本発明は、ペーパーの連続送り出し機構を有する電動ロールペーパー供給装置に関するものである。
連続的にペーパーを送り出す機構を有する電動ロールペーパー供給装置に関する過去の出願を見ることで、本発明の主体が明確になるので、はじめにそれらの説明から入ることにする。
日本における、電動ロールペーパー供給装置に関する特許出願としては、特開平3−264016がある。
図1は、その特許出願の公報に掲載されている図のコピーである。図1に示されるように、ペーパー送り出し用の駆動ローラー1と受動ローラー2とによって挟まれたペーパーは、モーター3の駆動力により連続的に送り出される。送り出されたペーパーは、ペーパー送り出しローラー群の下方に配置された電動切断機構により、一定の長さに達するたびに切断される。この発明には、大きな欠点がある。ペーパーは、ペーパー送り出し用の駆動ローラー1と受動ローラー2とによって常時挟まれており、ペーパーとローラー群との平行度がわずかでも狂っていた場合には、ペーパーは少しずつ斜め方向に送り出され、やがては大きなシワや片寄りが発生してしまうなどの不都合が起きる。そのような状態になった場合、使用者は装置を開き、ペーパーをセットし直すことを要求される。通常、トイレットペーパーは30メートルまたは60メートルの長さを有している。たとえば60メートル先で1センチメートルのズレを許すとしても、その角度誤差は0.01度、すなわち100分の1度という超精密な角度の設定を要求されるのである。そのような長さのペーパーを、そしてトイレットペーパーというやわらかで、少しでも押されるとつぶれたり形が変わったりしてしまうペーパーを、ましてや梱包され輸送される段階で押しつぶされて変形した外形を持つペーパーを、初めから最後までまっすぐに送り出せるような平行精度で、ペーパー送り出し用の駆動ローラーと受動ローラーとの間にセットすることは、現実的には不可能である。この発明は、ペーパーが斜めに送り出されることによって発生する不具合を全く想定しておらず、そのような不具合を、装置を開けることなく修正できる構造にはなっていない。
前述した特開平3−264016の出願人は、他にも2件の電動ロールペーパー供給装置に関する特許出願をしている。ひとつは特開平4−297213であって、図2は、その特許出願の公報に掲載されている図のコピーである。もうひとつは特開平5−111442であって、図3は、その特許出願の公報に掲載されている図のコピーである。いずれの構造も、ペーパーは、やはりペーパー送り出し用の駆動ローラーと受動ローラーとによって常時挟まれており、やがてはペーパーが斜めに送り出されてゆき、片寄りやシワが発生してしまうという欠点を有している。これらの発明も、ペーパーが斜めに送り出されることによって発生する不具合を全く想定しておらず、そのような不具合を、装置を開けることなく修正できる構造にはなっていない。
図4は、特開平9−75258の公報に掲載されている図のコピーである。図4に示されるように、ペーパー送り出し用の駆動ローラー4と受動ローラー5とによって挟まれたペーパーは、モーターの駆動力により連続的に送り出される。送り出されたペーパーは、ペーパー送り出しローラー群の下方に配置された電動切断機構により切断される。この構造も、ペーパーは、やはりペーパー送り出し用の駆動ローラーと受動ローラーとによって常時挟まれている。ペーパーを確実に送り出すためには、駆動ローラーも受動ローラーもゴム質のようなスリップしにくい素材で作られている必要がある。仮にスリップしやすいプラスチック材などで駆動ローラーや受動ローラーが作られていたとすると、確実で安定した連続送り出しを期待することはできない。ペーパーが、スリップすることを前提としていない素材で作られたペーパー送り出し用の駆動ローラーと受動ローラーとによって常時挟まれている限り、やがてはペーパーが斜めに送り出されてゆき、片寄りやシワが発生してしまう。一度発生してしまった片寄りやシワは、スリップすることを前提としていない素材で作られたペーパー送り出し用の駆動ローラーと受動ローラーとによって常時挟まれているので、無理に直そうとして引っ張ったりすると、やわらかなトイレットペーパーは引きちぎれてしまう。この発明も、ペーパーが斜めに送り出されることによって発生する不具合を全く想定しておらず、そのような不具合を、装置を開けることなく修正できる構造にはなっていない。
