JP2009272232A - 走査型電子顕微鏡 - Google Patents

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彬 米澤
Shuichi Saito
秀一 齊藤
Takeshi Ishikawa
剛 石川
Chuhei Oshima
忠平 大島
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Abstract

【目的】本発明は、電子銃から放出された電子線ビームをレンズで細く絞って試料に照射しつつ走査し、そのときに試料から放出された2次電子を検出・増幅し、2次電子画像を表示する走査型電子顕微鏡に関し、光軸を機械的にずらすことなく負のバイアス電圧を印加した試料からの2次電子を効率良好に捕集して検出・増幅し、対物レンズの収差を小さくして高分解能の2次電子画像を生成することを目的とする。
【構成】静電型の第1の偏向器と、静電型の第2の偏向器と、電磁型の第3の偏向器と、細く絞られた電子線ビームが負のバイアス電圧の印加された試料面に照射されたときに、電磁型の第3の偏向器の方向に誘導され、電磁型の第3の偏向器で光軸から離れる方向に偏向された負のバイアス電圧に相当するエネルギーを有する2次電子を検出する、光軸の部分に電子線ビームが通過する開口部を有する2次電子検出器とを備える。
【選択図】 図1

Description

本発明は、電子銃から放出された電子線ビームをレンズで細く絞って試料に照射しつつ走査し、そのときに試料から放出された2次電子を検出・増幅し、2次電子画像を表示する走査型電子顕微鏡に関するものである。
通常、走査型電子顕微鏡(SEM)は、電子銃から放出された電子線を対物レンズで細く絞って試料に照射しつつ偏向器で走査し、そのときに放出された2次電子を2次電子検出器(例えばMCP)で検出・増幅し、いわゆる2次電子画像を表示装置の画面上に表示している。
この際、像分解能を向上させるために試料に負のバイアス電圧(例えば−数KV)を印加して最終段の対物レンズの収差を低減し、分解能を向上させる技術が知られている。負のバイアス電圧として、例えば−数KVを印加すると試料から放出された2次電子はほぼ当該負のバイアス電圧に相当する電圧を有することとなり、図10に示すように、試料31から放出される2次電子が例えば−数KVのエネルギーを持つこととなる。そのため、従来の負のバイアス電圧32を印加しないときに2次電子を検出できる位置に配置したMCP2の穴を当該負のバイアス電圧を印加した高エネルギーの2次電子が通過してしまい、検出できない。これを解決するために、従来は特許文献1の図1に示すように、照射系から結像系に入るときの光軸を機械的に少しずらし、負のバイアス電圧を印加した試料から放出された2次電子を検出できるようにしていた。
特開平10−214586号公報
上述した従来の像分解能を向上させるために図10の試料31に負のバイアス電圧32を印加した場合、試料31から放出された高エネルギーの2次電子を検出するために、特許文献1の図1に示すように照射系と結像系との軸をわずかにずらして2次電子をMCPなどに照射できるようにして検出し、像分解能を向上させていたため、機械的に軸をずらす必要があり、加工などが面倒であると共に機械的に軸がずれているために電子線ビームを試料上に照射・調整するのが大変であるなどの各種不都合が生じてしまうという問題があった。
本発明は、これらの問題を解決するため、光軸上を走行する電子線ビームを光軸から離れる方向に偏向する静電型の第1の偏向器と、光軸に近づく方向に偏向する静電型の第2の偏向器と、逆の方向に偏向して光軸上に戻す電磁型の第3の偏向器とを設け、光軸を機械的にずらすことなく負のバイアス電圧を印加した試料からの2次電子を効率良好に捕集して検出・増幅し、対物レンズの収差を小さくして高分解能の2次電子画像を生成することを目的としている。
