JP4600957B2 - スラスタ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、宇宙航行体に装備されて、例えば、軌道上において人間の活動を支援する動力として使用するのに好適なスラスタに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、上記したスラスタとしては、例えば、ガスタンクに窒素ガスなどの不活性ガスを数10Mpa(数百気圧)の高圧で圧縮貯蔵し、この高圧ガスをレギュレータおよび電磁弁で圧力や量の調節を行いながらノズルから噴出させるようにした構成をなすものがある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上記した従来のスラスタにおいて、構造はシンプルであるものの、ミッションに応じて設定された容積のガスタンクに実用上必要なガス量を貯蔵しようとすると、上述のように数10Mpa(数百気圧)の高圧で圧縮しなくてはならないのに加えて、ガスを高圧で圧縮する都合上、とくに打ち上げ環境においてガスがリークしたりガスタンクが破損したりしないように、気密性および構造強度を高めなくてはならず、コストが上昇してしまうという問題があった。
【0004】
また、ガスをガスタンクに充填する際には、高圧で圧縮充填する設備が必要であるうえ、この圧縮充填作業が危険を伴うことから、軌道上において再充填することが困難であり、まして、人間がハンドリングすることは不可能であるという問題を有しており、これらの問題を解決することが従来の課題となっていた。
【0005】
【発明の目的】
本発明は、上記した従来の課題に着目してなされたもので、高圧ガスの取り扱いを前提とした気密性および高い構造強度を必要とすることがなく、その分だけ、小型軽量化を図ってコストを大幅に低減させることが可能であり、加えて、安全性の向上を実現でき、その結果、軌道上での人間によるハンドリングおよびガスの再充填が可能になるスラスタを提供することを目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載した発明は、大量の水素を吸蔵して低圧貯蔵するとともに、常温付近で必要な圧力に昇圧した水素を放出可能な特性を有する水素吸蔵合金を具備した水素貯蔵部と、水素を放出した水素貯蔵部に熱を加えて、その水素貯蔵部の水素吸蔵合金の温度を水素放出時の状態に回復させて維持するヒータ部と、水素を噴出させるノズルを備えたことを特徴としている。
【0007】
ここで、水素貯蔵部に用いる水素吸蔵合金は、低圧貯蔵した水素を常温付近で必要な圧力に昇圧して放出することができるといった特性を有しているので、水素の充填時において、水素吸蔵合金を低温にすれば、より低圧での水素の充填が可能になる。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載したヒータ部が、常温付近の環境下における平衡水素圧力の高低に応じて水素を吸蔵・放出する互いに異なる2種類の水素吸蔵合金を具備し、両水素吸蔵合金の各々の生成熱の差を水素貯蔵部に加えるべく配置したものである。
請求項3に記載した発明は、請求項2に記載したヒータ部の2種類の水素吸蔵合金のうちの平衡水素圧力の低い一方の水素吸蔵合金を水素貯蔵部の水素吸蔵合金と相互に熱交換可能に設け、水素貯蔵部の水素吸蔵合金から水素が放出された段階において一方の水素吸蔵合金に発熱反応を生じさせるべく平衡水素圧力の高い他方の水素吸蔵合金から一方の水素吸蔵合金に対して水素を供給可能とすると共に、水素貯蔵部の水素吸蔵合金に水素を再充填する段階においてヒータ部の一方の水素吸蔵合金に吸熱反応を生じさせるべく一方の水素吸蔵合金から水素を放出可能とし、ヒータ部の他方の水素吸蔵合金に水素を複数回充填可能としている。
【0009】
