ラジアル部品の概要を図6に示している。図において、ラジアル部品1は、部品本体部分である部品ボデー2と、回路基板側の端子にラジアル部品1を電気接続するためのリード線3とから構成されている。ラジアル部品1は、リード線3部分を台紙テープと粘着テープとからなる供給テープ4によって、図示しないリールやつづらおりの状態で連続的に保持され、部品実装装置に順次供給される。ラジアル部品1には、一般にコンデンサなどの大型部品が含まれ、典型的な例では部品ボデー2は高さ、幅がそれぞれ10mmを越え、リード線3の長さは供給テープ4に保持された状態で数十mmに及ぶ。
供給テープ4には、ラジアル部品1をリールなどから順次引き出す際に使用される送り穴6が開口している。送り穴6は、供給テープ4の搬送方向(テープの長手方向)に均等ピッチで配置され、以下に説明するフィーダ機構の爪がこの送り穴6に入り込んで引っ掛け、前記搬送方向に移動させることにより部品1を搬送する。送り穴6のピッチは任意であるが、現状規格では12.7mm(1/2インチ)、15mmの2種類が一般に使用されている。1ピッチ送りごとに1部品を供給するのが標準であるが、大物部品を供給する際には2ピッチを送って1部品を供給することもある。
部品実装装置は、このようにして供給されるラジアル部品1を供給テープ4から切断して取り出し、別途搬入される回路基板に設けられた挿入穴にリード線3部分を挿入して当該ラジアル部品1を回路基板に固定する。
図7は、ラジアル部品1を実装する部品実装装置の概要を示している。図において、部品実装装置10は、上述した供給テープ4に保持されたラジアル部品1を連続して供給する部品供給部11と、回路基板5を搬入して所定位置に保持する基板保持部12と、ラジアル部品1を上方から回路基板5に挿入する挿入ヘッド13と、回路基板5の下側からラジアル部品1の挿入をガイドして固定する挿入ガイド部14とから構成されている。部品実装装置10全体の動作は、図示しない制御部によって制御される。
部品実装装置10の動作の概要は、まず、部品供給部11から供給されるラジアル部品1を挿入ヘッド13が取り出し、所定の挿入位置に搬送してこれを保持する。一方、XYテーブルで構成される基板保持部12が、搬入される回路基板5の挿入穴5aが所定の挿入位置となるよう回路基板5を位置決めして保持する。挿入ガイド部14のガイドピン15が、回路基板5の挿入穴5aを貫通して下方から上方に延伸し、前記保持されたラジアル部品1のリード線3を捕捉する。捕捉されたラジアル部品1を、挿入ヘッド13と挿入ガイド部14とが協働で保持しつつ下降させ、ガイドピン15と共にリード線3を挿入穴5aに貫通させてラジアル部品1を回路基板5に挿入する。
図8は、部品供給部11からの部品取り出し時の状況を示している。図において、供給テープ4により供給される1つのラジアル部品1の各リード線3(通常、1つの部品から2本のリード線が延びる)を、図7に示す挿入ヘッド13から延びる移載チャック17が把持し、この把持した状態でカッタ18がリード線3を供給テープ4から切断する。この際同時に、図面に垂直な方向に図示しない別のカッタが動作して破線で示す位置で供給テープ4が切断され、この部分が回収されて次に供給するラジアル部品の部品供給に備える。供給テープ4から切り離されたラジアル部品1を把持した移載チャック17は、その後回動して図7に示す回路基板5の部品挿入位置に対向した位置にラジアル部品1を保持する。
図8に示す供給テープ4の背後に位置する部品供給部11には、供給テープ4を矢印Aに示す搬送方向に間欠的に搬送するための部品フィーダ機構が設けられている。従来技術で知られた部品フィーダ機構の一例(例えば、特許文献1参照。)につき、図9を参照して説明する。図9において、部品フィーダ機構50には、供給テープ4に対向する側の面に、供給テープ4の送り穴6(図6参照)に嵌まる爪51(51a、51b)が複数突出している。これらはいずれも内部にある図示しないスプリングの作用で、対向する供給テープ4に向けて(すなわち、図の手前側に向けて)付勢されており、当該爪51の位置と矢印Aに示す搬送方向に向かって通過する供給テープ4の送り穴6の位置とが一致した際に爪51が送り穴6に向けて突出し、嵌まるよう構成されている。
図9に示す爪51の内、符号51aで示す方が「送り爪」であり、符号51bで示す方が「止まり爪」である。図9に示す部品フィーダ機構50の例では、これらの爪51a、51bが2ペア設けられている。この内、送り爪51aは、部品フィーダ機構50に設けられたスリット52に沿って往復移動が可能であり、矢印Aで示す搬送方向に向けた移動によって送り爪51aが嵌まった送り穴6を引張り、供給テープ4を搬送させる。この際の送り爪51aの移動は、部品フィーダ機構50内部にある図示しないエアシリンダ、リンク機構などによって駆動され、当該駆動は、部品実装装置10からの電気信号やレバー操作により、部品実装装置10側の動作と同期して行われる。一方、止まり爪51bは、以上のようにして搬送される供給テープ4が所定位置に来たときに、対応する他の送り穴6と係合することによって供給テープ4を停止させる役割を果たす。
