JP4610732B2 - ローン管理システム、その方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、住宅ローン債権のリスクを計量することができ、これに基づいて当該ローンを管理することができるローン管理システム、その方法及びコンピュータシステムにローンの管理を行わせるためのコンピュータソフトウエアプログラム製品に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
銀行等の金融機関においては、例えば、個人に対する住宅融資(住宅ローン)事業を行っている。このようなローン事業においては、ローンの貸出残高に関するリスクを管理することが求められる。
【0003】
個人に対する住宅ローンのリスク計量方法については、従来、過去のデフォルト(代位弁済)発生件数及びその金額を集計してその平均値を算出する等の全体的な分析にとどまっており、ローン借入者の属性(収入金額、保有資産、年齢等)やローン案件の属性(購入物件、借入比率、公的借入の有無等)等の個別の要因及びそれらの組み合わせは反映されていない。
【0004】
すなわち、企業の場合は毎期財務諸表を発表しているため、過去の業績推移や財務状況等の具体的な数値に基づきリスクの判定を個別に行うことができるが、個人の場合は、本人等から直接収支、健康状況等を確認する以外にないため、全借入者に対して個別かつ継続的に管理することは実質的に不可能である。このため、前述したように、個人ローンのリスク計量方法では、従来、過去のデフォルト(代位弁済)発生件数及びその金額を集計してその平均値を算出する等の全体的な分析にとどまっている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、従来のリスク計量方法においては、以下のような解決するべき課題が有る。
【0006】
すなわち、個人の場合には、デフォルト発生率は、一般に、借入からの経過年数によって異なったり、また、景気の動向による収入見込みや物件の価値の変化によって異なることが予想される。このため、前記平均値による方法ではデフォルト率を正確に予測することは出来ない。
【0007】
また、従来の方法では、商品設計の段階では統計処理に必要なデフォルト発生の実績がない場合には有効なリスク計量が行えない。このため、当初の設計条件のままで当該商品の販売を数年間実施し、その実績を入手した後でないと、商品設計の改定や審査基準の妥当性を検証できないということがある。
【0008】
この発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、コンピュータシステムを利用し、個人ローンのリスク計量を行え、これを管理することができるローン管理システム及びその方法を提供することを目的とする。
【0009】
また、この発明の更なる詳しい第1の目的は、より簡単な処理手順で個人ローンの特性に応じて適切なリスク管理を行えるローン管理システム、その方法及びコンピュータシステムにローンの管理を行わせるためのコンピュータソフトウエアプログラム製品を提供することにある。
【0010】
また、この発明の更なる詳しい第2の目的は、より簡単な処理手順で経済環境の変化に応じた適切なリスク管理を行えるローン管理システム、その方法及びコンピュータシステムにローンの管理を行わせるためのコンピュータソフトウエアプログラム製品を提供することにある。
【0011】
また、この発明の更なる詳しい第3の目的は、デフォルト件数の実績が少ない場合であっても、より簡単な処理手順で個人ローンの特性に応じたリスク管理を行えるローン管理システム、その方法及びコンピュータシステムにローンの管理を行わせるためのコンピュータソフトウエアプログラム製品を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、この発明の第1の主要な観点によれば、金融機関におけるローンを管理するためのシステムであって、分析対象のローン債権の取扱件数及びその金額を含む顧客及び案件の属性を格納する分析対象情報格納手段と、過去のデフォルト件数及びその金額を格納するデフォルト実績格納手段と、少なくとも、現在の経済環境変化を表す係数を変数として格納する変数格納手段と、前記ローン債権の経過年数毎の過去のデフォルト件数に基いて、経過年数毎のローン債権の瞬間死亡率若しくは生存率を算出し、これに前記変数格納手段に格納された現在の経済環境変化を表す係数を適用することで、取扱ローンのハザード(瞬間死亡率)モデルを生成するハザードモデル生成手段と、前記ハザードモデルに基いてデフォルト件数を生成し、これを前記分析対象情報格納手段に格納された分析対象のローン債権の取扱件数及びその金額に適用することで、前記分析対象のローン債権に関して将来起こり得る代位弁済の分布を算出し、これをリスク値として出力するローンリスク出力手段とを有することを特徴とするローン管理システムが提供される。
【0013】
