以下、パチンコ遊技機(以下、単に「パチンコ機」という)の一実施形態を、図面に基づいて詳細に説明する。図1はパチンコ機10の正面図であり、図2は前面枠14と下皿ユニット15とが開放されたパチンコ機10の斜視図である。図3はパチンコ機10の遊技盤16の正面図である。ここで、図2においては、便宜上、遊技盤16及びガラスユニット17を省略して示している。
パチンコ機10は、図1及び図2に示すように、略矩形状に組み合わせた木枠20(図5(a)参照)により外殻が形成される外枠12と、その外枠12と略同一の外形形状に形成された内枠13とを備えている。内枠13は、その中央部に略円形に開口した中央窓30aを有する合成樹脂製の内枠ベース30に通路形成部材36や球発射ユニット90等を取り付けたものである。内枠13には、多数の釘や入賞口63,331,332等を有する遊技盤16が裏面側から取り付けられ、内枠13の中央窓30aより遊技盤16の前面が視認可能となっている。この遊技盤16の前面を遊技球が流下することにより弾球遊技が行われる。
また、内枠13は、その一側(パチンコ機10においては正面視左側)の上下2箇所で外枠12に軸支され、内枠13が正面手前側へ開放可能に取り付けられている。内枠13の前面側には、その前面上側を覆う前面枠14と、その下側を覆う下皿ユニット15とが設けられ、これら前面枠14及び下皿ユニット15は内枠13の前面を開閉可能に取り付けられている。
前面枠14は、合成樹脂製の前面枠ベース200に装飾用の樹脂部品や電気部品等を組み付けたものであり、その略中央部には、略円形状の開口(窓部14c)が形成されている。前面枠14の裏面側には2枚の板ガラス151を有するガラスユニット17(図14参照)が配設され、その板ガラス151を介して遊技盤16の前面がパチンコ機10の正面側に視認可能となっている。
前面枠14には、遊技球を貯留する上皿201が前方へ張り出して上面を開放した略箱状に形成されており、この上皿201に賞球や貸出球などが排出される。上皿201の底面は、遊技球を発射するための球発射ユニット90が位置する正面視右側に下降傾斜して形成され、上皿201に投入された遊技球は球発射ユニット90へと案内される。
上皿201の下側に位置する下皿ユニット15には、その中央部に上皿201に貯留しきれなかった遊技球を貯留するための下皿301が上面を開放した略箱状に形成されている。下皿301の右側には、遊技球を遊技盤16の前面へ打ち込むために遊技者によって操作される操作ハンドル310が配設され、かかる操作ハンドル310の内部には球発射ユニット90の発射ソレノイド92の駆動を許可するためのタッチセンサと、操作ハンドル310の回動操作量を電気抵抗の変化により検出する可変抵抗器とが内蔵されている。操作ハンドル310が遊技者によって右回りに回転操作されると、タッチセンサがオンされると共に可変抵抗器の抵抗値が操作量に対応して変化する。発射ソレノイド92は、操作ハンドル310の回動操作量に応じて変化する可変抵抗器の抵抗値に対応した強さで遊技球を発射するものであり、これにより遊技者の操作に対応した飛び量で遊技盤16の前面へ遊技球が打ち込まれる。
遊技盤16は、図3に示すように、正面視略正方形状に切削加工した木製のベース板60に、遊技球案内用の多数の釘およびレール61,62、一般入賞口63、並びに、液晶ディスプレイ(以下単に「LCD」と略す。)で構成される第1図柄表示装置81等を組み付けて構成される。遊技盤16の前面には、帯状の金属板を略円弧状に屈曲加工して形成した外レール62が植立され、その外レール62の内側位置には外レール62と同様に帯状の金属板で形成した円弧状の内レール61が植立される。この内レール61と外レール62とにより遊技盤16の前面外周が囲まれ、遊技盤16とガラスユニット17(板ガラス151)とにより前後が囲まれることにより、遊技盤16の前面には、遊技球の挙動により遊技が行われる遊技領域が形成される。
遊技領域には、遊技球が入賞することにより5個から15個の球が賞球として払い出される複数の一般入賞口63が配設されている。また、遊技領域の中央部分には、第1図柄表示装置81を有する可変表示装置ユニット80が配設され、この可変表示装置ユニット80が後述する表示制御装置505によって制御されることにより、複数種類の識別情報としての図柄が予め定めた順序に従って変動する変動表示が第1図柄表示装置81の表示画面上に表示される。なお、LCDに代えて、例えば、リール等を用いて第1図柄表示装置81を構成するようにしても良い。
可変表示装置ユニット80の下方には、始動入賞ユニット64が配設されている。始動入賞ユニット64は、合成樹脂を成形した複数の部材を組み合わせて形成されており、遊技球が入球し得る第1入球部としての上側の始動入賞口331と第2入球部としての下側の始動入賞口332とを形成する。この上下の始動入賞口331,332は、大当たり抽選の実行契機としての第1始動領域を構成するものであり、いずれかの始動入賞口へ遊技球が入球すると遊技盤16の裏面側に設けられる上側始動口スイッチ524aまたは下側始動口スイッチ524b(図23参照)がオンとなり、上述した第1図柄表示装置81で図柄の変動表示が開始される。また、上側の始動入賞口331は、遊技球が入球すると1個の遊技球が賞球として払い出され、下側の始動入賞口332は5個の遊技球が賞球として払い出される。
始動入賞ユニット64の下方には変動入賞装置65が配設されており、その略中央部分に横長矩形状の特定入賞口(大入賞口)65aが設けられている。パチンコ機10においては、第1入球口への遊技球の入球を契機とした抽選が行われ、その抽選に当選すると大当たりとなって、第1図柄表示装置81には図柄の変動後に予め定められた図柄の組み合わせの1つが表示されて遊技者に大当たりの発生が示され、その後、遊技球が入賞し易い特別遊技状態に遊技状態が遷移する。この特別遊技状態として、通常時には閉鎖されている大入賞口65aが、所定時間(例えば、30秒経過するまで、或いは、遊技球が10個入賞するまで)開放される。
この大入賞口65a内には、通常領域と、特定領域としてのVゾーンとが区分けして設けられており、大入賞口65aの開放中に、遊技球がVゾーンを通過すると、継続権が成立して、大入賞口65aの閉鎖後、再度、その大入賞口65aが所定時間開放される。この大入賞口65aの開閉動作は、最高で例えば16回(16ラウンド)繰り返し可能にされている。この開閉動作が行われている状態が、遊技者にとって有利な特別遊技状態の一形態であり、遊技者には、遊技上の価値(遊技価値)の付与として通常時より多量の賞球の払い出しが行われる。
なお、上記した形態に特別遊技状態は限定されるものではない。大入賞口65aとは別に開閉される大開放口を遊技領域に設け、第1図柄表示装置81の変動後の表示結果が予め定められた図柄の組み合わせの1つと一致する場合に、大入賞口65aが所定時間開放され、その大入賞口65aの開放中に、遊技球が大入賞口65a内へ入賞することを契機として大入賞口65aとは別に設けられた大開放口が所定時間、所定回数開放される遊技状態を特別遊技状態として形成するようにしても良い。
次に、パチンコ機10の構成について外枠12、内枠13、遊技盤16、前面枠14、下皿ユニット15、ガラスユニット17に大別して順に説明し、その後、パチンコ機10の背面側の構成について説明する。まず、外枠12の構成について図2および図5を主に参照して説明する。ここで、図5(a)は、外枠12の斜視図であり、図5(b)は外枠12の受け金具23周辺を拡大して示した斜視図である。
図2に示すように、パチンコ機10には、その外殻を形成する外枠12が設けられ、この外枠20に対して内枠13が開閉可能に支持される。遊技場においては、外枠20の外周面が遊技場の島と呼ばれる設置箇所に固定される。内枠13、前面枠14および下皿ユニット15は、外枠12に対して前面側に開放可能に構成されるので、パチンコ機10の前面側からは触れられない裏面側や内部に対しての点検や調整は、外枠12に対して内枠13等を前面側に開放して行われる。
外枠12は、木製の板材で上下左右の四辺を構成して全体として矩形状の木枠20を形成し、その木枠20にヒンジ21,22と受け金具23,23とを取り付けたものである。木枠20の接合部は、小ネジ等の離脱可能な締結具により固定され、釘やリベットを使って固定する構造と比べて、木枠20の一部が容易に再利用できるようになっている。本実施の形態では、外枠12の上下方向の外寸は809mm(内寸約710mm)、左右方向の外寸は518mm(内寸約480mm)となっている。なお、外枠12は、アルミニウム等の軽金属や樹脂により構成するようにしてもよい。
外枠12には、図5(a)に示すように、内枠13を支持するために正面視左側の上下2カ所に金属製の上ヒンジ21および下ヒンジ22が取り付けられている。このヒンジ21,22が設けられた側を開閉の軸として内枠13は開閉可能に支持される。
外枠12の受け金具23は、木枠20の内面であってヒンジ21,22から離間した側の一辺における上下2カ所にネジにより螺着されている。各受け金具23は、金属板を屈曲加工して形成され、図5(b)に示すように、外枠12の内面に密着する取付部23aと、その取付部23aから外枠12の内面側に向けて垂直に立ち上がる係合部23bと、その係合部23bの先端側にて内枠13の閉鎖方向側(図5(b)の左上側)に向けて突出して形成される突出部23cとを備えている。この受け金具23の係合部23bには、内枠13より鉤形に突出して形成される内枠用鉤部材411(図24参照)の先端部が引っ掛かり、内枠13は閉鎖される。
受け金具23の突出部23cは、外枠12に対して内枠13が閉鎖された状態にて、外枠12の内面側(図5(b)の左下側)に向かって、内枠用鉤部材411の下方に突出した先端部分に重なる長さ以上に突出して形成される。このため、内枠用鉤部材411の先端部は、突出部23cにより外枠12内面側への移動が規制され、外枠12内面側への受け金具23の突出量を少なくしつつ、内枠13のがたつきにより内枠用鉤部材411が誤って受け金具23から外れて、内枠13が不用意に開放されることが防止されている。
外枠12の下側には、横長矩形の合成樹脂、具体的にはABS樹脂の板により形成された飾り板24が、木枠20を貫通するネジにより外枠12の背面側より固定されている。この飾り板24によって、パチンコ機10の前面側に露出する外枠12の大部分は、内枠13、前面枠14および下皿ユニット15と同様に合成樹脂製となり、各部材間に一体感が生まれて外観品質の向上が図られる。また、本実施形態においては省略するが、飾り板24の前面に下皿ユニット15の形状に倣って模様を付すことにより、外枠12の木製部分である木枠20を共用しつつ異なる外観形状を有する外枠12を製造することができ、木枠20を有効的に再利用しつつパチンコ機10の外観品質を向上することができる。
飾り板24の上面には、金属製の滑り板25,26が、ヒンジ22から離間した側の端部と中央部との2カ所に設けられている。開放状態の内枠13が自重により外枠12に対して下側に落ち込んでも、内枠13が閉鎖されるときには、その下面が滑り板25,26に擦られつつ持ち上げられて、内枠13は定位置に案内される。このため、作業者がわざわざ内枠13を持ち上げながら閉鎖操作を行う必要がなく、内枠13の開閉操作の利便性が高められている。また、樹脂または木製の部分で内枠13を定位置に案内する部分が形成される場合に比べて、開閉操作の繰り返しによる擦れによって部品が削られたり、破損したりすることが防止されるので、長期にわたって内枠13の開閉操作を容易に行うことができる。
これら2つの滑り板25,26のうち一方の滑り板26は、内枠13の開閉軸となるヒンジ21,22から離間した側の端部に設けられる。このため、金属製の下ヒンジ22と滑り板26とにより内枠13の下面両端側が支持され、内枠13がより安定した状態で定位置に案内される。また、もう1つの滑り板25は、ヒンジ22と滑り板26とのほぼ中間位置に設けられ、ヒンジ22と、端部に設けた滑り板26との支持により最も落ち込み易い部分が案内されることとなる。このように、2つの滑り板25,26を飾り板24の上面におけるヒンジ22から離間した側の端部と中央部とに設けることにより内枠13を定位置により確実に案内することができ、上皿201や下皿301に遊技球が多量に入る等して内枠13に負荷される重みが増大しても、内枠の開閉操作は容易に行うことができる。
飾り板24の上面奥側には、パチンコ機10の前後方向に沿って内枠13の下端部に重なる位置まで上方に突出して形成されたリブ27が設けられている。また、リブ27の付け根部分には、飾り板24の上面に沿って背面側に窪んだ溝27aが形成され、リブ27の上端部がパチンコ機10の前面側に突出するように形成される。パチンコ機に対しては、薄板状の工具等を部材間の隙間から差し入れて行う不正行為が頻繁に報告されているが、本実施形態のパチンコ機10においては、内枠13の下側から工具等を差し入れる行為がリブ27により阻止されるので、不正行為を防止することができる。また、内枠13と飾り板24との間から差し入れた工具はリブ27の付け根部分に設けた溝27aに嵌まり易く、不正行為を一層困難なものとしている。
飾り板24上面のリブ27の高さは、飾り板24の上面に対して遊技球の半径より低く設定されている。このため、内枠13の閉鎖時に飾り板24の上面に遊技球が乗っていても、その遊技球は、内枠13の下端部とリブ27との間に挟まれた後にリブ27を乗り越える。よって、リブ27を設けることにより不正行為を防止しつつ、リブ27と内枠13との間に遊技球が挟み込まれて内枠13を閉鎖し直す手間が発生することもなく、内枠13の開閉操作に対する利便性を高く維持することができる。
次に、図2および図6を主に参照して内枠13について説明する。図6は、前面枠14および下皿セット15を取り外した状態のパチンコ機10の正面図である。また、図6では、便宜上、遊技盤16面上の遊技領域内の構成の一部を空白で示している。
内枠13は、矩形状に形成されたABS樹脂製の内枠ベース30を主体に構成されており、内枠ベース30の中央部には略円形状の中央窓30aが形成されている。内枠ベース30の裏面側には遊技盤16の取付部が設けられ、遊技盤16が着脱可能に装着される。
内枠13は、前述した外枠12の上ヒンジ21および下ヒンジ22により、外枠12に対して回動可能に支持された扉状の部材である。内枠13の開閉軸線は、ヒンジ21,22が設けられるパチンコ機10の正面視左側に上下に延設され、この開閉軸線を軸心にして内枠13は前方側に開放される。内枠13の開閉軸線は、パチンコ機10の正面視右側に設けられる操作ハンドル310(図1参照)とは反対側(正面視左側)に設定され、内枠13がより大きく開放できるようになっている。通常パチンコホールでは、パチンコ機10は互いに隣接して配設されるので、開閉軸線を操作ハンドル310側に設けると、内枠13の開放と共に移動する操作ハンドル310が隣のパチンコ機10や、パチンコ機10の間に設けられるカードユニット等に当接して開放量が制限されるからである。
内枠13の外周には、前面側へ突設された外周壁30bが形成されており、その外周壁30bの内側に前面枠14および下皿ユニット15が配設される。即ち、内枠13に前面枠14および下皿ユニット15が取り付けられた状態では、前面枠14および下皿ユニット15の各側面の外周は、内枠13の外周壁30bにより囲繞される。このため、前面枠14または下皿ユニット15と、内枠13との間へ針金や薄板状の工具等を挿入する行為が困難となり、不正行為を抑制することができる。
内枠13の左上部には、図2に示すように、配線口30cが内枠ベース30を貫通して設けられている。配線口30cには、前面枠14の電飾等に使用する部品の配線が内枠13の裏面側に挿通され、遊技盤16の裏面に接続される。配線口30cの角部にはRが形成されており、配線口30c内に配線される各コードが、前面枠14の開閉により配線口30cで擦られても損傷し難くなっている。なお、遊技盤16(ベース板60)にも、内枠13の配線口30cに対応する位置(左上部)に配線口60aが設けられ、内枠ベース30に遊技盤16が取り付けられた状態にて配線が可能となっている。
内枠13の配線口30cの右上側には、パチンコ機10の前面側に円柱状に突出した押しボタン型の開閉スイッチ32が設けられている。開閉スイッチ32は、前面枠14の開閉状態を検出するためのスイッチである。前面枠14が内枠13に対して閉じられている場合には開閉スイッチ32が前面枠14の裏面に押圧されて押し込まれた状態となり、逆に、前面枠14が内枠13に対して開放されている場合には開閉スイッチ32は非押圧の突出状態となって、前面枠14の開閉状態を検出する。この開閉スイッチ32は、パチンコ機10裏面側の外部出力用の端子を介して、パチンコ機10の上側に一般に設けられるランプや、遊技場に設置される複数の遊技機を一括管理する島管理装置等に接続される。これにより、複数のパチンコ機10のうち、開放状態となっているパチンコ機10だけ、特別にランプを点灯させたり、島管理装置に信号を送って監視カメラで開放中のパチンコ機10を拡大して表示画面に表示したりして、パチンコ機10の不正開放に対する防犯性が高められる。
内枠13の中央窓30aの右下側には、略四角形状の小窓30dが内枠ベース30を貫通して設けられ、また中央窓30aの左下側にも略正方形の一部を面取りした形状の小窓30eが内枠ベース30を貫通して設けられている。遊技盤16の下側における左右の隅部には、証紙や識別ラベル等を貼着するための貼着スペースK1,K2(図3参照)が設けられ、貼着スペースK1,K2に貼られた証紙等は、内枠13の小窓30d,30eを通じて内枠13の前面側に露出されるので、前面枠14を開放した状態において証紙等を視認することができる。又、内枠ベース30に遊技盤16が取り付けられた後にも、小窓30d,30eを通じて遊技盤16の貼着スペースK1,K2に証紙等を貼着することができる。
内枠ベース30の中央窓30aの下側は、前面側が開放した凹状に窪んで形成されており、その奥側には、平面状の取付面30fが形成されている。取付面30fには、遊技球を遊技盤16の前面に発射するための球発射ユニット90や、上皿201および下皿301に遊技球を排出する通路を形成する通路形成部材36等が取り付けられる。
内枠13の左端部には、図6に示すように、前面枠14および下皿ユニット15を支持するための機構として、縦方向に沿った3カ所に3つの支持金具33〜35が取り付けられている。上側の支持金具33には図6の紙面手前側にU字状に開口すると共にその入口が奥側より幅狭に形成された切欠を有する支持孔33aが設けられ、その支持孔33aに段付きの円柱状に形成された前面枠14側の支持金具33が嵌合する。
上から2番目の支持金具34には、上下方向にそれぞれ突出した円柱状の突起軸34a,34bが設けられる。2本の突起軸34a,34bのうち上側に突出した突起軸34aにより前面枠14の左下隅が回動可能に支持され、下側に突出した突起軸34bにより下皿ユニット15の左上隅が内枠13に対して回動可能に支持される。
一番下側の支持金具35は、内枠13の前面側に向けて突出した水平な金属板に上下方向に貫通する支持孔を設けて形成される。下皿ユニット15の左端部下側には、ばねにより下側に突出するように付勢力が付与される支持軸308(図20参照)が設けられ、その支持軸307が支持金具35の支持孔に軸支されて下皿ユニット15の左下隅が内枠13に対して回動可能に支持される。
次に、図3および図4を主に参照して遊技盤16の構成を説明する。図4(a)は、下側の始動入賞口332が閉鎖された閉状態を始動入賞ユニット64とその周辺の釘と共に示した図であり、図4(b)は、図4(a)に対して下側の始動入賞口332が開放された開状態を示した図である。
遊技盤16は、四角形状の合板で形成されたベース板60に釘や風車、入賞口63等を組み付けて構成され、その周縁部が内枠ベース30の裏側に当接した状態で内枠13の裏面側に取り付けられる。遊技盤16の前面中央部分は、内枠ベース30の中央窓30aを通じて内枠13の前面側に露出される。なお、遊技盤16の上下方向の長さは約480mm、左右方向の長さは約450mmとされ、従来と同等のサイズとなっている。
遊技盤16には、上述した一般入賞口63、始動入賞ユニット64、変動入賞装置65、可変表示装置ユニット80等がルータ加工によってベース板60に形成された貫通穴に配設され、遊技盤16の前面側から木ネジ等により固定されている。また、前記した入賞口以外に、遊技盤16には、アウト口66と第2入球口(スルーゲート)67とが設けられている。いずれの入賞口63,65a,331,332にも入球しなかった遊技球はアウト口66を通って図示しない球排出路へと案内される。遊技盤16には、遊技球の落下方向を適宜分散、調整等するために多数の釘が植設されているとともに、風車等の各種部材(役物)が配設されている。
可変表示装置ユニット80には、第2入球口67の遊技球の通過をトリガとして第2図柄(普通図柄)を変動表示する発光ダイオード(以下、「LED」と略す。)で構成される第2図柄表示装置82と、各始動入賞口331,332への入球(入賞)をトリガとして第1図柄(特別図柄)を変動表示する第1図柄表示装置81とが設けられている。第2図柄表示装置82は、第2図柄の表示部83と保留ランプ84とを有し、遊技球が第2入球口67を通過する毎に、表示部83において表示図柄(第2図柄)としての「○」の図柄と「×」の図柄とが交互に点灯して変動表示が行われ、その変動表示が所定図柄(本実施形態においては「○」の図柄)で停止した場合に下側の始動入賞口332へ遊技球を誘導する羽根333が所定時間だけ開放した作動状態(図4(b)参照)となる(開放される)よう構成されている。遊技球の第2入球口67の通過回数は最大4回まで保留され、その保留回数が保留ランプ84に点灯表示される。なお、第2図柄の変動表示は、本実施の形態のように、表示部83において複数のランプの点灯と非点灯を切り換えることにより行うものの他、第1図柄表示装置81の一部を使用して行うようにしても良い。同様に、保留ランプ84の点灯についても、第1図柄表示装置81の一部で行うようにしても良い。
また、第1図柄表示装置81にて第1図柄の変動表示が行われている間に各始動入賞口331,332のいずれかへ遊技球が入球した場合、その入球回数は最大4回まで保留され、その保留回数は保留ランプ85の点灯個数にて表示される。保留ランプ85は、最大保留数分の4つ設けられ、第1図柄表示装置81の上方に左右対称に配設されている。なお、本実施形態においては、各始動入賞口331,332への入賞および第2入球口67の通過は、それぞれ最大4回まで保留されるように構成したが、最大保留回数は4回に限定されるものでなく、3回以下、又は、5回以上の回数(例えば、8回)に設定しても良い。また、保留ランプ85を削除し、各始動入賞口331,332への入賞に基づく変動表示の保留回数を第1図柄表示装置81の一部に数字で、或いは、4つに区画された領域を保留回数分だけ異なる態様(例えば、色や点灯パターン)にして表示するようにしても良い。
ここで、図4を参照して、遊技盤16に設けられる始動入賞ユニット64と、その周辺の釘の配置について説明する。始動入賞ユニット64には、上側の始動入賞口331を形成する上側が開口した箱状の上側始動口形成部材341と、下側の始動入賞口332の前面側を覆いつつ羽根333と共に下側の始動入賞口332を形成する下側始動口形成部材342と、上側の始動入賞口331と下側の始動入賞口332とを一体的にユニット化するためのベースとなる板状のベース部材343とを備えている。各始動口形成部材341,342と、ベース部材343とは全て合成樹脂を成形して形成され、各部材が図示しないネジにより固定されている。また、ベース部材343より遊技盤16の裏面側(図4の紙面垂直方向奥側)には羽根333を動作させるための始動口開放ソレノイド(図示せず)が配設され、また、各始動入賞口331,332へ入賞した遊技球を排出するための通路や、各始動入賞口331,332へ入球した遊技球を検出するための始動口スイッチ524a,524b(図23参照)が設けられている。上側の始動入賞口331と下側の始動入賞口332とが、上下に並んで配設されており、遊技者は各始動入賞口331,332への遊技球の入賞の確認を目線を移動せずに、又は少しの目線の移動で実施することができる。
羽根333は、合成樹脂により形成されると共に、遊技盤16面に直交する軸を軸心とし、遊技領域が形成される遊技盤16面に沿って下側を支点に左右両側に離間して傾斜可能にベース部材343に支持されている。この羽根333は、通常時には上方に向かって起立した状態となって下側の始動入賞口332を閉鎖した閉状態を形成する。この閉状態においては、下側の始動入賞口332へは遊技球が入球できない状態となっている。第2入球口67を遊技球が通過すると、その通過したタイミングに基づいて後述する主制御装置561によって抽選が行われ、その抽選に当選すると遊技状態に応じて0.4秒間または4秒間のいずれかの時間分、通常時には非励磁状態の始動口開放ソレノイドが励磁され、羽根333が開放された開状態(図4(b)の状態)が形成される。この開状態においては羽根333の上面が下側の始動入賞口332側へ下降傾斜した状態となり、遊技球が下側の始動入賞口332へ誘い込まれて入球可能な状態となる。なお、第2図柄の表示部83に「○」印が点灯して羽根333が開閉する構造および制御については公知の種々の技術を使用することができる。
ここで、上側の始動入賞口331は、常時遊技球が入球可能なように上方に開口形成されており、羽根333は閉状態を形成する場合に下側の始動入賞口332へ遊技球を入球不能にし、開状態を形成する場合に限って遊技球を下側の始動入賞口332へ入球可能に形成されている。よって、羽根333の動作を制御することによって下側の始動入賞口332へは特定の遊技状態(例えば、時短遊技中)以外においてはほとんど或いは全く遊技球が下側の始動入賞口332へ入らないようにすることができる。下側の始動入賞口332は上側の始動入賞口331の5倍に相当する5個の遊技球が賞球として払い出される入賞口であるので、第1図柄の変動表示をさせるために上側の始動入賞口331を主に使用することにより第1図柄の変動表示の実行に伴う遊技球の払出数を少なくすることができ、1回の大当たりに対して遊技者が獲得し得る遊技球の総数を減らすことなく大当たり抽選の当選確率(即ち、特別遊技状態の発生確率)をより高く設定することができる。なお、上側の始動入賞口331は、遊技球の入球に基づいて1球の遊技球を払い出すものとすることが、大当たり抽選の当選確率を高く設定し得る上で好ましく、下側の始動入賞口332は4球以上の遊技球を払い出すものとすることが羽根333が頻繁に開閉する時短遊技中に遊技球が減少しないように設定し易く好適である。
上側始動口形成部材341は、上側の始動入賞口331の左右両側の側壁341aを形成する部材である。この左右両側壁341aは、それぞれ上端側より下端側の方が左右方向に対し外方(左右両側)へ突出するように傾斜した形状に形成されている。この左右両側壁341aは、羽根333へ向かう遊技球の進路を羽根333から遠ざかるように変化させる部材である。この上側始動口形成部材341の側壁341aによって、開状態の羽根333に向かって鉛直下方に流下中の遊技球が羽根333の開放方向側となる左右方向のいずれかに誘導することができる。即ち、羽根333の鉛直上方から流下した遊技球の進路を羽根333の開放方向側にすることにより羽根333の上方より直接羽根333に遊技球が当接してその遊技球が下側の始動入賞口332へ入球することが防止されるのである。
ここで、始動入賞口を開放させるための羽根が下側を支点に横方向へ傾倒して開放される構成においては、始動入賞口は、最初に上方側に開口して上側から落下する遊技球が入球可能となり、その後に羽根が傾倒することにより側方からも遊技球が入球可能となる。このため、開状態の羽根に向かって鉛直下方に遊技球が進行可能な構成においては、側方からのみ遊技球が開状態の羽根に向かって進行する構成に比べて遊技球が始動入賞口へ入球可能な期間が長くなり、僅かな時間だけ羽根が傾倒して始動入賞口が開放されても遊技球が始動入賞口へ入球し易い。また、鉛直下方に進行する遊技球は、側方から進行する遊技球に比べて重力の作用により流下速度が速くなり易く、開状態の羽根に向かって鉛直上方から直接羽根に当接して始動入賞口へ入球する遊技球は、羽根を素早く動作させて開閉させても阻止することが難しい。一方、本実施形態のパチンコ機10のように複数の始動入賞口331,332のうち賞球数の多い下側の始動入賞口332へ時短遊技以外の通常遊技中に遊技球が入球可能にしてしまうと、大当たり確率を低くしたり、大当たり遊技中に獲得される遊技球の総数を減らす必要が生じて、大当たり確率が高くて大当たり遊技中に獲得される遊技球の総数が多い遊技を好む遊技者の嗜好に対応した遊技機を提供することができない。
これに対し、パチンコ機10においては、上側の始動入賞口331の左右両側の側壁341aによって羽根333へ向かう遊技球の進路は羽根333から遠ざかるように変化させる。このため、遊技球は、側方からのみ開状態の羽根333に向かって進行し、開状態の羽根333に向かって鉛直下方に進行した遊技球が下側の始動入賞口332へ入球することがない。また、上側始動口形成部材341の側壁341aによって、羽根333の鉛直上方から流下した遊技球の進路が一旦折れ曲がり、斜めまたは横方向に遊技球が動作した後に下側の始動入賞口332へ遊技球が入ることとなり遊技球の流下速度が低下し易い。このため、鉛直下方へ真っ直ぐに遊技球が羽根333に当接して下側の始動入賞口332へ入球する場合に比較してより長く羽根333が開放されなければ遊技球が下側の始動入賞口332へ入球しなくなる。よって、通常遊技中に賞球数の多い下側の始動入賞口332へ遊技球が入球する確率を低下させることができる。従って、時短遊技中など、特定の遊技状態以外においては、全く遊技球が下側の始動入賞口332へ入らないようにすることができ、大当たり確率が高くて大当たり遊技中に獲得される遊技球の総数を多く設定することができ、この種の遊技性を好む遊技者の嗜好に対応した遊技機を提供することができる。なお、羽根333の上側で羽根333へ向かう遊技球の進路を変化させる部材は、必ずしも上側の始動入賞口331を形成する部材と一体的に形成する必要はなく、上側の始動入賞口331を形成する部材とは別の部材で形成しても良い。また、上側始動口形成部材341の側壁341aは、上端側より下端側の方が左右両側へ突出して形成されていれば良く、直線的に左右両側へ突出して形成されても曲線的に左右両側に突出して形成されても、或いは、上側に対して階段状に下側が左右両側に突出して段付きの形状に形成されていても良い。
上側の始動入賞口331の上方には、左右一対の命釘351が遊技盤16より突出して設けられている。この命釘351は、上側の始動入賞口331が上方に開口形成された開口幅と略同一幅に離間して突設されている。一対の命釘351の左右方向の両外方位置には、それぞれ各命釘351と遊技球が1球だけ通過可能なように遊技球1個分(即ち、遊技球の直径)より僅かに大きな隙間GP1を隔ててジャンプ釘352が遊技盤16より突出して設けられている。
上側始動口形成部材341の側壁341aは、命釘351とジャンプ釘352との間の隙間GP1に対して鉛直下側に突出するようにして配設されている。また、ジャンプ釘352と上側始動口形成部材341の側壁341aとは、ジャンプ釘352の取付位置と上側始動口形成部材341の側壁341aとの間の水平方向(遊技盤16面に沿った水平方向)の隙間GP2が遊技球の直径より小さくなるように配設されている。このため、上側の始動入賞口331へ入賞しないで命釘351とジャンプ釘352との間を通過して下方へ進行する遊技球は上側始動口形成部材341の側壁341aに必然的に当接し、その後に羽根333が開放される左右両外方向側へと誘導される。このジャンプ釘352の取付位置とは、遊技盤16に打ち込まれたジャンプ釘352の付け根の位置を意味しており、ジャンプ釘352の取付位置と上側始動口形成部材341の側壁341aとの間の水平方向の隙間GP2が遊技球の直径より小さいことが好ましいが、この隙間GP2が遊技球の直径より大きい場合であってもジャンプ釘352を傾倒させてジャンプ釘352の突端部分と上側始動口形成部材341の側壁341aとの間の水平方向の隙間が遊技球の直径より小さくすることにより、命釘351とジャンプ釘352との間を通過して下方へ落下する遊技球を上側始動口形成部材341の側壁341aに確実に当接させることができる。なお、ジャンプ釘352の突端部分については釘の向きを傾倒させるように調整することによって上側始動口形成部材341の側壁341aとジャンプ釘352との水平方向の隙間が遊技球の直径より広く調整されていても良い。
