JP4604817B2 - 自動変速機のバンドブレーキ装置 - Google Patents

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Description

本発明は、主に自動車用自動変速機内に装着される自動変速機のバンドブレーキ装置に関するものである。
従来、自動変速機として、遊星ギヤ機構を備えたものが広く用いられている。一般的な遊星ギヤ機構は、小径で外歯を有するサンギヤと、大径で内歯を有するリングギヤとが同軸上に設けられ、サンギヤとリングギヤとの間に、キャリヤに支持された複数の遊星ギヤが配設されている。そしてサンギヤ、リングギヤ及びキャリヤが、それぞれ入力要素、固定要素および出力要素の何れかに対応する。何れの部材を何れの要素に対応させるかによって、入力要素に対する出力要素の速度比が変化し、変速がなされるように構成されている。また、このような遊星ギヤ機構を複列式に備えたものや、2列の遊星ギヤ機構を複合した機構(例えばラビニヨ式遊星ギヤ機構など)も知られている。
バンドブレーキ装置は、主として上記サンギヤ、リングギヤ及びキャリヤの何れかを固定要素とするために用いられる。すなわち、固定要素の対象となる部材を回転ドラムと一体に配設し、その回転ドラムの外周に周設されたバンドブレーキで回転ドラムを締付け、その回転を規制することにより固定要素を固定するのである(例えば特許文献1および特許文献2参照)。
上記各特許文献に示されたバンドブレーキ装置は、回転ドラムの外周に略全周にわたり周設した帯状のバンドブレーキの一端に固定端が、他端に可動端がそれぞれ設けられている。固定端には、変速機ケースに固定されたアンカーエンドロッドの先端が当接され、可動端には、サーボピストンと一体に設けられたピストンステムの先端が当接されている。アンカーエンドロッドとピストンステムとは略同一直線上に配設されている。ピストンステムを軸方向アンカーエンドロッド側に押付けると、固定端と可動端とが接近する、つまりバンドブレーキが縮径するので、それによって回転ドラムを締付けることができる。
サーボピストンは、変速機ケースに設けられたシリンダ室に収納され、油圧とリターンスプリングによって動作し、ピストンステムを軸方向に移動させるように構成されている。シリンダ室(変速機ケースの一部)には、ピストンステムを挿通する貫通孔が設けられており、ピストンステムはサーボピストンからこの貫通孔を経由してバンドブレーキの可動端に延びている。
また、シリンダ室において、上記貫通孔の開口する部分には、ピストンステムと一体のサーボピストンを上記可動端から遠ざける(バンドブレーキを解放操作する)方向に移動させるための油圧が供給される解放側油圧室が形成されている。
この解放側油圧室には、例えば特許文献1に示されるように、エア抜き用通路が設けられたものもある。エア抜き用通路は、解放側油圧室のオイル(作動油)が抜けているときに滞留したエア(空気)を、解放側油圧室にオイルが供給されたときに、その油圧上昇前に排出するためのエア通路である。このようなエア抜き用通路を設けることにより、オイルにエアが混入することによって油圧が低下したり油圧の上昇が遅れたりすることを抑制することができる。
ところで、ピストンステムが挿通される変速機ケースの貫通孔(以下ステム摺動部という)は、その中でピストンステムが円滑に摺動できるように、ピストンステムの外径よりも僅かに大径となるように穿設されている。但し、ステム摺動部とピストンステムとの隙間(クリアランス)からの上記解放側油圧室のオイル漏れ(リーク)が多いと、油圧低下等の問題が生じるので、リーク量を最小限とすべく、上記クリアランスを可及的に小さくする必要がある。
すなわち、ステム摺動部の径は、ピストンステムが円滑に摺動し得る範囲で可及的に小径とする必要があり、高精度の加工が施されている。
実公平6−50688号公報 特公平7−103931号公報
しかしながら、製造当初は高精度に保たれていた上記クリアランスが、長期の使用に伴って拡大してしまうという経年変化が生じることがある。この経年変化は、主としてステム摺動部の偏磨耗による。すなわちピストンステムには、エンジン振動や回転ドラムに作用するトルクの変動等によって、軸に垂直な方向(ラジアル方向)に外力が作用することがあり、僅かにラジアル方向に変位してもクリアランスの小ささからステム摺動部に強く当たってしまい、これを偏磨耗させるのである。
ステム摺動部の偏磨耗によってクリアランスが拡大すると、解放側油圧室のオイルリークが増大し、サーボピストンを解放側に作動させる油圧が低下してしまう。その結果、バンドブレーキの解放を伴う変速において、変速ショックの増大を招く虞がある。
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、長期の使用後においても解放側油圧室からのリークを低減し、もって経年変化による変速ショック増大を効果的に抑制することができる自動変速機のバンドブレーキ装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決するための本発明の請求項1に係る自動変速機のバンドブレーキ装置は、動力伝達機構を構成する回転ドラムの外周に周設されたバンドブレーキと、変速機ケース内に形成されたシリンダ室と、上記シリンダ室に摺動可能に設けられたサーボピストンと、上記サーボピストンと一体に設けられ、上記シリンダ室から、上記バンドブレーキの可動端まで延設されたピストンステムと、上記変速機ケースの、上記シリンダ室と上記バンドブレーキの可動端とを隔てる部分に設けられ、上記ピストンステムを摺動可能に挿通するステム摺動部と、上記シリンダ室において上記サーボピストンを隔壁の一部となす油圧室であって、当該油圧室内の油圧の上昇に伴って上記サーボピストンを上記バンドブレーキが解放する方向に移動させる解放側油圧室とを備えた自動変速機のバンドブレーキ装置であって、上記ピストンステムと上記ステム摺動部との間の環状隙間によって形成され、上記解放側油圧室への作動油供給初期において当該解放側油圧室に滞留したエアが排出されるエア抜き用通路と、上記解放側油圧室への作動油供給後期以降の油圧上昇時において、上記エア抜き用通路を形成する環状隙間をシールするシール機構と、を備えることを特徴とする。
