JP4600249B2 - 圧入固定端子 - Google Patents

Description

本発明は、各種電子部品を配線基板に装着するために、配線基板のスルーホールに挿入されて、機械的接続および電気的接続を行うための圧入固定端子に関するものである。

各種電子部品を配線基板に実装する作業の合理化方法、また環境負荷を緩和するための鉛フリー化の一環とし、はんだ付け接続に替わる方法としてプレスフィットと呼ばれる圧入固定端子を採用する方法が知られている。

このような従来の圧入固定端子について、図６〜図８を用いて説明する。

図６は従来の圧入固定端子の正面図、図７は同側面図、図８は配線基板への実装状態での図６のＡ−Ａ断面における模式図であり、図６において、１は電子部品２と一体に設けられ、挿入方向の中心軸に対し対称に形成された圧入固定端子である。

その圧入固定端子１は、輪郭に沿う形状に打ち抜かれて設けられた中空部３を有し、電子部品２側の根元部から直線的に延出した延出部４と、その延出部４から幅が最大となる中間部分の頂点部６に向かって漸次広がる開脚部５と、その頂点部６から反対に先端に向けて先細りとなる端子片７とからなる両側辺により構成されている。

そして、図７に示すように、上記開脚部５および端子片７が、水平面に対して互いに相反する方向に、上記頂点部６を最大離間位置として曲げられて形成されている。

以上のように構成された圧入固定端子１は、図８に示すように配線基板９に設けられたスルーホール８に圧入されて用いられる。このスルーホール８の内径は、圧入固定端子１の機械的接続と電気的接続とをさせるために、圧入固定端子１の両側辺の頂点部６間である最大幅より幾分小さく設けられていた。

なお、この出願の発明に関連する先行技術文献情報としては、例えば、特許文献１が知られている。
特開２００３−２５７５２６号公報

しかしながら上記従来の圧入固定端子１においては、図８に示すようにスルーホール８挿入時の接触部分である頂点部６が、圧入固定端子１を金属板から打ち抜き加工した際の切断面またはその角部となり、素材の生地が接触することになる。そこで、電気的接続の安定性を確保するために打ち抜き加工後にめっき処理を行っており、そのめっき処理の取り扱いによる変形が生じやすくまたコストもかかるという課題があった。

本発明は、このような従来の課題を解決するものであり、めっき処理済の材料が使用可能で接触安定性が良く、安価な圧入固定端子を提供することを目的とする。

上記目的を達成するために本発明は、以下の構成を有するものである。

本発明の請求項１に記載の発明は、配線基板のスルーホールに挿入して装着可能な圧入固定端子であって、薄板金属からなり、折り返されて先端が根元側に位置し、折り返し部が上記スルーホール挿入時の挿入先端となるように折り重ねて形成された平板部と、この平板部に設けられた弾接部とを有し、この弾接部は、上記平板部の幅方向の縁部である両側の細幅部に挟まれた中間部分が長手方向細長形状に切断され、長手方向の上記挿入先端側が上記平板部に繋がり、根元側が自由端部となって、頂点部が上記折り重ねの外方に向くように略くの字状に曲げ形成されて、上記折り返し部を挟んで両側の対称位置にそれぞれ設けられている圧入固定端子であり、材料の厚みの薄いもので構成できるので塑性変形が起こり難く接圧が安定し、かつ材料の切断されていない元の表面を接触面にできるため安定した電気的接続が確保できる圧入固定端子を得ることができるという作用を有する。

請求項２に記載の発明は、請求項１記載の発明において、弾接部が、打ち抜きかすの出ないせん断状態で平板部から切断形成されているものであり、圧入固定端子の幅を細いもので実現できるため挿入先のスルーホールも小さくて良く、小型化に対応できるという作用を有する。

請求項３に記載の発明は、請求項２記載の発明において、弾接部の自由端部側の幅が、連結部側の幅より広い広幅に形成されているものであり、通常時およびスルーホールへの圧入時に、略くの字状に形成されている弾接部の自由端部が平板部のスリット孔に嵌まり込むことがないため、安定した接圧が得られるものにできるという作用を有する。

請求項４に記載の発明は、請求項１記載の発明において、弾接部の自由端部が、平板部に対し対面する方向への曲げ加工がなされているものであり、スルーホールへ挿入する際に弾接部の自由端部が平板部と対面するため、接触抵抗が軽減されて弾接部が弾性変形し易いため、挿入し易く、接圧も安定するという作用を有する。

請求項５に記載の発明は、請求項１記載の発明において、弾接部の自由端部側の幅が、平板部の弾接部が打ち抜かれたところに形成されたスリット孔の幅より広い広幅に形成されているものであり、請求項３に記載の発明による作用と同様に、弾接部の自由端部が平板部のスリット孔に嵌まり込むことがないため、安定した接圧が得られるものにできるという作用を有する。

