JP4592966B2 - Iii−v族化合物半導体結晶膜及びその成膜方法 - Google Patents

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、基板面に対して傾斜する傾斜面を有する段差を基板面に備えた段差基板上に成膜されたIII-V族化合物半導体結晶膜及びその成膜方法に関し、更に詳細には、基板面上の結晶膜の不純物濃度と傾斜面上の結晶膜の不純物濃度とがほぼ同じ、つまり膜内不純物濃度が均一なIII-V族化合物結晶膜及びその成膜方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
電子デバイスや光デバイスとして広く用いられているIII-V族化合物半導体デバイスには、段差を有するInP基板やGaAs基板上に成膜された、所定の導電型のIII-V族化合物半導体層を備えるものがが多い。本明細書で、段差とは基板の基板面に対して傾斜する傾斜面を有するものを言い、段差基板とは基板面に段差を備えた基板を言う。
例えば、リッジ導波路型の半導体レーザダイオードは、メサ構造の両側に順次成膜された相互に異なる導電型の化合物半導体層によって構成されたpn接合分離による電流ブロッキング構造を備えている。そして、電流ブロッキング構造の形成に際し、電流ブロッキング構造を構成する化合物半導体層の成膜工程で、不純物をドーピングした結晶膜を段差基板上にエピタキシャル成長させ、化合物半導体層の導電型を制御している。
【0003】
ここで、図6を参照し、n−InP基板上に形成された、pn接合分離による電流ブロッキング構造の構成を説明する。図6はpn接合分離による電流ブロッキング構造の構成を断面図である。
上部のp側電極から注入される電流の注入領域を狭窄する電流ブロッキング構造30は、図6に示すように、n−InP基板32上に形成され、電流注入領域となるメサ構造34の両側がp−InP層36及びその上に積層されたn−InP層38によって埋め込まれている。つまり、電流ブロッキング構造は、下部層40上に、順次、成膜され、メサ構造34を埋め込んだp−InP層36及びn−InP層38のpn接合分離によって構成されている。下部層40のエピタキシャル成長面は(100)面、メサ構造34の側面は(111)A面である。
p−InP層36及びn−InP層38は、メサ構造32上に形成された選択成長用のマスク42を使った選択成長法により、例えばMOCVD法によってエピタキシャル成長させることより成膜されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、光通信分野では、大容量高速通信の要請に応えるために、光通信分野で使用する光デバイスには高出力のものが要求されている。
しかし、電流ブロッキング構造の上述した従来の形成方法では、高出力の際に、所望通りに電流狭窄作用を行わせることが難しく、発光効率が低くなるという問題があった。それは、電流ブロッキング構造を形成するために、ドーピングする際の不純物濃度の制御が難しいからである。つまり、pn接合分離を構成する埋め込み層の不純物濃度が低いと、リーク電流が大きくなって光変換効率が低下し、不純物濃度が高いと、メサ構造との間で不純物の拡散が生じ、レーザ特性が変動する。
上述したpn接合分離を構成する、相互に導電型の異なる埋め込み層の成膜に限らず、所望の導電型を示すように不純物をドーピングした化合物半導体層を段差基板上に成膜する際には、従来の不純物のドーピング方法では、不純物濃度の制御が難しかった。
【0005】
そこで、本発明の目的は、基板面に対して傾斜する傾斜面を有する段差を基板面に備えた段差基板上に成膜され、しかも不純物濃度が良好に制御されているIII-V族化合物半導体結晶膜、及びその成膜方法を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、化合物半導体層を段差基板上に成膜する際の不純物濃度の制御が難しい理由を解明する過程で、以下のことを見い出した。
所定の導電型の化合物半導体層を段差基板上に成膜する例として、上述したメサ構造の埋め込み成長を例に挙げると、不純物をドーピングした特定の導電型の化合物半導体層の埋め込み成長の際、基板面(100)面上とメサ構造の側面を形成する傾斜面(111)A面との間では、不純物(ドーパント)の取り込まれ方が異なり、キャリア濃度が不均一になる。