また請求項の発明は、請求項記載の自動変速機のバンドブレーキ装置において、上記シール機構は、上記環状隙間の開口端をシールする機構であり、上記ピストンステムの、上記シリンダ室より突出した部分に周設されたシール機構用シール部材を含み、上記シール機構用シール部材は、上記ピストンステムが締結側に移動した状態では上記環状隙間の開口端を開放し、上記ピストンステムが解放側に移動した状態では上記環状隙間の開口端を閉塞するように構成されていることを特徴とする。
また請求項の発明は、請求項記載の自動変速機のバンドブレーキ装置において、上記シール機構は、上記環状隙間の軸方向中間部をシールする機構であり、略環状で、その環の一部に、当該環を切断したような合口部が形成され、上記合口部の相対移動によって容易に拡径ならしめたシール機構用シールリングと、上記ピストンステムに設けられ、上記シール機構用シールリングを嵌設するシールリング溝とを含むことを特徴とする。
請求項1の発明によると、以下に述べる作用により、長期の使用後においても解放側油圧室からのリークを低減し、もって経年変化による変速ショック増大を効果的に抑制することができる。
本発明の構成によれば、サーボピストンをバンドブレーキが解放する方向に移動させた状態のとき、つまり解放操作したとき、シール機構が、上記エア抜き用通路を形成する環状隙間をシールする。したがって、たとえ経年変化によってステム摺動部の偏磨耗が進行し、クリアランスが拡大しても、結果的にオイルリークが抑制されるので、その実害たる油圧の低下、および油圧低下による変速ショックの増大を効果的に抑制することができるのである。
特に、以下に述べる作用により、簡単な構造で解放側油圧室のエア抜き用通路を確保し、そのエア抜き作用を損なうことなく、シール機構によるオイルリーク抑制作用を得ることができる。
本発明の構成によれば、まず簡単な構造で解放側油圧室のエア抜き用通路を設けることができる。すなわち、本来ピストンステムを円滑に摺動させるために設けられているステム摺動部とピストンステムとの間のクリアランスを、エア抜き用通路としても利用することにより、別途エア抜き用通路を設けることなく、解放側油圧室内のエアを排出することができる。
ところが、ステム摺動部の偏磨耗が進行してもオイルリークが増大しないように、シール機構によって単に上記クリアランスを塞いでしまうと、上記エア抜き用通路も塞いでしまうことになり、エア抜き作用を得られなくなってしまう。
そこで本発明では、解放側油圧室へのオイル供給初期においては当該解放側油圧室に滞留したエアが排出されるようにエア抜き用通路が開放され、オイル供給後期以降の油圧上昇時においては、シール機構がエア抜き用通路をシールする。つまり、解放側油圧室へのオイル供給初期にエア抜き用通路を開放することにより速やかにエアを排出し、オイル供給後期以降の油圧上昇時に、上記エア抜き用通路を形成する環状隙間をシールすることによりオイルリークを抑制する。上記環状隙間をシールすると、エア抜き用通路塞がれてしまうが、オイル供給後期以降は既にエアが排出されてしまっているので問題はない。
このように、エアを排出するタイミングと油圧が上昇するタイミングとの間に僅かな時間差があることを利用して、エア抜き用通路の確保と上記環状隙間のシールとを両立させているのである。
請求項の発明によると、以下に述べる作用により、ピストンステムの動作を利用して簡単な構造で請求項記載のシール機構を形成することができる。
本発明の構成によると、ピストンステムとステム摺動部との間の環状隙間(エア抜き用通路)の開口端を、シール機構用シール部材(例えば弾性の高いオーリング等が好適である)でシールすることになる。従って、このシール機構用シール部材を、オイル供給初期においては上記開放端から離間させ、オイル供給後期以降の油圧上昇時においては、上記開放端に密着させて塞ぐという何らかの移動機構が必要となる。
本発明の構成では、シール機構用シール部材をピストンステムに設けることにより、上記移動機構をピストンステム自体に行わせている。解放側油圧室にオイルを供給し、油圧をかける場合、その直前の状態は、通常、ピストンステムがバンドブレーキの締結側に移動している状態に限られる。なぜなら、ピストンステムがバンドブレーキの解放側に移動している状態のときに、あえて解放側油圧室にオイルを供給し、油圧をかける必要がないからである。
つまり、解放側油圧室にオイルを供給し、油圧をかけるという操作は、通常、常にピストンステムを締結側から解放側へ移動させるという動作を伴うものである。本発明ではこの動作をシール機構用シール部材の移動機構として利用している。すなわち、オイル供給初期であって、まだピストンステムが動き始める前、つまりピストンステムが締結側にあるときにはシール機構用シール部材が環状隙間の開口端から離間しているようにシール機構用シール部材を配設するとともに、オイル供給後期以降の油圧上昇時であって、ピストンステムが動いた後、つまりピストンステム解放側にあるときにはシール機構用シール部材が環状隙間の開口端に密着してこれを閉塞するようにシール機構用シール部材を配設するだけで、簡単に請求項記載のシール機構を形成することができるのである。
なお、仮に何らかの準備動作として、ピストンステムがバンドブレーキの解放側に移動している状態のときに、あえて解放側油圧室にオイルを供給し、油圧をかける場合があったとしても、そのときには直ちにバンドブレーキの締結状態が変化するわけではない(解放状態を継続)ので、エア抜きが行われず、オイル中に多少のエアが混入しても実害はない。
請求項の発明によると、以下に述べる作用により、シールリングのシール特性を利用して、ピストンステムの摺動抵抗増大を抑制しつつ簡単な構造で請求項記載のシール機構を形成することができる。