請求項６に記載の発明は、請求項１記載の発明において、弾接部の略くの字状の頂点部が、幅方向断面で中央位置が外方に突出した略球面状に形成されたものであり、スルーホールに対し略球面で接触するものにできるため、安定した接触性を確保することができるという作用を有する。

以上のように本発明によれば、材料の元の平板面を接触面として使用するため、めっき処理済の材料が使用可能で接触安定性の良い、安価な圧入固定端子を提供することができるという作用を有する。

以下、本発明の実施の形態について、図１〜図５を用いて説明する。

なお、従来の技術の項で説明した構成と同一構成の部分には同一符号を付して、詳細な説明を簡略化する。

（実施の形態）
図１は本発明の一実施の形態による圧入固定端子の正面図、図２は同側面図、図３は同圧入固定端子を配線基板のスルーホールに圧入した状態の垂直断面図、図４は図３のＰ−Ｐ線における水平断面図、図５は他の構成事例の圧入固定端子の外観図である。

図１、図２において、１１は電子部品２と一体に設けられ、銅合金からなるばね性を備えた薄板金属に良導電性のめっき処理がなされた材料製の圧入固定端子であって、外方に導出された先端１２が上記電子部品２から延び出た根元側に位置するように折り返されて二重に重ね合わされ、折り返された位置が、実装時に挿入される挿入先端１３となっている。

そして、この圧入固定端子１１は、板状の平板部１４と、この平板部１４の幅方向の両側の細幅部１５を残して、その細幅部１５に挟まれた中間部分が、下方となる挿入先端１３側で上記平板部１４に繋がった長手方向細長形状に切断され、頂点部１８が上記折り返されて二重に重ね合わされた外方に向くように略くの字状に曲げられて形成された弾接部１７とから構成されている。その弾接部１７は、折り返された上記挿入先端１３を挟んで両側の対称位置にそれぞれ設けられている。

そして、その二つの弾接部１７は、平板部１４から抜きかすの出ないせん断状態に打ち抜かれ、連結部１６の反対側の自由端部となった先端部分は幅方向に広い広幅部１９に形成されると共に、上記広幅部１９は荷重の加わらない通常状態で上記平板部１４とほぼ対面する方向に曲げられている。

更に、上記広幅部１９は圧延されて幅方向にさらに広く設けられて、平板部１４の弾接部１７が打ち抜かれたところに生じたスリット孔１４Ａの幅より広幅となっている。

また、二つの弾接部１７の略くの字状の頂点部１８は、幅方向断面で中央位置が外方に突出した略球面状に形成されている。

以上のように構成された圧入固定端子を配線基板に設けられたスルーホールに圧入した状態について説明する。

図３、図４において、８は配線基板９に設けられたスルーホールであり、そのスルーホール８に上記圧入固定端子１１が圧入されて装着されている。

そして、圧入固定端子１１の二つの略くの字状の弾接部１７の頂点部１８間は、スルーホール８の直径よりも幾分大きい寸法になるように曲げ加工されており、圧入に際して弾接部１７は、その上方の自由端部である広幅部１９が平板部１４の外方面上を上方に向けて弾接摺動しながら撓んでいき、上記二つの略くの字状の頂点部１８間がスルーホール８に嵌まり込む間隔まで撓むと、スルーホール８の内面に弾接状態となって圧入される。

ここで、弾接部１７は略くの字状に曲げられているので、その自由端部に設けられた広幅部１９は平板部１４のスリット孔１４Ａの元の打ち抜かれた位置より下方側の幅の細いスリット孔１４Ａ部分に当接するため、通常状態および上記圧入時などにおいて広幅部１９がスリット孔１４Ａに嵌まり込む恐れはなく、さらに本実施の形態によるものでは、上記広幅部１９は圧延されて幅方向にさらに広く設けられているので、スリット孔１４Ａに嵌まり込む恐れを確実に排除でき、スルーホール８への圧入は滑らかなものにできる。

そして、弾接部１７の自由端部である広幅部１９は通常状態で平板部１４に対面するように曲げられているので、スルーホール８への挿入に伴い自由端部先端の切断部は平板部１４面から離れ、上記曲げられた位置が平板部１４面上を接しながら摺動するので接触抵抗少なく滑らかに広幅部１９が移動し、圧入固定端子１１を挿入し易く、接圧も安定したものにできる。

