JP4594408B2 - 橋梁地覆部の防水方法 - Google Patents
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本発明は、橋梁床版上部上面と地覆コンクリート部との間の打継目境界部に、超微粒子を供給して緻密化することにより、地覆部の防水性能を向上させる防水方法である。
一般に、コンクリートは良質なものであっても、その内部に多くの細孔を有しており、
また道路や市街地等に建設される橋梁体では、橋梁地覆部の舗装部、マウンタブル部、後打ちコンクリート部、橋梁床版部には境界部が、それぞれ存在している。
従って、コンクリート表面より浸透する水分量が多いと、このアルカリシリカゲルの膨張反応が進み、最終的にコンクリートに亀裂を生じ、コンクリート橋梁体の劣化を招く。
かかるコーティングとしては、ポリマー系や浸透型の塗料等による塗装をコンクリート表面に行うことにより、炭酸ガス、塩分、水分、及び酸素等のコンクリートを劣化する物質の浸入を防ぐ方法があるが、塗料等材料自身の膨張や収縮などにより数年で剥離が生じてしまう等の問題もあり、有効な防水方法ではなかった。
また同時に橋梁地覆コンクリート部表面の緻密化も行い、橋梁本体の耐久性も向上させることを目的とする。
また更に好適には、前記橋梁地覆部の防水方法において、更に、前記マウンタブル部及び後打ちコンクリート部の表面にコロイダルシリカを供給することを特徴とする、橋梁地覆部の防水方法である。
また「地覆コンクリート部」とは、舗装部、マウンタブル部及び後打ちコンクリート部を含む部位をいう。
従って、橋梁高欄部の外側に遊離石灰が発生することを防止でき、橋梁の劣化防止を図ることができる。
本発明は、橋梁地覆部を防水するにあたり、橋梁地覆部の橋梁床版部2の上面に位置するコンクリート舗装部3、マウンタブル部4及び後打コンクリート部5からなる地覆コンクリート部の該マウンタブル部及び該舗装部の境界部に溝を設け、該溝にコロイダルシリカと亜硝酸リチウムの水溶液を供給することにより、橋梁床版部と前記地覆コンクリート部との境界部に存在する間隙に当該コロイダルシリカと亜硝酸リチウム水溶液を供給して当該境界部を防水する、防水方法である。
このような防水施工を橋梁部に施すことにより、橋梁高欄部の外側に遊離石灰が析出することを防止することが可能となる。
本発明の防水方法は、まず、橋梁地覆部の橋梁床版部2の上面に位置するコンクリート舗装部3、マウンタブル部4及び後打コンクリート部5からなる地覆コンクリート部の該マウンタブル部及び該舗装部の境界部に溝7を設ける。
該溝7を設ける方法は、特に限定されずに任意の手段を適用することができ、例えば、カッターで該溝を設け、カッター溝とすることもできる。
これにより、短時間で優れた防水性能を得ることができる。
必要に応じて、該溝7にコロイダルシリカ及び亜硝酸リチウムの水溶液を供給する前に、該溝を洗浄、例えば水や高圧エアー等で洗浄する。
これにより、溝を設ける際に発生し、溝内に存在しているコンクリート粉や塵等を排除することができる。
本発明の防水方法で使用するコロイダルシリカは、コンクリート構造物自身に悪影響をおよばさず、当該コロイダルシリカの平均粒子径は7〜10nmであることが好ましい。
かかる範囲の平均粒子径を有することにより、緻密な充填がされ、更にコンクリート内部の細孔部にも浸透して防水性能を高めるので望ましい。
当該溝部にコロイダルシリカを均一に注入できる方法であれば、公知の方法を採用することが可能である。
例えば、コロイダルシリカを供給し、次いで亜硝酸リチウム溶液を供給しても、または、予めコロイダルシリカを亜硝酸リチウム溶液とを同時に注入しても、いずれの方法でもよい。
亜硝酸リチウム水溶液は、コロイダルシリカが水酸イオン濃度の影響を受けやすく、pHが11以上となるとゲル化するので、反応促進剤としての機能を有する。
従って、例えば道路勾配によりコロイダルシリカが流出するのを防ぐため、シリカをアルカリ刺激して固化させる機能を有する。