そのため、本発明は、電子銃から放出された電子線ビームをレンズで細く絞って試料に照射しつつ走査し、そのときに試料から放出された2次電子を検出・増幅し、2次電子画像を表示する走査型電子顕微鏡において、光軸上を走行する電子線ビームを光軸から離れる方向に偏向する静電型の第1の偏向器と、第1の偏向器の位置より電子線ビームの走行方向であって、第1の偏向器で偏向された電子線ビームを光軸に近づく方向に偏向する静電型の第2の偏向器と、第2の偏向器の位置より電子線ビームの走行方向であって、第2の偏向器で光軸に近づく方向に偏向された電子線ビームを、逆の方向に偏向して光軸上に戻す電磁型の第3の偏向器と、走行中の電子線ビームを細く絞って試料に照射する対物レンズと、試料を搭載する負のバイアス電圧を印加する試料ステージと、細く絞られた電子線ビームが負のバイアス電圧の印加された試料面に照射されたときに、電磁型の第3の偏向器の方向に誘導され、電磁型の第3の偏向器で光軸から離れる方向に偏向された負のバイアス電圧に相当するエネルギーを有する2次電子を検出する、光軸の部分に電子線ビームが通過する開口部を有する2次電子検出器とを備えるようにしている。
この際、電磁型の第3の偏向器で光軸から離れる方向に偏向された2次電子について、静電型の第2の偏向器を通過、あるいは静電型の第2の偏向器と静電型の第1の偏向器を通過した後に2次電子検出器を配置して負のバイアスバイアス電圧に相当するエネルギーを有する2次電子を検出するようにしている。
また、静電型の第1の偏向器および前記静電型の第2の偏向器のうちのいずれか1つを電磁型の偏向器とするようにしている。
また、電子線ビームが通過する開口部を有する2次電子検出器の当該開口部を、中心に穴の開いた円盤とし、円盤の部分に照射した前記2次電子を反射させ、あるいは円盤から2次電子を放出させ、2次電子検出器で捕集するようにしている。
また、2次電子検出器と、その直前に配置した第1あるいは第2の偏向器との間に負のバイアス電圧を印加した中心に穴の開いた円盤状のリペラー電極を配置し、負のバイアス電圧に相当するエネルギーを有する2次電子が2次電子検出器に向かった後に帰ってくる2次電子を2次電子検出器の方向に静電力で戻すようにしている。
本発明は、光軸上を走行する電子線ビームを光軸から離れる方向に偏向する静電型の第1の偏向器と、光軸に近づく方向に偏向する静電型の第2の偏向器と、逆の方向に偏向して光軸上に戻す電磁型の第3の偏向器とを設けることにより、光軸を機械的にずらすことなく負のバイアス電圧を印加した試料からの2次電子を効率良好に捕集して検出・増幅し、対物レンズの収差を小さくして高分解能の2次電子画像を生成することが可能となる。
本発明は、光軸上を走行する電子線ビームを光軸から離れる方向に偏向する静電型の第1の偏向器と、光軸に近づく方向に偏向する静電型の第2の偏向器と、逆の方向に偏向して光軸上に戻す電磁型の第3の偏向器とを設け、光軸をずらすことなく負のバイアス電圧を印加した試料からの2次電子を効率良好に捕集して検出・増幅し、対物レンズの収差を小さくして高分解能の2次電子画像を生成することを実現した。
図1は、本発明の1実施例構造図を示す。
図1において、MCP1,MCP2は、2次電子検出器の例であって、2次電子を検出するものでり、正電圧を印加し、試料11から放出された2次電子を捕集するものである。MCP1は本発明で使用するものであり、MCP2は通常のSEM像を生成するときに使用するものである。
AL1(静電)は、静電型の偏向器であって、例えば平行な平板に電圧を印加し、1次電子線ビーム、2次電子を偏向(例えば図示の矢印のように偏向)するものである。
SCAN1(静電),SCAN2(静電)は、試料11の面上で1次電子を平面走査するように偏向するものであって、X方向およびY方向にそれぞれ偏向して走査するものである。
AL2(静電)は、静電型の偏向器であって、例えば平行な平板に電圧を印加し、1次電子線ビーム、2次電子を偏向(例えば図示の矢印のように偏向)するものである。
AL3(電磁)は、電磁型の偏向器であって、コイルを巻いて電流を流すことにより磁界を発生させて1次電子線ビーム、2次電子を偏向するものである。
