JP4594583B2 - 移植用器具の運搬装置 - Google Patents

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Description

技術分野
本発明は、医療機器分野に属する移植用器具(本明細書及び請求の範囲において、弾性復元力を有する折り曲げ自在な人体の器官に挿入する器具を「移植用器具」と略称する。)の運搬装置に関するものである。
背景技術
昨今の医療技術の進展により、人工血管を始めとする各種器具の移植を開腹術を用いることなく経管的に行えるようにした技術が臨床段階に入っている。その具体例として、本発明者が案出したカテーテルによる人工血管の移送、定着手法を開示した文献{例えばPCT/JP96/01347(国際公開番号WO96/36387)}を挙げることができる。このものは、大腿部の付け根の鼠蹊動脈から体内にカテーテルを導入するとともに、その先端部を動脈瘤等を惹起している患部付近に位置づけ、このカテーテル内に折り畳み/復元可能な弾性を付与した筒状の人工血管を折り畳んだ状態で挿入して、運搬装置や牽引装置を用いて患部付近の所定位置にまで搬送するとともに、その位置でカテーテルから放出することによって、人工血管を動脈瘤等を惹起している血管部分に位置づけることができるようにしている。
ところで、かかる文献では、人工血管を運搬するために、変形性を有し先端にコイルスプリングが連設された比較的細径なチューブと、このチューブの前端部付近に設けた側面窓部と、その側面窓部の近傍に両端部を固着し中間にループを形成した一対の紐と、チューブ内に移動自在に挿入されるワイヤーとからなる運搬装置を用いている。しかしながら、このような構成の運搬装置では、操作部分であるチューブが比較的細径であるために、手元の操作力がチューブの先端部にまで伝わりにくいという不都合があり、さらには、チューブは変形性を有しているとはいえ、比較的細径であるために、途中で折れ曲がる危険性もある。
上記の不具合を解消するため、チューブの径を太くすることも考えられるが、そうするとチューブは折り畳まれた人工血管内に挿通された状態なので、折り畳まれた人工血管は必然的に嵩張ってしまうという新たな不都合が生じる。
一方、従来の運搬装置は、外力により湾曲し得る弾性は有するものの、無方向に自在に湾曲し得るように外力を加えない限り直線形状をなしているように構成されているのが通例である。このため、目的箇所である患部が湾曲していたり、途中の導入路は湾曲しているが患部は直線状をなしている場合等に、経路の形状と患部の形状に同時に適合し得るような多様な特性は備えておらず、途中の導入が抵抗の大きいものになったり、移植状態が不適切なものになり易いという問題も抱えている。
発明の開示
上記の問題点を解決するために、本発明は、移植用器具と共に一体的に搬送可能且つ移植用器具に対して分離可能な操作杆を具備してなる移植用器具の運搬装置であって、前記操作杆の基端から該操作杆の先端近傍までの部位に外装され操作杆と共に一体的に搬送可能な状態で基端側に加えられる移植用器具を患部に向かい押し進める方向の操作力を操作杆の先端部に直接伝達し得る補助操作杆をさらに備えていることを特徴とする。
この場合、補助操作杆を必要に応じて選択的に操作杆に付帯させ得るようにするためには、前記補助操作杆を前記操作杆と共に一体的に搬送可能なロック状態と、前記補助操作杆を操作杆に対して分離する状態とをとり得るロック機構を、基端側に設けているものであって、前記ロック機構が、前記補助操作杆及び前記操作杆にかみつかせることによりこれら補助操作杆及び操作杆を連結可能であり、また、ロック機構を前記補助操作杆及び前記操作杆にかみつかせた状態を解除することにより前記補助操作杆を操作杆に対して分離可能であることが好ましい。
補助操作杆の具体的な実施の態様としては、操作杆の先端部近くを外嵌し得る位置に配設されるパイプ部材と、このパイプ部材に連設され基端側に加えられる操作力を前記パイプ部材を介して操作杆の先端部近くに伝達するチューブとから構成しているものが挙げられる。
より具体的には、パイプ部材を、大径な先端部と、その基端部に連設してなり前記チューブ内に収容される細径な基端部とから構成してなるものが挙げられる。
また、ロック機構を、パイプ部材の基端部と操作杆とを選択的にロックする内ロック要素と、パイプ部材の基端部とチューブとを選択的にロックする外ロック要素とから構成しているものが有効である。
操作杆に対する補強と体内における補助操作杆の柔軟な折れ曲がり状態とを有効に両立させるためには、パイプ部材が金属製のものであり、チューブが樹脂製のものであることが望ましい。
操作杆が、2つの互いに分断された対をなすチューブ要素と、両チューブ要素間に開口部を形成した状態でこれら両チューブ要素間を連結するチューブ連結要素と、両チューブ要素間に亘って挿通可能なワイヤとを具備し、このワイヤをチューブ要素に対して相対移動して開口部から露出させ、前記ワイヤ、又は開口部の近傍に両端部を固着し中間にループを形成した紐を移植用器具に形成した前引っ掛け部に係合させた後に再度先端を開口部に没入させることによって移植用器具をワイヤとチューブ要素の間に一体的に搬送可能に係留するものである場合には、補助操作杆の先端部に前方に向かって開口するカップ状の空間を形成しておき、この先端部を基端側のチューブ要素とチューブ連結要素との連結部に外嵌していることが好都合である。また、操作杆が上記の構成のものである場合、基端側のチューブ要素とチューブ連結要素との連結部に、後方に向かって開口するカップ状の空間を形成しておき、この連結部内に補助操作杆の先端部を挿入していても良く、さらに、補助操作杆の先端部を、基端側のチューブ要素とチューブ連結要素との連結部の後端部とほぼ同径にしておき、その後端部に対して、補助操作杆の先端部を近接もしくは当接していてもよい。
患部が湾曲している場合に適用する運搬装置の好適な態様として、前記操作杆及び補助操作杆を湾曲可能な弾性を有する素材から構成し、且つこれら操作杆又は補助操作杆の少なくとも一方の先端側を、外力を加えない状態で所定形状をなすものにして、操作杆の外側に補助操作杆を先端側が出し入れ可能となるように被せて構成しているものを挙げることができる。
操作杆及び補助操作杆の望ましい形態として、操作杆の先端側が外力を加えない状態で湾曲形状をなし、補助操作杆の先端側が外力を加えない状態で略直線形状をなすものや、操作杆及び補助操作杆の各先端側が、ともに外力を加えない状態で湾曲形状をなすものを挙げることができる。
この場合、移植用器具が、所定位置で復元した際に湾曲形状をなすものであり、操作杆をその湾曲形状に略合致した湾曲形状のものにしているものが望ましい。
また、好適な実施形態として、移植用器具が、折り畳まれた状態で運搬されるものであり、復元した際に小湾側に位置する部位に器具本体の収縮を促す弾性体を設けているものを挙げることができる。
さらに、移植用器具が、復元した際に大湾側に位置する部位に枝を備えているものであってもよい。
操作杆及び補助操作杆の望ましい形態として、操作杆の先端側が外力を加えない状態で略直線形状をなし、補助操作杆の先端側が外力を加えない状態で湾曲形状をなすものを挙げることができる。
以上の運搬装置は、特に移植用器具の一つである人工血管に適用して極めて有用なものとなる。
本発明に係る移植用器具の運搬装置であると、操作杆を補助する補助操作杆を具備してなるので、操作杆がフレキシブルであるがゆえに脆弱なものであっても、目的位置に搬送するまでは操作杆自体の強度に頼らずに補助操作杆を通じて操作力を操作杆の先端部に直接伝えることができるので、操作杆が運搬途中で折れ曲がってしまう不都合を有効に防止することができる。
また、基端側に設けたロック機構を介して前記補助操作杆を前記操作杆と共に一体的に搬送可能且つ操作杆に対して分離可能とすれば、補助操作杆と操作杆との連結状態を確実なものにすることができ、補助操作杆が不要になれば基端側における操作を通じて何時でも連結を解除し、補助操作杆を退避させることができる。