請求項4に記載の発明は、請求項2又は3に記載した水素貯蔵部及びヒータ部の各水素吸蔵合金を外殻から略離間させた状態でケースにそれぞれ収納している。
請求項5に記載の発明は、請求項1ないし4のいずれか1項に記載した水素貯蔵部とノズルとの間に、その水素貯蔵部から放出された水素を所定のパルスを生じさせるのに必要な量だけ貯める気貯め部を設けたものである。
【0010】
この場合、水素貯蔵部及びヒータ部の各水素吸蔵合金には、ランタン・ニッケル(LaNi5 )合金やランタンをミッシュ・メタル(Mm)に置き換えたMmNi5 系合金などの希土類系合金を採用することができるほか、比較的安価なチタン・鉄(TiFe)系合金を用いることができる。
【0011】
また、水素貯蔵部及びヒータ部の各水素吸蔵合金には、いずれも粒径が2〜40μm(好ましくは4〜10μm)の粉末状をなしたものを使用し、熱伝導性を高めるために合金表面に銅を化学処理してコーティング(マイクロカプセル化)したものを用いることが望ましい。
【0012】
【作用】
請求項1に記載したスラスタでは、上記した構成としているので、ノズルから水素を噴出させて1回目のスラストを生じさせると、水素貯蔵部の圧力が低下して水素吸蔵合金から水素が放出され、2回目のスラスト発生の準備がなされる。
【0013】
このとき、水素貯蔵部の水素吸蔵合金から水素が放出されるのに伴って、この水素吸蔵合金の温度が低下するが、水素を放出した水素貯蔵部にはヒータ部から熱が加えられるので、水素貯蔵部の水素吸蔵合金の温度が水素放出時の状態に回復し、そして、この状態が維持されることとなる。
【0014】
このように、本発明の請求項1に係わるスラスタでは、水素の貯蔵に水素吸蔵合金を採用しているので、スラスタ体積が小さくなり、その分だけ、宇宙への輸送および航行体への装備が容易になされることとなり、加えて、従来のような高圧圧縮を前提とした気密性および高い構造強度を必要としないので、コストの低減が図られることとなる。
【0015】
また、請求項1に係わるスラスタでは、水素貯蔵部の水素吸蔵合金に水素を再充填可能としているので、スラスタを地上に持ち帰ることなく再使用し得ることとなるのに加えて、大量の水素を低圧貯蔵可能な特性の水素吸蔵合金を用いているので、すなわち、高圧のガスを取り扱う必要がないので、水素を貯蔵した状態での安全性が高いものとなり、例えば、水素がリークするようなことがあっても、その際の吸熱反応で水素吸蔵合金の温度が下がってリークは自然に止まることから、人間がハンドリングや水素の再充填を行い得ることとなる。
【0016】
請求項2に係わるスラスタでは、上記した構成としているため、水素を放出した水素貯蔵部を温めるのに、例えば、電熱ヒータを用いる必要がなく、したがって、消費電力の大幅な節約がなされることとなる。
請求項3に係わるスラスタでは、請求項2に係わるスラスタと同様に消費電力の大幅な節約がなされるのに加えて、水素貯蔵部の水素吸蔵合金に水素を再充填する段階においてヒータ部の一方の水素吸蔵合金から水素を放出可能としているので、このヒータ部の一方の水素吸蔵合金によって水素貯蔵部の水素吸蔵合金から熱が効率よく除去されることとなり、その結果、水素貯蔵部の水素吸蔵合金に対する水素の再充填作業が迅速になされることとなる。
【0017】
請求項4に係わるスラスタでは、上記した構成としたから、水素貯蔵部の水素吸蔵合金の温度を水素放出時の状態に回復させて維持する際や、水素貯蔵部の水素吸蔵合金に水素を再充填する際において、水素貯蔵部の水素吸蔵合金と、ヒータ部の水素吸蔵合金との間における熱の授受が効率よくなされることとなる。
請求項5に係わるスラスタでは、上記した構成としたため、水素貯蔵部から放出された水素を気貯め部に一旦貯めることで、ノズルから噴射する水素の量が必要量確保されて、したがって、より安定したパルスを短い間隔で生じさせ得ることとなる。
【0018】
【発明の効果】