OLは、対物レンズであって、1次電子線ビームを細く絞って試料11の表面を照射するものである。図示のOLはインレンズ(対物レンズの上極と下極との間に試料11を配置する構造のレンズ)である。OLは図示のインレンズに限られることなく、下極の下方に試料11を配置してもよい。インレンズの方が、焦点距離を小さくできるなどの理由により、対物レンズの各種収差を小さくして高分解能の2次電子像を得やすい。
試料11は、図示外のステージ(試料移動台)に搭載した観察対象の試料である。ステージは、電気的に絶縁された状態でX方向およびY方向に移動可能であり、かつバイアス電圧12によりここでは、負のバイアス電圧が印加されている。
以上の構造のもとで、負のバイアス電圧12の印加された試料11から2次電子を、MCP1で効率良好に捕集して検出するときの動作を順次詳細に説明する。
(1)図示外の電子銃から放出された1次電子線ビームが図示外の集束レンズで集束され、図1の上から下方向に光軸上を入射する。
(2)(1)で図示の上から下方向に入射した1次電子線ビーム13は、MCP1の中央の穴を通過し、AL1(静電)によりここでは、図示の右方向に偏向される(光軸から離れる方向に偏向される)。
(3)(2)で偏向された1次電子線ビームは、AL2(静電)によりここでは、図示の左方向に偏向される(光軸に近づく方向に偏向される)。
(4)(3)で偏向された1次電子線ビームは、AL3(電磁)によりここでは、図示の右方向に逆に偏向され、結果として、光軸上を進む1次電子線ビームとなる。
(5)(4)で光軸上に戻された1次電子線ビームは、試料11上に照射される。
(6)この(5)のとき、SCAN1(静電)およびSCAN2(静電)の2段偏向器により、負のバイアス電圧12の印加された試料11上に細く絞られて照射された1次電子線ビームが平面走査される(X方向およびY方向に平面走査される)。
(7)(6)の平面走査されたときに負のバイアス電圧12(例えば−数KV)の印加された試料11から放出された2次電子14は、当該負のバイアス電圧12により1次電子線ビームと逆方向、即ち、MCP1の方向に向かって、ほぼ負のバイアス電圧12に相当するエネルギーを持って走行開始する。
(8)(7)で走行開始したほぼ負の電圧11に相当するエネルギーを持った2次電子は、AL3(電磁)の電磁型の偏向器によって、
F=−e(v×B)
・vは2次電子が持つエネルギー(電圧)、Bは磁界の強さである。
なる力を受けて偏向、即ち、ここでは、行きと逆の方向の図示の方向に偏向される。
(9)(8)で行きと逆の方向に偏向された2次電子は、更に、AL2,AL1では静電型の偏向器であるので行きと同じ方向に偏向、ここでは、図示のように十分に光軸外に偏向され、光軸外に配置したMCP1の2次電子検出面に衝突し、検出・増幅される。
尚、従来の図10のMCP2の位置では、負のバイアス電圧12に相当するエネルギーを持つ2次電子は、充分に光軸外に偏向されず当該MCP2の中心の小さい穴を通過してしまい、検出できない。しかし、本発明では、AL3(電磁)で行きと逆に偏向したこと、更に、AL2(静電)で光軸外に偏向することにより、光軸外に配置したMCP1の2次電子検出面に当該2次電子を入射させて、高効率に検出・増幅することが可能となったものである。
(10)検出・増幅された信号をもとに、図示外の表示装置の画面上に輝度変調していわゆる2次電子像を表示する。
以上のように、AL1(静電)、AL2(静電)、AL3(電磁)という3段の偏向器を設けて1次電子線ビームを光軸上から光軸外、更に、光軸上に戻して負のバイアス電圧12の印加された試料11を照射し、当該試料11から放出されたほぼ負のバイアス電圧12に相当のエネルギーを持つ2次電子について、AL3(電磁)で行きと逆の方向に偏向し、更に、AL2(静電)で光軸から離れる方向にぼぼ負のバイアス電圧12に相当するエネルギーを持つ2次電子を偏向することにより、十分な量の光軸外への偏向を行い、光軸外に配置したMCP1の2次電子検出面に照射させて検出・増幅することが可能となる。これにより、試料11から負のバイアス電圧12に相当のエネルギーを持つ2次電子を効率良好に捕集して検出し、結果としてOLの収差係数を小さく(2次電子のエネルギーが大きいほど収差係数は小さい)して高分解能の2次電子画像を生成することが可能となる。以下順次詳細に説明する。
