以下、図面を参照して、本発明の実施の形態に係る吸収冷凍機について説明する。なお、各図において、互いに同一又は相当する装置等には同一あるいは類似の符号を付し、重複した説明は省略する。
まず図1を参照して、本発明の実施の形態に係る吸収冷凍機30の構成について説明する。図1は、本発明の実施の形態に係る吸収冷凍機30を説明する系統図である。吸収冷凍機30は、三重効用吸収冷凍機であり、被冷却媒体としての冷水pの熱で冷媒液Vfを蒸発させて冷媒蒸気Veを発生させることにより冷水pを冷却する蒸発器34と、蒸発器34で発生した冷媒蒸気Veを混合濃溶液Sdで吸収する吸収器31と、吸収器31で冷媒蒸気Veを吸収して濃度が低下した希溶液Swを導入し、希溶液Swを加熱し冷媒を蒸発させて濃度が上昇した高温濃溶液Saを生成する高温再生器32Aと、吸収器31から希溶液Swを導入し、高温再生器32Aで発生した高温冷媒蒸気Vaで希溶液Swを加熱し冷媒を蒸発させて濃度が上昇した中温濃溶液Smを生成する中温再生器32Mと、同じく吸収器31から希溶液Swを導入し、主に中温再生器32Mで発生した中温冷媒蒸気Vmで希溶液Swを加熱し冷媒を蒸発させて濃度が上昇した低温濃溶液Sbを生成する低温再生器32Bと、低温再生器32Bで希溶液Swから蒸発した低温冷媒蒸気Vbを冷却して凝縮させ、蒸発器34に送る冷媒液Vfを生成する凝縮器33とを備えている。吸収冷凍機30で使用される冷媒及び溶液は、典型的には、冷媒として水が、溶液として臭化リチウム(LiBr)が用いられるが、これに限らず他の冷媒、溶液(吸収剤)の組み合わせで使用してもよい。
蒸発器34には、冷却する対象である冷水pを流す冷水管34aが配設されている。冷水管34aは、エアハンドリングユニット等の冷水利用機器(不図示)と配管52を介して接続されている。また、蒸発器34には、冷媒液Vfを冷水管34aに向けて散布するための冷媒液散布ノズル34bが冷水管34aの上方に配設されている。蒸発器34の下部には、導入した冷媒液Vfを貯留する貯留部34cが形成されている。
吸収器31には、混合濃溶液Sdで冷媒蒸気Veを吸収した際に発生する吸収熱を奪う冷却水qを流す冷却水管31aが内部に配設されている。冷却水管31aは、凝縮器33内の冷却水管33aと配管53を介して、及び冷却塔(不図示)と配管54を介して、それぞれ接続されている。また、吸収器31には、混合濃溶液Sdを冷却水管31aに向けて散布する濃溶液散布ノズル31bが冷却水管31aの上方に配設されている。吸収器31は、冷却水管31aの下方に、冷媒蒸気Veを吸収して濃度が低下した希溶液Swを貯留する貯留部31cが形成されている。
吸収器31と蒸発器34とは共に1つの缶胴内にシェルアンドチューブ型に形成され、両者の間には仕切壁31dが設けられている。吸収器31と蒸発器34とは仕切壁31dの上部で連通しており、蒸発器34で発生した冷媒蒸気Veを吸収器31に移動させることができるように構成されている。缶胴外側の蒸発器34側には、貯留部34cに貯留されている冷媒液Vfを上部の冷媒液散布ノズル34bに導く循環冷媒管51が配設されている。循環冷媒管51には、貯留部34cに貯留している冷媒液Vfを冷媒液散布ノズル34bに圧送する冷媒ポンプ39が配設されている。
吸収器31の底部には、貯留部31cの希溶液Swを高温再生器32Aに導く希溶液管45と、中温再生器32M及び低温再生器32Bに導く希溶液管55が接続されている。希溶液管45には、希溶液Swを高温再生器32Aに圧送する溶液ポンプ48が配設されている。希溶液管55には、希溶液Swを中温再生器32M及び低温再生器32Bに圧送する溶液ポンプ38が配設されている。溶液ポンプ48、38は、典型的には、インバータ(不図示)により回転速度を調節することが可能なように構成されており、冷凍負荷に応じた流量の希溶液Swを圧送することができるように構成されている。
溶液ポンプ48の下流側の希溶液管45には、希溶液Swと高温濃溶液Saとの間で熱交換を行わせる高温溶液熱交換器37が配設されている。高温溶液熱交換器37には、また、高温濃溶液Saを流す濃溶液管46が接続されている。高温溶液熱交換器37は、典型的にはプレート型熱交換器が用いられるがシェルアンドチューブ型やその他の熱交換器であってもよい。
希溶液管45は、高温再生器32Aに接続されている。高温再生器32Aの構成の説明は後述する。高温再生器32Aには、高温濃溶液管46が接続されている。また、高温再生器32Aには、発生した高温冷媒蒸気Vaを流す冷媒蒸気管57が接続されている。
溶液ポンプ38の下流側の希溶液管55には、希溶液Swと混合濃溶液Scとの間で熱交換を行わせる低温溶液熱交換器36が配設されている。低温溶液熱交換器36には、また、混合濃溶液Scを流す濃溶液管56が接続されている。低温溶液熱交換器36は、典型的にはプレート型熱交換器が用いられるがシェルアンドチューブ型やその他の熱交換器であってもよい。
希溶液管55は、低温溶液熱交換器36の下流側で、中温再生器32Mに接続される希溶液管55Aと、低温再生器32Bに接続される希溶液管55Bとに分岐している。希溶液管55Aには、希溶液Swと中温濃溶液Smとの間で熱交換を行わせる中温溶液熱交換器35が配設されている。中温溶液熱交換器35には、また、中温濃溶液Smを流す中温濃溶液管56Aが接続されている。中温溶液熱交換器35は、典型的にはプレート型熱交換器が用いられるがシェルアンドチューブ型やその他の熱交換器であってもよい。
