JP4599162B2 - フルオロカルボン酸の製造方法 - Google Patents

フルオロカルボン酸の製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP4599162B2
JP4599162B2 JP2004541531A JP2004541531A JP4599162B2 JP 4599162 B2 JP4599162 B2 JP 4599162B2 JP 2004541531 A JP2004541531 A JP 2004541531A JP 2004541531 A JP2004541531 A JP 2004541531A JP 4599162 B2 JP4599162 B2 JP 4599162B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
phase
sulfuric acid
aqueous
fluorocarboxylic acid
fluorocarboxylic
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Lifetime
Application number
JP2004541531A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2006501300A5 (ja
JP2006501300A (ja
Inventor
タ−ウェイ・フ
スティーブン・エイチ・スウェアリンゲン
卓也 市田
修司 板谷
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
EIDP Inc
Original Assignee
EI Du Pont de Nemours and Co
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by EI Du Pont de Nemours and Co filed Critical EI Du Pont de Nemours and Co
Publication of JP2006501300A publication Critical patent/JP2006501300A/ja
Publication of JP2006501300A5 publication Critical patent/JP2006501300A5/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4599162B2 publication Critical patent/JP4599162B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Images

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07CACYCLIC OR CARBOCYCLIC COMPOUNDS
    • C07C51/00Preparation of carboxylic acids or their salts, halides or anhydrides
    • C07C51/42Separation; Purification; Stabilisation; Use of additives
    • C07C51/48Separation; Purification; Stabilisation; Use of additives by liquid-liquid treatment
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07CACYCLIC OR CARBOCYCLIC COMPOUNDS
    • C07C51/00Preparation of carboxylic acids or their salts, halides or anhydrides
    • C07C51/02Preparation of carboxylic acids or their salts, halides or anhydrides from salts of carboxylic acids