本発明の請求項1に係わるスラスタでは、上記した構成としたため、宇宙への輸送および航行体への装備を簡単に行うことができるうえ、従来のスラスタと比較してコストの大幅な低減を実現することができる。
【0019】
また、本発明の請求項1に係わるスラスタでは、再使用することができるのに加えて、軌道上において人間がハンドリングしたり水素を再充填したりすることが可能になるという非常に優れた効果がもたらされる。
【0020】
請求項2に係わるスラスタによれば、上記した構成としたから、消費電力を格段に少なく抑えることが可能であるという非常に優れた効果がもたらされる。
請求項3に係わるスラスタでは、請求項2に係わるスラスタと同じ効果が得られるうえ、水素貯蔵部の水素吸蔵合金に対する水素の再充填作業を迅速に行うことができるという非常に優れた効果がもたらされる。
【0021】
請求項4に係わるスラスタは、上記した構成としているため、水素貯蔵部の水素吸蔵合金の温度を水素放出時の状態に回復維持する段階、および、水素貯蔵部の水素吸蔵合金に水素を再充填する段階における水素貯蔵部の水素吸蔵合金とヒータ部の水素吸蔵合金との間での熱の授受を効率よく行うことが可能である。
請求項5に係わるスラスタでは、上記した構成としたため、ノズルから噴射する水素を必要量確保することができ、その結果、より安定したパルスを短い間隔で発生させることが可能であるという非常に優れた効果がもたらされる。
【0022】
【実施例】
以下、本発明を図面に基づいて説明する。
【0023】
図1〜図6は本発明に係わるスラスタの一実施例を説明する図である。
【0024】
図1および図2に示すように、このスラスタ1は、円筒形状をなすケース2と、このケース2の一方の開口端部(図示左端部)にねじ込んで連結された有底円筒形状をなすキャップ3と、このキャップ3の中心に設置したノズル4と、ケース2の他方の開口端部(図示右端部)を閉塞するエンドキャップ5を備えており、ケース2の内部には水素貯蔵部6及びヒータ部7が設けてある。
【0025】
ケース2の一方の開口端部には、熱伝導効率を高めるための環状リブ21a及び放射状リブ(図示省略)で区切られた複数の分割空間21bを有する浅底円筒容器21がケース外殻2aと間隔をおいて一体で形成されていて、水素貯蔵部6は、この浅底円筒容器21の複数の分割空間21bに、粉末状をなす水素吸蔵合金の表面に銅をコーティングしてなる多数のマイクロカプセル61を詰め込んでなっており、この浅底円筒容器21内のマイクロカプセル61を覆うフィルタ62と、ケース2の一方の開口端部をガスケット22を介して閉塞する隔壁23との間の空間は、水素を供給可能としたシャットオフバルブ63と配管64を介して連通する圧縮室65として形成してある。
【0026】
この場合、キャップ3の開口側は、ガスケット22を介して隔壁23により閉塞されて気貯め室(気貯め部)31として機能するように形成されており、この気貯め室31は、隔壁23に設けたリリーフバルブ24を介して圧縮室65と連通していると共に、配管32および電磁弁33で開閉制御されるマニホルド34を介してノズル4と連通していて、気貯め室31および圧縮室65の各内部圧力は、キャップ3および隔壁23にそれぞれ設置した圧力センサ25,25でモニタするようになっている。
【0027】
一方、ヒータ部7は、水素貯蔵部6の浅底円筒容器21に底部を密接させた状態でかつケース外殻2aと間隔をおいた状態で固定されるヒータ側第1浅底円筒容器71と、ケース2の他方の開口端部寄りの部分にブラケット26を介して固定されたヒータ側第2浅底円筒容器72を具備しており、水素貯蔵部6の浅底円筒容器21とほぼ同一構成をなすヒータ側第1浅底円筒容器71の分割空間71bに、粉末状をなす水素吸蔵合金の表面に銅をコーティングしてなる多数のマイクロカプセル73を詰め込むと共に、ヒータ側第2浅底円筒容器72に、粉末状をなす水素吸蔵合金の表面に銅をコーティングしてなる多数のマイクロカプセル74を詰め込んでなっている。
