JP4605773B2 - 含金属スクアリリウム化合物及び該化合物を用いた光学記録媒体 - Google Patents

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Description

本発明は含金属スクアリリウム化合物及び該化合物を用いた光学記録媒体に関するものであり、より詳しくは波長350nm〜530nmの記録光、特に405nmの青色レーザー光を用いて情報を記録及び/または再生するのに適した追記型の光学記録媒体に関する。
従来、光学的に情報の記録・再生を行う記録媒体としては、光磁気記録媒体、相変化記録媒体、カルコゲン酸化物などが提案されているが、これらの中でもレーザーにより一回限りの情報の記録が可能な追記型の光学記録媒体としてCD−Rがコスト的に安価でかつ製造プロセスも容易であることから量産化され広く用いられている。記録容量は0.65GB程度で、情報量の飛躍的増加に伴って、より高密度で大容量の光学記録媒体への要求が高まっている。
上記CD−Rの記録再生には、従来、近赤外域レーザーの波長(通常は780nm)が用いられているが、近年、短波長(680nm)の赤色半導体レーザーを用いる高密度の大容量記録を実現した有機色素系光学記録媒体(DVD−R)も開発され、実用化されている。さらに、より短波長(350〜530nm)を有する青色半導体レーザーを用いた高密度の記録再生が可能な光学記録媒体が要望されている。
ところで、一般的な追記型光学記録媒体は、透明な円盤状基板上に、順次、有機色素からなる記録層、金や銀などの金属ならなる光反射層及び樹脂製の保護層を積層させて構成される。情報の書き込み(記録)時は、記録層にレーザー光を照射して行われ、記録層がその光を吸収して局所的に温度上昇し、物理的あるいは化学的変化(例えば、ピットの生成)が生じ、その光学的な特性変化を利用して情報が記録される。一方、情報の読み取り(再生)もまた記録用のレーザーと同じ波長のレーザーを照射することにより行われ、記録層の光学的特性が変化した部位(記録部分)と変化しない部位(未記録部分)との反射率の違いを検出することにより情報が再生される。良好なピットを形成・検出するためには、記録層に使用される色素は、使用するレーザー光の波長において高い吸光度を示すことが要求される。
特許文献1には、有機色素を含む記録層を有する光学記録媒体において、記録層側から波長530nm以下のレーザー光を照射することにより、情報の記録及び再生を行う記録再生方法が開示されている。また、光学記録媒体において用いられる具体的な有機色素としては、シアニン系色素(特許文献2)、ピリドンアゾ骨格を有する色素(特許文献3)、ジシアノビニルフェニル骨格を有する色素(特許文献4)、クマリン化合物(特許文献5)、アゾ金属キレート色素(特許文献6)等が提案されている。
一般に、光学記録媒体の記録層に適した色素としては、使用する青色レーザー光の波長に対する光学的性質や分解挙動が良好であると同時に、色素を溶剤に溶解し、溶液を基板に塗布・乾燥して記録層を構成する際の溶媒に対する溶解性が要求され、上記色素では一長一短があり、これらの特性を十分に満足する色素が要望されていた。
また、特許文献7、特許文献8には、スクアリリウム系色素が提案されているが、吸収波長が530〜600nmにあり、青色レーザー光の波長領域ではないため不適切であった。
特開平4−074690号公報 特開平11−053758号公報 特開平11−334204号公報 特開平11−334206号公報 特開2000−043423号公報 特開2001−158862号公報 特開2004−264805号公報 特開2004−258514号公報
本発明の目的は、青色半導体レーザーで記録再生可能な350〜530nmの波長領域に高い光吸収特性を有し、かつ熱分解挙動及び溶媒に対する溶解性に優れ、耐光性と耐久性に優れた含金属スクアリリウム化合物及び該化合物を用いた光学記録媒体を提供することにある。