ここで、上側始動口形成部材341の側壁341aを設置すると遊技球が下側の始動入賞口332から遠ざかることとなって下側の始動入賞口332へ入りにくくなるが、下側の始動入賞口332から側壁341aにより遠ざけられる遊技球は、命釘351とジャンプ釘352との間を通過した遊技球に限られる。従って、命釘351とジャンプ釘352との間を経由しない他の経路からは下側の始動入賞口332へ遊技球が入球可能に設定することができる。
各ジャンプ釘352と上側始動口形成部材341の側壁341aとの間には、命釘351とジャンプ釘352との間と同様、遊技球が1球だけ通過可能な隙間を隔てて配設されている。更に、上側始動口形成部材341の側壁341aの壁面に沿って斜め下側には案内部材としての複数の規制釘353が列状に並んだ状態で遊技盤16より突出して設けられている。複数の規制釘353は、羽根333が最大に開放した状態(図4(b)の状態)において各羽根333の長手方向(下側の始動入賞口332に対して右上側と左上側)に沿うようにして斜めに並んで設けられており、羽根333が傾倒して下側の始動入賞口332が開放された状態において、下側の始動入賞口332へ遊技球を案内する。この規制釘353のうち最も羽根333に近い位置に設けられる規制釘353は、下側の始動入賞口332が開放された開状態における羽根333の先端部と少なくとも遊技球の直径以上の隙間GP3が形成されるように離間して配設されている。ここで、開状態における羽根333の先端部へは複数の規制釘353によって遊技球を誘導することができ、遊技球が誘導されすぎる場合には羽根333の先端部と規制釘353との隙間から落下させて調整することができるので、下側の始動入賞口332へ遊技球が入球する確率を遊技機メーカーが意図するものに設定しやすくすることができる。
図3に戻って説明する。始動入賞ユニット64の上側であって第1図柄表示装置81と始動入賞ユニット64との間には、遊技球が左右方向に転動可能な上面を形成するステージ361が設けられている。ステージ361は、左右両側が下方に凹んで形成され、中央部分が最も高く形成されている。このステージ361へはセンターフレーム86の上側に設けられるワープ口362に入球した遊技球がセンターフレーム86内の通路(図示せず)を通過して誘導され、ステージ361上を左右両側に往来した後に左右両側の凹んだ部分か、又は上側の始動入賞口331の真上に設けられて遊技球が上側の始動入賞口331へ向けて導出するように溝状に形成された導出部363から遊技盤16前面(図3の紙面手前側)に誘導され、遊技盤16に沿って流下する。導出部363から上側の始動入賞口331へ向けて導出された遊技球は、ほぼ確実に上側の始動入賞口331へ入球する。
ここで、導出部363を経由した後に上側の始動入賞口331へ入球する遊技球は、ステージ361上を転動した後に上側の始動入賞口331へ入球する。このため、ステージ361上へ案内される遊技球が多くなるほど、多数の遊技球が導出部363を経由して上側の始動入賞口331へ入球する。よって、遊技機メーカーや遊技場では、ステージ361上へ遊技球が案内される割合を調整することにより、上側の始動入賞口331への入球確率を簡易に調整することができる。
第1図柄表示装置81は、後述する表示制御装置505によって表示内容が制御され、、例えば左、中及び右の3つの図柄列が表示される。各図柄列は複数の図柄によって構成され、これらの図柄が図柄列毎に縦スクロールして第1図柄表示装置81の表示画面上にて第1図柄が可変表示されるようになっている。なお、本実施形態では、第1図柄表示装置81は8インチサイズの大型の液晶ディスプレイで構成され、可変表示装置ユニット80には、この第1図柄表示装置81の外周を囲むようにして、センターフレーム86が配設されている。
変動入賞装置65は、その中央部に横長矩形状に形成された大入賞口65aを開閉するものである。具体的には、大入賞口65aを覆う横長矩形状の開閉板と、その開閉板の下辺を軸として前方側に開閉駆動するための大入賞口開放ソレノイドとを備えている。大入賞口65aは、通常時は、遊技球が入賞できないか又は入賞し難い閉状態になっている。大当たりの際には大入賞口開放ソレノイドを駆動して開閉板を前面下側に傾倒し、遊技球が大入賞口65aに入賞しやすい開状態を一時的に形成し、その開状態と通常時の閉状態との状態を交互に繰り返すように作動する。
遊技盤16に設けられる2本のレール61,62は、球発射ユニット90から発射された遊技球を遊技盤16上部へ案内するために設けられたものである。操作ハンドル310の回動操作に伴い発射された遊技球は2本のレール61,62に挟まれた通路を経由して遊技領域に案内される。両レール61,62は、ステンレス製の金属帯によって構成され、内レール61は右上側の半円分を除いた円環状に曲げられた状態でベース板60に固定されている。外レール62は、その一部(主に左側部)が内レール61に向かい合うようにしてベース板60に固定されている。これら内レール61と外レール62とにより主として誘導レールが構成され、これら各レール61,62が所定間隔を隔てて並行する部分(向かって左側の部分)により、遊技球を遊技領域へ案内する球案内通路が形成される。
内レール61の先端部分(図3の左上部)には戻り球防止部材68が取り付けられている。これにより、一旦、内レール61及び外レール62間の球案内通路から遊技盤16の上部へ案内された遊技球が再度球案内通路内に戻ってしまうといった事態が防止される。また、内レール61の右下側の先端部と外レール62の右上側の先端部との間には、レール間を繋ぐ円弧を内面側に設けて形成された樹脂製の円弧部材70がベース板60に打ち込んで固定されている。外レール62の先端部(図3の右上部)には、遊技球の最大飛翔部分に対応する位置に返しゴム69が取り付けられている。所定以上の勢いで発射された遊技球は、返しゴム69に当たって、勢いが減衰されつつ中央部側へ跳ね返される。
遊技盤16の右下隅部及び左下隅部には、証紙等のシールやプレートを貼着するための貼着スペースK1,K2が設けられる。遊技盤16自体に証紙等の貼着スペースK1,K2を設けているので、証紙等により遊技盤16を一義的に特定することができ、不正な遊技盤16への交換を容易に発見することができる。
次に、遊技領域について説明する。遊技領域は、遊技盤16の前面であって2本のレール61,62と円弧部材70とにより区画して形成される略円形状の領域である。本実施形態では、遊技領域を、パチンコ機10の正面から見て、内レール61、外レール62及び円弧部材70によって囲まれる領域のうち、内レール61及び外レール62の並行部分である誘導レールを除いた領域としている。従って、遊技領域といった場合には誘導レール部分は含まず、遊技領域の向かって左側限界位置は外レール62ではなく内レール61によって特定される。同様に、遊技領域の向かって右側限界位置は円弧部材62によって特定される。また、遊技領域の下側限界位置は内レール61によって特定される。また、遊技領域の上側限界位置は外レール62によって特定される。
パチンコ機10においては、遊技領域の上端(外レール62の最上部地点)から遊技領域の下端(内レール61の最下部地点)までの距離は445mm(従来品よりも58mm程度長い)、遊技領域の左端(内レール61の極左位置)から遊技領域の右端(円弧部材70内側面の極右位置)までの距離は418mm(従来品よりも50程度mm長い)となっている。つまり、パチンコ機10の遊技領域は、従来よりも左右方向および上下方向に拡張されてはるかに大きく構成されている。よって、風車、第2入球口67、複数の釘(遊技球を中央に誘導するための誘導釘等)、他の役物を種々配設することができ、遊技球の挙動を多様にして弾球遊技を一層面白くすることができる。
ここで、遊技領域の幅は、少なくとも380mm以上あることが望ましい。より好ましくは390mm以上、400mm以上、410mm以上、420mm以上、430mm以上、440mm以上、450mm以上、更に460mm以上であることが望ましい。もちろん、470mm以上であってもよい。即ち、遊技領域の幅は、遊技領域拡大という観点からは大きい程好ましい。また、遊技領域の高さは、少なくとも400mm以上あることが望ましい。より好ましくは410mm以上、420mm以上、430mm以上、440mm以上、450mm以上、更には460mm以上であることがより望ましい。もちろん、470mm以上、480mm以上、490mm以上としてもよい。即ち、遊技領域の高さは、遊技領域拡大という観点からは大きい程好ましい。なお、上記幅及び高さの組合せについては、上記数値を任意に組み合わせたものとしてもよい。
また、本実施形態では、遊技盤16面に対する遊技領域の面積の比率は約70%と、従来に比べ格段に面積比が大きいものとなっている。遊技盤16面に対する遊技領域の面積比は、従来では50%程度に過ぎなかったことから、遊技盤16を共通とした前提においてはかなり遊技領域を拡大しているといえる。なお、パチンコ機10の外形は遊技場への設置の都合上製造者間でほぼ統一されており、遊技盤16の大きさも同様とせざるを得ない状況下において、上記のように遊技盤16面に対する遊技領域の面積の比率を約20%も高めたことは、遊技領域拡大の観点で非常に有意義である。ここで、前記比率は、少なくとも60%以上であることが望ましい。更に好ましくは65%以上であり、より好ましくは70%以上である。また、本実施形態の場合を越えて75%以上であれば、一層望ましい。更には、80%以上であってもよい。
また、パチンコ機10全体の正面側の面積に対する遊技領域の面積の比率は約40%と、従来に比べ格段に面積比が大きいものとなっている。なお、パチンコ機10全体の正面側の面積に対する遊技領域の面積比は、35パーセント以上であるのが望ましい。もちろん、40パーセント以上としてもよいし、45パーセント以上、又は50パーセント以上としてもよい。
なお、可変表示装置ユニット80の両側に位置する第2入球口67(スルーゲート)は、通過した遊技球を遊技領域の中央へ寄せる案内機構を有している。この案内機構は、遊技領域の中央側に向かって下降する傾斜面を第2入球口67の下側に設けて構成される。これにより、遊技領域の中央部に大型のLCDを可変表示装置ユニット80に設ける等して遊技領域が左右方向に拡張されても、遊技球を遊技領域中央側の始動入賞ユニット64や変動入賞装置65の方へと案内することができ、ひいては、遊技領域の拡張により遊技球が始動入賞ユニット64によって形成される始動入賞口331,332へ入賞し難くなったり、遊技球の経路が狭められて遊技球の挙動が単調となったりすることによる興趣の低下を抑制することができる。
次に、図6から図11を主に参照して内枠ベース30の前面側下部に装着されて内枠13の一部を構成する球発射ユニット90、通路形成部材36、中継基板38について説明する。ここで、図7は球発射ユニット90の正面図であり、図8はその斜視図、図9はその分解斜視図である。又、図10は球送り機構94を構成する開閉部材102を開放した状態における球発射ユニット90の斜視図であり、図11は、図10の状態に対して蓋部材103を取り外し、球送り機構94の内部構成を示した球発射ユニット90の斜視図である。
球発射ユニット90は、内枠ベース30下部の取付面30fにネジにより固定されるベース板91と、ベース板91に取り付けられる発射ソレノイド92と、発射ソレノイド92の一端側において発射ソレノイド92の長手方向に平行に延びるようにしてベース板91に取付固定される断面略M字状の発射レール93と、発射レール93の基端部(発射ソレノイド92側の端部)に1球ずつ遊技球を誘導案内する球送り機構94と、発射レール93の基端部上に載置される遊技球を支持して位置決めするようにベース板91に取り付けられた位置決め部材95(図10参照)とを備えている。
ベース板91は、亜鉛合金などの金属製平板をプレス加工して形成されたものであり、内枠ベース30の取付面30fに密着された状態でネジ96により固定される。図9に示すように、ベース板91には、ネジ96を挿通するための締結孔が穿設され、また、発射ソレノイド92を固定するためのボス91aおよびボルト91bと、発射レール93を固定するためのボス91cとが固定されている。
ベース板91の取付位置は、多数のパチンコ機10を製造しても内枠ベース30に対して安定するように高精度が望まれる。遊技盤16との相対位置がパチンコ機10毎に変化すると、それに伴って発射ソレノイド92により発射された遊技球の飛び量が異なるものとなり、操作ハンドルの回動操作に対応する遊技球の飛び量がパチンコ機10毎に不安定となるからである。本実施形態のパチンコ機10においては、ベース板91を従来より大型にして内枠ベース30との相対的な取付位置を安定させている。具体的には、ベース板91の下端は操作ハンドル310の回動軸心(図6のAHで示す位置)より下側まで延ばし、その右端は遊技盤16の右端と略同一となるようにし、その左端は遊技領域の中央を越えるようにアウト口66より左側まで延ばし、その上端は遊技盤16の下端に近接する位置まで延ばしている。また、ベース板91を固定するためのネジ96の数を従来より多く(6つ)している。更に、各ネジ96の締結位置(図6参照)を従来より離間させるようにし、例えば、下側のネジ96の締結位置は操作ハンドル310の回動軸心AHより下側にして取付位置の安定化を図っている。
発射レール93は、発射ソレノイド92により発射された直後の遊技球を案内するものであり、所定の発射角度(打ち出し角度)にしつつ直線的に延びるようにしてベース板91に固定されたボス91cにネジ(図示せず)で固定されている。操作ハンドル310の回動操作に伴い発射された遊技球は、まずは発射レール93に沿って斜め上方に打ち出され、その後、前述した通り2本のレール61,62の間に形成される誘導レールを通じて遊技領域に案内される。
ここで、本パチンコ機10の場合、遊技領域が従来よりも大幅に拡張されることは既に述べたが、かかる構成においては遊技球の発射位置と遊技領域との距離が近づいて発射レールが短くなりがちである。発射レール93が短いと球誘導距離が少なくなって打出球のばらつきが大きくなるので、打出球を安定化させるための工夫を要する。本実施形態では、遊技球の発射位置を低くすると共に発射レール93の傾斜角度(発射角度)を既存のものよりも幾分大きくして(即ち発射レール93を立ち上げるようにし)、発射レール93の長さを約240mmにして十分な長さの球誘導距離を確保している。これにより、発射装置から発射された遊技球をより安定した状態で誘導レールに案内できるようにしている。この場合、特に、発射レール93は、発射ソレノイド92により打撃される遊技球の発射位置から遊技領域の中央位置(アウト口66)を越える位置まで延びるよう形成している。
また、パチンコ機10においては、遊技球を発射する発射装置として、従来一般的に使用されているモータ及び発射槌の組合せではなく、リニアソレノイドをケース部材に収容した1ユニットのソレノイド(発射ソレノイド)92を採用している。発射ソレノイド92には、発射レール93と長手方向を平行にして配設される金属製のプランジャ92aと、プランジャ92aの先端を覆う樹脂製のキャップ92bとが設けられる。キャップ92bの材質としては本実施形態においてはポリエステル系熱可塑性エラストマーが採用されている。遊技者が操作ハンドル310を回動操作した状態中には、発射ソレノイド92は、所定時間毎に励磁と非励磁とを繰り返して行い、これに対応してプランジャ92aの出没が繰り返される。プランジャ92aが突出したときには、位置決め部材95によって発射レール93上に位置決めされた遊技球は、発射レール93の指向する斜め上方に向けて発射される。なお、操作ハンドル310に連動する可変抵抗器が発射ソレノイド92に結線されており、操作ハンドル310の操作量に基づいてプランジャ92aの突出速度が調整され(ストローク量はほぼ一定)、遊技球の発射速度ひいては飛び量が操作ハンドル310の回動量により調整される。
発射ソレノイド92は、図9に示すように、ベース板91に立設される一対のボス91aおよびボルト91bに対して、ボルト97とナット98とを取り付けて固定される。発射ソレノイド92には、ボス91aとボルト91bに対応する位置に、ボルト91b,97が挿通される締結孔92cが設けられている。球発射ユニット90においては、発射ソレノイド92の上下に設けられるボルト97及びナット98の締め具合を調整することによりベース板91に対する発射ソレノイド92の高さを異ならせてプランジャ92aと発射レール93との相対的な取付位置を調整し、遊技球の打点を調整することができるようになっている。パチンコ機10の製造時において各部品の製造上や組み付け上のばらつきがあってもパチンコ機10に球発射ユニット90を組み付けた後にボルト97とナット98とを調整して遊技球の飛び量を微調整することができる。また、発射ソレノイド92は、その全体がベース板9lの外周縁より内側に配設されており、ベース板91側から内枠ベース30に球発射ユニット90を組み付ける際に発射ソレノイド92が他の部品に引っ掛かって破損することが防止されている。
位置決め部材95は、発射レール93の右側端部(基端部)上に載置される遊技球を支持して打撃位置に遊技球を位置決めするための部材であり、図10に示すように、ベース板91より発射レール93が設けられる面側に円柱状に突出形成される。位置決め部材95には、その軸方向に沿って貫通する締結孔が設けられ、この締結孔にネジを貫挿することによってベース板91に位置決め部材95は螺着されている。ここで、位置決め部材95の締結孔は、円柱形状の中心ではなく、偏心した位置に形成されている。このため、位置決め部材95を適宜回動させてからネジを締め込むことにより発射レール93上に載置される遊技球の打撃位置を微妙に変更することができ、パチンコ機10の製造時および製造後において簡単に遊技球の飛び量を調整することができる。
球送り機構94は、上皿201から連続して案内されてくる遊技球を1球ずつ、発射レール93の基端部に送るものである。この球送り機構94は、発射ソレノイド92の上部を被覆するようにしてベース板91に固定される樹脂製の台座部材101と、台座部材101の片側(図7の右側)に軸支されて開閉可能に構成された樹脂製の開閉部材102とを備えている。台座部材101には、開閉部材102が設けられる前方側へ向けて係止爪101aが一体的に突出形成され、開閉部材102には、台座部材101の前面に重なる閉鎖状態にて係止爪101aが引っ掛かる係止孔102aが形成されている。開閉部材102は、通常時には、一方側が台座部材101に軸支されると共に他方側が係止孔102aにより台座部材101に係止されて台座部材101の前面に重なって固定された閉鎖状態となる。この閉鎖状態は、台座部材101の係止爪101aを開閉部材102の係止孔102aから外すことにより解除され、開閉部材102は台座部材101に対して前方側へ開放し得る。また、開閉部材102は、台座部材101に対して最大に開放することにより、上側へスライドして台座部材101から取り外し可能となっている。
台座部材101の下部は、下皿ユニット15と内枠ベース30の取付面30fとの上部隙間を覆いつつ下皿ユニット15の前面側に向けて下降傾斜した形状に形成されている。また、この台座部材101の正面視左側には、通路形成部材36が台座部材101より左側における下皿ユニット15と内枠ベース30の取付面30fとの上部隙間を覆いつつ下皿ユニット15の前面側に向けて下降傾斜した形状に形成されている。このため、前面枠14を開放した場合に球発射ユニット90の部位に遊技球が落下しても下皿ユニット15の背面側には遊技球が入り込まずに前面側に流出するようになっている。
開閉部材102の前面には、図7に示すように、正面視左側端部に上皿201から案内されてくる遊技球を導入する導入口102bが設けられており、この導入口102bから遊技球が開閉部材102の裏面側へ導入される。開閉部材102の裏面側には、図10に示すように蓋部材103が着脱可能に取り付けられ、その蓋部材103に電磁石104と送出部材105とが覆われている。電磁石104と送出部材105とは、遊技球を1球ずつ送り出すために動作する部材であり、図11に示すように、開閉部材102に凹設された収容空間に電磁石104を上側にして上下に並んで配置されている。
送出部材105は、ピンにより開閉部材102に対して導入口102b側の一辺側が上下に揺動可能に軸支された樹脂製の部材であり、その導入口側の一辺に遊技球が1個だけ収容可能に凹設されたホルダ部105aを備えている。また、ピンが挿通される軸部とホルダ部105aとを結ぶ上辺部分には、電磁石104に対向するようにして金属片106が取り付けられている。
電磁石104がオン(励磁)された場合には、金属片106が電磁石104にくっつくように引っ張られ、送出部材105が上方へ回動する。導入口102bから連続して遊技球が導入される場合、先頭の遊技球はホルダ部105aに収容されて上下移動が規制され、後続の遊技球はホルダ部105aに収容された遊技球に支えられて流下が規制される。
遊技球がホルダ部105aに収容された状態で電磁石104がオフ(非励磁)となると、送出部材105は自重により下方へ回動し、ホルダ部105aに収容されていた遊技球は下側へ流下する。このとき、後続の遊技球は、送出部材105の上辺によってホルダ部105aへの移行が規制されるため、送出部材105の上下動によりホルダ部105aに収容された1球だけが下方へ送り出される。下方へ送り出された遊技球は、開閉部材102と蓋部材103とにより形成される送出口102c(図10参照)を経由して発射レール93上へと案内される。このため、電磁石104の励磁と非励磁とを繰り返すと、その繰り返しに同期して遊技球は1球ずつ発射レール93上へ案内され、電磁石104のオンオフに同期して発射ソレノイド92を励磁することにより、発射レール93上の遊技球を1球ずつ遊技領域へ向けて発射することができる。
次に、図6を主に参照して内枠13の前面側に設けられる通路形成部材36について説明する。通路形成部材36は、上皿201が満タンのときに遊技球を下皿301へ排出するための下皿排出通路(図示せず)と、ファール球を下皿301へ排出するためのファール球通路(図示せず)とを形成するための部材である。ここで、ファール球とは、発射時の打ち出し力(発射力)が弱くて戻り球防止部材68が位置する遊技領域の入口に到達せずに発射レール93側へ戻った遊技球を意味している。
発射レール93と遊技盤16前面のレール(誘導レール)61,62との間には、約40mmの隙間が形成され、この隙間の下側にファール球通路が設けられている。内枠13の前面であって球発射ユニット90の左隣には、透明樹脂製の通路形成部材36がネジにより内枠ベース30の取付面30fに固定される。通路形成部材36には、内枠13の取付面30f側に向いて開口した溝が設けられ、この溝と内枠ベース30の取付面30fとによりファール球通路が形成される。ファール球通路は、途中から上皿201から溢れた遊技球を下皿301へ導く下皿排出通路に合流する。この下皿排出通路の最下流部には、取付面30fより内枠ベース30の前方側に向けて筒状に突出する下皿排出口36aが設けられており、ファール球は、下皿排出通路を経由して下皿排出口36aより下皿301へ排出される。
排出通路の途中には、下皿301が遊技球で満タンとなっていることを検出するための満タンセンサ(図示せず)が通路底面の一部を形成するように設けられる。遊技球が短期間で多量に払い出されると、上皿201が一杯となった後には下皿301に遊技球が溜まり始める。その後、遊技球が払い出され続けても下皿301の遊技球を抜かないと排出通路の途中に遊技球が溜まり始めるが、満タンセンサの設置箇所まで遊技球が溜まるとそれ以降の払い出しは後述する払出発射制御装置611(図24参照)の制御により停止される。排出通路が満タンになっても遊技球が払い出され続けると、下皿301が溢れて遊技の続行が困難となったり、遊技球を払い出すためのギヤに遊技球が詰まって故障の原因となる等、問題が起こりやすいからである。また、排出通路の満タンが満タンセンサにより検出されると、払出発射制御装置611の制御によって「球を抜いて下さい」のエラーメッセージがスピーカSP(図2参照)より繰り返して出力される。遊技者には、下皿301内に遊技球が溜まったことを示すことができ、下皿301の遊技球を取り出す操作を促すことができる。
通路形成部材36の左上部には、上皿201に遊技球を排出するための上皿排出口36bが設けられ、内枠ベース30には、その上皿排出口36bへ遊技球を払い出すための払出口が設けられている。内枠ベース30の払出口は、内枠ベース30の裏面と前面とを結ぶものであり、内枠13の裏面側に設けられる払出装置658(図21参照)に繋げられている。払出口および上皿排出口36bは前面枠14を閉鎖した状態において上皿201に通じており、払出口および上皿排出口36bを介して上皿201に遊技球が排出される(払い出される)。上皿排出口36bには、開閉式のシャッタ37が取り付けられており、前面枠14を開放した状態(図2の状態)ではバネ等の付勢力によりシャッタ37は上皿排出口36bを閉鎖する。また、前面枠14を閉鎖した状態では、当該前面枠14の裏面に設けられた球通路樋241(図2参照)によりシャッタ37は内枠ベース30側へ傾倒して押し開けられる。従って、前飾り枠が省略され前面枠14に上皿201が直接設けられる構成とした本パチンコ機10において、前面枠14の開放に際し内枠ベース30の払出口を通過中の遊技球が内枠13の前面にこぼれ落ちてしまうといった不都合が防止できるようになっている。
通路形成部材36における下皿排出口36aの下側は、内枠13の下面に当接する長さのリブ36cが設けられており、平板状に形成された内枠ベース30の取付面30fが補強されている。また、リブ36cと取付面30fとの間には配線を通す隙間が設けられ、電気配線のホルダとしてリブ36cが活用されている。
内枠ベース30の前面左下隅には、中継基板38が収容されている。中継基板38には、下皿ユニット15に設けられる電気部品(操作ハンドル310内部のタッチセンサ及び可変抵抗器、並びに、スピーカSP)の配線と、内枠13側に設けられる制御装置(払出発射制御装置611および音声ランプ制御装置562)とを接続する部位であり、下皿ユニット13側の配線コード先端に設けられるコネクタに連結する差込口(図示せず)が設けられる。下皿ユニット15と内枠13との電気的な接続が中継基板38にまとめられているため、下皿ユニット15の組み付け及び取り外し時における配線の取り回し作業が簡易になり、パチンコ機10の組み立て及び分解が容易になっている。また、中継基板38には、スピーカSPの音量を大小2段階に調節するスイッチが設けられ、内枠13を開放しなくても簡単に音量調節を実行することができる。なお、中継基板38から内枠13の裏面側に設けられる制御装置への配線は、内枠ベース30の取付面30fの下端に沿って、また通路形成部材36のリブ36cの奥側に配置され、内枠ベース30の前面右下隅に開口形成された配線穴30hより内枠13の裏面に取り回されている。
次に、図1、図2、図12および図13を参照して前面枠14の構成について説明する。図12(a)は前面枠14の背面図であり、図12(b)は図12(a)のR−R線における断面図である。また、図13は球発射ユニット90へ遊技球を送出する上皿201の出口部を断面視して示した図であり、図13(a)は前面枠14が開放された状態を示し、図13(b)は前面枠が閉鎖された状態を示している。
前面枠14は、矩形状に形成されたABS樹脂製の前面枠ベース200を主体に構成されており、前面枠ベース30の中央部には遊技領域のほとんどを外部から視認することができるよう略楕円形状に開口形成された窓部14cが設けられている。また、窓部14cの下側には、図1に示すように、球受皿としての上皿201が一体的に設けられている。上皿201は、遊技球を一旦貯留し、一列に整列させながら球発射ユニット90へ導出するものである。従来のパチンコ機では前面枠の下方において内枠に対し開閉可能な前飾り枠が設けられ、該前飾り枠に上皿が設けられていたが、本実施形態では前飾り枠が省略され、前面枠14に直接上皿201が設けられている。これは、本実施形態の前面枠14は、従来のパチンコ機より大きく形成した遊技領域を外部から視認できるように略楕円形状に大きく欠成された窓部14cを備えているので、前面枠14の強度を少しでも向上させるべく、該前面枠14に上皿201を一体化して形成しているのである。この上皿201は下皿301と同様に、少なくとも表面層が難燃性のABS樹脂にて形成されている。
前面枠14の窓部14cは、その左右側の略中央部が、上下側に比べて比較的緩やかに湾曲して縦長の楕円形状となっている。窓部14cを形成する前面枠ベース30は、上下方向の方が左右方向より長く形成されているので、窓部14cを大きく開口しつつ前面枠ベース200の上下および左右にて壊れやすい細幅となる部分を比較的広く設けることができ、強度を確保し易くしている。なお、窓部14cの左右側の略中央部を湾曲させないで直線状に形成してもよい。
本実施形態において、窓部14cの開口上端は、外レール62の最上部(遊技領域の上端)に一致し、その開口上端と前面枠14の上端との間の最短距離(いわゆる上部フレーム部分の上下幅)は約50mmとなっている。85mm〜95mm程度上部フレーム幅がある従来技術に比べて著しく短くなっており、遊技領域の上部領域を確保し易くすると共に、大型の可変表示装置ユニット80を比較的上方に配置することができる。なお、前面枠14の上端との間の距離は80mm以下であることが望ましく、より望ましくは70mm以下であり、更に望ましくは60mm以下である。もちろん、所定の強度が確保できるのであれば、50mm以下であっても差し支えない。
また、パチンコ機10の正面から見て窓部14cの左端と前面枠14の左端との間の最短距離(いわゆる左側部フレーム部分の左右幅:図12(a)では右側に示される)、即ち開閉軸線側のフレーム幅は、前面枠14自体の強度及び支持強度を高めるために比較的大きく設定されている。前面枠14が閉じられた状態において、外レール62の左端部が前面枠ベース200左側のフレーム部分によって覆い隠されるように、開閉軸線側のフレーム幅が広く設定されている。このため、外レール62は、パチンコ機10の正面からみて前面枠14の左側部フレーム部分と重複して覆い隠され、遊技領域の入口手前における遊技球が視認困難となる。ここで、遊技者は、遊技領域内において種々の挙動を示す遊技球を視認して弾球遊技を楽しむものであるため、遊技領域に入る前の遊技球が視認困難であっても実際の遊技に何ら支障は生じない。よって、遊技に支障を来すことなく、前面枠14の十分な強度及び支持強度を確保することができる。ちなみに、パチンコ機10の正面から見て外レール62の左端位置と外枠12の左端位置との左右方向の距離は約30mm、遊技領域の右端位置(円弧部材70の内面右端位置)と外枠12の右端位置との左右方向の距離は約45mmとなっている。
加えて、前面枠14には、その周囲(例えばコーナー部分)に各種ランプ等の発光手段が設けられている。これら発光手段は、大当たり時や所定のリーチ時等における遊技状態の変化に応じて、点灯又は点滅することにより発光態様が変更制御され、遊技中の演出効果を高める役割を果たす。図1に示すように、窓部14cの上側およびその左右両側には、窓部14cの周縁に沿って、LED等の発光手段を内蔵した電飾部202〜204が設けられている。パチンコ機10においては、これら電飾部202〜204が大当たりランプ等の演出ランプとして機能し、大当たり時やリーチ演出時等には内蔵するLEDの点灯や点滅によって各電飾部202〜204が点灯または点滅して、大当たり中である旨、或いは大当たり一歩手前のリーチ中である旨が報知される。
また、前面枠14の正面視右上部には、図1に示すように、賞球の払い出し中に点灯する賞球ランプ205が設けられ、一方、前面枠14の正面視左上部には所定のエラー時に点灯するエラー表示ランプ206が設けられている。また、右側の電飾部204の下側には、前面枠14の裏面側を視認できるように前面枠ベース200の裏面側より透明樹脂を取り付けて小窓207が形成され、遊技盤16前面の貼着スペースK1(図3参照)に貼付される証紙等はパチンコ機10の前面から視認可能とされている。また、パチンコ機10においては、より煌びやかさを醸し出すために、電飾部202〜204の周りの領域にクロムメッキを施したABS樹脂製のメッキ部材208が取り付けられている。このクロムメッキには、従来多用されていた6価クロムではなく、生産環境面等を考慮して3価クロムが使用されている。
窓部14cの下方には、図1に示すように、貸球操作部210が配設されている。貸球操作部210には、度数表示部211と、球貸しボタン212と、返却ボタン213とが設けられている。パチンコ機10の側方に配置されるカードユニット(球貸しユニット)(図示せず)に紙幣やカード等を投入した状態で貸球操作部210が操作されると、その操作に応じて遊技球の貸出が行われる。具体的には、度数表示部211はカード等の残額情報が表示される領域であり、内蔵されたLEDが点灯して残額情報として残額が数字で表示される。球貸しボタン212は、カード等(記録媒体)に記録された情報に基づいて貸出球を得るために操作されるものであり、カード等に残額が存在する限りにおいて貸出球が上皿201に供給される。返却ボタン213は、カードユニットに挿入されたカード等の返却を求める際に操作される。なお、カードユニットを介さずに球貸し装置等から上皿に遊技球が直接貸し出されるパチンコ機、いわゆる現金機では貸球操作部210が不要となるが、この場合には、貸球操作部210の設置部分に飾りシール等を付加して部品構成は共通のものとしても良い。カードユニットを用いたパチンコ機と現金機との共通化を図ることができる。
