JP4596061B2 - 走査形電子顕微鏡 - Google Patents
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Description
本発明は電子線装置に関し、特に試料から発生した二次電子と反射電子を高効率に検出し、高分解能像を高コントラストで得るのに好適な走査形電子顕微鏡に関する。
走査形電子顕微鏡は、電子源から放出された電子を加速し、静電レンズ、或いは磁界形レンズで収束させ細い電子ビーム(一次電子線)とし、この一次電子線を走査偏向器を用いて観察する試料上に走査し、一次電子線照射で試料から二次的に発生する二次信号を検出し、検出信号強度を一次電子ビーム走査と同期して走査されているブラウン管の輝度変調入力とすることで、二次元の走査像を得る装置である。
一次電子線の照射によって試料から発生する二次信号は広いエネルギー分布を有する。例えば、試料に入射した一次電子は固体表面の原子により弾性散乱され、試料表面を飛び出す電子がある。これは反射電子と呼ばれ、一次電子線と同等、或いは或る程度高いエネルギーを有する。また、試料に入射した一次電子が試料内原子と相互作用し、試料中の電子が励起され運動エネルギーを得て外部に放出される電子がある。これは二次電子と呼ばれ、0eVから50eV程度までの範囲のエネルギーを有する。
特許文献1には、二次信号を軸外に偏向させる偏向器を用いて、二次電子と反射電子の軌道を分離させ、その軌道上にそれぞれの検出器を配置して二次電子と反射電子を選択的に検出する技術が開示されている。
また、特許文献2には、電子線を通過させる開口を設けた反射板を二次電子検出器の上方に設け、そこに衝突した反射電子を二次電子に変換して、検出する技術が開示されている。
また、特許文献3には、対物レンズの上方に分割された環状の検出器を設け、対物レンズの収束作用を利用して二次電子と反射電子を分離検出する技術が開示されている。
これらの文献に開示された技術によれば、エネルギーの違い故、異なる軌道を持つ二次電子と反射電子を分離、或いは併せて検出することが可能になる。
反射電子、或いは二次電子は、その発生原因の違いゆえ、個々に固有の情報を持っている。上記文献に開示の技術によれば、反射電子、或いは二次電子を選択的に検出することで、固有の情報に基づく試料像を形成することができる。
上記文献に開示された技術によれば、二次電子、或いは反射電子を分離して、或いは併せて検出することが可能になるが、以下のような問題がある。
特許文献1では、二次電子と反射電子の軌道上にそれぞれの検出器、或いは反射板を配置して二次電子と反射電子を選択的に検出しているが、反射電子の検出に関しては、ほぼ一次電子線の光軸に沿って反射される反射電子を検出するに留まり、試料から浅い角度で発生する反射電子を検出することができない。
この問題は特許文献2に開示された反射板による反射電子検出技術についても同様である。やはりほぼ光軸に沿って反射される反射電子を検出するに留まり、試料から浅い角度で発生する反射電子を検出することができない。
また、特許文献3に開示された技術によれば、対物レンズ(静電対物レンズ)によって二次電子を引き上げ、対物レンズ(磁気対物レンズ)の収束作用によって二次電子と反射電子の軌道を分離し、検出する技術が開示されているが、電子線の光軸に垂直な方向に検出面を持つ検出器のため、検出面を大きくすることができない。よって浅い角度から発生する反射電子と、高角度で反射される反射電子或いは二次電子とを弁別して検出することが困難であるという問題がある。
また以上の3つの文献に開示された対物レンズはいずれも一次電子線の光軸に対し、垂直な方向に向かってレンズギャップ(磁極間の間隙)が形成されているため、レンズ主面と試料との間の距離(焦点距離)が長くなるという問題もある。
本発明は以上のような課題を解決するためのものであり、焦点距離を長くすることなく、試料から浅い角度で発生する反射電子を検出する走査形電子顕微鏡の提供を目的とするものである。