このような構成によれば、ローン経過年数別のローン債権の代弁発生件数を推計し、その値に対して経済環境等の要因を織り込んでハザードモデルを構築できる。そして、例えば、このハザードモデルから得られるローン経年数毎の代位弁済件数を平均値と仮定して乱数発生による想定代弁発生件数の生起を行い、この想定代弁発生件数に対応する代弁金額を求める。この代位弁済金額算出のシミュレーションを、例えば10000回繰り返し行う(モンテカルロシミュレーション)ことで、代弁発生件数に対応する代弁金額分布を算出し、その分布を基に、例えば、平均損失額、単年度の最大損失額を算出することができる。また、過去の代位弁済債権回収実績に基いて、経過年数毎の実績値に基づく回収率と同様のデータ群からのシミュレーションで得た回収率とを比較し、いずれか低い方による回収額を回収率考慮前損失額から控除して最終的なリスク額として算出することができる。
【0014】
これにより、個人ローンのリスク管理を、現在の経済環境を考慮して行うことができる効果がある。また、デフォルト件数のデータが不足している場合であっても、これを補って有効な推計を行うことができる。
【0015】
この発明の1の実施態様によれば、ローン債権を前記顧客及び案件の属性の質に基いて、複数の異なる基礎セグメントに分類する分類手段を有し、前記ハザードモデル生成手段は、この基礎セグメント毎に前記ハザードモデルを生成するものである。
【0016】
また、異なる1の実施態様によれば、前記ハザードモデル生成手段は、前記ローン債権の経過年数毎の過去のデフォルト実績のうち、経済環境変化の影響を受けていない情報に基づいて生成した基準ハザード曲線を、分析年度の経済環境変化係数に基づいて所定量シフトさせることで、取扱ローンのハザードモデルを生成するものである。
【0017】
さらに異なる1の実施態様によれば、このシステムは、前記ローンリスク出力手段によって出力されたローンリスクに、ローン設定申し込みに係る顧客及び案件の属性を適用することで、当該顧客の返済能力を分類する返済能力分類手段と、この分類された返済能力に応じて、ローン設定条件を決定するローン設定条件決定手段とをさらに有する。
【0018】
ここで、前記ローン設定条件決定手段は、前記顧客の返済能力に応じて、担保掛目若しくは適用金利を決定するものであることが好ましい。そして、前記ローン設定条件決定手段で決定したローン設定条件をローン契約窓口のコンピュータに提示するローン設定条件提示手段をさらに有することが望ましい。
【0019】
この発明の第2の観点によれば、金融機関におけるローンを管理するための方法であって、過去のローン債権の経過年数毎のデフォルト件数に基いて、経過年数毎のローン債権の瞬間死亡率若しくは生存率を算出し、これに現在の経済環境変化を表す係数を適用することで、取扱ローンのハザード(瞬間死亡率)モデルを生成するハザードモデル生成工程と、前記ハザードモデルに基いてデフォルト件数を生成し、これを前記分析対象情報格納工程に格納された分析対象のローン債権の取扱件数及びその金額に適用することで、前記分析対象のローン債権に関して将来起こり得る代位弁済の分布を算出し、これをリスク値として出力するローンリスク出力工程とを有することを特徴とするローン管理方法が提供される。
【0020】
この発明の第3の観点によれば、ローン債権の質に基いて求められたローンリスクに、ローン設定申し込みに係る顧客及び案件の属性を適用することで、当該顧客の返済能力を分類する返済能力分類手段と、この分類された返済能力に応じて、ローン設定条件を決定するローン設定条件決定手段とを有するローン管理システムが提供される。
【0021】
この発明の第4の観点によれば、ローン債権の質に基いて求められたローンリスクに、ローン設定申し込みに係る顧客及び案件の属性を適用することで、当該顧客の返済能力を分類する返済能力分類工程と、この分類された返済能力に応じて、ローン設定条件を決定するローン設定条件決定工程とを有するローン管理方法が提供される。
【0022】
この発明の第5の観点によれば、コンピュータシステムを制御して金融機関におけるローンを管理させるためのコンピュータソフトウエアプログラム製品であって、記憶媒体と、前記記憶媒体に記憶され、分析対象のローン債権の取扱件数及びその金額を含む顧客及び案件の属性を格納する分析対象情報格納手段と、前記記憶媒体に記憶され、過去のデフォルト件数及びその金額を格納するデフォルト実績格納手段と、前記記憶媒体に記憶され、少なくとも、現在の経済環境変化を表す係数を変数として格納する変数格納手段と、前記記憶媒体に記憶され、前記ローン債権の経過年数毎の過去のデフォルト件数に基いて、経過年数毎のローン債権の瞬間死亡率若しくは生存率を算出し、これに前記変数格納手段に格納された現在の経済環境変化を表す係数を適用することで、取扱ローンのハザード(瞬間死亡率)モデルを生成するハザードモデル生成手段と、前記記憶媒体に記憶され、前記ハザードモデルに基いてデフォルト件数を生成し、これを前記分析対象情報格納手段に格納された分析対象のローン債権の取扱件数及びその金額に適用することで、前記分析対象のローン債権に関して将来起こり得る代位弁済の分布を算出し、これをリスク値として出力するローンリスク出力手段とを有することを特徴とするコンピュータソフトウエアプログラム製品が提供される。