一方、補助操作杆を、操作杆の先端部を外装する位置に配設されるパイプ部材と、このパイプ部材に連設することによって基端側に加えられる操作力をパイプ部材を介して操作杆の先端部に伝達するチューブとから構成しておけば、パイプ部材を外装することによって操作杆の先端部近くを補強した状態で操作力を伝達することができ、またパイプ部材に別途チューブを連設して操作力をパイプ部材に伝達するため、強度のあるパイプ部材をそのまま基端側に引き出す場合に比べて、操作力伝達途中の部位に可撓性のある柔軟なパイプ部材を採用して体内における引き回しを好適に行うことができる。
その場合、パイプ部材を、大径な先端部と、その基端側に連設してなり前記チューブ内に収容される細径な基端部とから構成してなるものにしておくと、簡単な構成で、操作杆の先端部近くの補強をより確実なものにして折れ曲がることを有効に防止することができる上に、体内においてパイプ部材、ひいては、補助操作杆の柔軟な折れ曲がり状態を可能ならしめる。
また、ロック機構を、パイプ部材の基端部と操作杆とを選択的にロックする内ロック要素と、パイプ部材の基端部とチューブとを選択的にロックする外ロック要素とから構成すれば、補助操作杆を構成するパイプ部材、チューブ双方の操作杆に対する連結をより確実なものにすることができ、また両ロック要素を操作することにより、必要に応じてこれらの退避も容易に行うことができる。
また、パイプ部材を金属製のものにし、チューブを樹脂製のものにすれば、操作杆と補助操作杆との連結部の強度を保つことができ、さらに、補助操作杆の基端側に加えた操作力をフレキシブルな折れ曲がり特性を確保しつつ、より好適に操作杆の先端にまで伝達することが可能となる。
さらに、操作杆が、2つのチューブ要素の間をチューブ連結要素で連結し、それらの内部に挿通されるワイヤによって選択的に移植用器具を係合させるようにしている場合に、補助操作杆の先端部に前方に向かって開口するカップ状の空間を形成しておき、この先端部を基端側のチューブ要素とチューブ連結要素との連結部に外嵌しておけば、それら基端側のチューブ要素とチューブ連結要素との連結部の基端側近傍が折れ曲がることを有効に防止することができる。操作杆が上記の構成のものである場合、基端側のチューブ要素とチューブ連結要素との連結部に後方に向かって開口するカップ状の空間を形成しておき、この連結部内に補助操作杆の先端部を挿入したものであっても、また、補助操作杆の先端部を、基端側のチューブ要素とチューブ連結要素との連結部の後端部とほぼ同径にしておき、その後端部に対して、補助操作杆の先端部を近接もしくは当接したものであっても、上記と同様の作用効果を奏する。
また、移植用器具の運搬装置が、操作杆と補助操作杆とを湾曲可能な弾性を有する素材から構成し、且つこれら操作杆又は補助操作杆の少なくとも一方の先端側を、外力を加えない状態で所定形状をなすものにして、操作杆の外側に補助操作杆を先端側が出し入れ可能となるように被せて構成しているものであれば、操作杆の先端側を補助操作杆の先端側に収容している状態では、操作杆は、補助操作杆の有する形状に矯正されるが、操作杆の先端側を補助操作杆の先端側から前方へ突出させた際には、操作杆は補助操作杆による拘束を解除されて、本来与えられている所定形状を取り戻す。従って、操作杆を、移植用器具を目的箇所に定着させるに適した形状とする一方、操作杆のそのような形状が体内における導入路を引き回すには適さないものである場合に、補助操作杆をその導入路の通過に適した形状としてこの補助操作杆の内部に操作杆を一時的に収容しておくことによって、その目的箇所に至る導入路における操作杆の運搬を適切なものにすることができる。
操作杆の先端側が外力を加えない状態で湾曲形状をなし、補助操作杆の先端側が外力を加えない状態で略直線形状をなすものであれば、操作杆を補助操作杆の内部に収容している状態では、操作杆は補助操作杆に矯正されて外力が加えられない限り略直線形状を保持するため、送り操作が容易となり、さらに、湾曲特性が特定方向へ偏る事を防いで導入路が無制限に種々の方向へ湾曲していても好適に対応できるのに対して、操作杆を補助操作杆の外へ送り出した時には、操作杆は本来与えられている湾曲形状を取り戻す。このため、その湾曲度合いを、予め配設すべき患部の湾曲度合いに対応させておけば、患部の手前からこの操作杆のみを前進させることによって、移植用器具を患部に好適に送り込むことができる。
操作杆の先端側が外力を加えない状態で略直線形状をなし、補助操作杆の先端側が外力を加えない状態で湾曲形状をなすものであれば、操作杆を補助操作杆の内部に収容している状態では、操作杆は補助操作杆に矯正されて外力が加えられない限り湾曲形状を保持するため、患部までの導入路が湾曲している場合にその湾曲度に上記湾曲形状を合致させておけば、導入を好適に行うことができるのに対して、操作杆を補助操作杆の外へ送り出したときには、操作杆は本来与えられている略直線形状を取り戻す。このため、患部の手前が湾曲し、患部自体は直線形状をなしているような場合に、患部の手前から操作杆のみを前進させることによって、移植用器具を患部に好適に送り込むことができる。
操作杆及び補助操作杆の各先端側が、共に外力を加えない状態で、湾曲形状をなすものであれば、患部に至る導入路が湾曲し、患部自体もやはり湾曲しているものの、患部の湾曲度合いやその湾曲方向が導入路のそれとは異なるような場合に適用して有用なものとなる。
移植用器具が、所定位置で復元した際に湾曲形状をなすものであり、操作杆をその湾曲形状に略合致した湾曲形状のものにしてあれば、操作杆の湾曲形状と、移植用器具の湾曲形状とを、共に予め移植しようとする患部の湾曲形状に略合致させておくことによって、患部手前から操作杆を送り出した後、患部への移植用器具の定着までを互いに干渉させることなく極めてスムーズに行わせることができる。
移植用器具が折り畳まれた状態で運搬されるものであり、復元した際に、小湾側に位置する部位に器具本体の収縮を促す弾性体を設けているものであれば、移植用器具は、折り畳んだ際には弾性体による影響力を無くして、カテーテル内に好適に収容することができ、かつカテーテルが体内の導入路を通過する際の湾曲にも追従動作させ易くなるのに対して、カテーテル内から送り出した後は所定形状に復元し得るので、移植用器具をこのような形態のものにすることによって、これを取り扱う本発明の運搬装置の機能を如何なく発揮させることができる。
移植用器具が、復元した際に大湾側に位置する部位に枝を備えているものであれば、体内の湾曲した目的箇所に移植用器具を配置する場合に、操作杆を使ってその目的箇所に移植用器具を送り込むと、必ず枝が所定の方向を向くため、導入後に枝が異なる方向を向いたために始めからやり直さなければならないといった失敗が起こらない。このため、本発明の最も好適な適用例の一つとなり得る。
発明を実施するための最良の形態
以下、本発明を、添付図面に示す実施例に基づいて詳述する。
<第1実施例>
第1図は、本実施例を適用する移植用器具たる人工血管1の折り畳み前の状態を示している。
この人工血管1の基本構造は、本発明者が既に開示している前出の文献A{PCT/JP96/01347(国際公開番号WO96/36387)}等に詳述されている。同文献Aに準じて本実施例の基本部分を概説すると、この人工血管1は、第1図に示すように、前リング状線材部2と、この前リング状線材部2に対向配置された後リング状線材部3と、それらの前後リング状線材部2、3の間を連結する筒状の表装材4と、両前後リング状線材部2、3間に配置された中間リング状線材部5とから構成されていて、各リング状線材部2、3、5に折り曲げ自在な弾性を付与してなるものである。
なお、本実施例において、リング状線材部とは、チタンニッケル合金等の弾性復元力に優れる素材を主体として形成される線材のことを称する。
具体的には、表装材4は、第1図に示すように、フレキシブルで且つ張りのあるシートをジャバラ状の筒に成形してなるもので、内径が配設先の血管の正常な流路断面形状に略対応させられている。この表装材4のシートは、例えば人工血管1の軸心方向に延びる縦糸と人工血管1の円周方向に延びる横糸とを編み込んだものであり、その縦糸にポリエステル製のモノフィラメント(15デニール程度のもの)を使用し、横糸に超極細線をより合わせたマルチフィラメント(50デニール程度のもの)を使用している。この横糸には特に、表装材4のシートをより薄く且つより強度のあるものにするために、10デニール程度のポリエチレン製の糸が追加して織り込んである。また、その表装材4には、必要に応じて血液の漏洩を防止するための防水用のコーティング(コラーゲンやアルブミン等)が施されている。
