JP4598978B2 - 無線受信機 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、CDMA携帯電話機器などに適用されアンテナダイバーシチを用いて受信を行う無線受信機に関する。
【0002】
【従来の技術】
アンテナダイバーシチは通常、2つのアンテナの受信レベルをおのおの検出し、受信レベルが大きいほうのアンテナを選択して使用する。ところがCDMA(Code Division Multiple Access)方式の場合、受信レベルからではいずれのアンテナでの受信品質が良くなるのかを判定することが困難である。
【0003】
そこでCDMA携帯電話機器などにおいてアンテナダイバーシチを実現するための方法として本出願人は、フレームレートエラーがしきい値を越えたことに応じて使用するアンテナを切換える方法を考案した。そしてこのような方法を採用すると、弱電界状態であるためにいずれのアンテナを用いた場合でもフレームレートエラーが大きくなってしまう状況においては、アンテナの切換え制御を正常に行うことができなくなってしまうので、メインアンテナを連続的に使用することとした。
【0004】
ところで携帯電話機器は、非常に小型であるために2つのアンテナを十分に離隔することが困難である。このため弱電界状態においてメインアンテナのみを使用するようにしても、不使用となっているサブアンテナがメインアンテナに近接して存在しているのであり、このサブアンテナからの干渉を受けてメインアンテナの利得が低下してしまう。すなわち、弱電界状態ではアンテナダイバーシチによる通信品質向上を図ることができないのみならず、メインアンテナの利得がサブアンテナを設けない場合に比べて低下してしまうのであり、この結果、弱電界状態での通話品質が低下してしまうという不具合があった。
【0005】
また携帯電話機器の場合、メインアンテナはホイップアンテナとなるが、サブアンテナもホイップアンテナとすることは諸事情から困難であることから内蔵アンテナとすることが考えられ、この場合にはアンテナ単体での特性においてもメインアンテナに比べてサブアンテナの利得が低くなる。さらにサブアンテナはメインアンテナの干渉により利得が低下するので、サブアンテナ使用時の通話品質を十分に確保することが困難であった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
以上のように従来は、アンテナダイバーシチを行うべく2つのメインアンテナおよびサブアンテナを設けると、これらのアンテナを十分に離隔できない場合にはアンテナ間の干渉により各アンテナの利得が低下し、通話品質が低下してしまうという不具合があった。
【0007】
本発明はこのような事情を考慮してなされたものであり、その目的とするところは、アンテナ間の干渉による通信品質の低下を抑えて良好な通信品質を実現することが可能な無線受信機を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
発明は、主アンテナと副アンテナとを有していて、受信電界レベルが所定値以上である状態では前記主アンテナおよび副アンテナを選択的に使用してのダイバーシチ受信を行うが、受信電界レベルが前記所定値未満である弱電界状態では前記主アンテナを使用して受信を行う例えばCDMA方式の無線受信機において、前記主アンテナのマッチングをとる主アンテナマッチング手段と、この主アンテナマッチング手段の共振周波数を変化させて前記主アンテナのマッチングをずらす主アンテナマッチングずらし手段と、前記弱電界状態となっていることを、例えば受信電界レベルの検出値や送信信号のレベルに基づいて検出する弱電界検出手段と、この弱電界検出手段により前記弱電界状態となっていることが検出されていないときに前記主アンテナマッチングずらし手段を動作させる主アンテナマッチングずらし制御手段とを備えた。
【0011】
このような手段を講じたことにより、弱電界状態ではないとき、すなわちある程度の受信電界が確保できる状態では、主アンテナのマッチングが主アンテナマッチングずらし手段によってずらされる。従って、主アンテナによる副アンテナへの干渉が低減され、副アンテナのアンテナ効率が向上する。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施形態につき説明する。
【0013】
(第1の実施形態)
