JP4593351B2 - 車体傾斜角検出装置 - Google Patents

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Description

本発明は、車体に対して上下稼動する車軸を繋ぐサスペンションアームに、重力を基準にした傾斜角センサーを配設して車体の傾斜角を検出する車体傾斜角検出装置に関する。
従来より、車両に設置した傾斜角センサーから取得した路面の水平面に対する傾斜状態と車高センサーから取得した車高に基づいて算出した路面に対する傾斜状態に基づいて車両が路面に対して傾斜していた場合にも、路面の水平面に対する車両の傾斜状態を正確に検出する技術が開示されている(例えば、特許文献1)。
また、車体の傾斜角を検出する装置も開示されている(例えば、特許文献2及び特許文献3)。更に、車体の傾斜状態によって光軸調整をする装置も開示されている(例えば、特許文献4)。
そして、ストロークセンサーを用いて路面との傾斜状態を検出する装置(例えば、特許文献5)、超音波センサーを用いて路面との傾斜状態を検出する装置など(例えば、特許文献6、特許文献7及び特許文献8)が開示されている。
特開平7−63555号公報 特開2001−074449号公報 特開2002−005657号公報 特開2000−085459号公報 特開平11−105620号公報 実開平06−072740号公報 特開2003−118476号公報 特開2004−359175号公報
上記従来の車体の傾斜角を検出する装置では、路面との傾斜状態を検出できなかったり、路面との傾斜状態を検出可能であっても、リンク軸の錆び、石跳ね、氷着などによりセンサーが故障する可能性が高く、傾斜角を検出できない場合があった。
一方、近年、デバイス化された傾斜角センサーが市場に出始めており、車高センサーを用いず傾斜角センサーのみの使用によって車両の傾斜状態を検出する方法が望まれる。
よって、本発明の目的は、安価で信頼性の高い車体傾斜角検出装置を提供することである。
上記課題を解決するため、本発明は、車輪への荷重によって可動するサスペンション機構を備えた車両の車高を検出する車体傾斜角検出装置において、車体中央と、該車体に対して上下可動する車軸を繋ぐ少なくとも1つのサスペンションアームの夫々に配設した傾斜角センサーと、空気圧の異常を知らせる空気圧アラーム装置と、前記傾斜角センサーから入力される傾斜角と、予め水平路にて該傾斜角センサーから取得しておいた初期値とを用いて前記車体中央の傾斜角変化量を演算し、タイヤが正常であると仮定して該演算した車体中央の傾斜角変化量とは逆の傾きを持つように前記サスペンションアームの傾斜角変化量を演算し、該演算したサスペンションアームの傾斜角変化量に基づいて車輪のタイヤ空気圧低下を検出して、前記空気圧アラーム装置へ通知する演算装置と、を有するように構成される。
本発明によれば、車体の傾斜角の検出精度を向上させることが可能となる。
本願発明は、車体に対して上下稼動する車軸を繋ぐサスペンションアームに、重力を基準にした傾斜角センサーを配設するため、車体の傾斜角の検出精度を向上させることができる。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
まず、信頼性の高い路面との傾斜角を検出するための重力を基準にした傾斜角センサーの設置位置について説明する。20Gから30G程度の重力に耐えうる高耐久性の傾斜角センサーを用いる。例えば、高耐久性の半導体を用いてデバイス化された傾斜角センサーなどが用いられる。以下、傾斜角センサーを単にセンサーとも言う。
図1は、車体フロント側の傾斜角センサーの配設を示す図である。図1において、車体1のフロント側に3つの傾斜角センサーを配設する例が示される。また、初期値を取得するための車両が空車で停止している場合の状態が図1(A)に示され、積車後の停止している場合の状態が図1(B)に示される。
図1(A)において、車体1のフロントに向かって左側のタイヤ4aの車軸と車体1とを結合させるサスペンションアーム2aは、ジョイントAでタイヤ4aの車軸と結合し、ジョイントA0で車体1と結合しており、例えば、内部にダンパーを設けたコイルスプリング3aが備えられる。サスペンションアーム2aの長さはLFLで示される。
同様に、車体1のフロントに向かって右側のタイヤ4bの車軸と車体1とを結合させるサスペンションアーム2bは、ジョイントBでタイヤ4bの車軸と結合し、ジョイントB0で車体1と結合しており、例えば、内部にダンパーを設けたコイルスプリング3bが備えられる。サスペンションアーム2aの長さはLFRで示される。