【0028】
ヒータ側第1浅底円筒容器71はフィルタ75を間に介在させてキャップ76で閉塞してあって、電磁弁77を介してヒータ側第2浅底円筒容器72と連通していると共に、配管78を通してシャットオフバルブ79と連通し、ヒータ側第2浅底円筒容器72は配管81を通して水素供給用のシャットオフバルブ80と連通している。
【0029】
この実施例において、水素貯蔵部6における浅底円筒容器21の複数の分割空間21bに詰め込まれる水素吸蔵合金には、大量の水素を吸蔵して低圧貯蔵可能でかつ常温付近で必要な圧力に昇圧した水素を放出可能な特性を有するMmNi4.5 Cr0.5 を採用し、一方、ヒータ部7におけるヒータ側第1浅底円筒容器71の分割空間71bに詰め込まれる水素吸蔵合金には、常温付近の環境下における平衡水素圧力の高低に応じて水素を吸蔵・放出する特性を有するTiFe0.8 Ni0.15 V0.05を採用していると共に、ヒータ側第2浅底円筒容器72に詰め込まれる水素吸蔵合金には、同じく常温付近の環境下における平衡水素圧力の高低に応じて水素を吸蔵・放出しかつTiFe0.8 Ni0.15 V0.05 よりも平衡水素圧の高いLaNi5 を採用している。
【0030】
そこで、常温(20℃)下において、圧縮室65の圧力を0.5MPa(5atm)、気貯め室31の圧力を0.1MPa(1atm)、ヒータ部7のヒータ側第1浅底円筒容器71に詰め込まれる水素吸蔵合金(73)の平衡圧力を0.008MPa(0.08atm)、ヒータ部7のヒータ側第2浅底円筒容器72に詰め込まれる水素吸蔵合金(74)の平衡圧力を0.12MPa(1.2atm)とした状態量の上記スラスタ1の動作を説明する。
【0031】
まず、スラストの発生指令がこのスラスタ1に与えられると、ノズル4側の電磁弁33がオン作動するのに続いてオフ作動して、図3の矢印に示すように、ノズル4から気貯め室31内の水素が噴出し、これにより1回目のスラストが生じることとなり、これによる気貯め室31の圧力低下に伴って、リリーフバルブ24が開いて圧縮室65の圧力が低下し、これを補うために水素貯蔵部6の浅底円筒容器21内の水素吸蔵合金(61)から水素が放出される。
【0032】
このとき、圧力センサ25が気貯め室31及び水素貯蔵部6の圧縮室65の圧力をモニタしており、両室31,65の圧力が低下して水素貯蔵部6の水素吸蔵合金(61)から水素が放出されていることを検出すると、ヒータ部7側の電磁弁77が開いて、ヒータ側第2浅底円筒容器72内の平衡圧力が高い方の水素吸蔵合金(74)から放出された水素がヒータ側第1浅底円筒容器71内の平衡圧力が低い方の水素吸蔵合金(73)に吸蔵され、この間、図3の白抜き矢印および図4に示すように、ヒータ側第1浅底円筒容器71内の水素吸蔵合金(73)の発熱反応による生成熱(この実施例では45.2kJ/molH2 )の一部の熱(−25.5kJ/molH2 )が、水素貯蔵部6の水素吸蔵合金(61)に加えられ、残りの熱が吸熱反応しているヒータ側第2浅底円筒容器72内の水素吸蔵合金(74)に戻されると共に、ケース2内の保温用として使用される。
【0033】
上記した水素及び熱の流れによって、水素貯蔵部6の水素吸蔵合金(61)の温度が水素放出時の状態に回復して、2回目のスラスト発生の準備がなされると、電磁弁77が一旦閉じ、この後、水素貯蔵部6の水素吸蔵合金(61)の温度が低下する毎に電磁弁77が開閉を繰り返すことで、上記の状態が維持されることとなる。
【0034】
次に、上記スラスタ1に、常温環境下において水素を再充填する要領を説明する。
【0035】
まず、水素貯蔵部6の水素吸蔵合金(61)に対して、図5の矢印に示すように、シャットオフバルブ63を介して水素を圧力0.5MPaで供給して充填するのと同時に、シャットオフバルブ79を開いてヒータ部7のヒータ側第1浅底円筒容器71内の水素吸蔵合金(73)から水素を放出させる。この際、水素吸蔵合金(73)から放出される水素を真空引きしてもよい。