本発明はこの目的を達成するために、電子源と、電子源から発生した一次電子線を試料上に走査する走査偏向器と、前記一次電子線を収束する収束磁場を試料表面上に形成する対物レンズと、一次電子線の照射により試料から発生する二次信号を検出する二次信号検出器を含み、試料の二次元走査像を得る走査形電子顕微鏡であって、反射電子の衝突によって二次電子を発生する電極を前記対物レンズと前記二次電子検出器の間に配置したことを特徴とする走査形電子顕微鏡を提供する。
上記構成によれば、一次電子線の照射によって発生する二次信号の内、試料から浅い角度で発生する二次信号を検出することが可能になる。
本発明において、試料より浅い角度で発生する反射電子を検出することができるのは、試料表面に対物レンズの収束磁場を形成し、かつ二次電子変換電極(反射板)を前記対物レンズと前記二次電子検出器の間に配置したことによるものである。
このような構成の走査形電子顕微鏡によれば、試料から浅い角度で反射される反射電子は、対物レンズの収束作用によって螺旋軌道を描く。この軌道上に反射電子を二次電子に変換する変換電極を配置し、試料から浅い角度で反射される反射電子を二次電子に変換することで、試料から浅い角度で発生した反射電子を二次電子検出器で検出することが可能になるのである。
一方、特許文献1や特許文献2に開示されている二次電子変換電極や反射電子検出器は、何れも二次電子検出器の上方(電子源側)に配置されているため、試料表面と、二次電子変換電極や反射電子検出器との間に大きな間隙が生じてしまい、試料から浅い角度で発生する反射電子を捕捉することができない。
またこれら公報に開示されている対物レンズは、いずれも磁極間の間隙(レンズギャップ)が電子線の光軸に対し垂直な方向に向かって開放されており、一次電子線への最大収束磁場を対物レンズとほぼ同じ高さに形成しているため、試料表面に強い収束磁場を形成することはできず、試料から浅い角度で発生する反射電子に螺旋運動を与えることができない。またこの形状の対物レンズは試料とレンズ主面間の距離(焦点距離)が長くなってしまうため、一次電子線の収差が大きくなるという問題がある。
また特許文献3に開示された技術でも、特許文献2に開示された技術と同様に、光軸と垂直な方向に向かって対物レンズのレンズギャップが開放されているため、一次電子線の焦点距離が長くなるという問題がある。また静電対物レンズを、レンズ主面と試料との間に介在させる構造のため、対物レンズの短焦点化を実現しにくいという問題もある。
以上の問題を解決するための具体的手段を、以下に図面を用いて説明する。
一般に、試料に対して浅い角度で発生する反射電子(光軸に対しては高角度で発生する反射電子)は試料の凹凸情報、および試料の内部情報を反映した信号をもたらす。本発明の実施例装置によれば、上記説明のように試料より浅い角度で発生する反射電子を効率良く検出することができる。
図1は本発明の実施例の概略図で、磁極間に試料を配置するタイプの対物レンズ(以下インレンズとする)を採用した走査形電子顕微鏡において、対物レンズより電子源側に2つの検出手段を配置した例を示すものである。
本実施例においてインレンズタイプの対物レンズを採用する理由は、試料表面に強い収束磁場を形成するのに好適な対物レンズだからである。また試料表面に強い収束磁場を形成する対物レンズの形状として図5に示すようなレンズギャップが下方に向かって開放されている対物レンズ(以下下磁極開放型レンズとする)でも良い。下磁極開放型レンズは上磁極と下磁極間の間隙(レンズギャップ)が少なくとも試料面に向かって開放されている対物レンズである。このようなレンズ形状の対物レンズは一次電子線に対する最大収束磁場が下磁極より下方に形成される。
インレンズタイプの対物レンズや下磁極開放型の対物レンズは、試料とレンズ主面の距離(焦点距離)を短くすることができるので、一次電子線の収差を低減することができる。
図1に示す装置では、反射電子検出器(YAG)の反射電子検出面に金粒子(重金属)を数nm〜数10nm程度スパッタコーティングしている。