特開平9−276178や特開2001−29258の公報に掲載されている発明においても、ペーパーは、やはりペーパー送り出し用の駆動ローラーと受動ローラーとによって常時挟まれている。それらの発明も、ペーパーが斜めに送り出されることによって発生する不具合を全く想定しておらず、そのような不具合を、装置を開けることなく修正できる構造にはなっていない。
図5は、特開平10−5149の公報に掲載されている図のコピーである。これまで例示してきた発明は、ペーパーを連続的に送り出す装置がロールペーパーの略下方に配置されたものであったが、図5の例は、ペーパーを連続的に送り出す装置がロールペーパーの前方に配置されたものである。図5に示されるように、ペーパー送り出し用の駆動ローラー6と受動ローラー7とによって挟まれたペーパーは、モーターの駆動力により連続的に送り出される。送り出されたペーパーは、ペーパー送り出し装置の前方に配置された手動の切断機構により切断される。この構造も、ペーパーは、やはりペーパー送り出し用の駆動ローラーと受動ローラーとによって常時挟まれている。この発明も、ペーパーが斜めに送り出されることによって発生する不具合を全く想定しておらず、そのような不具合を、装置を開けることなく修正できる構造にはなっていない。
特開平11−244189や特開2000−184986の公報に掲載されている発明においても、ペーパーを連続的に送り出す装置がロールペーパーの略前方に配置されている。しかしその2件も、ペーパーは、やはりペーパー送り出し用の駆動ローラーと受動ローラーとによって常時挟まれており、ペーパーが斜めに送り出されることによって発生する不具合を全く想定しておらず、そのような不具合を、装置を開けることなく修正できる構造にはなっていない。
連続的にペーパーを送り出す機構を有する電動ロールペーパー供給装置にあっては、以上に述べた例以外で、ロールペーパーの中央紙芯に棒を差し込み、その棒をモーターで回転させて送り出す、という方式をとった発明もあるが、本発明とは関係がないので例示はしない。
ペーパー送り出し用の駆動ローラーを、モーターを使って回転させることにより、連続的にペーパーを送り出そうとする電動ロールペーパー供給装置は、スリップすることを前提としていない素材で作られたペーパー送り出し用の駆動ローラーに、ペーパーが強く押し付けられているため、やがてはペーパーが斜めに送り出されてゆき、片寄りやシワが発生してしまうという基本的な欠点を持っている。そして、一度発生してしまった片寄りやシワを、使用者は簡単に取り除くことができない。従来の発明における出願人は、各人の出願した装置に、そのような大きな欠点があることに、まったく気づいていなかった。誰もが、ロールに挟んで回しさえすれば、ペーパーは最後までまっすぐ引き出せるものと勘違いしていたのである。
そこで本発明の出願人は、駆動ローラーなどのペーパー送り出し部材に、ペーパーを強く押し付けて連続的にペーパーを送り出そうとするロールペーパー供給装置であっても、片寄りやシワをほとんど発生させないことを特徴としたロールペーパー供給装置を、特願2003−192582にて出願した。
その特徴は、それまでの発明や考案が、ペーパー送り出し用の駆動ローラーなどに、常時ペーパーを強く押し付けて連続送り出しを行っていたことで不具合が発生していた点に注目し、送り出し部材からペーパーをときどき離す、挟み込みをときどきやめる、という動作を加えたところにある。
ペーパーの連続送り出しが完了したら、その都度、ペーパー送り出し用の駆動ローラーなどを、ペーパーから離す。そうすることによって、送り出しで発生した片寄りやシワを、自然と取り除くことができる。
あるいは、こきざみに押し付けたり離したりを繰り返しながら、連続的にペーパーを送り出す方法をとることで、片寄りやシワの発生を防ぐことができるのである。
以上が、出願人が調べた、連続的にペーパーを送り出す機構を有する電動ロールペーパー供給装置に関する過去の出願である。
特開平3−264016
特開平4−297213
特開平5−111442
特開平9−75258
特開平9−276178
特開2001−29258
特開平10−5149
特開平11−244189
特開2000−184986
特願2003−192582
連続的にペーパーを送り出す機構を有する電動ロールペーパー供給装置にあっては、出願だけはあるものの、具体的な商品は過去において見たことはなく、そのような記事が載った雑誌記事や印刷物も見たことがない。したがって、非特許文献を探すことはできなかった。