本発明者らは、鋭意検討を行った結果、特定の含金属スクアリリウム化合物が350〜530nmの領域に高い光吸収を有し、かつ、熱分解挙動及び溶媒に対する溶解性に優れ、耐光性と耐久性に優れ、光学記録媒体の記録層として有用であることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、下記一般式(A)で示されるスクアリリウム化合物と金属塩または金属イオンからなることを特徴とする含金属スクアリリウム化合物である。
Figure 0004605773
一般式(A)中、R1は水酸基、アミノ基、スルホンアミド基を表し、R2、R3、R4、R5は各々独立して、水素原子、ハロゲン原子、もしくはシアノ基、ニトロ基、スルホ基、又は置換されていてもよい直鎖又は分岐のアルキル基、アルケニル基、アルコキシ基、アリール基、ヘテロ環、アシル基、もしくはアルコキシカルボニル基を示し、R6、R7は各々独立して、水素原子、水酸基、スルホ基、又は置換されていてもよい直鎖又は分岐のアルキル基、ハロゲン化アルキル基、シアノアルキル基、アルコキシ基、フェニルアルキル基、アルキルスルホン酸基を表す(ただし、R6とR7、R4とR6及びR5とR7は連結して環を形成してもよい)。
また、本発明は上記一般式(A)に表される含金属スクアリリウム化合物において、前記金属がNi、Co、Zn、Cu、Pt、Ti、Al、V、Mn、Fe、Mo、W、Sn、Ru、Cr、Pbから成る群から選択された少なくとも1種の金属であることを特徴とする含金属スクアリリウム化合物である。
また、本発明は、基板上に、レーザー光による情報の書き込み及び/または読みとりが可能な記録層が形成された光学記録媒体において、該記録層が上記含金属スクアリリウム化合物を少なくとも1種含有することを特徴とする光学記録媒体である。
また、本発明は、波長350nm〜530nmの波長領域から選ばれたレーザー光により情報の記録及び/または再生する上記含金属スクアリリウム化合物を少なくとも1種含有することを特徴とする光学記録媒体である。
本発明の含金属スクアリリウム化合物では、金属は金属イオンとして1又は2以上のスクアリリウム分子と結合して錯体として存在していても、金属塩として1又は2以上のスクアリリウム分子と相互作用を互いに及ぼして弱い結合を形成していても良い。
錯体の場合の配位数は、金属の種類やスクアリリウム化合物の置換基などによって変化する。
本発明は、一般式(A)で示されるスクアリリウム化合物と金属塩または金属イオンからなることを特徴とする含金属スクアリリウム化合物であり、これらの特定の含金属スクアリリウム化合物は350〜530nmの領域に良好な光吸収を有し、かつ、熱分解挙動及び溶媒に対する溶解性に優れ、耐光性と耐久性に優れ、光学記録媒体の記録層として有用であり、更に記録層を形成する光学記録媒体として最適である。
以下、本発明の含金属スクアリリウム化合物について詳細に説明する。
本発明の含金属スクアリリウム化合物は一般式(A)で示されるスクアリリウム化合物と金属塩または金属イオンからなる化合物である。
一般式(A)において、R1は、水酸基、アミノ基、スルホンアミド基を表す。
スルホンアミド基は−NHSO2Xで示されるが、このうちXは、置換または未置換の直鎖または分岐アルキル基、置換または未置換の不飽和炭化水素、置換または未置換の芳香環を表し、特にフッ素原子で置換されている炭素数1〜6の直鎖または分岐のアルキル基が好ましい。
具体的にはトリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、ヘプタフルオロプロピル基等の炭素数1〜6のペルフルオロアルキル基、2、2、2−トリフルオロエチル基、3、3、3−トリフルオロプロピル基、2、2、3、3、3−ペンタフルオロプロピル基などの合計の炭素数が2〜6のペルフルオロアルキル基で置換されたアルキル基等である。−CF2CF3、−CH2CF3、−CF3が特に好ましい。
一般式(A)において、R2、R3、R4、R5は各々独立して、水素原子、ハロゲン原子、もしくはシアノ基、ニトロ基、スルホ基、又は置換されていてもよい直鎖又は分岐のアルキル基、アルケニル基、アルコキシ基、アリール基、ヘテロ環、アシル基、もしくはアルコキシカルボニル基である。