電子源1より発生した一次電子線2は二段に配置された偏向コイル3a,3bによって走査され、対物レンズ4によって試料6上に収束される。一次電子ビーム2の照射によって、試料6からは二次電子20および反射電子8a,8b1が発生する。試料から発生する反射電子のうち、反射電子8aは試料から浅い角度で発生したローアングル成分、反射電子8bは試料から高い角度で発生したハイアングル成分である。このように試料に対して高い角度で発生する反射電子は、試料の組成情報を反映した信号である。本発明の実施例装置では、試料から浅い角度で発生する反射電子のみならず、ほぼ光軸方向に向かって反射される反射電子のいずれをも検出できるように2つの反射板が設けられている。
二次電子20は、対物レンズ4で作られる磁場により電子源側に巻き上げられて進行し、二次電子偏向器12aにより二次電子検出器5a側に偏向されて二次電子検出器5aに検出される。
一方、反射電子8a(ローアングル成分)は、対物レンズ4の上部に配置された二次電子変換電極7に衝突し二次電子9aを発生させる。二次電子9aは、電圧印加手段11bによって正の電圧を印加された引き上げ電極13によって二次電子偏向器12aまで導かれ、二次電子偏向器12aにより偏向されて、二次電子検出器5aによって検出される。
なお、本実施例装置では、二次電子を二次電子検出器5a,5bに偏向するための二次電子偏向器12a,12bとして、E×B偏向器(直交電磁界発生器)を用いている。当該偏向器は一対の電極(図示せず)と、当該一対の電極間で形成される電界に直交する磁界を形成する磁界発生手段(図示せず)よりなる。この直交電磁界発生器は例えば、特許文献2に開示されている。
反射電子8b1(ハイアングル成分)は二次電子偏向器12aの偏向作用をそれ程受けずに直進し、偏向コイル3a,3bより上部に配置された二次電子偏向器12bによって偏向され、反射電子検出器18(YAG)表面の金粒子スパッタコーティング面17に衝突する。
金をはじめとする重金属のスパッタコーティング面は、二次電子発生効率が高く、コーティング面を通過できない反射電子を二次電子に変換することで検出を可能にする。
反射電子のハイアングル成分の中でも特にエネルギーの高い電子8b2は、金粒子スパッタコーティング面17を通過し、反射電子検出器18によって検出される。金粒子スパッタコーティング面17を通過できず、二次電子9b1に変換された反射電子(ハイアングル成分の中でもエネルギーの低い電子)は、二次電子検出器5bによって検出される。この構成により、ハイアングルの反射電子の中での特にエネルギーの高い反射電子とエネルギーの低い反射電子の弁別検出が可能になる。
また、電圧制御手段11aにより二次電子変換電極7に正の電圧を印加し、引き上げ電極13の電圧(電位)を二次電子変換電極7の電圧(電位)よりも低い値に制御すると、反射電子8aの衝突によって発生した二次電子9aは、引き上げ電極13と二次電子変換電極7との間の電界の作用により二次電子偏向器12aまで届かなくなって検出されない。よって二次電子20が検出される状態を維持して、試料からのローアングル反射電子情報を有する二次電子9aを検出したり、検出しなかったりの選択を行うことができる。
なお、この際、試料から発生する二次電子20は対物レンズ4の収束磁場の収束作用を受け、ほぼ光軸に沿って電子源方向に向かって上昇するので、二次電子変換電極7に吸引されることなく、二次電子検出器5aで検出される。
また、電圧制御手段11aにより二次電子変換電極7に負の電荷を印加すると、試料6より発生する二次電子20は、二次電子変換電極7の負電位のために二次電子偏向器12aに届かず、二次電子検出器5aには検出されない。
このとき、引き上げ電極13の電位を二次電子変換電極7の電位よりも高い値に制御すれば、二次電子変換電極7から発生した二次電子9aは二次電子偏向器12aに到達して、二次電子偏向器12aの作用で偏向されて二次電子検出器5aに検出される。したがって、二次電子変換電極7と引き上げ電極13の電位を各々制御することにより、試料からの二次電子20とローアングル反射電子情報を有する二次電子9aとを各々単独に検出したり、あるいは合成して検出したりする選択が可能になる。