センサー11は、ジョイントA0が位置するサスペンションアーム2a上に設置されるのが好ましい。また、センサー12は、車体1の底部のフロント側に設置される。更に、センサー13は、ジョイントB0が位置するサスペンションアーム2b上に設置されるのが好ましい。
センサー11、12及び13は、横方向の傾斜を測定し、その測定結果として空車時のフロント左側の傾斜角θFLAs、空車時のフロント中央の傾斜角θFCs、及び空車時のフロント右側の傾斜角θFRBsとを車体傾斜角検出装置(後述)へと出力する。出力されたこれら傾斜角θFRAs、θFCs及びθFRBsに基づいて、車体傾斜角検出装置によって空車時のアーム角度が算出され、その算出されたアーム角度は車体傾斜角検出装置内のメモリに格納され保持される。
空車時のアーム角度は、次のように算出される。空車時の車両フロントに向かって左側のアーム角度を空車フロント左アーム角度θFLA、及び、空車時の車両フロントに向かって右側のアーム角度を空車フロント右アーム角度θFRBとすると、
θFLA = θFLAs − θFCs (1)
θFRB = θFRBs − θFCs (2)
によって算出される。つまり、式(1)より、空車時のフロント左側の傾斜角θFLAsから空車時のフロント中央の傾斜角θFCsを減算することによって、空車フロント左アーム角度θFLAが算出される。また、式(2)より、空車時のフロント右側の傾斜角θFRBsから空車時のフロント中央の傾斜角θFCsを減算することによって、空車フロント右アーム角度θFRBが算出される。
空車時のフロントのアーム角度の算出は、例えば、車両が出荷される際に行われる。
図1(B)において、積車後の停止している場合の状態が示されており、積車によって図1(A)のジョイントAの空車時からの高さが変動するため、便宜上ジョイントA’として示している。同様に図1(A)のジョイントBの空車時からの高さが変動するため、便宜上ジョイントB’として示している。また、コイルスプリング3aのばね定数をKFL、コイルスプリング3bのばね定数をKFRとして示している。
積車後の車体1の状態でセンサー11、12及び13からは、夫々、積車時のフロント左側の傾斜角θFLAs’、積車時のフロント中央の傾斜角θFCs’、及び積車時のフロント右側の傾斜角θFRBs’とが車体傾斜角検出装置(後述)へと出力される。出力されたこれら傾斜角θFRAs’、θFCs’及びθFRBs’に基づいて、車体傾斜角検出装置によって積車時のアーム角度が算出され、その算出されたアーム角度は車体傾斜角検出装置内のメモリに一時的に格納される。
積車時のアーム角度は、次のように算出される。積車時の車両フロントに向かって左側のアーム角度を積車フロント左アーム角度θFLA’、及び、積車時の車両フロントに向かって右側のアーム角度を積車フロント右アーム角度θFRB’とすると、
θFLA’ = θFLAs’ − θFCs’ (3)
θFRB’ = θFRBs’ − θFCs’ (4)
によって算出される。つまり、式(3)より、積車時のフロント左側の傾斜角θFLAs’から積車時のフロント中央の傾斜角θFCs’を減算することによって、積車フロント左アーム角度θFLA’が算出される。また、式(4)より、積車時のフロント右側の傾斜角θFRBs’から積車時のフロント中央の傾斜角θFCs’を減算することによって、積車フロント右アーム角度θFRB’が算出される。
積車時のフロントのアーム角度の算出は、例えば、エンジン始動のスイッチがオンを検出した場合などに行われる。
図2は、車体フロント側のサスペンションアームの上下変化量を説明するための図である。サスペンションアーム2aの上下変化の状態が図2(A)に示され、サスペンションアーム2bの上下変化の状態が図2(B)に示される。
図2(A)において、図1(A)に示される空車時の状態から図1(B)に示される積車時の状態へのサスペンションアーム2aの上下変化量は、ジョイントAからジョイントA’への高さ(フロント左輪上下変化量)HFLとして示される。車体傾斜角検出装置によってフロント左輪上下変化量HFLは、次のように算出される。
HFL = LFL × sin(θFLA − θFLA’) (5)
式(5)より、空車フロント左アーム角度θFLAから積車フロント左アーム角θFLA’を減算した角度のサイン(正弦)にサスペンションアーム2aの長さLFLを乗算することによって、フロント左輪上下変化量HFLが算出される。
図2(B)において、図1(A)に示される空車時の状態から図1(B)に示される積車時の状態へのサスペンションアーム2bの上下変化量は、ジョイントBからジョイントB’への高さ(フロント右輪上下変化量)HFRとして示される。車体傾斜角検出装置によってフロント右輪上下変化量HFLは、次のように算出される。
