JP3486143B2 - 移植用器具 - Google Patents

移植用器具

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JP3486143B2 JP30310299A JP30310299A JP3486143B2 JP 3486143 B2 JP3486143 B2 JP 3486143B2 JP 30310299 A JP30310299 A JP 30310299A JP 30310299 A JP30310299 A JP 30310299A JP 3486143 B2 JP3486143 B2 JP 3486143B2
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  • Media Introduction/Drainage Providing Device (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、医療機器分野に属
する移植用器具(本明細書及び請求の範囲において、弾
性復元力を有する折り曲げ自在な人体の器官に挿入する
器具を「移植用器具」と略称する。)に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】移植用器具として、例えば人工血管があ
る。現在、例えば、大動脈瘤の治療に当たっては、人工
血管を移植することにより行われているのが現状であ
る。つまり、手術により大動脈瘤に侵されている血管部
分を切断除去し、この切断除去した部分に人工血管を縫
合等の手術により接続して移植を行っていた。
【0003】ところで、大動脈瘤の治療に当たり、上記
のように手術により人工血管を移植する方法は危険率が
高いという問題がある。特に破裂に対する緊急手術は、
その救命率が落ちるものであり、また、解離性動脈瘤は
手術が難しくて死亡率が高いという問題がある。そこ
で、手術をすることなく治療を行うために、カテーテル
内に人工血管等の器具を折り畳んだ状態で入れて血管の
患部やあるいはその他の人体の器官の狭窄部等の目的位
置に運び、その位置で放出することで器具を確実に復元
させて移植する手法が考えられている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、このような
人工血管等は、カテーテルに小さく折り畳んで挿入でき
る程度の柔軟性が望まれ、また目的位置で放出した際に
潰れない程度の自立性が要求され、更に内部を流通する
血液等が外部に漏出しない程度の液密性が要求される。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記の要求に
応えるために、次のような構成を採用したものである。
すなわち、本発明の移植用器具は、間欠位置に配置した
複数の折り曲げ自在な弾性を有するリング状線材部の間
をフレキシブルで且つ張りのあるシートにより形成した
筒状の表装材によって連結したものであって、表装材
が、器具の軸心方向に沿った縦糸と器具の円周方向に沿
った横糸とを編み込んだものであり、その縦糸に保形性
を有したポリエステル製のモノフィラメントを使用し、
横糸に防水性を有したポリエステル製のマルチフィラメ
ントを使用していることを特徴とする。
【0006】このような構成のものであれば、器具全体
がフレキシブルになるとともに、縦糸によって表装材に
軸方向の張りと保形性が与えられ、横糸によって表装材
の目が緻密化されて防水性が高められるので、器具を小
さく折り畳むことができ、また目的位置で放出した際に
も復元性に優れ、更に血液等の漏れも確実に防止するこ
とができる。
【0007】特に、表装材のシートを蛇腹状に成形して
おけば、器具全体が一層無理なく屈曲するため、湾曲し
た器官内への器具の移植状態等もより良好なものとな
る。また、縦糸には保形性を有したポリエステル製のモ
ノフィラメントが使用してあるため、この縦糸に沿って
器具に蛇腹形状を付与しておけば、蛇腹形状が長期に亘
って効果的に維持され、また器具が元の形状に復元しよ
うとする際に蛇腹自体の復帰動作によりこれを有効に助
勢することができる。
【0008】好ましい実施の態様としては、表装材に防
水用のコーティングが施されているものが挙げられる。
また、モノフィラメントを15デニール程度としておけ
ば、十分な強度を確保することができ、同時に器具全体
の薄肉化にも寄与することができる。一方、マルチフィ
ラメントを50デニール程度としておけば、嵩張らない
範囲で十分な漏れ防止効果を得ることができる。
【0009】移植用器具の具体的な実施の態様として
は、リング状線材部が、互いに分割された位置に一対に
配設されその間を表装材によって連結された前後リング
状線材部と、両リング状線材部の間に位置し円周上の適
宜箇所を縫着や接着等により前記表装材に固着させてな
る中間リング状線材部とから構成されているものが挙げ
られる。
【0010】
【実施例】以下、本発明を、添付図面に示す実施例に基
づいて詳述する。この実施例の移植用器具たる人工血管
Aは、図1に示すように、表装材7と、リング状線材部
101 、102と、中間リング状線材部12とから構成
されている。
【0011】表装材7は、図2に示すように、フレキシ
ブルで且つ張りのあるシートをジャバラ状の筒に成形し
てなるもので、内径が配設先の血管の正常な流路断面積
に略対応させられている。この表装材7のシートは、例
えば人工血管Aの軸心方向に延びる縦糸と人工血管Aの
円周方向に延びる横糸とを編み込んだものであり、その
縦糸にポリエステル製のモノフィラメント(15デニー
ル程度のもの)を使用し、横糸に超極細線をより合わせ
たマルチフィラメント(50デニール程度のもの)を使
用している。また、その表装材7には、必要に応じて血
液の漏洩を防止するための防水用のコーティング(コラ
ーゲンやアルブミン等)が施されている。
【0012】リング状線材部101 、102 は、軸方向
に互いに分割して対面配置されてなるもので、内径が前
記表装材7の内径に略対応させられており、図2に示す
ように表装材7の一端または他端にそれぞれ縫着や接着
等により固着されている。また、これらのリング状線材
部101 、102 には、外縁に沿って保護部材である環
状のモール材10aが周回配置され、その適宜箇所が縫
着や接着等により該リング状線材部101 、102 に密
接に固着されている。
【0013】中間リング状線材部12は、図1および図
2に示すように、1本又は2本のリング状線材12aを
布等の保護膜12bにより被包した構成からなるもの
で、表装材7の外周において両リング状線材部101
102 間を長手方向に等分割する位置に配置され、その
円周上の適宜箇所を縫着や接着等により表装材7に固着
されている。そして、前述した両端のリング状線材部1
1 、102 とともにこれらの中間リング状線材部12
によっても表装材7全体に筒状の保形力を付与してい
る。また、これらの中間リング状線材部12のうちリン
グ状線材12aを一対に被包してなるものにおいては、
その円周上の2箇所に人体の器官に突き刺さり植設され
る針状体12a1 がそれぞれ形成してある。具体的に
は、これらの中間リング状線材部12の線材12aは、
リング状線材101 、102 とともに、チタンニッケル
合金針等が使用されており、この種の素材は、弾性復元
力に優れるが溶接が難しいという難点を有している。そ
こで、このような事情に鑑みて線材12aをリング状に
湾曲させて両端近傍部を交叉させ、その交叉部を紐等で
縛って固着するとともに、その交叉部から端部までの部
分を折り曲げることにより前記針状体12a1 を形成
している。そして、それらの針状体12a1 を180
°反転させて配置し、線材12aの束の外面を保護膜1
2bで被包した後、前記針状体12a1 をその保護膜
12bを貫通して外部に表出させている。