図10は、送り爪51a(a)と止まり爪51b(b)の正面図(上)、側面図(下)をそれぞれ示している。まず図10(a)に示す送り爪51aでは、矢印Aで示す搬送方向に対して、左側半分が上方の正面図で見て送り穴6と係合する円筒面に、右側半分が下方の側面図でみて傾斜面となった半月突起状に形成されている。搬送時には、送り爪51aが、上述した背後にあるスプリングの付勢力によって送り穴6の位置と一致したときに当該送り穴6内に嵌まり、前記リンク機構の駆動力によって円筒面に係合している送り孔6を引っ掛けて供給テープ4を矢印Aに示す搬送方向へ搬送する。
供給テープ4を所定位置まで搬送した送り爪51aはそこで停止し、その後、次の搬送動作のために搬送方向である矢印Aとは逆方向に戻る。この際、送り爪51aの右半分にある傾斜面が、嵌まっている送り穴6の抵抗を受け、傾斜面に沿って送り爪51aが押し込まれ、前記付勢力を与えているスプリングを圧縮しつつ供給テープ4の裏側を滑り、元の位置まで戻る。戻った位置には次の送り穴6が位置しており、再び前記付勢力によって送り爪51aが当該次の送り穴6に嵌まり、以降、これまでの動作を繰り返す。
一方、図10(b)に示す止まり爪51bでは、逆に右側半分が正面図で見て送り穴6と係合する円筒面に、左側半分が側面図でみて傾斜面となった半月突起状に形成されている。搬送時、送り爪51aが係合している送り孔6を引っ掛けて供給テープ4を搬送する間、止まり爪51bは、この搬送力に負けて嵌まっていた送り穴6との係合が外れ、スプリングの付勢力に抗して供給テープ4の裏側に押し込まれる。これを可能にするため、送り穴6に嵌まり込む方向の止まり爪51bの前記付勢力は、送り爪51aの側よりも弱めに設定されている。
次に、送り爪51aが所定位置で停止した際、送り爪51a自身が停止しても、そのままでは勢いのある供給テープ4が慣性で前進を続けてしまう。止まり爪51bは、送り爪51aに対して送り穴6のピッチの整数倍の間隔を設けて離れて配置されているため、送り爪51aが停止した位置で止まり爪51bの正面には丁度別の送り穴6が位置していることになる。止まり爪51bは、前記スプリングの付勢力によってこの位置合わせされた送り穴6内に突出し、正面図でみて右側半分にある円筒面部分で送り穴6の円周と係合し、供給テープ4を所定位置に停止させる。
送り爪51aが戻り移動している間、止まり爪51bは送り穴6と係合したまま供給テープ4を定位置に停止して保持し続ける。送り爪51aが元の位置に戻って次の送り穴6に係合して搬送移動を始めると、止まり爪51bは送り穴6との係合から外れ、以降、これまでの動作を繰り返す。このように、送り爪51aと止まり爪51bとが交互にそれぞれ対応する送り穴6に嵌まり、送り爪51aが往復運動を繰り返すことによって供給テープ4を間欠的に搬送している。2ペアある爪51のセットは、同期して全く同様に動作する。
なお、図10(b)に示す止まり爪51bの側面図で見て左半分に傾斜面が設けられているが、これは送り爪51aと止まり爪51bとの部品共用化を図った結果によるもので、止まり爪51bの傾斜面が搬送動作の過程において特別な機能を果たすことはなく、他の形状とすることであってもよい。
ラジアル部品1の供給は、図7にも示すように、一般に供給テープ4のテープ面を垂直方向に向けて行われる。これは、ラジアル部品1の高さが数十mmにも及ぶため、アキシャル部品と同様に水平に向けて搬送すると、横方向に幅をとられて多数の供給テープから同時に部品供給を行うことに制約を受けるからである。なお、本明細書において供給テープ4の搬送におけるテープ面が垂直であるとは、水平面に対して垂直(鉛直)であることを意味している。
特開平6−216589号公報
しかしながら、上述した従来技術によるラジアル部品の部品フィーダ機構50には問題があった。まず、止まり爪51bは送り爪51aが停止すると同時に突出して送り穴6に嵌まらなければ供給テープ4を停止させることができないが、実際の部品供給時には、供給テープ4は1ピッチ分12.7mm(又は15mm)を約100ミリ秒の間に高速移動している。多数のラジアル部品1を巻き取った部品供給テープは重量物であり、高速移動後の慣性でそのまま移動すると止まり爪51bの突出直前に送り穴6が通過してしまい、係合、停止ができない場合があり得る(送り爪51aの方には停止させる機能はなく、慣性で傾斜面を乗り上げる供給テープ4によって押し込まれるだけとなる。)。したがって、部品の搬送動作の信頼性に乏しいという問題が残っていた。
次に、送り爪51aが往復動をして供給テープ4を搬送する機構であることから、戻り移動のためのロスが発生している。片道約100ミリ秒で往復約200ミリ秒とすれば、例えばラジアル部品の部品実装でも250ミリ秒/1部品のサイクルが実現されている現状では、他の動作に手待ちのタイムロスが生じ得る。通常、部品供給部11(図7参照)には複数の供給テープ4から同時並行的に部品1が供給されるため、その間に他の部品1を供給することでこのようなロスを回避することは可能であるが、少なくとも同一部品を連続して供給するような場合には手待ちタイムロスを発生させる原因となり得る。
上述したように、大型部品では送り穴6の2ピッチ分で1つの部品1を送ることがあるが、特にこのような場合には往復動式の従来の部品フィーダ機構50では、送り爪51aが二往復する必要があり、1部品搬送の間においてもタイムロスが生じている。2ピッチ分を一度に移動するリンク機構を用いた場合には一往復でよいものとなるが、この場合には戻り時間が倍増して同様のタイムロスが生じ、また1ピッチ送りの部品に対する互換性を喪失する。