HFR = LFR × sin(θFRB − θFRB’) (6)
式(6)より、空車フロント右アーム角度θFRBから積車フロント右アーム角θFRB’を減算した角度のサイン(正弦)にサスペンションアーム2bの長さLFRを乗算することによって、フロント左輪上下変化量HFRが算出される。
従って、車体1のフロント側の車高の変化量は、フロント車高変化量HFとして次のように算出される。
HF = (HFL + HFR) / 2 (7)
式(7)より、フロント左輪上下変化量HFLとフロント右輪上下変化量HFRとの平均をとることによって、フロント車高変化量HFが算出される。
よって、車体1のフロント左側の車輪荷重変化を示すフロント左輪荷重変化量WFLと、車体1のフロント右側の車輪荷重変化を示すフロント右輪荷重変化量WFRとは、次のように算出される。
WFL = HFL × KFL (8)
WFR = HFR × KFR (9)
式(8)より、フロント左輪上下変化量HFLにフロント左のばね定数KFLを乗算することによって、フロント左輪荷重変化量WFLが算出される。
また、式(9)より、フロント右輪上下変化量HFRにフロント右のばね定数KFRを乗算することによって、フロント右輪荷重変化量WFLが算出される。
図3は、サスペンションアーム上のセンサーの配設を拡大して示す図である。図3において、車体1側のロッド9とサスペンションアーム2aとが結合されるジョイントA0の上部のサスペンションアーム2a上にセンサー11が配設される。サスペンションアーム2aの車体1側の付け根にセンサー11を配設することによって、車体1の走行時に発生する路面からの振動の影響を低減することができる。センサー13についても同様である。
図4は、車体リア側の傾斜角センサーの配設を示す図である。図4において、車体1のリア側に3つの傾斜角センサーを配設する例が示される。また、初期値を取得するための車両が空車であって停止している場合の状態が図4(A)に示され、積車後の停止している場合の状態が図4(B)に示される。
図4(A)において、車体1のリアに向かって左側のタイヤ4aの車軸と車体1とを結合させるサスペンションアーム2aは、ジョイントAでタイヤ4aの車軸と結合し、ジョイントC0で車体1と結合しており、例えば、内部にダンパーを設けたコイルスプリング3cが備えられる。サスペンションアーム2cの長さはLRLで示される。
同様に、車体1のリアに向かって右側のタイヤ4dの車軸と車体1とを結合させるサスペンションアーム2dは、ジョイントDでタイヤ4dの車軸と結合し、ジョイントD0で車体1と結合しており、例えば、内部にダンパーを設けたコイルスプリング3dが備えられる。サスペンションアーム2dの長さはLRRで示される。
センサー21は、ジョイントC0が位置するサスペンションアーム2c上に設置されるのが好ましい。また、センサー22は、車体1の底部のリア側に設置される。更に、センサー23は、ジョイントD0が位置するサスペンションアーム2d上に設置されるのが好ましい。
センサー21、22及び23は、横方向の傾斜を測定し、その測定結果として空車時のリア左側の傾斜角θRLAs、空車時のリア中央の傾斜角θRCs、及び空車時のリア右側の傾斜角θRRBsとを車体傾斜角検出装置(後述)へと出力する。出力されたこれら傾斜角θRRAs、θRCs及びθRRBsに基づいて、車体傾斜角検出装置によって空車時のアーム角度が算出され、その算出されたアーム角度は車体傾斜角検出装置内のメモリに格納され保持される。
空車時のアーム角度は、次のように算出される。空車時の車両リアに向かって左側のアーム角度を空車リア左アーム角度θRLA、及び、空車時の車両リアに向かって右側のアーム角度を空車リア右アーム角度θRRBとすると、
θRLA = θRLAs − θRCs (10)
θRRB = θRRBs − θRCs (11)
によって算出される。つまり、式(10)より、空車時のリア左側の傾斜角θRLAsから空車時のリア中央の傾斜角θRCsを減算することによって、空車リア左アーム角度θRLAが算出される。また、式(11)より、空車時のリア右側の傾斜角θRRBsから空車時のリア中央の傾斜角θRCsを減算することによって、空車リア右アーム角度θRRBが算出される。
空車時のリアのアーム角度の算出は、例えば、車両が出荷される際に行われる。