【0023】
この発明の第6の観点によれば、コンピュータシステムを制御して金融機関におけるローンを管理させるためのコンピュータソフトウエアプログラム製品であって、記憶媒体と、前記記憶媒体に記憶され、ローン債権の質に基いて求められたローンリスクに、ローン設定申し込みに係る顧客及び案件の属性を適用することで、当該顧客の返済能力を分類する返済能力分類手段と、前記記憶媒体に記憶され、この分類された返済能力に応じて、ローン設定条件を決定するローン設定条件決定手段とを有するコンピュータソフトウエアプログラム製品が提供される。
【0024】
なお、この発明の他の特徴と顕著な効果は、次の発明の実施の形態の項と添付した図面とによって、より明確に理解することができる。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の一実施形態を図面を参照して説明する。
【0026】
(一実施形態の基本構成)
この実施形態のローン管理システム1は、大きく分けてリスク計量装置2と、ローン契約処理装置3とからなる。リスク計量装置2は、個人の住宅ローンの貸出残高に対するリスク(信用リスク及び信用コスト)4を計量して出力する機能を有する。前記ローン契約処理装置3は、前記のリスク4に基いて新規審査におけるローン設定条件の決定ルール5を生成し、住宅ローンの申込に係る顧客毎の属性等を前記ローン設定条件の決定ルール5に適用して当該顧客に対するローン設定条件6を提示する機能を有するものである。
【0027】
以下、各装置について説明する。
【0028】
(リスク計量装置)
このリスク計量装置2は、図2に示すように、大きく分けて、過去の住宅ローンの取扱実績情報8に基づいて基礎セグメント9の設定を行う基礎セグメント設定ユニット10と、この基礎セグメント9の各セグメント毎に経済環境変数12を考慮したハザードモデル11(後で詳しく説明する)を構築し、これに分析対象年度の住宅ローン取扱情報13を適用することで、経年毎の代弁発生件数14の推計を行う代弁発生件数推計ユニット15と、推計された代弁発生件数14に基づいて代弁発生金額(回収率考慮前の損失額)16の推計を行う代弁金額推計ユニット17と、前記代弁発生金額16に所定の回収率18を加味することで前記信用リスク4(信用コスト量及び同リスク量)を計量して出力するリスク計量ユニット19とからなる。これら各ユニットは、実際には、コンピュータシステムの例えばハードディスク等の記憶媒体に格納されたコンピュータソフトウエアプログラムであり、図示しないCPUによってRAM上に展開され実行されることでこの発明の実施形態としての機能を発揮する。
【0029】
以下、各ユニットの機能を順に説明する。なお、図3に示すのは、このリスク計量装置2によるリスク計量体系を示す模式的なフローチャートであり、以下、適宜このフローチャート中の各ステップを示す符号(S1〜S10)を参照して説明することにする。
【0030】
(基礎セグメント設定ユニット)
まず、図2に示す前記基礎セグメント設定ユニット10は、過去の住宅ローン債権の取扱実績情報8(返済実績及びデフォルト実績情報)に基き、これをグループ分けするのに最適な複数のセグメント、すなわち基礎セグメント9を設定するものである(図3のステップS1)。
【0031】
まず、前記基礎セグメント9の構築における基本的な考え方について説明する。
【0032】
この基礎セグメント9は、顧客の属性や案件の属性(購入物件の特性)毎に、住宅ローン債権に関するデフォルトの発生に異なった傾向を見出すことができるという観点に基いて設定されるものである。この基礎セグメント設定ユニット10は、過去の住宅ローン債権の取扱実績情報8をデータマイニングの手法により判別分析することによって、顧客のライフステージと購入物件の特性の関連により、ローン債権のタイプを分かりやすく表現する組合わせを探し出し、基礎セグメント9を設定する。この際、電子化データの整備状況、各セグメントに属するサンプルデータ数のバランス等に留意する。
【0033】
この実施形態では、1992〜94年度実行のローン債権の初期属性(申込書ベース)を用いて、その後の代弁状況を分析することで、図4に示すような基礎セグメント判別ツリー20を構築した。すなわち、この基礎セグメント判別ツリー20では、分岐条件として、ルートノードから順に、資金使途21、調達金額22(購入物件価格)、自己資金比率23、調達金額24、受付時年齢25、住宅金融公庫等公的借入の有無26を採用し、住宅ローン債権を、超高額27、高額資金大28、中低額資金大29、高額資金小30、若年公有(公庫使用有り)31、若年公無32、中高年公有33、中高年公無34、肩代り35、及びその他36の10個の基礎セグメント9に分類するようになっている。この基礎セグメント判別ツリー20は前記基礎セグメント9として出力されメモリに格納されるようになっている。
【0034】
なお、このようなツリー分析は、属性の組合わせで定義される顧客セグメントが明確になる等の特徴がある。前記10個の各セグメント27〜36において、図中の右端のボックス27a〜36aの下段に示すのが、このセグメントにおける代弁発生率(デフォルト発生率)である。このように各セグメントに分類された債権においては、デフォルト発生について、おおむね一定の振る舞いを見せるものとして、以下の推計を行う。