さらに、他の問題は、段取り替えに時間を要することである。上述したように、供給テープ4の送り穴ピッチには、現状でも一般に12.7mmと15mmの二種類があり、さらにはその他のピッチとなることも考えられる。従来技術による部品フィーダ機構50では、送り爪51aのストロークはこれを駆動するためのリンク機構によって定まるため、この送り穴ピッチが変更される場合には、段取り時に部品フィーダ機構50全体を取り替える必要があった。このための時間を要し、設備稼働率の低下を招く原因となっていた。
以上より、本発明は、部品フィーダの搬送信頼性を高め、送り爪の戻り動作に起因するタイムロスを回避して部品供給のサイクル短縮を可能にし、さらに段取り替え時におけるピッチ変更にも対応できる柔軟性を備えた部品フィーダ機構を提供することを目的としている。
本発明は、供給テープのテープ面に略平行な面で回転する送りホイールの回転面に複数の送り爪を円周状に配し、常時少なくとも2つの送り爪が供給テープの送り穴と係合して前記送りホイール爪を円周状に回転させる部品フィーダ機構を提供することによって上述した問題を解消するもので、具体的には以下の内容を含む。
すなわち、本発明にかかる1つの態様は、複数のラジアル部品を接着保持した供給テープを部品実装装置に対して間欠搬送するためのラジアル部品搬送方法であって、
前記供給テープのテープ平面に略平行となる回転面に複数の送り爪が円周状に配列されて回転する送りホイールを、前記回転面の回転接線方向が前記供給テープの搬送方向に略同一方向となる部分で前記供給テープに対向するよう配置し、
前記送りホイールの回転に応じて前記供給テープに対向する位置に至った前記回転面の部分に配列された送り爪の一端を前記供給テープに向けて突出させて当該供給テープに設けられた送り穴に係合させ、
前記送りホイールの回転に応じて前記供給テープに対向する位置を通過する間にある前記送り穴に係合した送り爪を前記搬送方向に向けて略直線状に駆動し、
前記送りホイールの回転に応じて前記供給テープに対向する位置から離れる前記回転面の部分に配列された送り爪の前記一端を前記送り穴から後退させて前記係合を解除させ、
前記複数の送り爪による前記係合、直線状の駆動、係合解除を、前記送りホイールの回転に応じて同時並行的に行い、前記供給テープを間欠搬送することを特徴とするラジアル部品搬送方法に関する。
前記供給テープに向けた前記送り爪の一端の突出と後退、前記送り穴に係合した送り爪の搬送方向へ向けての直線移動とは、当該送り爪の他端に接触するカム溝、またはスロープ付きガイドバーを利用して制御することができる。
あるいは、前記供給テープに対向する前記送りホイールの回転面を略円錐面状に形成し、前記回転面が前記供給テープに対向する位置では当該供給テープのテープ面に接近し、前記送りホイールの回転軸に対して前記供給テープに対向する位置と反対側の位置では前記テープ面から後退するよう前記送りホイールを前記供給テープに対して傾斜して配置することにより、前記供給テープに向けた前記送り爪の一端の突出と後退とは、前記送りホイールの回転に応じて前記供給テープに接近、後退する前記回転面を利用して制御し、前記送り穴に係合した送り爪の搬送方向へ向けての直線移動は、当該送り爪の他端に接触する直線状のガイドバーを利用して制御することができる。
また、上述した部品供給方法では、前記テープ平面上で前記供給テープの搬送方向と直交する方向にある前記送りホイールの回転中心と前記供給テープに設けられた送り穴との間の距離を増減することにより、送り穴のピッチが異なる複数仕様の供給テープを搬送することができる。
本発明にかかる他の態様は、部品供給部に供給されたラジアル部品を挿入ヘッドにより取り出し、前記挿入ヘッドが挿入ガイド部と協働して基板保持部に保持された回路基板の挿入穴に前記ラジアル部品のリード線を挿入して実装するラジアル部品実装方法であって、前記部品供給部へラジアル部品を供給するため、上述したいずれか一のラジアル部品搬送方法を利用するラジアル部品実装方法に関する。
本発明にかかるさらに他の態様は、複数のラジアル部品を接着保持した供給テープを部品実装装置に対して間欠搬送するための部品フィーダ機構であって、回転によって前記供給テープの搬送方向と略同一方向に移動する回転面の部分を前記供給テープに対向させて回転する送りホイールと、前記送りホイールを間欠回転駆動させる回転駆動部と、前記送りホイールの回転面に設けられた半径方向に延びる複数のスリット内にそれぞれ収納されて前記供給テープに対向する位置で前記供給テープに向けて一端を突出させて当該供給テープに設けられた送り穴に係合する送り爪と、前記送りホイールに対して前記供給テープの反対側に配置され、前記供給テープに対向する位置に移動した前記送り爪の他端に接触し、当該送り爪の前記供給テープに向けた突出と後退、当該送り爪の前記搬送方向に向けた直線移動のいずれか一方、もしくは双方を制御するガイド部とから構成され、前記送り穴に係合した前記送り爪を利用して、前記送りホイールの回転に応じて前記供給テープを間欠搬送することを特徴とする部品フィーダ機構に関する。
前記各送り爪を付勢手段により前記ガイド部に向けて常時付勢し、前記ガイド部は、前記送りホイールの回転に応じて前記供給テープに対向する位置に移動してきた前記送り爪を前記供給テープの送り穴に向けて突出させ、前記搬送方向に向けて直線移動させ、前記供給テープに対向する位置から離れる前記送り爪を、前記送り穴から後退させるよう規制するカム溝を備えたカム板から構成することができる。