中温再生器32Mには、希溶液Swを加熱するための加熱源となる高温冷媒蒸気Vaを流す加熱蒸気管32Maが配設されている。加熱蒸気管32Maは、一端が冷媒蒸気管57に接続されている。他端は、凝縮冷媒管57Dに接続されている。中温再生器32Mには、導入した希溶液Swを加熱蒸気管32Maに向けて散布する希溶液散布ノズル32Mbが配設されている。希溶液散布ノズル32Mbは、希溶液管55Aに接続されている。中温再生器32Mの底部には、温度が上昇した中温濃溶液Smを通す中温濃溶液管56Aが接続されている。中温濃溶液管56Aは、中温溶液熱交換器35を経由して低温濃溶液管56Bに接続されている。また、中温再生器32Mには、発生した中温冷媒蒸気Vmを流す冷媒蒸気管58が接続されている。冷媒蒸気管58には、上述の凝縮冷媒管57Dが接続されている。
低温再生器32Bには、希溶液Swを加熱するための加熱源となる混合冷媒蒸気Vnを流す加熱蒸気管32Baが配設されている。加熱蒸気管32Baは、一端が冷媒蒸気管58に接続されている。他端は、凝縮冷媒管59に接続されている。凝縮冷媒管59は、加熱蒸気管32Ba内で混合冷媒蒸気Vnが凝縮した冷媒液Vdを凝縮器33へと導く配管である。低温再生器32Bには、導入した希溶液Swを加熱蒸気管32Baに向けて散布する希溶液散布ノズル32Bbが配設されている。希溶液散布ノズル32Bbは、希溶液管55Bに接続されている。
凝縮器33には、低温再生器32Bで発生した低温冷媒蒸気Vbを冷却するための冷却水qを流す冷却水管33aが配設されている。冷却水管33aは、一端が吸収器31内の冷却水管31aと配管53を介して、他端が冷却塔(不図示)と配管54を介して、それぞれ接続されている。
凝縮器33と低温再生器32Bとは共に1つの缶胴内にシェルアンドチューブ型に形成され、両者の間には仕切壁33dが設けられている。凝縮器33と低温再生器32Bとは仕切壁33dの上部で連通しており、低温再生器32Bで発生した低温冷媒蒸気Vbを凝縮器33に移動させることができるように構成されている。凝縮器33と低温再生器32Bとが形成された缶胴は、吸収器31と蒸発器34とが形成された缶胴よりも上方に配設されており、低温再生器32B内の低温濃溶液Sbを吸収器31に、凝縮器33内の冷媒液Vfを蒸発器34に、それぞれ重力によって送液することができるように構成されている。
低温再生器32Bの底部には、濃度が上昇した低温濃溶液Sbを通す低温濃溶液管56Bが接続されている。低温濃溶液管56Bには中温濃溶液管56Aが接続されて濃溶液管56となっている。濃溶液管56は、低温溶液熱交換器36を経由して濃溶液管66に接続されている。濃溶液管66は、濃溶液散布ノズル31bに接続されている。凝縮器33の底部には、冷媒液Vfを蒸発器34に向けて導出する冷媒液管60が接続されている。冷媒液Vfは、低温冷媒蒸気Vbが凝縮した冷媒液Vcと、加熱蒸気管32Ba内で混合冷媒蒸気Vnが凝縮し、凝縮器33で冷却された冷媒液Vdとが混合した冷媒液である。
次に図2を参照して、高温再生器32Aの構成について詳説する。図2は、高温再生器32Aの詳細図であり、(a)は縦断面図、(b)は横断面図、(c)は液管の断面詳細図である。高温再生器32Aは貫流式再生器であり、希溶液Swを導入する下部管寄せ14と、下部管寄せ14の希溶液Swを上方に向けて流す複数の液管10と、液管10内で高温濃溶液Saと冷媒蒸気Vaとの混合流体となったものを収集する上部管寄せ15と、液管10内の希溶液Swを加熱する燃焼ガスGbを生成する燃焼装置としてのバーナー16と、これらの部材を収容する外容器13と、高温濃溶液Saと冷媒蒸気Vaとの混合流体を分離する気液分離器18とを備えている。
下部管寄せ14は、吸収器31(図1参照)から供給された希溶液Swを複数の液管10に分配する部材である。下部管寄せ14は、典型的には、水平断面が円環状に、鉛直断面が矩形状に形成されている。なお、水平断面は円形以外の多角形状にひとまわりしているものであってもよい。鉛直断面は矩形以外の円形あるいは楕円形であってもよい。下部管寄せ14には、希溶液Swを導入する希溶液供給管14a及び高温濃溶液Saの一部をを導入する濃溶液供給管14bが設けられている。希溶液供給管14aには、レジューサ14rを介して希溶液管45が接続されている。また、濃溶液供給管14bには、溶液還管18Bが接続されている。下部管寄せ14の中心部に形成された空洞部分には、耐火材17が充填されている。
下部管寄せ14には、複数の液管10がほぼ鉛直に配設されている。液管10がほぼ鉛直とは、液管10の軸がほぼ鉛直の状態である。ほぼ鉛直は、液管10内で加熱されて希溶液Swから蒸発して生じた高温冷媒蒸気Vaが高温濃溶液Saと共に円滑に排出される程度であればよい。液管10の長さは、高温再生器32Aの高さに制限があるときは、その高さに納まるように決定されると共に、内部を流れる希溶液Swに与える熱量によって希溶液Sw中から高温冷媒蒸気Vaを発生させて高温濃溶液Saを生成することができるように、高温再生器32Aに供給される希溶液Swの流量、液管10の本数及び径との関係を総合的に勘案して決定される。また、複数の液管10は、下部管寄せ14と略同心円上に配設された内側環状液管列11と、内側環状液管列11よりも大きな半径の略同心円上に配設された外側環状液管列12とを形成している。