本発明の構成では、略環状で、その環の一部に、当該環を切断したような合口部が形成され、上記合口部の相対移動によって容易に拡径ならしめたシール機構用シールリングを用いている。このようなシールリング自体は公知のものであり、例えば樹脂製のものが多くの油圧機構に用いられている。オーリングとの違いは、オーリングがシールすべき隙間を完全に閉塞し、常時シール機能を発揮するのに対し、シールリングは、シールすべき隙間にオイルが充満し、ある程度の油圧上昇があったときにそのシール機能を発揮する点である。換言すれば、シールリングは、シールすべき隙間にオイルが充満し、ある程度の油圧上昇があるまでは、エアやオイルのリークを許容するという特性を有している。
本発明は、シールリングのこのような特性を利用し、環状隙間の軸方向中間部におけるピストンステムの摺動面にシールリングを配設するだけで、オイル供給初期においては、エアのリークを許容するシールリングの特性によって上記環状隙間をエア抜き用通路となし、オイル供給後期以降の油圧上昇時においては、本来のシール機能を発揮させて上記環状隙間を効果的にシールすることができる。
またピストンステムのようにステム摺動部を摺動する軸の摺動面にオーリングを設けた場合、大きな摺動抵抗が生じ、またオーリングの損傷の懸念もあるが、シールリングを設けた場合には摺動抵抗が小さく、またシールリングの損傷の懸念も殆どない。この点もピストンステムと上記ステム摺動部との間の環状隙間にシール機構用シールリングを配設した利点となっている。
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態を説明する。
図1は、本発明の第1実施形態に係る自動変速機1の概略構成図である。自動変速機1は、エンジンのクランクシャフト50に連結されたトルクコンバータ51と、このトルクコンバータ51の出力軸であるタービンシャフト59に連結された多段変速機構52とを備え、これらに含まれる複数の摩擦要素67〜71を断続させることにより所定の変速段を選択して車輪側への駆動力の伝達を行うように構成されている。
上記トルクコンバータ51は、クランクシャフト50に連結されたポンプカバー53と、このポンプカバー53に一体に形成されたポンプインペラ54と、これに対向するように設置されたタービン(タービンライナ)55と、その間でワンウェイクラッチ56を介して変速機ケース57に取付けられたステータ58とを備えている。上記ポンプカバー53内の空間には、作動流体としてのオイル(作動油)が充満され、ポンプインペラ54の駆動力がこのオイルを介してタービン55に伝達されるものとなされている。そして、タービン55に連結されたタービンシャフト59を介して多段変速機構52との間で駆動力の伝達がなされる。トルクコンバータ51には、更に上記ポンプカバー53とタービン55との間に介設され、該カバー53を介してクランクシャフト50とタービン55とを直結するロックアップクラッチ64が設けられている。さらにポンプインペラ54には中空回転シャフト60が連結され、このシャフト60の後端部(クランクシャフト50と反対側の端部)にオイルポンプ61が取付けられている。
一方、多段変速機構52は、第1および第2遊星ギヤ機構65,66と、この遊星ギヤ機構65,66を含む動力伝達経路を切替える締結要素(クラッチプレートやバンドブレーキ等の複数の摩擦要素67〜71及びワンウェイクラッチ72)とを備え、シフトレンジ(Dレンジ、Nレンジ、Rレンジ等)に応じ、これらの締結要素67〜72を断続して前進速、ニュートラル状態、後退速を切替えるように構成されている。またDレンジ等の前進走行レンジにおいて、車速やアクセルの踏み込み度合に応じて適宜変速段が選択されるように構成されている。
第1および第2遊星ギヤ機構65,66は、それぞれ、サンギヤ65a,66aと、これらのサンギヤ65a,66aの周りに配置され、これらに噛合する複数個(例えば各3個)の遊星ギヤ65b,66bと、これらの遊星ギヤ65b,66bを支持するキャリヤ65c,66cと、遊星ギヤ65b,66bの周りを取り囲むように配置され、これらに噛合するリングギヤ65d,66dとを備え、第1遊星ギヤ機構65のリングギヤ65dと第2遊星ギヤ機構66のキャリヤ66cとが連結されているとともに、第1遊星ギヤ機構65のキャリヤ65cと第2遊星ギヤ機構66のリングギヤ66dとが連結され、各遊星ギヤ機構65,66が連動し得るものとなされている。
摩擦要素は、上記タービンシャフト59および第1遊星ギヤ機構65のサンギヤ65aの間に介在するフォワードクラッチ67と、タービンシャフト59と第2遊星ギヤ機構66のサンギヤ66aとの間に介在するリバースクラッチ68と、タービンシャフト59と第2遊星ギヤ機構66のキャリヤ66cとの間に介在する3−4クラッチ69と、第2遊星ギヤ機構66のサンギヤ66aを固定する2−4ブレーキ70(バンドブレーキ装置)と、第1遊星ギヤ機構65のリングギヤ65d及び第2遊星ギヤ機構66のキャリヤ66cを固定するローリバースブレーキ71等とを備える。またワンウェイクラッチ72は、リングギヤ65d及びキャリヤ66cの一方向(クランクシャフト50の駆動方向)への回転のみを可能ならしめ、逆方向へは回転しないようにロックする。これらの締結要素67〜72が断続されて出力ギヤ73に繋がる動力伝達経路が変更ないし断絶されるものとなされている。
そして、この出力ギヤ73が回転することにより、駆動力が駆動輪側、すなわち伝動ギヤ74,75,76および差動機構77を介して左右の車軸78,79に伝達されるようになっている。車軸78,79は、図外の車輪(駆動輪)と一体回転するように構成されている。