また、第2図に示すように、この表装材4の前端4aまたは後端4bには前後のリング状線材部2、3の取着位置に対応する箇所にそれぞれ縫着や接着等により前後補助リング状線材部6、7が固着されている。この前後補助リング状線材部6、7は、前後のリング状線材部2、3に比べて細い線材から構成されるものであり、人工血管1に復元力と人体への密着性を付与するものである。そして、第1図に示すように、前補助リング状線材部6の円周上を4等分した分割点6a、6b、6c、6dと隣り合う分割点6b、6c、6d、6aとの各中間位置である4箇所にループ状をなす前方牽引用の前引っ掛け部8を形成している。
さらに、後補助リング状線材部7において、前補助リング状線材部6の分割点6a、6b、6c、6dと同一位相位置の1つ置きの位置、すなわち分割点6b、6dを通る母線上の2箇所に、ループ状をなす後方牽引用の後引っ掛け部9を形成している。
この実施例の引っ掛け部8、9は紐によって形成されたものであるが、必ずしも紐を用いて形成する必要はなく、支障がなければ表装材4に直接孔を開けて引っ掛け部として利用することもできる。
前、後のリング状線材部2、3は、軸方向に互いに分割して対向配置されてなるもので、内径が前記表装材4の外径よりも若干大きくなるように設定されており、第2図に示すように表装材4の前端4aまたは後端4bに取着された袋状の膜部材10内に収容されていて、一定範囲内で表装材4に対して相対前後移動可能とされている。
前記膜部材10は、内部空間に前後のリング状線材部2、3の全体を被包してなる袋状のものであり、その内周端10aを表装材4の外周のほぼ全周に亘って取付け、膜部材10の変形を通じて前後のリング状線材部2、3の相対前後移動を許容するとともに、表装材4との間の円環状の隙間を液密とするようにそれぞれ縫着や接着等により取着されている。
なお、本実施例で使用するこの膜部材10は、前述した表装材4を構成するシートと同様の素材からなるものである。
中間リング状線材部5は、外周を布等の保護膜により被包した構成や前述した前後のリング状線材部2、3と同様に外周にモール材を巻回した構成からなるもので、表装材4の外周にあって前後のリング状線材部2、3の間を長手方向に略等分割する位置に複数個配設されている。そして、この中間リング状線材部5の円周上における前引っ掛け部8と同一位相の4箇所を、間欠的に縫着や接着等により表装材4に固着し、前述した両端の前後リング状線材部2、3とともに表装材4全体に筒状の保形力を付与している。
本実施例では、この中間リング状線材部5のうち、前後の両リング状線材部2、3近傍に配設された各2箇所の端部中間リング状線材部5Aを前述した前後リング状線材部2、3と同様、内径が前記表装材4の外径よりも若干大きくなるように設定し、端部中間リング状線材部5Aの全体を被包してなる袋状の膜部材10内に収容している。そして、前述した前後のリング状線材部2、3同様、端部中間リング状線材部5Aが膜部材10を介して一定範囲内で相対前後移動可能となるように、且つ表装材4との間の円環状の隙間を液密とするように、膜部材10の内周端10aを表装材4の外周のほぼ全周に亘ってそれぞれ縫着や接着等により取着している。
しかして、この人工血管1は、例えば、動脈瘤を生じている部分に移植して動脈瘤への血流の回り込みを防止するために導入されるものである。
その導入には、人工血管1をカテーテル12(第14図参照)内に折り畳んだ状態で入れて、例えば大腿部の付け根に挿入し、しかる後、第3図〜第8図に示す運搬装置13を用いてカテーテル12内を第14図に示す目的箇所まで移送した後、カテーテル12から放出して、必要であれば第9図、第14図に示す牽引装置14を用いて後方に牽引することにより位置調整をした後に、その保持を解除して所定形状に復元させるという経管的手法を採用するものである。
運搬装置13は、第3図〜第8図に示すように、金属製であって変形性を有し人工血管1と共に一体的に搬送可能且つ人工血管1に対して分離可能な操作杆18と、この操作杆18の先端部18a付近に設けた開口部23と、その開口部23の近傍に両端部を固着用紐36にて固着し中間にループ24aを形成した2本の紐24と、基端側13aに設けたロック機構20を介して前記操作杆18と共に一体的に搬送可能且つ操作杆18に対して分離可能であって操作杆18に外装され基端側13aに加えられる操作力を操作杆18の先端部18a近傍に直接伝達し得る補助操作杆19とを具備してなる。
具体的には、操作杆18は、第3図及び第8図に示すように、変形自在なガイド用のコイルスプリングからなる先端側のチューブ要素18Aと、基端側のチューブ要素18Bと、両チューブ要素18A、18Bをその間に開口部23を形成するように離間させた位置でこれら両チューブ要素18A、18Bの外周間を連結するチューブ連結要素18Cと、両チューブ要素18A、18B間に亘ってそれらの内部に長手方向移動自在に挿通可能なワイヤ25とからなるものである。両チューブ要素18A、18Bは、固着用紐36、37によってチューブ連結要素18Cに固着してある。勿論、このような紐以外の適宜の手段によってそれらを固定することができる。
そして、ワイヤ25をチューブ要素18A、18Bに対し長手方向に相対移動させて開口部23からその先端25aを露出させ、紐24を人工血管1の前引っ掛け部8に係合させた後に紐24のループ24aをワイヤ25の先端25aに係合させ、再度先端25aを開口部23から先端側のチューブ要素18A内に引き込むことによって、人工血管1を運搬装置13に一体的に搬送可能に係留し得るようにしている。
チューブ連結要素18Cは、両チューブ要素18A、18Bの外周に沿って隣接配置した3本の円柱体によって構成されるもので、3本の円柱体のうち真中に位置する円柱体を両側の円柱体の端部よりも長手方向へ延出する長尺なものにしている。
補助操作杆19は、操作杆18の基端側のチューブ要素18Bの先端部を外嵌し得る位置に配設される金属製のパイプ部材21と、このパイプ部材21に分離可能に連結され基端側13aに加えられる操作力を前記パイプ部材21を介して操作杆18の先端部18a近傍にまで伝達するチューブ22とから構成してある。
具体的には、パイプ部材21は、第4図に断面でも示すように、その内空に基端側のチューブ要素18Bを長手方向に移動可能に挿通していて、その先端21aには基端側のチューブ要素18Bとチューブ連結要素18Cとの連結部18cを外嵌し得る径を有する第3図に示すような大径部21Aを有し、その大径部21Aの基端側に前記チューブ22内に収容される細径な基端部21Bを固着用紐38によって固着してなるものである。この紐も、他の固定手段によって代替することができる
チューブ22は、可撓変形可能な樹脂素材からなり、第4図に断面でも示すように、例えば、チューブ要素18Bの数倍の径を有する大径のもので、その内空にはパイプ部材21の基端部21Bが長手方向に移動可能に挿通していて、その基端近傍にロック機構20が設けてある。
ロック機構20は、第5図(a)に示すように、パイプ部材21の基端部21Bと操作杆18のチューブ要素18Bとを選択的にロックする内ロック要素20aと、パイプ部材21の基端部21Bとチューブ22とを選択的にロックする外ロック要素20bとから成っている。第5図(b)はそれら両ロック要素20a、20bのロック状態を解除した状態を示しているもので、内ロック要素20aは、本体部20aXの両側に拡縮可能な口金部分20aYを備えており、その一方をパイプ部材21の基端部21Bの外周に位置づけ、他方を操作杆18のチューブ要素18Bの外周に位置づけた状態で、それらの口金部分20aYに付帯させた摘み20aZを口金部20aYにねじ込むことによって、その口金部分20aYをパイプ部材21の基端部21B又は操作杆18のチューブ要素18Bにかみつかせてパイプ部材21と操作杆18とを連結できるようにしている。この場合、操作杆18側の摘み20aZを操作することによって、該操作杆18をパイプ部材21に対してフリーとすることができる。また、外ロック要素20bは、上記と同様に摘み20bYによってチューブ要素21の基端部21Bの外周にかみついて固定されるように構成された本体部20bXと、チューブ22の基端に設けたルアーロック部20bZとからなり、本体部20bXの先端側には内周に螺旋溝20bX1を有する受け部20bX2が形成され、対応するルアーロック部20bZの基端側の外周にはその螺旋溝20bX1に選択的に螺合する突起20bZ1が形成されている。そして、これらを螺着することによって、チューブ22とパイプ部材21Bとを連結できるようにしている。また、ルアーロック部20bZの突起20bZ1を螺旋溝20bX1から離脱させてチューブ22をフリーとすれば、パイプ部材21をその位置に残したままでチューブ22のみを前進させることが可能である。