【0007】
図7(a)又は図7(b)に示すように、不純物をドーピングした特定の化合物半導体層を段差基板上にエピタキシャル成長させた後、その断面を走査型電子顕微鏡で観察すると、側面脇が異なった色に見える。これは、この側面脇の領域(111)A面が、(100)面上に比べ、キャリア濃度が高くなっているためである。
図7(a)は段差GaAs基板上にエピタキシャル成長させたZnドープのp−AlGaAs膜の段差側面脇が白っぽく見える領域を示し、図7(b)はInP基板上のメサ構造を埋め込んだSeドープのn−InP埋め込み層の黒っぽく見える領域を示す。
不純物をドーピングした特定の導電型の化合物半導体層を段差基板上に成長させる場合、通常、(100)面基板上の不純物濃度が設定値になるように、ドーパント原料の供給量を定めているものの、その供給量では、側面脇、例えば(111)A面又はB面上の化合物半導体層の不純物濃度が高くなる一方、(100)面基板上の不純物濃度が設定値より低くなってリーク電流が増大し、設計通りのデバイス特性を得ることができない。しかし、更に供給量を増大すると、(100)面基板上の化合物半導体層の不純物濃度は設定値になるものの、側面脇の不純物濃度が更に高くなって、ドーパントの拡散が誘発され、デバイス特性が変動する。
【0008】
そこで、本発明者は、次の実験例1及び実験例2として説明する実験を行って、III-V族化合物結晶膜の不純物取り込みの面依存性を検討した。
実験例1
本実験例では、ZnとCの両方のドーパントを段差上のAlGaAs膜にドーピングして、Zn及びCの取り込みのA面方位依存性を検討した。
先ず、側面の(100)面に対する角度θが、0°の(100)面、30°より僅かに小さい(311)A面、60°より僅かに小さい(111)A面、及び90°の(011)A面を有する段差構造を基板面(100)面上に備える試料GaAs基板をそれぞれ形成した。
次いで、図8(a)に示すように、MOCDV法によって、以下の成長条件で、膜厚500nmのp−AlGaAs(Al=0.3)膜を各試料GaAs基板上全面にエピタキシャル成長させた。
【0009】
成長条件
成長温度 :700℃
成長レート :2μm/hr
原料ガス
ガス源 :TMAl、TMGa、AsH3
V/III 比 :50
ドーパント :ジエチル亜鉛(DEZn)、四臭化炭素(CCl4
DEZnの供給量:10cc((100)面上で不純物濃度が1×1018cm-3になる供給量)
CCl4 の供給量:20cc((100)面上で不純物濃度が1×1018cm-3になる供給量)
【0010】
以上の成長条件で、供給量を一定にしてドーパントを供給した際、どれだけのドーパント量が各試料GaAs基板の段差に成膜されたAlGaAs膜中に取り込まれるか、つまりDEZnからAlGaAs膜へのZnの取り込み、及びCCl4 からAlGaAs膜へのCの取り込みのA面方位依存性を測定し、図8(b)に示す結果を得た。
即ち、基板面(100)面では、Znの取り込み量は最小であり、段差の(311)A面側面及び(011)A面側面では、Znの取り込み量はほぼ同じで最大量になり、段差の(111)A面側面では、Znの取り込み量は(100)面より遙に大きいものの(311)面及び(011)面より僅かに低い。
また、基板面(100)面では、Cの取り込み量は最大になり、(111)A面では、Cの取り込み量は最小量になり、段差の(311)A面側面及び(011)A面側面では、Cの取り込み量はほぼ同じ量になり、(111)A面での取り込み量より僅かに多い。
【0011】
以上の実験から、ZnとCの原料の供給比率をDEZn:CCl4 =9:16にすると、(100)面と(111)A面でキャリア濃度を等しくすることができ、DEZ=9.2cc、CCl4 =16.3ccの場合、(100)面上でのキャリア濃度が1×1018cm-3となり、(111)A上のキャリア濃度も1×1018cm-3になることが判る。
【0012】
実験例2
本実験例では、SeとSiの両方のドーパントを段差上のInP膜にドーピングして、Se及びSiの取り込みのB面方位依存性を検討した。
先ず、図9(a)に示すように、側面の(100)面に対する角度θが、0°の(100)面、30°より僅かに小さい(311)B面、60°より僅かに小さい(111)B面、及び90°の(011)B面を有する段差構造を基板面(100)面上に備える試料GaAs基板をそれぞれ形成した。