【0035】
(代弁発生件数推計ユニット)
前記代弁発生件数推計ユニット15においては、生存時間解析の手法を応用することで、前記各基礎セグメント9毎のハザードモデル11を構築し(ステップS2、S3)、このハザードモデル11による推計値を平均的な代弁発生件数14として推計・出力する(ステップS4)。
【0036】
ここで、まず、ハザードモデル11の考え方を説明する。
【0037】
まず、実際の代弁発生件数の推移を見てみると、図5に示すように、代弁発生件数は各年で一様に発生するのではなく、経過年数に応じて発生件数が異なり、かつ、中央付近に山を持つような形状をしていることが分かる。これは、初期の返済計画に無理がある債権が徐々に代弁に至るため件数は増加していくが、ある年数返済実績を積むと代弁発生は初期の返済計画の良し悪しではなくその他の偶発的な事象(例えば経済環境の変化等)により発生すると考えられるためである。このような曲線を持つ代弁発生の確率過程を分析するためには、生存時間解析によるハザードモデル構築が有効な手段である。
【0038】
生存時間解析は、ある基準となる時刻からある現象(死亡、故障など)が起こるまでの時間(生存時間)を対象とした分析手法である。この手法は、信頼性工学の分野において故障が起こるまでの時間解析、医療分野での死亡(或いは発病)までの時間解析に活用されている。ローン信用リスク計量化の場面でも、代弁を債権の死亡と捕らえることで、代弁確率のモデルとして適用することが可能と考えられる。
【0039】
そこで、この発明では、この生存時間解析の手法を応用して、住宅ローン債権の代弁発生率を、代弁発生までの期間構造(経過年数)によって説明するモデルを構築し、代弁発生率及び代弁発生件数の推計を行う。この実施形態では、代弁発生率を、代弁発生までの期間構造(経過年数)、基礎的な債権の質(基礎セグメント9)、社会経済環境を明示的に考慮して導出するようになっている。
【0040】
まず、生存時間解析の概念を簡単な仮設例により解説し、具体的に生存時間から代弁発生率の関係を導出する過程を示す。
【0041】
生存時間解析でベースとなる概念が生存率と生存曲線である。生存率とは、ある観察対象の生存時間に着目し、時間の経過とともにどの程度の個体が生存し続けるか(死亡するか)を確率的に表現したものである。生存曲線とは生存率と生存時間の関係を描いた曲線のことである。推計方法は、生存時間解析の推計で一般に利用されるカプラン・マイヤー法を採用する。
【0042】
すなわち、図6に示すように、仮設例の個体を生存期間の短い時間から順にならべ、死亡が観察されるたびに生存率を計算する。そして、生存の場合は観察数のみを減じていく。このことで、固体の生存時間に応じた生存率を算出することができる。
【0043】
ここで、上記生存時間解析でハザード(瞬間死亡率)と呼ばれるものが、この実施形態で推計対象となる代弁発生確率である。このハザードは、生存率を時間tの関数S(t)とすると、ハザード(関数)=−d/dt・S(t)/S(t)で表される。生存率(曲線)とこのハザードとの関係を図示すると図7のようになる。
【0044】
生存率(曲線)の傾きは常に負となるので、これにマイナスをつけ、さらにその時点tにおける生存率S(t)で割ることにより導出される。この実施形態では、時間tが離散変数である為、微係数の代わりに差分をとることで導出する(下式)。
代弁発生確率h(t)=−{S(t)−S(t−1)}/S(t−1)=1−S(t)/S(t−1)
【0045】
ついで、この代弁発生確率の計算式に基づいて、実際に代弁発生確率を計算する。この代弁発生確率(h)は、t期の期初に存在するローン債権のうち、今t期に代弁となると想定されるローン債権の割合を示したものであり、経過年数毎に推計される。
【0046】
次に、t期の期初のローン債権の経過年数別の債権数(N)を求める。ここで、経過年数を求めるためには基準日を設定する必要がある。つまり、ローン債権がt期において何年目かということが必要である。そこで基準となる日付を設定することになる。t期の期初・期央・期末が考えうるが、この実施形態では、t期間中までの経過年数を考え期央(9月末)とした。
【0047】
そして、t期期初のローン債権数(経過年数別)に経過年数別の代弁発生確率を乗ずることで代弁発生件数を推計することができる。このことで、ローン債権の経過年数と代弁発生件数(若しくはハザード発生率)との関係を示す曲線、すなわちハザード曲線を求めることができる。
【0048】
また、この実施形態では、以下の手順を踏んで、前述の代弁発生率(ハザード率)に経済環境変化を織り込むようになっている。この手順を図8を参照して説明する。
【0049】
まず、前記分析対象の住宅ローン取扱情報13から、経済環境変化の影響を受けていないと考えられるローン債権データを抽出し、そのデータをもとに各基礎セグメント9に共通な基準ハザード曲線(図8に40で示す)を導出する。
【0050】