一方、牽引装置14は、第9図に示すように、人工血管1の後引っ掛け部9の数に対応させて紐29の数が2本である点と、補助操作杆を構成要素としていない点を除いては、運搬装置13と同様の構成を有するものである。
具体的には、チューブ26内にワイヤ27を収容したもので、チューブ26に設けた開口部28から一旦引き出したワイヤ27に後端側の後補助リング状線材部7の一部に予め付帯させて設けておいた後引っ掛け部9を係合させ、再度チューブ26内に引き込むことによって、後補助リング状線材部7を係合保持し、人工血管1を前記運搬装置13とは逆方向に牽引することができるものである。
次に、上述した構成の人工血管1を折り畳む手順について説明する。
先ず、ロック機構20をロックして、操作杆18と補助操作杆19、すなわち、操作杆18とパイプ部材21の基端部21B、該基端部21Bとチューブ22とを一体的に搬送可能にした状態で、運搬装置13を人工血管1内に挿入し、4本の紐24をそれぞれ人工血管1の分割点6a、6b、6c、6dと分割点6b、6c、6d、6aの中間位置の4箇所に予め付帯して設けたループをなす前引っ掛け部8に通した後、第6図に示すように、運搬装置13の開口部23から露出させたワイヤ25の先端25aにその紐24のループ24aを順次引っ掛ける。しかる後、ワイヤ25の先端25aを再び操作杆18の先端側のチューブ要素18A内に押し込むことによって、この人工血管1を、第7図に示す6ように、運搬装置13に外嵌した状態で前引っ掛け部8と紐24とを介して運搬装置13に係留させる。この時には、チューブ22の先端22aは、第6図に示すように人工血管1の後端よりも基端側に位置している。これは、人工血管1がその内空にチューブ22を挿通されると、折り畳まれた際に嵩張って、よりコンパクトな折り畳み状態を実現することができないからである。従って、折り畳み状態においてさほどコンパクトさが要求されない場合には、チューブ22をその先端22aがパイプ部材21の大径部21Aに当接する位置にまで進めておいてもよい。このようにすれば、チューブ22と大径部21Aとの連結がより強固となる。
次に、第9図に示すように、運搬装置13と同様に牽引装置14を人工血管1内に挿入し、その状態で2本の紐29をそれぞれ人工血管1の後引っ掛け部9に通して、牽引装置14と人工血管1とを係留する。
しかして、第10図〜第12図に示すように、人工血管1をカートリッジ31内にロート状筒30及びピンセット33を用いて挿入する。図中ではピンセット33を用いて人工血管1をカートリッジ31内に挿入しているが、ピンセットを用いずに使用者が手で人工血管1を適正な形に折り畳んで挿入することも可能である。以下、ピンセット33を用いて挿入する方法を具体的に説明する。
先ず、第10図に示すように、人工血管1の分割点6a、6b、6c、6dのうち軸心を挟んで対向する2点(例えば6a、6c)が前方に向かって山形の頂となるように、すなわち、これらの分割点6a、6cを通る母線に沿ってピンセット33をあてがいながら、人工血管1の先端側をロート状筒30に挿入する。それにつれてピンセット33で摘んだ箇所、すなわち、人工血管1の前補助リング状線材部6の分割点6a、6cが互いに近づくように偏平に潰されながらカートリッジ31内に優先的に押し込められるのに対して、それ以外の分割点6b、6dはロート状筒30の内周のテーパ面に摺接して従動を規制される。そのため、前補助リング状線材部6がカートリッジ31の一端31aの近傍に至ったときに、前方に向かって分割点6a、6cが山形の頂となり、他の分割点6b、6dが谷形の底となって、前補助リング状線材部6が全体として規則正しい波状に折り曲げられる。さらに、他のリング状線材部2、5、5A、6、7も同一位相の波状に折り曲げられる。この時、分割点6a、6b、6c、6dと分割点6b、6c、6d、6aの中間に形成した4箇所の前引っ掛け部8は、前方に向かって山形の頂に位置することになる。このとき、各引っ掛け部8は第10図では図示していないが、第11図及び第12図に示されるように、紐24を介して運搬装置13に係留された状態にある。このとき、必要に応じてカートリッジ31側から別異の紐を導入して人工血管1の前引っ掛け部8に通し、この紐を引っ張ることによって人工血管1をカートリッジ31内に引き込むようにすることも有効である。
次に、上記のように折り畳んだ人工血管1を体内の目的位置、すなわち患部34にまで運搬する。先ず、第14図に示すように、足の付け根Fの股動脈から体内に、基端側にシール機構12aを有してなるカテーテル12を導入するとともに、その先端部を動脈瘤等を惹起している患部34付近に位置づける。そして、第10図に示したカートリッジ31に付帯してあるキャップ31aをカテーテル12に押し込むことにより、該カートリッジ31を前記シール機構12aを介しカテーテル12の基端側に液密に連設して、運搬装置13に対する送り操作を行い、折り畳んだ人工血管1をカートリッジ31からカテーテル12へと移動させ、引き続き更に患部34に向かって押し進める。この間の様子は、前出の文献{PCT/JP96/01347(国際公開番号WO96/36387)}に詳述されている。
このとき、体外に延出している補助操作杆19のチューブ22の基端側を操作して行うことができ、牽引装置14は人工血管1の移動に付帯して追従移動する。この間、運搬装置13の基端13aに設けたロック機構20および牽引装置14の基端14aはシール機構12aを介して体外に延出した位置を保っている。また、ロック機構20を構成する内ロック要素20a及び外ロック要素20bはロック状態とされ、補助操作杆19と操作杆18とは一体的に搬送される。従って、チューブ22の基端側へ加えた操作力はパイプ部材21の基端部21Bを介して操作杆18の先端部18aの近傍に直接伝達される。
これらの作業の随意の時点で、必要であればロック機構20の内ロック要素20aや外ロック要素20bを介して、パイプ部材21と操作杆18、あるいはパイプ部材21とチューブ22とのロックを解除することもできる。すなわち、体内の湾曲した部分を通過させる場合のように、補助操作杆19に可撓性を持たせたい場合には、外ロック要素20bを介してパイプ部材21とチューブ22とのロックを解除し、チューブ22のみを退避させてパイプ部材21のみで運搬操作を行うことも可能である。また、操作杆18に対してパイプ部材21を相対移動させたい場合には、内ロック要素20aを介して両者のロックを解除することも可能である。
人工血管1が目的位置に配設されたなら、第14図〜第15図のように、運搬装置13を介して人工血管1をその位置に保持した状態で、カテーテル12を後退させ、人工血管1をカテーテル12から放出する。この前後において、必要なら牽引装置14を用いて人工血管1を後方へ牽引し、配設位置の調整等をすることもできる。
第16図はこの結果、人工血管1が血管に密着させられた状態を示している。この図でリング状線材部2、3、5、5A、6等が真円に復元していないのは、拍動する血管に従動してリング状線状部2、3、5、5A、6等が若干の拡縮動作を惹起している状態を示しているものである。最後に、運搬装置13の基端側13aにおいてワイヤ25を引き抜き、さらに、牽引装置14の基端側14aのワイヤ27を引き抜くことにより、人工血管1との係合を解除して、運搬装置13及び牽引装置14を最終的に体外に取り出す。これにより、人工血管1の目的部位たる患部34への移植が完了することとなる。
以上のようにして、本実施例は人工血管1の患部34への移植を完了できるわけであり、人工血管1は移植後に復元して患部34における血管の閉塞を防ぐ手段として有効に機能することになる。
