しかしながら、従来の試験方法は、単に光伝送路の異常を発見するためのものであるため、品質が劣化した無線信号の送信を停止することはできない。したがって、光伝送路の異常が発見されてから、システムが停止されるまで、中継装置からは、品質が劣化した無線信号が送信され続けてしまうこととなる。その場合、他の機器が、品質が劣化した無線信号に影響を受けてしまう恐れがある。
また、光伝送路に異常が発生していなくとも、制御装置や中継装置内の回路の異常によって、光信号または電気信号にノイズが混入してしまう場合がある。この場合においても、中継装置から送信される無線信号の品質が劣化してしまい、無線信号の品質が電波法に定められた条件を満たすことができなくなってしまう恐れがある。しかしながら、従来の試験方法は、光伝送路の異常を検出するためのものであるため、他の要因による無線信号の品質の低下を検出することができない。
それゆえに、本発明の目的は、品質が劣化した無線信号の送信を停止することができる無線通信システムを提供することである。
本発明は、光伝送路を介して接続されている制御装置から送信される光信号を中継装置が電気信号に変換し、無線信号として無線通信端末に送信する無線通信システムであって、制御装置は、下り電気信号を下り光信号に変換し、光伝送路を介して中継装置に送信する第1の光送信部を含み、中継装置は、光伝送路を介して制御装置から送信されてくる下り光信号を下り電気信号に変換する第1の光受信部と、第1の光受信部によって変換された下り電気信号を無線信号として無線通信端末に送信するアンテナ部とを含み、光伝送路における伝送品質を評価し、当該伝送品質が所定の条件を満たしているか否かを判断する品質評価手段と、品質評価手段によって、伝送品質が所定の条件を満たしていないと判断された場合、無線信号の送信を停止する信号送信停止手段とを備える。
これにより、光伝送路における伝送品質が低下した場合、無線信号の送信を停止することができる。したがって、例えば、電波法等において規定されている公的な条件を満たさない無線信号が送信されることがない。よって、他の通信機器や電気機器に悪影響を及ぼさないようにすることができる。
例えば、品質評価手段および信号送信停止手段は、中継装置に設けられ、品質評価手段は、下り光信号の品質を評価し、当該下り光信号の品質が所定の条件を満たしているか否かを判断し、信号送信停止手段は、品質評価手段によって、下り光信号の品質が所定の条件を満たしていないと判断された場合、無線信号の送信を停止する。
これにより、中継装置は、制御装置から受信した下り光信号の品質が低下した場合、無線信号の送信を停止することができる。したがって、品質が劣化した無線信号が送信されることがない。
一例として、品質評価手段は、中継装置が受信する下り光信号のパワーを検出し、パワーが所定値以下であるか否かを判断する受光パワー検出部であり、信号送信停止手段は、受光パワー検出部によって、下り光信号のパワーが所定値以下であると判断された場合、無線信号の送信を停止する。
これによれば、中継装置は、制御装置から送信されてきた下り光信号のパワーが低下すると、無線信号の送信を停止する。例えば、光伝送路に異常が発生した場合、信号の伝送損失が増加する。信号の伝送損失が増加すると、下り光信号のパワーが低下する。したがって、中継装置は、下り光信号のパワーを検出することによって、信号の伝送損失を評価することができる。
また、品質評価手段および信号送信停止手段は、中継装置に設けられ、品質評価手段は、下り電気信号の品質を評価し、当該下り電気信号の品質が所定の条件を満たしているか否かを判断し、信号送信停止手段は、品質評価手段によって、下り電気信号の品質が所定の条件を満たしていないと判断された場合、無線信号の送信を停止してもよい。
これにより、中継装置は、下り電気信号の品質が低下した場合、無線信号の送信を停止することができる。したがって、品質が劣化した無線信号が送信されることがない。
他の例として、品質評価手段は、第1の光受信部によって変換された下り電気信号から、アンテナ部から送信すべき無線信号の周波数帯域成分のレベルを検出する無線信号レベル検出部と、第1の光受信部によって変換された下り電気信号から、アンテナ部から送信すべき無線信号の周波数帯域外成分のレベルを検出する不要輻射レベル検出部と、無線信号レベル検出部によって検出された周波数帯域成分のレベルに対する、不要輻射レベル検出部によって検出された周波数帯域外成分のレベルが一定レベル以上であるか否かを判断するレベル判定部とからなり、信号送信停止手段は、レベル判定部によって、周波数帯域成分のレベルに対する周波数帯域外成分のレベルが一定レベル以上であると判断された場合、無線信号の送信を停止する。