【0014】ここにおいて、図1に示すように、先にカ
テーテル8内に導入される前側のリング状線材部101
の円周上を2等分して各点を本発明の分割点411 、4
1として定めるとともに、両分割点411 、431
間に本発明の中間点421 、441 を定める。また、後
側のリング状線材部102 上の同一位相位置にも分割点
対応部412 、432 および中間点対応部422 、44
2 を定め、さらに中間リング状線材部12上の同一位相
位置にも分割点対応部413 、433 および中間点対応
部423 、443 を定める。そして、図1に示すよう
に、その前リング状線材部101 の分割点411 、43
1 に中心が来るようにして糸などによりループ状の引っ
掛け部13を一対に形成しておく。なお、両リング状線
材部101、102 間には、人工血管A全体が軸方向に
必要以上に伸長することを防止するための規制紐14が
架橋してある。
【0015】しかして、上記の構成からなる人工血管A
を人体の目的器官に移植するためには、人工血管Aをカ
テーテル8内に沿って人体の目的器官にまで移送するた
めの人工血管移送装置B(図3参照)と、カテーテル8
内に人工血管Aを導入するための人工血管導入装置C
(図4参照)とが用いられる。人工血管移送装置Bは、
図3に示すように、金属製であって変形性を有し先端に
ガイド用のコイルスプリング2aが連設されたチューブ
2と、このチューブ2の前端部付近に設けた側面窓部1
と、その側面窓部1の近傍に両端部を固着し中間にルー
プ4aを形成した一対の紐4と、チューブ2内に移動自
在に挿入されるワイヤー3とで構成してある。
【0016】人工血管導入装置Cは、図4に示すよう
に、カテーテル8の挿入端8aに一体に連設された装着
部5と、この装着部5に対して着脱自在なカートリッジ
6とを具備してなる。装着部5は、図4および図5に示
すように、内周に雌ねじを刻設された第1、第2の環状
部材51、52と、両端に前記両雌ねじに螺合する雄ね
じを突設されそれらの環状部材51、52の間を連結す
る第3の環状部材53と、前記第1の環状部材51の内
周をカテーテル8の挿入端8aの内周に液密に接続する
ストロー部材54とを具備してなる。第2の環状部材5
2の内周には、その開口端を閉塞する弾性膜製の逆止弁
55が装着されている。また、カートリッジ6も略同様
の構成からなるもので、図4および図6に示すように、
内周に雌ねじを刻設された第1、第2の環状部材61、
62と、両端に前記両雌ねじに螺合する雄ねじを突設さ
れそれらの環状部材61、62の間を連結する第3の環
状部材63と、前記第1の環状部材61から挿入方向に
突設されるストロー部材64とを具備してなる。第2の
環状部材62の内周には、その開口端を閉塞する弾性膜
製の逆止弁65が装着されている。
【0017】そして、図4に示すように、このカートリ
ッジ6のストロー部材64の先端6aを前記カテーテル
8の挿入端8aに連設した装着部5に後端5a側から着
脱自在に嵌め込んで接続することができるようにしてい
る。すなわち、図4〜図6に示すように、装着部5側の
ストロー部材54の内径d1はカートリッジ6側のスト
ロー部材64の内径d2よりも若干大径なものにしてあ
り、且つ、カートリッジ6のストロー部材64の先端表
出部の長さL2は装着部5全体の長さL1と略等しい長さ
に設定してある。また、カートリッジ6のストロー部材
64の内径d2とカテーテル8の挿入端8aの内径d3
は略等しくしてある。そして、カートリッジ6を装着部
5にある限度まで差し込んだとき、ストロー部材64が
ストロー部材54の内周に挿入され、その先端6aの内
径d2をカテーテル8の挿入端8aの内径d3に滑らかに
連続させ得るようにしている。なお、前記逆止弁55、
65は弾性膜製のものであって、図示しない孔が穿孔さ
れており、通常はこの孔が閉塞しているものである。
【0018】また、人工血管Aの折り曲げを補助するも
のとして、図4に示すような案内筒たるロート状筒18
が用意されている。このロート状筒18は、後端部が筒
状の人工血管Aを挿入するための大径入口18aをな
し、この大径入口18a側から次第に径が絞られて前端
部に小径な筒状接続部18bが形成されたもので、内面
がテーパ面18dをなしている。そして、このロート状
筒18の前端側の接続部18bをカートリッジ6の後端
部6bに着脱自在に嵌め込んで接続することができるよ
うにしている。なお、このロート状筒18のテーパ面1
8dにおける特定の母線(直線が移動する事によって筒
を形成するときのその直線)上には、後端部から前端部
に向けて間欠的に弾性変形可能な突起18cが突設して
ある。この突起18cは、ロート状筒18内のテーパ面
18dに沿って人工血管Aが通過するとき、その人工血
管Aに押圧されて弾性変形し、その弾性反力を人工血管
Aに付与して該人工血管Aを収縮させる役割をなすもの
である。
【0019】この突起18cを簡単に形成するために、
図4に示すように、ロート状筒18のテーパ面18dの
複数箇所に各一対の孔18eを穿孔しておき、針金18
fを一方の孔18eより挿入し他方の孔18eから引き
出してテーパ面18dの内側にループ状の突起18cを
起立させ、その針金18fの適宜箇所を紐18gで縛っ
ている。
【0020】次に、上記のように構成される人工血管移
送装置Bおよび人工血管導入装置Cを用いて、人工血管
Aを折り曲げ、人体の器官の一部である血管9の目的位
置(患部26)に移植する手順について説明する。先
ず、人工血管Aを図7のようにチューブ2に外嵌し、そ
の状態で図8のように一対の紐4を人工血管Aの引っ掛
け部13に通し、これらの紐4のループ4aを重合させ
る。次に、図9のように一旦側面窓部1から出したワイ
ヤー3にそのループ4aの重合部分を引っ掛け、さらに
図10のように再びワイヤー3を側面窓部1からチュー
ブ2内に押し込んでチューブ2及びワイヤー3に紐4を
介して人工血管Aを保持させる。そして、この人工血管
Aを図4に示したカートリッジ6内にロート状筒18を
用いて挿入する。具体的には、図11に示すように、人
工血管Aの前リング状線材部101 の分割点411 、4
1 に形成した引っ掛け部13に共通の前引っ張り用紐
20を通した状態で、中間点421 、441 を前述した
ロート状筒18の母線上に位置づける。この段階で、必
要であれば図12に示すバルーンカテーテル23を用い
る。このバルーンカテーテル23は、パイプ部23a
と、このパイプ部23aの先端に形成されたバルーン部
23bと、前記パイプ部23aの基端側に設けられ該パ
イプ部23a内を通じて前記バルーン部23bに空気等
を導出入するための給排口23cとからなっている。そ
して、そのパイプ部23a内に前記人工血管移送装置B
のチューブ2を遊嵌している。すなわち、人工血管移送
装置Bはその基端側をバルーンカテーテル23の基端か
ら外部に引き出してあるとともに、先端側を前記バルー
ンカテーテル23のバルーン部23bを貫通して外部に
延出させてあり、その貫通部が気密に封着されている。
パイプ部23aの基端と人工血管移送装置Bのチューブ
2との間は締め付け具24において着脱自在とされ、締
め付け具24を締め付けたときにバルーンカテーテル2
3と人工血管移送装置Bのチューブ2とを連結して長手
方向に一体移動可能とし、締め付け具24の締め付けを
解除したときにバルーンカテーテル23を人工血管移送
装置Bのチューブ2に対して長手方向に相対移動させ得
るようになっている。そして、このバルーンカテーテル
23を、先端がチューブ2に遊嵌した人工血管Aの後端
から略2〜3cm離れた位置に位置させ、この状態でバル
ーンカテーテル23の締め付け具24を締め付けてバル
ーンカテーテル23をチューブ2と一体に動くようにセ
ットする。
【0021】一方、上記と前後して、図13に示すよう
にロート状筒18をカートリッジ6に装着しておく。装
着に際して、ロート状筒18の接続部18bをカートリ