上記ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子があげられ、好ましくはフッ素原子である。
上記置換されてもよい直鎖又は分岐のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基、sec−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−デシル基、n−ドデシル基、n−オクタデシル基等の炭素数1〜20の直鎖または分岐のアルキル基があげられ、好ましくは炭素数1〜6の直鎖または分岐のアルキル基である。
上記アルケニル基としては、ビニル、アリル、1−プロペニル、2−ペンテニル、1,3−ブタジエニル、2−オクテニル、3−ドデセニル基等の炭素数2〜20の直鎖又は分岐のアルケニル基があげられ、好ましくは炭素数3〜6の直鎖または分岐のアルケニル基である。
上記アルコキシ基としては、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、2ーメトキシエトキシ、ペンチルオキシ、ヘキシルオキシ、オクチルオキシ、デシルオキシ基、メトキシメチル基、メトキシエチル基、メトキシプロピル基、メトキシブチル基、メトキシヘキシル基、メトキシオクチル基、エトキシエチル基、エトキシエチル基、エトキシプロピル基、エトキシブチル基、エトキシヘキシル基、エトキシオクチル基、プロポキシメチル基、プロポキシプロピル基、プロポキシヘキシル基、ブトキシエチル基等の炭素数1〜20の直鎖又は分岐のアルコキシ基があげられ、好ましくは炭素数1〜6の直鎖または分岐のアルコキシ基である。
上記アリール基としては、フェニル基、トリル基、キシリル基、メシチル基、クメニル基、ナフチル基などの炭素数6〜18のアリール基があげられ、好ましくは炭素数6〜12の置換または未置換のアリール基である。
上記ヘテロ環としては、例えば、フラン環、ピロール環、チオフェン環、カルバゾール環、ピリジン環、キノリン環、イソキノリン環、アクリジン環、ピリミジン環、ピラジン環、フェナジン環、イミダゾール環、トリアゾール環、オキサゾール環、チアゾール環、チアジアゾール環、オキサジアゾール環等があげられる。
上記アシル基としては、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、イソブチリル基、バレリル基、イソバレリル基等の炭素数2〜18の直鎖又は分岐のアルケニル基があげられ、好ましくは炭素数3〜9の直鎖または分岐のアシル基である。
上記アルコキシカルボニル基としては、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、プロポキシカルボニル基、イソプロポキシカルボニル基、ブトキシカルボニル基、2−メトキシエトキシカルボニル基、ペンチルオキシカルボニル基、ヘキシルオキシカルボニル基、オクチルオキシカルボニル基、ウンデシルオキシカルボニル基、ドデシルオキシカルボニル基、ヘキサデシルオキシカルボニル基、オクタデシルオキシカルボニル基等の炭素数2〜18の直鎖又は分岐のアルコキシカルボニル基があげられ、好ましくは炭素数2〜8の直鎖または分岐のアルコキシカルボニル基である。
一般式(A)において、R6、R7は各々独立して、水素原子、水酸基、スルホ基、又は置換されていてもよい直鎖又は分岐のアルキル基、ハロゲン化アルキル基、シアノアルキル基、アルコキシ基、フェニルアルキル基、アルキルスルホン酸基を表す(ただし、R6とR7、R4とR6及びR5とR7は連結して環を形成してもよい)。
上記ハロゲン化アルキル基は下記一般式(B)で表される。
−Cnm2n+1-m (B)
(式中、Xはハロゲン原子を示し、nは1〜12の自然数、mは1〜25の自然数を示す。)
上記ハロゲン化アルキル基において、炭素数は1〜12の直鎖または分岐のハロゲン化アルキル基である。炭素数が12個を越えると、スクアリリウム化合物の質量吸光係数が低下してしまう場合がある。ハロゲン化アルキル基のハロゲン原子としては特に限定はないが、スクアリリウム化合物の耐熱性、耐光性を向上させる効果に優れる点から、特にフッ素原子、すなわちフッ化アルキル基が好ましい。