次いで、図9(b)に示すように、選択成長用のマスクを使ったMOCVD法によって、以下の成長条件で、n−InP膜を各試料InP基板上にエピタキシャル成長させ、段差の両側を埋め込んだ。
【0013】
成長条件
成長温度 :620℃
成長レート :2μm/hr
原料ガス
ガス源 :TMIn、PH3
V/III 比 :150
ドーパント :セレン化水素(H2 Se)、ジシラン(Si2 6 )H2 Seの供給量 :100cc((100)面上で不純物濃度が1×1018cm-3になる供給量)
Si2 6 の供給量:2cc((100)面上で不純物濃度が1×1018cm-3になる供給量)
【0014】
以上の成長条件で、H2 SeからInP膜のSeの取り込み、及びSi2 6 からInP膜のSiの取り込みのB面方位依存性を測定し、図9(b)に示す結果を得た。
即ち、基板面(100)面では、Seの取り込み量は最小であり、段差の(311)B面、(111)B面、及び(011)B面の側面では、Seの取り込み量はほぼ同じ最大量であるものの、(311)B面、(111)B面、及び(011)B面になるにつれて徐々に増大する。
また、基板面(100)面では、Siの取り込み量は最大になり、段差の(311)B面から(111)B面側面になると、Siの取り込み量は急減に減少し、(011)B面での取り込み量は、(111)B面とほぼ同じである。
以上の結果、H2 Se:Si2 6 =50:1にすると、(100)面と(111)A面でキャリア濃度を等しくすることができ、具体的にはH2 Se=90.9cc、Si2 6 =1.8ccとすると、(100)面上でのキャリア濃度が1×1018cm-3となり、(111)A上のキャリア濃度も1×1018cm-3になることが判る。
【0015】
実験例1及び実験例2から、以下のことが判った。
(1)(100)面上のGaAs結晶膜は同じ数のGa原子とAs原子とで構成されているものの、A面上のGaAs結晶膜では、Gaリッチになっている。また、B面上のGaAs結晶膜では、Asリッチになっている。つまり、A面上のGaAs結晶膜では、III 族サイトに入り易いドーパント、例えばZnが取り込まれ易い一方、B面上のGaAs結晶膜では、V族サイトに入り易いドーパント、例えばCが取り込まれ易い。
(2)つまり、結晶成長中のドーパントの取り込みは、その面方位に非常に大きく依存している。それはIII-V族化合物結晶膜を構成するIII 族及びV族原子のサイトが面方位によって異なるからである。
一般的な傾向としては、III 族サイトに入ってp型不純物として働く、Zn、Be、Mg等のII族元素をドーピングした場合、A面方向の傾斜が大きくなると、その面上の化合物半導体層のドーパント取り込みが大きくなり、逆にB面方向では、小さくなる。また、V族サイトに入ってn型不純物として働く、S、Se等のVI族元素をドーピングした場合、A面上の化合物半導体層の不純物濃度は減少し、B面上の化合物半導体層の不純物濃度は増大する。
一方、CやSiのIV族元素は、III 族サイトに入って、n型不純物として機能するときには、A面方向の傾斜が大きくなると、A面上の化合物半導体層の不純物取り込み量が大きくなり、逆にB面方向では、小さくなる。また、V族サイトに入って、p型不純物して機能するときには、A面上の化合物半導体層の不純物取り込み量が減少し、B面上の化合物半導体層の不純物取り込みが増大する。
結晶膜への不純物取り込みの面方位依存性の大きさは、成長条件や、用いる原料により異なるものの、一般的に、III 族サイトに入るものはA面の方に取り込まれやすく、V族サイトに入るものはB面の方に取り込まれ易い。
【0016】
(3)このことが、前述の問題を生じさせる原因になる。そこで、同じ導電型を有するドーパントでも、相互に異なるサイトに入るドーパントを使用することにより、面方位依存性が逆の傾向となるので、取り込み量の差異を相互に補償することができる。
従って、このような不純物取り込みの面方位依存性の異なる2種類のドーパントを同時に用いてドーピングすることにより、段差基板上の結晶膜でも、より均一性の高いドーピングが可能となり、膜内不純物濃度の均一な結晶膜を形成することができる。