人工血管1に、予め第6図に示すように操作杆18及びワイヤ25からなる運搬装置13を分離可能に係合させた状態で付帯させておけば、使用者が都度運搬装置13を人工血管1にセットする手間が省けるので、現場で即座にカテーテル12に挿入して利用に供することができる。
一方、人工血管1の運搬装置13は、操作杆18を補助する補助操作杆19を具備してなるので、操作杆18がフレキシブルであるがゆえに脆弱なものであっても、目的位置に搬送するまでは操作杆18自体の強度に頼らずに補助操作杆19を通じて操作力を操作杆18の先端近傍に直接伝えることができ、操作杆18が運搬途中で折れ曲がってしまう不都合を有効に防止することができる。
また、基端側13aに設けたロック機構20を介して補助操作杆19を操作杆18と共に一体的に搬送可能且つ操作杆18に対して分離可能としているので、補助操作杆19と操作杆18との連結状態を確実なものにすることができ、補助操作杆19が不要になれば基端側13aでの操作を通じ何時でも連結を解除して補助操作杆19を退避させることができる。
一方、補助操作杆19を、操作杆18の先端部18aを外嵌し得る位置に配設されるパイプ部材21と、このパイプ部材21に連設することによって基端側に加えられる操作力をパイプ部材21を介して操作杆18の先端部18a近傍に伝達するチューブ22とから構成してあるので、パイプ部材21を外嵌することによって操作杆18の先端部近くを補強した状態で操作力を伝達することができ、またパイプ部材21に別途チューブ22を連設して操作力をパイプ部材21に伝達するため、強度のあるパイプ部材21をそのまま基端側に引き出す場合に比べて、操作力伝達途中の部位に可撓性のある柔軟なパイプ部材21を採用して体内における引き回しを好適に行うことができる。
また、パイプ部材21を、その先端の大径部21Aと、その大径部21Aの基端側に連設してなり前記チューブ22内に収容される細径な基端部21Bとから構成し、ロック機構20を、パイプ部材21の基端部と操作杆18とを選択的にロックする内ロック要素20aと、パイプ部材21の基端部とチューブ22とを選択的にロックする外ロック要素20bとから構成しているので、補助操作杆19を構成するパイプ部材21、チューブ22双方の操作杆18に対する連結をより確実なものにすることができ、また両ロック要素20a、20bを操作することにより、必要に応じてこれらの解除も容易に行うことができる。
また、パイプ部材21を金属製のものにして、チューブ22を樹脂製のものにしているので、操作杆18と補助操作杆19との連結部の強度を保つことができ、さらに、補助操作杆19の基端側に加えた操作力をより好適に操作杆18の先端近傍にまで伝達することが可能となる。
さらに、補助操作杆19を構成するパイプ部材21を基端側のチューブ要素18Bとチューブ連結要素18Cとの連結部に外嵌しているので、それら基端側のチューブ要素18Bとチューブ連結要素18Cとの連結部の基端側の近傍、例えば第8図における符号Xで示す領域が折れ曲がることを有効に防止することができる。
加えて、上述したように、チューブ連結要素18Cを3本の円柱体から成るものにして、中央の円柱体を他に比べて長尺にしてあるので、両チューブ要素18A、18Bを湾曲させて使用するときに、チューブ連結要素18Cと両チューブ要素18A,18Bの連結部分18cに無理な力がかかることがなく、且つその連結部分18c周辺においてチューブ連結要素18C全体の弾性力が長手方向に滑らかに変化することになり、チューブ要素18A,18B間に自然な湾曲状態を確保することができる。
なお、本発明は、上記実施例のみに限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、種々変形が可能である。
例えば、運搬装置113は、第17図に示すように、操作杆118の基端側のチューブ要素118Bとチューブ連結要素118Cとの連結部に後方に向かって開口するカップ状の円柱体118BBを被せて、この円柱体118BBの内空に補助操作杆119のパイプ部材121の先端部121aが挿入される構成のものであってもよい。
このような構成のものであれば、操作杆118と補助操作杆119との連結部分及びその近傍の強度を円柱体118BBにより補強することが可能となり、上記実施例と同様の作用及び効果が得られる。
加えて、運搬装置213は、第18図に示すように、操作杆218の基端側のチューブ要素218Bとチューブ連結要素218Cとの連結部218cと、補助操作杆219のパイプ部材221の先端221Aとを近接させた構成のものであってもよい。このような構成のものであっても、上記実施例と同様の作用及び効果が得られる。この場合、必ずしもパイプ部材221の先端221Aを大径とする必要はないため、パイプ部材221に特殊なものを用いる必要がなくなる。
勿論、操作杆を補助する補助操作杆は、例えば上記第1実施例ではパイプ部材21とチューブ22とから構成したが、必要に応じてパイプ部材21のみ、或いはチューブ22のみで構成することもできる。チューブ22にはいわゆるバルーンカテーテルと称されるものを使用することも可能である。
さらに、運搬装置は、紐を用いずに操作杆とその内周に挿通されるワイヤのみで構成されたものであってもよい。その場合には、人工血管の前引っ掛け部を大きく形成しておき、その前引っ掛け部をワイヤに係合させればよい。
<第2実施例>
次に、本発明の第2実施例を、第19図〜第29図を参照して説明する。
この実施例を適用する基本的な人工血管1及びその折り畳み方法は、上記実施例と概ね同様のものであるが、カテーテル12への導入から目的位置でのカテーテル12からの放出までの過程を第27図に示すように人工血管1を保持手段11によって折り畳んで保持した状態で行い、放出後にその保持手段11の保持状態を解除するようにしている点で、上記第1実施例と異なる。
以下、その相違部分を中心に説明し、共通部分であって特に説明を要しない部分の説明は適宜省略する。
この保持手段11は、被包材15と、この被包材15を筒状に保持する線状体16とから構成されている。
具体的には、被包材15は、人工血管1を被包するためのもので、縦糸と横糸とを第19図に示すように網目状に編み込んだ伸縮可能なものであり、展開状態で略平面的となるものである。縦糸と横糸の各交点はそれぞれ交叉して編み込まれ、交点間に形成される目が伸縮することによって被包材15全体の縦横方向への伸縮性を実現するものである。
一方、線状体16は、ニッケルチタン合金により作られているフレキシブルなもので、被包材15の縁部同士を第20図に示すように全体が概略筒状となるように重合させ、その重合した縁部15a、15b間を破線状に縫い合わせるように線状体16を挿通することによって、該被包材15を筒状に保持するものである。
そして、この保持手段11の被包材15の内部に、第21図に示すような一端にロート状筒330を有する筒状部材331を用いて、人工血管1を折り畳んで収容する。
すなわち、先ず被包材15を線条体16によって筒状に保持した状態で、第21図に示すように筒状部材331に予め挿入しておいた先端にテーパ面332Aを有するガイド部材332の当該先端側から被包材15を外嵌してゆき、第22図に示すように筒状部材331の外周に被装する。そして、第23図に示すように、ロート状筒330のテーパ面に沿って筒状部材331の一端331a側から人工血管1を折り畳んで挿入する。また、人工血管1を筒状部材331内で移動させるためには、運搬装置13を用いる。
このときにも、第1実施例と同様に、人工血管1の分割点6a、6b、6c、6dのうち軸心を挟んで対向する2点6a、6cが前方に向かって山形の頂となるように、運搬装置13によって人工血管1の先端側を前方に向かって牽引する。しかして、前補助リング状線材部6が前方に向かって分割点6a、6cが山形の頂となり、他の分割点6b、6dが谷形の底となって、全体として規則正しい波状に折り曲げられる。さらに、他のリング状線材部2、5、5A、6、7も同一位相の波状に折り曲げられる。この時、分割点6a、6b、6c、6dと分割点6b、6c、6d、6aの中間に形成した4箇所の前引っ掛け部8は、前方に向かって山形の頂と谷形の底との中間に位置することになる。このようにして、第23図に示すように被包材15の装着位置に対応するカートリッジ331の内周に人工血管1を折り畳んだ状態で装填する。