内側環状液管列11を形成する液管10同士は、仕切板11aで接続されている。仕切板11aは、液管10の下部管寄せ14と上部管寄せ15との間で外部に露出している部分(以下同様)とほぼ同様の長さを有している。内側環状液管列11の内側と外側とのガスの往来を完全に遮断する場合は、仕切板11aと液管10の露出部分とを同じ長さにするとよい。このようにして、内側環状液管列11の内側には、燃焼室20が形成されている。内側環状液管列11の一部には、燃焼ガスGbを燃焼室20から導出するための燃焼室開口部20aが形成されている。本実施の形態では、中心角が20〜30°程度の円弧の長さ分の液管10及び仕切板11aが除去されて燃焼室開口部20aが形成されている。
外側環状液管列12を形成する液管10同士は、仕切板12aで接続されている。仕切板12aは、液管10の露出部分とほぼ同様の長さを有している。このようにして、外側環状液管列12と内側環状液管列11との間に第1の燃焼ガス通路としての燃焼ガス通路21が形成されている。外側環状液管列12を形成する液管10は、内側環状液管列11を形成する液管10の配列に対して、略同心円の周方向に概ね半ピッチ角ずつずらして配置されている。つまり、略同心円の中心と内側環状液管列11を形成する液管10の中心とを結んだ線の延長線上に外側環状液管列12を形成する液管10の中心がなく、内側環状液管列11を形成する液管10のうち隣り合う液管10、10の中心を結んだ線分の中点と略同心円の中心とを結んだ線の延長線上に外側環状液管列12を形成する液管10の中心があるように、外側環状液管列12を形成する液管10が配置されている。このような内側環状液管列11及び外側環状液管列12の配置により、燃焼ガス通路21に、内側環状液管列11を形成する液管10と外側環状液管列12を形成する液管10とが概ね交互に突き出るようになっている。これにより、燃焼ガス通路21は、通過する燃焼ガスGbが蛇行するように構成されている。
外側環状液管列12の一部には、燃焼ガスGbを燃焼ガス通路21から導出するための通路開口部21aが形成されている。通路開口部21aは、典型的には、略同心円の中心を挟んで燃焼室開口部20aとは反対側に形成されている。本実施の形態では、中心角が20〜30°程度の円弧の長さ分の液管10及び仕切板12aが外側環状液管列12から除去されて通路開口部21aが形成されている。また、通路開口部21aから中心角が30〜45°程度の円弧の長さ分離れた箇所の仕切板12aが、隣の液管10から離れて外容器13の内壁に接続されている。これにより、燃焼ガス通路21がこの仕切板12aが除去された部分で分岐され、外側環状液管列12と外容器13との間に第2の燃焼ガス通路としての燃焼ガス通路22が形成されている。
内側環状液管列11を形成する液管10及び外側環状液管列12を形成する液管10の燃焼ガス通路21に面する部分には、第1の伝熱整流板としての伝熱整流板10aが取り付けられている。伝熱整流板10aは、パイプを縦に割ったような形状を有している。伝熱整流板10aは、横断面が、典型的には、液管10の半径よりも小さな曲率半径で、先端が丸みを帯びており、ほぼ弧状の形態を呈している。伝熱整流板10aの曲率は、一定でなく途中で変化してもよい。伝熱整流板10aは、第1の所定の長さX1を有している。第1の所定の長さX1は、典型的には、液管10の長さとほぼ同じ長さである。第1の所定の長さX1は、必ずしも連続している必要はなく、全体として第1の所定の長さX1の範囲に伝熱整流板10aが設けられていれば、いくつかに分割されていてもよい。また、分割された場合は隙間があってもよい。
伝熱整流板10aは、典型的には、燃焼ガス通路21の内側に向けて先端が突き出るように液管10に配設され、液管10と接する両辺において長手方向に沿って溶着することにより取り付けられている。伝熱整流板10aと液管10とに囲まれた空間には、燃焼ガスGbが流れないように構成されている。このように構成することにより、伝熱整流板10aに覆われた液管10表面領域を伝熱面積から除外することができ、熱伝達上有効な面だけで伝熱面積を形成して熱交換効率を向上させることができる。
内側環状液管列11及び外側環状液管列12を形成する複数の液管10には、上部管寄せ15が接続されている。上部管寄せ15は、下部管寄せ14と同様に、典型的には、円環状に形成されている。上部管寄せ15には、高温濃溶液Saと冷媒蒸気Vaとの混合流体を気液分離器18に導く気液導入管18Aが接続されている。上部管寄せ15の中心部に形成された空洞部分には、バーナー16が配設されている。
外容器13は、燃焼ガスGbを外部に漏らさないガスシール構造となっており、典型的には、円筒形状を有している。外容器13は、横断面が内側環状液管列11及び外側環状液管列12と略同心円となっている。外容器13には、排ガス通路23を形成する煙道13bが設けられている。外容器13の外側には、外容器13を覆うように断熱材19が貼り付けられている。
燃焼ガス通路22に面する外容器13の内壁には、第2の伝熱整流板としての伝熱整流板13aが設けられている。伝熱整流板13aは、典型的には、曲率は異なるものの伝熱整流板10aと同様に形成されているが、伝熱整流板10aと同じ曲率であってもよい。伝熱整流板13aは、第3の所定の長さを有している。第3の所定の長さは、典型的には、液管10の露出部分の長さとほぼ同じ長さである。伝熱整流板13aの長さは、必ずしも連続している必要はなく、いくつかに分割されていてもよい。また、分割された場合は隙間があってもよい。第3の所定の長さは、第1の所定の長さX1と同じであってもよい。伝熱整流板13aは、燃焼ガス通路22の内側に向けて先端が突き出るように外容器13の内壁に取り付けられている。