前記各送り爪を付勢手段により常時前記ガイド部に向けて付勢し、かつ前記各送り爪を他の付勢手段により前記送りホイールの半径方向外側に向けて常時付勢し、前記ガイド部は、前記送りホイールの回転に応じて前記供給テープに対向する位置に移動してきた前記送り爪を前記供給テープの送り穴に向けて突出させ、前記供給テープに対向する位置から離れる前記送り爪を前記送り穴から後退させるスロープ部と、前記送りホイールの回転に応じて前記供給テープに対向する位置を通過する間にある前記送り穴に係合した送り爪を前記搬送方向に向けて直線移動させるよう規制するガイドバー部とからなるスロープ付きガイドバーから構成することができる。
前記送りホイールを、前記供給テープに対向する位置で前記回転面が当該供給テープのテープ面に接近し、前記送りホイールの回転軸に対して前記供給テープに対向する位置と反対側の位置では前記テープ面から後退するよう円錐状に形成し、前記各送り爪を付勢手段により常時前記供給テープに向けて付勢し、かつ他の付勢手段により前記送りホイールの半径方向外側に向けて常時付勢し、前記ガイド部は、前記送りホイールの回転に応じて前記供給テープに対向する位置に移動してきた前記送り爪を、前記供給テープに対向する位置を通過する間に前記搬送方向に向けて直線移動させるよう規制するガイドバーから構成することができる。
前記部品フィーダ機構は、前記供給テープ及び前記ガイド部に対する前記送りホイールの回転中心の距離を増減させることにより、送り穴ピッチの異なる他の供給テープの搬送を行うピッチ調整機構をさらに備えることができる。
本発明にかかるさらに他の態様は、ラジアル部品を供給する部品供給部と、回路基板を搬入して保持する基板保持部と、ラジアル部品を前記部品供給部から取り出し、前記保持された回路基板に対向して保持する挿入ヘッドと、前記回路基板に対して前記挿入ヘッドの反対側に配置され、前記挿入ヘッドと協働して前記ラジアル部品のリード線を回路基板の挿入穴に通過させて部品実装する挿入ガイド部とから構成されるラジアル部品実装装置であって、前記部品供給部が、上述したいずれか一の部品フィーダ機構を備えていることを特徴とするラジアル部品実装装置に関する。
本発明にかかる部品フィーダ機構を実施することにより、ラジアル部品供給の信頼性を高め、部品実装の品質向上を図ることができるほか、サイクル時間の短縮、段取り時間の短縮に伴う部品実装の生産性向上をも実現することができる。
本発明にかかる第1の実施の形態の部品フィーダ機構について、図面を参照して説明する。図1(a)、(b)は、本実施の形態にかかる部品フィーダ機構20を示している。この内、図1(a)は、搬送される供給テープ4の面を正面に見た部品フィーダ機構20の正面図、図1(b)はこれを供給テープ4の搬送方向から見た側面図である。従来技術と同様な構成要素に対しては同一の符号を用いている。
図1(a)において、ラジアル部品1を連続して接着保持した供給テープ4は、図の右から左へ向けて矢印Aで示すように間欠搬送され、部品供給部11を通過する。この供給テープ4と重なるようにして、本実施の形態にかかる部品フィーダ機構20が配置されている。部品フィーダ機構20は、複数の送り爪21を円周状に配して回転する送りホイール22と、送りホイール22を回転させる回転駆動部23と、送りホイール22の背後に配置され、送り爪21を供給テープ4の送り穴6に係合させるよう制御するカム溝25を備えたカム板24とから構成されている。
この内、送りホイール22は、回転時の回転接線方向が供給テープ4の搬送方向と略同一方向となる回転面の部分が供給テープ4と対向するよう配置され、供給テープ4のテープ平面に垂直方向に延びる回転軸27により回転自在に支持されている。送りホイール22は、半径方向に放射状に延びる複数のスリット26を開口させ、各スリット26内に送り爪21を前記半径方向に移動自在に収容している。送りホイール22の外周には、図示しないリング状のギアが切られている。
回転駆動部23は、モータ28と、モータ28の回転軸に取り付けられたウォームギア29とを含み、ウォームギア29は、上述した送りホイール22の外周にあるリング状のギアに係合している。モータ28は、回転量が制御可能なサーボモータまたはステップモータからなり、回転の制御は図示しない部品実装装置10(図7参照)の制御部による指令に基づく。
図1(b)において、カム板24は、送りホイール22に対向する円板状に形成され、送りホイール22に対向する面に、送り爪21の一端をガイドする無端状のカム溝25が掘られている。このカム溝25の正面から見た形状は、図1(a)の破線で示すように概略長円状に設けられ、特に供給テープ4に対応した位置では、移動する送り穴6に対向して一定長さの直線部が形成されている。この直線部の長さは、送り穴6に対応する位置にある送り爪21が少なくとも2個同時に送り穴6と係合できるよう設定されることが好ましい。
図1(b)に戻って、カム溝25の深さは一定ではなく、図の上方に示す前記供給テープ4に対向した直線部の間ではカム溝25は相対的に浅く、図の下方に示す部分では相対的に深く形成され、この両者の間ではこの両深さが滑らかに移行するよう形成されている。このため、カム溝25に嵌まった各送り爪21は、図の上方位置では浅いカム溝25に押されて図の左側に突出し、先端部分が供給テープ4の対応する送り穴6と係合する。逆に、図の下方位置では送り爪21は深いカム溝25に嵌まり、供給テープ4に対向する側の送りホイール22の面にほぼ面一となる程度に後退している。