上記フッ化アルキル基としては、トリフルオロメチル基、2,2,2−トリフルオロエチル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基、4,4,4−トリフルオロブチル基、5,5,5−トリフルオロペンチル基、6,6,6−トリフルオロヘキシル基、8,8,8−トリフルオロオクチル基、2−メチル−3,3,3−トリフルオロプロピル基、ペルフルオロエチル基、ペルフルオロプロピル基、ペルフルオロブチル基、ペルフルオロヘキシル基、ペルフルオロオクチル基、2−トリフルオロメチル−ペルフルオロプロピル基等があげられる。
上記シアノアルキル基としては特に限定はないが、炭素数1〜10の直鎖または分岐のシアノアルキル基であることが好ましく、置換されているシアノ基の数は、1〜3個が好ましい。特に好ましくは、プロピオニトリル基、ブチロニトリル基、ペンチルニトリル基、1−メチルプロピオニトリル基、1−メチルブチロニトリル基等があげられる。
上記アルコキシ基としては、例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、2ーメトキシエトキシ、ペンチルオキシ、ヘキシルオキシ、オクチルオキシ、デシルオキシ基、メトキシメチル基、メトキシエチル基、メトキシプロピル基、メトキシブチル基、メトキシヘキシル基、メトキシオクチル基、エトキシエチル基、エトキシエチル基、エトキシプロピル基、エトキシブチル基、エトキシヘキシル基、エトキシオクチル基、プロポキシメチル基、プロポキシプロピル基、プロポキシヘキシル基、ブトキシエチル基等の炭素数1〜18の直鎖又は分岐のアルコキシ基があげられ、好ましくは炭素数3〜9である。
上記フェニルアルキル基としては、アルキル基の炭素数が1〜8のものが好ましく、また、フェニル基は置換基を有してもよく、アルキル基、水酸基、スルホン酸基、アルキルスルホン酸基、ニトロ基、アミノ基、アルコキシ基、ハロゲン化アルキル基及びハロゲンからなる群から少なくとも1種の置換基を有してもよい。また、フェニルアルキル基として、ベンジル基、フェネチル基、フェニルプロピル基、フェニル−α−メチルプロピル基、フェニル−β−メチルプロピル基、フェニルブチル基、フェニルペンチル基等があげられる。
上記アルキルスルホン酸基としては、特に限定はないが、炭素数1〜6個のアルキルスルホン酸基が好ましい。具体例としては、メチルスルホン酸基、エチルスルホン酸基、プロピルスルホン酸基等が挙げられる。
上記R6とR7、R4とR6及びR5とR7は連結して環を形成してもよく、R6とR7が窒素原子と共に形成するピペリジン環、ピロリジン環、モルホリン環、または、R4とR6が窒素原子と共に形成するテトラヒドロキノリン環、テトラヒドロインドール環、または、R4とR6及びR5とR7が窒素原子と共に形成するジュロリジン環等が挙げられる。これらの環はさらに置換基を有していても良い。
以下に、本発明における含金属スクアリリウム化合物の好ましい具体例(化合物(1)〜(36))を挙げるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
Figure 0004605773
Figure 0004605773
Figure 0004605773

本発明において、スクアリリウム化合物との錯体を生成させる金属塩としては、錯体を形成する各種の金属塩を用いることができるが、Ni、Co、Zn、Cu、Pt、Ti、Al、V、Mn、Fe、Mo、W、Sn、Ru、Cr、Pbの塩が好ましく、各種溶媒への溶解度や耐光性、耐久性の点から特にNi、Zn、Co、Ti塩が好ましい。
本発明の含金属スクアリリウム化合物は、下記一般式(C)のスクアリン酸ジクロライドを公知の方法により合成し、例えば一般式(D)で示されるアニリン化合物と反応させることにより得られるスクアリリウム化合物に、メタノール、テトラヒドロフラン、アセトン、ジオキサン、DMFなどの有機溶媒中で金属塩化合物を反応させることにより得られる。
