JP4600112B2 - 液浸用上層膜形成組成物およびフォトレジストパターン形成方法 - Google Patents
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投影露光装置に備えられている投影光学系の解像度は、使用する露光波長が短く、投影光学系の開口数が大きいほど高くなる。そのため、集積回路の微細化に伴い投影露光装置で使用される放射線の波長である露光波長は年々短波長化しており、投影光学系の開口数も増大してきている。
また、露光を行なう際には、解像度と同様に焦点深度も重要となる。解像度R、および焦点深度δはそれぞれ以下の数式で表される。
R=k1・λ/NA (i)
δ=k2・λ/NA2 (ii)
ここで、λは露光波長、NAは投影光学系の開口数、k1、k2はプロセス係数である。同じ解像度Rを得る場合には短い波長を有する放射線を用いた方が大きな焦点深度δを得ることができる。
R=k1・(λ/n)NA (iii)
δ=k2・nλ/NA2 (iv)
例えば、ArFプロセスで、上記媒体として水を使用すると波長193nmの光の水中での屈折率n=1.44を用いると、空気または窒素を媒体とする露光時と比較し、解像度Rは69.4%(R=k1・(λ/1.44)NA)、焦点深度は144%(δ=k2・1.44λ/NA2)となる。
このように露光するための放射線の波長を短波長化し、より微細なパターンを転写できる投影露光する方法を液浸露光といい、リソグラフィーの微細化、特に数10nm単位のリソグラフィーには、必須の技術と考えられ、その投影露光装置も知られている(特許文献1参照)。
液浸露光方法においては、ウェハ上に塗布・形成されたフォトレジスト膜と投影露光装置のレンズはそれぞれ水と接触する。そのため、フォトレジスト膜に水が浸透し、フォトレジストの解像度が低下することがある。また、投影露光装置のレンズはフォトレジストを構成する成分が水へ溶出することによりレンズ表面を汚染することもある。
また、通常のドライな環境での使用を前提に設計したレジストをそのまま液浸レジストとして使用できることが求められている。そのためには、ドライ用として設計された元の性能を劣化させずレジスト膜を液浸用液体から保護できる液浸用上層膜が必要となる。
また、上記樹脂は、下記式(1)で表される基を側鎖末端に有する繰り返し単位、カルボキシル基を側鎖末端に有する繰り返し単位および下記式(2)で表される基を側鎖末端に有する繰り返し単位からなる群より選ばれた少なくとも1つの繰り返し単位を含む樹脂であることを特徴とする。
上記式(1)で表される基を側鎖末端に有する繰り返し単位は、下記式(1−1)で表されることを特徴とする。
また、上記式(2)で表される基を側鎖末端に有する繰り返し単位は、下記式(2−1)で表されることを特徴とする。
そのため、今後さらに微細化が進行すると予想される半導体デバイスの製造に極めて好適に使用することができる。
ここで、放射線照射時において液浸媒体に安定な膜とは、後述する液浸媒体、例えば水媒体への安定性評価方法により測定したときの膜厚変化が初期膜厚の3%以内であることをいう。また、レジストパターン形成後の現像液に溶解するとは、アルカリ性水溶液を用いた現像後のレジストパターン上に目視で残渣がなく上層膜が除去されていることをいう。すなわち、本発明に係る樹脂は液浸媒体に対して殆ど溶解することなく、かつ液浸媒体を介して照射される放射線照射後のアルカリ性水溶液を用いる現像時に、該アルカリ性水溶液に溶解するアルカリ可溶性樹脂である。
上記少なくとも1つの繰り返し単位の含有量は、通常5モル%〜100モル%であり、好ましくは10〜90モル%、特に好ましくは20〜80モル%である。上記繰り返し単位が、少なすぎると現像液であるアルカリ水溶液への溶解性が低くなり該当上層膜の除去ができずに現像後のレジストパターン上に残渣が発生してしまうおそれがある。
また、R1およびR2の少なくとも一方は上記炭素数1〜4のフルオロアルキル基である。
式(1)で表される基を側鎖末端に有する好ましい繰り返し単位として、式(1−1)で表される繰り返し単位が挙げられる。