ッジ6の環状部材62内に挿入すると、その環状部材6
2に内設してある弾性膜である逆止弁65がロート状筒
18の接続部18bによって押し開かれ、接続部18b
はそのカートリッジ6のストロー部64内に若干入り込
んだ位置に配設される。そして、ロート状筒18の後端
部18aより前引っ張り用紐20を挿入してカートリッ
ジ6の先端のストロー部64から前方に導出するととも
に、チューブ2を一定程度ロート状筒18内に挿入す
る。この状態で前引っ張り用紐20を前方に引き、人工
血管Aをロート状筒18の大径な入口18aから該ロー
ト状筒18内に導入する。
【0022】ここで、前引っ張り用紐20を引くと、図
14に示すように、人工血管Aの前リング状線材部10
1 の分割点411 、431 が前引っ張り用紐20で引か
れ、且つ、中間点421 、441 がテーパ面18dの母
線上に設けた突起18cに係接するため、前リング状線
材部101 は図15に示すように中間点421 、44 1
を足場にして分割点411 、431 同士が近づくように
偏平に潰されるとともに、それらの分割点411 、43
1 が先に引かれるため中間点421 、441 が突起18
cに制限されて後方に位置することになり、且つそれら
の中間点421、441 同士が突起18cの弾性反力に
よって互いに近付く方向に付勢され、図16のように偏
平に潰されていく。つまり、前リング状線材部101
図14の状態から、図15の状態に変形し、更に、図1
6の状態に変形して、引っ掛け部13部分である分割点
411 、431 が前向きの山形の頂となり、中間点42
1、441 が前向きの谷形の底となって、前リング状線
材部101 が全体として規則正しい波状に折り曲げられ
るものとなる。すなわち、図17に示すように、前リン
グ状線材部101 は次第に折り畳まれながらロート状筒
18内を通過することになる。また、表装材7には張り
が付与してあるので、前引っ張り用紐20を前方へ引く
と、図18に示すように、その表装材7を介して中間リ
ング状線材部12の分割点対応部413 、433 および
後リング状線材部102 の分割点対応部412 、432
にも引っ張り力が伝達される。このとき、中間リング状
線材部12の中間点対応部423 、443 および後リン
グ状線材部102 の中間点対応部422 、442 はやは
りテーパ面18dの母線上を通過することによって突起
18cによる制限を受けるので、結果的にこれらの中間
リング状線材部12および後リング状線材部102 も、
図19に示すように、前方に向かって分割点対応部41
3 、433 、412 、432 が山形の頂となり中間点対
応部423 、44 3 、422 、442 が谷形の底となっ
て、前リング状線材部101 と同一位相の波状に折り曲
げられるものとなる。なお、上記の折り曲げ過程におい
て、両リング状線材部101 、102 の外縁に周設して
いるモール材10aも追従して波状に折り曲げられるこ
とになる。また、針状体12a1 は上述した作り方の
ために人工血管Aを折り曲げた際には必ず前端側または
後端側に向かって押し倒された状態にされる。
【0023】このようにして、接続部18b内に挿入さ
れた人工血管Aは、更に前引っ張り用紐20を引くこと
によって、図20に示すようにカートリッジ6のストロ
ー部材64内に導入される。この状態で、前引っ張り用
紐20を、、結び目を外して一端を引くことにより引っ
掛け部13から引き抜くとともに、ロート状筒18をカ
ートリッジ6の後端部6bから抜き取る。かくして、人
工血管Aは図21に示すようにカートリッジ6のストロ
ー部材64内に格納され、そのカートリッジ6の後端部
6bからは逆止弁65を僅かに押し開いてチューブ2を
内設したバルーンカテーテル23のパイプ部23aのみ
が外部に導出された状態になる。
【0024】一方、カテーテル8を図22に示すように
あらかじめ例えば足の付け根Fの股動脈に穿刺して、そ
の先端部を図23に示すように大動脈瘤等の血管9の患
部26にまで送り込んでおく。この場合、カテーテル8
の先端部を目的部位である患部26を若干通過した部位
に位置させるように差し込む。また、カテーテル8の挿
入端8a側に連設した装着部5は、図22のように体外
に露出させた状態にしておく。次に、人工血管Aを装入
したカートリッジ6を装着部5にその後端部5aの逆止
弁55を押し開いて差込むと、図22に示すように、カ
ートリッジ6のストロー部材64の先端6aがカテーテ
ル8の挿入端8aの内周に滑らかに連続する位置に配設
される。この状態で、バルーンカテーテル23のパイプ
部23aを把持してカテーテル8に対するバルーンカテ
ーテル23の送り操作を開始し、該カテーテル8内に次
第に深く挿入してゆく。チューブ2は締め付け具24を
介してバルーンカテーテル23に連結されており、人工
血管Aはかかるチューブ2に保持されているため、バル
ーンカテーテル23の移動に伴って人工血管Aが次第に
体内の深い位置に移送される。そして、最終的にチュー
ブ2の先端が図23のようにカテーテル8の先端に位置
したところでバルーンカテーテル23の送り操作を停止
する。このとき、人工血管Aは目的位置たる患部26に
位置させられる。ここで、バルーンカテーテル23とワ
イヤー3を挿入したチューブ2とをその位置に残したま
まで、図24のようにカテーテル8を引き抜いていく
と、カテーテル8内に折り畳まれて挿入されていた人工
血管Aはその前端部から開きながら図24→図25→図
26の順序で患部26周辺の血管9内に放出される。放
出された人工血管Aは筒状に復元して血管9の内壁に圧
接する。次に、図12に示した締め付け具24の締め付
けを解除してバルーンカテーテル23とチューブ2との
結合を解除し、チューブ2をその位置に保ったままバル
ーンカテーテル23をチューブ2に沿って人工血管A内
に押し進め、その先端を図27に示すように人工血管A
の先端に至るまで進める。ここで、バルーンカテーテル
23の給排口23cより空気等を導入してバルーブ23
bを同図に一点鎖線に示すように膨脹させ、人工血管A
を完全に復元させて血管9内壁に固定する。このとき、
針状体12a1 が血管9の内壁に突き刺さり、植設さ
れる。このようにして人工血管Aの固定が終わると、給
排口23cより空気等を導出してバルーンカテーテル2
3のバルーン部23bを収縮させ、パイプ部23aを後
退させて人工血管Aより抜取る。そして、人工血管Aが
血管9の内壁に固定されたことを確認した後、チューブ
2に対してワイヤ3を引くことにより、ワイヤー3の先
端が図8に示したようにチューブ2の側面窓部1よりも
後退した時に側面窓部1部分でワイヤー3に巻いていた
紐4のループ4aがワイヤー3から外れる。この状態
で、チューブ2を引くと、紐4が前引っ掛け部13から
外れる。そして、バルーンカテーテル23とチューブ2
とを締め付け具24において再び連結した後、人工血管
Aのみを血管9の所定位置に残した状態でバルーンカテ
ーテル23をチューブ2とともに体外に引き出す。
【0025】以上のようにして、本実施例は人工血管A
の患部26への移植を完了できるわけであり、人工血管
Aは移植後に復元して患部26における血管9の閉塞を
防ぐ手段として有効に機能することになる。以上のよう
に、本実施例の人工血管Aは、間欠位置に配置した複数
の折り曲げ自在な弾性を有するリング状線材部101
102、12の間をフレキシブルで且つ張りのあるシー
トにより形成した筒状の表装材7によって連結したもの
である。そして、表装材7が、人工血管Aの軸心方向に
延びる縦糸と器具の円周方向に延びる横糸とを編み込ん
だものであり、その縦糸にポリエステル製のモノフィラ
メントを使用し、横糸に超極細線をより合わせたポリエ
ステル製のマルチフィラメントを使用しているものであ
る。
【0026】このため、縦糸の剛性で表装材7に保形性
が付与され、横糸の目の緻密さで表装材7に防水性が付
与されて、表装材7全体がフレキシブルであると同時に