図1は本発明の第1実施形態に係る無線受信機を適用して構成されたCDMA携帯電話端末の要部構成を示すブロック図である。
【0014】
この図に示すように本実施形態のCDMA携帯電話端末は、主アンテナとしてのホイップアンテナ1、主アンテナマッチング手段としての第1マッチング回路2、アンテナ共用器(DUP)3、副アンテナとしての内蔵アンテナ4、副アンテナマッチング手段としての第2マッチング回路5、バンドパスフィルタ6、ダイバーシチスイッチ(SW)7、受信信号処理部8、送信信号処理部9、アイソレータ10、送信レベル制御部11、弱電界検出手段、主アンテナマッチングずらし制御手段および副アンテナマッチングずらし制御手段としてのダイバーシチ制御部12、主アンテナマッチングずらし手段としての第1可変容量回路13および副アンテナマッチングずらし手段としての第2可変容量回路14を有している。
【0015】
空間を介して到来した電波はホイップアンテナ1により受けられ、電気信号、すなわち受信信号が生成される。この受信信号は、第1マッチング回路2を介してアンテナ共用器3へと与えられる。そして受信信号は、アンテナ共用器3により受信帯域外の不要信号が取り除かれた上でダイバーシチスイッチ7へと与えられる。
【0016】
また空間を介して到来した電波は内蔵アンテナ4によっても受けられ、電気信号、すなわち受信信号が生成される。この受信信号は、バンドパスフィルタ6により受信帯域外の不要信号が取り除かれた上でダイバーシチスイッチ7へと与えられる。
【0017】
このようにダイバーシチスイッチ7へと与えられる2系統の受信信号は、ダイバーシチスイッチ7によりダイバーシチ制御部12からの指示に応じていずれか一方が選択されて受信信号処理部8へと与えられる。そして受信信号は、増幅、周波数のダウンコンバート、あるいは復調などの周知の各種の処理が受信信号処理部8によりなされる。なお受信信号処理部8は、受信電界レベルの検出やフレームエラーレートの測定も行う。
【0018】
一方、送信信号処理部9にて変調、周波数のアップコンバート、あるいは増幅などの周知の各種の処理がなされた送信信号は、アイソレータ10を介してアンテナ共用器3に与えられ、ここの送信側フィルタにより送信帯域外の不要信号が取り除かれる。そして送信信号は、マッチング回路2を介してホイップアンテナ1へと供給され、このホイップアンテナ1より放射される。なお送信レベルは、送信信号処理部9での増幅の利得を送信レベル制御部11が受信信号処理部8で検出された受信電界レベルに基づいて可変制御することで調整される。
【0019】
ダイバーシチ制御部12には、受信信号処理部8からフレームエラーレートや受信電界レベルが通知される。そしてダイバーシチ制御部12は、基本的にはフレームエラーレートに基づいてダイバーシチスイッチ7の切換え制御を行う。ただしダイバーシチ制御部12は、受信電界レベルに基づいて弱電界状態であるか否かを監視し、弱電界状態であるときにはダイバーシチスイッチ7の切換え制御を行わず、アンテナ共用器3からの受信信号を選択するようにダイバーシチスイッチ7を固定する。
【0020】
またダイバーシチ制御部12は、弱電界状態であるか否かに応じて第1可変容量回路13および第2可変容量回路14の状態をそれぞれ制御するための第1制御信号および第2制御信号を生成して出力する。
【0021】
第1可変容量回路13は、ホイップアンテナ1と第1マッチング回路2との接続点とグランドとの間に介挿されている。また第2可変容量回路14は、内蔵アンテナ4と第2マッチング回路5との接続点とグランドとの間に介挿されている。そしてこれらの第1可変容量回路13および第2可変容量回路14はそれぞれ、バリキャップダイオードやピンダイオードなどの可変容量素子とバイアス回路などを備えて構成されていて、第1制御信号および第2制御信号のレベルに応じた2状態を選択的にとる。
【0022】
次に以上のように構成されたCDMA携帯電話端末の動作につき説明する。なお、電話通信などの通信を実現するための基本的な動作は従来よりある同種の端末と同様であるのでその説明は省略し、ここではダイバーシチ制御部12によるアンテナダイバーシチのための制御動作を中心に説明することとする。
【0023】
まずダイバーシチ制御部12は、受信信号処理部8から通知される受信電界レベルに基づいて、この受信電界レベルが例えば10〜15dBμ程度である弱電界状態にあるか否かを監視している。