伝熱整流板の高さは、熱による劣化を抑制する観点から、燃焼ガスGbの流れ方向の上流側に配設されるものほど低く形成されていることが好ましい。伝熱整流板の熱による劣化を抑制しつつ製造コストの上昇を抑制する観点からは、少なくとも、燃焼ガス通路22との分岐点より上流側の燃焼ガス通路21に設けられた伝熱整流板10aAが、分岐点より下流側の燃焼ガス通路21に設けられた伝熱整流板10aB及び燃焼ガス通路22に設けられた伝熱整流板13aよりも低くなるように形成されていることが好ましい。ここで、伝熱整流板の高さとは、液管10の中心から半径方向に突き出る長さY1(図2(c)参照)をいうものとする。なお、伝熱整流板10aA、10aBは、伝熱整流板10aを区別して呼称したものであり、区別して説明する必要がある場合に用いることとする。
気液分離器18は、典型的には外容器13よりも上方に配設されている。気液分離器18は、典型的には、円筒形状を有しているが、四角柱形状や多角柱形状、その他の形状であってもよい。気液分離器18は、気液導入管18Aを介して上部管寄せ15と接続されている。気液導入管18Aは、気液分離器18の上部側面に接続されている。気液分離器18の上面には、高温冷媒蒸気Vaを導出する冷媒蒸気管57が接続されている。また、気液分離器18の底面には、分離した高温濃溶液Saの一部を下部管寄せ14に還す溶液還管18Bが接続されている。溶液還管18Bは、気液分離器18内で上方に延びている。また、気液分離器18の底面には、溶液還管18Bと並列に、高温濃溶液Saを導出する高温濃溶液管46が接続されている。これにより、所定の液位以上の高温濃溶液Saを下部管寄せ14に供給して、この液位迄の高温濃溶液Saは、吸収器31(図1参照)からの溶液流入量より吸収器31への溶液導出量が増大した場合の緩衝溶液量とすることができる。逆に、吸収器31からの溶液流入量より吸収器31への溶液導出量が減少した場合には、溶液を気液分離器18内に貯留することができる。
ここで図3を参照して、下部管寄せ14の構成をさらに詳しく説明する。図3は、下部管寄せ14の詳細図であり、(a)は高温再生器を構成する下部管寄せ部分の横断面図、(b)は下部管寄せに設けられる希溶液導出管の変形例に係る詳細図である。前述のように、下部管寄せ14には、希溶液Swを導入する希溶液供給管14a及び高温濃溶液Saの一部を導入する濃溶液供給管14bが設けられている。
希溶液供給管14aは、下部管寄せ14の外周側面を、その高さのほぼ中央部又は中央部よりも下方で、円環状の中心部に向かって貫通している。下部管寄せ14の外周側面を貫通した希溶液供給管14aは、下部管寄せ14の内部で屈曲して円環状の接線方向に向きを変え、端部が円環状の接線方向に開口している。下部管寄せ14内の希溶液供給管14aは、開口端が、鉛直断面矩形のほぼ中心又は中心よりも下方に位置するように配設されている。希溶液供給管14aは、端部の開口から下部管寄せ14内に希溶液Swを吐出するように構成されている。希溶液供給管14aから吐出された希溶液Swは、下部管寄せ14内を周回する循環流Rsとなる。なお、本実施の形態では、希溶液供給管14aが、円環状の中心部に向かって下部管寄せ14の外周側面を貫通し、下部管寄せ14内に位置する端部が円環状の接線方向に開口しているとしたが、下部管寄せ14内に希溶液Swの循環流を形成することができれば下部管寄せ14を貫通する位置や角度、開口端の向きを適宜変更してもよい。
なお図3(b)に示すように、希溶液供給管を、上述の、下部管寄せ14の内部で屈曲して円環状の接線方向に向きを変え、端部が円環状の接線方向に開口している希溶液供給管14aの代わりに、希溶液供給管14a’のように構成してもよい。希溶液供給管14a’は、下部管寄せ14の外周側面を貫通し、下部管寄せ14の内周側面まで円環状の中心方向に向かって延びている。そして、希溶液供給管14a’には、円環状の接線方向に開口する複数の噴出孔14hが形成されている。噴出孔14hは、希溶液供給管14a’の軸方向に一列に形成されている。希溶液供給管14a’によっても、希溶液Swの循環流Rsを形成することができる。
濃溶液供給管14bは、下部管寄せ14の外周側面を、その高さのほぼ中央部又は中央部よりも下方で、円環状の中心部に向かって貫通している。下部管寄せ14の外周側面を貫通した濃溶液供給管14bは、下部管寄せ14内にわずかに突出して端部が形成され、端部は円環状の中心方向に開口している。濃溶液供給管14bが下部管寄せ14内に突出する程度は、下部管寄せ14内を循環する希溶液Swの流れの抵抗を極力低減すると共に、濃溶液Saを、希溶液供給管14aの開口端の極力近くで開放する観点から決定するとよい。また、濃溶液供給管14bが下部管寄せ14を貫通する位置は、円環状の中心から希溶液供給管14aの開口端に向けて延ばした仮想線が下部管寄せ14の外周側面を切る位置よりも、所定の長さ分希溶液供給管14aから離れる位置である。すなわち、濃溶液供給管14bは、下部管寄せ14内に希溶液Swが導入される位置よりも下流に配設されている。所定の長さは、希溶液供給管14a端部の開口の近傍であって、希溶液供給管14aの口径のおよそ1〜20倍、好ましくは2〜10倍程度であるが、希溶液供給管14aから導出される希溶液Swの流速を考慮して適宜決定するとよい。循環流において下流とは、この所定の長さの範囲内にある領域をいうこととする。