図2は、送りホイール22のスリット26に収納された送り爪21と、カム板24との関係を拡大して示している。図2において、スリット26内にある送り爪21は、ガイドブッシュ31内に挿入されている。ガイドブッシュ31は、送りホイール22の半径方向(図の上下方向)にスリット26の側壁に沿って移動する送り爪21をガイドする。送り爪21には段差部32が設けられ、段差部32とガイドブッシュ31のフランジ面との間に付勢手段となるアキシャルスプリング33が配置されている。このアキシャルスプリング33の弾性力により、送り爪21は常時図の右側に位置するカム板24に向けて付勢されている。
図2の上側に示す供給テープ4に対向する位置では、カム板24に設けられたカム溝25が浅く形成されており、送り爪21は段差部32でアキシャルスプリング33を圧縮して図の左側に突出し、供給テープ4の送り穴6に係合している。一方、図の下側に示す位置では、カム溝25が深く掘られていることから、送り爪21はアキシャルスプリング33の付勢力によって送りホイール22内に後退している。
以上のように構成された本実施の形態にかかる部品フィーダ機構20は、以下のように動作する。図1(a)に示す状態で1つのラジアル部品1が取り出されると、部品実装装置10の図示しない制御部からの指示に基づき、モータ28が所定量回転し、ウォームギア29を介して送りホイール22が所定量回転する。この際の所定量とは、例えば係合する供給テープ4が1ピッチ分だけ移動する量となる。この回転により、カム溝25の浅い部分に接して送りホイール22の表面から突出し、供給テープ4の送り穴6に係合している送り爪21が、供給テープ4を1ピッチ分だけ矢印Aに示す方向に搬送する。
この際、送り穴6に係合している送り爪21は、送り穴6の移動軌跡と平行なカム溝25の前記直線部を移動するため、送り穴6に対して図1(a)の上下方向に力を及ぼすことはない。但し、送りホイール22は回転軸27を中心として回転するため、送り爪21は送りホイール22に設けられたスリット26内を半径方向へ移動するものとなる。
また、前の停止時において搬送方向の先端側(下流側)で送り穴6と係合していた送り爪21は、送りホイール22の回転に伴ってカム溝25の深さが深くなる位置に移動し、送りホイール22の内部に収納されて送り穴6との係合を解除する。その後、当該送り爪21は、カム溝25に沿って前記直線部から曲線部へと移動し、究極的には次の会合位置に向けて戻る。逆に先の停止時において供給テープ4の送り穴6と会合直前の後端位置(回転上流側)にあった送り爪21は、送りホイール22の回転に伴ってカム溝25の深さが浅くなる位置に移動し、前記直線部に至って送りホイール22の表面から突出して送り穴6と係合する。このいずれの送り爪21も、送りホイール22に設けられたスリット26内で半径方向に移動している。
以上の動作により、モータ28の間欠回転駆動によって送りホイール22が間欠回転し、その都度新たな送り爪21が順次供給テープ4の送り穴6と係合し、直線的に供給テープ4を搬送した後、順次送り穴6との係合を解除し、この動作を同時並行的に繰り返している。
各図からも明らかなように、本実施の形態にかかる部品フィーダ機構20は、供給テープ4の搬送を無駄の多い往復動から円滑な回転運動による駆動に置き換え、かつ部品供給部の狭いスペース内に機構全体を巧みに収納することを可能にしている。なお、図1(b)で、送りホイール22に対向してカム板24の反対側に設けられているサポート板37は、送りホイール22の回転軸27を保持すると共に、送り爪21が嵌まった供給テープ4が逃げないよう背後からこれをバックアップする役割を果たしている。
さらに、このサポート板37と、これに固定された回転軸27及び送りホイール22とを、背後にあるカム板24に対して図1(b)の上下方向に相対的に移動可能に構成することにより、前記供給テープ4と対向した位置で前記直線部を移動する送り爪21相互間のピッチを変更することができる。これは、回転軸27が移動することにより、放射状に広がるスリット26内における送り爪21の高さ位置が変化するからである。このようなピッチ調整機構を設けることにより、送り穴6のピッチが異なる他の形式の供給テープ4の搬送をも、同一の部品フィーダ機構を用いて行うことができるようになる。
従来技術においては、送り穴6のピッチが変化した他の供給テープ4を搬送するためには、部品フィーダ機構全体を取り替える必要があったことに対し、本実施の形態の部品フィーダ機構20では、送りホイール22の回転軸27と供給テープ4の送り穴6との間の距離を変更するだけでよく、段取り時間を大幅に低減する効果を生む。前記ピッチ調整機構は、カム板24とサポート板37との間で相互に嵌合する凹部、凸部を設けてスライド式とすることなどにより、容易に設けることができる。
以上、本実施の形態にかかる部品フィーダ機構20を従来技術によるものと比較した場合の優位点をまとめると以下のようになる。
(1)搬送の信頼性が高い
送り爪21は半月状ではなくて円筒状に形成することができ、送り穴6にピッタリと嵌合して搬送方向、停止方向を同時に規制している。この送り爪21がカム溝25の直線部で好ましくは少なくとも2つ以上が係合するように配置される結果、供給テープ4の送り、停止を確実に制御することができる。このため、従来のものに比べて供給テープ4の搬送スピードを更に高めることも可能となる。