炭素数1〜4のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、2−メチルプロピル基、1−メチルプロピル基、t−ブチル基等のアルキル基が挙げられる。
2価の有機基としては、好ましくは2価の炭化水素基であり、2価の炭化水素基の中で好ましくは鎖状または環状の炭化水素基である。
好ましいR3としては、メチレン基、エチレン基、1,3−プロピレン基もしくは1,2−プロピレン基などのプロピレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基、ヘプタメチレン基、オクタメチレン基、ノナメチレン基、デカメチレン基、ウンデカメチレン基、ドデカメチレン基、トリデカメチレン基、テトラデカメチレン基、ペンタデカメチレン基、ヘキサデカメチレン基、ヘプタデカメチレン基、オクタデカメチレン基、ノナデカメチレン基、インサレン基、1−メチル−1,3−プロピレン基、2−メチル−1,3−プロピレン基、2−メチル−1,2−プロピレン基、1−メチル−1,4−ブチレン基、2−メチル−1,4−ブチレン基、メチリデン基、エチリデン基、プロピリデン基、または、2−プロピリデン基等の飽和鎖状炭化水素基、1,3−シクロブチレン基などのシクロブチレン基、1,3−シクロペンチレン基などのシクロペンチレン基、1,4−シクロヘキシレン基などのシクロヘキシレン基、1,5−シクロオクチレン基などのシクロオクチレン基等の炭素数3〜10のシクロアルキレン基などの単環式炭化水素環基、1,4−ノルボルニレン基もしくは2,5−ノルボルニレン基などのノルボルニレン基、1,5−アダマンチレン基、2,6−アダマンチレン基などのアダマンチレン基等の2〜4環式炭素数4〜30の炭化水素環基などの架橋環式炭化水素環基等が挙げられる
。
また、R3としては、2,5−ノルボルニレン基を含む炭化水素基、1,2−プロピレン基が好ましい。
上記式(1−1)で表される繰り返し単位を生成する好適なラジカル重合性単量体を以下に表す。
上記の中で、(メタ)アクリル酸、クロトン酸が好ましい。
式(2−1)においてR4は2価の有機基を表す。
2価の有機基としては、好ましくは2価の炭化水素基であり、2価の炭化水素基の中で好ましくは鎖状または環状の炭化水素基である。
好ましいR4としては、メチレン基、エチレン基、1,3−プロピレン基もしくは1,2−プロピレン基などのプロピレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基、ヘプタメチレン基、オクタメチレン基、ノナメチレン基、デカメチレン基、ウンデカメチレン基、ドデカメチレン基、トリデカメチレン基、テトラデカメチレン基、ペンタデカメチレン基、ヘキサデカメチレン基、ヘプタデカメチレン基、オクタデカメチレン基、ノナデカメチレン基、インサレン基、1−メチル−1,3−プロピレン基、2−メチル−1,3−プロピレン基、2−メチル−1,2−プロピレン基、1−メチル−1,4−ブチレン基、2−メチル−1,4−ブチレン基、メチリデン基、エチリデン基、プロピリデン基、または、2−プロピリデン基等の飽和鎖状炭化水素基、1,3−シクロブチレン基などのシクロブチレン基、1,3−シクロペンチレン基などのシクロペンチレン基、1,4−シクロヘキシレン基などのシクロヘキシレン基、1,5−シクロオクチレン基などのシクロオクチレン基等の炭素数3〜10のシクロアルキレン基などの単環式炭化水素環基、1,4−ノルボルニレン基もしくは2,5−ノルボルニレン基などのノルボルニレン基、1,5−アダマンチレン基、2,6−アダマンチレン基などのアダマンチレン基等の2〜4環式炭素数4〜30の炭化水素環基などの架橋環式炭化水素環基等が挙げられる
。
また、R4としては、2,5−ノルボルニレン基または1,5−アダマンチレン基を含む炭化水素基、エチレン基、1,3−プロピレン基が好ましい。