Figure 0004605773
Figure 0004605773
式中、R2〜R7は一般式(A)と同じ。
本発明の光情報記録媒体は、基板上に前記本発明における一般式(A)で示される含金属スクアリリウム化合物を少なくとも1種含有する記録層を有し、異なる2種以上の含金属スクアリリウム化合物を含有させてもよい。
また、本発明の含金属スクアリリウム化合物は、J型会合体またはH型会合体を形成してもよい。
一般式(A)で示される含金属スクアリリウム化合物は、350nm〜530nmという短い波長領域に、レーザー光による記録再生に適した強度の吸収を有しているため、短波長レーザーによる記録再生用光学記録媒体に使用する化合物として極めて有用である。
本発明の光情報記録媒体の好ましい構成としては、一定のトラックピッチのプレグルーブが形成された円盤状基板上に、順次、記録層、光反射層および保護層を形成させた構成、該基板上に、順次、光反射層、記録層 および保護層を形成させた構成、または、一定のトラックピッチのプレグルーブが形成された透明な円盤状基板上に、順次、記録層および光反射層が形成されてなる二枚の積層体を、記録層が各々内向するように接合された構成などがあげられる。以下に、光学記録媒体について詳細に説明する。
本発明の光学記録媒体における基板の材質は、従来の光情報記録媒体の基板として用いられている各種の材料から任意に選択することができる。基板材料としては、例えばガラス、ポリカーボネート樹脂、ポリメチルメタクリレート等のアクリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、塩化ビニル共重合体等の塩化ビニル系樹脂、エポキシ樹脂、アモルファスポリオレフィン樹脂およびポリエステル樹脂などを挙げることができ、上記材料の中では、耐湿性、寸法安定性および価格などの点から射出成型ポリカーボネートが好ましい。記録層に接して樹脂基板または樹脂層を設け、その樹脂基板または樹脂層上に記録再生光の案内溝やピットを有していてもよい。案内溝がスパイラル状の場合、この溝ピッチが0.5〜1.2μm程度であることが好ましい。
記録層の形成は、真空蒸着法、スパッタリング法、CVD法等の気相法やドクターブレード法、キャスト法、スピンコート法、浸漬法等の液相法など一般に行われている薄膜形成方法によって行うことができるが、量産性、コスト面からスピンコート法が好ましい。
液相法の溶媒としては、基板を侵さない溶媒であればよく、特に限定されない。例えば、酢酸ブチル、乳酸エチル、セロソルブアセテートなどのエステル;メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、メチルイソブチルケトンなどのケトン;ジクロルメタン、1,2−ジクロルエタン、クロロホルムなどの塩素化炭化水素;ジメチルホルムアミドなどのアミド;メチルシクロヘキサンなどの炭化水素;ジブチルエーテル、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサンなどのエーテル;エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、ジアセトンアルコールなどのアルコール;2,2,3,3−テトラフルオロプロパノールなどのフッ素系溶剤;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルなどのグリコールエーテル類などを挙げることができる。上記溶媒は使用する化合物の溶解性を考慮して単独で、あるいは二種以上を組み合わせて使用することができる。
記録層の層厚は一般に20〜500nmの範囲であり、好ましくは30〜300nmの範囲であり、より好ましくは50〜150nmの範囲である。
また、記録層は、記録層の耐光性を向上させるために、一重項酸素クエンチャーを用いても良い。一重項クエンチャーとして、アセチルアセトナートキレート、ビスフェニルジチオール、サリチルアルデヒドオキシム、ビスジチオ−α-ジケトン等の遷移金属キレート錯体や、芳香族ニトロソ化合物、アミニウム化合物、イミニウム化合物、ビスイミニウム化合物等が挙げられる。