引き続き図1〜図3を参照して、吸収冷凍機30のサイクルを説明する。まず、図1を参照して、冷媒側のサイクルを説明する。凝縮器33では、低温再生器32Bで蒸発した低温冷媒蒸気Vbを受け入れて、冷却塔(不図示)から供給された、冷却水管33aを流れる冷却水qで冷却して凝縮し、冷媒液Vcとする。凝縮した冷媒液Vcは、冷媒液Vdと混合され冷媒液Vfとなって蒸発器34へと送られ、貯留部34cに冷媒液Vfとして貯留される。貯留部34cに貯留された冷媒液Vfは、冷媒ポンプ39により冷媒液散布ノズル34bに送液される。蒸発器34の冷媒液Vfが冷媒液散布ノズル34bから冷水管34aに散布されると、冷媒液Vfは冷水管34a内の冷水pから熱を受けて蒸発する一方、冷水pは冷やされる。冷やされた冷水pは冷熱を利用する場所(不図示)に送られて使われる。他方、蒸発器34で蒸発した冷媒液Vfは冷媒蒸気Veとなって、連通している吸収器31へと移動する。
次に溶液側のサイクルを説明する。吸収器31では、高濃度の混合濃溶液Sdが濃溶液散布ノズル31bから散布され、蒸発器34で発生した冷媒蒸気Veを混合濃溶液Sdが吸収して希溶液Swとなる。希溶液Swは、貯留部31cに貯留される。混合濃溶液Sdが冷媒蒸気Veを吸収する際に発生する吸収熱は、冷却水管31aを流れる冷却水qによって除去される。貯留部31cの希溶液Swは、溶液ポンプ48で高温再生器32Aへ、溶液ポンプ38で中温再生器32M及び低温再生器32Bへ、それぞれ圧送される。なお、貯留部31cに溜まった溶液を溶液循環ポンプ(不図示)により循環させて冷却水管31aに散布する構成としてもよい。このようにすると、冷却水管31aを溶液で十分に濡らすことができ、冷却水管31aに接触する溶液の偏りを防止することができる。また、溶液ポンプ38が溶液循環ポンプを兼ねるように構成してもよい。この場合は、溶液ポンプ38と低温溶液熱交換器36との間の希溶液管55から配管を分岐して濃溶液散布ノズル31bに接続するとよい。
溶液ポンプ48で圧送されて希溶液管45を流れる希溶液Swは、高温溶液熱交換器37で高温再生器32Aから導出された高温濃溶液Saと熱交換して温度が上昇した後に高温再生器32Aへと導入される。
ここで図2及び図3を参照して、高温再生器32Aの作用を説明する。希溶液管45を流れて高温再生器32Aへと導入された希溶液Swは、下部管寄せ14に流入する。このとき、希溶液Swは下部管寄せ14の中央より下方を円環状の接線方向に流れるように流入する。また、下部管寄せ14に流入する希溶液Swは、溶液ポンプ48(図1参照)の回転速度の調節により流量制御され、吸収冷凍機30の運転中は常時下部管寄せ14内に供給されている。この常に下部管寄せ14内に供給される希溶液Swが希溶液供給管14aから導出される際の動圧により、下部管寄せ14内に常に循環流Rsを形成している。下部管寄せ14への希溶液Swの供給量は吸収冷凍機30の冷凍負荷により変化するため、希溶液供給管14a端部の開口からの希溶液Swの吐出圧もこれに応じて変化し、下部管寄せ14内の循環流Rsの流速も変化する。
希溶液Swが希溶液供給管14aを介して下部管寄せ14に流入する一方で、気液分離器18内の余剰分の高温濃溶液Saが濃溶液供給管14bを介して下部管寄せ14に流入する。このとき、高温濃溶液Saは下部管寄せ14の中央より下方を円環状の中心に向かって流れるように流入する。言い換えると、高温濃溶液Saは、循環流Rsを横断する方向に流入する。このように流入することにより、高温濃溶液Saは、希溶液Swの循環流Rsの持つせん断力により細分化され、速やかに希溶液Swと混合して希釈される。また、希溶液Sw及び濃溶液Saは中央よりも下方の下部管寄せ14に流入するので、下部管寄せ14の上面に接続されている液管10に至るまでに混合して希釈される。また、高温濃溶液Saは、希溶液供給管14a端部の開口の近傍に流入するので、下部管寄せ14内の溶液の濃度がほぼ均一となり、濃溶液供給管14bの開口端近くの液管10に過濃度の溶液が流入することを防ぐことができる。これにより、下部管寄せ14に接続された液管10の腐食の促進が抑制される。
なお、下部管寄せ14に流入する希溶液Swの流量制御により、希溶液供給管14aの開口端から吐出される希溶液Swの流れに強弱がある場合でも、開口端からの吐出流さえ形成することができれば高温濃溶液Saを細分化するせん断力を確保でき、高温濃溶液Saは希溶液供給管14aの開口端から吐出された希溶液Sw及び下部管寄せ14内の循環流Rsと混合する。これにより、下部管寄せ14に供給される吸収器31(図1参照)からの希溶液Swと気液分離器18からの余剰分の高温濃溶液Saとは十分に混合してから各液管10に流入することとなり、各液管10内に流入する溶液濃度差を解消して均一濃度化し、濃溶液供給管14bの開口端近くの液管10に過濃度の溶液が流入することがなく、高温再生器32Aの腐食による損傷を解消することができる。
下部管寄せ14内を周回する循環流Rsとなっている希溶液Swは、溶液ポンプ48(図1参照)の圧力により複数の液管10内を上昇して上部管寄せ15へと向かう。希溶液Swは、各液管10を上昇する過程で燃焼ガスGbにより加熱され、冷媒が蒸発して冷媒蒸気Vaが発生する。