ついで、前記基礎セグメント9中の各セグメント間のリスク比を推計し、上記で求めた基準ハザード曲線40をリスク比倍だけシフトさせ、基礎セグメント9毎のハザード曲線(図8に41で示す)を推計する。
【0051】
最後に、経済環境変数12と代弁発生率の関係により、前記ハザード曲線41をシフトさせることで最終的なハザード曲線(図8に42で示す)を得る。
【0052】
ここで、上記ステップについてさらに詳しく説明する。
【0053】
まず、この実施形態では、前記基準ハザード曲線40を求める場合に利用する経済環境の変化を受けていないと考えられるローン債権の範囲は、CIギャップ変数(CI指数(景気一致指数)の実行時と代弁時のギャップを示す変数)の絶対値が小さいものとした。具体的には、CIギャップ変数の分布から、平均±0.5×標準偏差の範囲にあるローン債権データを抽出した。
【0054】
次の基礎セグメント毎のハザード曲線41の算出には、比例ハザード法を用いる。すなわち、基準ハザード曲線40の導出と、各基礎セグメント9中のセグメント間のリスク比(基準ハザード率の何倍となるか、基準ハザード曲線からどの程度離れているかを表す)を同時に推計する。
【0055】
また、最終的なハザード曲線42を求める際には、この実施形態では、前記経済環境変数12として景気一致指数(CI指数)を取り上げて、代弁発生率との関係を導出した。具体的には、CI指数の実行時と代弁時のギャップ変数と代弁発生率との関係を見るようにした。CI指数そのものではなくギャップ変数とするのは、同じ経済環境でも債権毎にその受ける影響の度合いは異なる、つまり、経済環境が実行時に比べて悪化した場合、当初の返済計画通りの返済が困難となる債権が出てくると考えられるためである。
【0056】
実際に計測した結果は図9に示す通りである。指数曲線のためCIギャップがマイナス方向にいくほど影響が強くなるが、ギャップが10低下すると代弁発生率は約0.07%上昇するという関係にある。
【0057】
以上により、生存時間解析手法を応用したハザードモデル11を構築することができ、かつ、代弁発生までの期間構造(経過年数)に加えて基礎的な債権の質(基礎セグメント9)や経済環境を明示的に考慮することができるから、より精度の高いハザードモデル11を構築することが可能である。
【0058】
そして、この代弁発生件数推計ユニット15は、前記ハザードモデル11(図8)により求められるハザード率に基づいて具体的な代弁発生件数14を算出し、出力・格納する。
【0059】
なお、計測年度の経済状況を複数想定し、そのシナリオ別に代弁発生件数14を予測することも可能である。
【0060】
また、この実施形態では、前述のハザードモデル11から得られる推計値を別の方法で確認するために、マルコフモデルによる推計を実施している(ステップS5)。このマルコフモデルの基本的な考え方は、「ある状態にある集合が、時間の経過と共に異なる状態へと推移する際に、推移する以前の状態によってその後の状態が規定される」というものである。
【0061】
(代弁金額(回収率考慮前の損失額)の推計)
前記代弁金額推計ユニット17は、前記で構築したハザードモデル11および代弁発生件数14に基いて、回収率を考慮する前の代弁発生金額16を推計する機能を有する(ステップS6、S7)。
【0062】
この実施形態では、前記ハザードモデル11により求められる代弁発生件数(m)は、平均mのポアソン分布から生起したものと考える。一般に、「ある事象が起こる起こらないといった確率変数について、その生起確率の差が大きい場合は、ポアソン分布が仮定される」からである。
【0063】
このような考え方に基いて前記代弁金額推計ユニット17は具体的に手順を実行する。
【0064】
まず、シミュレーションの1回目として、上記ハザードモデル11で求められる経年毎の代弁発生件数mを平均値とするポアソン分布にしたがって発生させた乱数値m1をシミュレーション1回目の想定代弁発生件数とする(ステップS6)。
【0065】
次に、前記想定代弁発生件数m1分だけ母集団から債権をランダムに抽出する。その後抽出した債権の保証残高の合計額を代弁金額S1(回収率考慮前の損失金額)とする(ステップS7)。
【0066】
上記2つのステップを10000回繰り返すと、代弁発生件数{m1、m2、…、m10000}に対応する代弁金額(回収率考慮前の損失額)分布{S1、S2、…、S10000}を得ることができる。
【0067】
最後に、上記で得られた代弁金額分布の平均損失額(回収率考慮前)及び最大損失額が算出される。そして、これらの数値を前記代弁発生金額16として出力する(ステップS8)。
【0068】
(リスク計量ユニット)
リスク計量ユニット19は、前記代弁発生金額16に所定の回収率18を適用し、具体的に住宅ローン債権に対するリスク4(信用リスク及び信用コスト)を導出する機能を有する(ステップS10)。
【0069】
すなわち、実際の損失額を求めるには、回収率18を考慮する必要がある。このため、前記リスク計量ユニット19は、まず、この回収率18を推計する。
【0070】
ここで、回収率18の推計は、回収実績をもとに以下の2つの方法によって実行する。
【0071】