Description

発明の詳細な説明
本出願は、本明細書において参照として組み込まれる、米国仮出願番号60/414421(2002年9月30日出願)の利益を主張する。
技術分野
本発明は、フルオロカルボン酸の製造方法に関する。より詳しくは、フルオロカルボン酸塩からフルオロカルボン酸を高純度及び高収率で製造する方法に関する。本発明は、具体的には、炭素数4〜14、特に炭素数7〜9のフルオロカルボン酸(フルオロアルキルカルボン酸、特にパーフルオロアルキルカルボン酸を含む)の製造方法に関する。
従来技術の説明
フルオロカルボン酸、例えば炭素数8のフルオロカルボン酸およびその塩は、良好な界面活性を有することが知られている。これらのフルオロカルボン酸ならびにそのアンモニウム塩およびアルカリ金属塩は、例えばテトラフルオロエチレン等のフルオロオレフィンを重合するとき、重合用乳化剤として広く用いられている。また、これらのフルオロ化合物は、一般に高価であること及び環境への影響を考慮すれば、可能な限り回収して精製し、再使用するのが望ましい。
そのようなフルオロ化合物を回収して精製する1つの方法として、フルオロカルボン酸塩を含む水溶液からフルオロカルボン酸を製造(または再生)する方法が提案されている。その方法では、槽型反応器において、硫酸を用いてフルオロカルボン酸塩を含有する水溶液の酸性化反応を実施して酸性化溶液を得る。その後、酸性化溶液を加熱して液相を分離して、フルオロカルボン酸を含む有機相および水相を得る。有機相を回収し、硫酸水溶液によって洗浄してフルオロカルボン酸を回収する。その後、必要に応じて、回収したフルオロカルボン酸を蒸留によって精製する(米国特許第6281374号参照)。
この従来技術の方法では、酸性化反応後の液−液分離の際にフルオロカルボン酸のロスが生じるという問題がある。また、フルオロカルボン酸塩の濃度が約5〜40重量%、好ましくは5〜30重量%、より好ましくは10〜20重量%である水溶液を出発原料として使用している。フルオロカルボン酸塩の濃度が上述の所望の制限範囲よりも低い場合には、蒸発または他の手段により溶液を濃縮してよい。
上述から明らかなように、従来の方法ではフルオロカルボン酸のロスが生じる。更に、濃縮、酸性化、液−液分離およびその後の回収をフルオロカルボン酸の製造方法が含む場合、製造プロセスを連続化することは容易でない。
発明の概要
従って、本発明の課題は、フルオロカルボン酸塩からフルオロカルボン酸を製造する従来の方法に関する上述の問題点の少なくとも1つを緩和し、好ましくは解消し、経済的に有利な方法で、高純度のフルオロカルボン酸を連続的に製造する方法を提供することにある。また、一般的にフルオロカルボン酸は生分解性がないので、地球環境保護の観点から、その製造プロセスの系外へのフルオロカルボン酸の放出を最小にすることが重要である。従って、上述の従来の製造方法よりも製造系からのロスをできる限り減らして、効率的にフルオロカルボン酸を製造する方法を提供することも本発明の課題である。
上述の課題は、フルオロカルボン酸の製造方法であって、
硫酸の存在下、フルオロカルボン酸塩を含む水溶液を酸性化反応処理に付すことによって硫酸塩を含むフルオロカルボン酸相を形成する工程、ならびに
硫酸水溶液を用いる洗浄処理にフルオロカルボン酸相を付す工程
を含み、酸性化反応処理および洗浄処理を連続的に実施する方法によって解決できることを見いだした。
カールカラム塔を用いる本発明のフルオロカルボン酸の製造方法を示す概略フローシートを図に示す。
発明の詳細な説明
本発明の方法において、「連続的に」なる用語は、酸性化反応処理によって得られるフルオロカルボン酸相を全量集めて、次いで、集めたフルオロカルボン酸相を洗浄処理に付す、即ち、酸性化反応処理と洗浄処理とを独立して(即ち、別々に)実施するのではなく、酸性化反応処理によって得られるフルオロカルボン酸相を逐次洗浄し、その洗浄処理の間にもフルオロカルボン酸塩を含む水溶液を新たに酸性化処理に付すことを意味する。従って、フルオロカルボン酸塩を含む水溶液が製造方法を実施するプロセスに連続的に供給されて、連続的に酸性化処理に付され、フルオロカルボン酸相が連続的に得られ、それが引き続いて連続的に洗浄処理され、洗浄されたフルオロカルボン酸相が連続的に得られる。
上述の洗浄処理においては、酸性化反応処理によって得られるフルオロカルボン酸相に存在し、かつ、硫酸水溶液に取りこまれ得る化合物(例えば硫酸塩等)の少なくとも一部分がフルオロカルボン酸相から除去される。
本発明の製造方法において、水溶液中に存在するフルオロカルボン酸塩が酸性化反応処理によって酸性化される。本明細書で用いる、「酸性化反応」とは、水溶液中に存在するフルオロカルボン酸塩を硫酸によって対応するフルオロカルボン酸に転換する反応を意味する。この反応の副生成物として硫酸塩が生ずる。
フルオロカルボン酸塩は、好ましくは一般式:
X−RfCOOM (1)
を有する化合物である。
式中、Xは水素原子、フッ素原子または塩素原子である;Mは1価のアルカリ金属イオン、好ましくはナトリウムもしくはカリウムまたはアンモニウムイオンである;Rfは炭素数4〜14、好ましくは炭素数7〜9、例えば炭素数7の直鎖または分枝のフルオロアルキレン基であり、具体的には直鎖または分枝パーフルオロアルキレン基である。
従って、酸性化反応により生成するフルオロカルボン酸は、一般式:
X−RfCOOH (2)
を有する。
式中、XおよびRfは上記と同じ意味である。本発明の方法において、特に好ましい具体例としては、フルオロカルボン酸は、例えばC15COOH、C17COOH等のパーフルオロアルキルカルボン酸であり、対応するフルオロカルボン酸塩は、C15COONa、C15COONH、C17COONa、C17COONH等のパーフルオロアルキルカルボン酸塩である。
本発明の方法において、フルオロカルボン酸塩とフルオロカルボン酸とは相互に対応している。この「対応」なる用語は、これらの化合物に関して用いられ、酸性化反応の前後で基:X−Rf−は変化しないことを意味する。
本発明の別の態様では、加水分解するフルオロカルボン酸塩は、一般式:
X−(CF−O−(CF(CF)CFO)−CF(CF)COOM (3)
を有する化合物である。
式中、Xは水素原子、フッ素原子または塩素原子である;Mは1価のアルカリ金属イオン、好ましくはナトリウムもしくはカリウムまたはアンモニウムイオンである;mは1〜10整数、例えば5である;nは0〜5の整数、例えば1である。
従って、この態様では、生成する対応するフルオロカルボン酸は、一般式:
X−(CF−O−(CF(CF)CFO)−CF(CF)COOH (4)
を有する化合物である。
式中、X、mおよびnは上記と同じ意味である。
本発明の方法において、フルオロカルボン酸塩を含む水溶液の酸性化反応処理によって、出発原料としての水溶液に溶解したフルオロカルボン酸塩が酸性化されて、対応するフルオロカルボン酸が生成する。このフルオロカルボン酸の水への溶解度は、硫酸存在下、非常に小さい。従って、水相に溶解したフルオロカルボン酸塩の酸性化反応処理により生成するフルオロカルボン酸は、水相とは別の相であり分離した有機相としてのフルオロカルボン酸相の形態で現れ、水相中に分散相として存在する。水相は、フルオロカルボン酸塩を含む水溶液に由来する。酸性化反応に際して存在する硫酸が水溶液の形態で用いられる場合には、硫酸水溶液中に存在する水も水相を構成する。