燃焼ガスGbは、ガスや油等の燃焼用燃料と燃焼用空気とが燃焼室20に供給され、バーナー16により燃焼用燃料に点火されて燃焼することにより発生する。発生した燃焼ガスGbは燃焼室20から燃焼室開口部20aに向かい、ここから両側に形成された燃焼ガス通路21に流入する。流入した燃焼ガスGbは、燃焼ガス通路21を、その両側にある内側環状液管列11及び外側環状液管列12に案内され蛇行して流れる。つまり、前述のように配置された内側環状液管列11及び外側環状液管列12の液管10、仕切板11a、12a、及び伝熱整流板10aにより、燃焼ガスGbは連続的に方向転換を繰り返す。すなわち、燃焼ガスGbは燃焼ガス通路21に案内されて、液管10の軸に直角の方向(排ガス通路23の方向)に向かって進むように、内側環状液管列11を形成する液管10及びこれに取り付けられた伝熱整流板10aの表面に沿って流れた後、方向変換して外側環状液管列12を形成する液管10及びこれに取り付けられた伝熱整流板10aの表面に沿って流れ、これを順次繰り返していく。これにより、燃焼ガス通路21内に蛇行流れを形成して、流れの停滞域となって伝熱への寄与が低い内外液管の側面部及び仕切板11a、12aの部分を燃焼ガスGbと接触させ熱交換を行う伝熱面とすることができ、熱効率の改善を図ることができる。
また、伝熱整流板10aは、先端が丸みを帯びて形成されているので、表面に沿った円滑な流れを形成し、平板フィン90f(図10参照)を設けた場合に生じるような停滞域や縮流域が現出することがない。また、伝熱整流板10aの表面積全体を伝熱に活用して伝熱性能を向上させ、かつ、必要以上に通気損失を増大することがない。これらにより、伝熱整流板10aは熱効率を向上させ、通気損失を抑制することができる。
燃焼ガス通路21を流れる燃焼ガスGbは、燃焼ガス通路22との分岐点に到達すると、燃焼ガス通路21と燃焼ガス通路22の二方向に分かれる。燃焼ガス通路22にも外容器13の内壁に設けられた伝熱整流板13aがあるため、燃焼ガス通路22を流れる燃焼ガスGbは、外側環状液管列12を形成する液管10及び伝熱整流板13aの表面に沿うように蛇行して流れ、外側環状液管列12を形成する液管10と効率良く熱交換することができる。このようにして、通気抵抗を増加させることなく、伝熱効率を高くすることができる。また、燃焼ガスGbは、燃焼ガス通路22との分岐点に到達するころには、それまでに液管10を流れる溶液と熱交換を行って温度が低下しているため、外容器13を熱によって劣化させることがない。
また、燃焼ガス通路22に分流せずに燃焼ガス通路21を流れ続ける燃焼ガスGbは、それまでと同様に、伝熱整流板10a等に案内され、蛇行した流れを形成して、高い伝熱効果を維持して煙道13bへ向かう。燃焼ガス通路21を流れた燃焼ガスGbと燃焼ガス通路22を流れた燃焼ガスGbとは通路開口部21a付近で再び合流し、排ガス通路23を通って高温再生器32Aから排出される。
上述のように流れる燃焼ガスGbによって加熱される希溶液Swは、液管10内で、冷媒が蒸発して高温冷媒蒸気Vaが発生すると共に、溶液の濃度が上昇して高温濃溶液Saとなる。複数の液管10で発生した高温冷媒蒸気Vaと高温濃溶液Saとは混合した状態で上部管寄せ15に導入されて収集され、気液導入管18Aを流れて気液分離器18に流入する。
気液分離器18に流入した高温冷媒蒸気Vaと高温濃溶液Saとの混合流体は、気液分離器18内で分離される。分離された高温冷媒蒸気Vaは、冷媒蒸気管57から導出される。他方、分離された高温濃溶液Saは、大部分が高温濃溶液管46から導出され、余剰分が溶液還管18Bを流れ下部管寄せ14に流入して希溶液Swと混合される。
再び図1に戻って、溶液側のサイクルの説明を続ける。高温再生器32Aから導出されて高温濃溶液管46を流れる高温濃溶液Saは、高温溶液熱交換器37に導かれて高温再生器32Aに向かう希溶液Swと熱交換を行い温度が低下する。他方、高温再生器32Aから導出されて冷媒蒸気管57を流れる高温冷媒蒸気Vaは、中温再生器32Mの加熱蒸気管32Maに流入する。
さて、溶液ポンプ38で圧送されて希溶液管55を流れる希溶液Swは、まず低温溶液熱交換器36で混合濃溶液Scと熱交換して熱回収した後に分流し、一部は希溶液管55Aを流れて中温溶液熱交換器35へと導かれ、残りは希溶液管55Bを流れて低温再生器32Bへと導かれる。希溶液管55Aを流れて中温溶液熱交換器35へ流入した希溶液Swは、中温再生器32Mから導出された中温濃溶液Smと熱交換して温度が上昇した後に希溶液管55Aを流れて中温再生器32Mへと導入される。
中温再生器32Mに導かれた希溶液Swは、希溶液散布ノズル32Mbから散布される。希溶液散布ノズル32Mbから散布された希溶液Swは、加熱蒸気管32Maを流れる高温冷媒蒸気Vaによって加熱され、中温再生器32M内の希溶液Sw中の冷媒が蒸発して中温濃溶液Smとなる。高温冷媒蒸気Vaからの受熱により温度が上昇した中温濃溶液Smは、重力及び中温再生器32M内の圧力により中温濃溶液管56Aへ導出される。他方、希溶液Swから蒸発した冷媒は中温冷媒蒸気Vmとして冷媒蒸気管58を流れる。加熱蒸気管32Maを流れる高温冷媒蒸気Vaは、希溶液Swに熱を奪われ凝縮して冷媒液となり、凝縮冷媒管57Dを介して冷媒蒸気管58に流入し、中温冷媒蒸気Vmと混合される。冷媒蒸気管58を流れる中温冷媒蒸気Vmは、冷媒液が混入して混合冷媒蒸気Vnとなり、低温再生器32Bの加熱蒸気管32Baへと送られる。