図4(B)において、積車後の停止している場合の状態が示されており、積車によって図4(A)のジョイントCの空車時からの高さが変動するため、便宜上ジョイントC’として示している。同様に図4(A)のジョイントDの空車時からの高さが変動するため、便宜上ジョイントD’として示している。また、コイルスプリング3cのばね定数をKRL、コイルスプリング3dのばね定数をKRRとして示している。
積車後の車体1の状態でセンサー21、22及び23からは、夫々、積車時のリア左側の傾斜角θRLAs’、積車時のリア中央の傾斜角θRCs’、及び積車時のリア右側の傾斜角θRRBs’とが車体傾斜角検出装置(後述)へと出力される。出力されたこれら傾斜角θRRAs’、θRCs’及びθRRBs’に基づいて、車体傾斜角検出装置によって積車時のアーム角度が算出され、その算出されたアーム角度は車体傾斜角検出装置内のメモリに一時的に格納される。
積車時のアーム角度は、次のように算出される。積車時の車両リアに向かって左側のアーム角度を積車リア左アーム角度θRLA’、及び、積車時の車両リアに向かって右側のアーム角度を積車リア右アーム角度θRRB’とすると、
θRLA’ = θRLAs’ − θRCs’ (12)
θRRB’ = θRRBs’ − θRCs’ (13)
によって算出される。つまり、式(12)より、積車時のリア左側の傾斜角θRLAs’から積車時のリア中央の傾斜角θRCs’を減算することによって、積車リア左アーム角度θRLA’が算出される。また、式(13)より、積車時のリア右側の傾斜角θRRBs’から積車時のリア中央の傾斜角θRCs’を減算することによって、積車リア右アーム角度θRRB’が算出される。
積車時のリアのアーム角度の算出は、例えば、エンジン始動のスイッチがオンを検出した場合などに行われる。
図3での説明と同様に、センサー21及び23は、夫々、サスペンションアーム2c及び2dの車体1側の付け根に配設することによって、車体1の走行時に発生する路面からの振動の影響を低減することができる。
図5は、車体リア側のサスペンションアームの上下変化量を説明するための図である。サスペンションアーム2cの上下変化の状態が図5(A)に示され、サスペンションアーム2dの上下変化の状態が図5(B)に示される。
図5(A)において、図4(A)に示される空車時の状態から図4(B)に示される積車時の状態へのサスペンションアーム2cの上下変化量は、ジョイントCからジョイントC’への高さ(リア左輪上下変化量)HRLとして示される。車体傾斜角検出装置によってリア左輪上下変化量HRLは、次のように算出される。
HRL = LRL × sin(θRLA − θRLA’) (14)
式(14)より、空車リア左アーム角度θRLAから積車リア左アーム角θRLA’を減算した角度のサイン(正弦)にサスペンションアーム2cの長さLRLを乗算することによって、リア左輪上下変化量HRLが算出される。
図5(B)において、図4(A)に示される空車時の状態から図4(B)に示される積車時の状態へのサスペンションアーム2dの上下変化量は、ジョイントDからジョイントD’への高さ(リア右輪上下変化量)HRRとして示される。車体傾斜角検出装置によってリア右輪上下変化量HRLは、次のように算出される。
HRR = LRR × sin(θRRB − θRRB’) (15)
式(15)より、空車リア右アーム角度θRRBから積車リア右アーム角θRRB’を減算した角度のサイン(正弦)にサスペンションアーム2dの長さLRRを乗算することによって、リア左輪上下変化量HRRが算出される。
従って、車体1のリア側の車高の変化量は、リア車高変化量HRとして次のように算出される。
HR = (HRL + HRR) / 2 (16)
式(16)より、リア左輪上下変化量HRLとリア右輪上下変化量HRRとの平均をとることによって、リア車高変化量HRが算出される。
よって、車体1のリア左側の車輪荷重変化を示すリア左輪荷重変化量WRLと、車体1のリア右側の車輪荷重変化を示すリア右輪荷重変化量WRRとは、次のように算出される。
WRL = HRL × KRL (17)
WRR = HRR × KRR (18)
式(17)より、リア左輪上下変化量HRLにリア左のばね定数KRLを乗算することによって、リア左輪荷重変化量WRLが算出される。
また、式(18)より、リア右輪上下変化量HRRにリア右のばね定数KRRを乗算することによって、リア右輪荷重変化量WRLが算出される。
図6は、車両側面を示す図である。図6に示される車両において、タイヤ4a(4b)の車軸からタイヤ4c(4d)の車軸までの幅をHBとすると、車体1の前後の傾斜量(車体前後傾斜量)θpは、車体傾斜角検出装置によって次のように算出される。
θp = ArcTan((HF − HR) / HB) (19)