フルオロカルボン酸相は、フルオロカルボン酸に加えて、酸性化反応が起こる領域(「反応領域」とも呼ぶ)に存在し得る他の化合物、例えば、硫酸塩、水および未反応のフルオロカルボン酸塩等を含む。出発原料中に更に他の化合物(例えばフッ化水素等)が存在する場合には、フルオロカルボン酸相にはそのような更なる他の化合物も存在し得る。これらの他の化合物および更なる他の化合物は通常溶解状態で存在するが、場合によっては、フルオロカルボン酸相に分散する水相の微細な液滴中に存在していてもよい。酸性化反応によって生じる硫酸塩は、水に溶解するが、フルオロカルボン酸相内にも相当量含まれる。このような硫酸塩を少なくとも部分的に、好ましくは実質的に全量除去するために、後述するように、酸性化反応処理によって得られるフルオロカルボン酸相を洗浄処理に付す。洗浄処理によって、フルオロカルボン酸相に存在する種々の他の化合物も、硫酸水溶液に溶解可能である場合には、少なくとも部分的に除去される。
本発明の方法において、硫酸の存在下における、従って(出発原料に水が存在するので)硫酸水溶液の存在下における、フルオロカルボン酸塩の酸性化反応は、生成するフルオロカルボン酸が液体状態で存在する限り、いずれの適当な条件下でいずれの適当な装置を用いて実施してもよい。一般的には、生成するフルオロカルボン酸の融点より高い温度、通常少なくとも約3℃高い温度、好ましくは少なくとも約5℃高い温度、例えば約5〜15℃高い温度で反応を実施する。本発明の酸性化反応は、硫酸の存在下で実施する場合、比較的短い反応時間で実質的に100%に近い転化率(フルオロカルボン酸塩基準)を達成できる。例えば、直鎖のC15COOH(融点:53℃)を製造する場合、60〜70℃で酸性化反応を2〜5分間実施すれば実質的に100%の転化率を達成できる。
本発明の方法において、酸性化反応は、例えば、硫酸(濃硫酸)または硫酸水溶液中、フルオロカルボン酸塩を含む水溶液を連続的に反応装置に供給することによって開始できる。その後、反応の進行に伴って分散相としてのフルオロカルボン酸相が現れる。より詳細には、酸性化反応は、フルオロカルボン酸塩を含む水溶液と硫酸または硫酸水溶液とを所定時間混合することによって実施できる。酸性化反応の進行と共に、フルオロカルボン酸相が水相中に分散した混合物の状態で現れる。この混合物は、全体としては反応生成物(フルオロカルボン酸、硫酸塩)、未反応のフルオロカルボン酸塩、余分な硫酸および不活性な物質(水、反応の供給原料中に存在する不純物等)を含んで成る。所定の反応時間の後、混合物を静置すると、フルオロカルボン酸相(有機相)と水相とに分液する。その後、フルオロカルボン酸相を取り除いて集める。別の態様では、多少の水相を含む形態で、あるいは全く分液することなく有機相および水相の混合物のままで、フルオロカルボン酸相を得てもよい。このようなフルオロカルボン酸相を次の洗浄処理操作に連続的に付す。
酸性化反応に用いる装置は、通常、フルオロカルボン酸塩の水溶液と硫酸(濃硫酸)または硫酸水溶液とを連続的に混合して所定時間に反応を実施でき、その後、混合物を連続的に静置して、フルオロカルボン酸相を連続的に得ることができる、いずれの適当な装置であってもよい。特に好ましい態様では、ミキサー−セトラーと呼ばれる撹拌槽および分液槽の組、好ましくは複数のそのような組を使用する。別の態様では、チューブ型反応器を使用することができる。チューブ型反応器は、並流タイプであっても、向流タイプであってもよい。
本発明の方法において、反応の全段階において(反応によって生成した後、所定の反応時間の終了迄)、一般的に、フルオロカルボン酸相の比重は水相の比重より大きく、2つの相−有機相および水相−が存在する。従って、チューブ型反応器を使用する場合、反応器は、塔型の反応器の形態であるのが好ましい。向流の操作(即ち、生成するフルオロカルボン酸相のストリームの方向と硫酸水溶液のストリームの方向が相互に向かい合う)が特に好ましい。
酸性化反応における硫酸濃度は、通常、約2〜95重量%、好ましくは約5〜50重量%、より好ましくは約10〜30重量%、そして最も好ましくは約15〜20重量%である。この硫酸濃度は、酸性化反応における水相中の硫酸濃度である。フルオロカルボン酸塩の水溶液の密度を考慮して硫酸濃度を選択する。特に以下の連続向流方法に関して、フルオロカルボン酸塩の水溶液の密度を硫酸溶液の密度よりも大きくする必要がある。酸性化反応に用いる硫酸(または硫酸水溶液)の量および濃度を、結果としてそのような硫酸濃度になるよう選択する。反応の進行と共に硫酸が消費されるが、反応時間が終了するまでの間、水相中の硫酸濃度が上述の濃度範囲内に維持されている。従って、硫酸濃度にかかわらず、反応時間が終了する迄、水相に硫酸が存在する条件で酸性化反応を実施する。
また、酸性化反応処理に付されるフルオロカルボン酸塩水溶液は、本発明の方法を適用することによって対応するフルオロカルボン酸が得られる限り、特に限定されるものではない。好ましいフルオロカルボン酸塩は、5〜15個の炭素、好ましくは8〜10個の炭素、例えば8または9個の炭素を有するフルオロカルボン酸塩である。フルオロアルキルカルボン酸塩(例えばアンモニウム塩、ナトリウム塩等)であるのが特に好ましい。フルオロアルキル基は、パーフルオロアルキル基であってよく、あるいはその中の少なくとも1つのフッ素が水素または塩素に置換されているフルオロアルキル基であってもよい。フルオロアルキル基は、直鎖状であっても、あるいは分枝状であってもよい。
酸性化反応処理に付されるフルオロカルボン酸塩水溶液は、いずれのソースから得られるものであってもよい。例えば、フルオロカルボン酸塩を含有する希薄排水を逆浸透膜またはイオン交換樹脂を使用して回収する方法によって生じる水溶液であってよい。本発明の方法に悪影響を及ぼさない限り、フルオロカルボン酸塩水溶液は他の成分(例えばフッ化水素等)を含んでもよい。
上述のように、酸性化反応の結果生ずる硫酸塩(例えば硫酸アンモニウム、硫酸ナトリウム等)は、酸性化反応中であっても水相中に取り込まれ易い。しかし、酸性化反応後に硫酸塩の全てが水相中に取り込まれているわけではない;部分的にはフルオロカルボン酸相中に残存している。結果として、酸性化反応によって得られるフルオロカルボン酸相は、それのみの場合であっても、あるいはその中に分散している水相を含む場合であっても、生成する硫酸塩を含んでいる。従って、本発明の方法では、フルオロカルボン酸相を硫酸水溶液によって洗浄することによって、フルオロカルボン酸相に存在する硫酸塩を部分的に、好ましくは実質的に全部除去してフルオロカルボン酸の純度を向上させる。酸性化反応後に液−液分離を実施しない場合には、生じるフルオロカルボン酸相は水相との混合物の形態である。この場合でも、混合物を洗浄処理に付すことによって、水相は硫酸水溶液に取り込まれて一体化する。その結果、混合物から水相が除去され、フルオロカルボン酸相に存在する硫酸塩が硫酸水溶液中に移動する。