他方、希溶液管55Bを流れて低温再生器32Bに導かれた希溶液Swは、希溶液散布ノズル32Bbから散布される。希溶液散布ノズル32Bbから散布された希溶液Swは、加熱蒸気管32Baを流れる混合冷媒蒸気Vnによって加熱され、低温再生器32B内の希溶液Sw中の冷媒が蒸発して低温濃溶液Sbとなる。他方、希溶液Swから蒸発した冷媒は低温冷媒蒸気Vbとして凝縮器33へと送られる。混合冷媒蒸気Vnからの受熱により温度が上昇した低温濃溶液Sbは、低温再生器32B内の圧力や重力により低温濃溶液管56Bへ導出される。なお、加熱蒸気管32Baを流れる混合冷媒蒸気Vnは、希溶液Swに熱を奪われ凝縮して冷媒液Vdとなり、凝縮冷媒管59を流れて凝縮器33に導入される。
低温再生器32Bから導出されて低温濃溶液管56Bを流れる低温濃溶液Sbは、中温溶液熱交換器35から導出されて高温濃溶液管56Aを流れてきた高温濃溶液管Saと合流して混合濃溶液Scとなって濃溶液管56を流れる。その後混合濃溶液Scは、低温溶液熱交換器36に流入して吸収器31から導出された希溶液Swと熱交換を行い温度が低下する。温度が低下した混合濃溶液Scは、高温溶液熱交換器37で熱交換を行って温度が低下した高温濃溶液Saと混ざり合って混合濃溶液Sdとなる。混合濃溶液Sdは、吸収器31に導かれ、濃溶液散布ノズル31bから冷却水管31aに向けて散布される。以降、同様のサイクルを繰り返す。
次に図4を参照して、高温再生器32Aの変形例である第1の変形例に係る高温再生器32Wについて説明する。高温再生器32Wでは、内側環状液管列11及び外側環状液管列12の、燃焼室開口部20aを中央として略同心円の中心角が100〜150°程度の円弧の長さ部分に、液管10に取り付けられる伝熱整流板10aが設けられていない。ここで、伝熱整流板10aが設けられるか否かの境界部が燃焼ガス通路21の所定の位置に相当する。その他の構成は、高温再生器32Aと同じである。燃焼室20を出たばかりの燃焼ガスGbは高温で流速が高いので、この領域に伝熱整流板10aを設けないことにより、この領域での燃焼ガス通路21の蛇行を緩和して、圧力損失を低減し、伝熱整流板10aが高温の燃焼ガスGbに晒されないようにして、より長寿命化した例である。
次に図5を参照して、高温再生器32Aの変形例である第2の変形例に係る高温再生器32Xについて説明する。高温再生器32Xでは、燃焼ガス通路22にある外側環状液管列12を形成する液管10に、液管10の円周方向に広がる複数のフィン10fが取り付けられている。フィン10fは、1つの液管10に対して、長さ方向の所定の間隔ごとに複数設けられている。その他の構成は、高温再生器32Aと同じである。フィン10fを取り付けた外側環状液管列12の液管10は、対向する内側環状液管列11の液管10に設けられた伝熱整流板10aと、外容器13の内壁に設けられた伝熱整流板13aとに挟まれて、フィン10fが設けられた液管10の全周にわたり液管10の表面とフィン10fに沿った流れを実現して、伝熱性能を向上することができる。また、内側環状液管列11の液管10に設けられた伝熱整流板10aと外容器13の内壁に設けられた伝熱整流板13aとは対向する位置にあるため、内外双方からこの間の燃焼ガス通路21、22の幅は狭められて、ここを通過する燃焼ガスGbは流速を高めてから外側環状液管列12の液管10に向かって流れ、液管10の表面に衝突してから液管10の表面に沿った流れになる。内外双方から狭められた形状が、伝熱性能の向上をもたらす。
次に図6を参照して、高温再生器32Aの変形例である第3の変形例に係る高温再生器32Yについて説明する。高温再生器32Yでは、内側環状液管列11を構成する液管10は、液管10同士が接触しており仕切板11aを備えていない。また、燃焼ガス通路22にある外側環状液管列12を形成する液管10に、複数のフィン10fが液管10の長さ方向の所定間隔ごとに取り付けられている。その他の構成は、高温再生器32Aと同じである。このように構成すると、配設する液管10の数を増やすことができ、伝熱面積を増加させると共に、液管10内を流れる溶液の通過面積の増大に伴い溶液の上昇速度が抑制され、溶液による腐食を防止して、長寿命化することができる。
次に図7を参照して、高温再生器32Aの変形例である第4の変形例に係る高温再生器32Zについて説明する。高温再生器32Zでは、内側環状液管列11が、液管10同士を接続する仕切板11aを備えておらず、大部分の箇所で液管10同士が接触して燃焼ガス通路21を形成している。そして、燃焼室開口部20aを中央として略同心円の中心角が90〜140°程度の円弧の長さ分の内側環状液管列11では、液管10同士が離れており、複数の空隙25が形成されている。ここで、燃焼室開口部20aから空隙25が形成されるか否かの境界部までの長さが第2の所定の長さZ2に相当する。また、第2の所定の長さZ2部分の内側環状液管列11及び外側環状液管列12の液管10に伝熱整流板10aが設けられていない。さらに、燃焼ガス通路22にある外側環状液管列12を形成する液管10に、複数のフィン10fが液管10の長さ方向の所定間隔ごとに取り付けられている。その他の構成は、高温再生器32Aと同じである。このように構成すると、燃焼室20からの燃焼ガスGbの一部は空隙25を経由して燃焼ガス通路21に流れる。これにより、燃焼室開口部20aを通過する燃焼ガスGbの量を減じて通気抵抗を減じると共に、空隙25に隣接する液管10の伝熱面積を伝熱に有効活用することにより、伝熱効率を向上させることができる。