これにより、中継装置は、周波数帯域外成分のレベルが大きい無線信号の送信を停止することができる。無線信号に含まれる周波数帯域外成分のレベルが大きい場合、当該周波数帯域外成分と同一の周波数帯域を利用して通信する通信機器に悪影響を及ぼす恐れがある。また、特定の周波数のレベルを検出すればよいため、無線通信システムの構成を簡易化することができる。
他の例として、制御装置は、さらに、異なる周波数の2つの試験信号を生成する試験信号生成部を含み、第1の光送信部は、試験信号生成部によって生成された試験信号を重畳した下り電気信号を下り光信号に変換し、品質評価手段は、第1の光受信部によって変換された下り電気信号に重畳されている試験信号の周波数帯域成分のレベルを検出する試験信号レベル検出部と、第1の光受信部によって変換された下り電気信号に重畳されている試験信号の相互変調ひずみのレベルを検出するひずみレベル検出部と、試験信号レベル検出部によって検出された周波数帯域成分のレベルに対する、ひずみレベル検出部によって検出された相互変調ひずみのレベルが一定レベル以上であるか否かを判断するレベル判定部とからなり、信号送信停止手段は、レベル判定部によって、試験信号の周波数帯域成分のレベルに対する相互変調ひずみのレベルが一定レベル以上であると判断された場合、無線信号の送信を停止する。
これにより、中継装置は、相互変調ひずみが増大し、品質が劣化した無線信号の送出を停止することができる。また、特定の周波数のレベルを検出すればよいため、無線通信システムの構成を簡易化することができる。
他の例として、制御装置は、さらに、試験信号を生成する試験信号生成部を含み、第1の光送信部は、試験信号生成部によって生成された試験信号を重畳した下り電気信号を下り光信号に変換し、品質評価手段は、第1の光受信部によって変換された下り電気信号に重畳されている試験信号の周波数帯域成分のレベルを検出する試験信号レベル検出部と、第1の光受信部によって変換された下り電気信号に重畳されている試験信号の高調波ひずみのレベルを検出するひずみレベル検出部と、試験信号レベル検出部によって検出された周波数帯域成分のレベルに対する、ひずみレベル検出部によって検出された高調波ひずみのレベルが一定レベル以上であるか否かを判断するレベル判定部とを有し、信号送信停止手段は、レベル判定部によって、試験信号の周波数帯域成分のレベルに対する高調波ひずみのレベルが一定レベル以上であると判断された場合、無線信号の送信を停止する。
これにより、中継装置は、高調波ひずみが増大し、品質が劣化した無線信号の送出を停止することができる。また、特定の周波数のレベルを検出すればよいため、無線通信システムの構成を簡易化することができる。
また、アンテナ部は、無線通信端末から送信されてきた無線信号を受信して上り電気信号とし、中継装置は、さらに、アンテナ部によって受信された上り電気信号を上り光信号に変換し、光伝送路を介して制御装置に送信する第2の光送信部を含み、制御装置は、さらに、光伝送路を介して中継装置から送信されてくる上り光信号を上り電気信号に変換する第2の光受信部を含み、品質評価手段および信号送信停止手段は、中継装置に設けられ、品質評価手段は、上り光信号の品質を評価し、当該上り光信号の品質が所定の条件を満たしているか否かを判断し、信号送信停止手段は、品質評価手段によって、上り光信号の品質が所定の条件を満たしていないと判断された場合、無線信号の送信を停止してもよい。
これにより、中継装置は、上り光信号の品質が低下した場合、無線信号の送信を停止することができる。したがって、品質が劣化した無線信号が送信されることがない。
一例として、品質評価手段は、第2の光送信部によって変換された上り光信号と、当該光伝送路から反射される反射光とを分岐する光カプラ部と、光カプラ部によって分岐された反射光のパワーを検出し、当該反射光のパワーが一定値以上であるか否かを判断する光パワー検出部とからなり、信号送信停止手段は、光パワー検出部によって、反射光のパワーが一定値以上であると判断された場合、無線信号の送信を停止する。
これにより、例えば、制御装置と中継装置とを接続する光伝送路に異常が発生することによって光反射が増大した場合に、中継装置は、無線信号の送信を停止することができる。これにより、異常が発生した光伝送路を介して制御装置から送信されてきた、品質が劣化した信号が無線信号に変換して送出されることがない。また、光伝送路からの反射光を検出すればよいため、無線通信システムの構成を簡易化することができる。