解決しようとする問題点は、従来の、連続的にペーパーを送り出す機構を有する電動ロールペーパー供給装置のほとんどが、ペーパー送り出し用の駆動ローラーと受動ローラーとによってペーパーを常時はさみ込んで送りだそうとしているために、ペーパーとローラー群との平行度がわずかでも狂っていた場合には、ペーパーは少しずつ斜め方向に送り出され、やがては大きなシワや片寄りが発生してしまうなどの不都合が起きている点である。
本発明は、連続的にペーパーを送り出す機構を有する電動ロールペーパー供給装置が、ペーパー送り出し用の駆動ローラーと受動ローラーとによってペーパーを常時はさみ込んで送り出すことにより発生するシワや片寄りを、使用者が、ペーパーの片寄りを直すような方向にペーパーを引くことで、装置を開けることなく、簡単に取り除くためのものである。そのために、従来はペーパー送り出しのときにスリップしないように、駆動ローラーや受動ローラーの表面材料として、摩擦係数が大きなゴムや発泡ゴムあるいは発泡樹脂などを使ったり、スリップ防止の目的で複数の突起や溝を設けた駆動ローラーや受動ローラーなどの送り出し部材でペーパーをしっかりと挟み込んだりしていた。そのような考え方を基本とすることはやめ、駆動装置が縦方向の送り出しを行うときにはスリップしないが、使用者が横方向の力をペーパーに加えたときには、横方向のスリップが発生しやすい、繊維状や薄片状などの素材を、駆動ローラーや受動ローラーあるいは面状部材などの、ペーパーの送り出しに用いる部材表面に配置することを基本とした。そうすることで、送り出し部材によってペーパーを常時はさみ込んで送り出す構造の、連続ペーパー送り出し機構を有する電動ロールペーパー供給装置を提供したときでも、送り出されたペーパーにシワや片寄りが現れた場合には、ペーパーの片寄りを直すような方向に少し斜めにペーパーを引くだけで、装置を開けることもなく、簡単にシワや片寄りを取り除くすることができるようになる。
本発明による連続ペーパー送り出し機構を有する電動ロールペーパー供給装置は、連続して送り出されるペーパーにシワや片寄りを発生させない、というものではない。シワや片寄りを発生させない、という目的で本件出願人は、特願2003−192582を出願している。その特徴は、それまでの発明や考案が、ペーパー送り出し用の駆動ローラーなどに、常時ペーパーを強く押し付けて連続送り出しを行っていたことで不具合が発生していた点に注目し、送り出し部材からペーパーを時々離す、という動作を加えたところにある。連続送り出しが完了したら、その都度、ペーパー送り出し用の駆動ローラーなどを、ペーパーから離す。そうすることによって、送り出しで発生した片寄りやシワを、自然と取り除くことができる。あるいは、こきざみに押し付けたり離したりを繰り返しながら、連続的にペーパーを送り出す方法をとることで、片寄りやシワの発生を防ぐことができるのである。それまでの出願案件は、送り出し用の駆動ローラーと受動ローラーとによってペーパーを常時はさみ込んで連続送り出しを行っても、ペーパーには片寄りもシワも全く発生しないかのように記述がなされている。ありえないことが常識となっていた。本件出願人による特願2003−192582では、ペーパーに発生する片寄りやシワを重大な不具合と考え、それを解決している。しかし残念ながら、構造的にはどうしても複雑にならざるをえなかった。特に、連続送り出しが完了したらその都度ペーパー送り出し用の駆動ローラーなどをペーパーから離す、という動作を簡単な構造で実現するのは難しい。部品点数も増加し、コストも上昇する。故障の発生率も当然上昇する。そして、送り出し用の部材が前進、下降、後退、上昇のサイクルを繰り返す方式にあっては、送り出し用の部材と本体ケース部との間に大きなすき間が発生し、またそのすき間が閉じる、という構造が問題となる。すき間が開けばゴミやホコリが内部に入り、やがては内部の機構部に不具合が発生することになる。すき間が閉じればそこにゴミなどが挟まる危険性もあった。やはり、常時ペーパーを挟んだまま連続送り出しをおこなう従来のような方法をとる方が、構造的にも簡単で、動きを伴う部品も少なく、すき間も少なくて済み、故障する確率も低い。当然、生産も容易である。しかし従来のままでは、必ずペーパーに片寄りやシワが発生してしまい、しかも使用者がそのような片寄りやシワを簡単に直すことはできない。では、どのようにすれば良いのであろうか。その答えが本発明である。