1995〜97年度に代弁となったローン債権について経過年数毎の回収率実績値...70%、
上記と同じデータ群からのシミュレーション値(10%抽出を10000回、99%タイル値)...65%
このようにして推計された回収率18はメモリに保持される。
【0072】
この実施形態では、上記のいずれか回収率の低い方を採用する。
【0073】
以上の過程により得られた推計値から、ローン管理に必要となるつぎの定義式により信用コスト量及び同率、信用リスク量及び同率を算出する。
(1)信用コスト量=回収率考慮前の平均損失額×損失率
(2)信用コスト率=信用コスト量÷期初保証残高
(3)信用リスク量=(回収率考慮前の最大損失額×損失率)
(4)信用リスク率=信用リスク量÷期初保証残高
但し、損失率=(1―回収率)
これにより各種リスク4(リスク値)を算出・出力することが可能である。
【0074】
そして、このようにして求められたリスク4は、前記基礎セグメント9の各セグメント毎に出力、格納されるようになっている。
【0075】
(ローン契約処理装置)
次に、このようにして求めたリスク4に基いて顧客に対する契約条件を提示するローン契約処理装置3について説明する。
【0076】
このローン契約処理装置3は、図10に示すように、ローン契約を行おうとする顧客の属する審査セグメント50を決定する審査セグメント決定部51と、この審査セグメント50に前記リスク計量装置2で求めたリスク4を適用することで、前記顧客毎の返済能力53を決定する顧客返済能力決定部52と、顧客の返済能力53を前記ローン設定条件決定ルール5に適用することでローン設定条件6を決定し当該顧客に提示するローン設定条件提示部56とからなる。これらの各構成要件も、実際には、コンピュータシステムの例えばハードディスク等の記憶媒体に格納されたコンピュータソフトウエアプログラムであり、図示しないCPUによってRAM上に展開され実行されることでこの発明の実施形態としての機能を発揮する。
【0077】
まず、審査セグメント50の考え方について説明する。
【0078】
前記リスク計量装置2では、基礎セグメント9として10個のセグメントからなるもの(図4に示すツリー20)を採用した。これを顧客属性や申込案件内容(案件属性)により細分化し、「審査マトリクス」の基となる審査セグメントを作成する。なお、審査マトリクスは、顧客の返済能力をデフォルト率で表現したものである。
【0079】
具体的には、前記基礎セグメント9の9つのセグメント(「肩代り」を除く)に、図11(a)に示すように、「職業の安定度(3区分)」「元金ボーナス返済比率(2区分)」「購入物件(2区分)」「自己資金比率(2区分)」「年収倍率(2区分)」「返済比率(2区分)」の6つの説明要因を追加し、それぞれのセグメントを96(=3×2×2×2×2×2)のサブセグメントに分けた。したがって、新規案件は864(=9×96)個のセグメントに分割され、各々のセグメントについてデフォルト率が推定可能となる。ここで、上記96のセグメントを審査セグメントと称している。
【0080】
具体的には、顧客から住宅ローンの新規申込があった場合(図10に示すステップS11)、前記審査セグメント決定部51は、顧客毎の説明要因を調査し、当該顧客が前記96のセグメント(審査セグメント50)のいずれに属するかを判断する。そして、前記顧客返済能力決定部52が、この顧客が属するセグメントのデフォルト率に前記リスク計量装置2で求めた基礎セグメント9のセグメント間のリスク比(リスク4)を掛け合わせることで、顧客毎のデフォルト値を算定する。
【0081】
なお、肩代り案件の場合には、図11(b)に示すように、「職業タイプ(2区分)」「自己資金比率(2区分)」「調達金額(3区分)」「返済比率(2区分)」「元金ボーナス返済比率(2区分)」の5つの説明要因にて48(=2×2×3×2×2)セグメントに分割する。但し、肩代りは1つの基礎セグメント9であるから、新規案件と異なり基礎セグメント9のリスク比を乗ずるステップは必要ない。
【0082】
以上により出力された顧客の属性に基いて、そのデフォルト値、すなわち顧客毎の返済能力53を得ることができる(ステップS12)。ここで、前記顧客返済能力決定部52は、返済能力53として、顧客毎の具体的なデフォルト値の他、当該顧客が前記864(96×9)のいずれのセグメントに属するかを出力する。
【0083】
ついで、前記ローン設定条件提示部56は、前記顧客が属するセグメントに関連付けられたローン設定条件決定ルール5を取り出し(ステップS13)、この顧客に対するローン設定条件6として、例えば顧客相談窓口の端末上に提示する(ステップS14)。
【0084】
ここで、ローン設定条件決定ルール5には、前記864の審査セグメントに関連付けられた状態で、緩和された担保掛目58及び優遇された適用金利59が格納されている。すなわち、前記審査セグメント50と基礎セグメント9とにより新規案件に対する顧客毎のリスク4が具体的にわかるため、担保掛目58を緩和することや、金利を優遇することで顧客の拡大を図ることができる。
【0085】
また、このことにより、顧客に対して迅速な対応ができ、顧客取り込みの機会を逃すことが少なくなる。