また、品質評価手段および信号送信停止手段は、制御装置に設けられ、品質評価手段は、下り光信号の品質を評価し、当該下り光信号の品質が所定の条件を満たしているか否かを判断し、信号送信停止手段は、品質評価手段によって、下り光信号の品質が所定の条件を満たしていないと判断された場合、当該下り光信号の送信を停止することによって、中継装置からの無線信号の送信を停止させてもよい。
これによれば、制御装置は、下り光信号の品質が低下した場合、下り光信号の送信を停止する。これにより、制御装置から下り光信号の送信が停止されるため、中継装置からの品質が低下した無線信号の送信を停止することができる。
一例として、品質評価手段は、第1の光送信部によって変換された下り光信号と、当該光伝送路から反射される反射光とを分岐する光カプラ部と、光カプラ部によって分岐された反射光のパワーを検出し、当該反射光のパワーが一定値以上であるか否かを判断する光パワー検出部とからなり、信号送信停止手段は、光パワー検出部によって、反射光のパワーが一定値以上であると判断された場合、下り光信号の送信を停止する。
これにより、例えば、制御装置と中継装置とを接続する光伝送路に異常が発生することによって光反射が増大した場合に、制御装置は、下り光信号の送信を停止することによって、無線信号の送信を停止することができる。したがって、品質が劣化した無線信号が中継装置から送信されることがない。また、光伝送路からの反射光を検出すればよいため、無線通信システムの構成を簡易化することができる。
また、アンテナ部は、無線通信端末から送信されてきた無線信号を受信して上り電気信号とし、中継装置は、さらに、アンテナ部によって受信された上り電気信号を上り光信号に変換し、光伝送路を介して制御装置に送信する第2の光送信部を含み、制御装置は、さらに、光伝送路を介して中継装置から送信されてくる上り光信号を上り電気信号に変換する第2の光受信部を含み、品質評価手段および信号送信停止手段は、制御装置に設けられ、品質評価手段は、上り光信号の品質を評価し、信号送信停止手段は、品質評価手段によって、上り光信号の品質が所定の条件を満たさないと判断された場合、下り光信号の送信を停止することによって、中継装置からの無線信号の送信を停止させてもよい。
これによれば、例えば、光伝送路に異常が発生し、上り光信号の品質が劣化した際に、制御装置は、下り光信号の送信を停止する。これにより、異常が発生した光伝送路を伝送することで品質が劣化した下り光信号が、中継装置から無線信号として送信されることを防止することができる。
一例として、品質評価手段は、制御装置が受信する上り光信号のパワーを検出し、当該上り光信号のパワーが所定値以下であるか否かを判断する制御装置に設けられた受光パワー検出部であり、信号送信停止手段は、受光パワー検出部によって、上り光信号のパワーが所定値以下であると判断された場合、下り光信号の送信を停止する。
これにより、制御装置において受光パワーが低下した場合に、下り光信号の送信を停止することができる。また、制御装置は、受光パワーを検出する機能を有していればよいため、無線通信システムの構成を簡易化することができる。
また、アンテナ部は、無線通信端末から送信されてきた無線信号を受信して上り電気信号とし、中継装置は、さらに、アンテナ部によって受信された上り電気信号を上り光信号に変換し、光伝送路を介して制御装置に送信する第2の光送信部を含み、制御装置は、さらに、光伝送路を介して中継装置から送信されてくる上り光信号を上り電気信号に変換する第2の光受信部を含み、品質評価手段および信号送信停止手段は、制御装置に設けられ、品質評価手段は、上り電気信号の品質を評価し、信号送信停止手段は、品質評価手段によって、上り電気信号の品質が所定の条件を満たさないと判断された場合、下り光信号の送信を停止することによって、中継装置からの無線信号の送信を停止させてもよい。
これにより、信号の品質が低下し、制御装置が信号を正常に復調することができない場合、下り光信号の送信を停止することによって、中継装置から品質が低下した無線信号を送信することを防止することができる。