図2は、本発明の要部説明図(その1)を示す。図2は、図1の要部を取り出した模式図であって、MCP1,AL1(静電)、AL2(静電)、AL3(電磁)、OL、試料11は、図1の同一の名称にそれぞれ対応する。
図2において、AL1(静電)は、平板を左右に平行に配置した静電偏向器であって、ここでは、右側の平板に+、左側の平板に−の電圧を印加した様子を示したものである。この状態では、1次電子線ビームは正の電圧を印加した右側の平板の方向に力を受け、模式的に分かり易く表現すると、図示のように偏向される。
AL2(静電)は、平板を左右に平行に配置した静電偏向器であって、右側の平板に−、左側の平板に+の電圧を印加した様子を示したものである。この状態では、1次電子線ビームは正の電圧を印加した左側の平板の方向に力を受け、模式的に分かり易く表現すると、図示のように偏向、即ち、AL1(静電)で光軸の外に向けて偏向されたものが、逆に光軸に向けて偏向される。
AL3(電磁)は、コイルを巻いた電磁型の偏向器であって、ここでは、紙面の奥から上方向に向かう磁界Byを発生させ、光軸上に戻るように1次電子線ビームを右方向に偏向させる様子を模式的に示したものである。
OLは、図1のOL(対物レンズ)であって、1次電子線ビームを細く絞って試料11の上に照射するものである。
試料11は、負のバイアス電圧12の印加された試料である。1次電子線ビームを試料11に照射し、そのときに放出された2次電子(負のバイアス電圧12のエネルギーを持つ2次電子)は、負のバイアス電圧12により1次電子線ビームと逆方向、即ち、MCP1の方向に向けて走行開始する。
そして、既述したように、試料11から放出された負のバイアス電圧12に相当するエネルギーを持つ2次電子は、AL3(電磁)により、F=−e(v×B)の力を受けるので、ここでは、図示のように行きと逆の左方向に偏向され、AL2(静電)で更に光軸の外に偏向され、AL3(静電)で光軸の方向に偏向され、結果として、光軸外の充分な距離にあるMCP1の2次電子検出面に入射し、検出・増幅され、OLの収差を小さくして高解像度の2次電子像を表示することが可能となると共に、AL1(静電)に入射前の照射系の光軸と、AL3(電磁)から出射後の結像系の光軸とを3段の偏向器で一致させ、各種不都合を解消することが可能となる。
図3は、本発明の要部説明図(その2)を示す。これは、MCP1の光軸に近い部分に円盤15を設けて2次電子の捕集効率を高めた例を模式的に示す。
図3において、円盤15は、MCP1の内側と光軸との間に1次電子線ビームが通過する穴を設けると共に、MCP1の2次電子検出面を覆わない程度の直径を持つ円板状の形状にしたものである。光軸上を上から下方向に1次電子線ビームが入射して試料11を照射し、試料11から放出された2次電子が下から上方向に図示のように走行し、MCP1の2次電子検出面より光軸に近い部分に照射された図示の2次電子について、円盤15に図示のように衝突し、反射した2次電子あるいは更に発生した2次電子が、MCP1の2次電子検出器に印加された正の電圧により誘導されて検出される様子を模式的に示す。
以上の構造を持つ円盤15を設けることにより、MCP1の2次電子検出面より内側に入射した2次電子について、円盤15で反射あるいは更に2次電子を発生させ、MCP1の2次電子検出面に印加した正の電圧で捕集し、2次電子検出効率を高めることが可能となる。
図4は、本発明の要部説明図(その3)を示す。これは、図3の構造に、更に、リペラー電極16を設け、一旦、2次電子がMCP1の近傍に入射した場合には、AL1(静電)の方向に逆戻りさせないで追い戻し、MCP1の2次電子検出面に印加されている正の電圧で捕集させて検出させ、効率を良好にする例を模式的に示す。
図4において、リペラー電極16は、円盤状であって、中心に穴を開けた構造を持つものであって、負の電圧を印加するものである。