しかる後、前記カートリッジ331の他端側331bにおいて、第24図中矢印pで示す位置において被包材15と人工血管1の一部とを指で同時に摘むなどして相互に拘束し、その状態でカートリッジ331をそれらの拘束部に対して後退させ、相対的に被包材15及び人工血管1をカートリッジ331から同時に抜き取ることによって、逐次被包材15の内部に人工血管1を装入する。そして、最終的に第25図に示すように完全にカートリッジ331を抜き取ることによって、人工血管1は折り畳んだ状態で被包材15内に収容される。
第26図は、以上のようにして保持手段11により折り畳んだ人工血管1を示している。
次に、上記のように構成される人工血管1を体内の目的位置、すなわち患部34にまで運搬して移植する導入手順について説明する。
先ず、第27図に示すように、例えば、足の付け根Fの股動脈から体内に基端側にシール機構12aを有してなるカテーテル12を導入するとともに、その先端部を動脈瘤等を惹起している患部34付近に位置づける。そして、保持手段11により折り畳んだ人工血管1を運搬装置13及び牽引装置14と共に前記カテーテル12内に導入する。そして、体外に延出している補助操作杆19のチューブ22の基端側を操作して、運搬装置13に対する送り操作を行い、人工血管1を牽引装置14を付帯させたままの状態で目的とする患部34にまで搬送する。この時には、保持手段11の線状体16の一端16a、運搬装置13の基端13aに設けたロック機構20および牽引装置14の基端14aはシール機構12aを介して体外に延出している。
具体的には、第1実施例と同様に、ロック機構20をロックした状態で、運搬装置13によって人工血管1を患部34付近まで運搬する。しかる後、人工血管1をカテーテル12から放出する。この人工血管1は、放出後にも保持手段11によって折り畳み状態を保持されているので、必ずしも所定位置で放出する必要はなく、放出後に、必要に応じ運搬装置13と牽引装置14とを用いて位置調整を行うことができる。
人工血管1が適正な位置に配設されたなら、第28図に示すように、保持手段11の被包材15を保持している線状体16を引き抜く。
具体的には、先ず、線状体16の一端16aを引いて人工血管1に対する被包材15の拘束を解除し、人工血管1の各部位を順次弾性により膨脹させて患部34の血管の内壁に密着する状態にまで復元させる。第29図はこの結果、人工血管1が血管に密着させられた状態を示している。最後に、第1実施例と同様に、運搬装置13のワイヤ25と牽引装置14のワイヤ27とを引き抜くことにより、人工血管1との係合を解除して、運搬装置13及び牽引装置14を最終的に体外に取り出す。これにより、人工血管1の目的部位たる患部34への移植が完了することとなる。解離した被包材15は人工血管1と共にその場に残し、線状体16のみを撤去すればよいが、必要に応じて被包材15を別途捕獲しに行って体外に取り出すこともできる。
詳述したように、上記の方法によれば、人工血管1は移植後に復元して患部34における血管の閉塞を防ぐ手段として有効に機能することになり、第1実施例と同様の効果を奏する。さらに、被包材15によって人工血管1を折り畳んでその状態を保持しているので、人工血管1の運搬途中における変形をより確実に防止することができる。しかも、人工血管1を同じ縛るにしても、このような被包材15を用いて人工血管1全体を包囲するようにすれば、折り畳んだ人工血管1の外表面に局所的に凸が生じにくい。したがって、運搬時の抵抗を極力低減することができ、しかも目的位置たる患部34で被包材15を展開させれば、折り畳んでいる人工血管1の周囲が広く開放されるため、人工血管1の所定形状への復帰動作も速やかに行わせることができる。
また、このように予め保持手段11によって人工血管1を折り畳んでおけば、使用の都度、人工血管1を折り畳む作業が不要になるので、人工血管1のカテーテル12への導入作業を迅速に行うことが可能になる。
さらに、線状体16で縫い合わせることによって被包材15を筒状に保持し、線状体16を引く抜くことによって被包材15を展開し得る方法を採用しているので、被包材15を巻いた状態に容易に保持することができ、その上、手元で長手方向に線状体16を牽引して引く抜くことによって被包材15の保持状態を比較的少ない抵抗で直接的に解除することができる。さらに、遠隔位置からでもかかる解除操作を確実に行うことができる。
なお、本発明は上述した実施例のみに限定されるものではない。
例えば、人工血管1を折り畳んだ状態に保持する保持手段411は、第30および31図に示すようなものであってもよい。すなわち、人工血管1の各々のリング状線材部2、3、5A、5が取り付けられている位置において、それらのリング状線材部2、3、5A、5に一対の折り畳み用の紐416aを取り付ける。具体的に端部中間リング状線材部5Aに代表してこれを説明すると、先ず紐416aの中央部を手術用の針等に引掛けて折り返した状態に保持し、その状態で針等を使いながらその紐416を第31図に示すように端部中間リング状線材部5Aに対して右回りに間欠的に縫い付けて縫い始めの位置から略背面位置にまで巻き回す。同様にして、もう1本の紐416bを今度は前記紐416aの逢着位置とは対称な位置に左回りに縫い付ける。次に、先に縫い付けた一対の紐416a、416bの先端ループ部分416aa、416bbを重合させてその部位に保持杆417を通し、しかる後、紐416a、416bの基端を表装材4の背面側において互いに縛りつける。このとき、必要に応じ指先等で折り曲げを補助して、端部中間リング状線材部5Aにおける分割点6a、6cに対応する位置が前方に向かって山形の頂となるように変形させて、全体を波形に折り畳む。このような作業を各リング状線材部2、3、5全てに対して行う。その結果が第30図に示した状態である。この変形例における保持杆417は、チューブ417aの内周にワイヤ417bを挿通した構成からなるものであり、人工血管1を折り畳んだ状態に保持した後、チューブ417aを引き抜いてワイヤ417bのみを残す。このようにして折り畳んだ人工血管1は、第1の実施例と同様にカテーテルを介して患部34近傍まで運搬し、保持杆417のワイヤ417bを引き抜くことによって折り畳みが解除されて復元する。
このような構成の保持手段411であっても、前記第2実施例と同様の効果を奏する。この紐には、1本の連続したものを用いることもできる。この場合には、人工血管に沿ってワイヤを配設し、一端を人工血管の適宜部位に固定した紐を右回り、左回りに順次前記ワイヤに巻き掛けて、その紐の終端に形成したループなどをワイヤに挿通しておく。このようにしても、ワイヤを引き抜くことによって、紐による人工血管の拘束を遠隔から解除することができる。
或いは、上記の保持手段11、411を用いる代わりに、人工血管を予めパイプ等に折り畳んで収容した状態にしておき、カテーテルに導入する際にその保持が解除されるようなものであっても、取扱いの便を十分に向上させることができる。
<第3実施例>
次に、本発明の第3実施例を、第32図〜第34図を参照して説明する。
この実施例は、人工血管301の形状及び運搬装置313を構成する操作杆318と補助操作杆319の形状が、上記第1及び第2実施例と異なる以外は、上記第1及び第2実施例と概ね同様のものである。
以下、その相違部分を中心に説明し、共通部分であって特に説明を要しない部分の説明は適宜省略する。
この運搬装置313は、例えば、第33図に模式的に示すような弓部動脈や腕頭動脈等の湾曲してかつ枝別れしている形状の患部334に人工血管301を運搬する際に用いるものである。
操作杆318及び補助操作杆319は、湾曲可能な弾性を有する素材から構成したチューブ状のものである。操作杆318は、第33〜34図に示すように、その先端側、すなわち、人工血管301を外装している部分に外力を加えない状態で湾曲形状をなす湾曲部318aを有していて、その湾曲の度合いは、移植しようとする患部334の湾曲形状に略合致させてある。補助操作杆319は、その先端側が外力を加えない状態で略直線形状をなしているものである。そして、操作杆318の外側に、補助操作杆319を先端側が出し入れ可能となるように被せて構成している。