式(19)より、フロント車高変化量HFからリア車高変化量HRを減算した値を幅HBで除算した結果のアークタンジェントをとることによって、車体前後傾斜量θpが算出される。
更に、車両重量変化量Wは、車体傾斜角検出装置によって次のように算出される。
W = WFL + WFR + WRL + WRR (20)
式(20)より、フロント左輪荷重変化量WFLと、フロント右輪荷重変化量WFRと、リア左輪荷重変化量WRLと、リア右輪荷重変化量WRRとを合計することによって、車両重量変化量Wが算出される。車両重量変化量Wは、例えば、車両がトラックの場合に、予め設定された最大積載量との差が負となる場合に警報を示すなどの処理に使用することができる。
上述において、車体1に取り付けるセンサー12及び22は、車体1の前後ねじれが所定範囲以内である場合には、いずれか一方を配設すればよい。その場合、上述において、空車時のフロント中央の傾斜角θFCsは空車時のリア中央の傾斜角θRCsと同一となり(θFCs = θRCs)、同様に、積車時のフロント中央の傾斜角θFCs’は積車時のリア中央の傾斜角θRCs’と同一となる(θFCs’ = θRCs’)。
図7は、車体傾斜角検出装置の構成を示すブロック図である。図7において、車体1に搭載された車体傾斜角検出装置100は、演算処理を実行するECU(Electronic Control Units)102と、センサー11から13及び21から23からの出力をECU102へとインターフェースするインターフェース103と、ROM及びRAM等によって構成されるメモリ装置104とを有する。
メモリ装置104には、上述した式(1)から(20)を実行するためのプログラム、及び演算処理に必要なデータなどが予め格納されており、また、一部(RAM)が作業領域として使用される。演算処理に必要なデータとして、例えば、サスペンションアーム2aの長さLFL、サスペンションアーム2bの長さLFL、前輪車軸から後輪車軸までの幅HB、及び比較判断に使用される所定値などが予め格納され保持されている。
ECU102は、センサー11から13及び21から23から出力される傾斜角を用いて算出した上記式(1)から(20)の結果のうち必要とする値を、傾斜角に応じて光軸を変化させる前照灯光軸制御装置201、過積載の警報を表示する重量アラーム装置202、左右のバランス異常を警報するロール警報装置203、空気圧が異常であることを警報する空気圧アラーム装置204へと出力する。
図8は、車両の傾斜状態に関する処理について説明するためのフローチャート図である。ECU102は、例えば、出荷時などに人為的に空車状態であることを示す信号を車体傾斜角検出装置100へ入力することにより、また、エンジン開始などのキーオンによって、車両の傾斜状態に関する処理を開始する。
図8において、ECU102は、空車状態での傾斜角の学習(取得)か否かを判断する(ステップS11)。例えば、出荷時などに人為的に空車状態であることを示す信号の入力によって、ECU102は空車状態であることを認識するようにしても良い。或いは、ECU102がメモリ装置104内の空車状態での傾斜角を格納する所定領域を参照し、オールゼロなどの初期値が設定されている場合には空車状態であることを判断するようにしても良い。
ECU102が空車状態であると判断した場合、空車時の各傾斜各センサーから入力される傾斜角をメモリ装置102の所定領域に格納する(ステップS12)。そして、ECU102は、空車時の各アーム角度を演算し(ステップS13)、その演算結果をメモリ装置104へ格納する(ステップS14)。つまり、ECU102は、上述した式(1)、(2)、(10)、及び(11)を算出して、その結果をメモリ装置104の所定領域へ格納する。ECU102は、この車両の傾斜状態に関する処理を終了する。メモリ装置104の所定領域へ格納された空車時の各アーム角度は、必要に応じて以下の処理にて参照される。
一方、エンジン開始などのキーオンによって車両の傾斜状態に関する処理が開始された場合、ECU102は、空車状態での学習ではないと判断して、各傾斜各センサーから入力される傾斜角をメモリ装置102の作業領域に格納する(ステップS15)。そして、ECU102は、各アーム角度を演算する(ステップS16)。ECU102は、上述した式(3)、(4)、(12)、及び(13)を算出して、その結果をメモリ装置104の作業領域へ格納する。
また、ECU102は、各車輪上下変化量を演算する(ステップS17)。ECU102は、上述した式(5)、(6)、(14)、及び(15)を算出して、その結果をメモリ装置104の作業領域へ格納する。