前面枠14の裏側における右上隅には、図12(a)に示すように、発光手段としてのLED用の発光基板214が前面枠ベース200の裏面にネジにより取り付けられている。また、前面枠14の裏側には、窓部14cを囲むようにして金属製の各種補強部材が設けられている。詳しくは、前面枠14の裏側にあって窓部14cの上下左右の外側には金属製の補強板221〜224がそれぞれ取り付けられている。これら補強板221〜224は相互に接触して連結されて、窓部14cの形成によって低下した前面枠14の剛性および強度を高めている。また、右側の補強板221は、前記した発光基板214の裏面側に重なって配設されているが、両者の直接の接触を避けるように、或いは、発光基板214への通電を防止するために、透明な合成樹脂製のカバー板215が補強板221と発光基板214との間に介在して設けられている。補強板221〜224の帯電に基づいてその周りにノイズや磁界が発生しても、カバー板215の介在によって発光基板214への影響が低減され、誤作動や故障等の抑制が図られている。なお、補強板221〜224の一部は接地されており(図示せず)、補強板221〜224が帯電し難いようになっている。
前面枠14の裏面右側の補強板221には、その中間位置にてフック(鉤)状をなす係合爪221a(図2参照)が設けられている。係合爪221aは、前面枠14を閉じた状態で内枠13(内枠ベース30)に穿設された溝30jに進入するように構成されている。内枠ベース30には、図6に示すように、その溝30jの一部を覆うようにして金属製の止め板39がネジ止めされており、内枠13に対して前面枠14が閉鎖された状態において係合爪221aの先端部が図6に示す止め板39の裏面側に入り込む。これにより、パチンコ機10正面視左側の中間位置における前面枠14の浮き上がりを防止することができ、上皿201が前面枠14に設けられて前面枠14が上下に大きく構成され、上下の支持位置(支持金具33,34の位置)が大きく離間しても、前面枠14を浮かしての不正行為を抑制することができる。
前面枠14の裏面左側の補強板222には、前面枠14の背面側に突出して鉤状に形成された上下一対の前面枠鉤部14aが一体的に形成されている。この前面枠鉤部14aが内枠13の裏面側に設けられる施錠ユニット410の前面枠用鉤部材411に係合して、前面枠14は施錠される。施錠状態の前面枠14は、シリンダ錠420に対して専用鍵による所定の解錠操作が行われることにより解錠され、開放可能な状態となる。
前面枠14の裏面上側の補強板223の左右方向における中央部分には、ネジ225を挿通するネジ孔が設けられており、このネジ225の先端部は、図12(b)に示すように、前面枠14の前面側に設けられるメッキ部材208に螺着されており、メッキ部材208はネジ225と補強板223とを通じて接地された状態となる。よって、装飾用のメッキを前面枠14の前面側に施しても帯電およびこれに起因するノイズ等による不具合を抑制することができる。
前面枠14の裏面下側の補強板224には、図2に示すように、前記発射レール93に対向する位置に樹脂製のレール側壁部材226が設けられている。このレール側壁部材226は、前面枠14を閉じた際に発射レール93の側壁となって、発射レール93から遊技球がこぼれ落ちないように機能している。また、レール側壁部材226の右側には、上皿201に繋がる穴に連続するようにして前面枠14の裏面側に突出する球通路樋241が前面枠ベース200にネジで固定されている。この球通路樋241は、前面枠14の閉鎖時に内枠13側のシャッタ37(図2参照)を押し開けて上皿201への遊技球の流路を形成する。
前面枠14の裏面側においてレール側壁部材226の左隣には、図12(a)に示すように、下側の補強板224の一部を正方形状に開口して形成された球出口224aが設けられると共に、その球出口224aを前面枠14の開放時に閉鎖するための開閉ユニット230が球出口224aの上側に取り付けられている。球出口224aは、上皿201の最下流部に設けられ、前面枠14の閉鎖時に上皿201と球発射ユニット90の導入口102b(図8参照)とを連通する。上皿201に載置された遊技球は球出口224aを経由して球発射ユニット90の導入口102bへ導かれる。
ここで、図12(a)および図13を参照して開閉ユニット230の構造について説明する。開閉ユニット230は、下側の補強板224にネジ止めされたケース部材としてのハウジング231と、上端がハウジング231内に収容され、それ以外の部分が下側の補強板224に沿うように下方に延びる薄板状の遮蔽板232と、遮蔽板232の上端部が巻回固定されると共にハウジング231の内面にて上下方向に回動可能に軸支された硬質樹脂製の回動レバー233とを備えている。この開閉ユニット230は、ハウジング231に、遮蔽板232、及び、回動レバー233を組み付けて一体化したものであり、前面枠14側への組み付け作業の容易化および簡素化が図られている。
回動レバー233は、下側の補強板224と略平行かつ略水平にハウジング231内面に設けられる回動軸231aを軸心としてハウジング231に回動可能に軸支される。回動レバー233には、回動軸231aより補強板224側(図13(a)の左側)に向けて延設される板支持部233aと、回動軸231aより下側に向かって延設され、前面枠14の閉鎖時に内枠13の一部に当接するようにハウジング231外に突出する接触部233bとが設けられる。内枠ベース30には、取付面30fより前面に突出形成された突起30k(図6参照)が設けられ、接触部233bは、突起30kに当接するように設けられる。この接触部233bは、回動軸231aに対して前面枠14の開閉方向(図13(a)の左右方向)とほぼ直行する方向に延設されているため、前面枠14の閉鎖時に接触部233bが内枠13に押圧された場合に回動レバー233が回動し易く、長期の使用にわたっての動作を確実なものとしている。
遮蔽板232は、弾性を有する薄板状の金属片(例えば、ステンレス薄板など)で形成され、一端が回動レバー233の板支持部233a(前面枠14側の端部)に固定される一方、他端である下端部232aは自由端となっている。遮蔽板232の下端部232aは、図12(a)に示すように、球出口224aより幅広く形成されている。このため、遮蔽板232の途中部分における弾性変形を容易にして動作抵抗を低くしつつも、遮蔽板232の下端部232aによって球出口224aを確実に覆って球出口224aからの遊技球の流出を遮蔽板232により確実に阻止することができる。なお、下端部232aの幅は、球出口224aより細くても良いが、ほぼ同一以上の幅とすることが遊技球の誤流出を防止する上で好ましく、球出口224aより遮蔽板232の下端部232aの幅を広くすることが好適である。
また、遮蔽板232の下端部232aが球出口224aより狭いと、球出口224a内に遮蔽板232が入り込んで球出口224a内の遊技球に遮蔽板232の下端が衝突し、遮蔽板232の変形や破損が生じ易い。パチンコ機10においては、遮蔽板232の下端部232aが球出口224aより広幅とされているので、球出口224a内に遮蔽板232が入り込むことがなく、遊技球への当接による遮蔽板232の変形や破損が防止されている。
ここで、球出口224aの下側には、図13(a)に示すように、上皿201から下皿301へ通じる通路と、その通路を閉鎖する閉鎖板234とが設けられ、その閉鎖板234がパチンコ機10の前面側(図13(a)の左側)へ移動可能となっている。閉鎖板234が前面側へ移動すると上皿201と下皿301とが連通し、遊技球が下皿301へ流下する。この場合に球出口224aより遮蔽板232の下端部232aが幅狭であると、その下端部232aが球出口224a内に入り込んで球詰まりが生じうる。遮蔽板232の下端部232aを球出口224aより幅広に形成することで上皿201と下皿301との連通を確実にすることができ、球詰まりの発生を抑制することできる。
開閉ユニット230の遮蔽板232は、平面状の薄板を下方に弾性変形させて曲折させた状態にして、補強板224と回動レバー233の板支持部233aとに支持されている。このため、遮蔽板232は、弾性力により元の平らな状態に復帰しようとして補強板224を押圧した状態となっている。前面枠14fの開状態(図13(a)の状態)にあっては、球出口224aが遮蔽板232に押圧されつつ塞がれた状態となり、遊技球の流出が阻止される。
前面枠14fが開状態になると、図13(a)に示すように、回動レバー233の接触部233b先端側(下端側)が前面枠14の裏側(図13(a)の右側)に向かって突出した状態となる。この状態においては、回動レバー233は、遮蔽板232が平らに復帰しようとする弾性力により、回動軸231aを中心にして接触部233bが前面枠14の裏側に突出する方向(図13(a)の左回り方向)に付勢され、ハウジング231の一部(ストッパ部231b)に当接した位置(第1の回動位置)にて静止する。
回動レバー233が第1の回動位置に配置された状態においては、遮蔽板232は、その下端部232aが球出口224aの上部を塞ぐ位置にまで垂下した状態となる。この状態においては上皿201内の遊技球は遮蔽板232によって流れが規制され、球出口224aから前面枠14の裏側へ遊技球が流出しない。よって、上皿201内に遊技球が貯留された状態で前面枠14を開放しても遮蔽板232により上皿201内の遊技球の流出を防止することができる。
また、ハウジング231には、回動レバー233に支持される遮蔽板232の一端部と下端部232aとの間部分に当接して、遮蔽板232を補強板224方向に押圧する押圧部231cが設けられている。このため、遮蔽板232がより強く補強板224側に押圧されることとなり、球出口224aに勢いよく遊技球が導かれたり上皿201内の遊技球が多量にあって遮蔽板232を開放しようとする力が大きくなった場合にも遊技球をより確実に受け止めて、球出口224aからの遊技球の流出防止を確実なものとしている。
図13(a)に示す状態から前面枠14が閉鎖されると、図13(b)に示すように、回動レバー233の接触部233bは、内枠13の突起30kに当接しつつ押圧されて前面枠14側に回動させられる。その後、回動レバー233は、前面枠14が閉鎖されるに従って図13(a)に示す第1の回動位置よりハウジング231内に入り込む方向(図13(b)の右回り方向)に回動し、前面枠14が完全に閉鎖される(即ち、施錠ユニット410の前面枠用鉤部材412に前面枠鉤部14aが係合する)とハウジング231内に最大限に押し込まれた位置(第2の回動位置)にて静止する。回動レバー233の回動に伴って回動レバー233の板支持部233aは球出口224aから離間する側(上側)へ移動する。
回動レバー233が第2の回動位置に配置された状態においては、回動レバー233の板支持部233aの上昇により遮蔽板232は、より大きく歪曲しつつ補強板224の板面に沿って上方へスライド移動する。球出口224aを覆っていた遮蔽板232の下端部232aは、球出口224aを遊技球が通過可能となる位置まで上昇する。上皿201内に遊技球がある場合には遊技球は球出口224aより球発射ユニット90の導入口102bへ向けて順次流出することとなる。このため、上皿201に遊技球を補給し続ける限り、球発射ユニット90により遊技領域へ向けて遊技球を継続して発射することができる。
前面枠14が閉状態から開放されると、回動レバー233(接触部233b)は、内枠13の突起30kによる押圧が解除され、遮蔽板232の復元力により第2の回動位置から第1の回動位置へと変位する。回動レバー233の変位に伴って遮蔽板232が補強板224の板面上を摺動しつつ下降し、遮蔽板232の下端部232aに球出口224aが閉鎖されて球出口224aからの遊技球の流出が防止される。つまり、前面枠14の開放と共に球出口224aが閉鎖されるので、遊技場の店員は、前面枠14を開放して点検等の作業を行う場合に上皿201内の遊技球の流出を心配することなく簡易に前面枠14を開放することができる。
次に、図14から図18を参照して前面枠14の裏面に取り付けられるガラスユニット17について説明する。図14は、ガラスユニット17の正面図である。また、図15は、図14のSa−Sa線における断面図であり、図16は、図14のSb−Sb線における断面図であり、図17は、図14のSc−Sc線における断面図である。図18は、図17の矢印V方向から見たガラスユニット17の部分拡大図である。
本実施形態におけるガラスユニット17は、従来のように、矩形状の板ガラスを前後対にして別々に前面枠に取り付けるものでなく、全体としては丸形をなす2枚の板ガラス151を一体化(アッセンブリ化)した上で前面枠14に取り付けるものである。このガラスユニット17は、前面枠14の窓部14c(図1参照)の形状にほぼ対応して、略円形で同一形状をなす前後一対の板ガラス151と、これら板ガラス151の周縁を囲むように設けられた保持フレーム153とを備えている。
保持フレーム153は、ABS樹脂により形成され、図15に示すように、断面略「ひ」字状にて板ガラス151の外形に沿って環状に形成されている。このため、保持フレーム153の両側(図15の上下両側)には、一対の鉤状断面に形成された板ガラス151の保持部が形成され、各板ガラス151は、保持フレーム153により外周が囲われると共に、一面側の外周縁が保持フレーム153に接触した状態に配設される。保持フレーム153と板ガラス151とは接着材によりそれぞれ接着(ホットメルト接着材等で接着)固定され、2枚の板ガラス151は、それらの間に介在する保持フレーム153によって所定間隔を隔てた状態で一体化される。
保持フレーム153は、図14に示すように、一方側(図14の左下側)において外方に膨出した形状に形成されており、板ガラス151も、その膨出部分を覆うように一部分が膨出した形状となっている。この膨出部分は、遊技盤16面における外レール62と内レール61とにより形成される誘導レールの一部(図3の左下側の部分)を覆うカバーとなり、誘導レール部分における遊技盤16前面側への遊技球の流出を規制する。
また、保持フレーム153は、一方側(図14の左下側)において外方に膨出した部分に、2枚の板ガラス151の間の領域を区画する区画壁153aが設けられている。この区画壁153aにより2枚の板ガラス151の間に収容部154が形成され、その収容部154内に水分の結露や曇りを防止するために吸湿を行う乾燥具155が設けられている。乾燥具155は、2片1組のケース部材を対向させて内部に収容空間を形成するケーシングと、そのケーシング内に多数収容された粒上の乾燥剤により構成される。ケーシング内は隔壁(図示せず)により複数の部屋に区画され、各部屋毎に乾燥剤が収容されている。乾燥剤としてはゼオライドやシリカゲル等が挙げられる。また、ケーシングには、その内外を連通する多数の小孔が形成され、2枚の板ガラス151にて密封またはほぼ密封された空間内の空気が効率的に除湿され、結露等の発生が防止されるようになっている。なお、保持フレーム153の区画壁153aおよび乾燥具155は、前面枠14の窓部14cにより形成される開口よりも外周側に配設され、パチンコ機10の装飾に不要な乾燥具155等が外部から視認されないようになっている。
保持フレーム153には、図16に示すように、2枚の板ガラス151と保持フレーム153とにより囲われる内部空間と外部とを連通する逃がし孔153bが穿設されている。この逃がし孔153bは、板ガラス151の接着固定を容易かつ確実なものとするために設けられる。逃がし孔153bの入口部には、接着剤が注入されて乾燥し、硬化した状態となっている。また、逃がし孔153bの内面形状は、保持フレーム153の外側(図14の下側)から内側へ次第に内径が縮小するテーパ状(円錐形状)に形成されており、外側からの接着剤の注入時に逃がし孔153bが完全に閉塞され易くしている。
ここで、ガラスユニット17の組み立て工程について、特に保持フレーム153に2枚の板ガラス151を接着固定する部分を中心に説明する。1枚の板ガラス151を載置した状態とし、その板ガラス151に保持フレーム153を接着固定する。次いで、収容部154に乾燥具155をセットしてから、2枚目の板ガラス151を保持フレーム153に接着固定する。
この2枚目の板ガラス151は、接着をより確実なものとするために強い力で押圧することとなるが、この押圧に際し、2枚の板ガラス151間の空気が圧縮されるおそれがある。もし空気が強く圧縮されると、空気の膨張によって接着後に板ガラス151が保持フレーム153から剥離してしまうことが懸念される。この点、本実施形態では、逃がし孔153bを介して板ガラス151の間と外部との空気の出入りが可能であるので、2枚目の板ガラス151が接着固定時に押圧されても空気が圧縮されることがなく、空気の膨張によって保持フレーム153から板ガラス151が剥離してしまうといった事態は起こらないようになっている。
2枚の板ガラス151を保持フレーム153に接着した後には、逃がし孔153bに接着剤を注入し、時間をおいて乾燥硬化させる。これにより、板ガラス151間には、密封された空間が形成され、湿気や埃等の侵入を規制し、また乾燥具155による吸湿効果を高めて遊技領域の視認性を良質なものとすることができる。
保持フレーム153には、その周縁における複数カ所にて外方に突出した取付部153cが設けられている。各取付部153cは、同一の形状に形成されており、各取付部153cには、図17に示すように、板ガラス151の面方向に沿って挿通孔153dが設けられている。また、取付部153cの一方の面(図17の上側の面)には、挿通孔153dに対応する位置に小径孔161aを有する薄肉に形成されたワッシャとしての金属板161が小ネジ162により保持フレーム153に固定されている。更に挿通孔153dと金属板161の小径孔161aとに挿通されるようにして、ガラスユニット17を前面枠14に取り付けるための取付ネジ163が設けられている。
取付ネジ163は、図17に示すように、表面が平滑な円筒状に形成された軸部163aと、軸部163aの先端側に一体形成された雄ねじ部163bと、軸部163aの基端側に設けられた操作部163cとにより形成されている。軸部163aは、金属板161の小径孔161aより小径に形成される一方、操作部163cは大きく形成される。また、雄ねじ部163bは、金属板161の小径孔161aに対してほぼ同一の外径であって、小径孔161aより外径は大きく谷の径が小さく形成されている。このため、取付ネジ163は、金属板161の小径孔161aに雄ねじ部163bをねじ込んで取り付けることができ、ほぼ軸部163aの長さ分(ストローク量)だけ移動可能な状態で金属板161を介して保持フレーム153に対して取り外し不能となっている。
取付ネジ163の操作部163cは、図18に示すように、軸部163aより大径の円筒状に形成されると共にその外周面が軸方向に沿った細かい溝163c2によりギザギザに加工されている。また、操作部163cの端面中央部には、十字状の溝163c1が設けられており、プラスドライバ等の工具により取付ネジ163の回動操作が可能となっている。このため、操作部163c外周面を指先で摘んでも、十字状の溝163c1に所定の工具を差し込んでも、取付ネジ163の回動操作が可能となっている。よって、ガラスユニット17の着脱操作は、工具がなくても実行可能であり、工具がある場合にはより簡単かつ確実に実行することができる。なお、取付ネジ163は、金属板161にねじ込まれて保持フレーム153に対して取り外し不能に構成されていたが、金属板161の小径孔161aを雄ねじ部163bの外径より大きくして取付ネジ163が容易に取り外し可能となっていても良い。また、取付ネジ163(操作部163c)と金属板162との間には、スプリングワッシャ等の緩み止め用の座金が設けられていても良い。また、操作部163cの外径形状は、上記した形状に限定されず手で回動し易い形状、例えば、軸の両側に板状に突出する部位を有するいわゆる蝶ネジのように形成しても良い。
前面枠14の裏側には、図12(a)に示すように、ガラスユニット17に設けられる取付部153cに対応する複数カ所に雌ねじが形成された被取付具227が設けられる。この被取付具227は、ボス(円筒)状に形成されると共に内面に取付ネジ163をねじ込み可能な雌ねじが形成された金属製の部材であり、前面枠ベース200の所定位置にネジまたは圧入によりそれぞれ固定されている。各被取付具227に取付部153cがそれぞれ取付ネジ163によって固定されることにより、ガラスユニット17は前面枠14の裏面に取付固定される。
また、前面枠14の裏側には、図2に示すように、保持フレーム153の外周形状の一部に沿うようにして裏面側に突出する3つのリブ200a〜200cが前面枠ベース200に一体形成されている。下側のリブ200b,200cは、前面枠ベース200の窓部14cの下側2カ所において上側のリブ200aより大きく突出して設けられており、ガラスユニット17の取付時にはその下側を支持して取付を補助する。また、上側のリブ200aおよび下側の一方のリブ200cには、各リブの突出方向側の先端部において窓部14cの中心側に突出する係止突起が一体形成されており、ガラスユニット17の取付に際しては、その係止突起が保持フレーム153の外周縁に設けられる凹部に嵌り込んでガラスユニット17を仮止めすることができる。
次に、図12(a)に戻って前面枠14の構成について説明する。前面枠14の裏面右側端部(パチンコ機10の正面視左端部)には、内枠13の支持機構として、上下2カ所に支持金具228,229が取り付けられている。内枠13側の支持金具33,34(図6参照)に前面枠14側の支持金具228,229を組み付けることで、内枠13に対して前面枠14は開放可能に装着される。
より詳しく説明すると、前面枠14の上側の支持金具228は、略棒状をなし、その上部の径が下部の径より太い段付きの円柱状に形成されている。内枠13側の上側の支持金具33には、前述したように内枠13の前面側に開口した切欠を有する支持孔33aが設けられており、その支持孔33aの切欠の幅は、前面枠14上側の支持金具228における上部の径より狭く、下部の径より広くなっている。このため、上側の支持金具228の下部(小径の部分)を支持孔33a内に嵌めてから、支持金具228を下方にスライドすると、支持金具228の大径の部分が支持孔33a内に嵌って支持孔33aから支持金具228が外れなくなる。
前面枠14の下側の支持金具229は、前面枠14の裏面側にネジで固定されており、その裏面側から下端面にわたって折り曲げて形成されている。この支持金具229には、前面枠14の下端面に上方に向けて開口した支持穴229aが設けられており、この支持穴229aには、内枠13側の支持金具34により形成される突起軸34aが嵌り込み、前面枠14が内枠13に対して回動可能に支持される。
内枠13への前面枠14の装着手順としては、まず、前面枠14上側の支持金具228の下部(小径の部分)を、切欠を介して支持孔33aに挿入する。次に、前面枠14下側の支持穴229aを、内枠13下側の支持金具34の突起軸34aに位置させてから前面枠14を下方にスライドする。前面枠14上側の支持金具228は大径の部分が支持孔33a内に嵌って外れなくなり、前面枠14下側の支持金具229も突起軸34aに回動可能に支持されて、前面枠14の装着が完了する。
次に、図19および図20を主に参照して下皿ユニット15について説明する。図19は下皿ユニット15の正面図であり、図20はその背面図である。下皿ユニット15は、横長矩形状に形成されたABS樹脂製の下皿ベース300に、下皿301や操作ハンドル310等を取り付けたものである。
下皿ユニット15には、図19に示すように、ほぼ中央部に球受皿としての下皿301が設けられ、内枠13側の下皿排出口36a(図2参照)から排出口301aを通じて排出された遊技球が下皿301内に貯留可能に構成されている。下皿301は、下皿ベース300とは別部品で形成した難燃性のABS樹脂を表面に貼り付けて形成される。下皿301のすべてを難燃性のABS樹脂で形成することは必要でないが、少なくとも下皿301の表面部分、即ち下皿301の表面層と下皿301奥方の前面パネル302とをABS樹脂で形成することが好ましい。下皿301には、火のついた煙草が放置される危険があるので、少なくともその表面部分を難燃性のABS樹脂で形成することにより、パチンコ機10の損傷や火災の発生を抑止できるからである。前面パネル302には、スピーカSPからの音を出力するための多数のスピーカ孔303が穿設されており、下皿ユニット15の裏面側には、スピーカ孔303に対応する位置にスピーカSPがネジにより固定されている。
下皿301の正面下方部には、下皿301に貯留された遊技球を下方へ排出する際に操作するための球抜きレバー304が設けられている。この球抜きレバー304は、常時、右方向に付勢されており、その付勢に抗して左方向へスライドさせることにより、下皿301の底面に形成された底面口が開口して、その底面口から遊技球が自然落下して排出される。かかる球抜きレバー304の操作は、通常、下皿301の下方に下皿301から排出された遊技球を受け取る箱(一般に「千両箱」と称される)を置いた状態で行われる。
下皿301の右方には、前述したように操作ハンドル310が配設され、下皿301の左方には灰皿305が取り付けられている。灰皿305は下皿ベース300に回転可能に取り付けられた軸と共に手前方向及び奥方向へ回動可能にされている。下皿ユニット15の裏面側には、その裏面全体を覆うように金属製の板金306が設けられており、下皿ユニット15自体の剛性および強度が高められている。
この下皿ユニット15は、内枠13に対して開閉可能に取り付けられており、内枠13および前面枠14と同様にパチンコ機10の正面視左側を開閉軸線として前方側に開放可能となっている。下皿ユニット15には、その正面視左上側に支持穴307が設けられると共に、その正面視左下側に支持軸308が設けられている。下皿ユニット15の支持穴307および支持軸308が内枠13側の支持金具34,35(図6参照)に対して組み付けられると、内枠13に対して下皿ユニット15が開閉可能に装着される。
支持穴307および支持軸308について、より詳しく説明すると、支持穴307は、板金306の上端部を折り返した部分に穿設された孔によって構成され、内枠13側の支持金具34において下方に突出する突起軸34bを挿通可能となっている。支持軸307は、上下方向に出没可能な略逆L字状をなす突起より構成され、板金306に覆われたばね(図示せず)によって常には下方へ突出した状態に維持される。
下皿ユニット15の装着手順としては、まず、支持穴307に内枠13側の突起軸34bを差し込んで下皿ユニット15の上側を内枠13に固定する。その後、支持軸308をばねの付勢力に抗して没入状態としてから支持軸308の先端と内枠13下側に設けられる支持金具35の支持孔との位置あわせをする。支持軸308と支持孔との位置があうと、ばねの付勢力によって支持軸308が支持孔内に嵌り込み、下皿ユニット15の装着が完了する。
下皿ユニット15の板金306には、その裏面左側に略矩形状で上下2カ所に並んで形成された下皿係合部15aが形成されている。この下皿係合部15aが内枠13の裏面側に設けられる施錠ユニット410の下皿用鉤部材413に係合することにより、下皿ユニット15は施錠される。施錠状態の下皿ユニット15は、シリンダ錠420に対して専用鍵による所定の解錠操作が行われることにより解錠され、開放可能な状態となる。
ここで、下皿ユニット15が配置されるパチンコ機10の下皿301および操作ハンドル310の部分は、従来には内枠13の一部として形成されて前方側へは開放し得ず、前面枠14により形成される上皿201の下端部までが内枠13の前面側を覆うように構成されていた。前面枠14に覆われた内枠13の前面側には、遊技領域を形成する遊技盤16と、遊技領域へ向けて遊技球を発射する球発射ユニット90とが上下に並べて配置されるが、前面枠14のみが前方へ開放し、下皿301および操作ハンドル310の部分が開放しない場合、上皿201の下端部位置に球発射ユニット90の配置位置が制限され、その上側に形成される遊技領域を大きくすることが難しかった。
本実施形態のパチンコ機10においては、前面枠14以外に下皿ユニット15も内枠13に対して開放可能に構成されるので、球発射ユニット90を下皿301や操作ハンドル310の裏面側に重なるようにして従来より下側に配置することができ、その分、遊技盤16の遊技領域を上下に大きく形成することができる。また、下皿ユニット15が開放可能であるので、内枠13の下端部における裏面側に加えて、その下端部における下皿ユニット15の裏面側と内枠13の前面側との各面に各種部品や配線を収容することができ、部品や配線の設計自由度が高められる。更に、下皿301や操作ハンドル310の裏面側に対して作業を行う場合、例えば、上皿201と下皿301とを繋ぐ通路内の球詰まりを解消する場合や下皿301の奥側に位置して満タン状態を検出する満タンセンサを確認する場合等においては、下皿ユニット15を開放することで、外枠12に内枠13が固定された状態で、内枠13の前面側から各作業を行うことができる。内枠13を開放した場合、外枠12に対して内枠13が揺れ動くために作業がし難いが、下皿ユニット15を開放して内枠13に対して行う作業は、内枠13が固定された状態で行えるので簡易なものとなる。
また、内枠13、前面枠14、及び、下皿ユニット15は、ベースとなる各部材(内枠ベース30,前面枠ベース200,下皿ベース300)に他の部材を組み付けて形成されるものであり、本実施形態においては各ベース部材30,200,300は、すべて合成樹脂、具体的にはABS樹脂により形成されている。これら各ベース部材30,200,300を合成樹脂で形成することにより、金属でベース部材を形成するより複雑な形状に対応することができ、パチンコ機10前面に文字や模様等を形成して装飾性を高めつつ、その裏面側には相手部品の取付部等を一体的に形成して生産コストの抑制を図っている。また、ABS樹脂は、一般に安価で、且つ、メッキ等ののりが良く装飾性に優れるため、低コストで表面処理を施した装飾をパチンコ機10の前面に形成し易い。更に、ABS樹脂は、耐衝撃性が大きいという利点もあり、遊技者が転倒してパチンコ機10前面に衝突したり、遊技の結果に不満を抱いた遊技者がパチンコ機10前面を殴打したりしても、樹脂が破損して遊技者が怪我してしまうことが少ないので、ベース部材30,200,300の材料としてABS樹脂は好適である。
また、各ベース部材30,200,300と外枠13の飾り板24とは、全て同一材料であるABS樹脂により形成されている。このため、ベース部材30,200,300および飾り板24の少なくとも2部材を同一色で形成した場合、経年劣化により色あせや変色の程度は同等となる。よって、長期にわたって複数の部材で構成されるパチンコ機10前面の色度の差を少なくして良質な見栄えを維持することができる。特に各ベース部材30,200,300と外枠13の飾り板24とを、同一材料であって、メーカーおよび材料グレードまで同一のものとすることが、良質な見栄えを維持する上で好ましい。
次に、図21から図26を参照して、パチンコ機10の背面側の構成を説明する。図21は、パチンコ機10の背面図であり、図22は、パチンコ機10背面の制御基板ユニットと裏パックユニットの構成を模式的に示した図である。また、図23は、内枠13に遊技盤16を組み付けた状態を示す背面図であり、図24は内枠13を後方より見た斜視図、図25は遊技盤16を後方より見た斜視図である。図26は、支持金具535の斜視図である。
パチンコ機10の背面側には、各種制御基板が上下左右に並べて、また、前後に重ねて配置されており、更に、遊技球を供給するための遊技球供給装置(払出ユニット)や樹脂製の保護カバー等が取り付けられている。本実施形態では、各種制御基板を2つの取付台に分けて搭載して2つの制御基板ユニットを構成し、それら制御基板ユニットが個別に内枠13又は遊技盤16の裏面に装着されている。この場合、主基板と音声ランプ制御基板とを一方の取付台に搭載してユニット化すると共に、払出発射制御基板及び電源基板を他方の取付台に搭載してユニット化している。ここでは便宜上、前者のユニットを「第1制御基板ユニット501」と称し、後者のユニットを「第2制御基板ユニット502」と称する。また、保護カバー部を形成する裏パック651および払出ユニット652も1ユニットとして一体化されており、ここではそのユニットを「裏パックユニット503」と称する。各ユニット501〜503の詳細な構成については後述する。