(2)サイクルロスがない
送りホイール22は、搬送時においては常に一方向に回転するだけであり、従来技術のような往復運動はない。したがって、従来技術のほぼ半分のサイクル時間(例えば、100ミリ秒)で連続して部品の供給が可能となる。また、大型部品を2ピッチ送りで搬送する場合でも送りホイール22の回転量を倍増するだけでよく、従来技術のほぼ2/3のサイクル時間で部品送りが可能となる。
(3)段取りが容易である
送りピッチが変更となった場合、図1(a)において、送り穴6の位置と、送りホイール22の回転軸27の位置との間の距離を変化させるだけで、任意の送りピッチに調整することができる。特に、現状規格の12.7mmと15mmとの2種類のピッチであれば、上下にストッパを設けておくことなどで前記距離は簡単に調整が可能である。なお、この調整の際には送りホイール22と共に回転駆動部23とも移動させなければならない。
(4)その他
リンク機構を主体とした高速往復移動がなくなり、各可動部を含む機構全体の耐久性が増し、故障などに伴うメンテナンスが減り、騒音が低減される効果を生む。
なお、本実施の形態では、従来技術の部品フィーダ機構の往復動駆動を回転駆動とした巧みな構成に変更しているが、供給テープを水平方向に向けて搬送されるアキシャル部品の搬送においては従来から供給テープの送り穴に係合するスプロケット状の搬送ホイールが用いられている。しかしながら、供給テープのテープ面を垂直に向けて搬送されるラジアル部品の供給テープには、スペース上の制約から同様な搬送ホイールの適応が困難であると考えられてきたため、これまで実用化がされていなかったものである。
次に、本発明にかかる第2の実施の形態の部品フィーダ機構について、図面を参照して説明する。図3(a)、(b)は、本実施の形態にかかる部品フィーダ機構30を示しており、図3(a)は正面図、図3(b)は側面図である。それぞれ図1(a)、(b)に対応しているが、図3(a)では奥側に位置する供給テープ4を手前側に位置する本実施の形態にかかる部品フィーダ機構30の側から見ている点で図1(a)と相違している。したがって、図3(b)に示す側面図では、図1(b)とは逆に部品フィーダ機構30の右側に供給テープ4が現れる。本実施の形態にかかる部品フィーダ機構30は、基本的に第1の実施の形態にかかる部品フィーダ機構20と同様の構成であり、以下は主に両者の相違点について説明する。
図3(a)において、部品フィーダ機構30は、複数の送り爪21がスリット26内に円周状に配置された送りホイール22を備えるが、本実施の形態では、各スリット26内に付勢手段であるラジアルスプリング46が設けられている点で相違している。すなわち、先の実施の形態では、送り爪21はスリット26内でフリーに移動することができ、これをカム溝25により制御していたものに対し、本実施の形態では、送り爪21はラジアルスプリング46によって常時スリット26の半径方向外側に向けて付勢されている。
本部品フィーダ機構30ではさらに、カム板24を使用せず、代りにスロープ付きガイドバー35を備えている。図3(a)では、手前側に位置するスロープ付きガイドバー35(35a、35b)を2点鎖線で示しているが、図3(b)にその断面を示している。図3(b)において、スロープ付きガイドバー35は、本体であるガイドバー部35aが図面に垂直に直線状に形成され(図3(a)では直線状の2点鎖線35aで示される)、これにスロープ部35bが一体に形成されている。スロープ部35bは、図3(b)の断面では直線状のスロープで示されているが、三次元で見た場合には、第1の実施の形態のカム溝25に倣った曲面状に形成されている。概要としては、円錐面の一部を底面に垂直な平面で切り落とした如き形状となる。送りホイール22の回転に応じて移動してくる各送り爪21は、移動と共にこのスロープ部35bに接してせり上がり、図3(b)の上方に示す上死点においてスロープ部35bの上端に乗り上げ、右方向に押し出されて供給テープ4の送り穴に係合可能である。
さらに、ラジアルスプリング46の作用で半径方向外側に付勢された送り爪21は、スロープ部35bをせり上がる過程でガイドバー部35aの直線状の側面に接触し、その後はガイドバー部35aに規制され、スリット26内にあるラジアルスプリング46を圧縮しつつ、ガイドバー部35aに沿って搬送方向に直線的に移動する。図3(b)の下方に示す送り爪21は、何らの規制もされていないためにラジアルスプリング46に付勢されて半径方向外側に移動している。更に、図2を参照して説明したアキシャルスプリング33の付勢力により、図の左側に後退している。
以上のように構成された本実施の形態にかかる部品フィーダ機構30の動作は、基本的に第1の実施の形態と同様である。すなわち、制御部の指令で回転駆動部23が送りホイール22を回転させ、これに伴って移動する各送り爪21が順次スロープ付きガイドバー35の規制作用によって対向する供給テープ4の送り穴6と係合し、これをガイドバー部35aのガイドで直線的に引張って一定距離を搬送した後、スロープ部35bの下りスロープに沿って後退して送り穴との係合を解除、その後、送りホイール22の回転によって元の位置に戻る。各送り爪21は、これを同時並行的に繰り返して動作している。