ここで、図2は、溝部7の平面図である。
このように、該堰部を溝内に設けることにより、コロイダルシリカと亜硝酸リチウム水溶液とが、溝内にとどまり、有効な防水効果を呈することが可能となる。
該堰部を構成する材料は、特に限定されず、コロイダルシリカと亜硝酸リチウム水溶液が流出しないようにすることができる部材であれば、任意のものを用いることができる。
地覆コンクリート部中のマウンタブル部4及び後打ちコンクリート部5の表面には、コンクリートが硬化する際に水分の蒸発や結晶水の消失等により生じた細孔が存在し、コンクリート表面から内部にその細孔が連通している場合もあり、これらの細孔から、コンクリート内部に雨水等の水分が浸透し、橋梁外部に当該水分が滲み出して、外壁面に遊離石灰を発生させている場合もある。
また、コロイダルシリカを供給し、次いで亜硝酸リチウム溶液を供給し、乾燥させてもよい。
更に必要に応じて、これらの供給、乾燥工程を繰り返して行うこともできる。
橋梁地覆部の舗装部3とマウンタブル部4との境界部にカッター溝7を設けた。このときにカッター溝の深さは約5cm、幅は10mmであった。
該ロートはΦ75mmの径のものを用い、境界部9以外の地覆コンクリート部表面をシール材(ラップ)でシールし、該ロートを境界部9が中央になるように設置して、該ロートに水を入れて(86ccの水)ラップし、設置後のロート内の水の減量を測定して、透水量とした。
透水試験は、試験開始後から20時間後、24時間後、48時間後の透水量を測定することにより実施した。
なお、比較のために、本発明の防水方法を施工する前の橋梁地覆部でも同様の試験を行った。
その結果を表1示す。但し、86cc以上とは、ロート内の全量が透水したことを示す。
図4に示すように、発振子1を後打ちコンクリート部の上部に、また受振子1を当該受振子1に対応する橋梁床版部の下面に設置し、また発振子2を前記発振子1と同等の位置のマウンタブル部の上面に、また受振子2を当該発振子2に対応する橋梁床版部の下面であって前記受振子2と同等の位置に設置して、超音波伝播速度試験を3地点で実施した。
超音波試験は、コンクリート診断技術 ’07(基礎編)P110(社団法人 日本コンクリート工学協会)記載されている超音波法に準じて実施した。
即ち、使用周波数が20kHz以上の超音波域と称される周波数帯を主に使用し、発振子からシリコングリスなどの接触剤を介してコンクリート中に発射された弾性波を受振子で測定する方法である。
その結果を表2に示す。
本発明の橋梁地覆部、特に既存の橋梁体の地覆部の防水方法は、施工が簡易でかつ極めて優れた防水性能を有するものである。
2 橋梁床版部
3 舗装部
4 マウンタブル部
5 後打ちコンクリート部
6 高欄部
7 溝部
8 地覆コンクリート部と橋梁床版部との境界部
9 マウンタブル部と後打ちコンクリート部との境界部
10 堰部
11 ロート
Claims (4)
- 橋梁床版部上面に位置する舗装部、マウンタブル部及び後打ちコンクリート部からなる地覆コンクリート部の該マウンタブル部及び該舗装部の境界部に溝を設け、該溝にコロイダルシリカと亜硝酸リチウムの水溶液を供給することにより、橋梁地覆部の透水性を部分的 に低下させ、橋梁地覆部のコンクリートを部分的に緻密化することを特徴とする、橋梁地覆部の防水方法。
- 請求項1記載の橋梁地覆部の防水方法において、前記溝は、前記橋梁床版部と前記地覆コンクリート部との境界部まで達していることを特徴とする、橋梁地覆部の防水方法。
- 請求項1又は2記載の橋梁地覆部の防水方法において、前記溝内に堰部が設けられていることを特徴とする、橋梁地覆部の防水方法。
- 請求項1〜3いずれかの項記載の橋梁地覆部の防水方法において、更に、前記マウンタブル部及び後打ちコンクリート部の表面にコロイダルシリカを供給することを特徴とする、橋梁地覆部の防水方法。
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