押しボタンスイッチと、前記スイッチキャップの裏面側に設けられ、スイッチキャップの押し操作を先端で受けて前記押しボタンスイッチに伝達する柱状の弾性部材と、前記スイッチキャップの裏面側に設けられ、スイッチキャップを押し操作前の初期状態に復帰可能とするスプリングを備え、前記弾性部材は、前記スイッチキャップに対向する面に軸方向の穴が設けられ、その穴にコイルバネを挿入し、挿入したコイルバネ全部を弾性部材から突出しないように嵌入する構成を採用したのである。
このような構成を採用したことにより、嵌入したコイルバネが芯となって弾性部材を支えるので、押し圧が加わった際の座屈や転倒を防止することができる。また、嵌入するコイルバネの仕様を適宜変えることで、スイッチの押し圧や、オンとオフの位置、オーバーストロークなどの微妙な調整もすることができる。
また、このとき、上記スプリングに代えて、上記弾性部材の穴に挿入されたコイルバネの一部を弾性部材の端面から突出させた構成を採用することができる。
このような構成を採用することにより、突出したコイルバネの先端部がスイッチキャップに当接するので、スイッチキャップの裏面側に設けられたスプリングに代わってスイッチキャップを支持し、スイッチキャップを操作前の位置に戻すことができる。
このとき、上記押しボタンスイッチをタクトスイッチとしたPTTスイッチとすることができる。
この発明は、上記のように構成したことにより、押しボタンスイッチの座屈や転倒を防ぐことができる。また、スイッチの例えば、押し圧、オン、オフの位置、オーバーストロークなどの調整も容易にできる。
以下、この発明を実施するための最良の形態を図面に基づいて説明する。
図1の断面図は、この形態のPTTスイッチボックスのもので、押し圧部がケースに設けられた開口17から露出するように設置されたスイッチキャップ10と、前記ケース内部に備えられた押しボタンスイッチ(タクトスイッチ)2とからなっている。
すなわち、この形態では、一端を回動自在に支持されたスイッチキャップ10と、タクトスイッチ2とを内壁11を介してコイルバネ12を嵌入した柱状の弾性部材13で係合させるようになっている。
前記スイッチキャップ10は、一端に軸部14を設け、他端側に押し圧部15を設けたレバー様のもので、図1のように、ケース16の内壁11との間に形成した隙間に嵌入すると、嵌入したスイッチキャップ10の押し圧部15がケース16に設けた開口17から臨むようになっている。一方、スイッチキャップ10の軸部14は、軸となる突起18を、図1の面と垂直方向に形成したもので、前記突起18をケース16に設けた軸受け用の穴(図示せず)に嵌入することで、回動自在に支持するようになっている。また、スイッチキャップ10は、前記押し圧部15の裏面で、図1のように後述の弾性部材13の先端を受ける。
タクトスイッチ2は、基板19上にタクトスイッチ2のボタンを内壁11の側に向けて配置するように取り付けられている。
内壁11は、ここでは、例えば、雨水などの浸入を短時間防ぐことを目的に設けたもので、この内壁11の中程には、前記タクトスイッチ2のボタンと対向し、かつ、弾性部材13を取り付けるための貫通孔20を設けてある。
前記弾性部材13は、シリコンゴムなどのゴム材で一体に形成したもので、前記スイッチキャップ10の裏面側に設けられ、スイッチキャップ10の押し操作を前記タクトスイッチ2に伝達する。また、弾性部材13は、図2のように、支持部21と、その支持部21に鍔のように設けられたパッキン部22とからなっており、前記支持部21にコイルバネ12を嵌入した構造となっている。
前記支持部21は、円柱形で、図2のように、スイッチキャップ10との当接面である先端に、軸方向に穴23を設けてコイルバネ12を嵌入したものである。この形態では、前記コイルバネ12の一部を弾性部材13の先端面から突出させてスイッチキャップ10に当接するようにしている。こうすることで、突出したコイルバネ12の先端がスイッチキャップ10に当接し、スイッチキャップ10に加えられる押し圧に抗して支持するようにしている。なお、この形態では、コイルバネ12は支持部21の先端の穴23へ嵌入しただけであるが、ゴム材でモールドするようにしてもよい。
また、他方、支持部21の後端には、タクトスイッチ2のボタンと接する当接面が形成されている。
一方、パッキン部22は、枠部24とその枠部24から支持部21間に設けた薄膜部25からなっている。前記枠部24は、四角形で内壁11の貫通孔20に形成された断面コの字型のホルダー26と嵌合するようになっている。また、薄膜部25は、ゴム材を薄膜化して、図2のように支持部21から後方に向けて形成し、枠部24に斜めに連結するようにしており、前記枠部24に斜めに連結した薄膜部25は、支持部21を矢印のように後方へ移動した際、水平になるまで支持部21の移動に抗するように作用し、水平になると支持部21をイッキに後方へ押し出して適度なクリック感を得られるようにしてある。また、この薄膜部25は、水の浸入を防ぐ作用も有している。
因みに、このPTTスイッチボックスのケース16は、前面ケース(図1で示す)16と背面ケースとに分かれ、両ケースの内壁11及び開口17の部分の構造は同じとなっている。したがって、例えば、両ケースを合致させれば、弾性部材13やスイッチキャップ10の軸部14を支持して取り付けられるようになっている。