つまり、同じ導電型(n型もしくはp型)を示す、不純物取り込みの面方位依存性の異なる2種類以上の不純物をドーピングすることにより、それらの不純物はそれぞれ異なるサイト(III 族サイト、及びV族サイト)に入るので不純物濃度の制御が容易になる。そのためには、一方の不純物がIV族元素であり、他方がVI族元素である、もしくは、II族元素である。
さらに、面方位に対して、不純物濃度ができるだけ一定となるように、それぞれのドーパント原料の供給量を制御する。
【0017】
以上の知見に基づいて、本発明に係るIII-V族化合物結晶膜は、基板面に対して傾斜する傾斜面を有する段差を基板面に備えた段差基板上に成膜されたIII-V族化合物半導体結晶膜において、
元素周期律表の相互に異なる族に属する2種類以上の同じ導電型の不純物がドーピングされ、前記2種類以上の不純物のうちの一つの不純物の不純物濃度は段差の傾斜面上の結晶膜の方が基板面上の結晶膜より高く、他の一つの不純物の不純物濃度は基板面上の結晶膜の方が段差の傾斜面上の結晶膜より高く、かつ基板面上の結晶膜中の前記2種類以上の不純物の不純物濃度の和は、段差の傾斜面上の結晶膜中の前記2種類以上の不純物の不純物濃度の和とほぼ同じであることを特徴としている。
【0018】
不純物取り込みの面方位依存性が相互に異なることにより、元素周期律表の相互に異なる族に属する2種類以上の同じ導電型の不純物の一つが、段差の傾斜面上の結晶膜の方により多く取り込まれ、他の一つが基板面上の結晶膜により多く取り込まれる。これにより、基板面上の結晶膜中の前記2種類以上の不純物の不純物濃度の和が、段差の傾斜面上の結晶膜中の前記2種類以上の不純物の不純物濃度の和とほぼ同じになる。つまり、膜内不純物濃度が均一な結晶膜が形成されている。
本発明では、基板面上の結晶膜中の前記2種類以上の不純物の不純物濃度の和と、段差の傾斜面上の結晶膜中の前記2種類以上の不純物の不純物濃度の和との差は、±30 %以内に制御することが可能である。
【0019】
前記一つの不純物は、III 族サイトに主として位置するものであり、前記他の一つの不純物はV族サイトに主として位置するものであって、例えばIII 族サイトに主として位置する不純物はZn、Se、Be等であり、V族サイトに主として位置するものはC、Si等である。つまり、前記一つの不純物がC、Si等のIV族元素であり、前記他の一つがZn等のVI族元素である。また、前記一つの不純物がSe等のII族元素であり、前記他の一つがIV族元素であっても良い。
【0020】
本発明に係るIII-V族化合物半導体結晶膜の成膜方法は、III-V族化合物半導体の成膜方法であって、基板面に対して傾斜する傾斜面を有する段差を基板面に備えた段差基板上にIII-V族化合物半導体結晶膜をエピタキシャル成長させる際、
不純物取り込みの面方位依存性の相互に異なる2種類以上の同じ導電型の不純物をドーパントとして使用することを特徴としている。
好適には、不純物取り込みの面方位依存性に基づいて、基板面上の結晶膜中の前記2種類以上の不純物の不純物濃度の和が、段差の傾斜面上の結晶膜中の前記2種類以上の不純物の不純物濃度の和とほぼ同じになるように、前記2種類以上のドーパント原料の流量を調整する。
これにより、膜内不純物濃度の均一な結晶膜を形成することできる。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下に、添付図面を参照して、実施形態例に基づいて本発明をより詳細に説明する。
III- V族化合物半導体結晶膜の実施形態例1
本実施形態例は、本発明に係るIII-V族化合物半導体結晶膜の実施形態の一例であって、図1は本実施形態例のIII-V族化合物半導体結晶膜を示す断面図である。
本実施形態例のIII-V族化合物半導体結晶膜(以下、結晶膜と言う)10は、図1に示すように、(111)A面を傾斜面12として有する段差14を(100)面基板面に備える段差GaAs基板16上全面に成膜されたp−AlGaAs膜(Al=0.3)である。
本実施形態例の結晶膜10の不純物濃度は、(111)A面上でも、(100)面上でも、ほぼ同じ不純物濃度の1×1018cm-3である。つまり、結晶膜10は膜内不純物濃度が均一なp−AlGaAs膜である。
(111)A面上では、主としてZnが不純物として取り込まれており、(100)面上では、主としてCが不純物として取り込まれている。