【0086】
なお、ここで、上記一実施形態で用いた用語のうち、「デフォルト」及び「信用コスト」の意義を説明しておく。
【0087】
(デフォルト)
デフォルト発生をどの時点で認識するかについては、住宅ローン等の場合、延滞1回から代弁まで様々な段階を想定し得る。例えば、延滞時や代弁時などが考えられる。
【0088】
さらに、デフォルトは時間を考慮しない場合の累積デフォルト率なのか、時間を考慮したものなのか(ハザード率、生存時間分析等)など分析枠組みに応じて使い分ける必要もある。
【0089】
この実施形態では、代弁時をもってデフォルトとしている。また、代弁率は年度期初債権数に対する代弁件数の割合とし、上記によれば、時間を考慮したデフォルト率にあたる。
【0090】
(ローン信用リスク)
信用リスクは、「約束通り元利金が支払われる確実性(債務履行の確実性)の程度」のことであり、この確実性は、▲1▼顧客(債務者)の総債務の「経常的な元利支払能力」の程度と、▲2▼デフォルト時の回収可能性、つまり「最終的な弁済能力」の2つの側面から評価することが必要であり、ローンの信用リスク計量化においても同様である。
【0091】
さらに前者の「経常的な元利支払能力」は顧客(債務者)のキャッシュインとキャッシュアウトの相対的な大きさと安定性により決定される。ただし、ローン信用リスクを、個々の顧客(債務者)のキャッシュインとキャッシュアウトの実数で継続的に把握することは困難である。このため、この実施形態のローン信用リスク計量化においては、申込時の顧客(債務者)属性によるライフスタイルの相違や借入状況等から、デフォルトの可能性を確率的に評価することになる。
【0092】
一方、後者の「最終的な弁済能力」は、顧客(債務者)の(純)資産にかかわる部分である。つまり、当該ローンの担保物件のみならず、その他の金融資産や不動産等、過去に創出されたキャッシュフローに基づく蓄積がこれに含まれる。ただし、第一義的には担保物権の処分による弁済能力と考えられる。
【0093】
なお、この発明は上記一実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を変更しない範囲で種々変形可能である。
【0094】
例えば、上記一実施形態では、ローンとして住宅ローンを例にとって説明したが、これに限定されるものではない。他の種類のローン若しくは融資に適用することも可能である。
【0095】
【発明の効果】
以上説明したように、この発明によれば、第1に、コンピュータシステムを利用し、個人ローンのリスク計量を行え、これを管理することができる効果がある。
【0096】
また、第2に、より簡単な処理手順で個人ローンの特性に応じて適切なリスク管理を行える効果がある。
【0097】
第3に、より簡単な処理手順で経済環境の変化に応じた適切なリスク管理を行える効果がある。
【0098】
第4に、デフォルト件数の実績が少ない場合であっても、より簡単な処理手順で個人ローンの特性に応じたリスク管理を行える効果がある。
【0099】
第5に、ローン契約の処理の審査を標準化してシステマティックに契約審査を行うことで、顧客の利便性を向上させ、事務コストを削減できる効果がある。
【0100】
第6に、ローン商品の開発に際して、デフォルト実績がない場合においても、デフォルト特性等の推計が可能となるため、プライシング等を合理的に行え、より具体的な商品設計を行える効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施形態に係るシステムの概略構成図。
【図2】同じく、リスク計量装置の概略構成図。
【図3】同じく、リスク計量化の体系を示すフローチャート。
【図4】同じく、基礎セグメント判別ツリーを示す概念図。
【図5】同じく、資金使途別の経過年数別代弁発生件数を示すグラフ 。
【図6】同じく、ハザードモデルを説明するための仮想例を示す表。
【図7】同じく、ハザードモデルを説明するためのチャート。
【図8】同じく、ハザードモデルの構築を説明するための説明図。
【図9】同じく、経済環境変数と代弁率との関係を示すチャート。
【図10】同じく、ローン契約処理装置を示す概略構成図。
【図11】同じく、審査セグメントの推計における説明要因を説明するための説明図。
【符号の説明】
2...リスク計量装置
3...ローン契約処理装置
4...リスク
5...ローン設定条件決定ルール
6...ローン設定条件
8...住宅ローンの取扱実績情報
9...基礎セグメント
10...基礎セグメント設定ユニット
11...ハザードモデル
12...経済環境変数
13...分析対象の住宅ローン取扱情報
14...代弁発生件数
15...代弁発生件数推計ユニット
16...代弁金額
17...代弁金額推計ユニット
18...回収率
19...リスク計量ユニット
20...基礎セグメント判別ツリー
40...基準ハザード曲線
41...基礎セグメント毎のハザード曲線
42...経済環境を考慮したハザード曲線
50...審査セグメント
51...審査セグメント決定部
52...顧客返済能力決定部
53...返済能力
56...ローン設定条件提示部