この運搬装置313を適用する人工血管301は、上記第1、第2実施例と同様に、折り畳まれた状態で運搬されるものであり、患部334で復元した際に湾曲形状をなすもので、その湾曲の度合いは、患部の湾曲形状に略合致させてある。このものは、復元した際に小湾側301aに位置する部位に人工血管301の本体の収縮を促す弾性体351が設けてあり、さらに、第34図に示すように、復元した際に大湾側301bに位置する部位に患部334の大湾側に存在する分岐血管と略同形状の枝350を備えている。
このような構成の操作杆318であれば、第32図に示すように、補助操作杆319の先端側に操作杆318を収容すると、第1、第2実施例と同様の略直線状態になり、補助操作杆319を把持して操作することにより、人工血管301の体内での運搬を第1、第2実施例と全く同様に容易に行うことができる。このように、補助操作杆319を操作杆318に外装させた状態、すなわち、第32図に示すように、補助操作杆319及び操作杆318が略直線形状の状態で折り畳んだ人工血管301を目的位置である患部334の手前まで運搬する。その後、第33図に示すように、補助操作杆319を後方に待機させた状態で、折り畳んだ人工血管301を係留している操作杆318を前進させると、補助操作杆319の内空に収められていた湾曲部318aは補助操作杆319による支持が解除されて湾曲した形状に戻る。従って、操作杆318に外装している人工血管301も湾曲部318aに沿って配置されることになり、湾曲している患部334への移植をより好適に行うことが可能となる。この時に、人工血管301の枝350は、キャッチャー等を用いて適正な分岐血管に引き入れる。
以上のようにして、本実施例の運搬装置313は、操作杆318の先端側を補助操作杆319の先端側に収容している状態では、操作杆318は、補助操作杆319の形状である略直線形状に矯正されるが、操作杆318の先端側を補助操作杆319の先端側から前方へ突出させた際には、操作杆318は補助操作杆319による拘束を解除されて、本来与えられている湾曲形状を取り戻す。従って、操作杆318を、人工血管301を目的箇所である患部334に定着させるに適した形状とする一方、操作杆318のそのような形状が体内における導入路を引き回すには適さないものである場合に、補助操作杆319をその導入路の通過に適した略直線形状としてこの補助操作杆319の内部に操作杆318を一時的に収容しておくことによって、その患部334に至る導入路における操作杆318の運搬を適切なものにすることができる。
また、操作杆318を補助操作杆319の内部に収容している状態では、操作杆318は補助操作杆319に矯正されて外力が加えられない限り略直線形状を保持するため、湾曲特性が特定方向へ偏る事を防いで導入路が不特定の方向へ湾曲していても好適に対応できるのに対して、操作杆318を補助操作杆319の外へ送り出した時には、操作杆318は本来与えられている湾曲形状を取り戻す。このため、その湾曲度合いを、予め配設すべき患部334の湾曲度合いに対応させておけば、患部334の手前からこの操作杆318のみを前進させることによって、人工血管301を患部334に好適に送り込むことができる。
さらに、人工血管301が、患部334で復元した際に湾曲形状をなすものであり、操作杆318をその湾曲形状に略合致した湾曲形状のものにしてあり、さらに操作杆318の湾曲形状と、人工血管301の湾曲形状とを、共に予め移植しようとする患部334の湾曲形状に略合致させてあるので、患部334の手前から操作杆318を送り出した後、患部334への人工血管301の定着までを互いに干渉させることなく極めてスムーズに行わせることができる。
加えて、人工血管301は折り畳まれた状態で運搬されるものであるが、復元した際に、小湾側301aに位置する部位に人工血管301本体の収縮を促す弾性体351を設けている。このため、人工血管301は、折り畳んだ際には弾性体351による影響力を無くして、カテーテルの内部に好適に収容することができ、かつカテーテルが体内の導入路を通過する際の湾曲にも追従動作させ易くなる上に、カテーテル内から送り出した後は弾性体351の働きによって所定の湾曲形状に復元し得るので、人工血管301をこのような形態のものにすることによって、これを取り扱う本実施例の運搬装置313の機能と相まって、移植箇所への人工血管301の定着を極めて的確ならしめることができる。
その上、人工血管301が、復元した際に大湾側301bに位置する部位に枝350を備えているので、体内の湾曲した患部334に人工血管301を配置する場合に、操作杆318を使ってその患部334に人工血管301を送り込むと、必ず枝350が所定の方向を向くことになる。このため、導入後に枝350が異なる方向を向いたために始めからやり直さなければならないといった失敗を起こり難くすることができる。
なお、操作杆318や補助操作杆319の形状は、上記実施例に限定されるものではなく、例えば、第36〜37図に模式的に示すように、操作杆418の先端側が外力を加えない状態で略直線形状をなし、補助操作杆419の先端側が外力を加えない状態で湾曲形状をなすものであってもよい。
このような構成のものであれば、上記第3実施例と同様の効果を奏し、さらに、第35図に示すように、操作杆418を補助操作杆419の内部に収容している状態では、操作杆418は補助操作杆419に矯正されて外力が加えられない限り湾曲形状を保持するため、患部434までの導入路が湾曲している場合にその湾曲度に上記湾曲形状を合致させておけば、導入を好適に行うことができる上に、第36〜37図に示すように、操作杆418を補助操作杆419の外へ送り出したときには、操作杆418は本来与えられている略直線形状を取り戻す。このため第35〜37図に示すように、患部434の手前が湾曲し、患部434自体は直線形状をなしているような場合に、患部434の手前から操作杆418のみを前進させることによって、人工血管を患部に好適に送り込んで定着させることができる。
また、第38図に示すように、操作杆518及び補助操作杆519の各先端側が、共に外力を加えない状態で湾曲形状をなすものであってもよい。
このような構成のものであっても、第3実施例及び前述した変形例と同様の効果を奏する。さらに、このものは、患部に至る導入路が湾曲し、患部自体もやはり湾曲しているものの、患部の湾曲度合いやその湾曲方向が導入路のそれとは異なるような場合に適用して有用なものとなる。
また、人工血管は、単一の前リング状線材部に、2つの後リング状線材部が並列に対向配置されており、表装材が二股状に分岐して前リング状線材部と後リング状線材部との間をY形に連結しているものであってもよい。
上記実施例で用いた運搬装置13、113、213、313は、人工血管1、301以外の様々な器具、例えば心臓の孔を塞ぐためのパッチ等を牽引して体内に導入する場合に適用できるものである。
産業上の利用可能性
以上のように、本発明に係る移植用器具の運搬装置は、人工血管を始めとして種々の器具を牽引して体内で運搬するのに好適に利用できるものである。
【図面の簡単な説明】
第1図は、本発明の第1実施例が適用される人工血管を示す斜視図である。第2図は、同人工血管の部分縦断面図である。第3図は、同実施例の運搬装置の一部を分解して示す斜視図である。第4図は、第3図におけるA−A線端面図である。第5図(a)、(b)は、同運搬装置を模式的に示す斜視図である。第6図は、同運搬装置と同人工血管とを模式的に示す斜視図である。第7図は、同運搬装置の一部を拡大して示す斜視図である。第8図は、同運搬装置を模式的に示す図である。第9図は、同実施例で用いる牽引装置を模式的に示す図である。第10図は、同実施例で人工血管をピンセットを用いてカテーテル内に導入する手順を示す斜視図である。第11図は、同実施例で同人工血管をピンセットを用いてロート状筒内に導入する手法を示す斜視図である。第12図は、同実施例で同人工血管全体がロート状筒内で折れ曲がっていく様子を示す説明図である。第13図は、同実施例で各リング状線材部が折れ曲がった状態を示す模式図である。第14図は、同人工血管を目的部位に移植する際の手順を説明する図である。第15図は、同人工血管を目的部位に移植する際の手順を説明する図である。第16図は、同人工血管を目的部位に移植する際の手順を説明する図である。第17図は、運搬装置の変形例を示す斜視図である。第18図は、運搬装置の他の変形例を示す斜視図である。第19図は、本発明の第2実施例で用いる保持手段を展開状態で示す斜視図である。