Rfとしては、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、ヘプタフルオロプロピル基、ノナフルオロブチル基、ウンデカフルオロペンチル基、トリデカフルオロヘキシル基、ペンタデカフルオロヘプチル基、ヘプタデカフルオロオクチル基、ノナデカフルオロノニル基などの直鎖状パーフルオロアルキル基、(1−トリフルオロメチル)テトラフルオロエチル基、(1−トリフルオロメチル)ヘキサフルオロプロピル基、1,1−ビストリフルオロメチル−2,2,2−トリフルオロエチル基などの分岐したパーフルオロアルキル基、ノナフルオロシクロペンチル基、ウンデカフルオロシクロヘキシル基などの環状パーフルオロアルキル基などのパーフルオロシクロアルキル基が挙げられる。
この中でもトリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基が好ましい。フルオロアルキル基の電子吸引効果により、アミノ基の水素原子が脱離しやすくなり、水溶液中で酸性を呈する。そのため、液浸媒体が純水の場合、該純水に対しては不溶性となるが、アルカリ水溶液には可溶となる。
共重合できる好適な単量体としては、(メタ)アクリル酸エステル類、水酸基含有(メタ)アクリル酸エステル類、(メタ)アクリル酸フルオロアルキルエステル類、ヒドロキシスチレン類が挙げられる。
(メタ)アクリル酸エステル類としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、sec−ブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−メチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルオキシエチル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、メトキシジプロピレングリコール(メタ)アクリレート、ブトキシ−ジプロピレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシプロピレングリコール(メタ)アクリレート、2−メチル−2−アダマンチル(メタ)アクリレート、2−エチル−2−アダマンチル(メタ)アクリレート、2−プロピル−2−アダマンチル(メタ)アクリレート、2−ブチル−2−アダマンチル(メタ)アクリレート、1−メチル−1−シクロヘキシル(メタ)アクリレート、1−エチル−1−シクロヘキシル(メタ)アクリレート、1−プロピル−1−シクロヘキシル(メタ)アクリレート、1−ブチル−1−シクロヘキシル(メタ)アクリレート、1−メチル−1−シクロペンチル(メタ)アクリレート、1−エチル−1−シクロペンチル(メタ)アクリレート、1−プロピル−1−シクロペンチル(メタ)アクリレート、1−ブチル−1−シクロペンチル(メタ)アクリレート、1−アダマンチル−1−メチルエチル(メタ)アクリレート、1−ビシクロ[2.2.1]ヘプチル−1−メチルエチル(メタ)アクリレート、トリシクロ[5.2.1.02,6]デシル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレートが挙げられ、これらの中で、n−ブチル(メタ)アクリレート、2−メチル−2−アダマンチル(メタ)アクリレート、トリシクロ[5.2.1.02,6]デシル(メタ)アクリレートが好ましい。
上記(メタ)アクリル酸エステル類、水酸基含有(メタ)アクリル酸エステル類は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
本発明において、フルオロアルキル基含有単量体としては、フルオロアルキル基の炭素数が1〜20であるフルオロアルキル(メタ)アクリレート類が好ましく、なかでもパーフルオロアルキル(メタ)アクリレートおよびパーフルオロアルキル基がメチレン基、エチレン基を介してエステル酸素原子に結合したフルオロアルキル(メタ)アクリレート類が特に好ましい。
