JP4611334B2 - 有機性排水の処理方法及び装置 - Google Patents
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Description
有機性排水11と活性汚泥の混合および反応、有機物の分解・除去、固液分離を活性汚泥処理槽1のみで行うことができるため、沈殿槽が不要となる。また、沈降分離の必要がなくなり、活性汚泥濃度を10,000mg/リットル程度の高い濃度で運転でき、活性汚泥処理槽1の容量を小さくすることができるため、設置スペースを削減できるという利点がある。また、固液分離に分離膜5を利用することによって、液中の固形分を確実に分離し、浮遊物を含まない良好な処理水12を得ることができる。
即ち、本発明は、
(1)膜分離式活性汚泥法による有機性排水の処理方法において、開口部付き仕切りにより活性汚泥処理槽を、酸素含有気体を曝気する散気装置を有する2以上の反応室と、膜を有する分離室とに分割し、最初の反応室に供給された有機性排水を活性汚泥処理して最後の反応室から分離室に供給される排水の溶解性BODを5〜100mg/リットルとする反応工程と、分離室に供給された該排水を酸素含有気体散気下で膜を用いて処理水と、活性汚泥を含む分離残水とに分離する分離工程と、分離残水を最初の反応室へ循環することにより供給された有機性排水を希釈してBODを500〜750mg/リットルとする循環工程とを有して成ることを特徴とする有機性排水の処理方法、
(2)前記反応工程において、BOD容積負荷が3.5〜6.0kg/m 3 ・日であることを特徴とする前記(1)記載の有機性排水の処理方法、
(3)前記反応工程において、前記循環工程からの分離残水と有機性排水との混合水の滞留時間が2〜5時間であることを特徴とする前記(1)記載の有機性排水の処理方法、
ショートパス防止手段としては、同一槽内におけるじゃま板、隔壁等を設けることの他、反応室と分離室を別々の槽としてこれらを連通した構成にしても良い。
本発明の装置は、活性汚泥処理槽1を別々の槽にするか、あるいは仕切2を入れて、1つ以上の反応室3と最後段の分離室4で構成されるものである。または、活性汚泥処理槽1内に邪魔板を設けることで、迂流させる構造とする。反応室3の流入・流出部は、槽1の上下あるいは左右と交互に設けるものとし、反応室3での流入・流出部の直線距離を長くとる。この条件とするには、これにより膜分離を行う分離室(工程)4での溶解性BODを5〜100mg/リットルとする。なお、図1は活性汚泥処理槽1を1つの反応室3と分離室4に仕切りした装置を、図2は活性汚泥処理槽1を2つの反応室3と分離室4に仕切りした装置の例を示し、図3は活性汚泥処理槽1を別々の槽にして2つの反応室3と分離室4とした装置の例を示す。
a=VR /V1
a:反応室数〔室〕(整数:端数切り捨て)
VR :反応室合計容量VR =VA −VM
VA :反応槽容量〔m3 〕
VM :分離室容量〔m3 〕(分離膜を設置するための最小容量)
V1 :BOD容積負荷が3.5〜6.0kg−BOD/m3 ・日、
循環水を含む滞留時間が2〜5時間となる。
反応室1室あたりの容積〔m3 〕
として室数を決定する。
これにより、良好な水質の処理水12を得るとともに、膜5の汚染の進行を緩慢にし、洗浄頻度を少なくし、同時に膜5の寿命を長くさせる。
本発明の要旨は膜汚染の指標をSSではなく膜近傍でのBOD、特に溶解BODとすることが好ましいことを見出した点にあり、発明者の努力によりそのレベルを限定したものである。BOD値は活性汚泥の作用で通常入口から除かれ減少するが、多くの膜汚染が高BOD排水のショートパスによることがわかった。
原水(排水)11は最前段の反応室3に流入させ、同時に槽内の液、好ましくは最後段分離室4の液を移流し、膜5の浸漬してない室3において混合・反応させる。膜5の浸漬した最後段の分離室4に移流したときには、残留する有機物濃度が溶解性BODにして5〜100mg/リットルとほとんどない状態となり膜5を通して吸引あるいは水圧で処理水12を得る。膜5を透過する液に膜5の汚染源である有機物がほとんどないため、有機物による膜5の汚染の進行を極めて緩慢にすることができる。
〔実施例1〕