【0022】
III- V族化合物半導体結晶膜の成膜方法の実施形態例1
本実施形態例は、本発明に係るIII-V族化合物半導体結晶膜の成膜方法を実施形態例1の結晶膜の成膜に適用した実施形態の一例であって、図2(a)及び(b)は、それぞれ、本実施形態例の方法に従ってIII-V族化合物半導体結晶膜を成膜する際の工程毎の断面図である。
先ず、図2(a)に示すように、基板面(100)面に対する角度θが60°の(111)A面を傾斜面12として有する段差14を基板面に備えたGaAs基板16を形成する。
【0023】
次いで、図2(b)に示すように、MOCVD法によって、以下の成長条件で、p−AlGaAs膜(Al=0.3)10を段差GaAs基板16上全面にエピタキシャル成長させる。
成長条件
成長温度 :700℃
成長レート :2μm/hr
原料ガス
ガス源 :TMAl、TMGa、AsH3
V/III 比 :50
ドーパント :ジエチル亜鉛(DEZn)、四臭化炭素(CCl4
図8(b)から、ZnとCの原料の供給比率をDEZn:CCl4 =9:16、具体的にはDEZ=9.2cc、CCl4 =16.3ccにする。これにより、(100)面上及び(111)A面上のp−AlGaAs膜のキャリア濃度が1×1018cm-3になり、膜内不純物濃度の均一なp−AlGaAs膜を成膜することできる。
【0024】
III- V族化合物半導体結晶膜の実施形態例2
本実施形態例は、本発明に係るIII-V族化合物半導体結晶膜の実施形態の別の例であって、図3は本実施形態例のIII-V族化合物半導体結晶膜を示す断面図である。
本実施形態例のIII-V族化合物半導体結晶膜(以下、結晶膜と言う)20は、図3に示すように、(100)基板面に対して垂直な(011)B面を側面22として有する段差24を(100)基板面に備える段差InP基板26上に成膜されたn−InP膜であって、段差24の両側を埋める埋め込み層として成膜されている。
本実施形態例の結晶膜20の不純物濃度は、(011)B面上でも、(100)面上でも、ほぼ同じ不純物濃度の1×1018cm-3である。つまり、結晶膜20は膜内不純物濃度が均一な埋め込み層である。
(011)B面上では、主としてSeが不純物として取り込まれており、(100)面上では、主としてSiが不純物として取り込まれている。
【0025】
III- V族化合物半導体結晶膜の成膜方法の実施形態例2
本実施形態例は、本発明に係るIII-V族化合物半導体結晶膜の成膜方法を実施形態例2の結晶膜の成膜に適用した実施形態の一例であって、図4(a)及び(b)は、それぞれ、本実施形態例の方法に従ってIII-V族化合物半導体結晶膜を成膜する際の工程毎の断面図である。
先ず、図4(a)に示すように、SiN膜等で形成されたストライプ状エッチングマスク28を基板面(100)面の所定領域上に形成し、エッチングマスク28を使って基板面(100)面をエッチングし、基板面に対してほぼ垂直な(011)B面を傾斜面22として有する段差24を基板面に備えたInP基板26を形成する。
【0026】
次いで、図4(b)に示すように、エッチングマスク28を選択成長マスクとして使い、MOCVD法によって、以下の成長条件で、n−InP膜20をInP基板26上にエピタキシャル成長させ、段差24の両側を埋め込む。
成長条件
成長温度 :620℃
成長レート :2μm/hr
原料ガス
ガス源 :TMIn、PH3
V/III 比 :150
ドーパント :セレン化水素(H2 Se)、ジシラン(Si2 6
【0027】
ところで、(011)Bの側面を有する段差の埋め込み成長では、図5に示すように、成長過程で、先ず、(111)A面が形成される。このことを考慮して、図9(b)から、n−InP成長時のSeとSiの原料の供給比率をH2 Se:Si2 6 =50:1、具体的にはH2 Se=90.9cc、Si2 6 =1.8ccとする。これにより、(100)面及び(111)A面上でのキャリア濃度が1×1018cm-3となるから、n−InP膜20のキャリア濃度は一様に1×1018cm-3になるので、膜内不純物濃度が均一なn−InP膜20を成膜することができる。
【0028】
また、この2種類のドーパントを用いた場合、Se単独でドーピングした場合の飽和キャリア濃度1×1019cm-3に比べ、更に大きな値、例えば2×1019cm-3を得ることができ、飽和濃度を高くすることができる。