第1制御基板ユニット501、第2制御基板ユニット502及び裏パックユニット503は、ユニット単位で何ら工具等を用いずに着脱できるよう構成されており、更にこれに加え、一部に支軸部を設けて内枠13又は遊技盤16の裏面に対して開閉できる構成となっている。これは、各ユニット501〜503やその他構成が前後に重ねて配置されても、隠れた構成等を容易に確認することを可能とするための工夫でもある。
各ユニット501〜503は、図22に示すように、上下に並んで配置され、取り付けられている。第1制御基板ユニット501は、略L字状をなし、パチンコ機10のほぼ中央に配置され、その下方には、第2制御基板ユニット502が配置されている。また、第1制御基板ユニット501の上部に一部重なる領域に、裏パックユニット503が配置されている。
第1制御基板ユニット501には、パチンコ機10の背面から見て左端部に支軸部M1が設けられ、その支軸部M1の軸線Aを中心に当該第1制御基板ユニット501が開閉可能となっている。また、第1制御基板ユニット501には、その右端部(即ち支軸部M1の反対側、更に言えば開放端側)にナイラッチ等よりなる締結部M2が設けられると共に上端部に係止爪部M3が設けられており、これら支軸部M1、締結部M2及び係止爪部M3によって第1制御基板ユニット501がパチンコ機10の本体(遊技盤16の裏面)に固定保持される。
第2制御基板ユニット502には、パチンコ機10の背面から見て右端部に支軸部M4が設けられ、その支軸部M4の軸線Bを中心に当該第2制御基板ユニット502が開閉可能となっている。また、第2制御基板ユニット502には、その左端部(即ち支軸部M4の反対側、更に言えば開放端側)にナイラッチ等よりなる締結部M5が設けられており、この支軸部M4および締結部M5によって第2制御基板ユニット502がパチンコ機10の本体(内枠13の裏面)に固定保持される。
裏パックユニット503には、パチンコ機10の背面から見て右端部に支軸部M6が設けられ、その支軸部M6による軸線Cを中心に当該裏パックユニット503が開閉可能となっている。また、裏パックユニット503には、その左端部(即ち支軸部M6の反対側、更に言えば開放端側)にナイラッチ等よりなる締結部M7が設けられると共に上端部及び下端部にそれぞれ回動式の係止部M8,M9が設けられており、これら支軸部M6、締結部M7及び係止部M8,M9によって裏パックユニット503がパチンコ機10の本体(内枠13の裏面)に固定保持される。
各ユニット501〜503の展開方向は同一でなく、第1制御基板ユニット501は、パチンコ機10の背面から見て左開きになるのに対し、第2制御基板ユニット502及び裏パックユニット503は、同右開きになるよう構成されている。
ここで、図23から図26を用いて、内枠13及び遊技盤16の裏面構成を説明する。遊技盤16は、図23に示すように、内枠ベース30に囲まれた四角枠状の設置領域に設置され、内枠13の左右両側に設けられた3つの係止固定具511と、内枠13の略中央下部に設けられた樹脂製の係止固定具512との計4つの係止固定具511,512によって脱落しないように固定されている。係止固定具511,512は手動で回動でき、固定位置(ロック位置)と固定解除位置(アンロック位置)とを切り替え可能に構成されている。図23は、係止固定具511,512がロック位置にある状態を示している。遊技盤16の左右3カ所の係止固定具511は、金属片を折り曲げ形成したL型の金具で構成され、遊技盤16を固定した状態では内枠13の外方へ張り出さないよう構成されている。遊技盤16の下部1カ所の係止固定具512は、樹脂製のI型の留め具で構成される。
遊技盤16の裏面中央には、可変表示装置ユニット80が配置されている。可変表示装置ユニット80には、センターフレーム86(図3参照)を背後から覆う樹脂製(例えばABS製)のフレームカバー513が後方に突出して設けられており、そのフレームカバー513の後端に、液晶表示装置たる第1図柄表示装置81と表示制御装置505とが前後に重ねられた状態で着脱可能に取り付けられている。フレームカバー513内には、センターフレーム86に内蔵されたLED等を駆動するためのLED制御基板などが配設されている。
また、遊技盤16の裏面には、可変表示装置ユニット80を取り囲むようにして裏枠セット515が取り付けられている。この裏枠セット515は、遊技盤16の裏面に張り付くようにして設けられる薄型の樹脂成型品(例えばABS製)であって、各種入賞口に入賞した遊技球を回収するための遊技球回収機構が形成されている。詳しくは、裏枠セット515の下方には、前述した一般入賞口63、始動入賞口331,332、変動入賞装置65(図3参照)への入賞球を遊技盤16裏面側に排出する排出口に対応し、且つ下流側で1カ所に集合する回収通路516が形成されている。また、遊技盤16の下方には、樹脂製(例えばポリカーボネート樹脂製)の排出通路盤517が取り付けられており、該排出通路盤517には、排出球をパチンコ機10の外部へ案内するための排出通路518が形成されている。従って、図23に仮想線で例示するように、一般入賞口63等に入賞した遊技球は何れも裏枠セット515の回収通路516を介して集合し、更に排出通路盤517の排出通路518を介してパチンコ機10外部に排出される。なお、アウト口66(図3参照)も同様に排出通路518に通じており、何れの入賞口にも入賞しなかった遊技球も排出通路518を介してパチンコ機10の外部に排出される。
上記構成では、遊技盤16の下端面を境界にして、上方に裏枠セット515(回収通路516)が、下方に排出通路盤517(排出通路518)が設けられており、排出通路盤517が遊技盤16に対して前後方向に重複(オーバーラップ)せずに設けられている。従って、遊技盤16を内枠13から取り外す際において、排出通路盤517が遊技盤16の取り外しの妨げになるといった不都合が生じることもない。
なお、排出通路盤517は、パチンコ機10前面の上皿201の丁度裏側辺りに設けられているので、上皿201に至る球排出口(図2の上皿排出口36b)より針金等を差し込み、更にその針金等を内枠13と排出通路盤517との隙間を通じて遊技領域側に侵入させるといった不正行為が考えられる。そこで本パチンコ機10の排出通路盤517には、上皿201の丁度裏側辺りに、内枠13にほぼ一体的に重なり合うようにしてパチンコ機10の前方に延びるプレート519が設けられている。従って、内枠13と排出通路盤517との隙間から針金等を侵入させようとしてもそれがプレート519にて阻害され、遊技領域にまで針金等を侵入させることが非常に困難となる。その結果、針金等により変動入賞装置65の大入賞口65aを強制的に開放する等の不正行為を防止することができる。
また、遊技盤16の裏面には、各種入賞口などへの遊技球の入球(通過)を検出するための入賞感知機構などが設けられている。具体的には、遊技盤16表側の一般入賞口63に対応する位置には入賞口スイッチ521が設けられ、変動入賞装置65には、特定領域スイッチ522とカウントスイッチ523とが設けられている。特定領域スイッチ522は、大当たり状態で変動入賞装置65に入賞した遊技球が特定領域(大当たり状態継続を判定するための領域)に入ったことを判定するスイッチであり、カウントスイッチ523は入賞球をカウントするスイッチである。また、各始動入賞口331,332に対応する位置には上側始動口スイッチ524aと下側始動口スイッチ524bとが設けられ、第2入球口67に対応する位置には第2入球口スイッチ525が設けられている。
入賞口スイッチ521及び第2入球口スイッチ525は、図示しない電気配線(ケーブルコネクタを含む)を介して盤面中継基板526に接続され、さらにこの盤面中継基板526が後述する主基板(主制御装置561)に電気配線を介して接続されている。また、特定領域スイッチ522及びカウントスイッチ523は電気配線を介して大入賞口中継基板527に接続され、さらにこの大入賞口中継基板527が電気配線を介して主基板に接続されている。これに対し、上下の始動口スイッチ524a,524bは中継基板を介さずに直接主基板に接続されている。
その他図示は省略するが、変動入賞装置65には、大入賞口65aを開放するための大入賞口開放ソレノイドと、入賞球を特定領域に導くための入賞球振分板ソレノイドが設けられ、始動入賞ユニット64には、羽根333を動作させて下側の始動入賞口332を開放するための始動口開放ソレノイドが設けられている。また、本実施形態では、遊技球を発射させる発射装置としてソレノイド92を採用しているため、発射装置が内枠13の前面側にまとめて配置されている。このため、従来のモータ及び発射槌の組合せに比べて内枠13の裏面側には発射装置が配置されず、内枠13裏面のスペースを制御基板等の他部品のスペースとして有効に活用することができる。
上記入賞感知機構にて各々検出された検出結果は、後述する主基板に取り込まれ、該主基板よりその都度の入賞状況に応じた払出指令(遊技球の払出個数)が払出制御基板に送信される。そして、該払出制御基板の出力により所定数の遊技球の払出が実施される。かかる場合、各種入賞口に入賞した遊技球を入賞球処理装置に一旦集め、その入賞球処理装置で入賞球の存在を1つずつ順番に確認した上で払出を行う従来方式(いわゆる証拠球方式)とは異なり、本実施の形態のパチンコ機10では、各種入賞口毎に遊技球の入賞を電気的に感知して払出が直ちに行われる(即ち、本パチンコ機10では入賞球処理装置を廃止している)。故に、払い出す遊技球が多量にあっても、その払出をいち早く実施することが可能となる。
遊技盤16の裏面にネジで固定された裏枠セット515には、第1制御基板ユニット501を取り付けるための取付機構が設けられている。具体的には、この取付機構として、遊技盤16の裏面左下隅部には上下方向に延びる支持金具531がネジで取り付けられ、この支持金具531には同一軸線上に上下一対の支持孔531aが形成されている。その他、遊技盤16の背面右下部には上下一対の被締結孔(ナイラッチ孔)532が設けられ(図23参照)、同左上部には係止爪片533が設けられている。
内枠13の裏面には、第2制御基板ユニット502や裏パックユニット503を取り付けるための取付機構が設けられている。具体的には、図23に示すように、内枠13の背面右端部には、図26に示す長尺状の支持金具535が取り付けられている。
支持金具535は、長尺板状の金具本体536を有し、その金具本体536より起立させるようにして、下方2カ所に第2制御基板ユニット502用の支持孔部537が形成されると共に、上方2カ所に裏パックユニット503用の支持孔部538が形成されている。それら支持孔部537,538にはそれぞれ同軸の支持孔が形成されている。その他、第2制御基板ユニット502用の取付機構として、内枠13には、図23に示すように、遊技盤16の設置領域よりも下方左端部に上下一対の被締結孔(ナイラッチ孔)539が設けられている。また、裏パックユニット503用の取付機構として、内枠13には、遊技盤16の設置領域の左端部に上下一対の被締結孔(ナイラッチ孔)540が設けられている。なお、第2制御基板ユニット502用の支持金具と裏パックユニット503用の支持金具とを各々個別の部材で設けることも可能である。また、裏パックユニット503用の取付機構として回動式の3つの固定具541〜543が内枠13に設けられており、それら固定具541〜543と遊技盤16との間に裏パックユニット503は挟み込んで支持される。
その他、内枠13の背面側における遊技盤16の右下部には、図24に示すように、後述する払出ユニット652より払い出される遊技球を上皿201、下皿301又は排出通路518の何れかに振り分けるための遊技球分配部545が設けられている。遊技球分配部545には、3つの開口部が左右に並んで設けられ、左側の開口部545aは上皿201に通じ、中央の開口部545bは下皿301に通じ、右側の開口部545cは排出通路518に通じる構成となっている。
内枠13の下端部には、下皿ユニット15に取り付けられるスピーカSPの裏面側に重なる位置に穿孔された多数のスピーカ孔546が内枠ベース300の一部として形成されている。スピーカSPの音声出力時に振動板(コーン)が振動してもスピーカ孔546によりパチンコ機10の背面側へ振動が逃がされるので、内枠13と下皿ユニット15との間で共鳴音が生じることが抑制される。なお、スピーカ孔546により形成される開口の面積は、スピーカSPの裏面側に重なる領域にスピーカSPの振動板の面積と同一以上とすることが共鳴音を抑制する上で好ましく、共鳴音を抑制しつつ剛性強度を高めるためにスピーカ孔546の開口面積とスピーカSPの振動板の面積とを同一又はほぼ同一とすることが好適である。
次に、図27から図30を参照して、第1制御基板ユニット501を説明する。図27は第1制御基板ユニット501の正面図であり、図28は同ユニット501の斜視図であり、図29は同ユニット501の分解斜視図であり、図30は同ユニット501を裏面から見た分解斜視図である。
第1制御基板ユニット501は略L字状をなす取付台551を有し、この取付台551に主制御装置561と音声ランプ制御装置562とが搭載されている。ここで、主制御装置561は、遊技の主たる制御を司る1チップマイコンとしてのMPU701(図40参照)、各種機器との連絡をとるポート、各種抽選の際に用いられる乱数発生器、時間計数や同期を図る場合などに使用されるクロックパルス発生回路等を含む主基板を具備しており、この主基板が透明樹脂材料等よりなる基板ボックス563(被包手段)に収容されて構成されている。なお、基板ボックス563は、略直方体形状のボックスベースと該ボックスベースの開口部を覆うボックスカバーとを備えている。これらボックスベースとボックスカバーとは封印ユニット564(封印手段)によって開封不能に連結され、これにより基板ボックス563が封印されている。
封印ユニット564はボックスベースとボックスカバーとを開封不能に連結する構成であれば任意の構成が適用できるが、ここでは図28等に示すように、5つの封印部材が連結された構成となっており、この封印部材の長孔に係止爪を挿入することでボックスベースとボックスカバーとが開封不能に連結される。封印ユニット564による封印処理は、その封印後の不正な開封を防止し、また万一不正開封が行われてもそのような事態を早期に且つ容易に発見可能とするものであって、一旦開封した後でも再度開封・封印処理を行うこと自体は可能である。即ち、封印ユニット564を構成する5つの封印部材のうち、少なくとも一つの封印部材の長孔に係止爪を挿入することにより封印処理が行われる。そして、収容した主基板の不具合などにより基板ボックス563を開封する場合には、係止爪が挿入された封印部材と他の封印部材との連結を切断する。その後、再度封印処理する場合は他の封印部材の長孔に係止爪を挿入する。基板ボックス563の開封を行った旨の履歴を当該基板ボックス563に残しておけば、基板ボックス563を見ることで不正な開封が行われた旨が容易に発見できる。
また、音声ランプ制御装置562は、例えば主制御装置561又は表示制御装置505からの指示に従い音声やランプ表示の制御を司る1チップマイコンとしてのMPUや、各種ポート等を含む音声ランプ制御基板を具備しており、この音声ランプ制御基板が透明樹脂材料等よりなる基板ボックス565に収容されて構成されている。音声ランプ制御装置562上には電源中継基板566が搭載されており、後述する電源基板より供給される電源がこの電源中継基板566を介して表示制御装置505及び音声ランプ制御装置562に出力される。
取付台551は、有色(例えば緑、青等)の樹脂材料(例えばポリカーボネート樹脂製)にて成形され、その表面に平坦状をなす2つの基板搭載面552,553が設けられている。これら基板搭載面552,553は、直交する向きに延び、前後方向に段差をもって形成されている。但し、取付台551は無色透明又は半透明の樹脂成型品であっても良い。
一方の基板搭載面552上には、主制御装置561が横長の向きに配置されると共に、他方の基板搭載面553上には、音声ランプ制御装置562(音声ランプ制御基板)が縦長の向きに配置される。特に、主制御装置561は、パチンコ機10の背面視手前側に配置され、音声ランプ制御装置562はその奥側に配置される。この場合、基板搭載面552,553が前後方向に段差をもって形成されているので、これら基板搭載面552,553に主制御装置561及び音声ランプ制御装置562を搭載した状態において各制御装置561,562はその一部を前後に重ねて配置されるようになる。つまり、図28等にも見られるように、主制御装置561はその一部(本実施形態では図27の左側1/3程度)が浮いた状態で配置されるようになる。故に、主制御装置561に重なる領域まで音声ランプ制御装置562を拡張することが可能となり、当該制御基板の大型化にも良好に対処できると共に、各制御装置を効率良く設置できる。また、第1制御基板ユニット501を遊技盤16に装着した状態では、基板搭載面552の後方にスペースが確保され、変動入賞装置65やその電気配線等が無理なく設置できるようになっている。
図29及び図30に示すように、主基板用の基板搭載面552には、左右2カ所に横長形状の貫通孔554が形成されている。これに対応して、主制御装置561の基板ボックス563には、その裏面の左右2カ所に回動式の固定具567が設けられている。主制御装置561を基板搭載面552に搭載する際には、基板搭載面552の貫通孔554に固定具567が通され、その状態で固定具567が回動されて主制御装置561がロックされる。従って、上述の通り主制御装置561はその一部が浮いた状態で配置されるとしても、当該主制御装置561の脱落等の不都合を回避できる。また、主制御装置561は第1制御基板ユニット501(基板搭載面552)の裏面側から固定具567をロック解除しなければ、取り外しできないため、基板取り外し等の不正行為に対して抑止効果が期待できる。
取付台551には、図28等に示すように、左端面に上下一対の支軸556が設けられており、この支軸556を遊技盤16側の支持金具531(図25参照)に取り付けることで、第1制御基板ユニット501が遊技盤16に対して開閉可能に支持される。また、取付台551には、右端部に締結具として上下一対のナイラッチ557が設けられると共に上端部に横長の開口558が設けられており、ナイラッチ557を遊技盤16側の被締結孔532(図23参照)に嵌め込むと共に、上端部の開口558に遊技盤16側の係止爪片533(図25参照)を係止させることで、第1制御基板ユニット501が遊技盤16に固定される。なお、支持金具531及び支軸556が図22の支軸部M1に、被締結孔532及びナイラッチ557が締結部M2に、係止爪片533及び開口558が係止爪部M3に、それぞれ相当する。
次に、図31から図33を参照して、第2制御基板ユニット502を説明する。図31は第2制御基板ユニット502の正面図であり、図32は同ユニット502の斜視図であり、図33は同ユニット502の分解斜視図である。
第2制御基板ユニット502は横長形状をなす取付台601を有し、この取付台601に払出発射制御装置611、電源装置612及びカードユニット接続基板613が搭載されている。払出発射制御装置611及び電源装置612は周知の通り制御の中枢をなす1チップマイコンとしてのMPU、各種ポート等を含む制御基板を具備している。払出発射制御装置611を構成する制御基板(払出発射制御基板)により、賞品球や貸出球の払出制御と、遊技者による操作ハンドル310の操作に従った球発射ユニット90(発射ソレノイド92および電磁石104)の制御とが行われる。電源装置612を構成する制御基板(電源基板)においては、各種制御装置等で要する所定の電源電圧が生成され出力される。
カードユニット接続基板613は、パチンコ機10前面の貸球操作部210及び図示しないカードユニットに電気的に接続され、遊技者による球貸し操作の指令を取り込んでそれを払出発射制御装置611に出力するものである。なお、カードユニットを介さずに球貸し装置等から上皿に遊技球が直接貸し出される現金機では、カードユニット接続基板613は不要である。
上記払出発射制御装置611、電源装置612及びカードユニット接続基板613は、透明樹脂材料等よりなる基板ボックス615〜617にそれぞれ収容されて構成されている。特に、払出発射制御装置611では、前述した主制御装置561と同様、基板ボックス615(被包手段)を構成するボックスベースとボックスカバーとが封印ユニット619(封印手段)によって開封不能に連結され、これにより基板ボックス615が封印されている。
払出発射制御装置611の右端部には状態復帰スイッチ621が設けられている。例えば、払出モータ658a部の球詰まり等、払出エラーの発生時において状態復帰スイッチ621が押下されると、払出モータ658aが正逆回転され、球詰まりの解消(正常状態への復帰)が図られるようになっている。払出発射制御装置611の左端部には、発射ソレノイド92の発射力を調整する可変抵抗器の操作つまみ622が設けられており、その操作軸622を右回りに回転させると発射ソレノイド92に励磁される電流(又は電圧)が多くなって発射力が高められ、操作軸622を左回りに回転させると発射ソレノイド92の励磁電流(又は電圧)が低下して発射力も低下する。
電源装置612にはRAM消去スイッチ623が設けられている。本パチンコ機10はバックアップ機能を有しており、万一停電が発生した際でも停電時の状態を保持し、停電からの復帰(復電)の際には停電時の状態に復帰できるようになっている。従って、通常手順で(例えばホールの営業終了時に)電源遮断すると電源遮断前の状態が記憶保持されるので、電源投入時に初期状態に戻したい場合には、RAM消去スイッチ623を押しながら電源を投入することとしている。
取付台601は例えば無色透明な樹脂成型品よりなり、その表面における左右両側に平坦状をなす基板搭載面602,603が設けられている。左側の基板搭載面602には、電源装置612が搭載され、右側の基板搭載面603にカードユニット接続基板613が搭載される。払出発射制御装置611は。その一部を電源装置612の基板ボックス616上に重ねて搭載される。
取付台601には、図31に示すように、その右端部に上下一対の支軸605が設けられており、この支軸605を、内枠13側の支持孔部538(図24参照)に上方から挿通させることで、第2制御基板ユニット502が内枠13に対して開閉可能に支持される。また、取付台601には、左端部に締結具として上下一対のナイラッチ606が設けられており、ナイラッチ606を、内枠13側の被締結孔539(図24参照)にはめ込むことで、第2制御基板ユニット502が内枠13に開閉不能に固定されるようになる。なお、支持孔部537及び支軸605が図22の支軸部M4に、被締結孔539及びナイラッチ606が締結部M5に、それぞれ相当する。
次に、図34及び図35を参照して、裏パックユニット503の構成を説明する。図34はパチンコ機10の背面から見た裏パックユニット503を示しており、図35はその分解斜視図を示している。裏パックユニット503は、樹脂成形された裏パック651と遊技球の払出ユニット652とを一体化したものである。
裏パック651は例えばABS樹脂により一体成型されており、略平坦状のベース部653と、パチンコ機10後方に突出し横長の略直方体形状をなす保護カバー部654とを有する。保護カバー部654は左右側面及び上面が閉鎖され且つ下面のみが開放された形状をなし、少なくとも可変表示装置ユニット80を囲むのに十分な大きさを有する(但し本実施の形態では、前述の音声ランプ制御装置562も合わせて囲む構成となっている)。保護カバー部654の背面には多数の通気穴654aが設けられている。この通気穴654aは各々が長細く形成され、通気穴654aの端が比較的近い位置で隣り合うよう設けられている。従って、隣り合う通気穴654a間にある樹脂部分を切断することにより、裏パック651の背面を容易に開口させることができる。このため、通気穴654a間の樹脂部分を切断してその内部の表示制御装置505等を露出させることで、所定の検定等を容易に実施することができる。
裏パック651には、保護カバー部654を迂回するようにして払出ユニット652がネジで固定されている。払出ユニット652は、裏パック651の最上部に位置して上方に開口したタンク655と、タンク655の下方に連結され、横方向2列(2条)の球通路を有して下流側に向けて緩やかに傾斜するタンクレール656と、タンクレール656の下流側に縦向きに連結されるケースレール657と、ケースレール657の最下流部に設けられ、払出モータ658a等の所定の電気的構成により遊技球の払出を行う払出装置658とを備えている。タンク655には、遊技ホールの島設備から供給される遊技球が逐次補給され、払出装置658により必要個数の遊技球の払い出しが適宜行われる。また、払出装置658により払い出された遊技球は、裏パック651の下端部に内蔵される払出通路(図示せず)を通じて前記上皿201等に供給される。
タンクレール656には、当該タンクレール656に振動を付加するためのバイブレータ660が取り付けられている。従って、仮にタンクレール656付近で球詰まりが生じた際には、バイブレータ660を駆動することによって球詰まりを解消できるようになっている。このバイブレータ660は、ユニット化されているので、タンクレール656の横へ容易に取り付けることができる。
ここで、図36を参照してタンクレール656の構成について詳述する。図36は、タンクレール656の分解斜視図である。タンクレール656は上方に開口した長尺樋状をなすレール本体661を有し、レール本体661の始端部には一方側に円弧状に傾斜して形成された球受部662が設けられている。この球受部662により、タンク655から落下してきた遊技球は円滑にレール本体661内に取り込まれる。また、レール本体661には長手方向に延びる仕切壁663が設けられており、この仕切壁663により遊技球が二手に分流されるようになっている。仕切壁663により仕切られた2条の球通路は遊技球の直径よりも僅かに幅広となっている。仕切壁663により仕切られた各球通路の底面には、その通路の両端にて下側に開口した開口部665が設けられている。
また、レール本体661には、その下流側の天井部分を覆うようにして整流板667が配設されている。この整流板667は、下流側になるほどタンクレール656内の通路の高さを制限するよう底面に次第に近づくように傾斜して配設される。また、整流板の上流側には、高く積まれた状態で流下する遊技球のうち上側の遊技球にだけ当接して流下を制限するように流下方向に沿って振り子移動する可動式の整流錘(図示せず)が垂下して設けられる。タンクレール356の上流部より遊技球が積まれた状態で流れ込んできても、整流錘によってタンクレール656内の遊技球が整列しつつ流下するようになっている。
なお、レール本体661は、黒色の導電性ポリカーボネート樹脂により成形されるのに対し、整流板667は透明のポリカーボネート樹脂により成形して通路内部を視認し易くしている。また整流板667は着脱可能に設けられており、当該整流板667を取り外すことによりタンクレール656内のメンテナンスが容易に実施できるようになっている。
図34及び図35に戻って説明する。払出ユニット652は、払出発射制御装置611から払出装置658への払出指令の信号を中継する払出中継基板681と、外部より主電源を取り込むための電源スイッチ基板682とを備えている。電源スイッチ基板682には、電圧変換器を介して例えば交流24Vの主電源が供給され、電源スイッチ682aの切替操作により電源ON又は電源OFFとされるようになっている。
タンク655から払出通路に至るまでの遊技球の通路を形成する部材は、何れも導電性を有する樹脂材料(例えば導電性ポリカーボネート樹脂)にて成形され、その一部にて接地(アース)されている。これにより、遊技球の帯電によるノイズの発生が抑制されるようになっている。
また、裏パック651には、図34に示すように、その右端部に上下一対の支軸685が設けられており、この支軸685を内枠13側の支持孔部538(図24参照)に上方から挿通させることで、裏パックユニット503が内枠13に対して開閉可能に支持される。また、裏パック651には、左端部に締結具として上下一対のナイラッチ686が設けられると共に、上端部に係止孔687が設けられており、ナイラッチ686を内枠13側の被締結孔540(図24参照)にはめ込むと共に、係止孔687に内枠13側の固定具542(図24参照)を係止させることで、裏パックユニット503は内枠13に開閉不能に固定される。固定具542及び係止孔687の部分にナイラッチを使用しないのは、図34に示すように、係止孔687の左隣には遊技球を貯留するタンク355が設けられており、この部分を強固に固定するためである。固定具542の固定時には、内枠13の左上隅と右下隅の固定具541,543(図24参照)によっても裏パックユニット503が内枠13に固定される。なお、支持孔部538及び支軸685が図22の支軸部M6に、被締結孔540及びナイラッチ686が締結部M7に、固定具542及び係止孔687が係止部M8にそれぞれ相当する。また、固定具543が係止部M9に相当する。
次に、図37から図39を参照して外枠12に対する内枠13の施錠と、内枠13に対する前面枠14および下皿ユニット15の施錠を行うための施錠装置について説明する。図37は、施錠ユニット410の正面図であり、図38は、施錠ユニット410の前面斜視図であり、図39は施錠ユニット410の背面斜視図である。なお、図面の複雑化を避けるため、図37から図39においてコイルバネを省略して示している。
施錠装置は、内枠13の裏面であってパチンコ機10の正面視右側に縦長に配設される施錠ユニット410と、施錠ユニット410に摺動可能に設けられる鉤部材411〜413に係合して内枠13や前面枠14等を閉鎖した状態に維持する係合部とにより構成される。係合部としては、外枠12の受け金具23と、前面枠14の前面枠鉤部14aと、下皿ユニット15の下皿係合部15aとが該当する。
施錠ユニット410の正面視中央下部には、鍵穴421を有するシリンダ錠420が設けられている。内枠13の施錠と前面枠14の施錠とは、このシリンダ錠420の鍵穴421に専用の鍵を差し込んで所定の操作を行うことにそれぞれ解除される。
施錠ユニット410は、縦長に形成された鉤基体414と、鉤基体414に摺動可能に設けられ内枠13、前面枠14および下皿ユニット15のそれぞれに係合する鉤部材411〜413とを備えている。鉤基体414は、複数の取付孔が穿設された取付板415と、取付板415に直交して鉤部材411〜413等を支持する支持板416とにより断面略L字状に形成される。施錠ユニット410は、内枠13の裏面側であって開閉軸から離間した側の端部(背面視左端部)に鉤基体414の取付板415をネジで締め付けて内枠13に固定される。
鉤基体414の取付板415には、その上部と下部に縦長略矩形状の挿入口415aが設けられている。挿入口415aには、前面枠14の閉鎖時に前面枠鉤部14aの先端部分が進入するようになっている。
鉤基体414の支持板416の内側には、支持板416に沿って縦長に形成された板状の摺動杆417が上下方向に摺動可能に配設されている。また、鉤基体414の上下2カ所には、図示しないコイルバネにより下方に常に引っ張られた状態で支持板416に摺動可能に支持される鉤部材(内枠用鉤部材)411が配設されている。内枠用鉤部材411は、その先端部分が下方に突出した鉤形に形成され、外枠12の受け金具23に引っ掛かって内枠13を施錠する。この内枠用鉤部材411は、摺動杆417が中立位置より上方へ移動したときにのみ、摺動杆417に係合して上方に摺動する。摺動杆417は、内枠用鉤部材411を付勢するコイルバネの引っ張り力とほぼ同一の大きさの反力で下方へ付勢される。
この上下2つの内枠用鉤部材411は、独立して上方へ移動可能となっており、針金などで内枠用鉤部材411を移動して解錠させようとする場合には両方の内枠用鉤部材411を上方に移動させなければならない。一方のみを上方へ移動させても他方の内枠用鉤部材411が外枠12の受け金具23に引っ掛かったままとなる。このため、不正な解錠操作が困難となって防犯性が高められる。また、内枠用鉤部材411は、摺動杆417の上方への摺動に伴って上方へ移動する。摺動杆417は、シリンダ錠420に対しての専用鍵による右回りの操作に連動して上方へ摺動するものであり、専用鍵の操作によって内枠13の施錠状態を解除することができる。
また、鉤基体414の上下2カ所には、図示しないコイルバネにより上方に常に引っ張られた状態で取付板415および支持板416に摺動可能に支持される鉤部材(前面枠用鉤部材)412が配設されている。前面枠用鉤部材412は、金属板を断面コ字状に折り曲げて形成され、取付板415側の面には縦長矩形状の係止口412aが形成されている。また、前面枠用鉤部材412は、係止口412aが取付板415に形成された挿入口415aに重なりつつ、中立状態にて係止口412aの下端が挿入口415aより上側に位置するように配置されている。