本発明による連続ペーパー送り出し機構を有する電動ロールペーパー供給装置では、ペーパーが機械的に常時はさみ込まれたまま連続して送り出される場合には、ペーパーに必ずシワや片寄りが発生する、ということを前提にしている。ここが従来の出願案件と大きく異なる点である。要は、ペーパーに発生したシワや片寄りを、使用者が不便と感じないようなレベルで簡単に取り除ければ、装置の使用にあたっての大きな不具合はないのである。本発明の主体は、縦方向の送り出しを行うときにはスリップしないが、使用者が横方向の力をペーパーに加えたときには、横方向のスリップが発生しやすい、繊維状や薄片状などの素材を、駆動ローラーや受動ローラーなどの送り出し部材表面に配置することにある。そのように構成された、本発明による連続ペーパー送り出し機構を有する電動ロールペーパー供給装置では、ペーパーを常時はさみ込んで送り出すことにより発生するシワや片寄りを、使用者が、ペーパーの片寄りを直すような方向に、少し斜めにペーパーを引くだけで、装置を開けることなく、簡単に取り除くことができるようになる。使用者が斜めにペーパーを引くタイミングは、装置が作動中であっても、停止中であっても構わない。装置が作動中であった場合には、モーターなどの電気駆動装置によって送り出されてくるペーパーのスピードよりも速いスピードで、ペーパーをまっすぐに引き出してやれば、ゆがんだ方向に出てきたペーパーもまっすぐになる。縦方向の送り出しを行うときにはスリップしないような性質を持たせた繊維状や薄片状などの素材を、駆動ローラーや受動ローラーなどの送り出し部材表面に配置してあるので、送り出しのスピードよりも速いスピードで、ペーパーを引き出したときには、配置された繊維状や薄片状などの素材は簡単に送り出し方向に倒れ込み、ペーパーをスリップさせ通過させてくれる。同時に、配置された繊維状や薄片状などの素材は、ペーパーの進行方向を縦とすれば、横方向にもわずかに倒れ込むので、使用者がペーパーを斜めに引っ張った場合には、その方向に倒れ込み、ペーパーを横方向にスリップさせ、シワや片寄りを取り除いてくれる。装置が停止中であった場合には、好きな速さでペーパーをまっすぐに引き出してやれば良い。ペーパーを引き出したときには、配置された繊維状や薄片状などの素材は簡単に送り出し方向に倒れ込み、ペーパーをスリップさせ自由に通過させてくれる。従来の出願案件の中には、駆動ローラーにワンウェイクラッチを取り付けて、電池切れなどで装置が停止中であった場合でもペーパーを引き出すことができる、というような記述もあったが、駆動ローラーと受動ローラーとによって挟み込まれたペーパーは、横方向には容易にスリップできないので、それだけではペーパーに発生したシワや片寄りを簡単に取り除くことはできない。本発明により、ペーパー送り出し用の部材によって常に挟み込まれているペーパーが、送り出し装置の中で、作動中であっても停止中であっても、縦にも横にも動くことができるようになる。これにより、使用者がペーパーをまっすぐにする方向に引くだけで、ペーパーに発生したシワや片寄りを、いつでも簡単に取り除くことが可能となる。
ペーパー送り出し用の部材によって常に挟み込まれているペーパーは、やがては大きな片寄りを起こしてシワが発生してしまう、という従来の発明が有していた欠点を改善するという目的を、単純な構成で実現したものが図6にて示した実施例である。本件出願人による特願2003−192582では、図6にて示した実施例とよく似た実施例が示してあるが、基本的な考え方にはとても大きな違いがある。特願2003−192582は、やわらかなペーパーにシワを発生させない、あるいは発生させたとしても、常時挟み込んでいる、という状態を適時解除することで、シワや片寄りを装置が自動的に取り除いてくれるというものであった。そして、常時挟み込んでいるという状態を解除してやらない限り、シワや片寄りの発生は防げないし、直せないと考えていた。しかしそれは、あくまでも全自動を実現しようとしていたものであって、使用中に使用者が簡単にシワや片寄りを直すことができるのであれば、全自動でなくても、使用に際しては大きな不具合はない、ということに気づいた。常時挟み込んでいてシワや片寄りが発生してしまう連続送り出し装置であっても、それが、使用中に使用者が簡単にシワや片寄りを直すことができる装置でさえあれば、全自動でなくても大きな不具合はないのである。特願2003−192582を出願してから、もっと簡単な構造でシワを取り除けないものかとずっと考えていたのであるが、およそ2年間を経て、やっと、シワ取りを使用者に簡単にやってもらえる構造でありさえすればそれでよい、ということに気が付いたのである。ペーパーを常時挟み込む方式の連続送り出し装置の構造は、従来の発明でも示されているとおり簡単であるので、シワや片寄りを取り除く、という目的を達成するにあたって、特願2003−192582に示した各種の構造に比べ、本発明による構造はとても簡単なものとなる。コストが下がり、組み立てが容易になり、故障の発生要因も少なくなる。