以上の構造のリペラー電極16を設けて負の電圧を印加することにより、2次電子が一旦、MCP1の近傍に入射したり、MCP1あるいはその近傍の材料に照射して反射あるいは発生した2次電子が逆の方向に戻ることを抑止し、MCP1に効率良好に、試料11から放出された2次電子を検出することが可能となる。
尚、図2では、MCP1をAL1(静電)より電子銃側に配置したが、MCP1をAL1とAL2(静電)の間に配置し、負のバイアス電圧12に相当するエネルギーを有する2次電子を、MCP1で検出するようにしてもよい。
また、AL1(静電)、AL2(静電)のうち、いずれか一方を更に、電磁型の偏向器で置き換え、負のバイアス電圧12に相当するエネルギーを有する2次電子を、充分に光軸外に変位させて、MCP1の2次電子検出面で検出するようにしてもよい。
次に、図5から図7を用いて他の要部および構造を説明する。
図5は、本発明の他の要部説明図(その1)を示す。これは、図7の試料11から放出された、負のバイアス電圧12に相当するエネルギーを持つ2次電子が従来のMCP2の中心の穴を通過し、MCP1に向けて入射した様子を模式的に示す。MCP1の2次電子検出面の内側に入射した2次電子は、中心に穴の開いた円盤15に入射する。円盤15に入射した2次電子は反射したり、更に2次電子を発生したりし、これら2次電子はMCP1の、通常、数十V程度の正の電圧の印加されている2次電子検出面に誘導されて検出・増幅される。
図6は、本発明の他の要部説明図(その2)を示す。これは、図5に加えて、中心に穴の開いたリペラー電極16を設け、負の電圧を印加した場合の2次電子の様子を模式的に示す。リペラー電極16には、例えば−20V程度の負電圧を印加すれば、1次電子線ビームや負のバイアス電圧に相当するエネルギーを有する2次電子の軌道には、ほとんど影響しないようすることが可能である。この場合には、MCP1およびその近傍の円盤15に入射し、反射した2次電子および更に発生した2次電子は、MCP1の2次電子検出面に印加された正の電圧に誘導されて検出されると共に、試料11の方向に戻ろうとした場合にはリペラー電極16に印加された負の電圧により追い返され、効率的にMCP1の2次電子検出面で検出することが可能となる。
尚、MCP電子検出面の中央の穴付近のリング状部は、通常、電子を検出できない不感帯である。図6における円盤15はMCP1の穴の付近に配置した部品であるが、これを前記不感帯で置き換えても良い。
図7は、本発明の他の実施例構造図を示す。図7は、既述した図5、図6を適用した走査型電子顕微鏡の断面図を模式的に示す。
図7において、2次電子14は、電子線ビームをOLで細く絞って、負のバイアス電圧12の印加された図示外の試料ホルダに搭載された試料11を照射しつつSCAN1,2で平面走査したときに当該試料11から放出された、負のバイアス電圧12に相当するエネルギーを持つ2次電子であって、従来のMCP2の中心に設けた穴を通過してしまう2次電子である。当該2次電子14は、OLの磁界外に出ると、図示のように放射状に広がるが、数十V程度の正電圧の印加した2次電子検出面には充分に到達しなく、光軸の部分に小さい穴を開けた既述した円盤15に衝突する。円盤15に衝突した2次電子は反射してMCP1の正電圧を印加した2次電子検出部分に誘導されて検出・増幅される。また、2次電子が円盤15に衝突すると、更に2次電子が放出されるので、当該放出された新たな2次電子も、MCP1の正電圧の印加された2次電子検出部分に誘導されて検出・増幅される。この際、円盤15に衝突して元の試料11の方向に向かう2次電子は、負の電圧の印加されたリペラー電極16により静電力で戻され、MCP1の正電圧を印加した2次電子検出面に誘導されて検出・増幅される。