そのような溶媒としては、炭素数7〜10の1価アルコールを含む溶媒が挙げられる。例えば、2,2−ジメチル−3−ペンタノール、2,3−ジメチル−3−ペンタノール、2,4−ジメチル−3−ペンタノール、4,4−ジメチル−2−ペンタノール、3−エチル−3−ペンタノール、1−ヘプタノール、2−ヘプタノール、3−ヘプタノール、2−メチル−2−ヘキサノール、2−メチル−3−ヘキサノール、5−メチル−1−ヘキサノール、5−メチル−2−ヘキサノール、等の炭素数7の一価アルコール;2−エチル−1−ヘキサノール、4−メチル−3−ヘプタノール、6−メチル−2−ヘプタノール、1−オクタノール、2−オクタノール、3−オクタノール、2−プロピル−1−ペンタノール、2,4,4−トリメチル−1−ペンタノール、等の炭素数8の一価アルコール;2,6−ジメチル−4−ヘプタノール、3−エチル−2,2−ジメチル−ペンタノール、1−ノナノール、2−ノナノール、3,5,5−トリメチル−1−ヘキサノール、等の炭素数9の一価アルコール;1−デカノール、2−デカノール、4−デカノール、3,7−ジメチル−1−オクタノール、3,7−ジメチル−3−オクタノール、等の炭素数10の一価アルコールが挙げられる。
これらの炭素数7〜10のアルコールは、単独でも、2種以上の組み合わせにても使用することができる。
また、90質量%以下の配合割合で、炭素数6以下の低級アルコールを混合した混合アルコールとすることができる。
他の溶媒としては、エチレングリコール、プロピレングリコール等の多価アルコール類;テトラヒドロフラン、ジオキサンなどの環状エーテル類;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテルなどの多価アルコールのアルキルエーテル類;エチレングリコールエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートなどの多価アルコールのアルキルエーテルアセテート類;トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペンタノン、ジアセトンアルコールなどのケトン類;酢酸エチル、酢酸ブチル、2−ヒドロキシプロピオン酸エチル、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸エチル、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸エチル、エトキシ酢酸エチル、ヒドロキシ酢酸エチル、2−ヒドロキシ−3−メチルブタン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸メチルなどのエステル類、水が挙げられる。これらのうち、環状エーテル類、多価アルコールのアルキルエーテル類、多価アルコールのアルキルエーテルアセテート類、ケトン類、エステル類、水が好ましい。
界面活性剤としては、例えばBM−1000、BM−1100(以上、BMケミー社製)、メガファックF142D、同F172、同F173、同F183(以上、大日本インキ化学工業(株)製)、フロラードFC−135、同FC−170C、同FC−430、同FC−431(以上、住友スリーエム(株)製)、サーフロンS−112、同S−113、同S−131、同S−141、同S−145(以上、旭硝子(株)製)、SH−28PA、同−190、同−193、SZ−6032、SF−8428(以上、東レダウコーニングシリコーン(株)製)などの商品名で市販されているフッ素系界面活性剤を使用することができる。
これらの界面活性剤の配合量は、アルカリ可溶性樹脂100質量部に対して好ましくは5質量部以下である。
基板上にフォトレジストを塗布してフォトレジスト膜を形成する工程において、基板は、例えばシリコンウェハ、アルミニウムで被覆したウェハ等を用いることができる。また、レジスト膜の潜在能力を最大限に引き出すため、例えば特公平6−12452号公報等に開示されているように、使用される基板上に有機系あるいは無機系の反射防止膜を形成しておくことができる。