軸方向に張りがあって引っ張り力に強く、筒としての自
立性も備え、血液の漏れも防止できるものとなる。した
がって、折り畳むときには小さく、復元するときには適
正な筒状にでき、また患部への血液の回り込みも的確に
防止できるものとなる。
【0027】特に、表装材7のシートを蛇腹状に成形し
ているため、人工血管A全体が一層無理なく屈曲するこ
とができ、湾曲した器官内へ人工血管Aを移植する場合
等にも移植状態をより良好なものにすることができる。
特に、縦糸には保形性を有したポリエステル製のモノフ
ィラメントが使用してあるため、この縦糸に沿って器具
に蛇腹形状を付与しておけば、蛇腹形状が長期に亘って
効果的に維持され、また人工血管Aが元の形状に復元し
ようとする際には、蛇腹自体の復帰動作がこれを有効に
補助するので、より適正な立体形状に復元できるものに
することができる。
【0028】さらに、表装材7に防水用のコーティング
が施してあるため、より高い液密性を得ることもでき
る。また、モノフィラメントを15デニール程度として
いるため、十分な強度を確保することができ、同時に人
工血管A全体の薄肉化にも寄与することができる。一
方、マルチフィラメントを50デニール程度としている
ため、嵩張りを伴うことなく十分な漏れ防止効果を期待
することができる。
【0029】また、かかる人工血管Aのような器具であ
れば、従来の他の種々の不具合も有効に解消することが
できる。すなわち、従来の器具は、一対のリング状線材
部の間を連結線材部を主体とするフレームを介して連結
した構成からなるものであり、器具後端の後リング状線
材部を押圧してカテーテル内に導入し更に人体の目的と
する器官にまで移送するものである。このため、後リン
グ状線材部に加えられる押付力を前リング状線材部に伝
達して器具全体を運搬する必要があり、前記フレームを
必須の構成要件とするほか、その素材に金属製の比較的
頑強なものを用いることが不可欠になる。ところが、こ
のようなフレームを用いると、リング状線材部とフレー
ムが干渉を起こしてリング状線材部の折り曲げ動作が妨
害され易く、規則正しい波状に折り曲げることが難しく
なるという問題がある。また、このようにリング状線材
部の折り曲げ動作に支障があると、器具全体を小さく折
り畳むことも困難になる。
【0030】一方、リング状線材部を比較的強い力で圧
潰してカテーテル内に小さく折り畳んで挿入するとき、
リング状線材部には弾性限度があるため、無理に力づく
で折り曲げるとその弾性限度を越えてリング状線材部が
塑性変形を起こし、目的箇所で放出しても適正な形状に
復元しなくなる可能性がある。また、塑性変形で生じた
ひずみがカテーテル内を移動するときに引っ掛かりの原
因になり、これがため摺動抵抗が大きく、目的位置にま
で運ぶことが困難あるいは不可能となる場合も考えられ
る。
【0031】さらに、フレームを用いた器具は、人体の
器官に適切な形状で移植するときの妨げになり易い問題
がある。特に、人体の器官の屈曲した部位に器具を配設
する場合等には、フレームの各部が干渉して偏平に変形
する恐れがあり、せっかく移植しても器具本来の機能を
発揮できない場合がある。その上、従来のフレームは、
両端のリング状線材部の線材がむきだしのまま用いられ
ているため、線材により器官の内壁を引っ掻いて傷つけ
る恐れがあり、また器官の内壁に対する密着度が低いた
めに人工血管として用いた場合に両端から血液の漏れも
生じ易い。
【0032】さらにまた、折り曲げた器具をカテーテル
内に導入するに際して、カテーテルは予めその先端が人
体の血管に挿入されるから、そのカテーテルの対外に引
き出された開口端に逆止弁を設けたとしても、器具を導
入する際に経過的にその逆止弁を押し開かなければなら
ない。そのため、かかる開口端より多量の出血を伴い、
出血を防止するための何らかの措置が望まれている。
【0033】そこで、本発明は、上記人工血管Aのよう
なノンフレーム形の器具を開発し、この器具に基づいて
叙述した課題をことごとく解決することとしたものであ
る。すなわち、本発明に係る移植用器具の折り曲げ方法
は、器具を、互いに分割された一対のリング状線材部
と、それらのリング状線材部の間を連結するフレキシブ
ルで且つ張りのあるシートにより形成した筒状の表装材
と、両リング状線材部の間に間欠的に配置されその外周
を縫着や接着等により前記表装材に固着されてなる中間
リング状線材部とによって構成しておき、前側のリング
状線材部の円周上を複数等分し各分割点を前方に向かっ
て引っ張ると同時に、各分割点の間の中間点の前方への
連動した動きをテーパ面に沿って制限し、これによりそ
の前リング状線材部を、前方に向かって分割点が山形の
頂となり中間点が谷形の底となるように波状に折り曲
げ、さらに前側のリング状線材部の分割点を前方に向か
って牽引することで、テーパ面に沿った制限作用により
中間リング状線材部および後リング状線材部を前記前リ
ング状線材部と同一位相の波状に折り曲げることを特徴
とする。
【0034】この場合、前リング状線材部の分割点にル
ープ状の引っ掛け部を形成しておき、この引っ掛け部に
前引っ張り用紐を挿通して前方に引っ張るようにしても
よい。特に、複数の引っ掛け部に共通の前引っ張り用紐
を挿通して引っ張ることで、前リング状線材部の分割点
同士を互いに引き寄せることが効果的である。また、内
面が前方に向かって縮径したテーパ面をなす案内筒を用
い、その案内筒に器具を挿通させつつ前リング状線材部
の分割点を前方に引っ張ることで、各リング状線材部の
分割点同士および中間点同士を互いに近付けるようにし
てもよい。特に、案内筒のテーパ面に弾性変形可能な突
起を形成しておき、その突起に各リング状線材部の中間
点を係接させることで、中間点の前方への連動した動き
を突起によって制限しつつ該中間点同士を近接する方向
に付勢することが効果的である。さらに、リング状線材
部の外周に沿って柔軟性を有した保護部材を周回配置し
てもよい。
【0035】一方、本発明に係る移植用器具は、折り曲
げ自在な弾性を有するリング状線材部を互いに分割され
た位置に一対に配設し、それらのリング状線材部の間を
フレキシブルで且つ張りのあるシートにより形成した筒
状の表装材のみによって連結するとともに、両リング状
線材部の間に中間リング状線材部を配置し、その中間リ
ング状線材部の円周上の適宜箇所を縫着や接着等により
前記表装材に固着させてなることを特徴とする。
【0036】フレキシブルで且つ張りのあるシートとし
ては、器具の軸心方向に延びる縦糸と器具の円周方向に
延びる横糸とを編み込み、その縦糸に保形性を有したポ
リエステル製のモノフィラメントを使用し、横糸に防水
性を有したポリエステル製のマルチフィラメントを使用
したもの等が挙げられる。表装材のシートは、蛇腹状に
成形してもよい。特に、両端のリング状線材部の間を、
蛇腹が一定の限度を越えて伸長することを防止するため
の規制紐で橋絡しておくことが効果的である。また、両
端のリング状線材部の外周に沿って柔軟性を有した保護
部材を周回配置したものであってもよい。さらに、少な
くとも一部のリング状線材部の外周に、人体の器官に付
き刺さり植設される針状体を突設してもよい。その針状
体は、線材をリング状に湾曲させて両端部近傍を交叉さ
せ、その交叉部を固着することにより交叉部から端部ま
での部分に形成することが有効である。
【0037】さらにまた、本発明に係る折り曲げた移植
用器具をカテーテル内に導入するための装置は、カテー
テルの挿入端に形成され開口端を可撓性を有する逆止弁
により閉塞された装着部と、この装着部に対して着脱自
在であり装着時に先端部を前記カテーテル内に連通させ
るとともに開口端を可撓性を有する逆止弁により閉塞さ
れたカートリッジとを具備してなり、カートリッジの逆
止弁を押し開いて移植用器具を該カートリッジ内に収容
し、その逆止弁をほぼ閉塞した状態で先端部を装着部の
逆止弁を押し開いてカテーテル内に挿入することを特徴