図2は、摩擦要素67〜71のうち、Dレンジにおいて動力伝達に関与するフォワードクラッチ67、3−4クラッチ69及び2−4ブレーキ70の油圧供給状態と変速段との関係を示す図である。図2において、○印は各摩擦要素67,69,70の油圧室に油圧が供給された状態を示し、空欄は油圧が抜かれた状態を示している。フォワードクラッチ67と3−4クラッチ69は、油圧が供給されると締結し、油圧が抜かれると解放される。これに対し2−4ブレーキ70は油圧の供給室が2箇所あり、詳細は後述するが、解放圧P2が供給されていない状態において締結圧P1が供給されると締結し、抜かれると解放される。解放圧P2が供給されている状態では、締結圧P1の供給有無に拘わらず解放される。
従って、Dレンジ第1速段ではフォワードクラッチ67が締結され、第2速段ではフォワードクラッチ67および2−4ブレーキ70が締結される。第3速段ではフォワードクラッチ67および3−4クラッチ69が締結される。2−4ブレーキ70については、締結圧P1と解放圧P2とが供給されているので、解放状態となっている。第4速段では3−4クラッチ69および2−4ブレーキ70が締結されている。
図2から明らかなように、Dレンジ第2速から第3速へ変速(以下2→3変速という)する場合、3−4クラッチ69を締結させつつ、2−4ブレーキ70を解放させなければならない。このような変速は、3−4クラッチ69の締結と2−4ブレーキ70の解放との相対的なタイミング取りを要するので、例えば1→2変速の場合のような、単に2−4ブレーキ70を解放状態から締結状態に切替えるだけの変速に比べ、より高精度な変速動作が要求される。
そこで当実施形態では、2→3変速において2−4ブレーキ70を解放操作するにあたり、締結圧P1を抜くのではなく、解放圧P2を供給することによって2−4ブレーキ70の解放を行わせている。油圧制御においては、抜く動作よりも供給する動作の方が高精度かつ柔軟な制御を行い易いからである。
図3は、図1のIII−III線に相当する位置での部分断面図であり、主に2−4ブレーキ70の周辺について示している。また図4は、図3の部分拡大図であり、主にピストンステム3に設けられたシール機構4の周辺について示している。
2−4ブレーキ70は、回転ドラム20aの外周に略全周にわたり周設された帯状のバンドブレーキ20の一端に固定端22が、他端に可動端21がそれぞれ設けられている。固定端22には、変速機ケース57に固定されたアンカーエンドロッド23の先端が当接され、可動端21には、サーボピストン31と一体に設けられたピストンステム3の先端が当接されている。アンカーエンドロッド23とピストンステム3とは略同一直線上に配設されている。ピストンステム3を軸方向アンカーエンドロッド側に押付けると、固定端22と可動端21とが接近する、つまりバンドブレーキ20が縮径するので、それによって回転ドラム20aを締付けることができる。
図4に示すように、ピストンステム3は、そのステム基端部3dでサーボピストン31と接合されている。サーボピストン31は、変速機ケース57に設けられたシリンダ室10に収納され、油圧とリターンスプリング33によって動作し、ピストンステム3を軸方向に移動させるように構成されている。
サーボピストン31は、略円盤状に成形され、その外周部には環状のシール部材32が設けられている。サーボピストン31とシール部材32とによって、シリンダ室10は2室に仕切られている。図4に示す状態で、下側が締結側油圧室12、上側が解放側油圧室15となっている。締結側油圧室12(シリンダ室10)は、オーリング35とサーボカバー34とによって閉塞されている。そして、締結側油圧室12に油圧(締結圧P1)を給排する締結圧油路12aと、解放側油圧室15に油圧(解放圧P2)を給排する解放圧油路15aとが形成されている。
シリンダ室10の解放側油圧室15側には、ピストンステムを挿通する貫通孔(ステム摺動部57a)が設けられており、ピストンステム3はサーボピストン31からこのステム摺動部57aを経由してバンドブレーキ20の可動端21に延びている。
ピストンステム3の摺動面となるステム胴体部3cとステム摺動部57aとの間には、ピストンステム3の摺動を円滑にするための僅かな環状隙間57d(図5参照)が形成されている。環状隙間57dは、解放側油圧室15からのリーク油路でもあるが、充分な長さを有するチョークとなっているので、通常の作動状況において、この環状隙間57dからのオイルリークは問題にならない程度に僅かである。
また、ステム胴体部3cの円周方向の一部で、環状隙間57dの長さ、つまりステム摺動部57aの長さが短い区間(図4の状態で、ピストンステム3の左側に示している。)が設けられ、エア抜き用通路57bとして利用されている。
ピストンステム3の先端には、ステム胴体部3cよりも小径で、直接バンドブレーキ20の可動端21を押付けるステム先端部3aが形成されている。そしてステム胴体部3cとステム先端部3aとを繋ぐ部分には、連続的に径の変化する円錐台状のステム斜面部3bが形成されている。
ステム斜面部3b付近には、シール機構4が設けられている。シール機構4は、後述するように、解放側油圧室15へのオイル供給初期においては解放側油圧室15に滞留したエアが排出されるようにエア抜き用通路57bを開放し、オイル供給後期以降の油圧上昇時においては、エア抜き用通路57bを含む環状隙間57dをシールする機構である。シール機構4は、ゴム等の弾性体からなるオーリング5(シール機構用シール部材)、環板状のリテーナ6およびストッパーリング7からなる。オーリング5の内径がステム胴体部3cよりも僅かに小さくなっており、オーリング5はステム斜面部3bの斜面下端付近に乗り上げるようにして周設されている。そしてリテーナ6がオーリング5を押さえるようにしてストッパーリング7によってステム先端部3aに固定されている。こうしてオーリング5は、その下面がステム胴体部3cとステム斜面部3bとの境界と略同位置となるようにステム斜面部3bとリテーナ6とによって挟持されている。
次に、図1〜図4を参照して2−4ブレーキ70の動作について説明する。