図6は、本発明の第1の実施例を示したものである。ホルダー基部8の上方には軸部9があり、カバー部材10を支持している。ホルダー基部8の下方にはボックス部11がある。ボックス部11には、モーター12が配置され、モーター12の回転軸にはプーリー13が固定されている。ベルト14によってプーリー15に回転力が伝達される。モーター12が矢印16の方向に回転すると、プーリー15は矢印17の方向に回転する。プーリー15に設けられたカムピン18は、図6においては、最も下降した位置にある。送り出し用部材基部19には、長穴20と長穴21とが設けられていて、それぞれの長穴はピン22とピン23にはまりこんでおり、送り出し用部材基部19は上下方向の往復運動しかできない。送り出し用部材基部19の後方にはカム溝が設けられていて、プーリー15に設けられたカムピン18がカム溝にはいっている。図6においては、送り出し用部材基部19は矢印24の方向に押し下げられている。送り出し用部材基部19の前方平面部には、下方に向かって傾斜しやすい性質を持つ繊維25が植毛されている。ボックス部11の下方部には、刃先部26を移動させるための切断機構が配置されている。
一方、カバー部材10側には、送り出し用補助部材基部27が配置されている。送り出し用補助部材基部27はバネ28によって、常にペーパー側に押されており、ペーパー29を挟み込むのに適したクッション性を生み出している。送り出し用補助部材基部27の平面部には、下方に向かって傾斜しやすい性質を持つ繊維30が植毛されている。繊維30と繊維25とでペーパーを挟み込み、下方へと送り出す準備ができている。
たとえばモーター12が停止しているときに、ペーパー29を矢印31の方向に、使用者が引っ張ったとすると、下方に向かって傾斜しやすい性質を持つ繊維30と繊維25には、ペーパー29の移動を大きく妨げる力はないので、ペーパー29は矢印31の方向に容易に移動できる。モーター12が動いているときであっても、繊維30と繊維25には、ペーパー29を使用者が引っ張ることを大きく妨げる力はないので、ペーパー29を矢印31の方向に容易に移動させることができる。
繊維30と繊維25は、それぞれ面状に配置されている。ペーパー29の幅に等しい必要はないが、およそペーパー29の幅に近い幅を持った面の大きさが好ましい。送り出し用部材となる、面状に配置された繊維25が矢印24の方向に押し下げられると、ペーパー29は繊維25の先端部に引っかかり、引きずられるように矢印31の方向に移動する。すなわちペーパー29は、少しだけ送り出されたことになる。
図7は、モーター12が矢印16の方向にさらに回転し、プーリー15も矢印17の方向にさらに回転した状態を示す。プーリー15に設けられたカムピン18は、図7においては、最も上昇した位置にある。送り出し用部材となる、面状に配置された繊維25が矢印32の方向に押し上げられたのであるが、繊維25は下方に向かって傾斜しているので、ペーパー29の表面に引っかかることはなく、スリップする。一方、送り出し用補助部材基部27の平面部に配置された、下方に向かって傾斜しやすい性質を持つ繊維30は、その繊維先端部をペーパー29の表面に引っかけていて、ペーパー29が戻らないように機能する。この状態からさらにモーター12が矢印16の方向に回転すると、図6のような状態に戻り、次の送り出しが実行される。このサイクルが繰り返され、ペーパーの連続送り出しが行われる。