変形例に係る高温再生器32W〜32Zにおいても、伝熱整流板の高さが燃焼ガスGbの流れ方向の上流側に配設されるものほど低く形成されていることが好ましい。少なくとも、燃焼ガス通路22との分岐点より上流側の燃焼ガス通路21に設けられた伝熱整流板10aAが、分岐点より下流側の燃焼ガス通路21に設けられた伝熱整流板10aB及び燃焼ガス通路22に設けられた伝熱整流板13aよりも低くなるように形成されていることが好ましい。このことにより、燃焼ガスGbの温度が高い領域の燃焼ガス通路21の幅を広げて、通気損失を低減すると共に、伝熱整流板10aAをより長寿命化することができる。
次に図8を参照して、高温再生器32Xの変形例である第5の変形例に係る高温再生器32Sについて説明する。高温再生器32Sでは、燃焼ガス通路22の外容器13側に伝熱整流板(高温再生器32Xにおける伝熱整流板13a(図5参照)に相当)が設けられていない。その他の構成は、高温再生器32Xと同じである。燃焼ガス通路22の外容器13側の伝熱整流板を省略することで、高温再生器の構造の複雑さが緩和されると共に、製造コストを低減することができる。なお、変形例に係る高温再生器32W〜32Zにおいても、燃焼ガス通路22の外容器13側の伝熱整流板を省略してもよい。
次に図9を参照して、高温再生器32Aの変形例である第6の変形例に係る高温再生器32Tについて説明する。高温再生器32Tでは、煙道13bに近い領域の液管10の伝熱整流板10aに、複数の扇形のフィン10gが取り付けられている。フィン10gは、扇形の内側の曲線が、液管10の軸方向断面における伝熱整流板10aの弧状の外周と接触するように形成されている。フィン10gは、液管10の軸方向に多段に設けられている。すなわちフィン10gは、1つの液管10に対して、長さ方向の所定の間隔ごとに複数設けられている。また、高温再生器32Tでは、燃焼ガス通路21に、燃焼ガス通路22(図2、図4〜図8参照)への分岐が設けられておらず、燃焼ガス通路21を通った燃焼ガスGbは排ガス通路23に流入するように構成されている。また、内側環状液管列11が、液管10同士を接続する仕切板11a(図2(b)参照)を備えておらず、大部分の箇所で液管10同士が接触して燃焼ガス通路21を形成している。そして、燃焼室開口部20aを中央として略同心円の中心角が90〜140°程度の円弧の長さ分の内側環状液管列11では、液管10同士が離れており、複数の空隙25が形成されている。ここで、燃焼室開口部20aから空隙25が形成されるか否かの境界部までの長さが第2の所定の長さZ2に相当する(図7参照)。また、第2の所定の長さZ2部分の内側環状液管列11及び外側環状液管列12の液管10に伝熱整流板10aが設けられていない。その他の構成は、高温再生器32Aと同じである。このように構成すると、伝熱面積をさらに拡大して伝熱効率を向上できる。なお、煙道13bに近い領域では、燃焼ガスGbが、その流れの上流において溶液との熱交換によって燃焼ガスGbの温度が降下しており、フィン10gの熱劣化を防ぐことができる。
変形例に係る高温再生器32W〜32Zにおいても、高温再生器32Tが有する特徴を備えていてもよい。すなわち、煙道13bに近い領域の液管10に設けられた伝熱整流板10a(典型的には、燃焼ガス通路21と燃焼ガス通路22との分岐点より下流側に設けられた伝熱整流板10aB、13aであるが、燃焼ガスGb温度により伝熱整流板10aAでもよい)に扇形のフィン10gを液管10軸方向に多段に取り付けてもよい。また、燃焼ガス通路22(図2、図4〜図8参照)への分岐が設けられておらず、燃焼ガス通路21を通った燃焼ガスGbは排ガス通路23に流入するように構成されていてもよい。
また、伝熱整流板10a、13aの高さY1、Y2(図2(c)参照)を適宜選定することにより、所望の熱効率と通気抵抗の性能をもった高温再生器を実現できる。また、この伝熱整流板10a、13aの形状としては、断面が楕円状であってもよい。
以上の説明では、吸収冷凍機30が三重効用吸収冷凍機であるとして説明したが、単効用吸収冷凍機や二重効用吸収冷凍機であってもよい。単効用吸収冷凍機とした場合は、本実施の形態で説明した高温再生器32A、32S、32T、32W〜32Zを再生器とすることができ、二重効用吸収冷凍機とした場合は、本実施の形態で説明した高温再生器32A、32S、32T、32W〜32Zを作動温度が高い方の再生器とするとよい。
以上の説明では、下部管寄せ14に設けられる濃溶液供給管14bが、下部管寄せ14内に希溶液Swが導入される位置(希溶液供給管14aの開口端)よりも所定の長さだけ下流に配設されることとしたが、環状の下部管寄せ14における希溶液供給管14aの開口端の反対側に濃溶液供給管14bの開口端がくるように配設されていてもよい。しかしながら、下部管寄せ14内の溶液濃度をできるだけ均一にするために、下部管寄せ14内に希溶液Swが導入される位置よりも所定の長さだけ下流に配設されることが好ましい。
以上のように、本発明に係る吸収冷凍機30が備える高温再生器32A、32S、32T、32W〜32Zは、燃焼ガス通路21に沿い、燃焼ガス通路21を構成する液管10の表面に、燃焼ガス通路21に突き出た円弧状伝熱整流板10aを設けることにより、燃焼ガスGbの通気抵抗を増大させることなく、液管10の表面に沿って燃焼ガスGbが蛇行する燃焼ガス通路21を構成して、外形は小型のまま伝熱面積密度を高めて熱効率を高くすると共に、通気抵抗を抑制することができる。