また、ECU102は、フロント車高変化量を演算する(ステップS18)。ECU102は、上述した式(7)を算出して、その結果をメモリ装置104の作業領域へ格納する。
また、ECU102は、リア車高変化量を演算する(ステップS19)。ECU102は、上述した式(16)を算出して、その結果をメモリ装置104の作業領域へ格納する。
また、ECU102は、前後車体傾斜量を演算する(ステップS20)。ECU102は、上述した式(19)を算出して、その結果をメモリ装置104の作業領域へ格納する。
また、ECU102は、各車輪荷重変化量を演算する(ステップS21)。ECU102は、上述した式(8)、(9)、(17)、及び(18)を算出して、その結果をメモリ装置104の作業領域へ格納する。
また、ECU102は、車両重量変化量を演算する(ステップS22)。ECU102は、上述した式(20)を算出して、その結果をメモリ装置104の作業領域へ格納する。
更に、ECU102は、演算した結果を必要とする各装置へ出力処理を行う(ステップS23)。例えば、ECU102は、光軸制御に必要な情報である前後車体傾斜量を前照灯光軸制御装置201へ出力する。また、ECU102は、積載量超過を警告及び/又は表示するために必要な情報である車両重量変化量を重量アラーム装置202へ出力する。更に、ECU102は、左右のバランスに基づくロール警報に必要な情報である各アーム角度をロール警報装置203へ出力する。
各種制御に必要となる情報を出力後、ECU102は、メモリ装置104の作業領域を初期化して、この車両の傾斜状態に関する処理を終了する。
次に、タイヤの空気圧減少を検出する方法について説明する。以下、説明の便宜のため、フロント及びリアでの構成部品及び処理は同様であるので、総称して説明するが、各処理は、フロント側とリア側にて夫々成されるものとする。
図9は、タイヤ空気圧減少を検出する方法について説明するための図である。図9において、図1及び図4におけるセンサー11及び21は左センサー31で総称され、センサー12及び22は中央センサー32で総称され、センサー13及び23は右センサー33で総称され、センサー11及び21が出力する傾斜角θFLAs及びθRLCsは傾斜角θLsで総称され、センサー12及び22が出力する傾斜角θFCs及びθRCsは傾斜角θCsで総称され、センサー13及び23が出力する傾斜角θFRBs及びθRRDsは傾斜角θRsで総称される。また、図1及び図4におけるサスペンションアーム2a及び2cは左サスペンションアーム32aで総称され、サスペンションアーム2b及び2dは右サスペンションアーム32aで総称される。更に、図1及び図4におけるタイヤ4a及び4cは左タイヤ34aで総称され、タイヤ4b及び4cは右タイヤ34bで総称される。
予め、水平路にて傾斜角θLs、θCs、及びθRsを取得する様子が図9(A)に示される。取得した水平路での傾斜角θLs、θCs、及びθRsはタイヤ空気圧減少検出用の初期値としてメモリ装置104のタイヤ空気圧減少検出用の所定領域に格納され保持される。
左タイヤ34aがパンクなどにより空気圧が減少している状態が図9(B)に示される。各センサー31、32、及び33によって車体傾斜角検出装置100に傾斜角θLs’、θCs’、及びθRs’が通知されると、傾斜角変化量θL、θC、及びθRが次ぎのように算出される。
θL = θLs’ − θLs (21)
θC = θCs’ − θCs (22)
θR = θRs’ − θRs (23)
式(22)によって算出された傾斜角変化量θCに基づいて、タイヤが正常であると仮定した場合の状態が図9(C)に示される。予測傾斜角変化量θLZ及びθRZが、傾斜角変化量θCに基づいて算出される。タイヤが正常である場合、車体1の傾き(傾斜角変化量θC)とは逆の傾きをもつと仮定することによって、予測傾斜角変化量θLZ及びθRZが予測可能となる。
図10は、タイヤ空気圧減少を検出する処理を説明するためのフローチャート図である。図10において、車体傾斜角検出装置100のECU102は水平路であるか否かを判断する(ステップS51)。水平路でない場合、この処理を終了する。一方、水平路である場合、ECU102は、傾斜角変化量θCが傾き定数を超えたか否かを判断する(ステップS52)。傾き定数は、予めメモリ装置104の所定領域に格納されている。傾き定数を超えていない場合、この処理を終了する。
一方、越えている場合、ECU102は傾斜角変化量θCをとる正常な場合を想定して、予測傾斜角変化量θLZ及びθRZを予測する(ステップS53)。そして、ECU102は、予測傾斜角変化量θLZと傾斜角変化量θLとの絶対値又は予測傾斜角変化量θRZと傾斜角変化量θRとの絶対値が所定値以上であるか否かを判断する(ステップS4)。いずれも所定値以内である場合、この処理を終了する。