反射電子の中でも、ローアングル成分は試料表面の凹凸情報を、ハイアングル成分は試料表面の組成情報をそれぞれ含んでいる。また、反射電子のハイアングル成分の中でも、エネルギーの高いものは試料の表面よりの組成情報、エネルギーの低いものは試料の内部よりの組成情報をそれぞれ含んでいる。
これらの反射電子の各成分を分離,選択検出することで、凹凸コントラストおよび組成コントラストの高い試料像を得ることが可能となる。このように、二次電子および反射電子の各成分の選択検出は、二次電子変換電極7と引き上げ電極13,二次電子偏向器12にそれぞれ相対的な電圧差が生じるよう電圧制御手段11により印加電圧を制御して行う。そして、二次電子20および反射電子8の検出信号は信号処理手段14によって、信号選択されたり、合成または色づけがなされ、表示装置15に表示される。
なお、二次電子変換電極7は一次電子線2の通過口を有する筒状に形成され、さらに電子源側の開口が大きくなっている。そして筒状体の内面が二次電子変換面になっている。
筒状に形成する理由は、螺旋軌道を描いて飛散するローアングルの反射電子8aをより確実に捕捉するためである。
特許文献2や特許文献3に開示された二次電子変換電極(反射板)や検出器は、電子線の光軸に対して垂直な方向に、二次電子変換面や検出面が形成されているため、螺旋軌道を描いて飛散するローアングルの反射電子8aに対する検出範囲が狭くなる。またこれらの変換面や検出面を大きく形成するためには、電子顕微鏡の鏡筒の径を大きくしなければならないが、高真空を維持しなければならない電子顕微鏡の鏡筒内空間を大きくすることは実質的に困難である。
本発明の実施例のように二次電子変換電極を筒状に形成することで、対物レンズの収束磁場の影響によって螺旋軌道を描くローアングルの反射電子の検出面を大きくすることができ、検出効率を高めることができる。
また電子源側の開口を大きく形成することで、二次電子変換電極7で変換された二次電子9aを二次電子検出器5a側に導き易くするためである。
なお、本発明の実施例装置は、反射電子を、二次電子変換電極に衝突させ二次電子に変換し、その二次電子を二次電子偏向器によって二次電子検出器に偏向し検出している。このように反射電子を二次電子に変換してから検出する理由は、反射電子を二次電子検出器に偏向(吸引)する程の強い電界を一次電子線に与えると一次電子線がエネルギー分散を起こしてしまうからであり、エネルギー分散を起こさないためには、弱い電界で電子を検出器に偏向(吸引)する必要があるからである。
図2は、本発明の原理をより詳細に説明するための二次電子変換電極の配置例を示す図である。
一次電子ビーム2の照射により試料6より発生する反射電子は角度分布をもっており、発生角度により軌道が異なる。試料から発生した反射電子は、対物レンズ磁場の影響下では螺旋軌道をとり、対物レンズ磁場の影響の小さくなったところで、螺旋軌道を離れていく。
試料から浅い角度で発生した反射電子(ローアングル成分)は螺旋軌道を離れた後、対物レンズ磁路に衝突する軌道(反射電子ローアングル成分8a1)や、光軸から大きく離れた軌道(反射電子ローアングル成分8a2)をとる。この軌道上に二次電子変換電極7を配置することで、ローアングル反射電子8a1,8a2を、二次電子変換電極への衝突により発生する二次電子9a1,9a2として、二次電子検出器5により検出することができる。試料から高い角度で発生するハイアングル反射電子8bは、対物レンズ磁場の影響を受けた後も光軸に近い軌道をとるので、二次電子検出器5のさらに上方に配置された後述する検出手段によって検出する。