記録層の上には、光反射層を形成してもよく、その膜厚は好ましくは、厚さ50〜300nmである。光反射層の材料としては、再生光の波長で反射率の十分高いもの、例えば、Au、Al、Ag、Cu、Ti、Cr、Ni、Pt、Ta、及びPdの金属を単独あるいは合金にして用いることが可能である。この中でもAu、Al、Agは反射率が高く反射層の材料として適している。反射層は、例えば、上記光反射性物質を蒸着、スパッタリングまたはイオンプレーティングすることにより基板若しくは記録層の上に形成することができる。光反射層の層厚は、一般的には10〜300nmの範囲であり、好ましくは50〜200nmの範囲である。
反射層の上に形成する保護層の材料としては、反射層を外力から保護するものであれば特に限定されない。具体的には、有機系材料としては、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、電子線硬化性樹脂、UV硬化性樹脂等を挙げることができる。また、無機系材料としては、SiO2、Si3N4、MgF2、SnO2等が挙げられる。
熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂を用いた保護層は、該樹脂を適当な溶剤に溶解した塗布液を、記録層または光反射層を形成した基板表面に塗布し、乾燥することによって形成することができる。
UV硬化性樹脂を用いた保護層は、該樹脂単独もしくは適当な溶剤に溶解した塗布液を記録層または光反射層を形成させた基板表面に塗布し、UV光を照射して硬化させることによって形成することができる。UV硬化性樹脂としては、例えば、ウレタンアクリレート、エポキシアクリレート、ポリエステルアクリレートなどのアクリレート系樹脂を用いることができる。これらの材料は単独ないしは混合して用いてもよいし、1層または多層膜を形成させてもよい。
保護層の形成方法としては、記録層と同様にスピンコート法やキャスト法等の塗布法やスパッタ法や化学蒸着法等の方法が用いられるが、この中でもスピンコート法が好ましい。保護層の膜厚は、一般に0.1〜100μmの範囲であるが、本発明においては、3〜30μmが好ましい。
本発明の光学記録媒体について使用されるレーザー光は、高密度記録が可能な短い波長領域が選ばれるが、好ましくは350〜430nmの発振波長を有する青紫色半導体レーザー光が、より好ましくは390〜420nmの発振波長を有する青紫色半導体レーザー光が用いられる。
本発明の光学記録媒体への記録は、基板の両面または片面に設けられた記録層に0.4〜0.6μm程度に集束させたレーザー光を照射することにより行われる。レーザー光の照射された部分には、レーザー光エネルギーの吸収による、分解、発熱、溶解等の記録層の熱的変形が起こり、光学特性が変化し、記録ピットが形成される。記録された情報は、再生用レーザー光を照射させて、記録層の光学的特性が変化した部位(記録部分)と変化しない部位(未記録部分)との反射率の違いを検出することにより再生される。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれら実施例によって限定されるものではない。なお、実施例中、「部」は「質量部」を表す。
(実施例1)
(1)冷却管を付けた三ッ口フラスコに3,4−ジクロロ−3−シクロブテン−1,2−ジオン5.0部と、N-メチル−N-ブチルアニリン4.6部を入れ、そこに脱水トルエン80部を加え、24時間室温にて撹拌した。反応終了後、NaHCO3水溶液で洗浄、トルエンにより抽出し溶媒を減圧留去した。得られた固体を減圧ろ過にて濾取し、ヘキサン洗浄後、減圧乾燥して3−クロロ−4−〔4−(N-メチル−N-ブチルアミノ)フェニル〕3−シクロブテン−1,2−ジオン5.5部を得た。