また、図４に示すように、弾接部１７の略くの字状の頂点部１８は、その幅方向断面で中央部分がゆるやかに外方に突出した略球面状に形成されていることにより、スルーホール８との接触部が面接触に近いものになり切断端面が接触部分にならないので電気的接続安定性に優れたものとすることができる。

そして、本実施の形態のものによれば、加工前の材料表面であった部分を弾接部１７の弾接面部分としてスルーホール８に弾接させる構成のものにできるので、銀等の良導電性のめっき処理済材料を使用することができてコスト的にも安価な圧入固定端子を提供することができる。

そして、この圧入固定端子１１は、対向した二つの弾接部１７により薄板金属材であっても十分な接圧が得られるので安定した機械的接続状態が確保できると共に、めっき処理済材料を使用できることにより、上記電子部品２の図示しない内部に電気接点機能部を一体に形成することも可能であり、構成部材の削減を図ることもできる。

また、この圧入固定端子１１は、スルーホール８との機械的接続および電気的接続を果たす弾接部１７が平板部１４の幅の中間部分からせん断状態で打ち抜いて形成されているため、圧入固定端子１１としての幅も狭くてすみ、供給される材料のスクラップ部分の発生などが抑えられた効率的なレイアウトが可能なものともなる。

なお、本実施の形態では、弾接部１７の上方の自由端部の広幅部１９が圧延されてスリット孔１４Ａとの寸法差を設けた形態を説明したが、広幅部１９側を加工しないで、図５に示すように、平板部１４の細幅部１５側に潰し加工を施してスリット孔１４Ａの幅を狭くするための突出部１４Ｂを設けても同様に、弾接部１７の自由端部がスリット孔１４Ａに嵌まり込むことなく弾接部１７の頂点部１８とスルーホール８との機械的接続および電気的接続性の安定したものに構成できる。さらに、図示しないが、平板部１４の細幅部１５を幅方向の側方から押し込んで変形させることによりスリット孔１４Ａの幅を狭くしても良く、同様の効果が得られる。

また、弾接部１７の自由端部に広幅部１９を設けた形態に限らず、弾接部の幅を連結部から自由端部に向けて漸次広がる幅などとしても、弾接部がスリット孔に嵌まり込む恐れをなくすことができる。

なお、当該圧入固定端子は、可変抵抗器やエンコーダ、スイッチ、さらにはアンテナなどにも適用できる有用なものである。

本発明による圧入固定端子は、めっき処理済の材料が使用可能で接触安定性の良い、安価なものとして実現できるという効果を有し、配線基板のスルーホールに装着固定される端子を備えた電子部品等に有用である。

本発明の一実施の形態による圧入固定端子の正面図 同側面図 同圧入固定端子を配線基板のスルーホールに圧入した状態の垂直断面図 図３のＰ−Ｐ線における水平断面図 他の構成事例の圧入固定端子の外観図 従来の圧入固定端子の正面図 同側面図 配線基板への実装状態での図６のＡ−Ａ断面における模式図

符号の説明

２ 電子部品
８ スルーホール
９ 配線基板
１１ 圧入固定端子
１２ 先端
１３ 挿入先端
１４ 平板部
１４Ａ スリット孔
１４Ｂ 突出部
１５ 細幅部
１６ 連結部
１７ 弾接部
１８ 頂点部
１９ 広幅部

Claims (6)

1. 配線基板のスルーホールに挿入して装着可能な圧入固定端子であって、薄板金属からなり、折り返されて先端が根元側に位置し、折り返し部が上記スルーホール挿入時の挿入先端となるように折り重ねて形成された平板部と、この平板部に設けられた弾接部とを有し、この弾接部は、上記平板部の幅方向の縁部である両側の細幅部に挟まれた中間部分が長手方向細長形状に切断され、長手方向の上記挿入先端側が上記平板部に繋がり、根元側が自由端部となって、頂点部が上記折り重ねの外方に向くように略くの字状に曲げ形成されて、上記折り返し部を挟んで両側の対称位置にそれぞれ設けられている圧入固定端子。
2. 弾接部が、打ち抜きかすの出ないせん断状態で平板部から切断形成されている請求項１記載の圧入固定端子。
3. 弾接部の自由端部側の幅が、連結部側の幅より広い広幅に形成されている請求項２記載の圧入固定端子。
4. 弾接部の自由端部が、平板部に対し対面する方向への曲げ加工がなされている請求項１記載の圧入固定端子。
5. 弾接部の自由端部側の幅が、平板部の弾接部が打ち抜かれたところに形成されたスリット孔の幅より広い広幅に形成されている請求項１記載の圧入固定端子。
6. 弾接部の略くの字状の頂点部が、幅方向断面で中央位置が外方に突出した略球面状に形成された請求項１記載の圧入固定端子。

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