【0024】
ここで弱電界状態ではないことが確認されたならばダイバーシチ制御部12は、受信信号処理部8から通知されるフレームエラーレートを監視し、このフレームエラーレートに基づいて受信状態を判断し、受信状態が一定レベルよりも悪化したならばダイバーシチスイッチ7に選択する信号を変更させる。
【0025】
これに対して弱電界状態であることが確認されたならばダイバーシチ制御部12は、ダイバーシチスイッチ7をアンテナ共用器3から与えられる受信信号を選択する状態に固定する。すなわちダイバーシチ制御部12は、弱電界状態ではホイップアンテナ1のみを固定的に使用するように制御する。
【0026】
以上がアンテナダイバーシチを実現するための基本的な制御処理であるが、この処理と並行してダイバーシチ制御部12は、図2に示すようなマッチング制御処理を所定の時間間隔毎などの所定のタイミング毎に繰り返し実行する。
【0027】
このマッチング制御処理においてダイバーシチ制御部12はまず、弱電界状態であるか否かを確認する(ステップST1)。
【0028】
ここで弱電界状態になっているならばダイバーシチ制御部12は続いて、第1制御信号が現在、Hレベルであるか否かを確認する(ステップST2)。そして第1制御信号がHレベルとなっているならばダイバーシチ制御部12は、第1制御信号をLレベルに、また第2制御信号をHレベルにそれぞれ変更し(ステップST3)、これをもって今回のマッチング制御処理を終了する。しかし、第1制御信号がLレベルとなっているならばダイバーシチ制御部12は、ステップST3の処理をパスしてそのまま今回のマッチング制御処理を終了する。
【0029】
このようにダイバーシチ制御部12は、弱電界状態であるならば第1制御信号をLレベルに、また第2制御信号をHレベルにそれぞれしておく。
【0030】
さて、第1制御信号がLレベルとされていると第1可変容量回路13は、ホイップアンテナ1と第1マッチング回路2との接続点とグランドとの間の静電容量を第1値とする。この第1値は、第1マッチング回路2の共振周波数をホイップアンテナ1の効率を十分に大きくする周波数に設定し得る値である。すなわち、第1制御信号がLレベルとされているときには、第1可変容量回路13は第1マッチング回路2をマッチングがあった状態とさせるのである。
【0031】
また、第2制御信号がHレベルとされていると第2可変容量回路14は、内蔵アンテナ4と第2マッチング回路5との接続点とグランドとの間の静電容量を第2値とする。この第2値は、第2マッチング回路5の共振周波数を内蔵アンテナ4の効率をある程度低下させる周波数に設定し得る値である。すなわち、第2制御信号がHレベルとされているときには、第2可変容量回路14は第2マッチング回路5をマッチングをある程度ずらした状態とさせるのである。
【0032】
このように、第1マッチング回路2はマッチングがあった状態となっているから、ホイップアンテナ1は十分に大きな効率で動作可能である。さらに第2マッチング回路5はマッチングがずれた状態となっているから、内蔵アンテナ4によるホイップアンテナ1に対する干渉は低減される。具体的には、内蔵アンテナ4のマッチング状態の変化にともなうホイップアンテナ1および内蔵アンテナ4のアンテナ効率の変化は図3に示すような特性となるが、内蔵アンテナ4のアンテナ効率が低下するように内蔵アンテナ4のマッチングをM2で示すようにずらしていることで、ホイップアンテナ1のアンテナ効率を低下させることがないのである。
【0033】
この結果、例えばホイップアンテナ1および内蔵アンテナ4がともにマッチングがあった状態にある時の各アンテナにおける受信電界レベルの変化が図4に破線A1−2およびA2−2で示すような変化を示す状況を考えると、本実施形態により内蔵アンテナ4の受信電界レベルは図4に実線A2−1に示すように低下され、ホイップアンテナ1の受信電界レベルは実線A1−1に示すように上昇される。そしてこの時は弱電界状態であって、ホイップアンテナ1のみが連続的に使用されるのであるから、内蔵アンテナ4の受信電界レベルの低下は通信品質にはなんら影響せず、ホイップアンテナ1の受信電界レベルの上昇によって通信品質の向上が達成される。
【0034】