このような洗浄処理は、硫酸水溶液によってフルオロカルボン酸相に存在する硫酸塩を抽出する操作である。フルオロカルボン酸相が水相をも含む場合には、洗浄は水相を硫酸水溶液と合一させる操作である。そのような洗浄処理は、連続的に得られるフルオロカルボン酸相と硫酸水溶液とを連続的に混合することによって実施する。この混合は、酸性化反応と同様に、フルオロカルボン酸の融点より高い温度、通常少なくとも約3℃高い温度、好ましくは少なくとも約5℃高い温度、例えば約5〜15℃高い温度で反応を実施する。例えば直鎖のC15COOH(融点:53℃)を製造する場合、約60〜70℃で洗浄を実施する。
本発明の方法において、洗浄処理は、全ての段階において液(水相)−液(有機相)の異相分散系で進行する。
(1)洗浄処理の初期段階では、硫酸を含んで成る水相とフルオロカルボン酸および硫酸塩を含んで成るフルオロカルボン酸相とが存在する。これらを混合して相互に接触させることによって、硫酸塩がフルオロカルボン酸相から水相へ移動する洗浄が始まる。
(2)洗浄処理の終了時には、フルオロカルボン酸を主成分とし硫酸塩を実質的に含まないフルオロカルボン酸相と、硫酸および硫酸塩を含んで成る水相とが存在する。
このような洗浄処理において、水相とフルオロカルボン酸相との間で良好な分離が起こる。混合後に系を静置すれば、速やかに両相の間に界面を形成して分液する。
洗浄に使用する硫酸水溶液中の硫酸濃度は通常約2〜95重量%、好ましくは5〜50重量%、より好ましくは約10〜30重量%、最も好ましくは約15〜20重量%である。ここで用いる「洗浄に使用する硫酸水溶液の硫酸濃度」とは、洗浄の開始時においては洗浄のために供給する硫酸水溶液中の硫酸濃度であり、洗浄が始まった後では水相における濃度であると考えることができる。それは、洗浄処理においては、硫酸が他の化合物に変化することはなく、フルオロカルボン酸相へ移動するが、そのような硫酸の量はそれほど多いものではないからである。硫酸濃度は、洗浄を通じて一定である必要は必ずしもないが、実際、洗浄処理中、硫酸水溶液濃度は大きく変化しない。このような洗浄処理によって、減少した硫酸塩を含むフルオロカルボン酸相が得られ、その硫酸塩を取り込んだ硫酸水溶液の相、即ち、水相が得られる。
このように洗浄処理は、硫酸水溶液を用いて実施され、硫酸を含む水相が得られる。酸性化反応処理は、硫酸の存在下で実施されるので、酸性化反応処理に使用する硫酸の供給源として、洗浄処理に既に使用した水相を使用することができる。酸性化反応処理に際して形成する水相は硫酸塩を含む。他方、酸性化反応処理において存在する水相は硫酸を含むので、直接洗浄に使用することができ、この場合、洗浄に使用する硫酸水溶液は硫酸塩を含む。この後者の態様は、酸性化反応の後に、生成した硫酸塩を反応領域に存在する水相中に取り込む(即ち、抽出する)ことによって実施できるので、実際、反応の時にフルオロカルボン酸相(より高濃度の硫酸塩)からその周囲に存在する水相(より低濃度の硫酸塩)への硫酸塩の移動により洗浄を実現する。
洗浄に使用する硫酸水溶液の量は、洗浄すべきフルオロカルボン酸相の量、とりわけそこに存在する硫酸塩の量に応じて適宜選択できる。使用する硫酸水溶液の量(S)の洗浄すべきフルオロカルボン酸相の量(F)に対する割合、即ち、S/F(重量比)が、通常約0.2〜5の範囲、好ましくは約0.5〜3、最も好ましくは約1〜2となるように洗浄を実施する。この比S/Fは洗浄操作に供給する量(SおよびF)基準であるが、洗浄中においても上述の範囲が維持されるのが好ましい。実際、洗浄によって除去される硫酸塩の絶対量はそれほど大きくないので、S/F比は洗浄中、大きく変化しない。工業的には、洗浄すべきフルオロカルボン酸相の量(F)は、酸性化反応処理に付す水溶液に含まれているフルオロカルボン酸塩の量と実質的に同じであると考えてよい。
洗浄処理では、フルオロカルボン酸相と硫酸水溶液とを混合し、その後、静置してフルオロカルボン酸を主成分とするフルオロカルボン酸相と硫酸および水を主成分とする水相との2相に分液させ、次いで有機相を分取する。この過程を連続的に実施する。分液条件において、有機相と水相とは平衡関係にある。従って、フルオロカルボン酸相は、分液条件における飽和溶解度に対応する量の水、硫酸および硫酸塩を含んで成るが、硫酸および硫酸塩の量はいずれも非常に少なく、水の量も少ない。必要に応じて、分取したフルオロカルボン酸相を硫酸水溶液による更なる洗浄に付すことによって、含まれる硫酸塩の量を減らすことができる。このようにして、本発明の方法において、洗浄によって硫酸塩の濃度が減少した、好ましくは硫酸塩が実質的に除去されたフルオロカルボン酸(厳密には、水を含むフルオロカルボン酸)を得ることができる。その用途によっては、こうして得たフルオロカルボン酸を更なる処理無しにそのまま使用することができる。酸性化反応の場合と同様に、混合後に系を洗浄操作に際して静置するとき、フルオロカルボン酸相と硫酸水溶液相との分液性は良好である。また、水相に存在するフルオロカルボン酸の量も少ない。
例えば、C15COOHと15重量%硫酸水溶液を重量比1:1で混合して分液させる場合、有機C15COOH相に存在する硫酸はわずかに約4000重量ppm程度(C15COOH固体中の量)である。この硫酸濃度では、C15COOHの使用目的にも依存するが、追加の精製工程を省略できる場合が多い。また、硫酸水溶液相(水相)中のC15COOH濃度は100重量ppm以下である。このことは、プロセス廃液として排出する水相中に存在するフルオロカルボン酸のロスを最小にできることを意味する。
洗浄操作は、フルオロカルボン酸相に存在する硫酸塩を水相へ移動させる一種の抽出操作である。この点でも、先に説明した酸性化反応処理と同様に、存在する両相が効率的に接触するのが好ましい。従って、連続的な抽出操作と同様にして、洗浄処理を連続的に実施できる。そのような洗浄処理に使用できる装置の例としては、酸性化反応処理に使用できる上述のタイプの装置(例えばミキサー−セトラー、チューブ型反応器等)が挙げられる。好ましい態様では、反応によって生成する反応混合物、特にフルオロカルボン酸相と水相としての硫酸水溶液とを向流で接触させることによって、洗浄を連続的に実施できる。より具体的には、抽出塔を使用して、軽液として硫酸水溶液を供給し、重液としてフルオロカルボン酸相を供給して、2液を向流で接触させることによって洗浄を実施してよい。水相を連続相として、有機相を分散相として操作を実施してよく、あるいはその逆で操作を実施することもできる。
本発明の方法では、酸性化反応処理および洗浄処理の双方において硫酸が存在するが、硫酸は、酸性化反応において化学的に消費される。従って、酸性化反応にて形成する水相を洗浄に使用する場合には、硫酸が化学的に消費された後でも水相中に硫酸が所定濃度で存在するように、酸性化処理を実施する。また、洗浄処理では硫酸は消費されないので、洗浄に使用した後に得られる硫酸水溶液を続いて水相として酸性化反応処理に使用する場合には、酸性化反応によって消費される硫酸の量を予め余分に含む硫酸水溶液を使用して洗浄処理を実施する。本発明の方法の後者の態様では、洗浄後に得られる水相の存在下、フルオロカルボン酸塩の酸性化反応を実施できる。このことは、これらの洗浄処理および酸性化反応処理を連続的に実施する場合に特に好都合である。