以上のように、MCP1を試料11から離れたOLの磁界の無い(磁界の小さい)部分に配置したことで、試料11から放出された負のバイアス電圧12に相当するエネルギーを持つ2次電子14が放射状に徐々に広がった部分に穴の開いた当該MCP1を設け、更に、中心に小さな穴の開いた円盤15を設けて衝突させ、反射された2次電子および更に2次電子を発生させ、これら2次電子を、MCP1の正電圧を印加した2次電子検出面に誘導して検出・増幅を行い、簡単構造で負のバイアス電圧12に相当するエネルギーを有する2次電子14を検出・増幅し、結果としてOLの収差を小さく(即ち、OLに入射する1次電子線ビームの電圧を当該2次電子の負のバイアス電圧12相当分だけ高くなり、この高くなった電圧分だけ同じOLであっても収差を小さく)でき、従来の負のバイアス電圧12を試料11に印加しない走査型電子顕微鏡より高分解能の2次電子像を生成することが可能となる。
図8は、本発明の他の要部説明図(その3)を示す。図示のようにリペラー電極161を、ファラデーカップ形状にして、円盤15から放出された反射電子や2次電子を、できるだけ逃さないようにし、2次電子検出器に到達させるようにする。ファラデーカップ形状のリペラー電極161には、例えば−20V程度の負の電圧を印加する。円盤15は、アース電位とする。
図9は、本発明の他の要部説明図(その4、バイアス電圧印加時の2次電子軌道例)を示す。これは、コンピュータでシュミレーションした本発明に係わるバイアス電圧印加時の2次電子軌道例を示し、下記のシュミレーションの条件である。
・2次電子の放出角:光軸に対して0〜90°
・試料から放出する際の2次電子エネルギー:10eV
・サンプルバイアス電圧:−3KV
・OL強度:加速電圧4KVの1次電子線ビームがサンプルバイアス電圧により減速され、例えばWD=1mmにフォーカスする強度(ランディングエネルギーは1KV)
ここで、試料から放出された2次電子は、試料と、アース電位であるOLの上極との間で、加速されると共に、クロスオーバーを形成し、1次電子線ビームと逆方向に、ほぼ放射状に広がる。OLの上極以降の2次電子は、ここでは、ほぼ3KVに加速されている。
以上説明した図9によりほぼバイアス電圧12に相当するエネルギーを持つ2次電子(上記例では、3KVのエネルギーを持つ2次電子)がOLの上極から放射状に1次電子線ビームと逆方向に広がり、既述した図7に示すように本発明に係わる中心に小さな穴の開いた円盤15に衝突して反射したり、2次電子を放出したりし、これらをMCP1で検出することが可能となる。
本発明は、光軸上を走行する電子線ビームを光軸から離れる方向に偏向する静電型の第1の偏向器と、光軸に近づく方向に偏向する静電型の第2の偏向器と、逆の方向に偏向して光軸上に戻す電磁型の第3の偏向器とを設け、光軸をずらすことなく負のバイアス電圧を印加した試料からの2次電子を効率良好に捕集して検出・増幅し、対物レンズの収差を小さくして高分解能の2次電子画像を生成する走査型電子顕微鏡に関するものである。
本発明の1実施例構造図である。 本発明の要部説明図(その1)ある。 本発明の要部説明図(その2)である。 本発明の要部説明図(その3)である。 本発明の他の要部説明図(その1)である。 本発明の他の要部説明図(その2)である。 本発明の他の実施例構造図である。 本発明の他の要部説明図(その3)である。 本発明の他の要部説明(その4、バイアス電圧印加時の2次電子軌道例)である。 従来のバイアス印加時の2次電子軌道例である。
符号の説明
11:試料
12:バイアス電圧
13:1次電子線ビーム
14:2次電子
15:円盤
16、161:リペラー電極

Claims (7)

  1. 電子銃から放出された電子線ビームをレンズで細く絞って試料に照射しつつ走査し、そのときに試料から放出された2次電子を検出・増幅し、2次電子画像を表示する走査型電子顕微鏡において、
    光軸上を走行する前記電子線ビームを光軸から離れる方向に偏向する静電型の第1の偏向器と、
    前記第1の偏向器の位置より電子線ビームの走行方向であって、当該第1の偏向器で偏向された前記電子線ビームを光軸に近づく方向に偏向する静電型の第2の偏向器と、
    前記第2の偏向器の位置より電子線ビームの走行方向であって、当該第2の偏向器で光軸に近づく方向に偏向された電子線ビームを、逆の方向に偏向して光軸上に戻す電磁型の第3の偏向器と、