とする。
【0038】この場合に、カテーテルの装着部の内径を
カテーテルの挿入端の内径よりも大きくしておき、カー
トリッジを装着した状態で該カートリッジの先端部の内
径をカテーテルの装着部の内径を通過して該カテーテル
の挿入端の内径に滑らかに連続させ得るようにしてもよ
い。本発明の折り曲げ方法によると、折り曲げ操作を簡
単かつ適切に行い得るものとなる。すなわち、前リング
状線材部に単に無方向性の外力を加えただけでは、該リ
ング状線材部をカテーテル内に入る程度にまで小さく折
り曲げて畳む事は難しい。しかし、前リング状線材部の
円周上の複数等分された各分割点を前方に向かって引っ
張り、そのとき各分割点の間の中間点の前方への連動し
た動きをテーパ面に沿って制限すれば、中間点を足場に
して前リング状線材部を分割点が山形の頂となり中間点
が谷形の底となるように波形に撓ませることができる。
また、前リング状線材部が撓んだ後は、さらに前リング
状線材部の分割点を前方に牽引することで、その牽引力
を張りのある表装材を介して中間リング状線材部および
後リング状線材部に伝え、同時に中間リング状線材部お
よび後リング状線材部をテーパ面に沿って制限すること
で、それらのリング状線材部をも前記前リング状線材部
と同一位相の波状に折り曲げることができる。そのた
め、器具全体を無理なく小さく折り畳むことが可能にな
る。
【0039】その際に特に言及すべきことは、本発明の
折り曲げ方法が、器具両端のリング状線材部の間をフレ
キシブルで且つ張りのあるシートにより形成した筒状の
表装材のみによって連結しておき、前リング状線材部を
前方に向かって牽引するようにしている点にある。すな
わち、器具の後端を押圧して人体の器官に挿入していく
従来手法では後方に加えられる押し付け力を前方に伝え
るために連結線材部を主体とする比較的頑強なフレーム
の存在が不可欠であったが、本発明は前リング状線材部
を前方に向かって牽引する事を前提としたため、フレー
ムを省いても挿入の容易性を確保する事ができる。そし
て、表装材はリング状線材部の折り曲げ動作に追従して
任意形状に変形するので、フレームを用いた場合のよう
にリング状線材部と干渉を起こしてその折り曲げ動作を
妨害するということがない。したがって、本発明の折り
曲げ方法によると、各リング状線材部を規則正しい波状
に折り曲げることができ、器具全体を無理なく小さく折
り畳むことが可能になる。
【0040】このような折り曲げ操作は、前リング状線
材部の分割点にループ状の引っ掛け部を形成し、この引
っ掛け部に前引っ張り用紐を挿通して前方に引っ張るこ
とで容易に行うことができる。特に、複数の引っ掛け部
に共通の前引っ張り用紐を挿通した場合には、分割点同
士が引き寄せられるので、引っ張り力をより有効に折り
畳み力に変換することができる。
【0041】折り曲げ操作の際に、内面が前方に向かっ
て縮径する案内筒を用いれば、その案内筒に器具を次第
に深く挿通させるにつれて、各リング状線材部の分割点
同士および中間点同士を近接する方向に絞り込み、その
結果、器具全体を小さく折り畳むことができる。その際
に、案内筒の内面に中間点に係接する弾性変形可能な突
起を形成しておけば、その突起からの弾性反力で中間点
同士が積極的に近付く方向に付勢されるとともに、リン
グ状線材部と案内筒の間に隙間が形成されるため、両者
が密着状態になって摺動抵抗を増し器具が抜き差しなら
ない事態に陥る事も有効に防止することができる。
【0042】また、リング状線材部の外周に柔軟性を有
した保護部材を周回配置したものにおいては、折り曲げ
操作の際に器具の機能が損なわれることを防止すること
ができる。すなわち、万一リング状線材部が弾性限度を
越えて折れ曲がった場合には、元のリング形状への復元
が困難になるほか、カテーテル内を移動させる場合等に
その屈曲部が引っ掛かって移動不能な事態に陥る場合が
あるが、保護部材を設けておくと、分割点を局所的に強
く引っ張ってもその保護部材が緊張力を分散させるた
め、分割点のみに局所的に引っ張り力が作用して該リン
グ状線材部を弾性限度を越えて折れ曲げるようなことが
ない。そのため、前リング状線材部の塑性変形を防止
し、リング形状への適正な復元機能と、カテーテル内に
おける円滑な移動性とを確保した状態で規則正しい波状
にして小さく折り畳むことが可能になる。
【0043】さらに、前述したごとくフレームを省いて
構成される器具は、器具自体として見ても人工血管等と
しての適正な機能が担保される。すなわち、本発明の器
具は、表装材自体に張りを付与するとともに、その表装
材の両端及び適宜箇所をリング状線材部および中間リン
グ状線材部によって支持するようにしている。そのた
め、器具全体が圧潰状態から解放されて各リング状線材
部がリング形状に弾性復元しようとするとき、各リング
状線材部に従動して表装材も元の適正な筒状に形状復帰
せしめられるものとなる。その上、フレームを有してい
る従来の器具は人体の器官内の屈曲した部位に配設され
るときに各部が干渉して偏平に変形する恐れがあるが、
フレームを省いた本発明の器具は変形自在であるため、
人体の器官の様々な形状に無理なく適合し得るものとな
る。
【0044】シートを、縦糸と横糸とを編み込んだもの
とし、その縦糸にポリエステル製のモノフィラメントを
使用し、横糸にポリエステル製のマルチフィラメントを
使用すれば、器具全体がフレキシブルになるとともに、
縦糸によって表装材に軸方向の張りと保形性が与えら
れ、横糸によって表装材の目が緻密化され防水性が高め
られることになる。
【0045】特に表装材のシートを蛇腹状に成形してお
くと、器具全体が一層無理なく屈曲するため、器官内へ
の器具の移植状態がより良好なものとなる。表装材のシ
ートを蛇腹状にする場合には、リング状線材部の間を規
制紐で橋絡しておくことで、シートが伸びきって蛇腹が
平坦化する事態を防ぐことができる。器具において両端
のリング状線材部に柔軟性を有した保護部材を周回配置
しておくと、前述したように折り曲げ操作時のリング状
線材部の塑性変形を防止できる効果のほかに、それらの
リング状線材部が人体の器官に直接接触して内壁を傷つ
ける事態も防止することができる。また、この保護部材
を、移植用器具の両端を人体の器官の内壁に密着させる
ためのシール材としても機能させることができるので、
人工血管を移植する場合等に両端からの血液の漏れを効
果的に防ぐことができる。
【0046】さらに、リング状線材部に針状体を突設し
ておくと、その針状体が器官の内壁に突き刺さり植設さ
れることで器具全体が固定される。そのため、器官内に
器具を移植した後、該器具が位置ずれを起こし、ひいて
は血管内を下流へ流される事態を有効に防止することが
できる。その針状体の製作にあたって、線材の両端近傍
部を交叉させその交叉部を紐等で縛るようにすると、リ
ング状線材部に溶接の困難な素材を用いても簡単に針状
体を形成することができ、長期に亘ってその信頼性も担
保することができる。
【0047】一方、本発明に係るカテーテル内への導入
装置を用いると、カテーテル内への導入を円滑に行うこ
とが可能になる。すなわち、移植用器具をカートリッジ
内に逆止弁を押し開きながら挿入して略完全に収容され
る位置まで前進させ、それと相前後して、カートリッジ
を予めカテーテルの挿入端に形成した装着部に装着して
おき、その状態で器具を更に前進させ、装着部を介して
カテーテル内に導入する。この場合、装着部の弁が開か
れるときに、カートリッジの弁が閉塞しているため、血
管内の血液が経過的にカートリッジに流れ込んでも、更
にその血液がカートリッジから体外に出血する事態が確
実に防止される。しかも、カテーテルに直接器具を挿入
しようとするとカテーテルや器具の可撓性ゆえにスムー
ズな挿入が容易ではなく、その押圧力によりカテーテル
を折り曲げてしまい、挿入系路を閉塞したりカテーテル
自体を脆弱にする等の不都合を生じ易いが、器具を装着
部およびカートリッジを介してカテーテルに挿入するよ