一方、弱電界状態ではないことをステップST1にて確認したならばダイバーシチ制御部12は続いて、第1制御信号が現在、Lレベルであるか否かを確認する(ステップST4)。そして第1制御信号がLレベルとなっているならばダイバーシチ制御部12は、第1制御信号をHレベルに、また第2制御信号をLレベルにそれぞれ変更し(ステップST5)、これをもって今回のマッチング制御処理を終了する。しかし、第1制御信号がHレベルとなっているならばダイバーシチ制御部12は、ステップST5の処理をパスしてそのまま今回のマッチング制御処理を終了する。
【0035】
このようにダイバーシチ制御部12は、弱電界状態ではないならば第1制御信号をHレベルに、また第2制御信号をLレベルにそれぞれしておく。
【0036】
さて、第1制御信号がHレベルとされていると第1可変容量回路13は、ホイップアンテナ1と第1マッチング回路2との接続点とグランドとの間の静電容量を第2値とする。この第2値は、第1マッチング回路2の共振周波数をホイップアンテナ1の効率をある程度低下させる周波数に設定し得る値である。すなわち、第1制御信号がHレベルとされているときには、第1可変容量回路13は第1マッチング回路2をマッチングをある程度ずらした状態とさせるのである。
【0037】
また、第2制御信号がLレベルとされていると第2可変容量回路14は、内蔵アンテナ4と第2マッチング回路5との接続点とグランドとの間の静電容量を第1値とする。この第1値は、第2マッチング回路5の共振周波数を内蔵アンテナ4の効率を十分に大きく設定し得る値である。すなわち、第2制御信号がLレベルとされているときには、第2可変容量回路14は第2マッチング回路5をマッチングがあった状態とさせるのである。
【0038】
このように、第2マッチング回路2はマッチングがあった状態となっているから、内蔵アンテナ4は十分に大きな効率で動作可能である。さらに第1マッチング回路2はマッチングがずれた状態となっているから、ホイップアンテナ1による内蔵アンテナ4に対する干渉は低減される。
【0039】
この結果、例えばホイップアンテナ1および内蔵アンテナ4がともにマッチングがあった状態にある時の各アンテナにおける受信電界レベルの変化が図5に破線A1−4およびA2−4で示すような変化を示す状況を考えると、本実施形態によりホイップアンテナ1の受信電界レベルは図5に実線A1−3に示すように低下され、内蔵アンテナ4の受信電界レベルは実線A2−3に示すように上昇される。そしてこの時は弱電界状態ではないのであって、ホイップアンテナ1および内蔵アンテナ4が適宜切換えられて使用されるのであるから、内蔵アンテナ4の受信電界レベルが上昇していることによってダイバーシチ効果が上がり、通信品質が向上する。なお、ホイップアンテナ1はマッチング状態での利得が内蔵アンテナ4に比べて十分に高く、しかも中電界状態または強電界状態であることから、多少アンテナ効率が低下しても十分な受信電界強度が得られるのであり、通信品質に大きくは影響しない。
【0040】
以上のように本実施形態によれば、弱電界状態では不使用となる内蔵アンテナ4のマッチングをずらすようにしているので、内蔵アンテナ4によるホイップアンテナ1への干渉を低減して、ホイップアンテナ1のアンテナ効率を十分に確保し、良好な通信品質を得ることが可能となる。
【0041】
また本実施形態によれば、弱電界状態ではなくホイップアンテナ1および内蔵アンテナ4を選択使用するときにはホイップアンテナ1のマッチングをずらすようにしているので、もともとのアンテナ効率が低い内蔵アンテナ4のアンテナ効率を十分に確保し、これによりダイバーシチ効果を十分に発揮して良好な通信品質を得ることが可能となる。
【0042】
(第2の実施形態)
図6は本発明の第2実施形態に係る無線受信機を適用して構成されたCDMA携帯電話端末の要部構成を示すブロック図である。なお、図1と同一部分には同一符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0043】
この図に示すように本実施形態のCDMA携帯電話端末は、ホイップアンテナ1、第1マッチング回路2、アンテナ共用器3、内蔵アンテナ4、第2マッチング回路5、バンドパスフィルタ6、ダイバーシチスイッチ7、受信信号処理部8、送信信号処理部9、アイソレータ10、送信レベル制御部11、第1可変容量回路13、第2可変容量回路14、ダイバーシチ制御部21、整流ダイオード22、電圧比較器23および論理反転回路24を有している。
【0044】