この場合、連続送り出しではあるものの、ペーパーの動きとしては間欠運動のようなカクカクとした動きとなる。そのような間欠運動的な送り出しも、いかにも機械的でおもしろいのだが、そのような動きを好まないのであれば、スムーズな送り出しを行う方法がある。図6や図7においては、駆動用の繊維25はひとつの面に配置されたものとして述べられていたが、その面を分割して、送り出しの方向に向かって長い形状の長方形を複数個配置したものに変える方法である。たとえば6分割とする。そして、プーリー15とカムピン18の代わりに、クランクシャフトを用いる。クランクの位相は60度ずつずらしてゆく。イメージとしては、1列に並んだ6気筒エンジンに近いものとなる。クランクシャフトが回ると、各ピストンはわずかにずれながら、波打つように規則正しく動く。同様に、分割されて並んだ6枚の駆動版も、わずかにずれながら波打つように規則正しく、送り出し方向の往復運動をおこない、それを繰り返す。収納されたロールペーパーの支持方法が、ロールペーパーの回転を阻害しない良好な支持方法であれば、ペーパーの幅を6分割した程度の幅を持つ駆動版ひとつで十分にペーパーを送り出すことができる。他の駆動版が停止していたり戻しの方向に動いているときでも、6枚の駆動版のうちのひとつは必ずペーパーを送り出す方向に動いている。駆動版すなわち送り出し用部材に配置された繊維25は確実にペーパーの表面にくいつき確実にペーパーを送り出す。これにより間欠運動的な送り出しはなくなり、なめらかな送り出しとなる。6分割までしなくても、3分割でも十分に間欠運動的な送り出しのイメージを取り除くことができる。また6分割としたうえで、1と4、2と5、3と6などという組み合わせで同時駆動させれば、3分割と同じ動きを取り出すことができる。駆動側の面を分割しても、送り出し用補助部材基部27側については面を分割する必要はない。
繊維などの部材が傾斜することができる、とは、常時傾斜している、という意味ではない。必要なときに必要な機能を果たすように傾斜する、という意味である。ほぼ垂直に植毛されたブラシを駆動側に使っても、補助部材側の植毛がペーパーの送り出し方向に十分に傾斜していれば、使用者が手でペーパーを引っ張ったときには、ペーパーに接触している駆動側の植毛部分も引っ張られた方向に傾斜してペーパーをスリップさせることができる。傾斜することができる部材としては、動物の毛、植物の毛、合成繊維、金属製やプラスチック製やゴム製の針状部材などの、繊維状の部材をを用いるのがよい。衣類のホコリ取り用ブラシに用いられている傾斜繊維などは最適の部材である。繊維状部材はおよそ円形状断面を有する。しかし合成繊維などにおいてはその断面形状が多角形や楕円形のものもある。その場合には、繊維というよりも薄片といったほうが適することもある。繊維も薄片も、ペーパーの送り出し方向にはとても傾斜しやすく、そしてペーパーの送り出し方向と交差する方向にも、わずかではあるが容易に傾斜することができる。したがって、使用者がペーパーを斜め横方向に引いたときには、繊維または薄片もその方向にわずかに傾斜し、ペーパーをスリップさせる。このスリップ効果によってペーパーに発生したシワを、使用者が簡単に取り除くことができるのである。
図8は、下方に配置された電動切断機構が働き、ペーパー29が切断された様子が示されている。カムピン18がちょうど中間位置にあって、送り出し用部材基部19も同じく中間位置にある状態が示されている。電磁石33が働くと、移動体34は矢印35の方向に勢いよく移動する。移動体34は初めに紙押さえ部材36と紙押さえ部材37とを押して、カバー部材10の内壁側にペーパー29を押さえ付ける。その後、移動体34はさらに移動して、刃先部26がペーパー29を切断する。切断が完了すると電磁石33への電力供給が止められる。バネ部材38やバネ部材39の働きにより、移動体34は初期位置に戻る。電磁石を用いる切断方法は、ひとつの例であるが、従来の発明に示されているような、ハサミのような構造を持った電動切断装置を用いてもよい。スイッチ40は、プッシュスイッチや赤外線感知スイッチなどである。スイッチ40をオンにすると、ペーパーが一定量だけ送り出されて、自動的に切断され、再び一定量だけ送り出されて、図6や図7にて示された程度だけペーパー端が露出した状態で停止する、というような装置に設けられる。出願人は特許第3456649号にて、装置の外部にスイッチが露出しない方式を発明している。そのような方式をとれば、スイッチ40のようなものは必要ないのであるが、いまだ商品としては身近に存在していない電動ロールペーパー供給装置というものを、イメージ的にわかりやすくするためにスイッチを描いただけである。スイッチの有無は、本発明とは直接的な関係はない。