図3は、試料に一次電子線を照射したときの試料から発生する電子の数とそのエネルギー分布を示すグラフである。反射電子の持つエネルギーは二次電子の持つエネルギーに比べ高く、試料への衝突によるエネルギーのロスが少ない。そして反射電子の中でも、ハイアングル成分の方がロスが少なく、ローアングル成分に対してエネルギー帯が高い。これらの成分を分離選択検出することで、試料表面の凹凸情報(反射電子のローアングル成分の検出信号に含まれる)や試料表面の組成情報(反射電子のハイアングル成分の検出信号に含まれる)を高コントラストで得ることができる。
また、反射電子のハイアングル成分のうち、エネルギーが高いほど試料表面に近い情報を含むので、エネルギーの高い成分と低い成分とを分離検出することで、試料の表面よりと内部よりの2種類の組成情報を高コントラストで得ることができる。
図4は二次電子変換電極7(導電性の部材)を複数に分割しそれぞれに電圧を印加する手段を配置した実施例である。また、本実施例では二次電子変換電極7の内側の光軸の回りに、電子が透過可能なメッシュ状の電極16を配置している。
一次電子線2の照射によって試料6より発生する反射電子8(ローアングル成分)は、二次電子変換電極7に衝突し、二次電子9を発生させる。この時、反射電子8a(ローアングル成分)の発生角度分布は試料の凹凸や傾斜によって変化し、二次電子変換電極7上の衝突位置分布も変化する。そこで、本実施例のように二次電子変換電極7を複数に分割(7a〜7d,7a1〜7a2)し、電圧印加手段11により二次電子変換電極7の電圧を電極16の電圧に対して相対的に制御することによって、反射電子8の衝突により二次電子変換電極7上で発生した二次電子9を選択的に導入することができ、凹凸や傾斜の強調された試料像を得ることができる。
例えば、二次電子変換電極7a1と二次電子変換電極7a2において、二次電子変換電極7a1に衝突する反射電子7a1のみを検出したいときは、電圧制御手段11により二次電子変換電極7a2に印加する電圧を電極16の電圧より高く制御し、二次電子変換電極7a1の電圧を電極16の電圧より低く制御する。
二次電子変換電極7a2上で発生する二次電子9a2は相対的な電位差のため検出器方向に引き上げられないため検出されないが、二次電子変換電極7a1上で発生する二次電子9a1は相対的な電位差(電極16の電圧より二次電子変換電極7a1の電圧の方が低い)のため検出器方向に引き上げられ検出される。また、電極16を配置することにより、電極7の各要素に異なる電圧を印加したときに、光軸上に偏向電界が発生するのを防止できる。
図5は、二次電子偏向器より電子源1側に二次電子変換電極10を配置し、ハイアングルの反射電子を二次電子に変換することにより検出する実施例である。電子源1より発生した一次電子ビーム2は二段に配置された偏向コイル3a,3bによって走査され、対物レンズ4によって試料6上に収束される。
一次電子ビーム2の照射によって、試料6からは二次電子20および反射電子8a,8bが発生する。試料から発生する反射電子のうち、反射電子8aは試料から浅い角度で発生したローアングル成分、反射電子8bは試料から高い角度で発生したハイアングル成分である。
二次電子20は、対物レンズ4で作られる磁場により電子源側に巻き上げられて進行し、二次電子偏向器12により二次電子検出器5側に偏向されて二次電子検出器5に検出される。
一方、反射電子8a(ローアングル成分)は、対物レンズ4の上部に配置された二次電子変換電極7に衝突し二次電子9aを発生させる。二次電子9aは、電圧印加手段11bによって正の電圧を印加された引き上げ電極13によって二次電子偏向器12まで導かれ、偏向されて、二次電子検出器5によって検出される。また、反射電子8b(ハイアングル成分)は二次電子偏向器12の上部に配置された二次電子変換電極10に衝突し、同じく二次電子9bを発生する。二次電子9bは二次電子偏向器12により偏向されて、二次電子検出器5によって検出される。