具体的には、(a)洗浄後の液−液分離により、硫酸を含む水相およびフルオロカルボン酸を含むフルオロカルボン酸相を得、水相を酸性化反応に利用する(フルオロカルボン酸相を製品として所定の用途に使用できる);(b)次に、こうして得られた水相とフルオロカルボン酸塩を含む水溶液とを混合して酸性化反応を実施し、次いで反応混合物を静置して、フルオロカルボン酸を含む有機相(即ち、フルオロカルボン酸相)および水相を得る(得られた水相は硫酸塩を十分含むので、本発明の方法を実施するプロセスの系外に排出する);(c)得られた有機相を新たな硫酸水溶液によって洗浄し、洗浄後に分液させて硫酸を含む水相およびフルオロカルボン酸を含むフルオロカルボン酸相を得る。水相は加水分解に使用される。工程(c)は上記工程(a)と同じである。工程(a)〜(c)を繰り返すことによって、本発明の方法において洗浄処理および酸性化反応処理を連続的に実施できる。実際に、このように本発明の方法を実施するのが好ましい。
このタイプの処置に関して、酸性化反応処理を実施する反応装置(工程(b)の装置)と、洗浄処理を実施する洗浄装置(工程(a)または(c)の装置)とを別々に設け、酸性化反応処理により生じる反応混合物、特にフルオロカルボン酸相を反応装置から洗浄装置に連続的に供給すること、および、洗浄処理により生じる水相を洗浄装置から反応装置に連続的に供給することによって実施できる。しかしながら、工業的規模で本発明の方法を利用する場合、単一の装置を用いて酸性化反応処理および洗浄処理を連続的に実施することが好ましい。
そのような単一の装置として、軽液相と重液相とが連続的に向流接触できる向流抽出塔、特に向流微分型抽出塔を使用するのが特に好ましい。向流操作が可能な抽出装置が種々知られている。このような使用可能な抽出装置の具体例として、撹拌式段型抽出塔(例えば回転円板抽出塔)および非撹拌式段型抽出塔(例えば多孔板抽出塔)等が挙げられる。このような装置を用いると、酸性化反応処理および洗浄処理を有機相と水相との向流接触により連続的に行なうことができる。
本発明の方法を実施するのに特に好ましいタイプの抽出装置に、カールカラム塔として住友重機械工業株式会社から市販されている抽出塔がある。カールカラム塔は、円筒状部とその上下に位置するデカンターとして機能する槽部とを有する。
このような抽出塔を用いて本発明の方法を実施する場合、円筒状部の下部から軽液として硫酸水溶液を連続的に供給して、塔内全体を上昇する水相としての連続相を形成させる。円筒状部の上部から重液としてのフルオロカルボン酸塩を含む水溶液を連続的に供給する。酸性化反応は、フルオロカルボン酸塩含有水溶液を抽出塔内に供給すること、および塔内を上昇する硫酸水溶液を含む水相との向流接触にこの水溶液を付すことによって進行し、その結果、フルオロカルボン酸を含む有機相が生成して降下する。有機相と水相とが向流接触することによって洗浄が連続的に進行していく。従って、酸性化反応は、フルオロカルボン酸塩含有水溶液の抽出塔への供給口付近において起こり、この領域が反応領域となる。
酸性化反応により生成する硫酸塩は、供給口付近の反応領域において硫酸を含む水相に部分的に取り込まれ、また、残りがフルオロカルボン酸相(有機相)中に存在する。分散相としての有機相が液滴状態で塔内を降下する間、塔内を上昇してくる連続相としての硫酸を含む水相と向流で接触する。その接触によって、有機相内に存在する硫酸塩が水相中に移動する、即ち、抽出され、このようにして、フルオロカルボン酸相は洗浄される。
出発原料としてのフルオロカルボン酸塩を含む水溶液が、酸性化反応に関与しない他の成分、例えば硫化水素を含む場合、そのような他の成分もフルオロカルボン酸相に存在し得る。本発明の方法では、洗浄によってそのような他の成分を少なくとも部分的にフルオロカルボン酸相から除去する。この意味では、出発原料が硫酸水溶液に取り込まれ得る成分を含む場合、本発明の方法は、結果として得られるフルオロカルボン酸相からそのような成分をも洗浄できる、従って除去できる。
逆に、出発原料としてのフルオロカルボン酸塩を含む水溶液が、酸性化反応に関与しない他の成分であって、硫酸水溶液に容易に取り込まれない成分(例えばフルオロカルボン酸)を含む場合、そのような成分をフルオロカルボン酸相に移すことによって、酸性化反応によって得られるフルオロカルボン酸を含むフルオロカルボン酸相内にそのような成分を一緒に含ませることができる。こうして一緒に含ませることができるフルオロカルボン酸は、酸性化処理に付されるフルオロカルボン酸塩に対応するものであっても、あるいは別のフルオロカルボン酸であってもよい。
上述のフルオロカルボン酸塩の酸性化反応および反応の結果として生成するフルオロカルボン酸を含むフルオロカルボン酸相の洗浄は、抽出能力に影響を与える装置の種々のパラメーター(例えば円筒状部の長さ)および操作の種々のパラメーター(例えば、供給するフルオロカルボン酸塩含有水溶液の流量、ならびに供給する硫酸水溶液の濃度および流量等)によって影響を受ける。一般的には、フルオロカルボン酸塩の酸性化は、硫酸が十分存在するとき、実質的に100%の転化率を達成することが可能である。生成する反応混合物、特にフルオロカルボン酸相からの硫酸の除去(従って、抽出効率)を、上述のパラメーターを調節することによってコントロールできる。当業者であれば、装置および操作パラメーターを適当な値に設定することによって、所望の酸性化反応処理および洗浄処理を実施できるであろう。
抽出塔を上述のように操作する場合、円筒状部の下端部または下の槽部には硫酸水溶液により硫酸塩が除去された後のフルオロカルボン酸相(分散相)が蓄積して合一し、単一のフルオロカルボン酸相を形成する。このフルオロカルボン酸相を連続的に取り出すことで、フルオロカルボン酸製造プロセスの連続化が可能となる。回収されたフルオロカルボン酸相は少量の不純物(例えば水、硫酸、硫酸塩等)を含む。この量は、フルオロカルボン酸の用途によっては、後の精製処理の簡略化、好ましくは削減が可能なレベルである。従って、本発明は、フルオロカルボン酸塩の連続酸性化反応処理と、生成するフルオロカルボン酸相の連続洗浄処理とを含むフルオロカルボン酸の連続製造方法を提供する。より詳しくは、本発明は、フルオロカルボン酸塩を含む水溶液と硫酸との酸性化反応、および酸性化反応によって生成するフルオロカルボン酸を含んで成る有機相と硫酸を含んで成る水相との向流接触による洗浄を含む、フルオロカルボン酸の製造方法を提供する。
上述のように、本発明のフルオロカルボン酸の製造方法は、好ましくはカールカラム抽出塔を使用することによって連続的に実施できる。カールカラム抽出塔は、抽出塔の円筒状部内に配置された多数のディスク状プレートを有する。これらのプレートは円筒状部内で上下動することができる。この上下動によって、連続相および分散相が円筒状内部で効率良く接触すると共に、分散相が効率的に合一および再分割される。このような装置の抽出に影響を与えるパラメーターとしては、一般的な抽出装置のパラメーターに加えて、上下動するプレートの大きさ、隣接するプレートとの間隔、および上下動の頻度等がある。これらのパラメーターを調節することによって、適切な加水分解および洗浄を実施できる。