本実施の形態にかかる部品フィーダ機構30は、第1の実施の形態と全く同様の特徴を有しており、すなわち、従来技術に対して、(1)搬送の信頼性が高く、(2)往復運動に伴うサイクルロスがなく、(3)送りホイール22とスロープ付きガイドバー35とのの相対位置を移動させるだけで送りピッチの調整ができるために段取りが容易である、という優れた効果を得ることができる。
そして、第1の実施の形態にかかる部品フィーダ機構20と比較した場合、カム深さ、カム形状ともに微妙な加工が要求されるカム板24の代りに、より小さくて加工が容易なスロープ付きガイドバー35に置き換えることができ、コスト、重量などが削減できる効果がある。
次に、本発明にかかる第3の実施の形態の部品フィーダ機構について、図面を参照して説明する。図4(a)、(b)は、本実施の形態にかかる部品フィーダ機構40を示しており、図4(a)は正面図、図4(b)は側面図である。それぞれ図1(a)、(b)、あるいは図3(a)、(b)に対応している。図4(a)は、図3(a)と同様、奥側に位置する供給テープ4を手前側に位置する本実施の形態にかかる部品フィーダ機構40の側から見ており、図4(b)に示す側面図では部品フィーダ機構40の右側に供給テープ4が現れる。
図4(a)において、本実施の形態にかかる部品フィーダ機構40は、複数の送り爪41を円周状に配した送りホイール42と、送りホイール42を回転させる回転駆動部23と、送りホイール42の背後にあって、送り爪41を直線移動するようガイドするガイドバー45とから構成されている。送りホイール42の外周にはリング状のギアが形成され、このギアに回転駆動部23のモータ28によって駆動されるウォームギア29が係合する点は、第1、第2の実施の形態と同様である。さらに、スリット26内にラジアルスプリング46が設けられ、各送り爪41を送りホイール42の半径方向外側へ付勢している点は、第2の実施の形態と同様である。
本部品フィーダ機構40の特徴は、図4(b)に見られるように、送りホイール42の回転面が円錐状に形成され、送りホイール42の回転軸47が、供給テープ4のテープ平面に垂直な軸から傾斜して斜めに設けられている点にある。この構成により、送りホイール42に円周状に配置された複数の送り爪41は、図の上方の供給テープ4に対向する位置では送り穴6に係合可能な位置まで供給テープ4に接近し、逆に図の下方では供給テープ4のテープ面から後退した位置に移動している。
さらに、図の上方の供給テープ4に対向する位置では、送り爪41の一端がガイドバー45に接触し、これによって図の上方では送りホイール42の回転に従って送り爪41は、ガイドバー45に沿って直線状に移動する。この状況は図4(a)によってより明らかであり、2点鎖線で示すガイドバー45が直線状に形成されているため、送り爪41は、ガイドバー45に接して拘束され、矢印Aに示す搬送方向に直線状に移動する。この間、送り爪41は、送りホイール42に設けられたスリット26内を、ラジアルスプリング46を圧縮しつつ移動する。
図5は、送りホイール42のスリット26に収納された送り爪41が、ガイドバー45に接触して供給テープ4の送り穴6と係合しているときの状態を拡大して示している。図5において、スリット26内にある送り爪41は、ガイドブッシュ31内に挿入され、ガイドブッシュ31は、スリット26の側壁に沿って送りホイール42の半径方向(図の上下方向)に移動する送り爪41をガイドする。送り爪21には段差部32が設けられ、段差部32とガイドブッシュ31のフランジ面との間にアキシャルスプリング33が配置されている。このアキシャルスプリング33の弾性力により、送り爪41は、常時図の右側に位置する供給テープ4に向けて付勢されている。この付勢方向は、先の第1及び第2の実施の形態とは逆方向となる。
送り爪41はさらに、ガイドブッシュ31を介して、スリット26内にあるラジアルスプリング46により半径方向外側(図の上方)に付勢されている。図5に示す状態では、ガイドバー45が送り爪41の半径方向外側への移動を拘束しているため、送り爪41はラジアルスプリング46を圧縮しつつスリット26内を半径方向内側に移動している。
以上のように構成された本実施の形態にかかる部品フィーダ機構40の動作を、再度、図4(a)、(b)を参照して説明する。図4(a)に示す状態で1つのラジアル部品が取り出されると、制御部からの指示に基いてモータ28が所定量回転し、ウォームギア29を介して送りホイール42を所定量回転させる。この回転により、図4(a)の一番右側の位置でスリット26の半径方向外側に付勢された送り爪41が、2点鎖線で示すガイドバー45の接触面に接触し、スリット26内のラジアルスプリング46を圧縮しつつ、供給テープ4の搬送方向Aに向けて直線運動を開始する。
図4(b)において、ガイドバー45に接触する以前の下側に示す送り爪41では、送りホイール42の傾斜のために供給テープ4より奥まった(図の左側方向の)位置に後退しており、これが順次上昇してもある段階までは供給テープ4と干渉することはない。この送り爪41が上方のガイドバー45に接近するにしたがって図の右方向に前進し、いずれかの段階で供給テープ4に接触する。その接触時には、送り爪41を段差部32で付勢するアキシャルスプリング33を圧縮して送り爪41が一次的に後退する。