使用されるフォトレジストは、特に限定されるものではなく、レジストの使用目的に応じて適時選定することができる。レジストの例としては、酸発生剤を含有する化学増幅型のポジ型またはネガ型レジスト等を挙げることができる。
本発明の組成物で形成される液浸用上層膜を用いる場合、特にポジ型レジストが好ましい。化学増幅型ポジ型レジストにおいては、露光により酸発生剤から発生した酸の作用によって、重合体中の酸解離性有機基が解離して、例えばカルボキシル基を生じ、その結果、レジストの露光部のアルカリ現像液に対する溶解性が高くなり、該露光部がアルカリ現像液によって溶解、除去され、ポジ型のレジストパターンが得られる。
フォトレジスト膜は、フォトレジスト膜を形成するための樹脂を適当な溶媒中に、例えば0.1〜20質量%の固形分濃度で溶解したのち、例えば孔径30nm程度のフィルターでろ過して溶液を調製し、このレジスト溶液を、回転塗布、流延塗布、ロール塗布等の適宜の塗布方法により基板上に塗布し、予備焼成(以下、「PB」という。)して溶媒を揮発することにより形成する。なお、この場合、市販のレジスト溶液をそのまま使用できる。
また、液浸用上層膜形成組成物におけるの樹脂の濃度は通常0.1〜20質量%であり、好ましくは0.1〜10質量%、特に好ましくは0.1〜5質量%である。
上層膜の厚さはλ/4m(λは放射線の波長、mは上層膜の屈折率)の奇数倍に近いほど、レジスト膜の上側界面における反射抑制効果が大きくなる。このため、上層膜の厚さをこの値に近づけることが好ましい。なお、本発明においては、レジスト溶液塗布後の予備焼成および上層膜形成組成物溶液塗布後の焼成のいずれかの処理は、工程簡略化のため省略してもよい。
フォトレジスト膜および上層膜間に満たされる水はpHを調整することもできる。特に純水が好ましい。
液浸露光に用いられる放射線は、使用されるフォトレジスト膜およびフォトレジスト膜と液浸用上層膜との組み合わせに応じて、例えば可視光線;g線、i線等の紫外線;エキシマレーザ等の遠紫外線;シンクロトロン放射線等のX線;電子線等の荷電粒子線の如き各種放射線を選択使用することができる。特にArFエキシマレーザ(波長193nm)あるいはKrFエキシマレーザ(波長248nm)が好ましい。
また、レジスト膜の解像度、パターン形状、現像性等を向上させるために、露光後に焼成(以下、「PEB」という。)を行なうことが好ましい。その焼成温度は、使用されるレジスト等によって適宜調節されるが、通常、30〜200℃程度、好ましくは50〜150℃である。
次いで、フォトレジスト膜を現像液で現像し、洗浄して、所望のレジストパターンを形成する。この場合、本発明の液浸用上層膜は別途剥離工程に付する必要はなく、現像中あるいは現像後の洗浄中に完全に除去される。これが本発明の重要な特徴の1つである。
放射線照射時の液浸媒体、例えば水に安定な膜を形成でき、レジストパターン形成後の現像液に溶解する樹脂(A−1)〜(A−8)を以下に示す方法により合成した。なお、樹脂(A−1)〜(A−8)のMwは、東ソー株式会社製GPCカラム(G2000HXL 2本、G3000HXL 1本、G4000HXL 1本)を用い、流量1.0ミリリットル/分、溶出溶媒テトラヒドロフラン、カラム温度40℃の分析条件で、単分散ポリスチレンを標準とするゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定した。
また、各樹脂合成に用いた単量体を上記した(M−1)、(M−2)および(M−4)を除いて、(M−3)、(M−5)〜(M−10)として以下に表す。
ろ別した白色粉末をヘプタン400gと混合してスラリーとして攪拌する操作を2回繰り返して洗浄した後、ろ別し、50℃にて17時間乾燥して、白色粉末の樹脂(A−1)を得た(89g、収率89質量%)。樹脂(A−1)は、Mwが7,300であった。
以下、表1に示す組成の樹脂を同様な手法で合成した。各樹脂の収率およびMwを表1に示す。
液浸用上層膜形成組成物を上記樹脂(A−1)〜(A−8)を用いて作製した。