この形態は、上記のように構成されており、この形態のPTTスイッチを操作しない場合は、図1に示すように、弾性部材13の先端から突出したコイルバネ12がスイッチキャップ10の裏面に当接して支持している。
このため、図4の従来例のもののように、スイッチキャップ1を支持し、かつ、スイッチキャップ1を押し操作する前の位置に戻すためのスプリング6を必要としない(別段、スプリング6は在っても構わない)。
いま、通話のために、このPTTスイッチのスイッチキャップ10を指で押して押し圧を加えると、まず、弾性部材13の先端から突出したコイルバネ12が縮小する。縮小したコイルバネ12が弾性部材13に達すると、コイルバネ12と弾性部材13とが縮小を始める。そして、弾性部材13の支持部21を後方へ徐々に移動させる。このとき、弾性部材13に嵌入したコイルバネ12が芯となって弾性部材を支えるので、弾性部材13の座屈や転倒を防止することができる。また、この移動に伴って、タクトスイッチ2には押し圧が加わるが、タクトスイッチ2は、周知のようにクリック機構を備えているので直ぐにはオンにはならない。この間、薄膜部25も後方へ押されるが、薄膜部25は、枠部24との間が水平になるまでは支持部21の移動に抗するように作用する。
さらに、スイッチキャップ10が押されて、前記弾性部材13の支持部21の移動により、薄膜部25が水平になると、支持部21をイッキに後方へ移動してタクトスイッチ2を作動させる。
一方、通話が終了して指をPTTスイッチのスイッチキャップ10から離すと、スイッチキャップ10からの押し圧が解放されるため、まず、オンになっていたタクトスイッチ2が復帰して弾性部材13の支持部材21を押し戻す。さらに、押し戻された支持部21によって薄膜部25が水平に戻ると、薄膜部25はイッキに図1の斜めの状態に戻る。次に、縮小していた支持部21とコイルバネ12とが伸長したのち、先端からコイルバネ12が伸長し、スイッチキャップ10を回動させて図1の状態に戻す。
このように、弾性部材13にコイルバネ12を嵌入したことにより、弾性部材13の伸縮と同時に、コイルバネの伸縮がスイッチキャップ10の押し圧感やタクトスイッチ2のオン、オフに関与する。そのため、コイルバネ12の強さ、コイルバネの長さ(例えば、突出させる長さ)を選択することにより、PTTボタンの押し圧や、タクトスイッチ2のオン、オフ位置、タクトスイッチ2をオンにしてからのオーバーストロークなどゴム材料だけでは不可能であった微妙な調整ができる。
また、図4に示す従来のものでは必要であった、スイッチキャップ1を支持し、かつ、操作前の位置に戻すためのスプリング6を、弾性部材13に嵌入したコイルバネ12で代行させるようにしたので、PTTスイッチコントローラの小型化も可能である。
なお、実施形態では、弾性部材13からコイルバネ12の一部を突出した場合について述べたが、前記バネ12の全部を弾性部材13から突出しないようにして嵌入しても良い。その際、スイッチキャップ10を支持することに問題があれば(例えば、寸法上など)、従来と同様に、スイッチキャップ10を支持するためのスプリング6を別に設けても良い。
また、弾性部材13を受けるスイッチキャップ10は、図2の破線で示すスイッチキャップ10のように、円筒形の受け10aを設けるようにしてもよい。このような受け10aは、本願の場合、弾性部材13が転倒しないので必要ないと考えられるが、転倒防止効果を徹底させるために設けるようにしてもよい。
本願のスイッチは、弾性部材にコイルバネを嵌入するというスペース的にも制約を受けない簡単な構造で、微妙なタッチの調整が簡単にできるので、プッシュ式のボタンスイッチ一般に利用可能である。
実施形態の要部の断面図 図1の拡大図 従来例の作用説明図 従来例の要部の断面図
符号の説明
2 タクトスイッチ
10 スイッチキャップ
11 内壁
12 コイルバネ
13 弾性部材

Claims (3)

  1. 押圧部がケースに設けられた開口(17)から露出するように設置されたスイッチキャップ(10)と、
    前記ケース内部に備えられた押しボタンスイッチ(2)と、
    前記スイッチキャップ(10)の裏面側に設けられ、スイッチキャップ(10)の押し操作を先端で受けて前記押しボタンスイッチ(2)に伝達する柱状の弾性部材(13)と、
    前記スイッチキャップ(10)の裏面側に設けられ、スイッチキャップ(10)を押し操作前の初期状態に復帰可能とするスプリング(6)を備え、
    前記弾性部材(13)は、前記スイッチキャップ(10)に対向する面に軸方向の(23)が設けられ、その穴(23)にコイルバネ(12)を挿入し、挿入したコイルバネ(12)全部を弾性部材(13)から突出しないように嵌入したことを特徴するスイッチ。
  2. 上記スプリング(6)に代えて、上記弾性部材(13)の穴(23)に挿入されたコイルバネ(12)の一部を弾性部材(13)の端面から突出させた請求項1に記載のスイッチ。
  3. 上記押しボタンスイッチ(2)をタクトスイッチ(2)としたPTTスイッチである請求項1または2のいずれかに記載のスイッチ。
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