図9は、本発明の第2の実施例を示したものである。第1の実施例では、送り出し用部材基部を往復直線運動させたが、送り出し用部材基部を往復円弧運動させたものが第2の実施例である。第1の実施例では、モーターの回転力を伝達するのにベルト状の部材を用いているが、第2の実施例では、モーターの回転力を伝達するのにクランク方式を用いている。クランク方式はエンジンなどにも使われており、耐久性に優れていることが知られている。第2の実施例では、ペーパーを円弧状に挟み込む点に特徴がある。直線状に挟み込む第1の実施例では、図8に示すように、凹状の空間部41と空間部42ができてしまう。この空間部41と空間部42は、図6や図7に示すように、大きくなったり小さくなったりする。空間部が小さくなるときにゴミなどを挟み込むこともあるし、カバー部材10を開けたときなどには、その空間部分がへこんで見え、美しさの観点からも好ましくない。それに比べ第2の実施例では、送り出し用部材基部43が円弧状に飛び出るので、図9に示すように、凹状の空間部がない。カバー部材44を開けたときのイメージは、第1の実施例に比べずっとスッキリしたものになる。見た目にスッキリするということは、商品価値が上がるということである。第2の実施例は、耐久性が向上し、イメージ的価値が向上する実施例である。
図9において、送り出し用部材基部43は軸45に取り付けられ、アーム部46を有している。アーム部46には連結部材47の一端が取り付けられ、連結部材47の他の一端はクランクピン48に取り付けられている。モーター49には回転体50が取り付けられ、クランクピン48は回転体50に取り付けられている。図9は、アーム部46が矢印51の方向に引っ張られた状態を示している。このとき、送り出し用部材基部43は軸45を中心に、矢印52の方向に回転している。ペーパー53を送り出す準備が整った状態にある。なお、図6から図8まで描いてきた切断機構は、実質的には本発明とは関係がないので、図示を省略する。
図10において、モーター49が矢印54の方向に回転すると、アーム部46は矢印55の方向に押される。送り出し用部材基部43は軸45を中心に、矢印56の方向に回転する。送り出し用部材基部43の表面部に配置された繊維57にこすり下げられ、ペーパー53は矢印58の方向に送り出される。図9から図10までのサイクルが繰り返され、ペーパーの連続送り出しが行われる。
図9と図10においては、送り出し用部材基部43を凸状円弧にしてあるが、凹状円弧にすることもできる。図6における長穴20と長穴21とを凹状円弧に沿った長穴とし、カムピン18の取り付け位置を変えて、振り幅を少し大きくしてあげればよい。そのような改訂に合わせて、ボックス部11の面形状を一部凹面形状に変えたり、送り出し用補助部材基部27の表面形状を凹面形状に変えたりすれば、目的は達成される。ホルダー基部側かカバー部材側か、どちら側に凸があるのかは問題ではない。また、凸側を駆動させるのか凹側を駆動させるのかも問題ではなく、カバー部材側に小型の駆動源を配置する方式としても構わない。
図11は、本発明の第3の実施例を示したものである。図10における送り出し用部材基部43の外周円弧部を延長して回転体にしたものである。ホルダー基部の形状やモーターの位置などにも、多少の変更が加えられている。回転体である送り出し用部材基部59の外周部には、ペーパーの送り出し方向やペーパーの送り出し方向と交差する方向に傾斜することができる繊維60が面状に配置されている。モーター61の駆動力を伝達する方式は、第1の実施例と同じく、プーリーとベルトを利用した方式である。駆動力を伝達する方式は、ギア群を利用する方式であってもよく、方式を限定するものではない。回転体である送り出し用部材基部59が矢印62の方向に回転すると、ペーパー63は矢印64の方向に送り出される。切断機構は、図示を省略している。回転体である送り出し用部材基部59の直径は、図11に図示されたものよりも小さくてもよい。また、細い2本の回転体を少し離して配置し、その2本の回転体にエンドレスベルトをかけ、エンドレスベルトの表面に、ペーパーの送り出し方向やペーパーの送り出し方向と交差する方向に傾斜することができる繊維を配置してもよい。エンドレスベルトを使う場合、挟み込みの相手部材である送り出し用補助部材の表面形状は平面形状でもよい。そして少なくとも、細い2本の回転体のいずれか一方をモーターで駆動してやれば、エンドレスベルトは回転し、ペーパーを送り出す。図11においては、カバー部材65側に配置された送り出し用補助部材66には、ペーパーの送り出し方向やペーパーの送り出し方向と交差する方向に傾斜することができる繊維67が面状に配置されているが、送り出し用部材が一定の方向にしか回転しない方式をとる場合には、繊維67はなくてもよい。エンドレスベルトを用いる場合も同様である。ひとつの回転体を用いてペーパーを送り出すことと、ふたつの回転体とエンドレスベルトとを用いてペーパーを送り出すことは、本発明においては機能的に同義である。