うにすれば、それらの装着部やカートリッジを比較的堅
牢で把持し易い形にしてカテーテルが折れ曲がる等の不
具合を無くし、器具を無理なくスムーズにカテーテル内
に導入することができる。その際に、カテーテルの装着
部の内径をカテーテルの内径よりも大きくしておき、カ
ートリッジを装着した状態で該カートリッジの先端部の
内径をカテーテルの挿入端の内径に滑らかに連続させれ
ば、移植用器具が装着部で経過的に膨脹してつっかえる
等といった事態の発生を防ぎ、器具をカテーテルの奥部
に直接導入することができる。
【0048】以上を添付図面に基づく実施例に則して説
明すると、以下のようになる。すなわち、前リング状線
材部101 に単に無方向性の外力を加えただけでは、該
リング状線材部101 をカテーテル8内に入る程度にま
で小さく折り曲げて畳む事は難しい。しかし、前リング
状線材部101 の円周上の複数等分された各分割点41
1 、431 を前方に向かって引っ張り、そのとき各分割
点411 、431 の間の中間点421 、441 の前方へ
の連動した動きをテーパ面18dに沿って制限している
ので、中間点421 、441 を足場にして前リング状線
材部101 を分割点411 、431 が山形の頂となり中
間点421 、441 が谷形の底となるように波形に撓ま
せることができる。また、前リング状線材部101 が撓
んだ後、さらに前引っ張り用紐20によって前リング状
線材部101 の分割点411 、431 を前方に牽引する
と、その牽引力が張りのある表装材7を介して中間リン
グ状線材部12および後リング状線材部102 の分割点
対応部413 、433 、412 、432 に伝わり、同時
に中間リング状線材部12および後リング状線材部10
2 の中間点対応部423 、443 、422 、442 がテ
ーパ面18dに沿って制限を受けるので、それらのリン
グ状線材部12、102 をも前記前リング状線材部10
1 と同一位相の波状に折り曲げることができる。そのた
め、人工血管A全体を無理なく小さく折り畳むことが可
能になる。
【0049】その際に特に言及すべきことは、本実施例
の折り曲げ方法が、人工血管A両端のリング状線材部1
1 、102 の間をフレキシブルで且つ張りのあるシー
トにより形成した筒状の表装材7のみによって連結して
おり、前リング状線材部10 1 を人工血管移送装置Bに
よって前方に牽引するようにしている点にある。すなわ
ち、器具の後端を押圧して人体の器官に挿入していく従
来手法では後方に加えられる押し付け力を前方に伝える
ために連結線材部を主体とする比較的頑強なフレームの
存在が不可欠であったが、本実施例は前リング状線材部
101 を前方に向かって牽引する事を前提としているた
め、フレームを省いても挿入の容易性を確保する事がで
きる。そして、表装材7は各リング状線材部101 、1
2、10 2 の折り曲げ動作に追従して任意形状に変形す
るので、フレームを用いた場合のようにリング状線材部
と干渉を起こしてそれらの折り曲げ動作を妨害するとい
うことがない。したがって、本実施例の折り曲げ方法に
よると、各リング状線材部101 、12、102 を規則
正しい波状に折り曲げることができ、人工血管A全体を
無理なく小さく折り畳むことが可能になる。
【0050】また、本実施例では、このような折り曲げ
操作を前リング状線材部101 の分割点411 、431
にループ状の引っ掛け部13を形成し、この引っ掛け部
13に前引っ張り用紐20を挿通して前方に引っ張るこ
とで行うようにしているので、操作を極めて容易に行う
ことができる。特に、一対の引っ掛け部13、13に共
通の前引っ張り用紐20を挿通して引っ張るため、分割
点411 、431 同士を引き寄せる効果が生じ、引っ張
り力をより有効に折り畳み力に変換することができる。
【0051】さらに、本実施例では、折り曲げ操作の際
に内面が前方に向かって縮径するロート状筒18を用い
ているので、そのロート状筒18に人工血管Aを次第に
深く挿通させるにつれて、前リング状線材部101 の分
割点411 、431 同士および中間点421 、441
士を近接する方向に絞り込み、その結果、全体を小さく
折り畳むことができる。特に、本実施例ではロート状筒
18のテーパ面18dに中間点421 、441 に係接す
る弾性変形可能な突起18cを形成しているので、その
突起18cからの弾性反力で中間点421 、441 同士
を積極的に近付く方向に付勢することができ、またリン
グ状線材部101 とロート状筒18の間に隙間が形成さ
れるため、両者が密着状態になって摺動抵抗を増し人工
血管Aが抜き差しならない事態に陥る事も有効に防止す
ることができる。このような作用は中間リング状線材部
12および後リング状線材部102 についても全く同様
に言えることである。
【0052】また、本実施例では、リング状線材部10
1 、102 の外周に柔軟性を有したモール材10aを周
回配置しており、特に前リング状線材部101 において
折り曲げ操作の際に人工血管Aとしての機能が損なわれ
ることを防止することができる。すなわち、万一前リン
グ状線材部101 が弾性限度を越えて折れ曲がった場合
には、元のリング形状への復元が困難になるほか、カテ
ーテル8内を移動させる場合等にその屈曲部が引っ掛か
って移動不能な事態に陥る場合があるが、モール材10
aを設けておくことで、分割点411 、431 を局所的
に強く引っ張ってもそのモール材10aが緊張力を分散
させるため、分割点411 、431 のみに局所的に引っ
張り力が作用して該リング状線材部101 を弾性限度を
越えて折れ曲げるようなことがない。そのため、特に前
リング状線材部101 の塑性変形を防止し、リング形状
への適正な復元機能と、カテーテル8内における円滑な
移動性とを確保した状態で規則正しい波状にして小さく
折り畳むことが可能になる。
【0053】さらに、前述したごとくフレームを省いて
構成される人工血管Aは、器具自体として見てもその適
正な機能が担保される。すなわち、本実施例の人工血管
Aは、表装材7自体に張りを付与するとともに、その表
装材7の適宜箇所を中間リング状線材部12によって支
持するようにしている。そのため、人工血管A全体が圧
潰状態から解放されて各リング状線材部101 、10
2 、12がリング形状に弾性復元しようとするとき、各
リング状線材部101 、102 、12に従動して表装材
7も元の適正な筒状に形状復帰せしめられるものとな
る。その上、フレームを有している従来の人工血管は人
体の器官内の屈曲した部位に配設されるときに各部が干
渉して偏平に変形する恐れがあるが、フレームを省いた
本実施例の人工血管Aは変形自在であるため、人体の器
官の様々な形状に無理なく適合し得るものとなる。
【0054】また、リング状線材部101 、102 の間
を規制紐14で橋絡しているため、シートが伸びきって
蛇腹が平坦化する事態を防ぐことができる。さらに、本
実施例では、人工血管Aの両端のリング状線材部10
1 、102 に柔軟性を有したモール材10aを周回配置
しているので、前述したように折り曲げ操作時のリング
状線材部101 の塑性変形を防止できる効果のほかに、
両リング状線材部101 、102 の線材が人体の器官に
むきだしのまま接触して内壁を傷つける事態も防止する
ことができる。また、それらのモール材10aが人工血
管Aの両端を人体の器官の内壁に密着させるシール材と
しても機能し得るので、人工血管Aを移植したときに両
端から血液の漏れが生じることも効果的に防ぐことがで
きる。
【0055】さらにまた、中間リング状線材部12に針
状体12a1 を突設しているので、その針状体12a
1 が器官の内壁に突き刺さり植設されることで人工血
管A全体が固定される。そのため、器官内に人工血管A
を移植した後、該人工血管Aが位置ずれを起こし、ひい
ては血管内を下流へ流される事態も有効に防止すること