【0036】
そして、リリーフバルブ24の開放圧力を0.4MPaに設定しておくと、圧力0.5MPaで供給された水素は、まず、リリーフバルブ24を通して気貯め室31に流れ込み、その室内圧が0.1MPaに回復するのに続いて、水素吸蔵合金(61)に対する充填が完了することとなる。
【0037】
一方、ヒータ部7のヒータ側第2浅底円筒容器72内の水素吸蔵合金(74)に対して、シャットオフバルブ80を介して水素を圧力0.5MPaで供給して充填すると、図5の白抜き矢印および図6に示すように、水素貯蔵部6の水素吸蔵合金(61)およびヒータ側第2浅底円筒容器72内の水素吸蔵合金(74)の各発熱反応による生成熱がヒータ側第1浅底円筒容器71内の水素吸蔵合金(73)に伝わって吸熱反応を引き起こすことから、シャットオフバルブ79を通してなされる水素吸蔵合金(73)内の水素の放出が促進されることとなる。この際、水素が充填された水素貯蔵部6の水素吸蔵合金(61)が体積変化することによって生じる浅底円筒容器21の歪みを計測したり、水素吸蔵合金(61)に吸蔵された水素の量を計測したりすることで、水素の再充填が完了したことを認識するようにしている。
【0038】
このように、上記したスラスタ1では、水素の貯蔵に水素吸蔵合金(61)を採用しているため、スラスタ体積が小さくなる分だけ、宇宙への輸送および航行体への装備が容易になされることとなり、加えて、従来のような高圧圧縮を前提とした気密性および高い構造強度を必要としないことから、低コスト化が図られると共に、人間のハンドリングが可能となる。
【0039】
また、上記したスラスタ1では、水素貯蔵部6の水素吸蔵合金(61)や、ヒータ部7のヒータ側第2浅底円筒容器72内の水素吸蔵合金(74)に水素を再充填可能としているので、スラスタ1を再使用し得ることとなるうえ、常温付近で高圧ガスの取り扱いをしなくても済む水素吸蔵合金(61),(74)を用いるようにしていることから、水素を貯蔵した状態での安全性が極めて高いものとなって、人間がハンドリングや水素の再充填を行い得ることとなる。
【0040】
さらに、この実施例におけるスラスタ1では、常温付近の環境下における平衡水素圧力の高低に応じて水素を吸蔵・放出する互いに異なる2種類の水素吸蔵合金(73),(74)でヒータ部7を構成し、両水素吸蔵合金(73),(74)の各々の生成熱の差を水素貯蔵部6に加えるようにしているので、水素を放出した水素貯蔵部6を温めるのに、例えば、電熱ヒータを用いる必要がなく、したがって、消費電力の大幅な節約がなされることとなる。
【0041】
加えて、この実施例におけるスラスタ1では、水素貯蔵部6の水素吸蔵合金(61)に水素を再充填する段階においてヒータ部7のヒータ側第1浅底円筒容器71内の水素吸蔵合金(73)から水素を放出可能としているので、このヒータ部7の水素吸蔵合金(73)によって水素貯蔵部6の水素吸蔵合金(61)から熱が効率よく除去されることとなって、水素貯蔵部6の水素吸蔵合金(61)に対する水素の再充填作業が迅速になされることとなる。
【0042】
さらにまた、上記したスラスタ1では、水素貯蔵部6の水素吸蔵合金(61)を詰め込む浅底円筒容器21をケース外殻2aと間隔をおいて設けてあると共に、ヒータ部7の水素吸蔵合金(73)を詰め込むヒータ側第1浅底円筒容器71を同じくケース外殻2aと間隔をおいた状態で設けているので、水素貯蔵部6の水素吸蔵合金(61)の温度を水素放出時の状態に回復させて維持する場合や、水素貯蔵部6の水素吸蔵合金(61)に水素を再充填する場合に、水素貯蔵部6の水素吸蔵合金(61)と、ヒータ部7の水素吸蔵合金(73)との間における熱の授受が効率よくなされることとなる。
【0043】