ここで、電圧制御手段11aにより二次電子変換電極7に正の電圧を印加し、引き上げ電極13の電圧(電位)を二次電子変換電極7の電圧(電位)よりも低い値に制御すると、反射電子8aの衝突によって発生した二次電子9aは、引き上げ電極13と二次電子変換電極7との間の電界の作用により二次電子偏向器12まで届かなくなって検出されないので、二次電子20が検出される状態を維持して、試料からのローアングル反射電子情報を有する二次電子9aを検出の要否選択ができる。
一方、電圧制御手段11aにより二次電子変換電極7に負の電荷を印加すると、試料6より発生する二次電子20は、二次電子変換電極7の負電位のために二次電子偏向器12に届かず、二次電子検出器5には検出されない。このとき、引き上げ電極13の電位を二次電子変換電極7の電位よりも高い値に制御すれば、二次電子変換電極7から発生した二次電子9aは二次電子偏向器12に到達して、二次電子偏向器12の作用で偏向されて二次電子検出器5に検出される。したがって、二次電子変換電極7と引き上げ電極13の電位を各々制御することにより、試料からの二次電子20とローアングル反射電子情報を有する二次電子9aとを各々単独に検出したり、あるいは合成して検出したりする選択が可能になる。
同様に、電圧制御手段11dにより二次電子変換電極10に正の電圧を印加すると、反射電子8bの衝突によって発生した二次電子9bは電界の作用により二次電子偏向器12まで届かず検出されないので、二次電子20および二次電子9aと区別して検出することができる。また、二次電子変換電極10を真空外から出し入れ可能な構造にして、ハイアングル反射電子情報が必要でないときには、二次電子変換電極10を光軸から遠ざけて反射電子が衝突しないようにしても、ハイアングルの反射電子情報の選択ができる。この場合には二次電子変換電極10の電圧を制御する必要はなくなる。
このように二次電子変換電極7と引き上げ電極13,二次電子偏向器12,二次電子変換電極10にそれぞれ印加する電圧は、それぞれの相対的な電圧差が生じるよう電圧制御手段11によって制御される。二次電子検出器5で検出された二次電子は電気信号に変換されたのち、信号処理手段14を経て表示装置15に表示される。
本発明の実施例装置によれば、ハイアングルの反射電子,ローアングルの反射電子、或いは二次電子を選択的に検出し、当該電子に基づく試料像を形成することが可能になる。更にこれら電子の2つ以上の組み合わせによる試料像をも形成することが可能になる。
以上、本発明の実施例装置によれば、焦点距離を長くすることなしに、反射電子をその発生角度やエネルギーによって選択することができ、組成情報や形状情報などに分けて情報を得ることが可能になる。
1 電子源
2 一次電子線
3a,3b 偏向コイル
4 対物レンズ
5a,5b 二次電子検出器
6 試料
7,7a〜7d,7a1,7a2 二次電子変換電極
8a,8b,8b1 反射電子
9a,9b1,20 二次電子
11b 電圧印加手段
12a,12b E×B偏向器(直交電磁界発生器)
13 引き上げ電極
14 信号処理手段
15 表示装置
16 電極
17 スパッタコーディング面
18 反射電子検出器
2 一次電子線
3a,3b 偏向コイル
4 対物レンズ
5a,5b 二次電子検出器
6 試料
7,7a〜7d,7a1,7a2 二次電子変換電極
8a,8b,8b1 反射電子
9a,9b1,20 二次電子
11b 電圧印加手段
12a,12b E×B偏向器(直交電磁界発生器)
13 引き上げ電極
14 信号処理手段
15 表示装置
16 電極
17 スパッタコーディング面
18 反射電子検出器
Claims (14)
- 電子源と、
電子源から発生した一次電子線を試料上に走査する走査偏向器と、
前記一次電子線を収束する収束磁場を試料上に形成する対物レンズと、
一次電子線の照射により試料から発生する二次信号を偏向し検出する二次信号検出器を
含み、
試料の二次元走査像を得る走査形電子顕微鏡であって、
前記対物レンズは、前記試料の一次電子線の照射位置を覆う磁場を発生し、
反射電子の衝突によって二次電子を発生する二次電子変換電極を、前記対物レンズより電子源側であり且つ前記二次電子変換電極から発生した二次電子を検出する二次信号検出器より試料側に配置し、