(2)冷却管を付けた三ッ口フラスコに、3−クロロ−4−〔4−(N-メチル−N-ブチルアミノ)フェニル〕3−シクロブテン−1,2−ジオン5.5部と酢酸:水=4:1混合溶液50部を入れ、100℃にて5時間加熱撹拌した。反応後、室温まで冷却し、析出した固体を減圧ろ過にて濾取した。水で洗浄後、減圧乾燥して化合物(3)である3−ヒドロキシ−4−〔4−(N-メチル−N-ブチルアミノ)フェニル〕3−シクロブテン−1,2−ジオン4.1部を得た。
(3)冷却管を付けた三ッ口フラスコに、3−ヒドロキシ−4−〔4−(N-メチル−N-ブチルアミノ)フェニル〕3−シクロブテン−1,2−ジオン4.1部と酢酸ニッケル・4水和物4.0部を入れ、そこにTHF100部を入れ、60℃にて4時間加熱撹拌した。反応後、室温まで冷却し、析出した固体を減圧ろ過にて濾取した。水で洗浄後、減圧乾燥して3−ヒドロキシ−4−〔4−(N-メチル−N-ブチルアミノ)フェニル〕3−シクロブテン−1,2−ジオン−ニッケル錯体8.3部を得た。
(実施例2〜6)
実施例1で用いたN-メチル−N-ブチルアニリン5.0部に代えて、同じモル数の表1に示した化合物、及び各種金属塩を用いた以外は、実施例1と同様にして表1に記載の含金属スクアリリウム化合物を得た。
(実施例7)
(1)冷却管を付けた三ッ口フラスコに、N,N−ジエチルアニリンを出発原料として、実施例1と同様の操作によって得た3−クロロ−4−〔4−(N,N-ジエチルアミノ)フェニル〕3−シクロブテン−1,2−ジオン4.3部と2Mアンモニア−メタノール溶液50部を入れ、40℃にて8時間加熱撹拌した。反応後、室温まで冷却し、析出した固体を減圧ろ過にて濾取した。水で洗浄後、減圧乾燥して化合物(22)である3−アミノ−4−〔4−(N,N-ジエチルアミノ)フェニル〕3−シクロブテン−1,2−ジオン2.5部を得た。
(2)冷却管を付けた三ッ口フラスコに、3−アミノ−4−〔4−(N,N−ジエチルアミノ)フェニル〕3−シクロブテン−1,2−ジオン2.5部と酢酸亜鉛・2水和物2.2部を入れ、そこにTHF100部を入れ、60℃にて4時間加熱撹拌した。反応後、室温まで冷却し、析出した固体を減圧ろ過にて濾取した。水で洗浄後、減圧乾燥して3−アミノ−4−〔4−(N,N-ジエチルアミノ)フェニル〕3−シクロブテン−1,2−ジオン−亜鉛錯体4.7部を得た。
(実施例8)
実施例7でN,N−ジエチルアニリンを出発原料として用いた3−クロロ−4−〔4−(N,N-ジエチルアミノ)フェニル〕3−シクロブテン−1,2−ジオン4.3部に代えて、同じモル数の表1に示したN-メチル-N-(2,2,2-トリフルオロエチル)−2−フルオロアニリン及びコバルト塩を用いた以外は、実施例7と同様にして表1に記載の含金属スクアリリウム化合物を得た。
(実施例9)
(1)窒素雰囲気下、冷却管を付けた三ッ口フラスコに、N−メチル−N−(2,2,2−トリフルオロエチル)アニリンを出発原料として、実施例7と同様の操作によって得た3−アミノ−4−{4−〔N−メチル−N−(2,2,2−トリフルオロエチルアミノ)〕フェニル}3−シクロブテン−1,2−ジオン8.0部とトリフルオロメタンスルホン酸無水物7.9部を入れ、70℃にて3時間加熱撹拌した。反応後、室温まで冷却し、析出した固体を減圧ろ過にて濾取した。水で洗浄後、減圧乾燥して化合物(32)である1,2−ジオキソ−3−シクロブテン−4−〔4−N−メチル−N−(2,2,2−トリフルオロエチル)フェニル〕3−(1,1,1−トリフルオロ)−N−メタンスルホンアミド6.6部を得た。
(2)冷却管を付けた三ッ口フラスコに、1,2−ジオキソ−3−シクロブテン−4−〔4−N−メチル−N−(2,2,2−トリフルオロエチル)フェニル〕3−(1,1,1−トリフルオロ)−N−メタンスルホンアミド6.6部と酢酸ニッケル・4水和物4.0部を入れ、そこにTHF100部を入れ、60℃にて7時間加熱撹拌した。反応後、室温まで冷却し、析出した固体を減圧ろ過にて濾取した。水で洗浄後、減圧乾燥して1,2−ジオキソ−3−シクロブテン−{4−〔4−N−メチル−N−(2,2,2−トリフルオロエチル)アミノ〕フェニル}3−(1,1,1−トリフルオロ)−N−メタンスルホンアミド−ニッケル錯体7.4部を得た。