一方、いずれかが所定値以上である場合、ECU102は空気圧アラーム装置204へ空気圧が異常であることを通知することによってアラームを出力して(ステップS55)、この処理を終了する。
セミトレーリングアームでの傾斜角センサーの配設例について図11で説明する。図11では、傾斜角センサーの配置を軸方向を示す矢印によって配設位置を示している。フロント側及びリア側で合計6個の傾斜角センサーを配置する場合の例が図11(A)に示される。図11(A)において、タイヤ72a側のセミトレーリング71a上に車両の前後方向を軸とする傾斜角センサーを1つ、タイヤ72b側のセミトレーリング71b上に車両の前後方向を軸とする傾斜角センサーを1つ、更に、サブフレーム71の中心に車両の前後方向を軸とする傾斜角センサーを1つ配設する。フロント側とリア側とにこのように配設することによって、車両全体で6個の傾斜角センサーを配設する。
次に、フロント側及びリア側で合計8個の傾斜角センサーを配置する場合の例が図11(B)に示される。図11(B)において、タイヤ72a側のセミトレーリング71a上に軸方向がサブフレーム71に対して略直角になるように傾斜角センサーを1つ、タイヤ72b側のセミトレーリング71b上に軸方向がサブフレーム71に対して略直角になるように傾斜角センサーを1つ、更に、サブフレーム71の左側に軸方向がサブフレーム71の中心から左側へと延在する方向に対して略直角にように傾斜角センサーを1つ、サブフレーム71の右側に軸方向がサブフレーム71の中心から右側へと延在する方向に対して略直角になるように傾斜角センサーを1つ配設する。フロント側とリア側とにこのように配設することによって、車両全体で8個の傾斜角センサーを配設する。左右の傾斜角の値の精度をより向上させることができる。
次に、サスペンションアームがラテラルロッドである場合の傾斜角センサーの配設の例について図12で説明する。ラテラルロッドが適用される例としてトラックのような車両が考えられる。ラテラルロッドが適用されるトラックの上面が図12(A)に示される。このようなトラックのフロント側の側面が図12(B)に示される。また、リア側の側面が図12(C)に示される。図12(B)及び図12(C)では、上下を矢印で示す。
図12(A)及び図12(B)を参照すると、メインフレーム51のフロント側に備えられるラテラルロッド50aには1軸センサー60bが配設され、この1軸センサー60bの車両幅に対して反対側メインフレーム51上に2軸センサー60aが配設される。また、このラテラルロッド50aは、タイヤ53の車軸56上に備えられている。
図12(A)及び図12(C)を参照すると、メインフレーム51のリア側に備えられるラテラルロッド50cには1軸センサー60dが配設され、この1軸センサー60dの車両幅に対して反対側メインフレーム51上に2軸センサー60cが配設される。また、このラテラルロッド50bは、タイヤ52の車軸55上かつアクスルハウジング54上に備えられている。
本実施例より、本発明に係る車体傾斜角検出装置100は、車両のサスペンションの可動アームの傾斜と車体1の傾斜状態とを比較して算出するものであり、サスペンション機構に車高と連動して動く可動アームがある車両に適用可能である。
例えば、車体横方向の傾斜による検出方法を説明したが、サスペンション可動アームの回転軸に直角に傾斜角センサーを設置することによって、よりセンサーの精度を向上させることが可能である。
サスペンションに可動アーム機構を持たないリジットアクスルタイプのサスペンションでは、ラテラルロッド、リーフスプリング、イコライザー、ドルクロッドの傾斜角による検出も可能である。
(付記1)
車輪への荷重によって可動するサスペンション機構を備えた車両の車高を検出する車体傾斜角検出装置において、
車体と、該車体に対して上下可動する車軸を繋ぐ少なくとも1つのサスペンションアームの夫々に傾斜角センサーを配設し、
前記傾斜角センサーから入力される角度を用いて、前記車体の傾斜角と前記サスペンションアームの傾斜角とを演算することによって、路面に対する車体の車高を検出することを特徴とする車体傾斜角検出装置。
(付記2)
左右両方のサスペンションアームに傾斜角センサーを配設し、
前記車体の傾斜角と、前記左右両方のサスペンションアームの夫々の傾斜角とを演算することによって、路面に対する車体の車高を検出することを特徴とする付記1記載の車体傾斜角検出装置。
(付記3)
前輪及び後輪の両方のサスペンションアームに傾斜角センサーを配設し、