前記二次電子変換電極に負電圧から正電圧まで可変の電圧を印加することができる電源を備えたことを特徴とする走査形電子顕微鏡。 - 請求項1において、前記対物レンズは、インレンズタイプ若しくは下磁極開放型の対物レンズであることを特徴とする走査形電子顕微鏡。
- 請求項1又は2において、前記二次電子変換電極は、前記一次電子線を通過させる開口を有する筒状体であることを特徴とする走査形電子顕微鏡。
- 請求項3において、前記筒状体の形状は前記電子源側の開口が大きく形成されていることを特徴とする走査形電子顕微鏡。
- 請求項3又は4において、前記二次電子変換電極は、前記一次電子線の光軸方向、及び/又は前記光軸と垂直な方向に、少なくとも2つ以上の電極に分割されていることを特徴とする走査形電子顕微鏡。
- 請求項5において、筒状体を形成する各電極にはそれぞれ電圧印加手段が接続されていることを特徴とする走査形電子顕微鏡。
- 請求項1又は2において、前記二次信号を該二次電子検出器に偏向する電界を形成する二次電子偏向器を備えてなることを特徴とする走査形電子顕微鏡。
- 請求項1又は2において、前記二次電子変換電極より電子源側であり且つ前記二次信号検出器より試料側に、二次電子引出電極を配置したことを特徴とする走査形電子顕微鏡。
- 請求項1又は2において、前記二次電子変換電極と前記一次電子線の光軸との間に配置される多孔電極と、当該多孔電極と前記二次電子変換電極に電圧を印加するための電圧印加手段を備えたことを特徴とする走査形電子顕微鏡。
- 請求項9において、前記二次電子変換電極と前記多孔電極は前記一次電子線を通過させる開口を有する筒状体であることを特徴とする走査形電子顕微鏡。
- 請求項10において、前記筒状体の形状は前記電子源側の開口が大きく形成されていることを特徴とする走査形電子顕微鏡。
- 請求項10又は11において、前記二次電子変換電極は、前記一次電子線の光軸方向、及び/又は前記光軸と垂直な方向に、少なくとも2つ以上の電極に分割されていることを特徴とする走査形電子顕微鏡。
- 電子源と、電子源から発生した一次電子線を試料上に走査する走査偏向器と、上磁極と下磁極を有し、当該上磁極と下磁極との間に配置される試料に収束磁場を形成する対物レンズと、一次電子線の照射により試料から発生する二次信号を検出する二次信号検出器を含み、試料の二次元走査像を得る走査形電子顕微鏡であって、
前記対物レンズは、前記試料の一次電子線の照射位置を覆う磁場を発生し、
前期試料から発生する反射電子の衝突によって二次電子を発生する二次電子変換電極を、前記対物レンズと前記電極から発生した二次電子を検出する二次信号検出器の間に配置し、
前記二次電子変換電極に負電圧から正電圧まで可変の電圧を印加することができる電源を備えたことを特徴とする走査形電子顕微鏡。 - 電子源と、電子源から発生した一次電子線を試料上に走査する走査偏向器と、上磁極と下磁極を有し、上磁極と下磁極間の間隙が試料面に向かって開放されている対物レンズと、一次電子線の照射により試料から発生する二次信号を検出する二次信号検出器を含み、試料の二次元走査像を得る走査形電子顕微鏡であって、
前記対物レンズは、前記試料の一次電子線の照射位置を覆う磁場を発生し、
前記試料から発生する反射電子の衝突によって二次電子を発生する二次電子変換電極を、前記対物レンズと前記電極から発生した二次電子を検出する二次信号検出器の間に配置し、
前記二次電子変換電極に負電圧から正電圧まで可変の電圧を印加することができる電源を備えたことを特徴とする走査形電子顕微鏡。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2008223009A JP4596061B2 (ja) | 2008-09-01 | 2008-09-01 | 走査形電子顕微鏡 |
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