前面枠14の閉鎖時には、前面枠鉤部14aが挿入口415aに進入し、係止口412a内にも進入する。係止口412aの下端は、前面枠鉤部14a先端の突出部分に当接する位置に配置され、前面枠用鉤部材412は、前面枠鉤部14aに押し下げられて下方へ摺動する。前面枠鉤部14a先端の突出部分が係止口412a内に完全に入り込むと、コイルバネの引っ張り力で前面枠用鉤部材412は上昇して元の位置に戻り、前面枠鉤部14aに引っ掛かって前面枠14を開放不能に係止する。また、前面枠用鉤部材412は、摺動杆417の下方への摺動に伴って下方へ移動する。摺動杆417は、シリンダ錠420に対しての専用鍵による左回りの操作に連動して下方へ摺動するものであり、内枠13と同様、専用鍵の操作によって前面枠13の施錠状態が解除される。
シリンダ錠420と摺動杆417との連動機構について説明すると、図39に示すように、シリンダ錠420の錠軸には、その回動動作によって摺動杆417の切欠内に進入する2つの突起を有するカム板420aが取り付けられている。専用鍵がシリンダ錠420の鍵穴421に差し込まれた状態で右回り(図37の時計回り方向)に回動すると、カム板420aの下側の突起が摺動杆417の切欠内に進入して上方に摺動杆417を押し上げる。一方、専用鍵がシリンダ錠420の鍵穴に差し込まれた状態で左回り(図37の反時計回り方向)に回動すると、カム板420aの上側の突起が摺動杆417の切欠内に進入して下方に摺動杆417を押し下げる。このように、専用鍵の回動操作によって単一の摺動杆417を上下に自在に摺動させることにより、摺動杆417に連動する内枠用鉤部材411および前面枠用鉤部材412を作動させて各鉤部材411,412毎に施錠される内枠13および前面枠14に対する施錠状態を解除することができる。よって、複数の摺動杆をシリンダ錠の錠軸にそれぞれ連動するように構成する場合に比べて部品構成が単純になり、製造コストを低減することができる。
鉤基体414の下部には、図示しないコイルバネにより上方に常に引っ張られた状態で支持板416に摺動可能に支持される鉤部材(下皿用鉤部材)413が配設されている。下皿用鉤部材413は、下皿ユニット15に設けられる下皿係合部15a(図20参照)に係合して下皿ユニット15を施錠するためのものであり、上下方向に沿った中央部および下部より前面側に突出し、更に先端部が上方に突出して形成された上下2つの鉤部413aが下皿係合部15aに引っ掛かって下皿ユニット15の開放を規制する。
下皿用鉤部材413の上端部には、前面側に突出するように折り曲げて形成された操作部413bが設けられており、指先等で下皿用鉤部材413を下方に押下できるようになっている。この下皿ユニット15の操作部413bは、常には前面枠14に覆われる位置に配置され、前面枠14を開放した場合にのみ露出して操作可能となる。
閉鎖状態の下皿ユニット13を開放する場合、まず、前面枠14を開放して下皿ユニット15の操作部413bを操作可能にする。その後、操作部413bをコイルバネの付勢力に抗して押下し、下皿用鉤部材413を下側へ移動すると、下皿ユニット15側に設けられる下皿係合部15aと下皿用鉤部材413の鉤部413aとの係合状態が解除され、下皿ユニット15を手前に引くだけで開放可能な解錠状態とすることができる。
次に、図40を参照して、本パチンコ機10の電気的構成について説明する。図40は、パチンコ機10の電気的構成を示したブロック図である。主制御装置561には、演算装置である1チップマイコンとしてのMPU701が搭載されている。MPU701には、該MPU701により実行される各種の制御プログラムや固定値データを記憶したROM702と、そのROM702内に記憶される制御プログラムの実行に際して各種のデータ等を一時的に記憶するためのメモリであるRAM703と、そのほか、割込回路やタイマ回路、データ送受信回路などの各種回路が内蔵されている。
ROM702には、第1図柄(特別図柄)の変動パターン(変動時間)と変動パターンに対応した変動パターンコマンドおよび後述する第1変動種別カウンタCS1(図44)の値とを対応させた第1変動パターンテーブル702aと、第2図柄(普通図柄)の変動パターン(変動時間)と変動パターンに対応した変動パターンコマンドとを対応させた第2変動パターンテーブル702bとが記憶されている。
ここで、図41を参照して、第1変動パターンテーブル702a及び第2変動パターンテーブル702bについて説明する。図41(a)は、第1変動パターンテーブル702aの構成を模式的に示した図であり、図41(b)は、第2変動パターンテーブル702bの構成を模式的に示した図である。
第1変動パターンテーブル702aは、第1図柄表示装置81に変動表示される第1図柄の変動表示の変動パターンを記憶しているテーブルであり、始動入賞口331,332に遊技球が入球した場合に、この第1変動パターンテーブル702aと後述する各種カウンタとを参照して第1図柄表示装置81にて変動表示される第1図柄の変動パターンが決定される。本実施形態のパチンコ機10では、変動パターンとして16種類の「ノーマルリーチ」、16種類の「スーパーリーチ」及び2種類の「ハズレ変動」の合計34種類の変動パターンが設定されている。まず、これら各変動パターンについて順に説明する。
ハズレ変動は、リーチ表示を伴わずに外れの表示結果を現出するパターンであり、変動開始から停止までに要する変動時間が2種類に設定された「ハズレ変動1(短縮)」及び「ハズレ変動2(通常)」により構成されている。「ハズレ変動1」は、5秒の変動時間で行われるハズレ変動であり、左中右の図柄列が変動を開始した後、3秒後に左の図柄列の変動を停止し、その1秒後(変動開始の4秒後)に右の図柄列の変動を停止し、更に1秒後(変動開始の5秒後)に中の図柄列の変動を停止して変動表示の表示結果の現出となる。ここで、変動パターンとは、変動表示の特徴が共通するものを区分した場合における各形態を意味しており、本実施の形態においては、図柄の変動時間と、特定の図柄を伴わせるか否かを含む変動の態様とを定めるものとしている。変動表示中には、同一の変動パターンであっても表示制御装置505の制御によって前回の変動表示の表示結果(停止図柄)と、変動後の停止図柄とに応じて各変動表示毎にそれぞれ異なる図柄が第1図柄表示装置81にスクロールして表示される。
「ハズレ変動2」は、11秒の変動時間で行われるハズレ変動であり、左の図柄列が変動を停止するまでの時間が「ハズレ変動1」より長く設定されたものである。「ハズレ変動2」では、変動開始から9秒経過した時に左の図柄列が変動を停止し、その1秒後に右の図柄列が、更に1秒後に中の図柄列がそれぞれ変動を停止してリーチ表示を伴わない外れの表示結果を現出する。この「ハズレ変動2」と「ハズレ変動1」とは、待機中の変動表示数に応じていずれか一方のハズレ変動が選択的に選定される。具体的には、変動開始時における待機中の第1図柄の変動表示(保留球数)が2回分以上ある場合に限って短い変動時間(5秒)の「ハズレ変動1」が選定され、待機中の第1図柄の変動表示が「1」以下である場合には「ハズレ変動2」が選定される。
「ノーマルリーチ1」から「ノーマルリーチ16」(以下、適宜「ノーマルリーチ」と略す。)は、リーチ表示を伴ういわゆるノーマルリーチのパターンであり、変動表示の開始後、9秒後に左の図柄列の変動を停止し、その1秒後(変動開始の10秒後)に右の図柄列の変動を停止してリーチ表示を現出させ、その後中の図柄列を各パターン毎の変動時間に達するまでスクロールさせて停止する。リーチ表示現出後に中の図柄列がスクロールを停止するまでの態様は、各パターン毎に異なるものであり、特別な変化を加えることなく低速度で一定時間変動してから停止するパターンと、途中で1段階、又は、2段階に変動速度が段階的に減速された後に、変動を停止するパターンとされている。
「スーパーリーチ1」から「スーパーリーチ16」(以下、適宜「スーパーリーチ」と略す。)は、ノーマルリーチより演出時間が長く「魚群」や「泡」などのキャラクタ図柄を第1図柄表示装置81に表示させるいわゆるスーパーリーチのパターンである。これらのパターンにおいては、変動表示の開始後、9秒後に左の図柄列の変動を停止し、その1秒後(変動開始の10秒後)に右の図柄列の変動を停止してリーチ表示を現出させ、その後中の図柄列を各パターン毎の変動時間(最大30秒)に達するまでスクロールさせて停止する。即ち、1回の第1図柄の変動表示に要する変動時間は、「スーパーリーチ16」によって最大40秒に設定されている。第1図柄のスクロール中には、各パターン毎に設定されたキャラクタ図柄(例えば、魚の群れや泡等)や背景表示(例えば、通常時には青色の背景を虹色に変化させる等)等の特定の表示を伴わせる。このスーパーリーチを構成するキャラクタ図柄等が現出した後には高比率で大当たりへ遷移し、遊技者は、キャラクタ図柄等が現出するスーパーリーチの変動表示が実行されることにより大当たりの発生に強い期待感を抱くこととなる。
上記した各変動パターンの選定に使用する第1変動パターンテーブル702aには、後述する大当たり乱数カウンタC1の値に基づいて大当たりを発生させる変動表示の変動パターンを決定するための大当たりテーブルと、大当たりを発生させない変動表示の変動パターンを決定するためのハズレリーチテーブルとから構成される。ハズレリーチテーブルは、ハズレリーチの実行抽選に当選した変動表示の変動パターンを決定するためのものである。
大当たりテーブルには、リーチ表示を伴う変動パターンに対して第1変動種別カウンタCS1の値が区分けされている。具体的には、「0〜255」の範囲内で更新される第1変動種別カウンタCS1の値は、図41(a)に示すように、「ノーマルリーチ」に対して「0〜31」、「スーパーリーチ」に対して「32〜255」に区分けされ、「ノーマルリーチ」及び「スーパーリーチ」の変動パターンが1:7の比率に区分けされている。又、ハズレリーチテーブルには、第1変動種別カウンタCS1の値は、「ノーマルリーチ」に対して「0〜223」、「スーパーリーチ」に対して「224〜255」に区分けされ、「ノーマルリーチ」及び「スーパーリーチ」の変動パターンが7:1の比率に区分けされている。
「ノーマルリーチ」と「スーパーリーチ」とは、いずれもリーチ表示を伴う変動パターンであって、大当たりテーブル又はハズレリーチテーブルのいずれかが変動パターンの選定に使用された場合に限って実行される。両テーブルは、大当たり抽選、又は、ハズレリーチの抽選に当選した場合に限って使用されるため、リーチ表示を伴う変動パターンが選定された場合には大当たり抽選かハズレリーチの抽選に当選した場合に限られる。大当たり抽選に当選した場合には必ずリーチ表示を伴うこととなり、遊技者には、リーチ表示の現出によって大当たりの発生を期待させることができる。一方、リーチ表示を伴わない変動表示は大当たり抽選に当選しなかった場合に限って選択されるので、リーチ表示を伴わない場合に大当たりは生じ得ず、遊技者は大当たりへの期待感を抱くことができない。なお、リーチ表示を伴わない変動パターンで大当たりを発生させる変動パターンを設けても良い。例えば、リーチ表示を伴わず左中右に別々の図柄が停止した後に、再度図柄の変動が行われてから大当たりの表示結果を現出させる変動パターンを設けても良い。
また、「ノーマルリーチ」は、ハズレリーチテーブルの方が大当たりテーブルより高比率で選定される一方、「スーパーリーチ」は、大当たりテーブルの方がハズレリーチテーブルより高比率で選定される。このため、変動パターンとして「スーパーリーチ」が選定された場合の方が、「ノーマルリーチ」より高比率で大当たりへ遷移することとなり、遊技者には、スーパーリーチを構成するキャラクタ図柄等の現出により大当たりの発生に期待感を抱かせることができる。
上記した各テーブルには、各変動パターン毎に「01h」から「22h」までの34の変動パターンを示す1バイトの値が設定されており、これら34の値が第1変動種別カウンタCS1の値に対応して各テーブルに記憶されている。変動開始時には、第1変動種別カウンタCS1の値に基づいて各テーブルにおける変動パターンを示す値が取得され、変動パターンを指定するための第1図柄の変動パターンコマンドの下位バイトとしてセットされる。なお、各テーブルには、「ノーマルリーチ」と「スーパーリーチ」とにおける各変動パターンを示す1バイトの値毎に第1変動種別カウンタCS1の値が割り当てられるが、図41においては理解の容易のためにリーチの種類毎に大別して第1変動種別カウンタCS1の値をまとめて示している。
ここで、第1図柄の変動表示の制御のために主制御装置561から表示制御装置505へ送信される制御用コマンドについて説明する。第1図柄の変動表示の制御用コマンドは、変動パターンコマンドと、停止図柄コマンドと、確定コマンドとによって構成される。各制御用コマンドはそれぞれ2バイトで構成され、1バイト目の上位4ビットが各コマンドを識別するためのビットとして使用される。例えば、第1図柄の変動パターンコマンドの上位バイトは「C0h」、第1図柄の停止図柄コマンドの上位バイトは「C1h」、第1図柄の確定コマンドの上位バイトは「C2h」とし、第2図柄の変動パターンコマンドの上位バイトは「D0h」、第2図柄の確定コマンドの上位バイトは「D2h」としている。表示制御装置505においては、各制御用コマンドの種別が上位バイトを確認して判別可能となっている。第1図柄の変動開始時には、変動表示の開始から終了までの一連の変動パターンを指定するための変動パターンコマンドと、停止させる第1図柄の種別を示す停止図柄コマンドとを主制御装置561から表示制御装置505へ送信させる。また、第1図柄の変動停止時には、確定コマンドを主制御装置561から表示制御装置505へ送信させ、第1図柄の変動表示の表示結果として第1図柄表示装置81の左中右の図柄が確定停止する。確定コマンドを表示制御装置505へ送信した後には、待機中の第1図柄の変動表示のデータがあれば、そのデータに則して第1図柄の変動パターンコマンド及び停止図柄コマンドが表示制御装置505へ再度送信される。
なお、第1変動種別カウンタCS1の値は、必ずしも上記した変動パターンテーブル702aに設定した比率に区分けする必要はなく、別の比率に区分けしても良い。また、変動パターンは、必ずしも上記した選定方法で決定する必要はなく、公知の種々の技術を使用することができる。更に、変動パターンの種類は、上記した種類に限らず、上記したよりも少ないパターンとし、或いは、更に多くのパターンとして設定しても良い。
図41(b)に示す第2変動パターンテーブル702bは、第2図柄表示装置81の表示部83(図3参照)で行われる第2図柄の変動表示の変動パターンを記憶しているテーブルであり、第2入球口67(図3参照)を遊技球が通過した場合に、第2変動パターンテーブル702bと大当たりが発生し易い確率変動状態等の遊技状態とを参照して第2図柄の表示部83で実行される第2図柄の変動パターンが決定される。本実施形態のパチンコ機10では、第2図柄の変動パターンとして2種類の変動パターンが設定されている。まず、これら各変動パターンについて説明する。
「通常変動パターン」は、第2図柄の当否を問わず通常遊技状態、即ち、時短遊技状態ではない遊技状態時に設定されるパターンであり、変動開始から停止までに要する変動時間が30秒に設定されている。この「通常変動パターン」が変動パターンとして選定されると、第2図柄の表示部83の「○」および「×」の図柄を交互に点灯して変動表示を開始し、その開始から30秒後にいずれかの図柄が点灯した状態で変動表示を停止して第2図柄の変動表示の表示結果が現出するように構成されている。
「短縮変動パターン」は、第2図柄の当否を問わずに実行される変動パターンであって、第2図柄の変動時間が短く設定された時短遊技状態を発生させるためのパターンである。変動開始から停止までに要する変動時間は5秒に設定され、通常遊技状態より変動時間が大幅に短縮されている。この「短縮変動パターン」が変動パターンとして選定されると、第2図柄の表示部83の「○」および「×」の図柄を交互に点灯して変動表示を開始し、その開始から5秒後にいずれかの図柄が点灯した状態で変動表示を停止して第2図柄の変動表示の表示結果が現出するように構成されている。パチンコ機10においては、時短遊技状態は、大当たり終了後に第1図柄の変動表示が100回実行されるまでと、確率変動状態中に設定される。なお、必ずしも上記した遊技状態において時短遊技状態を設定する必要はなく、確率変動状態中と確率変動状態における大当たり後に第1図柄の変動表示が一定回数実行されるまでとしても良く、或いは大当たり後に第1図柄の変動表示が実行される毎に時短遊技状態を終了するか否かの抽選を行い、その抽選に当選するまでを時短遊技状態とする等、種々の設定にすることができる。
第2変動パターンテーブル702bには、各変動パターン毎に「01h,11h,02h,12h」の4種類の変動パターンが変動パターンコマンドの下位バイトとして設定されている。変動開始時には、遊技状態に応じていずれかの変動パターンを示す値が取得され、変動パターンを指定するための第2変動パターンコマンドの下位バイトとしてセットされる。各変動パターンコマンドの下位バイトにおける上位4ビットは、第2図柄の表示部83に停止表示させる第2図柄の種類を示す値であり、「0h」であれば「○」の図柄、「1h」であれば「×」の図柄を停止させる。各変動パターンコマンドの下位バイトにおける下位4ビットは、変動時間に対応した値であり、「1h」であれば30秒、「2h」であれば5秒の変動時間が設定される。
ここで、第2図柄の変動表示の制御のために主制御装置561から表示制御装置505へ送信される制御用コマンドについて説明する。第2図柄の変動表示の制御用コマンドは、変動パターンコマンドと、確定コマンドとによって構成される。第2図柄の変動開始時には、変動パターンコマンドが表示制御装置505へ送信される。また、第2図柄の変動停止時には、確定コマンドが表示制御装置505へ送信され、第2図柄の変動表示の表示結果として第2図柄の表示部42bの「○」又は「×」のいずれかの図柄が確定停止する。確定コマンドを表示制御装置505へ送信した後、待機中の第2図柄の変動表示のデータがあれば、そのデータに則して変動パターンコマンドが表示制御装置505へ再度送信される。
図40に戻って説明する。主制御装置561のMPU701のRAM703は、パチンコ機10の電源の遮断後においても電源装置612からバックアップ電圧が供給されてデータを保持(バックアップ)できる構成となっている。このRAM703には、各種のデータ等を一時的に記憶するためのメモリやエリア、カウンタ等が設けられており、バックアップエリア703aと、大当たりフラグ703bと、第2当たりフラグ703cと、第1変動時間カウンタHD1と、第2変動時間カウンタHD2と、第1保留球数カウンタNと、第2保留球数カウンタMと、時短回数カウンタJNと、ラウンド残数カウンタRDと、始動口開放カウンタSCと、図44に示す各種カウンタとが設けられている。
バックアップエリア703aは、停電などの発生により電源が遮断された場合において、電源遮断時(停電発生時を含む。以下同様)のスタックポインタや、各レジスタ、I/O等の値を記憶しておくためのエリアであり、電源投入時(停電解消による電源投入を含む。以下同様)には、バックアップエリア703aの情報に基づいてパチンコ機10の状態が電源遮断前の状態に復帰される。バックアップエリア703aへの書き込みはNMI割込処理(図55参照)によって電源遮断時に実行され、バックアップエリア703aに書き込まれた各値の復帰は電源投入時のメイン処理(図45参照)において実行される。なお、MPU701のNMI端子(ノンマスカブル割込端子)には、停電等の発生による電源遮断時に、停電監視回路742からの停電信号SG1が入力されるように構成されており、その停電信号SG1がMPU701へ入力されると、停電時処理としてのNMI割込処理が即座に実行される。
大当たりフラグ703bは、各始動入賞口331,332への遊技球の入球に基づく抽選によって大当たりとなった場合にオンされるフラグである。この大当たりフラグ703bがオンの最中は待機中の第1図柄の変動表示があってもその変動表示の開始は待機され、変動入賞装置65を動作させて大入賞口65aを開閉させる制御が主制御装置561によって行われる。なお、必ずしも大当たりフラグ703bがオンの最中に待機中の第1図柄の変動開始を待機させる構成とする必要はなく、大当たりフラグ703bがオンの最中にも第1図柄の変動表示が行われるようにしても良い。
第2当たりフラグ703cは、第2入球口67の遊技球の通過に基づく抽選に当選した場合にオンされるフラグである。この第2当たりフラグがオンの最中は待機中の第2図柄の変動表示があってもその変動表示の開始は待機され、羽根333を動作させて下側の始動入賞口332の開閉制御が主制御装置561によって行われる。
第1変動時間カウンタHD1は、第1図柄の変動時間を計時するためのカウンタである。主制御装置561は、表示制御装置505に変動パターンコマンドを送信するときに第1変動時間カウンタHD1を更新し、表示制御装置505で第1図柄を停止表示させるタイミングを計時する。これにより、主制御装置561から表示制御装置505へは一方的にコマンドを送信しても第1図柄の変動開始時期と変動停止時期とを計時することができる。第2変動時間カウンタHD2は、第2図柄の変動時間を計時するためのカウンタであり、表示制御装置505によって第2図柄を停止表示させるタイミングを計時する。
第1保留球数カウンタNは、第1図柄の変動表示の待機回数(保留球数)に対応した値を回数情報として記憶するカウンタである。この第1保留球数カウンタNの値は、始動入賞口331,332に遊技球が入球して始動口スイッチ524a,524bのいずれかがオンとなった場合(始動入賞)に応じて「1」ずつ加算される一方、後述する保留球格納エリアの値がシフトされて待機中の第1図柄の変動表示が開始される毎に「1」ずつ減算されるように構成されている。
第2保留球数カウンタMは、第2図柄の変動表示の待機回数(保留球数)に対応した値を回数情報として記憶するカウンタである。この第2保留球数カウンタNの値は、第2入球口67に遊技球が入球して第2入球口スイッチ525がオンとなった場合(ゲート通過)に応じて「1」ずつ加算される一方、後述する保留球格納エリアの値がシフトされて待機中の第2図柄の変動表示が開始される毎に「1」ずつ減算されるように構成されている。
時短回数カウンタJNは、第2図柄の変動表示の変動時間を短くして時短遊技を発生させる期間を計るためのカウンタであり、大当たりの発生に伴って「100」の値がセットされ、その後に第1図柄の変動表示が開始される毎に「1」ずつ減算して更新される。この時短回数カウンタJNの値が「1」以上のときに開始される第2図柄の変動表示は、変動時間として「5秒」が設定され、変動開始後に迅速に表示結果が表示され、当選の際には下側の始動入賞口332が開放される。本実施形態のパチンコ機10においては時短遊技中と時短遊技中以外とにおいて第2入球口67の遊技球の通過に基づく抽選の条件は変わらない。このため、時短遊技中においては、抽選結果が表示されるまでの時間間隔が短い分、頻繁に下側の始動入賞口332の開放抽選が行われることとなり、頻繁に下側の始動入賞口332が開放されて下側の始動入賞口332へ遊技球が入り易い。
また、時短回数カウンタJNの値が「0」の通常遊技(時短遊技以外)中に「○」の図柄が停止表示された場合には0.4秒間下側の始動入賞口332が開放される一方、時短回数カウンタJNの値が「1」以上の時短遊技中に「○」の図柄が停止表示された場合には4秒間下側の始動入賞口332が開放される。このため、通常遊技中にはほとんど下側の始動入賞口332へ遊技球が入らず、時短遊技中には多量に下側の始動入賞口332へ遊技球が入球する。なお、時短遊技中の下側の始動入賞口332の開放時間は、必ずしも上記した設定とする必要はないが、時短遊技中において継続して遊技球を発射し続けた際に発射した遊技球の数とほぼ同数の賞球が払い出されて遊技者の持ち玉が増減しない時間とすることが好ましい。また、時短遊技中には、下側の始動入賞口332の開放回数を増やし、1回の当選に対して2回や3回以上、下側の始動入賞口332を開放して時短遊技中に下側の始動入賞口332へ遊技球が入り易くしても良い。
ラウンド残数カウンタRDは、大当たり後に大入賞口65aが開放される残り回数(ラウンド数)を記憶するカウンタである。大当たり抽選に当選するとラウンド残数カウンタRDには、継続し得る最高のラウンド数である「16」が書き込まれ、1ラウンド経過する毎に「1」ずつラウンド数が減算される。このラウンド残数カウンタRDの値が「0」となると大当たりに基づく特別遊技状態の終了となり、大当たり遊技終了後の所定時間でエンディング画面等を第1図柄表示装置81に表示して特別遊技状態が終了となる。
始動口開放カウンタSCは、下側の始動入賞口332を開閉するための始動口開放ソレノイドの開閉時期を計時するためのカウンタである。第2入球口67の遊技球の通過に基づく抽選に当選して第2当たりフラグ703cがオンとなると始動口開放ソレノイドはオンとなって下側の始動入賞口332が開放される。この開放時期に時短回数カウンタJNの値が確認され、その値が「1」以上で時短遊技中であれば4秒間の経過後に始動口開放カウンタSCが「0」となるように「1000」の値が書き込まれる。下側の始動入賞口332の開放時期において時短回数カウンタJNの値が「0」であれば0.4秒間の経過後に始動口開放カウンタSCが「0」となるように「100」の値が書き込まれる。この始動口開放カウンタSCに時短遊技中であるか否かに応じて別々の値を書き込むことにより、時短遊技中と、通常遊技中とで下側の始動入賞口332を異なる開放時間で開放させることができる。
主制御装置561のMPU701には、アドレスバス及びデータバスで構成されるバスライン704を介して入出力ポート705が接続されている。入出力ポート705には、後述するRAM消去スイッチ回路743、払出発射制御装置611、表示制御装置505や、始動口スイッチ524a,524b、第2入球口スイッチ525、その他図示しないスイッチ群などが接続されている。
払出発射制御装置611は、払出モータ658aにより賞球や貸出球の払出制御を行うものである。演算装置であるMPU711は、そのMPU711により実行される制御プログラムや固定値データ等を記憶したROM712と、ワークメモリ等として使用されるRAM713とを備えている。
払出発射制御装置611のRAM713は、主制御装置561のRAM703と同様に、パチンコ機10の電源の遮断後においても電源装置612からバックアップ電圧が供給されてデータを保持(バックアップ)できる構成となっており、RAM713には、各種のデータ等を一時的に記憶するためのメモリやエリアの他に、バックアップエリア713aが設けられている。
また、払出発射制御装置611は、遊技者による操作ハンドル310の操作に従って球発射ユニット90(発射ソレノイド92および電磁石104)の発射制御を行うものであり、発射ソレノイド92および電磁石104は、所定条件が整っている場合に駆動が許可される。具体的には、遊技者が操作ハンドル310に触れていることをタッチセンサにより検出し、発射を停止させるための発射停止スイッチが操作されていないことを条件に、操作ハンドル310の回動量に対応して発射ソレノイド92が励磁され、操作ハンドル310の操作量に応じた強さで遊技球が発射される。
バックアップエリア713aは、停電などの発生により電源が遮断された場合において、電源遮断時のスタックポインタや、各レジスタ、I/O等の値を記憶しておくためのエリアであり、電源投入時には、このバックアップエリア713aの情報に基づいてパチンコ機10の状態が電源遮断前の状態に復帰される。バックアップエリア713aへの書き込みはNMI割込処理によって電源遮断時に実行され、バックアップエリア713aに書き込まれた各値の復帰は電源投入時のメイン処理において実行される。なお、主制御装置561のMPU701と同様、MPU711のNMI端子にも、停電等の発生による電源遮断時に停電監視回路742から停電信号SG1が入力されるように構成されており、その停電信号SG1がMPU711へ入力されると、停電時処理としてのNMI割込処理が即座に実行される。
払出発射制御装置611のMPU711には、アドレスバス及びデータバスで構成されるバスライン714を介して入出力ポート715が接続されている。入出力ポート715には、RAM消去スイッチ回路743、主制御装置561、払出モータ658a、発射ソレノイド92、電磁石104などがそれぞれ接続されている。
表示制御装置505は、第2図柄表示装置(LED)82における第2図柄(普通図柄)の変動表示と、第1図柄表示装置(LCD)81における第1図柄(特別図柄)の変動表示とを制御するものである。表示制御装置505は、MPU721と、ROM(プログラムROM)722と、ワークRAM723と、ビデオRAM724と、キャラクタROM725と、画像コントローラ726と、入力ポート727と、2つの出力ポート728,729と、バスライン730,731とを備えている。入力ポート727の入力側には主制御装置561の出力側が接続され、入力ポート727の出力側には、MPU721、ROM722、ワークRAM723、画像コントローラ726が接続されると共にバスライン729を介して出力ポート728が接続されている。出力ポート728の出力側には第2図柄表示装置82や、音声ランプ制御装置562が接続されている。また、画像コントローラ726にはバスライン731を介して出力ポート729が接続されており、その出力ポート729の出力側には第1図柄表示装置81が接続されている。
表示制御装置505のMPU721は、主制御装置561から送信される図柄表示用のコマンドに基づいて第1図柄表示装置81および第2図柄表示装置82の表示内容を制御する。ROM722は、MPU721により実行される各種の制御プログラムや固定値データを記憶するためのメモリであり、ワークRAM723は、MPU721による各種プログラムの実行時に使用されるワークデータやフラグを一時的に記憶するためのメモリである。
ビデオRAM724は、第1図柄表示装置81に表示される表示データを記憶するためのメモリであり、ビデオRAM724の内容を書き替えることにより、第1図柄表示装置81の表示内容が変更される。キャラクタROM725は、第1図柄表示装置81に表示される図柄などのキャラクタデータを記憶するためのメモリである。画像コントローラ726は、MPU721、ビデオRAM724、出力ポート729のそれぞれのタイミングを調整してデータの読み書きに介在すると共に、ビデオRAM724に記憶される表示データを、キャラクタROM725から所定のタイミングで読み出して第1図柄表示装置81に表示させるものである。
電源装置612は、パチンコ機10の各部に電源を供給するための電源部741と、停電等による電源遮断を監視する停電監視回路742と、RAM消去スイッチ623を有するRAM消去スイッチ回路743とを備えている。電源部741は、図示しない電源経路を通じて、主制御装置561や払出発射制御装置611等に対して各々に必要な動作電圧を供給する。その概要としては、電源部741は、外部より供給される交流24ボルトの電圧を取り込み、各種スイッチや、ソレノイド、モータ等を駆動するための12ボルトの電圧、ロジック用の5ボルトの電圧、RAMバックアップ用のバックアップ電圧などを生成し、これら12ボルトの電圧、5ボルトの電圧及びバックアップ電圧を主制御装置561や払出発射制御装置611等に対して供給する。
停電監視回路742は、停電等の発生による電源遮断時に、主制御装置561のMPU701及び払出発射制御装置611のMPU711の各NMI端子へ停電信号SG1を出力するための回路である。停電監視回路742は、電源部741から出力される最大電圧である直流安定24ボルトの電圧を監視し、この電圧が22ボルト未満になった場合に停電(電源遮断)の発生と判断して、停電信号SG1を主制御装置561及び払出発射制御装置611へ出力する。停電信号SG1の出力によって、主制御装置561及び払出発射制御装置611は、停電の発生を認識し、NMI割込処理を実行する。なお、電源部741は、直流安定24ボルトの電圧が22ボルト未満になった後においても、NMI割込処理の実行に充分な時間の間、制御系の駆動電圧である5ボルトの電圧の出力を正常値に維持するように構成されている。よって、主制御装置561及び払出発射制御装置611は、NMI割込処理を正常に実行し完了することができる。
RAM消去スイッチ回路743は、RAM消去スイッチ623が押下された場合に、主制御装置561及び払出発射制御装置611へ、バックアップデータをクリアするためのRAM消去信号SG2を出力する回路である。主制御装置561及び払出発射制御装置611は、パチンコ機10の電源投入時に、RAM消去信号SG2を入力した場合に、それぞれのバックアップエリア703a,713aのデータをクリアする。