まず、締結側油圧室12に油圧が供給されて2−4ブレーキ70が締結される動作、例えば1→2変速時の動作について説明する。締結圧油路12aを経由して締結側油圧室12にオイルが供給されて締結側油圧室12を満たし、サーボピストン31の板面(締結側受圧部)にかかる油圧(締結圧P1)が上昇すると、これを解放側油圧室15側へ移動させようとする押圧力が高まる。締結圧P1による押圧力がリターンスプリング33による付勢力よりも大きくなるとサーボピストン31は解放側油圧室15側へ移動を開始する。それに伴ってピストンステム3はバンドブレーキ20の可動端21に向けて移動し、ステム先端部3aの先端で可動端21をアンカーエンドロッド23側に押付ける。これによって固定端22と可動端21とが接近する、つまりバンドブレーキ20が縮径するので、回転ドラム20aが締付けられ、固定される。
次に、締結側油圧室12に油圧が供給されている状態で、さらに解放側油圧室15に油圧を供給し、2−4ブレーキ70を解放する動作、例えば2→3変速時の動作について説明する。解放圧油路15aを経由して解放側油圧室15にオイルが供給されて解放側油圧室15を満たし、サーボピストン31の板面(締結圧P1が作用している側の裏面。解放側受圧部。)にかかる油圧(解放圧P2)が上昇すると、これを締結側油圧室12側へ移動させようとする押圧力が高まる。ピストンステム3が可動端21を押付ける力は、締結圧P1による押圧力から解放圧P2による押圧力とリターンスプリング33による付勢力とを減じたものであるから、解放圧P2の上昇に伴い、ピストンステム3から可動端21への押付け力が減少する。つまり2−4ブレーキ70の締結力が減少して行く。
2→3変速の場合は、解放圧P2を適度な速さで上昇するように制御することにより、2−4ブレーキ70の締結力を適度な速さで減少させる。そしてそれに同期させて3−4クラッチ69への供給油圧を適度な速さで上昇させる。こうして2−4ブレーキ70の解放と3−4クラッチ69の締結とが、タイミングを同期させつつ適度な速さで行われるので、変速ショックの小さい、円滑な動力伝達経路切替え操作が行われる。
解放圧P2が殆ど締結圧P1に等しくなる程度まで上昇し、解放圧P2による押圧力とリターンスプリング33による付勢力との和が締結圧P1による押圧力よりも大きくなると、サーボピストン31は締結側油圧室12側へ移動を開始する。それに伴ってピストンステム3はバンドブレーキ20の可動端21から離反する。これによって固定端22と可動端21とが離反する、つまりバンドブレーキ20が拡径するので、回転ドラム20aは完全に解放される。
ところで、上記のように解放圧P2を供給して2−4ブレーキ70を解放する操作、特に2→3変速のように他の摩擦要素との同期を取りつつ解放させる場合、解放側油圧室15内での解放圧P2の上昇を高精度で制御する必要がある。しかし解放圧P2が抜けている間に解放側油圧室15にエアが流入し、滞留していると、オイルが供給されたときにオイル内にエアが混入し、油圧の低下や上昇遅れを招く虞がある。そこで当実施形態では、このようなエア混入を防止するために、オイル供給の初期に速やかに滞留エアを解放側油圧室15外に排出するエア抜き機構を設けている。次に、このエア抜き機構と、そのエア抜き作用を有効としつつ、必要な油圧シール機能を確保するシール機構について説明する。
図5は、当実施形態のシール機構4の動作を示す説明図である。(a)は解放側油圧室15へのオイル供給初期の状態、(b)はオイル供給後期以降の油圧上昇時の状態を示す。なお、何れの図もエア抜き用通路57bおよび環状隙間57dを、説明のために実際の縮尺に対して特に誇張して示している。
図5(a)に示すように、解放側油圧室15へのオイル供給初期においては締結圧P1による押圧力F1によって、ピストンステム3は可動端21側(図示の状態で上方)に移動しており、環状隙間の開口端57cとオーリング5とは離反している。従って環状隙間の開口端57cは開放されている。この状態で解放側油圧室15にオイルが供給されると、滞留エアは矢印A2で示すようにエア抜き用通路57bを経由し、環状隙間の開口端57cから解放側油圧室15の外部に排出される。従って、解放側油圧室15にオイルが満たされたとき、そのオイルにエアが混入することが効果的に防止される。
図5(b)に示すように、オイル供給後期以降の油圧(解放圧P2)上昇時においては、解放圧P2による押圧力とリターンスプリング33の付勢力との和(戻し力F2)によって、ピストンステム3は可動端21から離反する方向(図示の状態で下方)に移動し、環状隙間の開口端57cとオーリング5とは密着している。オーリング5は、戻し力F2で環状隙間の開口端57cに押付けられているので、充分なシール機能を有している。
自動変速機1の製造行程においてエア抜き用通路57bや環状隙間57dが充分狭くなるように高精度で管理されている。したがって、製造直後乃至は経年変化の少ない場合には、オーリング5を用いるまでもなく、エア抜き用通路57bや環状隙間57dからのオイルリークは、その影響を考慮する必要のない程度に僅かである。しかし経年変化が進行し、ステム摺動部57aの偏磨耗量が増大した場合、仮にオーリング5によるシール機能がないと、環状隙間57dからのオイルリークは、変速ショック(特に2→3変速時)に悪影響を及ぼす程度に多くなる虞がある。そこで当実施形態では、オーリング5によって環状隙間の開口端57cを確実に閉塞し、シールすることにより、ステム摺動部57aの偏磨耗量が増大した場合であっても環状隙間57dからのオイルリークを効果的に抑制することができる。
以上説明したことから明らかなように、当実施形態の2−4ブレーキ70は、シール機構4を設けることによって、長期の使用後においても解放側油圧室15からのリークを低減し、もって経年変化による変速ショック増大を効果的に抑制することができる。
しかも、解放側油圧室15へのオイル供給初期にエア抜き用通路57bを確保し、そのエア抜き作用を損なうことなく、解放圧P2の上昇時における環状隙間57dのシールを確実に行っている。また、そのためのオーリング5の移動操作を、シール機構4をステム斜面部3bに配設することにより、別途移動手段を新設することなく、ピストンステム3の移動を利用して行っている。従ってシール機構4を簡単な構造とすることができる。