このようなカールカラム塔10を用いる本発明の実施方法を説明するフローシートを図1に示す。カールカラム塔10は円筒状部12ならびにその上下端部に位置する槽14および16を有して成る。円筒状部内には多数のディスク状プレート18が配置されている。これらは、塔の中心軸においてシャフト20に取り付けられ、このシャフトが塔の頂部に設けたモーター22によって矢印Aで示すように上下動する。このシャフト20による上下動によってプレート18が上下動する。
例えば30重量%の硫酸水溶液(HSO aq.)を軽液フィードとして円筒状部12の下端部23から塔10に供給し、フルオロカルボン酸塩、例えばフルオロカルボン酸のナトリウム塩(X−RfCOONa)をポンプによってカールカラム塔の円筒状部の上方部32に重液フィードとして供給する(重液を上端部に供給する必要はない;図示するように、上端部よりやや下方に供給してもよい)。酸性化反応処理および洗浄処理がフルオロカルボン酸の融点より高い温度で実施されるように、塔に供給する液体の温度および塔内の液体の温度をコントロールする。図示した態様においては、硫酸水溶液は塔内を上昇して連続相としての水相を形成する。反応によって生成するフルオロカルボン酸は、分散相としての有機相を形成して塔内を降下する。
塔に供給されたフルオロカルボン酸塩含有水溶液は、塔内に入ると、そこに存在する硫酸の存在下、酸性化されてフルオロカルボン酸(X−RfCOOH)および硫酸塩を生成する。この酸性化反応は、フルオロカルボン酸塩含有水溶液の塔内への供給口32の付近にて起こる。従って、塔の供給口の付近(その上方部および下方部)は酸性化反応領域24となり、ここで図1に示す反応が起こる。先の説明から明らかなように、フルオロカルボン酸塩は反応領域24でフルオロカルボン酸に転換され、分散したフルオロカルボン酸相を形成し、その後、反応領域24の下方に位置する洗浄領域26を通って液滴状態で降下する。その降下の間に、フルオロカルボン酸相中に存在する硫酸塩が水相へと移動し(即ち、抽出され)、その結果、フルオロカルボン酸相が洗浄される。
塔を降下するフルオロカルボン酸相は、槽16に蓄積し、液滴が合一して単一のフルオロカルボン酸相を形成し、その結果、水相との界面28を形成する。フルオロカルボン酸相は、フルオロカルボン酸を主成分として含み、硫酸塩を実質的に含まない。このフルオロカルボン酸相を重液相流出として取り出し、硫酸塩を実質的に含まないフルオロカルボン酸を得る。このフルオロカルボン酸には、水および硫酸が溶解している。フルオロカルボン酸の用途に応じて、硫酸および/または水を除去してよい。例えば、水および硫酸の除去は、蒸留処理によって達成してよい。
塔を上昇する硫酸水溶液は、洗浄領域26にて降下してくるフルオロカルボン酸相を洗浄して硫酸塩を含む水相となる。次いで、反応領域24に入り、そこで、フルオロカルボン酸塩の酸性化反応に関与し、酸性化反応によって生じる硫酸塩を部分的に取りこみ、その後、反応領域から出て槽14に達する。そして、槽14から軽液相流出としてオーバーフローして塔から排出される。
フルオロカルボン酸塩を含む水溶液がフッ化水素をも含む場合、フッ化水素は硫酸塩と同様に挙動し、その大部分が反応領域24および洗浄領域26において水相に移動する。槽16から得られるフルオロカルボン酸中に存在するフッ化水素の量はわずかである。従って、本発明の方法、特に抽出塔を使用して反応および洗浄を連続的に実施する方法は、フルオロカルボン酸塩を含む水溶液中にフッ化水素も存在する場合に、そのようなフッ化水素も除去できるので特に有用である。
更に、本発明の方法において、フルオロカルボン酸塩を含む水溶液がフルオロカルボン酸(このフルオロカルボン酸は、酸性化反応されるフルオロカルボン酸塩に対応するものであっても、あるいは対応しないものであってもよい)を予め含んでいてよい。その場合、このフルオロカルボン酸は、酸性化反応に際しては不活性であり、フルオロカルボン酸塩の酸性化によって生じるフルオロカルボン酸と実質的に同じ挙動をする。従って、予め存在するフルオロカルボン酸に関しては、それが硫酸水溶液または水相によって抽出され得る不純物(例えばフッ化水素等)を含んでいる場合、本発明の方法は、そのような不純物を除去した、フルオロカルボン酸塩を含む水溶液中に元から存在するフルオロカルボン酸と酸性化によって生成するフルオロカルボン酸との混合物を回収できるという利点を提供する。
別の態様において、フルオロカルボン酸の製造方法を、例えば攪拌式回分反応器、およびセトラー等を用いて実施することができる。別法では、酸性化反応および洗浄処理の少なくとも1つを上述のように連続的に実施してよい。
実施例
以下に本発明の実施例を示すが、本発明がこれらに制限されるものとして解釈されるべきではない。
実施例1:連続酸性化処理・洗浄処理
本実施例では、図1に示すカールカラム抽出塔を使用した。この塔は、直径2.5cmの円筒状部12(長さ3.0m)を有し、デカンターとしての槽部14および16が上下に位置する。円筒状部の内部において、ディスク状プレート18(5cm間隔で55枚のプレートが置かれている)が上下することによって円筒状部内の液体を攪拌する。
硫酸水溶液(30重量%)を円筒状部の下端部付近23から150g/minの流量で軽液として連続的に供給した。円筒状部の上端部30から0.6mの位置に設けた供給口32からC15COONa水溶液(濃度10.0重量%)を重液として150g/minの流量で連続的に供給した。
15COONaの酸性化反応は、硫酸水溶液にC15COONaの水溶液が連続相として供給される付近(反応領域24)で連続的に起こった。重液としてのC15COONaを酸性化反応によってC15COOHに転換しながらフルオロカルボン酸相を形成し、フルオロカルボン酸相は硫酸水溶液中を油滴状態で降下した。
酸性化反応により生成する硫酸ナトリウムは、分散した有機相としてのフルオロカルボン酸相中に存在するが、フルオロカルボン酸相が塔内を降下する過程で、洗浄領域26にて塔内を上昇する硫酸水溶液または水相によって連続的に抽出される(即ち、洗浄される)。塔下部のデカンター16には、降下してきたフルオロカルボン酸相(分散相)の液滴が合一し、分液によって硫酸水溶液との界面28を形成する。
塔下部のデカンター16に形成されたフルオロカルボン酸相を回収し、その組成を決定し、次の結果を得た:
15COOH 95.5 重量%
O 4.1 重量%
SO 4100 重量ppm
Naイオン 3 重量ppm
塔上部のデカンター14の連続相(即ち、水相)を回収し、それに含まれるC15COOH濃度を分析したところ、100重量ppmであった。上述の酸性化及び洗浄操作において、供給C15COONaが全て酸性化されたと仮定した場合、C15COOHの回収率は99.9%であった。
上述の本発明の詳細および形態について様々な変更が行われ得ることが当業者には明らかであろう。このような変更が添付の請求項の意図および概念の範囲内に含まれるよう行われることが理解されよう。
図1は、カールカラム塔を使用する、本発明のフルオロカルボン酸の製造方法の模式的フローシートである。
符号の説明
10 カールカラム塔
12 円筒状部
14 デカンター
16 デカンター
18 プレート
20 シャフト
22 モーター
23 円筒状部下端
24 反応領域
26 洗浄領域
28 界面
30 円筒状部上端
32 液供給口