    前記走行中の電子線ビームを細く絞って試料に照射する対物レンズと、
    前記試料を搭載する負のバイアス電圧を印加する試料ステージと、
    前記細く絞られた電子線ビームが負のバイアス電圧の印加された試料面に照射されたときに、前記電磁型の第3の偏向器の方向に誘導され、当該電磁型の第3の偏向器で光軸から離れる方向に偏向された負のバイアス電圧に相当するエネルギーを有する2次電子を検出する、光軸の部分に前記電子線ビームが通過する開口部を有する2次電子検出器と
    を備えたことを特徴とする走査型電子顕微鏡。
  2. 前記電磁型の第3の偏向器で光軸から離れる方向に偏向された前記2次電子について、前記静電型の第2の偏向器を通過、あるいは前記静電型の第2の偏向器と前記静電型の第1の偏向器を通過した後に前記2次電子検出器を配置して負のバイアス電圧に相当するエネルギーを有する2次電子を検出することを特徴とする請求項1記載の走査型電子顕微鏡。
  3. 前記静電型の第1の偏向器を電磁型の偏向器としたことを特徴とする請求項1あるいは請求項2記載の走査型電子顕微鏡。
  4. 電子銃から放出された電子線ビームをレンズで細く絞って試料に照射しつつ走査し、そのときに試料から放出された2次電子を検出・増幅し、2次電子画像を表示する走査型電子顕微鏡において、
    光軸上を走行中の前記電子線ビームを細く絞って試料に照射する対物レンズと、
    前記試料を搭載する負のバイアス電圧を印加する試料ステージと、
    前記細く絞られた電子線ビームが負のバイアス電圧の印加された試料面に照射されたときに、当該試料から放出された負のバイアス電圧に相当するエネルギーを有する2次電子を検出する中心に前記電子線ビームが通過する穴の開いた2次電子検出部分および当該穴の開いた部分に、中心に穴を設けた円盤を配置して当該円盤の部分に照射された前記2次電子を反射させ、あるいは当該円盤から2次電子を放出させ、前記2次電子検出部分で併せて捕集する2次電子検出器および円盤と
    を備えたことを特徴とする走査型電子顕微鏡。
  5. 電子銃から放出された電子線ビームをレンズで細く絞って試料に照射しつつ走査し、そのときに試料から放出された2次電子を検出・増幅し、2次電子画像を表示する走査型電子顕微鏡において、
    前記走行中の電子線ビームを細く絞って試料に照射する対物レンズと、
    前記試料を搭載する負のバイアス電圧を印加する試料ステージと、
    前記細く絞られた電子線ビームが負のバイアス電圧の印加された試料面に照射されたときに、当該試料から放出された負のバイアス電圧に相当するエネルギーを有する2次電子を検出する中心に前記電子線ビームが通過する穴の開いた2次電子検出器と、
    前記2次電子検出器の直前に負のバイアス電圧を印加した中心に穴の開いた円盤状のリペラー電極を配置し、前記2次電子が前記2次電子検出器に向かった後に帰ってくる当該2次電子を当該2次電子検出器の方向に静電力で戻すリペラー電極と
    を備えたことを特徴とする走査型電子顕微鏡。
  6. 前記電子線ビームが通過する開口部を有する2次電子検出器の当該開口部を、中心に穴の開いた円盤とし、当該円盤の部分に照射した前記2次電子を反射させ、あるいは当該円盤から2次電子を放出させ、2次電子検出器で捕集することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の走査型電子顕微鏡。
  7. 前記2次電子検出器と、その直前に負のバイアス電圧を印加した中心に穴の開いた円盤状のリペラー電極を配置し、前記負のバイアス電圧に相当するエネルギーを有する2次電子が前記2次電子検出器に向かった後に帰ってくる当該2次電子を当該2次電子検出器の方向に静電力で戻すことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の走査型電子顕微鏡。
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