第20図は、同保持手段を使用前の状態において示す斜視図である。第21図は、同実施例が適用される人工血管を折り畳む手順を説明する図である。第22図は、同人工血管を折り畳む手順を説明する図である。第23図は、同人工血管を折り畳む手順を説明する図である。第24図は、同人工血管を折り畳む手順を説明する図である。第25図は、同人工血管を折り畳む手順を説明する図である。第26図は、同人工血管を折り畳んで保持手段により保持した状態を示す斜視図である。第27図は、同人工血管を目的部位に移植する際の手順を説明する図である。第28図は、同人工血管を目的部位に移植する際の手順を説明する図である。第29図は、同人工血管を目的部位に移植する際の手順を説明する図である。第30図は、同保持手段の変形例を示す斜視図である。第31図は、同変形例の人工血管を予め紐を用いて折り畳む手順を示す斜視図である。第32図は、本発明の第3実施例の運搬装置を示す模式図である。第33図は、同運搬装置の作用説明図である。第34図は、同運搬装置の作用説明図である。第35図は、運搬装置の変形例を示す模式図である。第36図は、同運搬装置の作用説明図である。第37図は、同運搬装置の作用説明図である。第38図は、運搬装置の他の変形例を示す模式図である。

Claims (17)

  1. 移植用器具と共に一体的に搬送可能且つ移植用器具に対して分離可能な操作杆を具備してなる移植用器具の運搬装置であって、前記操作杆の基端から該操作杆の先端近傍までの部位に外装され操作杆と共に一体的に搬送可能な状態で基端側に加えられる移植用器具を患部に向かい押し進める方向の操作力を操作杆の先端部に直接伝達し得る補助操作杆をさらに備えていることを特徴とする移植用器具の運搬装置。
  2. 前記補助操作杆を前記操作杆と共に一体的に搬送可能なロック状態と、前記補助操作杆を操作杆に対して分離する状態とをとり得るロック機構を、基端側に設けているものであって、前記ロック機構が、前記補助操作杆及び前記操作杆にかみつかせることによりこれら補助操作杆及び操作杆を連結可能であり、また、ロック機構を前記補助操作杆及び前記操作杆にかみつかせた状態を解除することにより前記補助操作杆を操作杆に対して分離可能であることを特徴とする請求の範囲第1項記載の移植用器具の運搬装置。
  3. 補助操作杆を、操作杆の先端部近くを外嵌し得る位置に配設されるパイプ部材と、このパイプ部材に連設され基端側に加えられる操作力を前記パイプ部材を介して操作杆の先端部近くに伝達するチューブとから構成してなることを特徴とする請求の範囲第1又は2項記載の移植用器具の運搬装置。
  4. パイプ部材を、大径な先端部と、その基端部に連設してなり前記チューブ内に収容される細径な基端部とから構成してなることを特徴とする請求の範囲第3項記載の移植用器具の運搬装置。
  5. 前記補助操作杆を前記操作杆と共に一体的に搬送可能なロック状態と、前記補助操作杆を操作杆に対して分離する状態とをとり得るロック機構を、基端側に設けているものであって、前記ロック機構が、前記補助操作杆及び前記操作杆にかみつかせることによりこれら補助操作杆及び操作杆を連結可能であり、また、ロック機構を前記補助操作杆及び前記操作杆にかみつかせた状態を解除することにより前記補助操作杆を操作杆に対して分離可能であるとともに前記ロック機構を、パイプ部材の基端部と操作杆とを選択的にロックする内ロック要素と、パイプ部材の基端部とチューブとを選択的にロックする外ロック要素とから構成していることを特徴とする請求の範囲第3又は4項記載の移植用器具の運搬装置。
  6. パイプ部材が金属製のものであり、チューブが樹脂製のものであることを特徴とする請求の範囲第3、4又は5項記載の移植用器具の運搬装置。
  7. 操作杆が、2つの互いに分断された対をなすチューブ要素と、両チューブ要素間に開口部を形成した状態でこれら両チューブ要素間を連結するチューブ連結要素と、両チューブ要素間に亘って挿通可能なワイヤとを具備し、このワイヤをチューブ要素に対して相対移動して開口部から露出させ、前記ワイヤ、又は開口部の近傍に両端部を固着し中間にループを形成した紐を移植用器具に形成した前引っ掛け部に係合させた後に再度先端を開口部に没入させることによって移植用器具をワイヤとチューブ要素の間に一体的に搬送可能に係留するものであって、
    補助操作杆の先端部に、前方に向かって開口するカップ状の空間を形成しておき、この先端部を基端側のチューブ要素とチューブ連結要素との連結部に外嵌していることを特徴とする請求の範囲第1、2、3、4、5又は6項記載の移植用器具の運搬装置。
  8. 操作杆が、2つの互いに分断された対をなすチューブ要素と、両チューブ要素間に開口部を形成した状態でこれら両チューブ要素間を連結するチューブ連結要素と、両チューブ要素間に亘って挿通可能なワイヤとを具備し、このワイヤをチューブ要素に対して相対移動して開口部から露出させ、前記ワイヤ、又は開口部の近傍に両端部を固着し中間にループを形成した紐を移植用器具に形成した前引っ掛け部に係合させた後に再度先端を開口部に没入させることによって移植用器具をワイヤとチューブ要素の間に一体的に搬送可能に係留するものであって、
    基端側のチューブ要素とチューブ連結要素との連結部に、後方に向かって開口するカップ状の空間を形成しておき、この連結部内に補助操作杆の先端部を挿入していることを特徴とする請求の範囲第1、2、3、4、5又は6項記載の移植用器具の運搬装置。
  9. 操作杆が、2つの互いに分断された対をなすチューブ要素と、両チューブ要素間に開口部を形成した状態でこれら両チューブ要素間を連結するチューブ連結要素と、両チューブ要素間に亘って挿通可能なワイヤとを具備し、このワイヤをチューブ要素に対して相対移動して開口部から露出させ、前記ワイヤ、又は開口部の近傍に両端部を固着し中間にループを形成した紐を移植用器具に形成した前引っ掛け部に係合させた後に再度先端を開口部に没入させることによって移植用器具をワイヤとチューブ要素の間に一体的に搬送可能に係留するものであって、
    補助操作杆の先端部を、基端側のチューブ要素とチューブ連結要素との連結部の後端部とほぼ同径にしておき、その後端部に対して、補助操作杆の先端部を近接もしくは当接していることを特徴とする請求の範囲第1、2、3、4、5又は6項記載の移植用器具の運搬装置。
  10. 記操作杆及び補助操作杆を湾曲可能な弾性を有する素材から構成し、且つこれら操作杆又は補助操作杆の少なくとも一方の先端側を、外力を加えない状態で所定形状をなすものにして、操作杆の外側に補助操作杆を先端側が出し入れ可能となるように被せて構成していることを特徴とする請求の範囲第1、2、3、4、5、6、7、8又は9項記載の移植用器具の運搬装置。
  11. 操作杆の先端側が外力を加えない状態で湾曲形状をなし、補助操作杆の先端側が外力を加えない状態で略直線形状をなすことを特徴とする請求の範囲第10項記載の移植用器具の運搬装置。
  12. 操作杆の先端側が外力を加えない状態で略直線形状をなし、補助操作杆の先端側が外力を加えない状態で湾曲形状をなすことを特徴とする請求の範囲第10項記載の移植用器具の運搬装置。
  13. 操作杆及び補助操作杆の各先端側が、ともに外力を加えない状態で湾曲形状をなすことを特徴とする請求の範囲第10項記載の移植用器具の運搬装置。
  14. 移植用器具が、所定位置で復元した際に湾曲形状をなすものであり、操作杆をその湾曲形状に略合致した湾曲形状のものにしていることを特徴とする請求の範囲第11又は13項記載の移植用器具の運搬装置。
  15. 移植用器具が、折り畳まれた状態で運搬されるものであり、復元した際に小湾側に位置する部位に器具本体の収縮を促す弾性体を設けていることを特徴とする請求の範囲第14項記載の移植用器具の運搬装置。
  16. 移植用器具が、復元した際に大湾側に位置する部位に枝を備えていることを特徴とする請求の範囲第14又は15項記載の移植用器具の運搬装置。
  17. 移植用器具が人工血管であることを特徴とする請求の範囲第1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15又は16項記載の移植用器具の運搬装置。
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