表2に示す樹脂1gを、表2に示す溶媒99gに加え2時間攪拌した後、孔径200nmのフィルターでろ過して溶液を調製した。なお、表2において、実施例15の混合溶媒は、1−ヘプタノール/1−ブタノール=80/20(質量比)である。また、実施例1、2、5、6、8〜15は参考例である。
得られた上層膜形成組成物の評価を次に示す方法で行なった。結果を表2に示す。
(1)溶解性の評価方法
表2に示す溶媒99gに該上層膜用樹脂1gを加え、スリーワンモーターを使用して100rpm、3時間攪拌したのち、この混合物が均一な溶液となっていれば溶解性が良好であると判断して「○」、溶け残りや白濁が見られれば溶解性が乏しいとして「×」とした。
CLEAN TRACK ACT8(東京エレクトロン(株))にて8インチシリコンウェハ上に上記上層膜をスピンコート、90℃、60秒ベークを行ない、膜厚32nmの塗膜を形成した。膜厚はラムダエースVM90(大日本スクリーン(株))を用いて測定した。本塗膜をCLEAN TRACK ACT8で60秒間パドル現像(現像液2.38%TMAH水溶液)を行ない、振り切りによりスピンドライした後、ウェハ表面を観察した。このとき、残渣がなく現像されていれば、除去性「○」、残渣が観察されれば「×」とした。
(3)インターミキシングの評価方法
予めHMDS処理(100℃、60秒)を行なった8インチシリコンウェハ上にJSR ArF AR1221Jをスピンコート、ホットプレート上で90℃、60秒PBを行ない所定膜厚(300nm)の塗膜を形成した。本塗膜上に、上記液浸用上層膜組成物をスピンコート、PB(90℃、60秒)により膜厚32nmの塗膜を形成した後、CLEAN TRACK ACT8のリンスノズルより超純水をウェハ上に60秒間吐出させ、4000rpmで15秒間振り切りによりスピンドライを行ない、次いで同CLEAN TRACK ACT8でLDノズルにてパドル現像を60秒間行ない、上記上層膜を除去した。なお、この現像工程では現像液として2.38%TMAH水溶液を使用した。液浸用塗膜は、現像工程により除去されるが、レジスト塗膜は未露光であり、そのまま残存する。当工程の前後にてラムダエースVM90(大日本スクリーン(株))で膜厚測定を行ない、レジスト膜厚の変化が0.5%以内であれば、レジスト塗膜と液浸用上層膜間でのインターミキシングが無いと判断して「○」、0.5%をこえたときは「×」とした。
8インチシリコンウェハ上にスピンコート、PB(90℃、60秒)により液浸用上層膜組成物の塗膜(膜厚30nm)を形成し、ラムダエースVM90で膜厚測定を行なった。同基板上に、CLEAN TRACK ACT8のリンスノズルより超純水をウェハ上に60秒間吐出させた後、4000rpmで15秒間振り切りによりスピンドライした。この基板を、再び膜厚測定した。このときの膜厚の減少量が初期膜厚の3%以内であれば、安定と判断して「○」、3%をこえれば「×」とした。
上記上層膜を使用したレジストのパターニングの評価方法を記す。
8インチシリコンウェハ上に下層反射防止膜ARC29A(ブルワーサイエンス社製)をスピンコートにより膜厚77nm(PB205℃、60秒)で塗膜を形成した後、JSR ArF AR1221Jのパターニングを実施した。AR1221Jは、スピンコート、PB(130℃、90秒)により膜厚205nmとして塗布し、PB後に本上層膜をスピンコート、PB(90℃、60秒)により膜厚32nmの塗膜を形成した。ついで、ArF投影露光装置S306C(ニコン(株))で、NA:0.78、シグマ:0.85、2/3Annの光学条件にて露光を行ない、CLEAN TRACK ACT8のリンスノズルより超純水をウェハ上に60秒間吐出させた後、4000rpmで15秒間振り切りによりスピンドライした。その後、CLEAN TRACK ACT8ホットプレートにてPEB(130℃、90秒)を行ない、同CLEAN TRACK ACT8のLDノズルにてパドル現像(60秒間)、超純水にてリンス、ついで4000rpmで15秒間振り切りによりスピンドライした。