前記車体の傾斜角と、前記前輪及び後輪の両方のサスペンションアームの夫々の傾斜角とを演算することによって、路面に対する車体の車高を検出することを特徴とする付記1又は2記載の車体傾斜角検出装置。
(付記4)
前輪の左右輪及び後輪の左右輪のサスペンションアームに傾斜角センサーを配設し、
前記車体の傾斜角と、前記前輪の左右輪及び前記後輪の左右輪のサスペンションアームの夫々の傾斜角とを演算することによって、路面に対する車体の車高を検出することを特徴とする付記1乃至3のいずれか一項記載の車体傾斜角検出装置。
(付記5)
前記車体の前照灯の光軸を制御する前照灯光軸制御手段へ演算結果を出力することを特徴とする付記1乃至4のいずれか一項記載の車体傾斜角検出装置。
(付記6)
前記演算した夫々の傾斜角から前記車両の重量を演算し、その演算結果を過載積の警報をする重量アラーム装置へ出力することを特徴とする付記1乃至5のいずれか一項記載の車体傾斜角検出装置。
(付記7)
前記演算した夫々の傾斜角を、ロール警報を行うロール警報装置へ出力することを特徴とする付記1乃至6のいずれか一項記載の車体傾斜角検出装置。
(付記8)
前記演算した夫々の傾斜角に基づいて車輪のタイヤ空気圧低下を検出し、空気圧の異常を知らせる空気圧アラーム装置へ出力することを特徴とする付記1乃至7のいずれか一項記載の車体傾斜角検出装置。
(付記9)
前記傾斜角センサーは、半導体を用いてデバイス化された傾斜角センサーであることを特徴とする車体傾斜角検出装置。
本発明は、具体的に開示された実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲から逸脱することなく、種々の変形や変更が可能である。
車体フロント側の傾斜角センサーの配設を示す図である。 車体フロント側のサスペンションアームの上下変化量を説明するための図である。 サスペンションアーム上のセンサーの配設を拡大して示す図である。 車体リア側の傾斜角センサーの配設を示す図である。 車体リア側のサスペンションアームの上下変化量を説明するための図である。 車両側面を示す図である。 車体傾斜角検出装置の構成を示すブロック図である。 車両の傾斜状態に関する処理について説明するためのフローチャート図である。 タイヤ空気圧減少を検出する方法について説明するための図である。 タイヤ空気圧減少を検出する処理を説明するためのフローチャート図である。 傾斜角センサーの配置を軸方向を示す矢印によって配設位置を示す図である。 サスペンションアームがラテラルロッドである場合の傾斜角センサーの配設の例を示す図である。
符号の説明
1 車体
11、12、13 センサー
21、22、23 センサー
2a、2b、2c、2d サスペンションアーム
3a、3b、3c、3d コイルスプリング
100 車体傾斜角検出装置
102 ECU
103 インターフェース
104 メモリ装置
201 前照灯光軸制御装置
202 重量アラーム装置
203 ロール警報装置
204 空気圧アラーム装置

Claims (2)

  1. 車輪への荷重によって可動するサスペンション機構を備えた車両の車高を検出する車体傾斜角検出装置において、
    車体中央と、該車体に対して上下可動する車軸を繋ぐ少なくとも1つのサスペンションアームの夫々に配設した傾斜角センサーと、
    空気圧の異常を知らせる空気圧アラーム装置と、
    前記傾斜角センサーから入力される傾斜角と、予め水平路にて該傾斜角センサーから取得しておいた傾斜角初期値とを用いて前記車体中央の傾斜角変化量を演算し、タイヤが正常であると仮定して該演算した車体中央の傾斜角変化量とは逆の傾きを持つように前記サスペンションアームの傾斜角変化量を演算し、該演算したサスペンションアームの傾斜角変化量に基づいて車輪のタイヤ空気圧低下を検出して、前記空気圧アラーム装置へ通知する演算装置と、
    を有することを特徴とする車体傾斜角検出装置。
  2. 前記演算装置は、
    車体中央の傾斜角変化量に基づいて、タイヤが正常であると仮定して該車体中央の傾斜角変化量とは逆の傾きを持つようにした場合の左右のサスペンションアームの各予測傾斜角変化量を予測し、
    前記左右のサスペンションアームの各予測傾斜角変化量がその傾斜角変化量との差分において所定値以上であるか否かを判断し、
    前記左右のサスペンションアームの各予測傾斜角変化量の少なくとも一方が所定値以上である場合、空気圧が異常であることを前記空気圧アラーム装置へ通知することを特徴とする請求項1記載の車体傾斜角検出装置。
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