一例として、品質評価手段は、第2の光受信部によって変換された上り電気信号から、無線通信端末から受信すべき無線信号の周波数帯域成分のレベルを検出する信号レベル検出部と、第2の光受信部によって変換された上り電気信号から、無線通信端末から受信すべき無線信号の周波数帯域外成分のレベルを検出する不要輻射レベル検出部と、信号レベル検出部によって検出された周波数帯域成分のレベルに対する、不要輻射レベル検出部によって検出された周波数帯域外成分のレベルが一定レベル以上であるか否かを判断するレベル判定部とからなり、信号送信停止手段は、レベル判定部によって、周波数帯域成分のレベルに対する周波数帯域外成分のレベルが一定レベル以上であると判断された場合、下り光信号の送信を停止する。
これにより、制御装置は、規定レベル以上の帯域外周波数成分を含む無線信号の送信を停止することができる。
他の例として、中継装置は、さらに、異なる周波数の2つの試験信号を生成する試験信号生成部を含み、第2の光送信部は、試験信号生成部によって生成された試験信号を重畳した上り電気信号を上り光信号に変換し、品質評価手段は、第2の光受信部によって変換された上り電気信号に重畳されている試験信号の周波数帯域成分のレベルを検出する試験信号レベル検出部と、第2の光受信部によって変換された上り電気信号に重畳されている試験信号の相互変調ひずみのレベルを検出するひずみレベル検出部と、試験信号レベル検出部によって検出された周波数帯域のレベルに対する、ひずみレベル検出部によって検出された相互変調ひずみのレベルが一定レベル以上であるか否かを判断するレベル判定部とからなり、信号送信停止手段は、レベル判定部によって、試験信号の周波数帯域成分のレベルに対する相互変調ひずみのレベルが一定レベル以上であると判断された場合、下り光信号の送信を停止する。
これにより、制御装置は、相互変調ひずみが増大し、品質が劣化した無線信号の送出を停止することができる。また、特定の周波数のレベルを検出すればよいため、無線通信システムの構成を簡易化することができる。
他の例として、中継装置装置は、さらに、試験信号を生成する試験信号生成部を有し、第2の光送信部は、試験信号生成部によって生成された試験信号を重畳した上り電気信号を上り光信号に変換し、品質評価手段は、第2の光受信部によって変換された上り電気信号に重畳されている試験信号の周波数帯域成分のレベルを検出する試験信号レベル検出部と、第2の光受信部によって変換された上り電気信号に重畳されている試験信号の高調波ひずみのレベルを検出するひずみレベル検出部と、試験信号レベル検出部によって検出された周波数帯域成分のレベルに対する、ひずみレベル検出部によって検出された高調波ひずみのレベルが一定レベル以上であるか否かを判断するレベル判定部とを有し、信号送信停止手段は、レベル判定部によって、試験信号の周波数帯域成分のレベルに対する高調波ひずみのレベルが一定レベル以上であると判断された場合、下り光信号の送信を停止する。
これにより、制御装置は、高調波ひずみが増大し、品質が劣化した無線信号の送出を停止することができる。また、特定の周波数のレベルを検出すればよいため、無線通信システムの構成を簡易化することができる。
また、無線信号は、無線LANで用いられる信号であってもよく、また、放送波の信号であってもよい。
好ましくは、光伝送路を接続するための光コネクタは、すべて斜め研磨コネクタであるとよい。これにより、他の光コネクタを用いる場合に比べ、光コネクタが緩んだ状態となった場合においても、発光素子への光反射や多重反射を防止することができる。したがって、光信号の品質の劣化を防止することができる。
本発明によれば、品質が劣化した無線信号の送信を停止することができる無線通信システムが提供されることとなる。
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態に係る無線通信システムの構成を示すブロック図である。
図1において、無線通信システムは、制御装置10と、中継装置20−1〜20−n(n:1以上の自然数)と、無線通信端末30−1〜30−nとを備える。制御装置10と、中継装置20−1〜20−nとは、それぞれ光伝送路40−1〜40−nを介して接続されている。また、中継装置20−1〜20−nと、無線通信端末30−1〜30−nとは、それぞれ無線を介して接続されている。光伝送路は、例えば、光ファイバである。
制御装置10と外部のネットワーク(図示せず)とは、イーサネット(登録商標)ケーブル60を介して接続される。なお、制御装置10と外部ネットワークとは、イーサネット(登録商標)ケーブル60以外のケーブル(例えば、電話線、同軸ケーブル、光ファイバ)を介して接続されてもよい。