ができる。その針状体12a1 も、線材の両端近傍部
を交叉させその交叉部を紐等で縛ることによって交叉部
と端部の間に該針状体12a1 を作るようにしている
ので、リング状線材部12に溶接の困難な素材を用いて
も針状体12a1 の製作を簡単に行うことができ、長
期に亘ってその信頼性も担保することができる。
【0056】一方、本実施例に係るカテーテル8内への
導入装置Cを用いると、カテーテル8内への導入を円滑
に行うことが可能になる。すなわち、人工血管Aをカー
トリッジ6内に逆止弁55を押し開きながら挿入して略
完全に収容される位置まで前進させ、それと相前後し
て、そのカートリッジ6をカテーテル8の挿入端8aに
形成した装着部5に装着しておき、その状態で人工血管
Aを更に前進させ、装着部5を介してカテーテル8内に
導入するようにしている。この場合、装着部5の逆止弁
55が開かれるときに、カートリッジ6の逆止弁65が
閉塞しているため、血管内の血液が経過的にカートリッ
ジ6に流れ込んでも、更にその血液がカートリッジ6か
ら体外に出血する事態が確実に防止される。しかも、カ
テーテル8に直接人工血管Aを挿入しようとするとカテ
ーテル8や人工血管Aの可撓性ゆえにスムーズな挿入が
容易ではなく、その押圧力によりカテーテル8を折り曲
げてしまい、挿入系路を閉塞したりカテーテル8自体を
脆弱にする等の不都合を生じ易いが、本実施例では人工
血管Aを装着部5およびカートリッジ6を介してカテー
テル8に挿入するようにしているため、それらの装着部
5やカートリッジ6を比較的堅牢で把持し易い形にして
カテーテル8が折れ曲がる不具合を無くし、人工血管A
を無理なくスムーズにカテーテル8内に導入することが
できる。その際に、カテーテル8の装着部5の内径d1
をカテーテル8の挿入端8aの内径d3 よりも大きく
しておき、カートリッジ6を装着した状態で該カートリ
ッジ6の先端部の内径d2 をカテーテル8の挿入端8
aの内径d3 に滑らかに連続させるようにしているた
め、人工血管Aが装着部5で経過的に膨脹してつっかえ
る等といった事態の発生を防いで、人工血管Aをカテー
テル8の奥部に直接導入することができる。
【0057】なお、本発明は上述した実施例のみに限定
されるものではない。例えば、前記実施例では前リング
状線材部101 を2等分して2つの分割点411 、43
1 と2つの中間点421 、441 を設定したが、図28
に示すように、前リング状線材部1101 を4等分して
4つの分割点1411 、1431 、1451 、147 1
と4つの中間点1421 、1441 、1461 、148
1 を設定してもよい。また、図29に示すように、前リ
ング状線材部2101 を3等分して3つの分割点241
1 、2431 、2451 と3つの中間点2421 、24
1 、2461を設定することもできる。
【0058】また、上記実施例では人工血管移送装置B
の紐4がループ4aをなして一対に設けてあるが、必ず
しも一対に設ける必要はない。しかし、一対に設けるこ
とで人工血管Aにバランスのとれた牽引力を作用させる
ことができ有効である。ループ4aは全体をより合わせ
ておいてもよい。さらに、前記実施例ではバルーンカテ
ーテル23を用いたため、人工血管移送装置Bがバルー
ンカテーテル23内に一体に組み込まれているが、バル
ーンカテーテル23が不要な場合には人工血管移送装置
Bのチューブ2を直に操作してカテーテル内への導出入
を行うようにすればよい。
【0059】さらにまた、前記実施例において、以下に
述べる移植用器具の復元補助方法を適用することが有効
となる。この復元補助方法は、移植用器具たる人工血管
Aの後リング状線材部102 の中間点対応部422 、4
2 に図30に示すようなループ状の後引っ掛け部13
aを形成しておき、カテーテル8から放出された人工血
管Aの後リング状線材部102 を後引っ掛け部13aを
介して後方に引っ張ることを可能にするものである。つ
まり、前記実施例において、例えば、人工血管Aを誤操
作等により図26に示す患部26を通り過ぎた位置に放
出してしまうことがあるが、このような場合に人工血管
移送装置Bを操作して人工血管Aを手前に引き戻そうと
すると、前リング状線材部101 のみが後リング状線材
部102側に移動し、人工血管A全体が軸方向に縮んで
適正な形状が損なわれる不具合が生じる場合がある。ま
た、人工血管Aを狭窄部に放出しその状態でバルーンカ
テーテル23を人工血管A内に挿入するような場合に
は、バルーンカテーテル23が人工血管Aの後リング状
線材部102 の開口部内にうまく挿入されず、開口部周
縁に引っ掛かることがある。そして、このとき後リング
状線材部102 が押圧されて前リング状線材部101
に移動し、人工血管A全体が軸方向に縮んで適正な形状
が損なわれる不具合が生じる場合がある。そして、一旦
このような事態が発生すると、前記人工血管移送装置B
は専ら前リング状線材部101 を前方に向かって曳航す
る機能を持ち合わせているのみであるから、人工血管A
の縮みを矯正し、あるいは適正な放出位置に引き戻すた
めの有効な手立てとはなり難い。
【0060】そこで、このような場合に、放出後の人工
血管Aの後リング状線材部102 を後方に向かって引っ
張るための方法および装置を併用することが有効とな
る。図30および図31はそのための復元補助装置Dを
例示するもので、先端部付近に側面窓部101を有した
チューブ102と、このチューブ102内に挿入される
ワイヤー103とで構成してある。そして、人工血管A
の後リング状線材部102 の中間点対応部422 、44
2 にループ状の後引っ掛け部13aを形成しておき、側
面窓部101からチューブ102外に一旦引き出したワ
イヤー103にその後引っ掛け部13aのループを直接
引っ掛け、しかる後に、ワイヤー103を再びチューブ
102内に収容することで、ワイヤー103に後引っ掛
け部13aを保持させるようにしている。そして、その
状態でワイヤー103を収容したチューブ102を人工
血管Aとともにカテーテル8内に導入するようにしてい
る。具体的に説明すると、前記実施例で用いたバルーン
カテーテル23のパイプ部23aの肉厚内に図32に示
すような長孔23dを長手方向に沿って基端からバルー
ン部23bの近傍まで穿設しておき、その長孔23dの
基端側に図30に示すような開口窓23d1 を設けて一
対のチューブ102を導入するとともに、先端側に開口
窓23d2を設けてそれらのチューブ102を導出して
いる。チューブ102はバルーンカテーテル23の送り
操作に対し一体となって長手方向に移動し得るようにさ
れているが、チューブ102のみを操作したときにはバ
ルーンカテーテル23に対して該チューブ102を長手
方向に相対移動させ得るようにもなっている。そして、
放出後の人工血管Aの位置調整を行う図26の段階で、
あるいは人工血管A内にバルーンカテーテル23を挿入
する図26→図27の段階で使用する。先ず、放出位置
が図26に示す患部26よりも若干先端側に行き過ぎた
場合には、ワイヤー103を収容したチューブ102を
手前に引っ張って後リング状線材部102 を後方へ牽引
し、前リング状線材部101 をその後リング状線材部1
2 の動きに従動させるようにする。また、図26→図
27に示すバルーンカテーテル23の挿入段階では、予
めワイヤー103を収容したチューブ102を手前に引
っ張って後リング状線材部102 の前方への移動を禁止
しておき、その状態でバルーンカテーテル23を人工血
管A内へ押し込むようにして挿入する。このように使用
した後、チューブ102に収容されているワイヤー10
3のみを手前に引けば、ワイヤー103の先端がチュー
ブ102の側面窓部101に来たところで該ワイヤー1
03から人工血管Aの後引っ掛け部13aが外れ、復元
補助装置Dから人工血管Aが切り離された状態になる。
そのため、人工血管Aのみを患部26に残したままで復