すなわち本実施形態のCDMA携帯電話端末は、前記第1実施形態のCDMA携帯電話端末におけるダイバーシチ制御部12に代えてダイバーシチ制御部21を設けるとともに、さらに整流ダイオード22、電圧比較器23および論理反転回路24を備えて構成されている。
【0045】
ダイバーシチ制御部21は、ダイバーシチ制御部12と同様にダイバーシチスイッチ7を制御する機能を有する。しかしダイバーシチ制御部21はダイバーシチ制御部12とは異なり、第1制御信号および第2制御信号を生成して第1可変容量回路13および第2可変容量回路14を制御する機能は有していない。
【0046】
整流ダイオード22には、送信信号処理部9から出力される送信信号が入力される。そして整流ダイオード22は、この入力される送信信号を整流して、送信信号レベルに応じた直流電圧を得る。
【0047】
電圧比較器23は、整流ダイオード22により得られた直流電圧を所定の参照電圧と比較し、整流ダイオード22により得られた直流電圧のほうが小さい場合にLレベルを、またそれ以外のときにHレベルをそれぞれ出力する。この電圧比較器23の出力は、そのまま第2制御信号として第2可変容量回路14へと与えられる。また電圧比較器23の出力は、論理反転回路24により論理が反転された上で第1制御信号として第1可変容量回路13へと与えられる。
【0048】
かくしてこのような構成によれば、送信電力レベルが所定レベル以上となっているときに整流ダイオード22により得られた直流電圧が参照電圧以上となって、第2制御信号がHレベルに、また第1制御信号がLレベルにそれぞれなる。
【0049】
また送信電力レベルが所定レベルよりも小さいときに整流ダイオード22により得られた直流電圧が参照電圧よりも小さくなって、第2制御信号がLレベルに、また第1制御信号がHレベルにそれぞれなる。
【0050】
ここで送信電力レベルは、送信レベル制御部11により受信信号処理部8で検出された受信電界レベルにほぼ反比例するよう制御されている。このため、参照値をこの送信電力レベル制御のパラメータなどを考慮して適切に設定しておくことで、弱電界状態で第2制御信号がHレベルに、また第1制御信号がLレベルにし、また弱電界ではない状態で第2制御信号がLレベルに、また第1制御信号がHレベルにすることができる。
【0051】
そしてこの結果、前記第1実施形態と同様にして良好な通信品質を得ることが可能となる。
【0052】
このように本実施形態では、整流ダイオード22、電圧比較器23および論理反転回路24により弱電界検出手段、主アンテナマッチングずらし制御手段および副アンテナマッチングずらし制御手段が達成し、かつ弱電界状態であるか否かの判断を送信電力レベルに基づいて行うように前記第1実施形態から変更したものである。
【0053】
なお、本第2実施形態と前記第1実施形態とを比較すると、通常は受信電界レベルの検出が例えば392μs間隔で短周期で行われているのに対して、送信電力レベルの決定は受信電界レベルの検出値を例えば26ms間隔で平均化した値に基づいて行われることから、前記第1実施形態のほうがフェージング変動などに追従してマッチング制御を行うことが可能なために精度がより高くなる。しかしながら、前記第1実施形態ではこのような高速のマッチング制御に追従し得るように第1マッチング回路2、第2マッチング回路5、第1可変容量回路13および第2可変容量回路14を高速に動作状態を切換えられるように構成しておく必要があるが、本第2実施形態によれば第1マッチング回路2、第2マッチング回路5、第1可変容量回路13および第2可変容量回路14は前記第1実施形態に比べて低速に動作できれば良く、比較的簡易に実現可能となる。
【0054】
なお本発明は前記各実施形態に限定されるものではない。例えば前記各実施形態では、主アンテナとしてホイップアンテナ1を、また副アンテナとして内蔵アンテナ4をそれぞれ備えることとしているが、各アンテナの種類はおのおの任意である。
【0055】
また前記各実施形態では、ホイップアンテナ1および内蔵アンテナ4の双方に関してそれぞれマッチング制御を行うようにしているが、いずれか一方のみとしても良い。特にホイップアンテナ1に関してのマッチング制御は、ホイップアンテナ1のアンテナ効率が低くなり過ぎない範囲で行うべきであり、条件によっては行うことが好ましくない場合もある。
【0056】
また前記各実施形態では、本発明に係る無線受信機をCDMA携帯電話端末に適用した例を示しているが、本発明の無線受信機は他の様々な種類の無線通信装置に適用が可能である。そして通信方式もCDMA方式には限らない。