次に、本発明の第2実施形態について図6〜図8を参照して説明する。なお、図6以下の図面において、図1〜図5に示す部材と同一または同様の機能を有する部材には同一の符号を付し、その重複説明を省略する。
図6は、第2実施形態のピストンステム3の周辺における断面図である。当実施形態は、第1実施形態に対し、シール機構4に代えてシール機構4aが設けられている点が異なっている。シール機構4aは、環状隙間57dの軸方向中間部に対応するピストンステム3のステム胴体部3cに2本のシールリング溝3eを設け、各シールリング溝3eにシールリング8を嵌設したものである。各シールリング8は、ピストンステム3の位置に拘わらず、その外周面がステム摺動部57aと対向するように配設されている。
図7はシール機構4a及びその変形例であるシール機構4bの分解斜視図である。(a)は当実施形態のシールリング8を用いたシール機構4a、(b)はシールリング9を用いたシール機構4bをそれぞれ示している。
図7(a),(b)に示すシールリング8,9は公知のものであり、例えば樹脂製のものが多くの油圧機構に用いられている。その形状は略環状で、その環の一部に、当該環を切断したような合口部8a又は9aが形成され、合口部8a,9aの相対移動によって容易に拡径するように構成されている。
シールリング8は鉤型状合口部8aを有し、この鉤型状合口部8aで対向して接する分断面が、相互に接しつつ周方向に滑るように移動することにより拡径する。拡径後も、鉤型状合口部8aにおける分断面が互いに密着し得るので、シールリング8の上面と下面、或いは外径側と内径側とを隙間なく隔絶することができる。
シールリング9は斜面状合口部9aを有し、この斜面状合口部9aで対向して接する分断面が、相互に接しつつ斜面に沿って滑るように移動することにより拡径する。拡径後も、斜面状合口部9aにおける分断面が互いに密着し得るので、シールリング9の上面と下面、或いは外径側と内径側とを隙間なく隔絶することができる。
シールリング溝3eは矩形の断面形状を有する溝で、その溝幅および溝深さは、シールリング8,9の断面形状に対してやや大きめに設定されている。従って、シールリング8,9はシールリング溝3e内である程度のガタをもって比較的自由に動くことができるようになっている。
図8は、シールリング8の動作を示す説明図である。(a)は解放側油圧室15へのオイル供給初期の状態、(b)はオイル供給後期以降の油圧上昇時の状態を示す。なお、何れの図も環状隙間57dを、説明のために実際の縮尺に対して特に誇張して示している。
図8(a)に示すように、解放側油圧室15へのオイル供給初期においてはシールリング8が拡径しておらず、まだそのシール機能を発揮していない。従って、解放側油圧室15内の残留エアは、矢印A2に示すように、シールリング8周囲の隙間を抜けて外部に輩出される。つまり効果的にエア抜きがなされる。
図8(b)に示すように、解放側油圧室15にオイルが充満し、解放圧P2が上昇すると、シールリング8はシールリング溝3eの溝壁(図示の状態で上側の溝壁)に押付けられ、密着する。それと共に、解放圧P2によって拡径し、その外周面がエア抜き用通路57b(ステム摺動部57aも同様)に押付けられ、密着する。その結果、環状隙間57dが完全に閉塞され、解放側油圧室15が効果的にシールされる。
シールリング8は、ステム摺動部57aやエア抜き用通路57bの形状に沿うように拡径するので、これらが偏磨耗した場合にも、そのリークを大幅に抑制することができる。以上の動作は、シールリング9を用いた場合も同様である。つまりシール機構4a,4bは、製造直後乃至は経年変化の少ない場合はもとより、経年変化が進行してステム摺動部57aの偏磨耗量が増大した場合においても、解放側油圧室15へのオイル供給初期におけるエア抜き作用を確保しつつ、オイル供給後期以降の解放圧P2の上昇時におけるオイルリークを効果的に抑制することができる。
しかもシールリング8,9には、例えばオーリングと比較して、ピストンステム3の摺動抵抗増大を大幅に抑制することができ、また摺動に伴う損傷の懸念も殆どないという利点があるので、僅かな環状隙間57dをもってステム摺動部57aを摺動するピストンステム3に設けるのに好適である。
図9は、第3実施形態のピストンステム3の周辺における断面図である。当実施形態は、第1実施形態に対し、サーボピストン31に代えて第1サーボピストン31aと第2サーボピストン31bとを有する、いわゆる2ピストンタイプのバンドブレーキ装置である点が異なっている。このバンドブレーキ装置は、同じ締結圧P1(第1締結圧P1aおよび第2締結圧P1b)のときのピストンステム3の押付け力を2段階に切替えることができるという特徴がある。
シリンダ室10は、変速機ケース57の一部に形成された略有底円筒状の空間をサーボカバー34aで閉塞することによって形成されている。そしてサーボリテーナ37が、シリンダ室10の底面部とサーボカバー34aとで挟持されるように固定的に設けられている。サーボリテーナ37は略円筒状であり、その内径部は大径部と小径部とを有する段付き形状となっている。
そしてサーボリテーナ37の大径部,小径部と略同径の大径部,小径部を有する第1サーボピストン31aが、シールリング32a,32bとともにサーボリテーナ37の大径部,小径部を摺動可能に設けられている。
一方、サーボカバー34aは略有底円筒状であり、その内径と略同径の第2サーボピストン31bがシールリング32cとともにサーボカバー34の内径部を摺動可能に設けられている。
ピストンステム3は第1サーボピストン31aに固定されており、第2サーボピストン31bとは切り離されている。そして、主に第1サーボピストン31aをバンドブレーキ20の可動端21から離反する方向に押し戻す第1リターンスプリング33aと、主に第2サーボピストン31bを押し戻す第2リターンスプリング33bとが設けられている。