さらにまた、上記したスラスタ1では、水素貯蔵部6とノズル4との間に気貯め室31を設けているので、水素貯蔵部6から放出された水素を気貯め室31に一旦貯めることによって、ノズル4から噴射する水素の量が必要量確保されることとなって、より安定したパルスを短い間隔で生じさせ得ることとなる。
【0044】
上記したスラスタ1では、水素貯蔵部6に設けた水素吸蔵合金(61)が、大量の水素を吸蔵して低圧貯蔵する貯蔵機能と、常温付近で必要な圧力に昇圧した水素を放出する機能とを併せ持っている場合を示したが、これに限定されるものではなく、水素貯蔵部6に、貯蔵の役割を担う水素吸蔵合金と、この水素吸蔵合金よりも平衡水素圧力の高いコンプレッサの役割を担う水素吸蔵合金との2種類の水素吸蔵合金を設けることも可能である。
【0045】
また、上記したスラスタ1では、水素貯蔵部6の水素吸蔵合金(61)を詰め込む浅底円筒容器21およびヒータ部7の水素吸蔵合金(73)を詰め込むヒータ側第1浅底円筒容器71に、熱伝導効率を高めるための環状リブ21aおよび放射状リブ(図示省略)で区切られた複数の分割空間21bを設けた構成としているが、両容器21,71に、ハニカム状の分割空間を設ける構成とすることも可能である。
【0046】
さらに、本発明に係わるスラスタの詳細な構成は、上記した実施例に限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係わるスラスタの一実施例を示す断面説明図である。
【図2】図1に示したスラスタの正面説明図(a),側面説明図(b)および背面説明図(c)である。
【図3】図1のスラスタの作動時における水素および熱の流れを示す断面説明図である。
【図4】図1のスラスタの作動時における水素および熱の流れを説明する図である。
【図5】図1のスラスタの再充填時における水素および熱の流れを示す断面説明図である。
【図6】図1のスラスタの再充填時における水素および熱の流れを説明する図である。
【符号の説明】
1 スラスタ
2 ケース
2a 外殻
4 ノズル
6 水素貯蔵部
7 ヒータ部
31 気貯め室(気貯め部)
61 水素吸蔵合金
73 一方の水素吸蔵合金
74 他方の水素吸蔵合金
Claims (5)
- 大量の水素を吸蔵して低圧貯蔵しかつ常温付近で必要な圧力に昇圧した水素を放出可能な特性を有する水素吸蔵合金を具備した水素貯蔵部と、
水素を放出した水素貯蔵部に熱を加えて、その水素貯蔵部の水素吸蔵合金の温度を水素放出時の状態に回復させて維持するヒータ部と、水素を噴出させるノズルとを備えたことを特徴とするスラスタ。 - ヒータ部は、常温付近の環境下における平衡水素圧力の高低に応じて水素を吸蔵・放出する互いに異なる2種類の水素吸蔵合金を具備し、両水素吸蔵合金の各々の生成熱の差を水素貯蔵部に加えるべく配置した請求項1に記載のスラスタ。
- ヒータ部の2種類の水素吸蔵合金のうちの平衡水素圧力の低い一方の水素吸蔵合金を水素貯蔵部の水素吸蔵合金と相互に熱交換可能に設け、水素貯蔵部の水素吸蔵合金から水素が放出された段階において一方の水素吸蔵合金に発熱反応を生じさせるべく平衡水素圧力の高い他方の水素吸蔵合金から一方の水素吸蔵合金に対して水素を供給可能とすると共に、水素貯蔵部の水素吸蔵合金に水素を再充填する段階においてヒータ部の一方の水素吸蔵合金に吸熱反応を生じさせるべく一方の水素吸蔵合金から水素を放出可能とし、ヒータ部の他方の水素吸蔵合金に水素を複数回充填可能とした請求項2に記載のスラスタ。
- 水素貯蔵部及びヒータ部の各水素吸蔵合金を外殻から略離間させた状態でケースにそれぞれ収納してある請求項2又は3に記載のスラスタ。
- 水素貯蔵部とノズルとの間に、その水素貯蔵部から放出された水素を所定のパルスを生じさせるのに必要な量だけ貯める気貯め部を設けた請求項1ないし4のいずれか1項に記載のスラスタ。
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