【0029】
【発明の効果】
本発明によれば、不純物取り込みの面方位依存性の相互に異なる2種類以上の同じ導電型の不純物をドーパントとして使用することにより、基板面上の結晶膜中の2種類以上の不純物の不純物濃度の和は、段差の傾斜面上の結晶膜中の2種類以上の不純物の不純物濃度の和とほぼ同じである、膜内不純物濃度が均一なIII-V族化合物半導体結晶膜を実現することできる。
本発明方法は、本発明に係るIII-V族化合物半導体結晶膜の最適な成膜方法を実現し、単独の不純物をドーピングした際の不純物濃度の膜内不均一性を大幅に改善することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態例1のIII-V族化合物半導体結晶膜を示す断面図である。
【図2】図2(a)及び(b)は、それぞれ、実施形態例1の方法に従ってIII-V族化合物半導体結晶膜を成膜する際の工程毎の断面図である。
【図3】実施形態例2のIII-V族化合物半導体結晶膜を示す断面図である。
【図4】図4(a)及び(b)は、それぞれ、実施形態例2の方法に従ってIII-V族化合物半導体結晶膜を成膜する際の工程毎の断面図である。
【図5】実施形態例2の成膜方法を適用した際のエピタキシャル成長の経過を示す断面図である。
【図6】電流ブロッキング構造の構成を示す断面図である。
【図7】図7(a)及び(b)は、それぞれ、従来のドーピング方法の問題を説明する断面図である。
【図8】図8(a)及び(b)は、それぞれ、実験例1のIII-V族化合物半導体結晶膜の構成及び不純物取り込みの面方位依存性を示すグラフである。
【図9】図9(a)及び(b)は、それぞれ、実験例2のIII-V族化合物半導体結晶膜の構成及び不純物取り込みの面方位依存性を示すグラフである。
【符号の説明】
10 実施形態例1のIII-V族化合物半導体結晶膜
12 傾斜面
14 段差
16 段差GaAs基板
20 実施形態例2のIII-V族化合物半導体結晶膜
22 側面
24 段差
26 段差InP基板
28 マスク
30 電流ブロッキング構造
32 n−InP基板
34 メサ構造
36 p−InP層
38 n−InP層
40 下部層
42 選択成長用のマスク

Claims (5)

  1. 基板面に対して傾斜する傾斜面を有する段差を基板面に備えた段差基板上に成膜されたIII-V族化合物半導体結晶膜において、元素周期律表の相互に異なる族に属する2種類以上の同じ導電型の不純物がドーピングされ、前記2種類以上の不純物のうちの一つの不純物の不純物濃度は段差の傾斜面上の結晶膜の方が基板面上の結晶膜より高く、他の一つの不純物の不純物濃度は基板面上の結晶膜の方が段差の傾斜面上の結晶膜より高く、かつ基板面上の結晶膜中の前記2種類以上の不純物の不純物濃度の和は、段差の傾斜面上の結晶膜中の前記2種類以上の不純物の不純物濃度の和とほぼ同じであることを特徴とするIII-V族化合物半導体結晶膜。
  2. 前記一つの不純物は、III族サイトに主として位置するものであり、前記他の一つの不純物はV族サイトに主として位置することを特徴とする請求項1に記載のIII-V族化合物半導体結晶膜。
  3. 前記一つの不純物がIV族元素であり、前記他の一つがVI族元素であることを特徴とする請求項1又は2に記載のIII-V族化合物半導体結晶膜。
  4. 前記一つの不純物がII族元素であり、前記他の一つがIV族元素であることを特徴とする請求項1又は2に記載のIII-V族化合物半導体結晶膜。
  5. III-V族化合物半導体の成膜方法であって、基板面に対して傾斜する傾斜面を有する段差を基板面に備えた段差基板上にIII-V族化合物半導体結晶膜をエピタキシャル成長させる際、不純物取り込みの面方位依存性の相互に異なる2種類以上の同じ導電型の不純物をドーパントとして使用し、
    不純物取り込みの面方位依存性に基づいて、前記基板面上の結晶膜中の前記2種類以上の不純物の不純物濃度の和が、前記段差の傾斜面上の結晶膜中の前記2種類以上の不純物の不純物濃度の和とほぼ同じになるように、前記2種類以上のドーパント原料の流量を調整することを特徴とするIII-V族化合物半導体結晶膜の成膜方法。
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