図4(a)に戻って、送りホイール42の更なる回転によって当該送り爪41も回転すると、同じく矢印Aに示す搬送方向に移動中の供給テープ4の送り穴6も対応する会合位置に接近してきており、両者の位置が一致したときに送り爪41はアキシャルスプリング33の付勢力で送り穴6内に突出し、図5に示すように両者が係合する。送りホイール42のさらなる間欠回転により、送り爪41はガイドバー45の規制で搬送方向に直線的に前進するが、送り爪41が図4(b)の上死点に至るまでは、傾斜した円錐面上に配置された送りホイール42のために、送り爪41は供給テープ4に接近する方向に前進しており、当該送り爪41と送り穴6との係合が外れることはない。このため、供給テープ4の搬送を確実に実行することができる。
送り爪41が送りホイール42の回転の上死点を越えると、さらなる間欠回転で搬送方向に対してはガイドバー45による規制で引き続き直線移動を継続するものの、送りホイール42の円錐面配置のために送り爪41は徐々に供給テープ4から後退する。そして、送り爪41がスリット26の半径方向先端に至ってガイドバー45との接触が外れ、同時に、供給テープ4から十分に後退した位置に至った送り爪41は、送り穴6との係合も解除される。その後の供給テープ4の搬送は後続する他の送り爪41が担い、スリット26内のスプリング46の作用によってスリット26の半径方向最外側に向けて付勢されたままの送り爪41は、送りホイール42の回転によって元の位置にもどり、以降、これまでの動作を繰り返す。
本実施の形態に示す送り爪41では、送り穴6に係合する側の先端を図5に示すように曲面状に形成することが好ましい。これまでの2つの実施の形態では、カム溝25またはスロープ部35bの作用で、送り爪21は背後から押し込まれて送り穴6と係合していた。これに対し、本実施の形態の送り爪41では、傾斜した回転軸47を中心に円錐状の曲面に応じて送り穴6に接近し、アキシャルスプリング33の付勢力によって自ら送り穴6と係合する構造とされているため、先端を曲面状形状とすることが送り穴6との係合、係合解除をより円滑にする。
本実施の形態にかかる部品フィーダ機構40も、第1の実施の形態と全く同様の特徴を有しており、すなわち、従来技術に対して、(1)搬送の信頼性が高く、(2)往復運動に伴うサイクルロスがなく、(3)送りホイール42の位置を移動させるだけで送りピッチの調整ができるために段取りが容易である、という優れた効果を得ることができる。
そして、第1の実施の形態にかかる部品フィーダ機構20と比較した場合、カム深さ、カム形状ともに微妙な加工が要求されるカム板24を、直線状で全く簡素な構造のガイドバー45に置き換えることができ、コスト、重量などが削減できる効果がある。また、第1及び第2の実施の形態にかかる部品フィーダ機構20、30と比較した場合、送りホイール42を傾斜して配置したことにより、送り爪41を送りホイール42の回転に応じて滑らかに供給テープ4に接近させることができる。このため、送り爪41を常時供給テープ4に向けて付勢させたままとしておくことができ、カムやスロープなどを使用した送り爪41の後からの押し込み作用が不要となり、例えば押し込み量の調整などの微妙な調整作業を排除する効果が得られる。ガイドバー45と接する送り爪41の端末部にはローラを取り付け、ガイド作用をより円滑にすることもできる。
なお、本明細書では、各実施の形態で示してきた送り爪の動きを制御するためのカム板25、スロープ付きガイドバー35、ガイドバー45を総称して「ガイド部」と呼ぶものとする。
以上、本発明にかかるラジアル部品用の部品フィーダ機構の各実施の形態につき説明してきたが、本発明は前記各部品フィーダ機構を利用してラジアル部品の搬送を行うラジアル部品搬送方法をも包含している。本発明はさらに、前記各部品フィーダ機構を利用する部品供給部を備えた部品実装装置、及び前記ラジアル部品搬送方法を利用する部品実装方法をも包含している。
すなわち、本発明にかかる部品実装装置は、ラジアル部品を供給する部品供給部と、回路基板を搬入して保持する基板保持部と、ラジアル部品を前記部品供給部から取り出し、前記保持された回路基板に対向して保持する挿入ヘッドと、前記回路基板に対して前記挿入ヘッドの反対側に配置され、前記挿入ヘッドと協働して前記ラジアル部品のリード線を回路基板の挿入穴に通過させて部品実装する挿入ガイド部とから構成されるラジアル部品実装装置であって、前記部品供給部が、上述した各実施の形態に記載の部品フィーダ機構を備えたものである。
そして、本発明にかかる部品実装方法は、部品供給部に供給されたラジアル部品を挿入ヘッドにより取り出し、挿入ガイド部と協働して基板保持部に保持された回路基板の挿入穴に前記ラジアル部品のリード線を挿入して実装するラジアル部品実装方法であって、前記部品供給部へラジアル部品を供給するため、上述した各実施の形態に記載の部品フィーダ機構を利用した部品搬送方法により部品搬送を行うものである。
1.ラジアル部品、 4.供給テープ、 6.送り穴、 10.部品実装装置、 11.部品供給部、 20.部品フィーダ機構、 21.送り爪、 22.送りホイール、 23.回転駆動部、 24.カム板、 25.カム溝、 26.スリット、 27.回転軸、 30.部品フィーダ機構、 33.アキシャルスプリング、 35.スロープ付きガイドバー、 40.部品フィーダ機構、 41.送り爪、 42.送りホイール、 45.ガイドバー、 46.ラジアルスプリング、 47.回転軸、 52.スリット。