Claims (10)

  1. 酸性化反応処理および洗浄処理を連続的に実施するフルオロカルボン酸の製造方法であって:
    硫酸の存在下、フルオロカルボン酸塩を含む水溶液を酸性化反応処理に付すことによって硫酸塩を含むフルオロカルボン酸相を連続的に形成すること、ならびに硫酸水溶液を用いる洗浄処理に、連続的に形成されたフルオロカルボン酸相を、逐次付すことを、微分接触型の抽出塔を用いてフルオロカルボン酸塩を含む水溶液と硫酸水溶液とが向流で流れるように抽出塔に供給することによって、実施することを含み、
    酸性化および洗浄をフルオロカルボン酸が液体である温度で実施する方法。
  2. フルオロカルボン酸塩は、一般式:
    X−RfCOOM
    (式中、Xは水素原子、フッ素原子または塩素原子である;Mは1価のアルカリ金属またはアンモニウムイオンである;Rfは炭素数4〜14の直鎖または分枝のフルオロアルキレン基である。)
    を有する、請求項1に記載の方法。
  3. フルオロカルボン酸塩は、一般式:
    X−(CF−O−(CF(CF)CFO)−CF(CF)COOM
    (式中、Xは水素原子、フッ素原子または塩素原子である;mは1〜10の整数である;nは0〜5の整数である;Mは一価のアルカリ金属またはアンモニウムイオンである。)
    を有する、請求項1に記載の方法。
  4. 酸性化反応処理において、存在する水相の硫酸濃度が2〜95重量%で維持されることを含む、請求項1に記載の方法。
  5. 水相の硫酸濃度を2〜95重量%に維持しながら、水相および有機相から成る液−液異相分散系で洗浄処理を実施することを含む、請求項1に記載の方法。
  6. 有機相と水相との向流接触により洗浄処理を連続的に実施することを含む、請求項5に記載の方法。
  7. 抽出塔は、カールカラム塔である請求項に記載の方法。
  8. フルオロカルボン酸塩はC15COONaから成る、請求項1に記載の方法。
  9. フルオロカルボン酸塩はC15COONHから成る、請求項1に記載の方法。
  10. Mは、ナトリウム、カリウムおよびアンモニウムイオンから成る群から選択される、請求項1に記載の方法。
JP2004541531A 2002-09-30 2003-09-29 フルオロカルボン酸の製造方法 Expired - Lifetime JP4599162B2 (ja)