本基板を走査型電子顕微鏡(日立計測器(株)製S−9360)で90nmライン・アンド・スペースのパターンを観察し、線幅が90nmになる露光量を最適露光量とした。この最適露光量において解像しているライン・アンド・スペースパターンの最小寸法を解像度とした。その結果を表2に示した。また、90nmライン・アンド・スペースパターンの断面形状を観察した。図1はライン・アンド・スペースパターンの断面形状である。基板1上に形成されたパターン2の膜の中間での線幅Lbと、膜の上部での線幅Laを測り、0.9<=(La−Lb)/Lb<=1.1の時を「矩形」、(La−Lb)/Lb<0.9の時を「テーパー」、(La−Lb)/Lb>1.1の時を「頭張り」として評価した。
2 パターン
Claims (5)
- レンズとフォトレジスト膜との間に水液浸媒体を介して放射線照射する液浸露光装置を用いるときに、前記フォトレジスト膜上に被覆されて前記水液浸媒体に安定な膜を形成でき、アルカリ性水溶液を用いる現像液に溶解するアルカリ可溶性の樹脂と該樹脂を溶解する溶媒とを含む液浸用上層膜形成組成物であって、
前記溶媒は炭素数9または10の1価アルコールを含み、但し、アルカン類炭化水素溶媒を40重量%以上含有する溶媒を除く溶媒であり、
前記樹脂は、下記高分子(A)、ポリマー(B)または樹脂組成物(C)を除く樹脂であることを特徴とする液浸用上層膜形成組成物。
高分子(A):一般式[1]、[2]または[3]で表される少なくともいずれかの構造を含有する高分子
ポリマー(B):ノルボルネン型反復単位からなる非自己現像型ポリマーであって、式(I)で表される第一ノルボルネン型反復単位を含む非自己現像型ポリマー
樹脂組成物(C):QnMn R1,R2,R3樹脂を含む樹脂組成物であって、QがSiO4/2を表し、MR1,R2,R3がR1,R2,R3SiO1/2を表し、nが8、10、または12に等しいものであり、上式で、
R1およびR2は、独立に、水素、1〜6個の炭素原子を有する直鎖アルキル基、2〜12個の炭素原子を有する分枝状アルキル基、3〜17個の炭素原子を有するシクロアルキル基、2〜12個の炭素原子を有するフッ素化直鎖アルキル基、2〜12個の炭素原子を有するフッ素化分枝状アルキル基、3〜17個の炭素原子を有するフッ素化シクロアルキル基、4〜23個の炭素原子を有するシクロアルキル置換アルキル基、および4〜23個の炭素原子を有するアルキル置換シクロアルキル基からなる群から選択され;
R3は、1〜6個の炭素原子を有する直鎖アルキル基、2〜12個の炭素原子を有する分枝状アルキル基、3〜17個の炭素原子を有するシクロアルキル基、2〜12個の炭素原子を有するフッ素化直鎖アルキル基、2〜12個の炭素原子を有するフッ素化分枝状アルキル基、3〜17個の炭素原子を有するフッ素化シクロアルキル基、4〜23個の炭素原子を有するシクロアルキル置換アルキル基、および4〜23個の炭素原子を有するアルキル置換シクロアルキル基からなる群から選択され;
R3は、(a)置換基Y1基および置換基Y2基、または(b)置換基Y3基のいずれかを含み、ただしY1およびY2は、それぞれ、水素、−COOH、−COOR1−、−SO2OH、−C(CF3)2OH、−NHSO2R1、−NHCOR1からなる群から選択され、Y1およびY2は、共に水素となることはできず、Y3は、−CONHCO−および−CONOHCO−からなる群から選択され、前記Y3基の各1価結合は、前記R3の異なる隣接炭素原子に結合しているものである樹脂組成物。 - 基板上にフォトレジストを塗布してフォトレジスト膜を形成する工程と、該フォトレジスト膜に上層膜を形成する工程と、該フォトレジスト膜および上層膜に液浸媒体を介して、所定のパターンを有するマスクを通して放射線を照射し、次いで現像することにより、レジストパターンを形成する工程とを備えてなるフォトレジストパターン形成方法であって、
前記上層膜を形成する工程が請求項1、請求項2、請求項3または請求項4記載の液浸用上層膜形成組成物を用いて上層膜を形成する工程であることを特徴とするフォトレジストパターン形成方法。
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