ここで、図42および図43を参照して、第1図柄表示装置81に表示される第1図柄と、第1図柄表示装置81の表示内容とについて説明する。図42は、第1図柄を個々に示す図面であり、図43は、第1図柄表示装置81の表示画面を説明するための図面であり、図43(a)は、表示画面の領域区分設定と有効ライン設定とを模式的に示した図であり、図43(b)は、実際の表示画面を例示した図である。
第1図柄は、「0」から「9」の数字を付した10種類の主図柄と、この主図柄より小さく形成された花びら形状の1種類の副図柄とにより構成されている。各主図柄は、図42(a)から図42(i)に示すように、木箱よりなる後方図柄の上に「0」から「9」の数字を付して構成され、そのうち奇数番号(1,3,5,7,9)を付した主図柄は、木箱の前面ほぼ一杯に大きな数字が付加されている。これに対し、偶数番号(0,2,4,6,8)を付した主図柄は、木箱の前面ほぼ一杯にお守り、風呂敷、ヘルメット等のキャラクタを模した付属図柄が付加されており、付属図柄の右下側に偶数の数字が緑色で小さく、且つ、付属図柄の前側に表示されるように付加されている。
また、詳細は後述するが、本実施形態のパチンコ機10においては、同一の主図柄が揃った場合に大当たりが発生するように構成されている。この場合、奇数番号が付加された主図柄は「高確率図柄」に相当し、当該高確率図柄が揃って大当たりとなると、特別遊技状態に遷移して大入賞口65aが所定時間にわたって所定回数開放し、さらにその後、高確率状態に移行する。一方、偶数番号が付加された主図柄は「低確率図柄」に相当し、当該低確率図柄が揃って大当たりとなると、特別遊技状態に遷移するが、かかる場合には高確率状態には移行しない。ここで、高確率状態とは、第1図柄の組合せが予め定めた確率変動図柄の組合せとなって大当たりになり、付加価値としてその後の大当たり確率がアップした状態、いわゆる確率変動(確変)の時をいう。また、通常状態(低確率状態)とは、確変でない時をいい、大当たり確率が通常の状態、即ち、確変の時より大当たり確率が低い状態をいう。
次に、第1図柄表示装置81の表示画面について説明する。図43(a)に示すように、第1図柄表示装置81の表示画面は、大きくは上下に2分割され、下側の2/3が第1図柄を変動表示する主表示領域Dm、それ以外の上側の1/3が予告演出やキャラクタを表示する副表示領域Dsとなっている。
主表示領域Dmには、左・中・右の3つの図柄列Z1,Z2,Z3が表示される。各図柄列Z1〜Z3には、前述した第1図柄が規定の順序で表示される。即ち、各図柄列Z1〜Z3には、数字の昇順または降順に主図柄が配列されると共に、各主図柄の間に副図柄が1つずつ配列されている。このため、各図柄列には、10個の主図柄と10個の副図柄の計20個の第1図柄が設定され、各図柄列Z1〜Z3毎に周期性をもって上から下へとスクロールして変動表示が行われる。特に、左図柄列Z1においては主図柄の数字が降順に現れるように配列され、中図柄列Z2及び右図柄列Z3においては主図柄の数字が昇順に現れるように配列されている。
また、主表示領域Dmには、各図柄列Z1〜Z3毎に上・中・下の3段に第1図柄が表示される。従って、第1図柄表示装置81には、3段×3列の計9個の第1図柄が表示される。この主表示領域Dmには、5つの有効ライン、即ち上ラインL1、中ラインL2、下ラインL3、右上がりラインL4、左上がりラインL5が設定されている。そして、毎回の遊技に際して、左図柄列Z1→右図柄列Z3→中図柄列Z2の順に変動表示が停止し、その停止時にいずれかの有効ライン上に大当たり図柄の組合せ(本実施の形態では、同一の主図柄の組合せ)で揃えば大当たりとして大当たり動画が表示される。
副表示領域Dsは、主表示領域Dmよりも上方に横長に設けられており、さらに左右方向に3つの予告領域Ds1〜Ds3に等区分されている。ここで、左右の予告領域Ds1,Ds3は、ソレノイドで電気的に開閉される両開き式の不透明な扉で通常覆われており、時としてソレノイドが励磁されて扉が手前側に開放されることにより遊技者に視認可能となる表示領域となっている。中央の予告領域Ds2は、扉で覆い隠されずに常に視認できる表示領域となっている。
実際の表示画面では、図43(b)に示すように、主表示領域Dmに第1図柄の主図柄と副図柄とが合計9個表示される。副表示領域Dsにおいては、左右の扉が閉鎖された状態となっており、左右の予告領域Ds1,Ds3が覆い隠されて表示画面が視認できない状態となっている。変動表示の途中において、左右のいずれか一方、または両方の扉が開放されると、左右の予告領域Ds1,Ds3に動画が表示され、通常より大当たりへ遷移し易い状態であることが遊技者に示唆される。中央の予告領域Ds2では、通常は、所定のキャラクタ(本実施形態ではハチマキを付けた少年)が所定動作をし、時として所定動作とは別の特別な動作をしたり、別のキャラクタが現出する等して予告演出が行われる。なお、第1図柄表示装置81の表示画面は、原則として上下の表示領域Dm,Dsに区分されているが、各表示領域Dm,Dsを跨いでより大きく第1図柄やキャラクタ等を表示して表示演出を行うことができる。
次に、上記の如く構成されたパチンコ機10の動作について説明する。本実施の形態では、主制御装置561内のMPU701は、遊技に際し各種カウンタ情報を用いて、大当たり抽選や第1図柄表示装置81の図柄表示の設定などを行うこととしており、具体的には、図44に示すように、大当たりの抽選に使用する大当たり乱数カウンタC1と、第1図柄表示装置81の大当たり図柄の選択に使用する大当たり図柄カウンタC2と、第1図柄表示装置81が外れ変動する際のリーチ抽選に使用するリーチ乱数カウンタC3と、大当たり乱数カウンタC1の初期値設定に使用する乱数初期値カウンタCINIと、第1図柄表示装置81の変動パターン選択に使用する変動種別カウンタCS1,CS2と、左列、中列及び右列の各外れ図柄の設定に使用する左・中・右の各外れ図柄カウンタCL,CM,CRとを用いることとしている。また、第2図柄表示装置82の抽選には第2図柄乱数カウンタC4が用いられる。
このうち、カウンタC1〜C4,CINI,CS1,CS2は、その更新の都度前回値に1が加算され、最大値に達した後0に戻るループカウンタとなっている。また、外れ図柄カウンタCL,CM,CRは、MPU701内のRレジスタ(リフレッシュレジスタ)を用いてレジスタ値が加算され、結果的に数値がランダムに変化する構成となっている。各カウンタは短時間間隔で更新され、その更新値がRAM703の所定領域に設定されたカウンタ用バッファに適宜格納される。RAM703には、1つの実行エリアと4つの保留エリア(保留第1〜第4エリア)とからなる保留球格納エリアが設けられており、これらの各エリアには、各始動入賞口331,332への遊技球の入賞タイミングに合わせて、大当たり乱数カウンタC1、大当たり図柄カウンタC2及びリーチ乱数カウンタC3の各値がそれぞれ格納される。
各カウンタについて詳しくは、大当たり乱数カウンタC1は、例えば0〜676の範囲内で順に1ずつ加算され、最大値(つまり676)に達した後0に戻る構成となっている。特に大当たり乱数カウンタC1が1周した場合、その時点の乱数初期値カウンタCINIの値が当該大当たり乱数カウンタC1の初期値として読み込まれる。なお、乱数初期値カウンタCINIは、大当たり乱数カウンタC1と同一範囲で更新されるループカウンタとして構成され(値=0〜676)、タイマ割込毎に1回更新されると共に通常処理の残余時間内で繰り返し更新される。大当たり乱数カウンタC1は定期的に(本実施の形態ではタイマ割込毎に1回)更新され、遊技球が始動入賞口331,332に入賞したタイミングでRAM703の保留球格納エリアに格納される。大当たりとなる乱数の値の数は、低確率時と高確率時とで2種類設定されており、低確率時に大当たりとなる乱数の値の数は2で、その値は「337,673」であり、高確率時に大当たりとなる乱数の値の数は10で、その値は「67,131,199,269,337,401,463,523,601,661」である。
大当たり図柄カウンタC2は、大当たりの際、第1図柄表示装置81の変動停止時の図柄を決定するものであり、本実施の形態では、第1図柄表示装置81において有効ラインが5ラインであり、特定図柄(主図柄)が10通り設定されているので、50個(0〜49)のカウンタ値が用意されている。即ち、大当たり図柄カウンタC2は、0〜49の範囲内で順に1ずつ加算され、最大値(つまり49)に達した後0に戻る構成となっている。大当たり図柄カウンタC2は定期的に(本実施の形態ではタイマ割込毎に1回)更新され、遊技球が始動入賞口331,332に入賞したタイミングでRAM703の保留球格納エリアに格納される。
リーチ乱数カウンタC3は、例えば0〜238の範囲内で順に1ずつ加算され、最大値(つまり238)に達した後0に戻る構成となっている。本実施の形態では、リーチ乱数カウンタC3によって、リーチ発生した後最終停止図柄がリーチ図柄の前後に1つだけずれて停止する「前後外れリーチ」と、同じくリーチ発生した後最終停止図柄がリーチ図柄の前後以外で停止する「前後外れ以外リーチ」と、リーチ発生しない「完全外れ」とを抽選することとしている。例えば、リーチ乱数カウンタC3=0,1は前後外れリーチに該当し、リーチ乱数カウンタC3=2〜21は前後外れ以外リーチに該当し、リーチ乱数カウンタC3=22〜238は完全外れに該当する。なお、リーチの抽選は、第1図柄表示装置81の抽選確率の状態や変動開始時の作動保留球数等に応じて各々個別に設定されるものであっても良い。リーチ乱数カウンタC3は定期的に(本実施の形態ではタイマ割込毎に1回)更新され、遊技球が始動入賞口331,332に入賞したタイミングでRAM703の保留球格納エリアに格納される。
2つの変動種別カウンタCS1,CS2のうち、一方の第1変動種別カウンタCS1は、例えば0〜255の範囲内で順に1ずつ加算され、最大値(つまり255)に達した後0に戻る構成となっており、他方の第2変動種別カウンタCS2は、例えば0〜240の範囲内で順に1ずつ加算され、最大値(つまり240)に達した後0に戻る構成となっている。
第1変動種別カウンタCS1によって、いわゆるノーマルリーチ、スーパーリーチ等、第1図柄のリーチ種別やその他大まかな図柄変動態様が決定され、第2変動種別カウンタCS2によって、リーチ発生後に最終停止図柄(本実施の形態では中図柄)が停止するまでの経過時間(言い換えれば、変動図柄数)などより細かな図柄変動態様が決定される。従って、これらの変動種別カウンタCS1,CS2を組み合わせることで、変動パターンの多種多様化を容易に実現できる。また、第1変動種別カウンタCS1だけで図柄変動態様を決定したり、第1変動種別カウンタCS1と停止図柄との組み合わせで同じく図柄変動態様を決定したりすることも可能である。変動種別カウンタCS1,CS2は、後述する通常処理が1回実行される毎に1回更新され、当該通常処理内の残余時間内でも繰り返し更新される。そして、第1図柄表示装置81による第1図柄の変動開始時における変動パターン決定に際して変動種別カウンタCS1,CS2のバッファ値が取得される。
左・中・右の各外れ図柄カウンタCL,CM,CRは、大当たり抽選が外れとなった時に左図柄列Z1、中図柄列Z2、右図柄列Z3の外れ停止図柄を決定するためのものであり、各列の各段には主図柄及び副図柄の合わせて20の第1図柄の何れかが表示されることから、各々に20個(0〜19)のカウンタ値が用意されている。外れ図柄カウンタCLにより左図柄列の上・中・下段の各図柄が決定され、外れ図柄カウンタCMにより中図柄列の上・中・下段の各図柄が決定され、外れ図柄カウンタCRにより右図柄列の上・中・下段の各図柄が決定される。
本実施の形態では、MPU701に内蔵のRレジスタの数値を用いることにより各カウンタCL,CM,CRの値をランダムに更新する。即ち、各外れ図柄カウンタCL,CM,CRの更新時には、前回値にRレジスタの下位3ビットの値が加算され、その加算結果が最大値を超えた場合に20減算されて今回値が決定される。各外れ図柄カウンタCL,CM,CRは更新時期が重ならないようにして通常処理内で更新され、それら外れ図柄カウンタCL,CM,CRの組み合わせが、RAM703の前後外れリーチ図柄バッファ、前後外れ以外リーチ図柄バッファ及び完全外れ図柄バッファの何れかに格納される。そして、第1図柄の変動開始時における変動パターン決定に際し、リーチ乱数カウンタC3の値に応じて前後外れリーチ図柄バッファ、前後外れ以外リーチ図柄バッファ及び完全外れ図柄バッファの何れかのバッファ値が取得される。
なお、各カウンタの大きさや範囲は一例にすぎず任意に変更できる。但し、不規則性を重視すれば、大当たり乱数カウンタC1、リーチ乱数カウンタC3、変動種別カウンタCS1,CS2の大きさは何れも異なる素数とし、いかなる場合にも同期しない数値としておくのが望ましい。
第2図柄乱数カウンタC4は、例えば0〜250の範囲内で順に1ずつ加算され、最大値(つまり250)に達した後0に戻るループカウンタとして構成されている。第2図柄乱数カウンタC4は定期的に(本実施の形態ではタイマ割込毎に1回)更新され、遊技球が左右何れかの第2入球口(スルーゲート)67を通過したことが検知された時に取得される。当選することとなる乱数の値の数は149あり、その範囲は「5〜153」となっている。
次に、図45から図55のフローチャートを参照して、主制御装置561内のMPU701により実行される各制御処理を説明する。かかるMPU701の処理としては大別して、電源投入に伴い起動されるメイン処理と、定期的に(本実施の形態では2ミリ秒(以下「ms」で表す)周期で)起動されるタイマ割込処理と、NMI端子への停電信号SG1の入力により起動されるNMI割込処理とがあり、説明の便宜上、はじめにタイマ割込処理とNMI割込処理とを説明し、その後メイン処理を説明する。
図54は、タイマ割込処理を示したフローチャートである。タイマ割込処理は、主制御装置561のMPU701により例えば2ms毎に実行される。タイマ割込処理では、まず各種入賞スイッチの読み込み処理を実行する(S701)。即ち、主制御装置561に接続されている各種スイッチ(但し、RAM消去スイッチ623を除く)の状態を読み込むと共に、当該スイッチの状態を判定して検出情報(入賞検知情報)を保存する。次に、乱数初期値カウンタCINIの更新を実行する(S702)。具体的には、乱数初期値カウンタCINIを1加算すると共に、そのカウンタ値が最大値(本実施の形態では676)に達した際0にクリアする。そして、乱数初期値カウンタCINIの更新値を、RAM703の該当するバッファ領域に格納する。
更に、大当たり乱数カウンタC1、大当たり図柄カウンタC2、リーチ乱数カウンタC3および第2図柄乱数カウンタC4の更新を実行する(S703)。具体的には、大当たり乱数カウンタC1、大当たり図柄カウンタC2、リーチ乱数カウンタC3および第2図柄乱数カウンタC4をそれぞれ1加算すると共に、それらのカウンタ値が最大値(本実施の形態ではそれぞれ、676,49,238,250)に達した際それぞれ0にクリアする。そして、各カウンタC1〜C3の更新値を、RAM703の該当するバッファ領域に格納する。その後は、始動入賞口331,332への遊技球の入球に基づく始動入賞処理(S711〜S714)と、第2入球口67の遊技球の通過に基づくゲート通過処理(S721〜S724)を実行する。
S711以降の始動入賞処理では。まず、遊技球が始動入賞口331,332に入賞(始動入賞)したか否かを各始動口スイッチ524a,524bの検出情報により判別する(S711)。遊技球が始動入賞口331,332に入賞したと判別されると(S711:Yes)、第1保留球数カウンタNの値に基づいて第1図柄の作動保留球数が上限値(本実施の形態では4)未満であるか否かを判別する(S712)。始動入賞口331,332への入賞があり、且つ第1保留球数カウンタNが4未満であれば(S712:Yes)、第1保留球数カウンタNの値を1加算し(S713)、更に、前記ステップS703で更新した大当たり乱数カウンタC1、大当たり図柄カウンタC2及びリーチ乱数カウンタC3の各値を、第1図柄の変動表示用としてRAM703に設けられた保留球格納エリアの空き保留エリアのうち最初のエリアに格納する(S714)。一方、始動入賞口331,332への入賞がないか(S711:No)、或いは、始動入賞口331,332への入賞があっても第1保留球数カウンタNが4であれば(S712:No)、S713及びS714の各処理をスキップして処理ををS721へ移行する。
始動入賞処理の終了後は、S721以降のゲート通過処理を行う。ゲート通過処理では。まず、遊技球が第2入球口67を通過(ゲート通過)したか否かを第2入球口スイッチ525の検出情報により判別する(S721)。遊技球が第2入球口67を通過したと判別されると(S721:Yes)、第2保留球数カウンタMの値に基づいて第2図柄の作動保留球数が上限値(本実施の形態では4)未満であるか否かを判別する(S722)。第2入球口67の遊技球の通過があり、且つ第2保留球数カウンタMが4未満であれば(S722:Yes)、第2保留球数カウンタMの値を1加算し(S723)、更に、前記ステップS703で更新した第2図柄乱数カウンタC4の値を、第2図柄の変動表示用としてRAM703に設けられた保留球格納エリアの空き保留エリアのうち最初のエリアに格納する(S724)。一方、第2入球口67の遊技球の通過がないか(S721:No)、或いは、第2入球口67の遊技球の通過があっても第2保留球数カウンタMが4であれば(S722:No)、S723及びS724の各処理をスキップして、始動入賞処理を終了する。始動入賞処理の終了後は、MPU701は本タイマ割込処理を一旦終了する。
なお、遊技球が始動入賞口331,332に入賞(始動入賞)した場合、それに伴い第1図柄表示装置81による第1図柄の変動表示が開始されることとなるが、始動入賞後、第1図柄が変動し図柄停止に至るまでには所定時間(例えば5秒)が経過していなければならないという制約がある。そこで、上記始動入賞処理では、始動入賞が確認された場合、各カウンタ値の格納処理(S704)の後に、始動入賞後の経過時間を計るためのタイマをセットする。具体的には、上記始動入賞処理は2ms周期で実行されるため、例えば5秒の経過時間を計測するにはタイマに数値「2500」をセットし、始動入賞処理の都度、タイマ値を1ずつ減算する。このタイマ値は、その時々の各カウンタC1〜C3の値と共に、RAM703の保留球格納エリアに格納され管理される。そして、後述する第1図柄の変動パターン設定に際しては、上記タイマ値が参照され、残り時間に応じて(所定時間経過後に図柄変動が停止されるよう)変動パターンが設定される。
図55は、NMI割込処理を示したフローチャートである。NMI割込処理は、停電の発生等によるパチンコ機10の電源遮断時に、主制御装置561のMPU701により実行される。このNMI割込処理により、電源遮断時の主制御装置561の状態がRAM703のバックアップエリア703aに記憶される。即ち、停電の発生等によりパチンコ機10の電源が遮断されると、停電信号SG1が停電監視回路742から主制御装置561内のMPU701のNMI端子に出力され、MPU701は実行中の制御を中断してNMI割込処理を開始する。図55のNMI割込処理のプログラムは、主制御装置561のROM702に記憶されている。停電信号SG1が出力された後所定時間は、主制御装置561の処理が実行可能となるように電源部741から電源供給がなされており、この所定時間内にNMI割込処理が実行される。
NMI割込処理では、まず、使用レジスタをRAM703のバックアップエリア703aに退避し(S801)、スタックポインタの値を同バックアップエリア703aに記憶する(S802)。更に、電源遮断の発生情報をバックアップエリア703aに設定し(S803)、電源が遮断されたことを示す電源遮断通知コマンドを他の制御装置に対して送信する(S804)。RAM判定値を算出し、バックアップエリア703aに保存する(S805)。RAM判定値は、例えば、RAM703の作業領域アドレスにおけるチェックサム値である。その後は、RAM703のアクセスを禁止して(S806)、電源が完全に遮断して処理が実行できなくなるまで無限ループを継続する。
なお、上記のNMI割込処理は、払出発射制御装置611でも同様に実行され、かかるNMI割込処理により、停電の発生等による電源遮断時の払出発射制御装置611の状態がRAM713のバックアップエリア713aに記憶される。停電信号SG1が出力された後所定時間は、払出発射制御装置611の処理が実行可能となるように電源部741から電源供給がなされるのも同様である。即ち、停電の発生等によりパチンコ機10の電源が遮断されると、停電信号SG1が停電監視回路742から払出発射制御装置611内のMPU711のNMI端子に出力され、MPU711は実行中の制御を中断して図55のNMI割込処理を開始する。その内容はステップS804の電源遮断通知コマンドの送信を行なわない点を除き上記説明と同様である。
図45は、主制御装置561内のMPU701により実行されるメイン処理を示したフローチャートである。このメイン処理は電源投入時のリセットにより起動される。メイン処理では、まず、電源投入に伴う初期設定処理を実行する(S101)。具体的には、スタックポインタに予め決められた所定値を設定すると共に、サブ側の制御装置(音声ランプ制御装置562、払出発射制御装置611等)が動作可能な状態になるのを待つために、ウェイト処理(例えば1秒程度)を実行する。次いで、払出発射制御装置611に対して払出許可コマンドを送信した後(S102)、RAM703のアクセスを許可する(S103)。
その後は、電源装置612に設けたRAM消去スイッチ623がオンされているか否かを判別し(S104)、オンされていれば(S104:Yes)、バックアップデータをクリア(消去)するべく、処理をS114へ移行する。一方、RAM消去スイッチ623がオンされていなければ(S104:No)、更にRAM703のバックアップエリア703aに電源遮断の発生情報が記憶されているか否かを判別し(S105)、記憶されていなければ(S105:No)、バックアップデータは記憶されていないので、この場合にも、処理をS114へ移行する。バックアップエリア703aに電源遮断の発生情報が記憶されていれば(S105:Yes)、RAM判定値を算出し(S106)、算出したRAM判定値が正常でなければ(S107:No)、即ち算出したRAM判定値が電源遮断時に保存したRAM判定値と一致しなければ、バックアップされたデータは破壊されているので、かかる場合にも処理をS114へ移行する。なお、前述した通り、RAM判定値は、例えばRAM703の作業領域アドレスにおけるチェックサム値である。このRAM判定値に代えて、RAM703の所定のエリアに書き込まれたキーワードが正しく保存されているか否かによりバックアップの有効性を判断するようにしても良い。
上述したように、本パチンコ機10では、例えばホールの営業開始時など、電源投入時にRAMデータを初期化する場合にはRAM消去スイッチ623を押しながら電源が投入される。従って、RAM消去スイッチ623が押されていれば、RAMの初期化処理(S114〜S116)に移行する。また、電源遮断の発生情報が設定されていない場合や、RAM判定値(チェックサム値等)によりバックアップの異常が確認された場合も同様にRAM703の初期化処理(S114〜S116)に移行する。即ち、S114からのRAMの初期化処理では、RAM703の使用領域を0にクリアし(S114)、RAM703の初期値を設定する(S115)。その後、割込みを許可して(S116)、後述する通常処理に移行する。
一方、RAM消去スイッチ623がオンされておらず(S104:No)、電源遮断の発生情報が記憶されており(S105:Yes)、更にRAM判定値(チェックサム値等)が正常であれば(S107:Yes)、処理をS108へ移行して復電時の処理(電源遮断復旧時の処理)を実行する。即ち、復電時の処理では、電源遮断時のスタックポインタを復帰させ(S108)、電源遮断の発生情報をクリアする(S109)。次に、サブ側の制御装置を電源遮断時の遊技状態に復帰させるための復電時のコマンドを送信し(S110)、使用レジスタをRAM703のバックアップエリア703aから復帰させる(S111)。更に、電源断前に割込みが許可状態にあったか否かを確認し(S112)、割込みが許可状態であれば(S112:Yes)、割込みを許可し(S113)、一方、電源断時に割込みが禁止状態にあれば(S112:No)、割込みを禁止したまま、処理を電源遮断前の番地へ戻す。
次に、図46のフローチャートを参照して通常処理を説明する。この通常処理では遊技の主要な処理が実行される。その概要として、4ms周期の定期処理としてS201〜S208の各処理が実行され、その残余時間でS210,S211のカウンタ更新処理が実行される構成となっている。
通常処理においては、まず、前回の処理で更新されたコマンド等の出力データをサブ側の各制御装置に送信する(S201)。具体的には、入賞検知情報の有無を判別し、入賞検知情報があれば払出発射制御装置611に対して獲得遊技球数に対応する賞球払出コマンドを送信する。また、第1図柄表示装置81による第1図柄の変動表示や第2図柄表示装置82による第2図柄の変動表示等を実行するために停止図柄コマンド、変動パターンコマンド、確定コマンド等を表示制御装置505に送信する。なお、第1図柄の変動開始後において、変動パターンコマンド→左図柄列Z1の停止図柄コマンド→中図柄列Z2の停止図柄コマンド→右図柄列Z3の停止図柄コマンドの順で通常処理の都度1つずつ(即ち、4ms毎に1つずつ)コマンドが送信され、変動時間終了のタイミングで確定コマンドが送信されるようになっている。
次に、変動種別カウンタCS1,CS2の各値を更新する(S202)。具体的には、変動種別カウンタCS1,CS2を1加算すると共に、それらのカウンタ値が最大値(本実施の形態では255,240)に達した際それぞれ0にクリアする。そして、変動種別カウンタCS1,CS2の更新値を、RAM703の該当するバッファ領域に格納する。更に、外れ図柄カウンタ更新処理により、左図柄列Z1、中図柄列Z2及び右図柄列Z3の各外れ図柄カウンタCL,CM,CRの更新を実行する(S203)。
ここで、図47を参照して、外れ図柄カウンタ更新処理を説明する。まず、左図柄列Z1の外れ図柄カウンタCLの更新時期か否かを判別し(S301)、更新時期であれば(S301:Yes)、左図柄列Z1の外れ図柄カウンタCLを更新する(S303)。次に、左図柄列Z1の更新時期でなければ(S301:No)、中図柄列Z2の外れ図柄カウンタCMの更新時期か否かを判別し(S302)、更新時期であれば(S302:Yes)、中図柄列Z2の外れ図柄カウンタCMを更新する(S304)。更に中図柄列Z2の更新時期でなければ(S302:No)、右図柄列Z3の更新時期なので、右図柄列Z3の外れ図柄カウンタCRを更新する(S305)。
上記S303〜S305の各処理における外れ図柄カウンタCL,CM,CRの更新では、前回のカウンタ値にRレジスタの下位3ビットの値を加算すると共にその加算結果が最大値を超えた場合に20を減算し、その演算結果を外れ図柄カウンタCL,CM,CRの今回値とする。上記CL,CM,CRの更新処理によれば、左図柄列Z1、中図柄列Z2及び右図柄列Z3の各外れ図柄カウンタCL,CM,CRが1回の通常処理で1つずつ順に更新されるので、各カウンタ値の更新時期が重なることはない。これにより、通常処理を3回実行する毎に外れ図柄カウンタCL,CM,CRの1セット分が更新される。
その後、上記更新した外れ図柄カウンタCL,CM,CRの組み合わせが大当たり図柄の組み合わせになっているか否かを判別し(S306)、大当たり図柄の組み合わせであれば(S306:Yes)、そのまま本処理を終了する。大当たり図柄の組み合わせでなければ(S306:No)、リーチ図柄の組み合わせになっているか否かを判別し(S307)、リーチ図柄の組み合わせであれば(S307:Yes)、更にそれが前後外れリーチであるか否かを判別する(S308)。前後外れリーチの組み合わせであれば(S308:Yes)、その時の外れ図柄カウンタCL,CM,CRの組み合わせをRAM703の前後外れリーチ図柄バッファに格納する(S309)。外れ図柄カウンタCL,CM,CRが前後外れ以外リーチの組み合わせであれば(S308:No)、その時の外れ図柄カウンタCL,CM,CRの組み合わせをRAM703の前後外れ以外リーチ図柄バッファに格納する(S310)。外れ図柄カウンタCL,CM,CRの組み合わせが大当たり図柄の組み合わせでなく(S306:No)、且つリーチ図柄の組み合わせでもなければ(S307:No)、外れ図柄カウンタCL,CM,CRの組み合わせはリーチ図柄以外の外れ図柄の組み合わせになっているので、かかる場合には、その外れ図柄カウンタCL,CM,CRの組み合わせをRAM703の完全外れ図柄バッファに格納する(S311)。
外れ図柄カウンタCL,CM,CR更新処理(S203)の終了後は、図46の通常処理へ戻って、払出発射制御装置611より受信した賞球計数信号や払出異常信号を読み込み(S204)、第1図柄表示装置81による第1図柄の変動表示を行うための第1図柄変動処理を実行する(S205)。この第1図柄変動処理により、大当たり判定や第1図柄の変動パターンの設定などが行われる。なお、第1図柄変動処理の詳細は図48を参照して後述する。
第1図柄変動処理の終了後は、大当たり状態である場合において変動入賞装置65の大入賞口65aを開放又は閉鎖する大当たり処理を実行する(S206)。即ち、大当たり状態のラウンド毎に大入賞口65aを開放し、大入賞口65aの最大開放時間が経過したか、又は大入賞口65aに遊技球が規定数入賞したかを判定する。そして、これら何れかの条件が成立すると大入賞口65aを閉鎖する。このとき、遊技球が特定領域を通過したことを条件に大入賞口65aの連続開放を許容し、これを所定ラウンド数繰り返し実行する。なお、大当たり処理の詳細は図50を参照して後述する。
次に、第2図柄表示装置82による第2図柄(例えば「○」又は「×」の図柄)の表示内容を制御するための第2図柄変動処理を実行する(S207)。遊技球が第2入球口(スルーゲート)67を通過したことを条件に、その通過したタイミングで第2図柄乱数カウンタC4の値を取得し、その取得した値により第2図柄の抽選が実施され、その抽選結果に対応した第2図柄が第2図柄表示装置82の表示部83に表示されるように表示制御装置505に送信するコマンドを決定する。
S207の処理後、下側の始動入賞口332を開閉する羽根333の動作を制御する始動口開閉処理(S208)を実行する。S207の処理にて第2図柄の当たり状態になった場合には、下側の始動入賞口332を開閉する電動役物としての始動口開放ソレノイドを動作させる。始動口開放ソレノイドが動作すると左右一対の羽根333の上部が左右両側に開放されるように一対の羽根333が傾倒し、下側の始動入賞口332が所定時間開放される。
その後は、次の通常処理の実行タイミングに至ったか否か、即ち前回の通常処理の開始から所定時間(本実施の形態では4ms)が経過したか否かを判別し(S209)、既に所定時間が経過していれば(S209:Yes)、処理をS201へ移行し、前述したS201以降の各処理を繰り返し実行する。
一方、前回の通常処理の開始から未だ所定時間が経過していなければ(S209:No)、所定時間に至るまでの、即ち次の通常処理の実行タイミングに至るまでの残余時間内において、乱数初期値カウンタCINI及び変動種別カウンタCS1,CS2の更新を繰り返し実行する(S210,S211)。まず、乱数初期値カウンタCINIの更新を実行する(S210)。具体的には、乱数初期値カウンタCINIを1加算すると共に、そのカウンタ値が最大値(本実施の形態では676)に達した際0にクリアする。そして、乱数初期値カウンタCINIの更新値を、RAM703の該当するバッファ領域に格納する。次に、変動種別カウンタCS1,CS2の更新を実行する(S211)。具体的には、変動種別カウンタCS1,CS2を1加算すると共に、それらのカウンタ値が最大値(本実施の形態では255,240)に達した際それぞれ0クリアする。そして、変動種別カウンタCS1,CS2の更新値を、RAM703の該当するバッファ領域に格納する。
ここで、S201〜S208の各処理の実行時間は遊技の状態に応じて変化するため、次の通常処理の実行タイミングに至るまでの残余時間は一定でなく変動する。故に、かかる残余時間を使用して乱数初期値カウンタCINIの更新を繰り返し実行することにより、乱数初期値カウンタCINI(即ち、大当たり乱数カウンタC1の初期値)をランダムに更新することができ、同様に変動種別カウンタCS1,CS2についてもランダムに更新することができる。