これまでの説明において、面状に配置されている、という書き方をしてきたが、必要な面部分の全域について均一に配置されている、という意味ではない。ペーパーの送り出し方向やペーパーの送り出し方向と交差する方向に傾斜することができる繊維や薄片が、ペーパーを送り出すことができる程度に、適当な面積をもって配置されていれば十分である。カバー部材を開いたときに、送り出し用部材が面状に露出するのであるが、たとえば、露出する面の大きさが、幅10センチメートル、縦3センチメートルであったとするとき、幅1センチメートル、縦2センチメートルのブロック状範囲に植毛をおこない、そのブロックを1センチメートルずつ離して横に5個並べる、などとすることができる。すなわち縦縞が5本見えるような植毛状態となる。あるいは幅を5ミリメートルとし、縦縞が10本見えるような植毛状態としてもよい。植毛される繊維や薄片が硬めの材質である場合、全面に密集させて植毛してしまうと、ペーパーの送り出し方向に傾斜させて植毛したとしても、ペーパーを横方向に引こうとしても、植毛された繊維や薄片はペーパーの送り出し方向と交差する方向に傾斜することが困難になる。そうなるとペーパーは横方向へのスリップができないので、シワを簡単に取り除くことができないことになる。植毛される繊維や薄片が硬めの材質である場合には、幅1ミリメートルから幅2ミリメートルくらいの縦縞がたとえば20本程度見えるような植毛状態にしてやれば、多少硬めの繊維や薄片であっても、ペーパーの送り出し方向と交差する方向に容易に傾斜することができるようになる。縦縞は必ずしも垂直である必要はなく、斜めに傾いたものでもよく、交差した格子状模様となってもよい。目的の機能が果たせる範囲で、コストと作りやすさなどから、繊維や薄片の材質を決め、選んだ材質にふさわしい配置方法で面に配置すればよい。
送り出し用部材を往復運動させる方式においては、駆動源に、モーターの代わりに電磁石を使うこともできる。大きく振動するブザーのような構造の、送り出し用部材駆動機構を用いれば、とても薄い送り出し用部材駆動機構となるので、装置が小型化できる。モーターを用いずに小型化された送り出し機構は、たとえば図5の従来例のように、ペーパーの前方に配置することもできる。本発明により、ペーパー送り出し装置の薄型化が簡単になるので、電動ロールペーパー供給装置のデザイン自由度が高くなる。
従来の発明を示した公報の一部をコピーし、数字などを修正した図である。
従来の発明を示した公報の一部をコピーし、数字などを修正した図である。
従来の発明を示した公報の一部をコピーし、数字などを修正した図である。
従来の発明を示した公報の一部をコピーし、数字などを修正した図である。
従来の発明を示した公報の一部をコピーし、数字などを修正した図である。
本発明の実施方法を示した説明図である。(実施例1)
本発明の実施方法を示した説明図である。(実施例1)
本発明の実施方法を示した説明図である。(実施例1)
本発明の実施方法を示した説明図である。(実施例2)
本発明の実施方法を示した説明図である。(実施例2)
本発明の実施方法を示した説明図である。(実施例3)
符号の説明
駆動ローラー1、受動ローラー2、モーター3、駆動ローラー4、受動ローラー5、駆動ローラー6、受動ローラー7、ホルダー基部8、軸部9、カバー部材10、ボックス部11、モーター12、プーリー13、ベルト14、ーリー15、矢印16、矢印17、カムピン18、送り出し用部材基部19、長穴20、長穴21、ピン22、ピン23、矢印24、繊維25、刃先部26、送り出し用補助部材基部27、バネ28、ペーパー29、繊維30、矢印31、矢印32、電磁石33、移動体34、矢印35、部材36、紙押さえ部材37、バネ部材38、バネ部材39、スイッチ40、空間部41、空間部42、送り出し用部材基部43、カバー部材44、軸45、アーム部46、、連結部材47、クランクピン48、モーター49、回転体50、矢印51、矢印52、ペーパー53、矢印54、矢印55、矢印56、繊維57、矢印58、送り出し用部材基部59、繊維60、モーター61、矢印62、ペーパー63、矢印64、カバー部材65、送り出し用補助部材66、繊維67