実施例1〜9で使用した原料アニリン化合物及び金属塩から作成した含金属スクアリリウム化合物を表1に示す。
Figure 0004605773
(化合物の物性)
実施例1で得た含金属スクアリリウム化合物のアセトン中での極大吸収波長(以下、「λmax」と略記する)を測定した結果(日立ハイテクノロジーズ、U−3500) 386nmであり、λmaxにおけるモル吸光係数(以下、「ε」と略記する)は9.2×104 -1cm-1であった。示差熱分析(セイコーインスツルメンツ、TG/DTA6300)の結果、分解点286℃であった。得られた含金属スクアリリウム化合物をテトラフルオロペンタノールに溶解し、2wt%にし、平坦なポリカーボネート製円盤上にスピンコート法により薄膜を形成した。この塗布膜の吸収スペクトルを透過法により測定した結果、図2に示す通りであり、λmaxは406nmであった。なお参考として透過法により測定した溶液の吸収スペクトルを図1に示す。
同様にして測定した実施例1〜8の結果を表2に示す。なおこれらの実施例では、金属:スクアリリウム=1:2で配位していると仮定してεを算出した。
(比較例1、2)
比較例として、表1に示した、実施例1及び実施例6で得た金属錯塩化前のスクアリリウム化合物の特性を実施例と同様にして測定し、結果を表2に示した。
Figure 0004605773
表2に示すように、本発明の実施例1〜8の含金属スクアリリウム化合物は350〜530nmの波長領域に光吸収を持ち、かつ、高いモル吸光係数を有しているが、比較例1及び比較例2ではモル吸光係数が小さい結果となった。
(塗布膜の耐光性試験)
前述の実施例1〜8及び比較例1及び2の塗布膜を500Wキセノンランプ、40℃雰囲気下で所定時間照射した。λmaxにおける初期の吸光度を100%とし、所定時間後の吸光度の百分率を色素残存率として算出した。これらの結果を表3に示す。
Figure 0004605773
表3に示すように、本発明の実施例1〜8の塗布膜は照射8時間経過後も色素残存率が80%を越える高い耐光性を有しているが、比較例1及び比較例2は照射1時間経過後で色素残存率が最大13%とスクアリリウム化合物が変化し、耐光性を維持することできない結果となった。
実施例1の溶液のUV−Vis吸収スペクトル 実施例1の塗布膜のUV−Vis吸収スペクトル

Claims (4)

  1. 下記一般式(A)で示されるスクアリリウム化合物と金属塩または金属イオンからなることを特徴とする含金属スクアリリウム化合物。
    Figure 0004605773
    (式中、R1は水酸基、アミノ基、スルホンアミド基を表し、R2、R3、R4、R5は各々独立して、水素原子、ハロゲン原子、もしくはシアノ基、ニトロ基、スルホ基、又は置換されていてもよい直鎖又は分岐のアルキル基、アルケニル基、アルコキシ基、アリール基、ヘテロ環、アシル基、もしくはアルコキシカルボニル基を示し、R6、R7は各々独立して、水素原子、水酸基、スルホ基、又は置換されていてもよい直鎖又は分岐のアルキル基、ハロゲン化アルキル基、シアノアルキル基、アルコキシ基、フェニルアルキル基、アルキルスルホン酸基を表す(ただし、R6とR7、R4とR6及びR5とR7は連結して環を形成してもよい)。)
  2. 請求項1に記載の含金属スクアリリウム化合物において、前記金属がNi、Co、Zn、Cu、Pt、Ti、Al、V、Mn、Fe、Mo、W、Sn、Ru、Cr、Pbから成る群から選択された少なくとも1種の金属であることを特徴とする含金属スクアリリウム化合物。
  3. 基板上に、レーザー光による情報の書き込み及び/または読みとりが可能な記録層が形成された光学記録媒体において、該記録層が請求項1又は2に記載の含金属スクアリリウム化合物を少なくとも1種含有することを特徴とする光学記録媒体。
  4. 波長350nm〜530nmの波長領域から選ばれたレーザー光により情報の記録及び/または再生することを特徴とする請求項3に記載の光学記録媒体。
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