元補助装置Dをバルーンカテーテル23とともに抜き取
ることが可能になる。
【0061】このような装置を併用すると、前リング状
線材部101 と後リング状線材部102 の間に常に適正
な距離を保つことができる。そのため、人工血管Aが軸
方向に縮んで適正な形状が損なわれる事態を確実に防止
することができ、バルーンカテーテル23の挿入や人工
血管Aの位置調節を迅速かつ的確に完了することが可能
になる。
【0062】なお、移植用器具の復元補助装置として
は、図33に示す構成によることも可能である。このも
のは、前記チューブ102の側面窓部101の近傍に一
対の紐104を先端がループをなすようにして取り付け
ており、人工血管移送装置Bと同じようにしてその紐1
04のループを人工血管Aの一対の後引っ張り部13a
に挿通した後にワイヤー103に引っ掛けるようにして
いる。このチューブ102も前記チューブ102と同様
にバルーンカテーテル23のパイプ部23a内に収容し
て移送すればよい。
【0063】以上において、バルーンカテーテル23を
使用しない場合もあり得るが、この場合にはチューブ1
02を人工血管移送装置Bとともに一体搬送可能でかつ
分離可能となるように連結しておけばよい。
【0064】
【発明の効果】本発明の移植用器具は、以上のような構
成であるから、器具全体を折り畳み容易なフレキシブル
なものにすることができると同時に、縦糸によって表装
材に軸方向の張りと保形性を与え、横糸によって表装材
の防水性を高めることができるので、カテーテル等を通
じて運搬する際に器具を小さく折り畳むことができ、ま
た目的位置で放出した際にも適正な復元状態を確保する
ことができ、更に血液等の漏れも確実に防止することが
可能となる。
【0065】特に、表装材のシートを蛇腹状に成形して
おけば、器具全体が一層無理なく屈曲するため、湾曲し
た器官内への器具の移植状態等もより良好とすることが
できる。また、本発明の縦糸には保形性を有したポリエ
ステル製のモノフィラメントが使用してあるため、この
縦糸に沿って器具に蛇腹形状を付与しておけば、蛇腹形
状を長期に亘って効果的に維持することができ、また器
具が元の形状に復元しようとする際に蛇腹自体の復帰動
作がかかる復元動作を助勢することにも期待することが
できる。
【0066】表装材に防水用のコーティングを施してお
けば、上記の防水性を更に高めることができる。特に、
モノフィラメントを15デニール程度としておけば、必
要な強度と器具全体の薄肉化との両立が図り易いものと
なり、マルチフィラメントを50デニール程度としてお
けば必要以上に厚肉化せずに十分な漏れ防止効果を得る
ことができる。
【0067】したがって、本発明は、リング状線材部
が、互いに分割された位置に一対に配設されその間を表
装材によって連結された前後リング状線材部と、両リン
グ状線材部の間に位置し円周上の適宜箇所を縫着や接着
等により前記表装材に固着させてなる中間リング状線材
部とから構成されている移植用器具に適用して極めて有
用なものとなり得る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例で用いる人工血管を示す斜視
図。
【図2】同実施例の人工血管の部分縦断面図。
【図3】同実施例で用いる人工血管移送装置を示す斜視
図。
【図4】同実施例で用いる人工血管導入装置を示す斜視
図。
【図5】図4における装着部の部分拡大縦断面図。
【図6】図4におけるカートリッジの部分拡大縦断面
図。
【図7】同実施例で人工血管を人工血管移送装置の外周
に遊嵌した状態を示す斜視図。
【図8】同実施例で人工血管を人工血管移送装置に保持
させる手順を示す斜視図。
【図9】同実施例で人工血管を人工血管移送装置に保持
させる手順を示す斜視図。
【図10】同実施例で人工血管を人工血管移送装置に保
持させた状態を示す部分拡大斜視図。
【図11】同実施例で人工血管をカテーテル内に導入す
る手順を示す斜視図。
【図12】同実施例で人工血管をカテーテル内に導入す
る手順を示す斜視図。
【図13】同実施例で人工血管を人工血管導入装置を用
いてカテーテル内に導入する手順を示す斜視図。
【図14】同実施例で人工血管の前リング状線材部が折
れ曲がる順序を示す説明図。
【図15】同実施例で人工血管の前リング状線材部が折
れ曲がる順序を示す説明図。
【図16】同実施例で人工血管の前リング状線材部が折
れ曲がる順序を示す説明図。
【図17】同実施例で人工血管の前リング状線材部がロ
ート状筒内で折れ曲がっていく様子を示す説明図。
【図18】同実施例で人工血管の中間リング状線材部お
よび後リング状線材部が折れ曲がる手順を示す説明図。
【図19】同実施例で人工血管が折れ曲がった状態を示
す説明図。
【図20】同実施例で人工血管をカートリッジ内に挿入
する手順を示す説明図。
【図21】同実施例で人工血管をカートリッジ内に挿入
した状態を示す図。
【図22】同実施例で人工血管をカートリッジから装着
部に移送する手順を示す説明図。
【図23】同実施例で人工血管を患部にまで移送した状
態を示す断面図。
【図24】同実施例で人工血管を患部において血管内に
放出する手順を示す説明図。
【図25】同実施例で人工血管を患部において血管内に
放出する手順を示す説明図。
【図26】同実施例で人工血管を患部において血管内に
放出した状態を示す断面図。
【図27】同実施例で人工血管を更にバルーンカテーテ
ルによって膨脹させる手順を示す説明図。
【図28】本発明の他の実施例を示す原理図。
【図29】本発明の更に他の実施例を示す原理図。
【図30】本発明の上記以外の実施例を示す図12に対
応した斜視図。
【図31】同実施例の要部拡大斜視図。
【図32】図31におけるZ−Z線拡大断面図。
【図33】同実施例の変形例を示す図31に対応した斜
視図。
【符号の説明】
A…器具(人工血管) 7…表装材 101…前リング状線材部 102…後リング状線材部 12…中間リング状線材部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) A61F 2/06 A61M 29/02

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】間欠位置に配置した複数の折り曲げ自在な
    弾性を有するリング状線材部の間をフレキシブルで且つ
    張りのあるシートにより形成した筒状の表装材によって
    連結したものであって、 表装材が、器具の軸心方向に沿った縦糸と器具の円周方
    向に沿った横糸とを編み込んだものであり、その縦糸に
    保形性を有したポリエステル製のモノフィラメントを使
    用し、横糸に防水性を有したポリエステル製のマルチフ
    ィラメントを使用していることを特徴とする移植用器
    具。
  2. 【請求項2】表装材のシートを蛇腹状に成形してなるこ
    とを特徴とする請求項1記載の移植用器具。
  3. 【請求項3】表装材に防水用のコーティングが施されて
    いることを特徴とする請求項1又は2記載の移植用器
    具。
  4. 【請求項4】モノフィラメントが15デニール程度のも
    のであることを特徴とする請求項1、2又は3記載の移
    植用器具。
  5. 【請求項5】マルチフィラメントが50デニール程度の
    ものであることを特徴とする請求項1、2、3又は4記
    載の移植用器具。
  6. 【請求項6】リング状線材部が、互いに分割された位置
    に一対に配設されその間を表装材によって連結された前
    後リング状線材部と、両リング状線材部の間に位置し円
    周上の適宜箇所を縫着や接着等により前記表装材に固着
    させてなる中間リング状線材部とから構成されることを
    特徴とする請求項1、2、3、4又は5記載の移植用器
    具。
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