図5に示すように、活性汚泥処理槽1を前段12m3 、中段12.5m3 、後段15.5m3 となるように槽内に仕切2を設けた。前段と中段の間の仕切2は、下側から移流できるように開口部を設け、中段と後段のあいだの仕切2は、上側を越流できるように開口部を設けてあるピストンフロー型となっている。膜5は、後段槽の最後部に浸漬設置しており、中空糸膜のモジュール(4m/本)を20本配置してある。後段の槽から前段に循環できるように循環ポンプ7を設置しており、流量調整槽10から前段槽に排水が流入してくると、同時にこのポンプが作動し後段から前段へ活性汚泥の混合液を循環させ排水と混合させる。各段とも、散気装置6が設けられており、DOが少なくとも1mg/リットル以上となるように散気させている。この槽を用いて、水量156m3 /日、BOD4,000mg/リットル、SS700mg/リットルの排水を反応槽MLSS8,000mg/リットルとして処理を行った。
担体を入れずに上記の運転方法で、膜5の設置してある後段槽流入前のBODを95mg/リットル以下で処理したところ、膜5は一年間汚染されずに、吸引圧力0.05〜0.3kgf/cm2 で処理水12が得られた。得られた処理水12のBODは5mg/リットル以下であった。
担体(粒径3〜5mm)を最前段の反応室3に10%投入して、同一水質で水流20m3 /日として処理した。循環水量を流入排水量の6倍程度になるように移流させて処理させたところ、膜5の設置してある後段流入前のBODを50mg/リットル以下となり、同様に膜5は一年間汚染されずに、吸引圧力0.05〜0.30kgf/cm2 で処理水12が得られ、処理水12のBODは5mg/リットル以下であった。
活性汚泥処理槽1内に仕切2を入れずに運転を行った場合、膜5のろ過圧は、約6か月経過した時点で、0.4kgf/cm2 を越え膜5の洗浄が必要になった。比較例1に対して、槽1内に仕切2を入れた場合は、約1年経過した時点でも洗浄の必要がなく、0.3kgf/cm2 以下であり、仕切2を入れピストンフロー型にすることで、膜5の汚染の進行を緩慢にし洗浄頻度を減らし、良好な処理水12を得ることができた。
2 仕切
3 反応槽
4 分離槽
5 分離膜
6 散気装置
7 循環用ポンプ
8 担体
9 スクリーン
10 流量調整槽
11 有機性排水
12 処理水
13 循環水
Claims (4)
- 膜分離式活性汚泥法による有機性排水の処理方法において、開口部付き仕切りにより活性汚泥処理槽を、酸素含有気体を曝気する散気装置を有する2以上の反応室と、膜を有する分離室とに分割し、最初の反応室に供給された有機性排水を活性汚泥処理して最後の反応室から分離室に供給される排水の溶解性BODを5〜100mg/リットルとする反応工程と、分離室に供給された該排水を酸素含有気体散気下で膜を用いて処理水と、活性汚泥を含む分離残水とに分離する分離工程と、分離残水を最初の反応室へ循環することにより供給された有機性排水を希釈してBODを500〜750mg/リットルとする循環工程とを有して成ることを特徴とする有機性排水の処理方法。
- 前記反応工程において、BOD容積負荷が3.5〜6.0kg/m 3 ・日であることを特徴とする請求項1記載の有機性排水の処理方法。
- 前記反応工程において、前記循環工程からの分離残水と有機性排水との混合水の滞留時間が2〜5時間であることを特徴とする請求項1記載の有機性排水の処理方法。
- 活性汚泥処理槽中に分離膜を浸漬させた有機性排水の処理装置において、該活性汚泥処理槽が開口部付き仕切りにより分割され、酸素含有気体を曝気する散気装置を有する2以上の反応室と、膜分離を行う分離室から成り、該反応室は、供給された有機性排水を分離室からの分離残水で希釈してBODを500〜750mg/リットルにする最初の反応室と、分離室に供給する排水の溶解性BODを5〜100mg/リットルとする最後の反応室とを含み、最後の反応室から供給された排水を酸素含有気体散気下で分離膜により処理水と、活性汚泥を含む分離残水とに分離する分離室とを有してなり、かつ分離室からの分離残水を最初の反応室へ供給する循環手段を有することを特徴とする有機性排水の処理装置。
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