次に、図48及び図49のフローチャートを参照して、第1図柄変動処理(S205)を説明する。第1図柄変動処理では、まず、大当たりフラグ703bがオンであって今現在が大当たり中(即ち、特別遊技状態中)であるか否かを判別する(S401)。大当たり中としては、大当たりの際に第1図柄表示装置81で表示される大当たり遊技の最中と大当たり遊技終了後の所定時間の最中とが含まれる。判別の結果、大当たり中であれば(S401:Yes)、そのまま本処理を終了する。なお、S401の処理は大当たり中には第1図柄の変動表示の開始を待機させ、大当たり遊技以外の期間中に限って第1図柄の変動表示を開始させるための処理であり、必ずしも設ける必要はなく、大当たり中にも第1図柄の変動表示が実行されるようにS401の処理を削除しても良い。
S401の処理において大当たり中でなければ(S401:No)、第1変動時間カウンタHD1が「0」より大きいか、即ち第1図柄表示装置81による第1図柄の変動表示中であるか否かを判別し(S402)、第1図柄の変動表示中でなければ(S402:No)、第1保留球数カウンタNの値が0よりも大きいか否かを判別する(S403)。第1保留球数カウンタNの値が0であれば(S403:No)、そのまま本処理を終了する。第1保留球数カウンタNの値が0より大きければ(S403:Yes)、第1保留球数カウンタNの値を1減算し(S404)、保留球格納エリアに格納されたデータをシフト処理する(S405)。このデータシフト処理は、保留球格納エリアの保留第1〜第4エリアに格納されているデータを実行エリア側に順にシフトさせる処理であって、保留第1エリア→実行エリア、保留第2エリア→保留第1エリア、保留第3エリア→保留第2エリア、保留第4エリア→保留第3エリアといった具合に各エリア内のデータがシフトされる。データシフト処理の後は、第1図柄の変動を開始するために変動パターンの選定等を行う第1変動開始処理を実行する(S406)。なお、第1変動開始処理については図49を参照して後述する。
S402の処理において、第1図柄の変動表示中である場合には(S402:Yes)、第1変動時間カウンタHD1の値を1減算し(S411)、その減算後の第1変動時間カウンタHD1の値が0以上であるか否かを判別する(S412)。第1図柄の変動時間は変動パターンに応じて決められており、第1変動時間カウンタHD1には第1図柄の変動表示が開始されるときに変動時間の長さに対応した値が書き込まれる。S412の処理は第1変動時間カウンタHD1の値が0となって実行中の変動表示の変動時間が経過するまで繰り返され、その期間中はS413からS418の処理の実行をスキップする(S412:Yes)。
一方、S412の処理において第1変動時間カウンタHD1の値が0、即ち第1図柄の変動時間が経過すれば(S412:No)、停止図柄の確定のために設定されている確定コマンドを設定し(S413)、時短回数カウンタJNの値が0より大きいか否かを判別する(S414)。時短回数カウンタJNの値が0より大きければ(S414:Yes)、時短回数カウンタJNの値を1減算し(S415)、処理をS416へ移行する。時短回数カウンタJNの値が0であれば時短回数カウンタJNの値を更新しないで処理をS416へ移行する。このS415およびS416の処理により大当たり後の100回の変動表示が実行される迄は時短回数カウンタJNの値を0より大きな値とし、100回を越えた場合には時短回数カウンタJNの値を0に維持することができる。
S416の処理では、今回の変動表示が大当たりの変動表示であったか否かを実行エリアのデータに基づいて判別し(S416)、大当たりであれば(S416:Yes)時短回数カウンタJNに「0」、ラウンド残数カウンタRDに「16」を書き込み(S417)、大当たりフラグ703bをオンして(S418)、第1図柄変動処理(S205)を終了する。S417の処理によって時短回数カウンタJNに「0」が書き込まれることにより、大当たりが開始された後には遊技状態を時短遊技以外の通常遊技中とすることができる。S416の処理において大当たりではないと判別された場合には(S416:No)、S417およびS418の処理をスキップして第1図柄変動処理(S205)を終了する。
次に、図49のフローチャートを参照して、第1変動開始処理を説明する。第1変動開始処理(S406)では、まず、保留球格納エリアの実行エリアに格納されている大当たり乱数カウンタC1の値に基づいて大当たりか否かを判別する(S501)。大当たりか否かは大当たり乱数カウンタ値とその時々のモードとの関係に基づいて判別される。前述した通り通常の低確率時には大当たり乱数カウンタC1の数値0〜676のうち「337,673」が当たり値であり、高確率時には「67,131,199,269,337,401,463,523,601,661」が当たり値である。
大当たりであると判別された場合(S501:Yes)、保留球格納エリアの実行エリアに格納されている大当たり図柄カウンタC2の値に対応する図柄、即ち大当たり図柄を大当たり図柄カウンタC2の値と図柄との対応関係を表す図示しないテーブルに基づいて求め、その図柄を停止図柄コマンドに設定する(S502)。このとき、大当たり図柄カウンタC2の数値0〜49は、全5つの有効ライン上における50通りの大当たり図柄の何れかに対応しており、停止図柄コマンドには50通りの大当たり図柄の何れかが設定される。これらの大当たり図柄のうち、予め定められた特定図柄(本実施形態では、奇数番号の主図柄)で揃った場合には以後確変状態に移行するが、特定図柄でない図柄(本実施形態では、偶数番号の主図柄)で揃った場合には確変状態に移行しない。
次に、大当たり図柄で停止するまでの第1図柄の変動パターンを決定し、当該変動パターンを変動パターンコマンドに設定する(S503)。このとき、RAM703のカウンタ用バッファに格納されている変動種別カウンタCS1,CS2の値を確認し、第1変動種別カウンタCS1と第1変動パターンテーブル702aとに基づいてノーマルリーチ、スーパーリーチ等のリーチ種別やその他大まかな図柄変動態様を決定すると共に、各変動種別カウンタCS1,CS2の値に基づいてリーチ発生後に最終停止図柄(本実施の形態では中図柄Z2)が停止するまでの経過時間(言い換えれば、変動図柄数)等、より細かな図柄変動態様を決定する。なお、上記変動パターンは、第2変動種別カウンタCS2の値を使わずに第1変動種別カウンタCS1の値だけを用いて設定することも可能であり、第1変動種別カウンタCS1の値だけでパターン設定するか又は両変動種別カウンタCS1,CS2の両値でパターン設定するかは、その都度の第1変動種別カウンタCS1の値や遊技条件などに応じて適宜決められる。これは、後述する前後外れリーチ表示、前後外れ以外リーチ表示、完全外れ表示を行なう場合における変動パターンの設定でも同様である。
また、S503の処理においては決定された変動パターンの変動時間を4msで乗じた値が第1変動時間カウンタHD1に書き込まれる。第1変動時間カウンタHD1の値は通常処理において4ms毎に実行されるS411の処理によって1ずつ減算され、この第1変動時間カウンタHD1の値が「0」となるタイミングが変動表示の終了時期となる。S503の処理において第1変動時間カウンタHD1に書き込まれる値は、第1変動パターンテーブル702aに記憶されている。S507、S509およびS511の各処理においてもS503の処理と同様、決定された変動パターンの変動時間を4msで乗じた値が第1変動時間カウンタHD1に書き込まれる。
S501の処理で大当たりではないと判別された場合には(S501:No)、保留球格納エリアの実行エリアに格納されているリーチ乱数カウンタC3の値に基づいてリーチ発生か否かを判別し(S504)、リーチ発生の場合には(S504:Yes)、同じくリーチ乱数カウンタC3の値に基づいて前後外れリーチであるか否かを判別する(S505)。本実施の形態では、リーチ乱数カウンタC3の値は0〜238の何れかであり、そのうち「0,1」が前後外れリーチに該当し、「2〜21」が前後外れ以外リーチに該当し、「22〜238」がリーチなし(完全外れ)に該当する。
前後外れリーチ発生の場合(S505:Yes)、RAM703の前後外れリーチ図柄バッファに格納されている左・中・右の各外れ図柄カウンタCL,CM,CRの各値を停止図柄コマンドに設定する(S506)。また、前後外れリーチ表示のための変動パターンを決定し、当該変動パターンを変動パターンコマンドに設定する(S507)。このとき、S503の処理と同様に、RAM703のカウンタ用バッファに格納されている変動種別カウンタCS1,CS2の値を確認し、第1変動種別カウンタCS1と第1変動パターンテーブル702aのハズレリーチテーブルとに基づいてノーマルリーチ、スーパーリーチ等のリーチ種別やその他大まかな図柄変動態様を決定すると共に、第2変動種別カウンタCS2の値に基づいてリーチ発生後に最終停止図柄(本実施の形態では中図柄)が停止するまでの経過時間(言い換えれば、変動図柄数)などより細かな図柄変動態様を決定する。
前後外れ以外リーチ発生の場合(S505:No)、RAM703の前後外れ以外リーチ図柄バッファに格納されている左・中・右の各外れ図柄カウンタCL,CM,CRの各値を停止図柄コマンドに設定する(S508)。また、前後外れ以外リーチ表示のための変動パターンを決定し、当該変動パターンを変動パターンコマンドに設定する(S509)。このとき、RAM703のカウンタ用バッファに格納されている変動種別カウンタCS1,CS2等に基づいて変動パターンが決定されるのはS503の処理と同様である。
大当たりでなくリーチでもない場合には(S501:No,S504:No)、RAM703の完全外れ図柄バッファに格納されている左・中・右の各外れ図柄カウンタCL,CM,CRの各値を停止図柄コマンドに設定する(S510)。また、完全外れ表示のための変動パターンを決定し、当該変動パターンを変動パターンコマンドに設定する(S511)。このとき、RAM703のカウンタ用バッファに格納されている変動種別カウンタCS1,CS2の値に基づいて変動パターンが決定されるのはS503の処理と同様である。上記の通り大当たり時、リーチ発生時、リーチ非発生時のいずれかで停止図柄コマンド及び変動パターンコマンドの設定が完了すると、本処理を終了する。
次に、図50を参照して大当たり処理(S206)について説明する。大当たり処理(S206)は、始動入賞口331,332への入賞に基づく抽選によって大当たりとなった場合に大入賞口開放ソレノイドの動作を制御し、規定回数分だけ変動入賞装置65の大入賞口65aを開放する処理である。また、大当たり処理(S206)では、大当たり遊技の終了間際であって最後(16回目)の大入賞口65aの開放が行われるタイミングで時短遊技を開始させる処理である。
大当たり処理(S206)では、まず、大当たりフラグ703bがオンであって大当たり中であるか否かを判断する(S541)。大当たりフラグ703bがオフであって大当たり中でないと判断されると(S541:No)、以降の処理をスキップして本処理を終了し、処理を図46の通常処理へ戻す。
S541の処理で大当たりフラグ703bがオンであると判断された場合には(S541:Yes)、大当たり中であるので、大入賞口65aの開閉を行わせる必要がある。このため、大入賞口65aが閉鎖中であり(S542:Yes)、且つ、大入賞口65aの開放時期(S543:Yes)には、変動入賞装置65に設けられる大入賞口開放ソレノイドをオンして大入賞口65aを開放させる(S544)。大入賞口65aの開放時期とは、ラウンド残数カウンタRDの値が「1」以上であり、且つ、大当たり図柄で変動表示が確定停止してから一定時間が経過したか、前回の大入賞口65aの閉鎖から一定時間が経過したかのいずれかの条件が成立した時期である。一方、大入賞口65aが開放中であったり(S542:No)、又は、大入賞口65aが閉鎖中であっても大入賞口65aの開放時期でないときには(S543:No)、S544の処理をスキップして処理をS545へ移行する。
S545の処理では大入賞口65aの閉鎖時期であるか否かを判断する(S545)。大入賞口の閉鎖時期とは、大入賞口を開放してから一定時間が経過したか、大入賞口への10球の入賞があったかのいずれかの条件が成立した時期である。大入賞口65aの閉鎖時期であれば(S545:Yes)、大入賞口開放ソレノイドをオフし(S546)、大入賞口65aの開放中にVゾーンへ遊技球が入賞したか否かを判別する(S547)。S547の処理においてVゾーンへの遊技球の入賞が確認されると(S547:Yes)、継続権の成立となり、ラウンド残数カウンタRDより「1」を減算し(S548)、減算後のラウンド残数カウンタRDの値が「1」であるか否かを判別する(S549)。ラウンド残数カウンタRDの値が「1」であれば(S549:Yes)、時短回数カウンタJNに「100」を書き込む。ラウンド残数カウンタRDが「1」となるのは、最大16回開放される大入賞口65aが15回開放されて16回目の開放が行われるタイミングであり、このタイミングで時短回数カウンタJNに「100」が書き込まれてその後に開始される第2図柄の変動表示の変動時間は5秒の短いものとなり、時短遊技へと遷移する。
S549の処理においてラウンド残数カウンタRDの値が「1」でなければ(S549:No)、そのまま大当たり処理(S206)を終了する。また、S547の処理においてVゾーンの入賞がないことが確認されると(S547)、継続権の不成立となってラウンド残数カウンタRDには「0」が書き込まれ(S551)、その後に時短回数カウンタJNに「100」が書き込まれて時短遊技へと遷移する。
S545の処理において大入賞口の閉鎖時期でなければ(S545:No)、ラウンド残数カウンタRDが「0」より大きいか判別し(S552)、「0」より大きければ(S552:Yes)大当たり処理(S206)を終了する。S552の処理においてラウンド残数カウンタRDが「0」であれば(S552:No)、最後の大入賞口65aの閉鎖が終わって大当たりの終了演出が実行される期間であり、その終了演出の実行時間が経過したか否かを判別する(S553)。終了演出の実行時間が経過していなければ(S553:No)、大当たり処理(S206)を終了し、終了演出の実行時間が経過した場合には(S553:Yes)、大当たりフラグ703bをオフしてから(S554)、大当たり処理(S206)を終了する。大当たりフラグ703bがオフとなると、大当たり前および大当たり中における始動入賞口331,332への入賞に基づいて第1図柄の変動表示が開始される。
このように、パチンコ機10の大当たり処理(S206)では、S549およびS550の処理によって大入賞口65aが15回開放されて16回目の開放が行われるタイミングで時短回数カウンタJNに「100」を書き込み、その後に開始される第2図柄の変動表示を時短中の変動表示とする。また、S552からS554の処理によって、1回の大当たりに基づく特別遊技状態の終了として大入賞口65aが最終的に閉鎖された後に一定の終了演出の実行時間が経過した後、大当たりフラグ703bをオフし、第1図柄の変動表示を開始する。このため、大入賞口65aが最後に閉鎖される前に第2図柄の変動パターンの選定比率が通常変動パターンを選定する状態から短縮変動パターンを選定する状態に切り替えられ、終了演出の実行期間中に開始される第2図柄の変動表示は全て短縮変動パターンによる変動表示となる。よって、終了演出の実行期間中に開始された第2図柄による動的表示の表示結果が短時間で表示されるので、特別遊技状態の終了時期から短時間で第2図柄による変動表示の表示結果が表示され易く、特別遊技状態の後に開状態が迅速に形成され易くなる。従って、特別遊技状態の終了直後に時短遊技が行われる場合にその時短遊技によって遊技球の減少が抑制された遊技性を遊技者に提供することができる。なお、パチンコ機10においては時短中であるか否かに基づいて固定的に通常変動パターンと短縮変動パターンとの選定を切り替えたが、必ずしも上述したように選定を行う必要はなく、時短中に短縮変動パターンが選定され易いように設定された他の選定比率で通常変動パターンと短縮変動パターンとを選定しても良い。例えば、通常遊技中においては9:1の選定比率で通常変動パターンと短縮変動パターンとを選定し、時短遊技中においては2:8の選定比率とするなど短縮変動パターンが通常遊技中より多く選定される比率で変動パターンを選定するようにしても良い。
次に、図51及び図52のフローチャートを参照して、第2図柄変動処理(S207)を説明する。第2図柄変動処理では、まず、第2当たりフラグ703cがオンであって今現在が下側の始動入賞口332の開放中(開状態、図4(b)参照)であるか否かを判別する(S561)。判別の結果、第2当たりフラグ703cがオンであれば(S561:Yes)、そのまま本処理を終了する。
第2当たりフラグ703cがオフであれば(S561:No)、第2変動時間カウンタHD2が「0」より大きいか、即ち第2図柄の変動表示中であるか否かを判別し(S562)、第2図柄の変動表示中でなければ(S562:No)、第2保留球数カウンタMの値が0よりも大きいか否かを判別する(S563)。第2保留球数カウンタMの値が0であれば(S563:No)、そのまま本処理を終了する。第2保留球数カウンタMの値が0より大きければ(S563:Yes)、第2保留球数カウンタMの値を1減算し(S564)、第2図柄の変動表示用の保留球格納エリアに格納されたデータをシフト処理する(S565)。データシフト処理の後は、第2図柄の変動を開始するための第2変動開始処理を実行する(S566)。なお、第2変動開始処理(S566)については図49を参照して後述する。
S562の処理において、第2図柄の変動表示中である場合には(S562:Yes)、第2変動時間カウンタHD2の値を1減算し(S567)、その減算後の第2変動時間カウンタHD2の値が0以上であるか否かを判別する(S568)。第2図柄の変動時間は変動パターンに応じて決められており、第2変動時間カウンタHD2には第2図柄の変動表示が開始されるときに変動時間の長さに対応した値が書き込まれる。S568の処理は第2変動時間カウンタHD2の値が0となって実行中の変動表示の変動時間が経過するまで繰り返され、その期間中はS569からS571の処理の実行をスキップする(S568:Yes)。
一方、S568の処理において第2変動時間カウンタHD2の値が0、即ち第2図柄の変動時間が経過すれば(S568:No)、停止図柄の確定のために設定されている確定コマンドを設定する(S569)。その後、今回の変動表示が当たりの変動表示であったか否かを実行エリアのデータに基づいて判別し(S570)、当たりであれば(S570:Yes)第2当たりフラグ703cをオンして(S571)、第2図柄変動処理(S207)を終了する。S570の処理において当たりではないと判別された場合には(S570:No)、S571の処理をスキップして第2図柄変動処理(S207)を終了する。
次に、図52のフローチャートを参照して、第2変動開始処理を説明する。第2変動開始処理(S566)では、まず、保留球格納エリアの実行エリアに格納されている第2図柄乱数カウンタC4の値に基づいて当たりか否かを判別する(S581)。前述した通り第2図柄乱数カウンタC4の数値0〜250のうち「5〜153」が当たり値である。
当たりであると判別された場合には(S581:Yes)、当たりの変動パターンコマンドとして変動パターンコマンドの下位バイトにおける上位4ビットを「0h」として設定する。当たりでないと判別された場合には(S581:No)、外れの変動パターンコマンドとして変動パターンコマンドの下位バイトにおける上位4ビットを「1h」として設定する。
次に、時短回数カウンタJNの値が「0」より大きいか否かを判別し(S584)、「0」より大きければ(S584:Yes)、時短遊技を発生させるために第2変動時間カウンタHD2には1250を書き込み(S585)、1250に4msを乗じた5秒後に第2図柄の変動停止のタイミングとなるように設定する。更に、短縮変動パターンの変動パターンコマンドを設定し(S586)、第2変動開始処理(S566)を終了する。
S584の処理において時短回数カウンタJNの値が「0」であれば(S584:No)、時短遊技以外の通常遊技中とするために第2変動時間カウンタHD2には7500を書き込み(S587)、7500に4msを乗じた30秒後に第2図柄の変動停止のタイミングとなるように設定する。更に、通常変動パターンの変動パターンコマンドを設定し(S588)、第2変動開始処理(S566)を終了する。
次に、図53を参照して始動口開閉処理(S208)について説明する。始動口開閉処理(S208)は、第2入球口67の遊技球の通過に基づく抽選によって当たりとなった場合に始動口開放ソレノイドの動作を制御し、予め定めた規定時間分だけ下側の始動入賞口332を開放する処理である。
始動口開閉処理(S208)では、まず、第2当たりフラグ703cがオンであって第2入球口67の遊技球の通過に基づく抽選が当たりとなったか否かを判断する(S591)。第2当たりフラグ703cがオフであって当たり中でないと判断されると(S591:No)、以降の処理をスキップして本処理を終了し、処理を図46の通常処理へ戻す。
S591の処理で第2当たりフラグ703cがオンであると判断された場合には(S591:Yes)、下側の始動入賞口332を開放する必要がある。このため、始動口開放カウンタSCが「0」より大きいか判別し(S592)、「0」より大きくない、即ち始動口開放カウンタSCが「0」であれば(S592:No)、始動口開放ソレノイドをオンして下側の始動入賞口332を開放する。
その後、時短回数カウンタJNの値が「0」より大きいか判別し(S594)、「0」であれば(S594:No)、始動口開放カウンタSCに「100」を書き込み(S595)、始動口開閉処理(S208)を終了する。S594の処理において時短回数カウンタJNの値が「0」より大きければ(S594:Yes)、始動口開放カウンタSCに「1000」を書き込み(S596)、始動口開閉処理(S208)を終了する。
S592の処理において始動口開放カウンタSCが「0」より大きいと判別された場合には(S592:Yes)、始動口開放カウンタSCの値を「1」減算する(S597)。始動口開閉処理(S208)は、上述したように、通常処理の中で4ms毎に実行される処理であるため、S597の処理により、始動口開放カウンタSCの値は4ms毎に「1」ずつ減算される。このため、S595の処理によって始動口開放カウンタSCの値に「100」が書き込まれた場合には、100に4msを乗じた0.4秒経過後に始動口開放カウンタSCは「0」となり、S596の処理によって始動口開放カウンタSCの値に「1000」が書き込まれた場合には、1000に4msを乗じた4秒経過後に始動口開放カウンタSCは「0」となる。
S598の処理では、S597の処理によって減算された始動口開放カウンタSCの値を判別し(S598)、始動口開放カウンタSCの値が「0」より大きければ(S598:Yes)、S599およびS600の処理をスキップして始動口開閉処理(S208)を終了する。S598の処理において始動口開放カウンタSCの値が「0」であれば(S598:No)、始動口開放ソレノイドをオフして下側の始動入賞口332を閉鎖し(S599)、第2当たりフラグ703cをオフして始動口開閉処理(S208)を終了する。始動口開放カウンタSCの値が「0」より大きい期間中には下側の始動入賞口332が開放されることとなり、時短回数カウンタJNの値が「0」より大きい時短遊技中には4秒間、時短回数カウンタJNの値が「0」の通常遊技中には0.4秒間、下側の始動入賞口332が開放される。これにより、時短遊技中には、下側の始動入賞口332へ遊技球が入賞し易くなり、時短遊技中における遊技球の減少を抑制することができる。
なお、下側の始動入賞口332は、遊技球が入賞する毎に5球の遊技球が払い出される部位であるため、時短遊技中であっても大当たりフラグ703bがオンの大当たり中に下側の始動入賞口332へ遊技球が多数入賞することがあると、1回の大当たりにおいて獲得される遊技球の総数が一定になりにくくなって、パチンコ機10の出球を考慮した設計が困難となる。このため、時短遊技中であっても大当たりフラグ703bがオンである場合には、下側の始動入賞口332の開放が通常遊技中と同じ0.4秒間となるように制御しても良い。即ち、S594の処理後に大当たりフラグ703bがオンであるか否かを判定し、オフである場合に限ってS596の処理へ移行し、オンである場合にはS595の処理へ処理を移行してその後に下側の始動入賞口332が0.4秒間だけ開放されるようにする。これにより、大当たり中における下側の始動入賞口332へ入賞する遊技球の数を少なくして1回の大当たりにおいて獲得される遊技球の総数を一定に近づけることができる。
次に、図56を参照して、払出発射制御装置611内のMPU711により実行される払出および発射の制御について説明する。図56は、払出発射制御装置611のメイン処理を示したフローチャートであり、このメイン処理は電源投入時のリセットにより起動される。
まず、電源投入に伴う初期設定処理を実行する(S901)。具体的には、スタックポインタに予め決められた所定値を設定すると共に、割込みモードを設定する。次に、主制御装置561から送信される払出許可コマンドの受信を待機する(S902:No)。そして、払出許可コマンドを受信すると(S902:Yes)、RAMアクセスを許可すると共に(S903)、外部割込ベクタの設定を行う(S904)。
その後は、MPU711内のRAM713に関してデータバックアップの処理を実行する。具体的には、電源装置612に設けたRAM消去スイッチ623が押されているか否かを判別し(S905)、オンされていれば(S905:Yes)、バックアップデータをクリア(消去)するべく、処理をS915へ移行する。一方、RAM消去スイッチ623がオンされていなければ(S905:No)、更にRAM713のバックアップエリア713aに電源遮断の発生情報が記憶されているか否かを判別し(S906)、記憶されていなければ(S906:No)、バックアップデータは記憶されていないので、この場合にも、処理をS915へ移行する。バックアップエリア713aに電源遮断の発生情報が記憶されていれば(S906:Yes)、RAM判定値を算出し(S907)、算出したRAM判定値が正常でなければ(S908:No)、即ち算出したRAM判定値が電源遮断時に保存したRAM判定値と一致しなければ、バックアップされたデータは破壊されているので、かかる場合にも処理をS915へ移行する。なお、前述した通り、RAM判定値は、例えばRAM713の作業領域アドレスにおけるチェックサム値である。このRAM判定値に代えて、RAM713の所定のエリアに書き込まれたキーワードが正しく保存されているか否かによりバックアップの有効性を判断するようにしても良い。
S915からのRAMの初期化処理では、RAM713の使用領域を0にクリアし(S915)、RAM713の初期値を設定する(S916)。その後、MPU711周辺デバイスの初期設定を行うと共に(S917)、割込みを許可して(S918)、後述する払出発射制御処理に移行する。
一方、RAM消去スイッチ623が押されておらず(S905:No)、電源遮断の発生情報が設定されており(S906:Yes)、且つRAM判定値(チェックサム値等)が正常であれば(S908:Yes)、復電時の処理(電源遮断復旧時の処理)を実行する。即ち、電源遮断時のスタックポインタを復帰させ(S909)、電源遮断の発生情報をクリアする(S910)。また、MPU711周辺デバイスの初期設定を行い(S911)、使用レジスタをRAM713のバックアップエリア713aから復帰させる(S912)。更に、電源断前に割込みが許可状態にあったか否かを確認し(S913)、割込みが許可状態であれば(S913:Yes)、割込みを許可し(S914)、一方、電源断時に割込みが禁止状態にあれば(S913:No)、割込みを禁止したまま、処理を電源遮断前の番地へ戻す。
次に、図57のフローチャートを参照して、払出発射制御処理を説明する。この払出発射制御処理は、払出発射制御装置611のメイン処理に続いて実行される。払出発射制御処理では、まず、主制御装置561からのコマンドを取得し、賞球の総賞球個数を記憶する(S1001)。次に、操作ハンドルのタッチセンサと回動量の状態とを検出し、必要に応じて発射ソレノイド92と電磁石104とを励磁する発射制御処理を行う(S1002)。次いで、状態復帰スイッチ621をチェックした結果、状態復帰動作開始と判定した場合に状態復帰動作を実行する(S1003)。
その後、下皿301の状態の変化に応じて下皿満タン状態又は下皿満タン解除状態の設定を実行する(S1004)。即ち、下皿満タンスイッチの検出信号により下皿301の満タン状態を判別し、下皿満タンになった時に、下皿満タン状態の設定を実行し、下皿満タンでなくなった時に、下皿満タン解除状態の設定を実行する。また、タンク球の状態の変化に応じてタンク球無し状態又はタンク球無し解除状態の設定を実行する(S1005)。即ち、タンク球無しスイッチの検出信号によりタンク球無し状態を判別し、タンク球無しになった時に、タンク球無し状態の設定を実行し、タンク球無しでなくなった時に、タンク球無し解除状態の設定を実行する。その後、報知する状態の有無を判別し、報知する状態が有る場合には払出発射制御装置611に設けた7セグメントLEDにより報知する(S1006)。
次に、S1007〜S1009の各処理により、賞球払出の処理を実行する。即ち、賞球の払出不可状態でなく且つS1001の処理で記憶した総賞球個数が0でなければ(S1007:No,S1008:No)、図58に示す賞球制御処理を開始する(S1009)。一方、賞球の払出不可状態(S1007:Yes)または総賞球個数が0であれば(S1008:Yes)、貸球払出の処理に移行する。なお、賞球制御処理は後述する。
S1010〜S1012の貸球払出の処理では、貸球の払出不可状態でなく且つカードユニットからの貸球払出要求を受信していれば(S1010:No,S1011:Yes)、図59に示す貸球制御処理を開始する。一方、貸球の払出不可状態(S1010:Yes)または貸球払出要求を受信していなければ(S1011:No)、後続の球抜き処理を実行する(S1013)。なお、貸球制御処理は後述する。
球抜き処理(S1013)では、状態復帰スイッチ621をチェックして球抜き不可状態でないこと、及び球抜き動作開始でないことを条件に、払出モータ658aを駆動させ球抜き処理を実行する。続いて、球詰まり状態であることを条件にバイブレータ660の制御(バイブモータ制御)を実行する(S1014)。その後は、本払出発射制御処理の先頭に戻り、以降は前述した処理を繰り返す。
次に、図58に示す賞球制御処理を説明する。賞球制御処理では、まず、払出モータ658aを正方向回転駆動させて賞球の払出を実行する(S1101)。払出モータ658aの回転が正常であるかを払出回転センサの検出結果により判別し(S1102)、正常でなければ(S1102:No)、払出モータ658aを駆動させてリトライ処理を実行すると共に払出モータ658aの停止処理を実行し(S1103)、その後、図57の払出発射制御処理に戻る。
また、払出モータ658aの回転が正常であれば(S1102:Yes)、遊技球のカウントが正常に行われているか否かを払出カウントスイッチの検出結果により判別する(S1104)。遊技球のカウントが正常でなければ(S1104:No)、払出モータ658aを駆動させてリトライ処理を実行すると共に払出モータ658aの停止処理を実行し(S1105)、その後、図57の払出発射制御処理に戻る。
更に、遊技球のカウントが正常であれば(S1104:Yes)、払出カウントスイッチによる遊技球のカウント数が総賞球個数に達して払出が完了したか否かを判別し(S1106)、払出が完了していれば(S1106:Yes)、払出モータ658aの停止処理を実行し(S1107)、その後、図57の払出発射制御処理に戻る。一方、払出が完了していなければ(S1106:No)、そのまま、図57の払出発射制御処理に戻る。
図59に示す貸球制御処理を説明する。貸球制御処理では、まず、払出モータ658aを逆方向回転駆動させて貸球の払出を実行する(S1201)。払出モータ658aの回転が正常であるかを払出回転センサの検出結果により判別し(S1202)、正常でなければ(S1202:No)、払出モータ658aを駆動させてリトライ処理を実行すると共に払出モータ658aの停止処理を実行し(S1203)、その後、図57の払出発射制御処理に戻る。
また、払出モータ658aの回転が正常であれば(S1202:Yes)、遊技球のカウントが正常に行われているか否かを払出カウントスイッチの検出結果により判別する(S1204)。遊技球のカウントが正常でなければ(S1204:No)、払出モータ658aを駆動させてリトライ処理を実行すると共に払出モータ658aの停止処理を実行し(S1205)、その後、図57の払出発射制御処理に戻る。