Applications Claiming Priority (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
US41442102P 2002-09-30 2002-09-30
PCT/US2003/028548 WO2004031141A2 (en) 2002-09-30 2003-09-29 Process for preparing fluorocarboxylic acids

Publications (3)

Publication Number Publication Date
JP2006501300A JP2006501300A (ja) 2006-01-12
JP2006501300A5 JP2006501300A5 (ja) 2006-11-09
JP4599162B2 true JP4599162B2 (ja) 2010-12-15

Family

ID=32069733

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2004541531A Expired - Lifetime JP4599162B2 (ja) 2002-09-30 2003-09-29 フルオロカルボン酸の製造方法

Country Status (6)

Country Link
US (1) US7126016B2 (ja)
EP (1) EP1546081B1 (ja)
JP (1) JP4599162B2 (ja)
CN (1) CN1303051C (ja)
AU (1) AU2003276878A1 (ja)
WO (1) WO2004031141A2 (ja)

Families Citing this family (20)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US7279522B2 (en) 2001-09-05 2007-10-09 3M Innovative Properties Company Fluoropolymer dispersions containing no or little low molecular weight fluorinated surfactant
WO2004029008A2 (en) 2002-09-25 2004-04-08 E.I. Du Pont De Nemours And Company Process for preparing fluorocarboxylic acids
EP1681295A1 (en) * 2005-01-17 2006-07-19 Solutia Europe N.V./S.A. Process for the manufacture of aminoakylenephosphonic acid compounds in the presence of a heterogeneous catalyst
US20080015304A1 (en) 2006-07-13 2008-01-17 Klaus Hintzer Aqueous emulsion polymerization process for producing fluoropolymers
GB0523853D0 (en) 2005-11-24 2006-01-04 3M Innovative Properties Co Fluorinated surfactants for use in making a fluoropolymer
US7671112B2 (en) 2005-07-15 2010-03-02 3M Innovative Properties Company Method of making fluoropolymer dispersion
GB0525978D0 (en) 2005-12-21 2006-02-01 3M Innovative Properties Co Fluorinated Surfactants For Making Fluoropolymers
GB0514398D0 (en) 2005-07-15 2005-08-17 3M Innovative Properties Co Aqueous emulsion polymerization of fluorinated monomers using a fluorinated surfactant
US7728087B2 (en) 2005-12-23 2010-06-01 3M Innovative Properties Company Fluoropolymer dispersion and method for making the same
US7754795B2 (en) 2006-05-25 2010-07-13 3M Innovative Properties Company Coating composition
US8119750B2 (en) 2006-07-13 2012-02-21 3M Innovative Properties Company Explosion taming surfactants for the production of perfluoropolymers
US20080264864A1 (en) 2007-04-27 2008-10-30 3M Innovative Properties Company PROCESS FOR REMOVING FLUORINATED EMULSIFIER FROM FLUOROPOLMER DISPERSIONS USING AN ANION-EXCHANGE RESIN AND A pH-DEPENDENT SURFACTANT AND FLUOROPOLYMER DISPERSIONS CONTAINING A pH-DEPENDENT SURFACTANT
US8338517B2 (en) 2007-05-23 2012-12-25 3M Innovative Properties Company Aqueous compositions of fluorinated surfactants and methods of using the same
EP2160421A1 (en) 2007-06-06 2010-03-10 3M Innovative Properties Company Fluorinated ether compositions and methods of using the same
FR2921565B1 (fr) * 2007-09-28 2011-05-20 Rhodia Operations Procede de recuperation d'acides fluorocarboxyliques
FR2933693B1 (fr) * 2008-07-10 2010-09-03 Rhodia Operations Procede de separation d'un acide carboxylique sous forme salifiee porteur d'au moins un atome d'halogene
JP2011528659A (ja) 2008-07-18 2011-11-24 スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー フッ素化エーテル化合物及びその使用方法
JP5347851B2 (ja) 2008-09-08 2013-11-20 ダイキン工業株式会社 フルオロカルボン酸の製造方法
CN102317403A (zh) 2008-12-18 2012-01-11 3M创新有限公司 使含烃地层与氟化醚组合物接触的方法
EP3473610B1 (en) * 2016-06-16 2023-07-19 Daikin Industries, Ltd. Method of purifying a fluorinated c2-c20 organic acid

Family Cites Families (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US3227736A (en) 1962-10-31 1966-01-04 Olin Mathieson Production of alpha-fluorocarboxylic acids and esters
US5196579A (en) * 1990-12-24 1993-03-23 Hoechst Ag Process for the recovery of perfluoroethercarboxylic acids
US6013795A (en) 1996-11-04 2000-01-11 3M Innovative Properties Company Alpha-branched fluoroalkylcarbonyl fluorides and their derivatives
US6248923B1 (en) 1999-09-03 2001-06-19 Eastman Chemical Company Process for the production of fluorocarboxylic acid anhydrides
US6281374B1 (en) * 2000-08-23 2001-08-28 E. I. Du Pont De Nemours And Company Fluorinated alkanoic acid purification process
WO2004029008A2 (en) 2002-09-25 2004-04-08 E.I. Du Pont De Nemours And Company Process for preparing fluorocarboxylic acids

Also Published As

Publication number Publication date
EP1546081A4 (en) 2006-06-21
EP1546081B1 (en) 2012-12-19
AU2003276878A8 (en) 2004-04-23
CN1684937A (zh) 2005-10-19
CN1303051C (zh) 2007-03-07
WO2004031141A2 (en) 2004-04-15
EP1546081A2 (en) 2005-06-29
WO2004031141A3 (en) 2004-09-02
AU2003276878A1 (en) 2004-04-23
US20050171381A1 (en) 2005-08-04
JP2006501300A (ja) 2006-01-12
US7126016B2 (en) 2006-10-24

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4599162B2 (ja) フルオロカルボン酸の製造方法
US7253315B2 (en) Process for preparing fluorocarboxylic acids
JP2018533595A (ja) アルカンスルホン酸を精製する方法
EP3820841B1 (en) Process for producing 4,4'-dichlorodiphenyl sulfone
CN100393690C (zh) 一种全氟辛酸的提纯方法
JP2013537550A (ja) フィルターフィードスラリーにおける水のパーセントを制御することによるテレフタル酸パージろ過速度の向上
JP5459252B2 (ja) 陰イオン界面活性剤含有液の消泡方法およびヘキサフルオロプロピレンオキシドの洗浄方法
US20220274923A1 (en) A process for obtaining 4,4'-dichlorodiphenyl sulfone
EP3774726B1 (en) Process for producing 4,4`-dichlorodiphenyl sulfoxide
US20220289674A1 (en) A process for producing 4,4'-dichlorodiphenyl sulfone
CN114728818A (zh) 处理含有4,4’-二氯二苯亚砜和/或4,4’-二氯二苯砜作为杂质的水的方法
US20220340519A1 (en) A process for purifying 4,4'-dichlorodiphenyl sulfone
JP4643801B2 (ja) 分散媒置換方法および高純度テレフタル酸の製造方法
WO2020207929A1 (en) Process for working up a composition comprising solid 4,4'-dichlorodiphenyl sulfoxide and a solvent
CN114672830A (zh) 一种有机酸的制备方法
EP3921302A1 (en) Process for purifying 4,4'-dichlorodiphenyl sulfoxide
CN113382968A (zh) 从有机过氧化物生产的含水废物流生产盐的方法
JPS6245224B2 (ja)

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20060921

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20060921

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20090526

A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20090826

A602 Written permission of extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A602

Effective date: 20090902

A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20090924

A602 Written permission of extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A602

Effective date: 20091001

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20091026

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20100413

RD03 Notification of appointment of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7423

Effective date: 20100624

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20100708

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20100624

A911 Transfer to examiner for re-examination before appeal (zenchi)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A911

Effective date: 20100823

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20100907

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20100927

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Ref document number: 4599162

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20131001

Year of fee payment: 3

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313115

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

EXPY Cancellation because of completion of term