第1サーボピストン31aの大径部と小径部との段差部と、サーボリテーナ37とに囲まれた空間に第1締結側油圧室13が形成されている。また第2サーボピストン31bとサーボカバー34とに囲まれた空間に第2締結側油圧室14が形成されている。そしてシリンダ室10の底部(図示の状態では上方)と第1サーボピストン31aの大径部に囲まれた空間に解放側油圧室15が形成されている。
第1締結側油圧室13、第2締結側油圧室14、解放側油圧室15には、それぞれオイルを給排する第1締結圧油路13a、第2締結圧油路14a、解放圧油路15aが導かれており、それぞれ第1締結圧P1a、第2締結圧P1b、解放圧P2をかけることができるように構成されている。
また第1実施形態と同様に、シリンダ室10(図示の状態では上方)の底面にはステム摺動部57aとエア抜き用通路57bとが形成され、ピストンステム3にはシール機構4が設けられている。なお、エア抜き用通路57bに代えて、解放側油圧室15とステム摺動部57aとを連通させる細いエア抜き用通路57e(二点鎖線で示す)を設けても良い。
当実施形態においても、第1実施形態と同様に第2速と第4速でバンドブレーキ20を締結させるように構成されている。但し、第2速においては第1締結側油圧室13に油圧が供給され、第4速においてはさらに第2締結側油圧室14に油圧が供給される。
第2速では、第1締結側油圧室13に油圧(第1締結圧P1a)が供給され、その第1締結圧P1aが第1サーボピストン31aのシールリング32aとシールリング32bとに囲まれた段差部に作用し、ピストンステム3をバンドブレーキ20の可動端21側に押圧する。
2→3変速時には、そのままの状態で解放側油圧室15に解放圧P2が供給される。解放圧P2が上昇し、解放圧P2による押圧力とリターンスプリング33a及び33bによる付勢力との和が第1締結圧P1aによる押圧力よりも大きくなると、第1サーボピストン31aは第1締結側油圧室13へ移動を開始する。それに伴ってピストンステム3はバンドブレーキ20の可動端21から離反する。これによって固定端22と可動端21とが離反する、つまりバンドブレーキ20が拡径するので、回転ドラム20aは完全に解放される。
この2→3変速時において、当実施形態の2−4ブレーキ70は、第1実施形態と同様のシール機構4を設けることによって、長期の使用後においても解放側油圧室15からのリークを低減し、もって経年変化による変速ショック増大を効果的に抑制することができる。エア抜き用通路57bに代えてエア抜き用通路57eを設けた場合も同様である。
こうして第3速時には第1締結側油圧室13と解放側油圧室15に油圧が供給されているが、その状態で3→4変速が実行されると、第2締結側油圧室14に第2締結圧P1bが供給され、第2サーボピストン31bがピストンステム3の端面を図示の状態で上方に向けて押圧する。これによって再びピストンステム3がバンドブレーキ20の可動端21を押圧し、バンドブレーキ20を縮径させる。つまり2−4ブレーキ70を確実に締結させ、円滑に第4速に移行させることができる。
図10は、第4実施形態のピストンステム3の周辺における断面図である。当実施形態は、第2実施形態に対し、サーボピストン31に代えて押圧側の受圧部が2箇所あるサーボピストン31cを用いており、いわゆる1ピストン2締結側受圧部タイプのバンドブレーキ装置である点が異なっている。このバンドブレーキ装置は、第3実施形態と同様に、同じ締結圧P1(第1締結圧P1aおよび第2締結圧P1b)のときのピストンステム3の押付け力を2段階に切替えることができるという特徴がある。
シリンダ室10は、変速機ケース57の一部に形成された略有底円筒状の空間をサーボカバー34bとサーボピストン31cとで閉塞することによって形成されている。サーボピストン31cにはシールリング32dが設けられた大径部、シールリング32eが設けられた中径部およびシールリング32fが設けられた小径部とを備え、その段差に合わせてサーボカバー34bが成形されている。従って、サーボピストン31cの大径部と中径部との段差部とサーボカバー34bとに囲まれた空間に第1締結側油圧室13が形成されている。また中径部と小径部との段差部とサーボカバー34bとに囲まれた空間に第2締結側油圧室14が形成されている。そしてシリンダ室10(図示の状態では上方)の底部とサーボピストン31cの大径部とに囲まれた空間に解放側油圧室15が形成されている。
第1締結側油圧室13、第2締結側油圧室14、解放側油圧室15には、それぞれオイルを給排する第1締結圧油路13a、第2締結圧油路14a、解放圧油路15aが導かれており、それぞれ第1締結圧P1a、第2締結圧P1b、解放圧P2をかけることができるように構成されている。
ピストンステム3はサーボピストン31cに固定されている。またサーボピストン31cをバンドブレーキ20の可動端21から離反する方向に押し戻すリターンスプリング33が設けられている。
また第2実施形態と同様に、シリンダ室10の底面にはステム摺動部57aとエア抜き用通路57bとが形成され、ピストンステム3にはシール機構4b(4aでも良い)が設けられている。
当実施形態においても、第3実施形態と同様に第2速と第4速でバンドブレーキ20を締結させ、第2速においては第1締結側油圧室13に油圧が供給され、第4速においてはさらに第2締結側油圧室14に油圧が供給される。
第2速では、第1締結側油圧室13に油圧(第1締結圧P1a)が供給され、その第1締結圧P1aがサーボピストン31cのシールリング32dとシールリング32eとに囲まれた段差部に作用し、ピストンステム3をバンドブレーキ20の可動端21側に押圧する。
2→3変速時には、そのままの状態で解放側油圧室15に解放圧P2が供給される。解放圧P2が上昇し、解放圧P2による押圧力とリターンスプリング33による付勢力との和が第1締結圧P1aによる押圧力よりも大きくなると、サーボピストン31cは第1締結側油圧室13へ移動を開始する。それに伴ってピストンステム3はバンドブレーキ20の可動端21から離反する。これによって固定端22と可動端21とが離反する、つまりバンドブレーキ20が拡径するので、回転ドラム20aは完全に解放される。