58...担保掛目
59...適用金利

Claims (2)

  1. コンピュータが、金融機関におけるローンを管理するために分析対象のローン債権のリスク量を決定し、これに基づいてローン申込に係る顧客のデフォルト値を推定して出力するローン管理システムであって、
    分析対象のローン債権について、過去の取扱件数、取扱金額及びデフォルト実績を含むローン債権取扱実績情報をコンピュータの記憶媒体に格納する取扱実績格納部と、
    前記ローン債権取扱実績の情報に基づいて作成され分析対象のローン債権を所定の複数の基礎セグメントに分類するための判別ツリーをコンピュータの記憶媒体に格納する基礎セグメント格納部と、
    コンピュータが、分析対象のローン債権について、前記取扱実績格納部に格納された返済実績及びデフォルト実績に基いて、当該ローン債権の前記基礎セグメント毎の経過年数毎の瞬間死亡率を代位弁済発生率として算出し、これと前記取扱実績格納部に格納された取扱件数とから、債権の経過年数毎の代位弁済発生件数を算出する代位弁済発生件数推計手段と、
    コンピュータが、前記判別ツリーによって分類される基礎セグメント毎に、前記代位弁済発生件数推計手段により得られたローン経年数毎の代位弁済発生件数をポアソン分布の平均値と仮定して、当該ポアソン分布に従って発生させた乱数値を想定代位弁済発生件数とすると共に、上記ローン債権の取扱金額に基づいて前記想定代位弁済発生件数に対応する代位弁済発生金額を算出し、この算出をモンテカルロシミュレーションにより多数回繰り返して代位弁済発生金額の分布を得て、少なくともこの分布の平均額及び最大額を代位弁済発生金額として出力する代位弁済発生金額推計手段と、
    コンピュータが、前記代位弁済発生金額推計手段により算出された代位弁済発生金額に所定値の回収率を適用することで、前記判別ツリーによって分類される基礎セグメント毎に、ローン管理に必要となる所定の信用リスク量(信用コスト量、信用コスト率、信用リスク量、信用リスク率)を出力するリスク量計量手段と、
    コンピュータが、ローン申込を行った顧客の属性を、前記判別ツリーによって分類される基礎セグメントに基づいて決定された審査セグメントのうちの1つに分類し、この審査セグメントに上記基礎セグメント毎のリスク量を適用してこの審査セグメントのリスク量を算出することで、当該審査セグメントのリスク量を当該ローン申込に係る顧客の返済能力値として出力する顧客返済能力決定手段と
    を有することを特徴とするローン管理システム。
  2. コンピュータが、金融機関におけるローンを管理するために分析対象のローン債権のリスク量を決定し、これに基づいてローン申込に係る顧客のデフォルト値を推定して出力するローン管理方法であって、
    前記コンピュータは、
    分析対象のローン債権について、過去の取扱件数、取扱金額及びデフォルト実績を含むローン債権取扱実績情報をコンピュータの記憶媒体に格納する取扱実績格納部と、
    前記ローン債権取扱実績の情報に基づいて作成され分析対象のローン債権を所定の複数の基礎セグメントに分類するための判別ツリーをコンピュータの記憶媒体に格納する基礎セグメント格納部と
    を有するものであり、
    この方法は、
    コンピュータが、分析対象のローン債権について、前記取扱実績格納部に格納された返済実績及びデフォルト実績に基いて、当該ローン債権の前記基礎セグメント毎の経過年数毎の瞬間死亡率を代位弁済発生率として算出し、これと前記取扱実績格納部に格納された取扱件数とから、債権の経過年数毎の代位弁済発生件数を算出する代位弁済発生件数推計工程と、
    コンピュータが、前記判別ツリーによって分類される基礎セグメント毎に、前記代位弁済発生件数推計工程により得られたローン経年数毎の代位弁済件数をポアソン分布の平均値と仮定して、当該ポアソン分布に従って発生させた乱数値を想定代位弁済発生件数とすると共に、上記ローン債権の取扱金額に基づいて前記想定代位弁済発生件数に対応する代位弁済発生金額を算出し、この算出をモンテカルロシミュレーションにより多数回繰り返して代位弁済発生金額の分布を得て、少なくともこの分布の平均額及び最大額を代位弁済発生金額として出力する代位弁済発生金額推計工程と、
    コンピュータが、前記代位弁済発生金額推計工程により算出された代位弁済発生金額に所定値の回収率を適用することで、基礎セグメント毎に、ローン管理に必要となる所定の信用リスク量(信用コスト量、信用コスト率、信用リスク量、信用リスク率)を出力するリスク計量工程と、
    コンピュータが、ローン申込を行った顧客の属性を、前記判別ツリーによって分類される基礎セグメントに基づいて決定された審査セグメントのうちの1つに分類し、これに、この審査セグメントに上記基礎セグメント毎のリスク量を適用してこの審査セグメントのリスク量を算出することで、当該審査セグメントのリスク量を当該ローン申込に係る顧客の返済能力値として出力する顧客返済能力決定工程と
    を有することを特徴とするローン管理方法。
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