【0057】
また前記第1実施形態では、マッチング制御をソフトウェア処理により実現することとしているが、前記第2実施形態に示した整流ダイオード22、電圧比較器23および論理反転回路24によりなる制御系と同様な構成を用いるなどのようにハードウェア処理により実現することも可能である。
【0058】
また前記第2実施形態では、マッチング制御をハードウェア処理により実現することとしているが、ダイバーシチ制御部21または別に設けた制御部によるソフトウェア処理により実現することも可能である。
【0059】
このほか、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変形実施が可能である。
【0060】
【発明の効果】
本発明によれば、弱電界状態では、使用されない副アンテナのマッチングを副アンテナマッチング手段によってずらすこととしたので、副アンテナによる主アンテナへの干渉が低減され、主アンテナのアンテナ効率が向上することとなり、この結果、アンテナ間の干渉による通信品質の低下を抑えて良好な通信品質を実現することが可能となる。
【0061】
また本発明によれば、弱電界状態ではないとき、すなわちある程度の受信電界が確保できる状態では、主アンテナのマッチングを主アンテナマッチングずらし手段によってずらすこととしたので、主アンテナによる副アンテナへの干渉が低減され、副アンテナのアンテナ効率が向上することとなり、この結果、ダイバーシチ効果が向上することとなって、アンテナ間の干渉による通信品質の低下を抑えて良好な通信品質を実現することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態に係る無線受信機を適用して構成されたCDMA携帯電話端末の要部構成を示すブロック図。
【図2】図1中のダイバーシチ制御部12によるマッチング制御処理の際の処理手順を示すフローチャート。
【図3】内蔵アンテナ4のマッチング状態の変化にともなうホイップアンテナ1および内蔵アンテナ4のアンテナ効率の変化を示す図。
【図4】弱電界状態における各アンテナでの受信電界レベルの変化の様子の一例を示す図。
【図5】弱電界状態ではないときにおける各アンテナでの受信電界レベルの変化の様子の一例を示す図。
【図6】本発明の第2実施形態に係る無線受信機を適用して構成されたCDMA携帯電話端末の要部構成を示すブロック図。
【符号の説明】
1…ホイップアンテナ
2…第1マッチング回路
3…アンテナ共用器(DUP)
4…内蔵アンテナ
5…第2マッチング回路
6…バンドパスフィルタ
7…ダイバーシチスイッチ(SW)
8…受信信号処理部
9…送信信号処理部
10…アイソレータ
11…送信レベル制御部
12…ダイバーシチ制御部
13…第1可変容量回路
14…第2可変容量回路
21…ダイバーシチ制御部
22…整流ダイオード
23…電圧比較器
24…論理反転回路

Claims (4)

  1. 主アンテナと副アンテナとを有していて、受信電界レベルが所定値以上である状態では前記主アンテナおよび副アンテナを選択的に使用してのダイバーシチ受信を行うが、受信電界レベルが前記所定値未満である弱電界状態では前記主アンテナを使用して受信を行う無線受信機において、
    前記主アンテナのマッチングをとる主アンテナマッチング手段と、
    この主アンテナマッチング手段の共振周波数を変化させて前記主アンテナのマッチングをずらす主アンテナマッチングずらし手段と、
    前記弱電界状態となっていることを検出する弱電界検出手段と、
    この弱電界検出手段により前記弱電界状態となっていることが検出されていないときに前記主アンテナマッチングずらし手段を動作させる主アンテナマッチングずらし制御手段とを具備したことを特徴とする無線受信機。
  2. 前記弱電界検出手段は、前記受信電界レベルの検出値に基づいて前記弱電界状態となっていることを検出することを特徴とする請求項1に記載の無線受信機。
  3. CDMA方式で伝送される信号の受信を行うものであることを特徴とする請求項1に記載の無線受信機。
  4. 前記主アンテナおよび前記副アンテナの選択をフレームエラーレートに基づいて行うことを特徴とする請求項1に記載の無線受信機。
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