この2→3変速時において、当実施形態の2−4ブレーキ70は、第2実施形態と同様のシール機構4b(または4a)を設けることによって、長期の使用後においても解放側油圧室15からのリークを低減し、もって経年変化による変速ショック増大を効果的に抑制することができる。
こうして第3速時には第1締結側油圧室13と解放側油圧室15に油圧が供給されているが、その状態で3→4変速が実行されると、第2締結側油圧室14に第2締結圧P1bが供給され、サーボピストン31cのシールリング32eとシールリング32fとに囲まれた段差部に作用し、ピストンステム3をバンドブレーキ20の可動端21側に押圧する。これによって再びピストンステム3が可動端21を押圧し、バンドブレーキ20を縮径させる。つまり2−4ブレーキ70を確実に締結させ、円滑に第4速に移行させることができる。
以上、本発明の第1〜第4実施形態について説明したが、これらの実施形態は、本発明の要旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。例えば、第2実施形態においてシール機構4a,4bでシールリング8,9を用いた形態を示したが、これら以外の合口形状を有するシールリングを用いても良い。またシールリングの本数は2本に限定するものではなく、1本または3本以上のシールリングを用いても良い。
上記実施形態では、何れもステム摺動部57aの少なくとも一部をエア抜き用通路57bとして利用する形態を示したが、本発明は、他の箇所にエア抜き用通路を設けたものや、特にエア抜き用通路を持たないものを除外する趣旨ではなく、これらのバンドブレーキ装置に本発明を適用しても良い。その場合も、長期の使用後においても解放側油圧室からのリークを低減し、もって経年変化による変速ショック増大を効果的に抑制することができるという本発明の効果を充分得ることができる。
本発明の第1実施形態に係る自動変速機の概略構成図である。 Dレンジにおいて動力伝達に関与する摩擦要素への油圧供給状態と変速段との関係を示す図である。 図1のIII−III線に相当する位置での部分断面図であり、主にバンドブレーキ装置の周辺について示す図である。 図3の部分拡大図であり、主にピストンステムに設けられたシール機構の周辺について示す図である。 シール機構の動作を示す説明図であり、(a)は解放側油圧室へのオイル供給初期の状態、(b)はオイル供給後期以降の油圧上昇時の状態をそれぞれ示す。 本発明の第2実施形態のピストンステムの周辺における断面図である。 シール機構の分解斜視図である。(a)は鉤型状合口部を有するシールリングを用いたもの、(b)は斜面状合口部を有するシールリングを用いたものである。 シールリングの動作を示す説明図である。(a)は解放側油圧室へのオイル供給初期の状態、(b)はオイル供給後期以降の油圧上昇時の状態を示す。 本発明の第3実施形態のピストンステム周辺における断面図である。 本発明の第4実施形態のピストンステム周辺における断面図である。
符号の説明
3 ピストンステム
3e シールリング溝
4,4a,4b シール機構
5 オーリング(シール機構用シール部材)
8 (シール機構用)シールリング
9 (シール機構用)シールリング
10 シリンダ室
20 バンドブレーキ
21 (バンドブレーキの)可動端
20a 回転ドラム
31,31c サーボピストン
31a (第1)サーボピストン
31b (第2)サーボピストン
57 変速機ケース
57a ステム摺動部
57b,57e エア抜き用通路
57c 環状隙間の開口端
57d 環状隙間(リーク油路)
70 2−4ブレーキ(バンドブレーキ装置)

Claims (3)

  1. 動力伝達機構を構成する回転ドラムの外周に周設されたバンドブレーキと、
    変速機ケース内に形成されたシリンダ室と、
    上記シリンダ室に摺動可能に設けられたサーボピストンと、
    上記サーボピストンと一体に設けられ、上記シリンダ室から、上記バンドブレーキの可動端まで延設されたピストンステムと、
    上記変速機ケースの、上記シリンダ室と上記バンドブレーキの可動端とを隔てる部分に設けられ、上記ピストンステムを摺動可能に挿通するステム摺動部と、
    上記シリンダ室において上記サーボピストンを隔壁の一部となす油圧室であって、当該油圧室内の油圧の上昇に伴って上記サーボピストンを上記バンドブレーキが解放する方向に移動させる解放側油圧室とを備えた自動変速機のバンドブレーキ装置であって、
    上記ピストンステムと上記ステム摺動部との間の環状隙間によって形成され、上記解放側油圧室への作動油供給初期において当該解放側油圧室に滞留したエアが排出されるエア抜き用通路と、
    上記解放側油圧室への作動油供給後期以降の油圧上昇時において、上記エア抜き用通路を形成する環状隙間をシールするシール機構と、
    を備えることを特徴とする自動変速機のバンドブレーキ装置。
  2. 上記シール機構は、上記環状隙間の開口端をシールする機構であり、
    上記ピストンステムの、上記シリンダ室より突出した部分に周設されたシール機構用シール部材を含み、
    上記シール機構用シール部材は、上記ピストンステムが締結側に移動した状態では上記環状隙間の開口端を開放し、上記ピストンステムが解放側に移動した状態では上記環状隙間の開口端を閉塞するように構成されていることを特徴とする請求項1記載の自動変速機のバンドブレーキ装置。
  3. 上記シール機構は、上記環状隙間の軸方向中間部をシールする機構であり、
    略環状で、その環の一部に、当該環を切断したような合口部が形成され、上記合口部の相対移動によって容易に拡径ならしめたシール機構用シールリングと、
    上記ピストンステムに設けられ、上記シール機構用シールリングを嵌設するシールリング溝とを含むことを特徴とする請求項記載の自動変速機のバンドブレーキ装置。
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