更に、遊技球のカウントが正常であれば(S1204:Yes)、払出カウントスイッチによる遊技球のカウント数が所定の貸球個数(25個)に達して払出が完了したか否かを判別し(S1206)、払出が完了していれば(S1206:Yes)、払出モータ658aの停止処理を実行し(S1207)、その後、図57の払出発射制御処理に戻る。一方、払出が完了していなければ(S1206:No)、そのまま、図57の払出発射制御処理に戻る。
次に、図1、図3および図40を主に参照して、パチンコ機10の動作について時短遊技を中心に説明する。遊技者が操作ハンドル310(図1参照)を操作すると遊技球が発射され、発射された遊技球は遊技盤16(図3参照)の前面を流下する。遊技盤16前面を流下する遊技球が上下の始動入賞口331,332のいずれかへ入球すると、その入球が始動口スイッチ524a,524b(図40参照)によって検出され、主制御装置561によって大当たり抽選が行われる。その大当たり抽選の抽選結果に基づいて主制御装置561および表示制御装置505が第1図柄表示装置81に第1図柄の変動表示を行わせる。主制御装置561の大当たり抽選によって大当たりの抽選結果が導出されると、第1図柄の変動表示において同一図柄が有効ライン上に3つ並んで停止する停止図柄が表示結果として現出し、遊技者には当選が示される。また、大当たり抽選に当選すると、変動入賞装置65が大入賞口65aを閉状態から遊技者にとって有利な開状態に切り替えて特別遊技状態が発生し、遊技者には所定の遊技価値として多量の賞球が払い出される。
また、大当たり抽選の契機となる始動入賞口は、上下2つの始動入賞口331,332によって形成され、下側の始動入賞口332は、上側の始動入賞口331より多数の遊技球が払い出される。下側の始動入賞口332は、羽根333の状態が開状態であるか閉状態であるかによって遊技球の入球し易さが異なるものであり、羽根333の動作は主制御装置561によって制御される。この羽根333の動作は、遊技球が第2入球口67へ入球(通過)することを必要条件として行われる。
遊技球が第2入球口67へ入球し、その入球が第2入球口検出スイッチ525によって検出されると主制御装置561によって下側の始動入賞口332を開放させるか否かの抽選が行われ、その抽選結果に基づいて主制御装置561および表示制御装置505が第2表示装置82に第2図柄の変動表示を行わせる。主制御装置561の抽選によって下側の始動入賞口332を開放させる抽選結果が導出されると、第2図柄の変動表示が「○」の図柄で停止する表示結果が現出して遊技者に当選が示されると共に、主制御装置561の制御によって羽根333が閉状態(図4(a)参照)から開状態(図4(b)参照)へ所定時間切り替えられて遊技球が下側の始動入賞口332へ入球し易い状態が形成される。
ここで、主制御装置561の制御に基づく羽根333の動作によって遊技球が入球し易くなる下側の始動入賞口332は、上側の始動入賞口331より多数の遊技球が払い出される領域である。また、時短遊技中以外の通常遊技中においては、1回の第2図柄の変動時間が30秒間で長く設定され、羽根333が開状態をほとんど形成しないか、又は0.4秒間の短時間だけ開放されるため、下側の始動入賞口332へは遊技球がほとんど又は全く入球しない。一方、時短遊技中には、1回の第2図柄の変動時間が5秒であって羽根333が開状態を頻繁に形成し、又、1回の当選に対して4秒間にわたって開状態を形成するため、通常遊技中より下側の始動入賞口332へ遊技球が多量に入球する。このように、始動入賞口331,332への遊技球の入球に伴う遊技球の払出数は、羽根333の動作によって大きく異ならせることができ、通常遊技中には払い出される遊技球の数を抑制することができる。よって、大当たり抽選の当選確率を高くして特別遊技状態の発生確率を高くしつつ、時短遊技中の遊技球の減少を抑制することができる。
また、第2図柄の変動表示は、変動時間の長さが5秒と30秒に設定された2種類の変動パターンによって行われる。変動パターンの選定は、主制御装置561によって行われ、また、変動パターンの選定比率は、大当たり中には、最後に大入賞口65aが開放されるまで通常遊技中となって通常変動パターンが固定的に(即ち、100パーセントの比率で)選定される。大当たり終了後には時短遊技中となって短縮変動パターンが100パーセントの比率で選定される。このため、大当たり終了後には、大当たり中に比べて変動時間の短い短縮変動パターンによる変動表示が行われることとなる。よって、第2入球口67への遊技球の入球を契機として羽根333が開状態となる機会が多くなり、大当たり中には下側の始動入賞口332へ遊技球が入り難く遊技球の払出数を少なくし、大当たり終了後には遊技球が下側の始動入賞口332へ入球し易く遊技球の払出数が多い遊技を発生させることができる。これにより、1回の大当たりによって払い出される遊技球の総数が下側の始動入賞口332への遊技球の入球によってばらつくことを防止することができ、1回の大当たりによって獲得される遊技球の総数を一定に近づけることができる。
更に、大当たり後に短縮変動パターンによる変動表示が行われる場合には、大当たりの終了時期から短時間で第2図柄の変動表示が終了するように、大当たりの途中で時短回数カウンタJNの値を更新して時短遊技を開始する。このため、大当たりの終了するタイミングで時短回数カウンタJNの値を更新して時短遊技を開始する場合に比較して、大当たりの終了時期から長時間にわたって第2図柄の変動表示が行われることを防止することができる。よって、大当たり終了直後に時短遊技が行われる場合にその時短遊技によって遊技球の減少が抑制された遊技性を遊技者に提供することができる。なお、必ずしも大当たり中の最終ラウンドが開始されるタイミングで時短回数カウンタJNの値を更新して時短遊技を開始する必要はなく、最終ラウンドに近い後半のラウンドであって別のラウンド(例えば、最終ラウンドの前のラウンド)で時短遊技を開始するようにしても良く、最終ラウンドや別のラウンド中(即ち、大入賞口65aが開放された期間中)に時短遊技を開始しても良い。
次に第2の実施形態におけるパチンコ機について説明する。第2の実施形態におけるパチンコ機は、上述した実施形態(以下、適宜、「第1の実施形態」と称す。)のパチンコ機10に対して主制御装置561の大当たり処理の一部と、その処理に基づいて動作する表示制御装置505の処理の一部のみが異なるものである。以下、同一の部分には同一の符号を付して説明を省略し、異なる部分のみを説明する。
第1の実施形態における大当たり処理(S206)では、S549およびS550の処理によって最終ラウンドで大入賞口65aが開放されるタイミングで時短回数カウンタJNの値を更新して大当たり後の第2図柄の変動表示が迅速に停止し、時短遊技によって遊技球の減少が抑制された遊技性を遊技者に提供した。これに対し、第2の実施形態におけるパチンコ機の大当たり処理(S2000)では、大当たり終了のタイミングで一定時間(本実施例においては5秒間)より多く、第2図柄の変動表示の残り時間がある場合には、第2図柄の変動表示の残り時間を少ない時間(例えば、5秒)に変更するものである。この第2の実施形態における大当たり処理(S2000)は、第1の実施形態に対してS549およびS550の処理を削除し、S2001からS2004の処理を付加したものである。
図60は第2の実施形態におけるパチンコ機の大当たり処理(S2000)を示した図である。第2の実施形態における大当たり処理(S2000)では、S553の処理において終了演出の実行時間が経過して大当たりを終了するタイミングとなった場合(S553:Yes)、大当たりフラグ703bをオフしてから(S554)、第2変動時間カウンタHD2の値が1250より大きいか否かを判別する(S2001)。第2変動時間カウンタHD2の値は4ms毎に更新されるものであるため、第2変動時間カウンタHD2の値が1250より大きい場合には第2図柄の変動表示の残り時間が5秒以上の場合である。
第2変動時間カウンタHD2の値が1250より大きい、即ち第2図柄の変動表示の残り時間が5秒より多いと判別された場合には(S2001:Yes)、第2変動時間カウンタHD2に1250を書き込み(S2002)、第2図柄の変動表示の残り時間を5秒とする。更に、第2変動短縮コマンドを設定して(S2003)、表示制御装置505に対しても第2図柄の変動表示の残り時間を5秒とすることを指示する。その後、時短回数カウンタJNの値に「100」を書き込み(S2004)、大当たり処理(S2000)を終了する。
第2変動時間カウンタHD2の値が1250以下であると判別された場合には(S2001:No)、S2002とS2003の処理をスキップして、時短回数カウンタJNの値に「100」を書き込み(S2004)、大当たり処理(S2000)を終了する。S2001の処理において第2変動時間カウンタHD2の値が1250以下であれば、第2図柄の変動表示はその後に5秒以内で停止されるため、下側の始動入賞口332の開放時期が遅くなることによる影響が少ないからである。
このように、第2の実施形態におけるパチンコ機では、大当たり終了のタイミング、即ち、大当たり遊技後に第1図柄の変動表示が最初に開始されるタイミングで第2図柄の変動表示が実行中であってその変動表示の残り時間が一定時間(例えば、5秒)以上であるか否かを判定する処理(S2001)と、その処理によって変動表示の残り時間が一定時間以上であると判定された場合に第2図柄の変動表示の変動時間を通常変動パターンに基づく変動時間(30秒)より短縮させる処理(S2002)とを備えている。このため、大当たり後に第1図柄の変動表示が最初に開始されるタイミングで実行中となる第2図柄の変動表示の変動時間が5秒より多ければ5秒に短縮させられて、大当たりの終了時期から短時間で第2図柄の変動表示の表示結果が表示され易くなる。よって、大当たり後に下側の始動入賞口332が開放された開状態が迅速に形成され易くなり、大当たりの終了直後に時短遊技が行われる場合にその時短遊技によって遊技球の減少が抑制された遊技性を遊技者に提供することができる。
なお、必ずしも第2図柄の変動表示の残り時間が5秒であるか否かによって第2図柄の変動表示の残り時間を変更する必要はなく、4秒以下であっても6秒や7秒などであっても良い。また、S2002の処理では、必ずしも大当たりが終了してから一定時間後に第2図柄の変動表示が停止するように一定の値を書き込む必要はなく、第2変動時間カウンタHD2の値を一定量(例えば、「1000」)減算して第2図柄の変動表示の残り時間を変更しても良い。更に、S2002の処理において第2変動時間カウンタHD2に「0」を書き込み、大当たり遊技の終了と同時に第2図柄の変動表示が停止するようにしても良い。
以上、一実施の形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上記形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の変形改良が可能であることは容易に推察できるものである。
例えば、上記実施形態に示すように、動的表示の一種である変動表示は、第1図柄表示装置81の表示画面上で識別情報としての図柄を縦方向にスクロールさせるものに限定されず、横方向あるいはL字形等の所定経路に沿って図柄を移動表示して行うものであっても良い。また、識別情報の動的表示としては、図柄の変動表示に限られるものではなく、例えば、1又は複数のキャラクタを図柄と共に、若しくは、図柄とは別に多種多様に動作表示または変化表示させて行われる演出表示なども含まれるのである。この場合、1又は複数のキャラクタが、図柄と共に或いは図柄とは別に、識別情報として用いられる。
本発明を上記実施形態とは異なるタイプのパチンコ機等に実施しても良い。例えば、一度大当たりすると、それを含めて複数回(例えば2回、3回)大当たり状態が発生するまで、大当たり期待値が高められるようなパチンコ機(通称、2回権利物、3回権利物と称される)として実施しても良い。また、大当たり図柄が表示された後に、所定の領域に球を入賞させることを必要条件として遊技者に所定の遊技価値を付与する特別遊技を発生させるパチンコ機として実施しても良い。また、Vゾーン等の特別領域を有する入賞装置を有し、その特別領域に球を入賞させることを必要条件として特別遊技状態となるパチンコ機に実施しても良い。更に、パチンコ機以外にも、アレパチ、雀球などの各種遊技機として実施するようにしても良い。
以下に本発明の遊技機および変形例を示す。なお以下においては、理解の容易のため、本発明の遊技機を構成する要件と、各構成要件に対応する発明の実施の形態の構成との対応を括弧書き等で適宜示すが、この括弧書き等で示した具体的構成に各構成要件が限定されるものではない。
遊技者に視認可能に形成されると共に遊技球が流下して遊技が行われる遊技領域と、その遊技領域内に設けられる第1始動領域(始動入賞口331,332)と、その第1始動領域への遊技球の入球を検出する第1検出手段(始動口スイッチ524a,524b)と、その第1検出手段によって前記第1始動領域への遊技球の入球が検出された場合に抽選を行う第1抽選手段(主制御装置561)と、前記第1検出手段により検出される遊技球の入球に基づいて第1の識別情報の動的表示を行い、その動的表示後に前記第1抽選手段の抽選結果に対応した表示結果を表示する第1表示装置(第1図柄表示装置81)と、その第1表示装置の表示内容を前記第1抽選手段の抽選結果に基づいて制御する第1表示制御手段(主制御装置561および表示制御装置505)と、前記第1抽選手段による所定の抽選結果の導出を条件として第1状態から遊技者にとって有利な第2状態に切り替わることにより遊技者に有利な特別遊技状態を発生させる変動入賞手段(変動入賞装置65)とを備え、前記所定の抽選結果が導出されると、前記動的表示に予め定めた表示結果を現出させると共に前記変動入賞手段によって遊技者に所定の遊技価値を付与する遊技機において、前記第1始動領域の1つを形成する第1入球部(上側の始動入賞口331)と、その第1入球部とは別の位置に設けられて前記第1始動領域の1つを形成するものであって前記第1入球部より多数の遊技球が遊技球の入球に基づいて払い出される第2入球部(下側の始動入賞口332)と、閉状態とその閉状態より前記第2入球部へ遊技球が入球し易い開状態とを切り替える入球切替部材(羽根333)と、前記遊技領域内に前記第1始動領域とは別に設けられる第2始動領域(第2入球口67)と、その第2始動領域への遊技球の入球を検出する第2検出手段(第2入球口スイッチ525)と、その第2検出手段によって前記第2始動領域への遊技球の入球が検出された場合に抽選を行う第2抽選手段(主制御装置561)と、前記第2検出手段により検出される遊技球の入球に基づいて第2の識別情報の動的表示を行い、その動的表示後に前記第2抽選手段の抽選結果に対応した表示結果を表示する第2表示装置(第2図柄表示装置82)と、その第2表示装置の表示内容を前記第2抽選手段の抽選結果に基づいて制御するものであって前記第2抽選手段による所定の抽選結果の導出を条件として前記第2表示装置に特定の表示結果を現出させる第2表示制御手段(主制御装置561および表示制御装置505)と、前記入球切替部材の動作を制御するものであって前記第2抽選手段による所定の抽選結果の導出を条件として前記特定の表示結果が表示されたタイミングに同期して前記入球切替部材を前記閉状態から前記開状態へ所定時間切り替える制御を行う入球切替制御手段(主制御装置561)と、前記第2の識別情報が動的表示を開始してから表示結果が表示されるまでの変動時間に対応した変動パターンをその変動時間の長さが異なる複数の変動パターンより選定する変動選定手段(主制御装置561)と、その変動選定手段によって選定される前記変動パターンの選定比率を前記特別遊技状態の実行期間中とその特別遊技状態の終了後とで切り替えて前記特別遊技状態の終了後には一定期間にわたって前記変動時間の短い短縮変動パターンによる動的表示を行わせる選定比率切替手段(主制御装置561)と、その選定比率切替手段によって前記特別遊技状態の終了後に前記短縮変動パターンによる動的表示が行われる場合に前記特別遊技状態の終了時期から短時間で前記第2の識別情報による動的表示の表示結果が表示されて前記開状態が形成されるように調整する調整手段(主制御装置561)とを備えていることを特徴とする遊技機1。
なお、請求項1記載の遊技機および遊技機1において特別遊技状態とは、大当たり遊技中の状態はもちろん、大当たりとは呼ばない当選であってもその当選に基づいて識別情報の動的表示後に抽選結果に対応した表示結果が表示されて遷移する遊技者にとって有利な遊技状態を含む。また、請求項1記載の遊技機および遊技機1において「・・・特別遊技状態の終了時期から短時間で・・・開状態が形成される」とは、選定比率切替手段によって、特別遊技状態の終了した後に開始される変動パターンの選定比率が特別遊技状態の終了前に開始される変動パターンの選定比率に対して変動時間の短い短縮変動パターンによる動的表示が行われるものに切り替えられる場合に比べて特別遊技状態の終了時期から短時間で第2の識別情報による動的表示の表示結果が表示されて開状態が形成されることをいう。また、請求項1記載の遊技機および遊技機1において「特別遊技状態の終了時期から短時間で・・・動的表示の表示結果が表示されて開状態が形成される」とは、特別遊技状態終了後の最初の動的表示の表示結果が必ずしも特定の表示結果が表示されて開状態が形成される場合に限定されるものでなく、特定の表示結果とは別の表示結果が表示されて1回目の動的表示の表示結果が表示されたタイミングにおいては開状態が形成されず、その後の動的表示の表示結果が表示されたタイミングで開状態が形成される場合も含む。また、「特定の表示結果が表示されたタイミングに同期して・・・開状態へ所定時間切り替える」とは、特定の表示結果が表示されたタイミングに対して一定時間前又は後にずれたタイミングで切り替えても良く、特定の表示結果が表示されたタイミングと同時に切り替えても良い。また、請求項1記載の遊技機および遊技機1において、入球切替部材は、閉状態を形成する場合に第2入球部へ遊技球が入球不能となるように第2入球部の入口を閉鎖する部材としても良く、これにより、通常遊技状態中に払い出される遊技球の数のばらつきを少なくして設計を容易にすると共に、特別遊技状態の発生確率を高く設定することができる。
遊技機1において、前記変動入賞手段は、特定の入賞口(大入賞口65a)が閉鎖された第1状態(閉状態)と、その特定の入賞口が開放された第2状態(開状態)とを形成し得るものであって前記特別遊技状態としてその特定の入賞口を開放してその特定の入賞口へ遊技球が一定期間にわたって入球し易い状態を形成するものであり、前記第1表示制御手段は、1回の前記特別遊技状態の終了として前記特定の入賞口が最終的に閉鎖された後に一定の終了演出時間が経過した後、前記第1の識別情報の動的表示を開始するものであり、前記調整手段は、前記特定の入賞口が最終的に閉鎖される前に前記変動パターンの選定比率を切り替えて前記終了演出時間中に開始される第2の識別情報の動的表示を前記短縮変動パターンによる動的表示とするものであることを特徴とする遊技機2。
遊技機2によれば、調整手段は、特定の入賞口が最後に閉鎖される前に変動パターンの選定比率を切り替えることにより終了演出時間中に開始される第2の識別情報の動的表示を短縮変動パターンによる動的表示とする。このため、終了演出時間中に開始された第2の識別情報による動的表示の表示結果が短時間で表示されるので、特別遊技状態の終了時期から短時間で第2の識別情報による動的表示の表示結果が表示され易く、特別遊技状態の後に開状態が迅速に形成され易くなる。よって、特別遊技状態の終了直後に時短遊技が行われる場合にその時短遊技によって遊技球の減少が抑制された遊技性を遊技者に提供することができる。なお、遊技機2における1回の特別遊技状態としては第1抽選手段による所定の抽選結果の導出に基づいて特定の入賞口が開放を開始してから特定の入賞口が最終的に閉鎖されるまでの期間をいい、第1抽選手段による所定の抽選結果の導出に基づいて複数回にわたって特定の入賞口が開閉される場合には最終的に特定の入賞口が閉鎖されるまでの期間を1回の特別遊技状態とする。
遊技機1または2において、前記変動入賞手段は、特定の入賞口を開放してその特定の入賞口へ遊技球が所定数入球するか又は所定時間が経過するかを1回の特別状態とし、所定の最大開放回数を上限としてその特別状態を複数回にわたって連続させることにより前記特別遊技状態を発生させるものであり、前記調整手段は、前記特別遊技状態の中で前記最大開放回数目若しくは前記最大開放回数に近い所定回数目の特別状態が形成されるタイミング、又は、前記最大開放回数目若しくは前記所定回数目の特別状態中に前記変動パターンの選定比率を切り替えて、その切り替え後から前記特別遊技状態が終了する迄に開始される前記第2の識別情報の動的表示を前記短縮変動パターンによる動的表示とするものであることを特徴とする遊技機3。
遊技機3によれば、変動入賞手段によって特別状態が複数回にわたって連続することにより特別遊技状態が発生するものであり、調整手段は、特別状態の回数の上限である最大開放回数目若しくは最大開放回数に近い所定回数目の特別状態が形成されるタイミング、又は、最大開放回数目若しくはその所定回数目の特別状態中に変動パターンの選定比率を切り替えて、その切り替え後から特別遊技状態が終了する迄に開始される第2の識別情報の動的表示を短縮変動パターンによる動的表示とする。このため、特別状態の途中において変動パターンの選定比率が切り替えられる場合に比較して特別遊技状態中に第2入球部へ遊技球が入球する割合を少なくすることができ、1回の特別遊技状態において払い出される遊技球の総数を一定に近づけることができる。なお、遊技機3における最大開放回数に近い回数目とは、1回から最大開放回数の期間の中間より後半の回数目を意味している。また、遊技機3において、調整手段は、最大開放回数目の特別状態が形成されるタイミング又は最大開放回数目の特別状態中に変動パターンの選定比率を切り替えることが好ましく、1回の特別遊技状態において払い出される遊技球の総数を一定に近づけることができる。
遊技機1において、前記調整手段は、前記特別遊技状態の終了後に前記第1の識別情報の動的表示が最初に開始されるタイミングで実行中となる前記第2の識別情報の動的表示の変動時間を予め定められた変動パターンに基づく変動時間より短縮させるものであることを特徴とする遊技機4。
遊技機4において、前記調整手段は、前記特別遊技状態の終了後に前記第1の識別情報が最初に開始されるタイミングで前記第2の識別情報の動的表示が実行中であってその動的表示の残時間が一定時間以上であるか否かを判定する時間判定手段(図60のS2000の処理)と、その時間判定手段によって前記動的表示の残時間が一定時間以上であると判定された場合に前記第2の識別情報の動的表示の変動時間を予め定められた変動パターンに基づく変動時間より短縮させる変動時間短縮手段(図60のS2001の処理)とを備えていることを特徴とする遊技機5。
遊技機4および遊技機5によれば、特別遊技状態の終了後に第1の識別情報の動的表示が最初に開始されるタイミングで実行中となる第2の識別情報の動的表示の変動時間が、調整手段によって予め定められた変動パターンに基づく変動時間より短縮させられる。このため、特別遊技状態の終了時期から短時間で第2の識別情報による動的表示の表示結果が表示され易く、特別遊技状態の後に開状態が迅速に形成され易くなる。よって、特別遊技状態の終了直後に時短遊技が行われる場合にその時短遊技によって遊技球の減少が抑制された遊技性を遊技者に提供することができる。
遊技機1から5のいずれかにおいて、前記第1入球部は、遊技球の入球に基づいて1球の遊技球が払い出されるものであり、前記第2入球部は、4球以上の遊技球が払い出されるものであることを特徴とする遊技機6。第1入球部は、払出数として最小の1球の遊技球が払い出されるものであるため、第1抽選手段の抽選に基づく特別遊技状態の発生確率をより高く設定することができる。また、第2入球部は、第1入球部の4倍以上に相当する4球以上の遊技球が払い出されるため、特別遊技状態の終了直後に時短遊技が行われる場合にその時短遊技によって遊技球の減少をより確実に抑制することができる。
遊技機1から6のいずれかにおいて、前記遊技領域を一面側に形成する平板状に形成され、遊技機の設置時には略鉛直方向に沿って配設される遊技盤を備え、その遊技盤の一面側に前記第1入球部と前記第2入球部とが形成されると共に前記第1入球部の下側に前記第2入球部が並んで形成されていることを特徴とする遊技機7。
遊技機7によれば、第1入球部と第2入球部とが、上下に並んで配設されるので、遊技者は第1入球部と第2入球部への遊技球の入球の確認を少しの目線の移動で実施することができる。なお、遊技機7において、第1入球部を形成する第1入球部形成部材を備え、第2入球部は、その第1入球部形成部材によって上側の開口部が閉鎖されるものとしても良く、これにより、第1入球部と第2入球部とをより近づけて配置することができ、遊技者の目線の移動量を少なくすることができると共に、遊技盤の一面側における各入球部や他の部材のレイアウトを容易にすることができる。
遊技機7において、前記第1入球部は、常時遊技球が入球可能に開口形成されており、前記入球切替部材は、前記閉状態を形成する場合に前記第2入球部へ遊技球を入球不能にし、前記開状態を形成する場合に限って遊技球を前記第2入球部へ入球可能に形成されていることを特徴とする遊技機8。
遊技機8によれば、第1入球部へは常時遊技球が入球可能に開口形成される一方、第2入球部は入球切替部材が開状態を形成する場合に限って遊技球が入球可能となる。よって、入球切替部材の動作制御によって時短遊技中以外においてはほとんど或いは全く遊技球が第2入球部へ入らないようにすることができ、特別遊技状態の発生確率をより高く設定することができる。
遊技機7又は8において、前記入球切替部材は、前記遊技領域が形成される平面に沿って左右両側に離間して傾斜可能に形成され、前記開状態を形成する場合には前記第2入球部側に向けて下降傾斜するようにして前記第2入球部へ遊技球が入球し易い状態を形成するものであり、前記入球切替部材の上側にはその入球切替部材に向けて鉛直下方に流下中の遊技球を前記入球切替部材の開放方向側に誘導可能に形成され、前記入球切替部材の鉛直上方から流下した遊技球の進路を前記開放方向側にすることにより前記入球切替部材の上方より直接前記入球切替部材に遊技球が当接してその遊技球が前記第2入球部へ入球することを防止する進路変更部材(上側始動口形成部材341の側壁341a)を備えていることを特徴とする遊技機9。
遊技機9によれば、進路変更部材によって、入球切替部材の鉛直上方から流下した遊技球の進路が入球切替部材の開放方向側とされる。このため、遊技球は、側方からのみ開状態の入球切替部材に向かって進行し、開状態の入球切替部材に向かって鉛直下方に進行した遊技球が入球切替部材に当接して第2入球部へ入球することがない。即ち、鉛直下方へ真っ直ぐに遊技球が入球切替部材に当接して第2入球部へ入球する場合に比較してより長く入球切替部材が開状態を形成しなければ遊技球が第2入球部へ入球しなくなる。従って、時短遊技中以外においては、全く遊技球が第2入球部へ入らないようにすることができ、特別遊技状態の発生確率を高く設定しつつ特別遊技状態中に獲得される遊技球の総数を多く設定することができ、この種の遊技性を好む遊技者の嗜好に対応した遊技機を提供することができる。
なお、遊技機9における入球切替部材は、遊技球が入賞不能な閉塞位置と遊技球が入賞可能な開放位置との間で可動可能となるように前記遊技盤の盤面と略直交する軸線を軸心として回動変位するものであっても、遊技盤の盤面に沿ってスライド移動するものであっても良い。また、遊技機9において、入球切替部材の第1入球部側の先端部が閉状態において第1入球部を形成する部材の下端部に当接若しくは略当接又は隣接するように構成されるものとしても良く、これにより、第1入球部と第2入球部とをより近づけて配置することができ、第1始動領域としての第1入球部および第2入球部への遊技球の入球を確認し易くすることができる。更に、第1入球部と第2入球部とが上下に並んで配設される場合には、進路変更部材が第1入球部を形成するものとしても良く、これにより、第1入球部と進路変更部材とを別々の部材で構成する場合に比べて部品構成を簡略化することができる。
また、遊技機9における進路変更部材は、遊技盤の上端側より下端側の方が入球切替部材の開放方向側に突出して形成されているとしても良く、上端側から下端側にかけて傾斜した案内面を有する形状に形成されているとしても良く、上端側から下端側にかけて徐々に傾斜角度が緩やかになるような湾曲形状となっているとしても良い。進路変更部材によって遊技球の進路を第2入球部から離間する側へ確実に変更することができる。
遊技機9において、前記第1入球部は上方に開口形成されており、前記遊技盤面上における前記第1入球部の上側には、当該第1入球部の開口幅と略同一幅に離間して突設された左右一対の第1案内部材(命釘351)と、その第1案内部材の両外方位置において各第1案内部材と遊技球1つが通過可能な間隔を隔てて突設された第2案内部材(ジャンプ釘352)とを備え、前記進路変更部材は、前記第1案内部材と前記第2案内部材との間の隙間に対して鉛直下側に突出して配設されていることを特徴とする遊技機10。進路変更部材が設けられた遊技機では、第2入球部へ向かって落下する遊技球の進路が変更されるため、第2入球部へ案内される遊技球数が多くなりすぎたり、少なくなりすぎるといった不具合が従来より顕著に現れるおそれがある。
遊技機10によれば、第1入球部へ入球しないで第1案内部材と第2案内部材との間を通過した遊技球は進路変更部材に当接し、その後に入球切替部材の開放方向側へと誘導される。このため、進路変更部材の設置に伴い遊技球が第2入球部へ入りにくくなる影響は、第1案内部材と第2案内部材との間を通過した遊技球に限定することができ、他の経路からは第2入球部へ従来通りに遊技球が入球可能に設定することができる。よって、遊技球が第2入球部へ入球する割合の調整を容易にして、特別遊技状態の発生確率と各始動領域への入球に対する遊技球の払出数とのバランスを遊技機メーカーが意図するものに維持しやすくすることができる。なお、遊技機10において、第2案内部材と進路変更部材とは、第2案内部材(ジャンプ釘352)と進路変更部材との間の水平方向の隙間(隙間GP2)が遊技球の直径より小さくなるように配設されていることが好ましい。第1案内部材と第2案内部材との間を通過して鉛直下方に進行する遊技球を進路変更部材に確実に当接させることができる。
遊技機7から10のいずれかにおいて、前記遊技盤面には、前記第2入球部に向けて遊技球を誘導可能であって前記開状態における前記入球切替部材の先端部に向かって列状に並んで突設された複数の案内部材(規制釘353)を備え、その複数の案内部材のうち前記開状態における前記入球切替部材の先端部に最も近接して配設された案内部材は、その入球切替部材の先端部と遊技球の直径以上に離間した位置に配設されていることを特徴とする遊技機11。
遊技機11によれば、開状態における入球切替部材の先端部へ複数の案内部材によって遊技球を誘導することができ、遊技球が誘導されすぎる場合には入球切替部材の先端部と案内部材との隙間から落下させて調整することができる。よって、第2入球部へ遊技球が入球する確率を遊技機メーカーが意図するものに設定しやすくすることができる。
遊技機7から11のいずれかにおいて、前記第1表示装置は、前記遊技盤面における前記第1入球部の上側に設けられ、前記第1表示装置と前記第1入球部との間には遊技球が転動可能なステージ部材(ステージ361)が設けられ、そのステージ部材には、遊技球を前記第1入球部へ向けて導出する導出部が設けられていることを特徴とする遊技機12。
遊技機12によれば、導出部を経由した後に第1入球部へ入球する遊技球は、ステージ部材上を転動した後に第1入球部へ入球する。このため、ステージ部材上へ案内される遊技球が多くなるほど、ステージ部材上の遊技球が導出部を経由して第1入球部へ入球する。よって、遊技機メーカーや遊技場では、ステージ部材上へ遊技球が案内される割合を調整することにより、第1入球部の入球確率を簡易に調整することができる。
遊技機1から12のいずれかにおいて、前記遊技機はパチンコ機であることを特徴とする遊技機13。中でも、パチンコ機の基本構成としては操作ハンドルを備え、その操作ハンドルの操作に応じて遊技球を遊技領域へ発射し、遊技球が遊技領域内の所定の位置に配設された始動領域に入球(始動口へ入賞又は始動ゲートを通過)することを必要条件として、表示装置において動的表示されている識別情報が所定時間後に確定停止されるものが挙げられる。また、所定の遊技価値の付与時には、変動入賞手段として遊技領域内の所定の位置に配設された変動入賞装置が特定入賞口を開放して遊技球を入賞可能とし、その入賞個数に応じた有価価値(景品球のみならず、磁気カードへ書き込まれるデータ等も含む)が付与されるものが挙げられる。