以下、特に区別する必要がない場合、中継装置20−1〜20−n(n:1以上の自然数)、無線通信端末30−1〜30−m(m:1以上の自然数)、光伝送路40−1〜40−nを、中継装置20、無線通信端末30、光伝送路40と総称する。
中継装置20は、無線通信端末30が送信する無線信号を上り光信号に変換し、光伝送路40を介して制御装置10に送信する。制御装置10は、光伝送路40を介して中継装置20から送信されてくる上り光信号を上り電気信号に変換し、復調した後、イーサネット(登録商標)ケーブル60を介して外部ネットワークに送信する。
一方、制御装置10は、無線通信端末30−1〜30−mに送信すべき信号を下り光信号に変換し、光伝送路40−1〜40−nを介して中継装置20−1〜20−nに送信する。中継装置20−1〜20−nは、受信した下り光信号を無線信号に変換し、無線通信端末30−1〜30−mに送信する。
図2は、図1に示す制御装置10の詳細な構成を示すブロック図である。図2において、制御装置10は、送信信号処理部101と、光送信部102と、光分配部103と、光受信部104―1〜104―nと、受信信号処理部105とを含む。
送信信号処理部101は、イーサネット(登録商標)ケーブル60を介して外部ネットワークから送信されてきた信号を変調し、光送信部102に出力する。
光送信部102は、送信信号処理部101によって変調された信号を下り光信号に変換し、光分配部103に出力する。
光分配部103は、光送信部102によって変換された光信号を、n個の下り光信号に分岐し、光伝送路40−1〜40−nに送出する。
光受信部104―1〜104―nは、光伝送路40−1〜40−nを介して各中継装置20−1〜20−nから送信されてきた上り光信号を受信すると、受信した上り光信号を電気信号に変換する。
受信信号処理部105は、光受信部104―1〜104―nによって変換された電気信号を復調する。そして、受信信号処理部105は、復調した信号をイーサネット(登録商標)ケーブル60を介して外部ネットワークに送信する。なお、受信信号処理部105は、信号の復調以外の信号処理を行ってもよい。当該信号処理は、例えば、単純な加算、ダイバシティ受信、RAKE受信、振幅調整、信号選択等である。
図3は、図1に示す無線通信システムが備える中継装置20の構成を示すブロック図である。図3において、中継装置20は、光受信部201と、無線送信部202と、分離部203と、送受信アンテナ部204と、無線受信部205と、光送信部206と、品質評価部290とを含む。
光受信部201は、光伝送路40を介して制御装置10から送信されてくる下り光信号を受信すると、受信した下り光信号を下り電気信号に変換し、無線送信部202に出力する。
無線送信部202は、光受信部201によって変換された下り電気信号に増幅等の処理を行い、分離部203に出力する。
分離部203は、無線送信部202から出力される下り電気信号を送受信アンテナ部204に出力する。また、分離部203は、送受信アンテナ部204が受信した電気信号を無線受信部205に出力する。
無線受信部205は、分離部203から出力される上り電気信号に増幅等の処理を行い、光送信部206に出力する。
光送信部206は、無線受信部205から出力される上り電気信号を上り光信号に変換し、後述する光カプラ部207に出力する。
送受信アンテナ部204は、分離部203から出力される下り電気信号を無線信号として空中に送出する。また、送受信アンテナ部204は、無線通信端末30から送信されてきた無線信号を受信する。
品質評価部290は、光カプラ部207と、光パワー検出部208と、パワー制御部209とを有する。
光カプラ部207は、光送信部206によって変換された上り光信号を光伝送路40に送出する。また、光カプラ部207は、光伝送路40から反射される反射光を光パワー検出部208に出力する。
光パワー検出部208は、光カプラ部207から出力される反射光のレベルを検出し、反射光のレベルが所定値以上であるか否かを判断する。光伝送路40に異常が発生した場合、光伝送路40に光信号を出射した際の反射光のレベルが増大する。反射光のレベルが所定値以上である場合、光パワー検出部208は、光伝送路に異常が発生したと判断する。その場合、光パワー検出部208は、無線信号電波の送出を停止するよう、パワー制御部209に指示する。
パワー制御部209は、無線送信部202を制御して、無線通信端末への無線信号電波の送出を停止する。具体的には、パワー制御部209は、無線送信部202の電源をOFFにするか、または、無線送信部202における信号の経路のスイッチ(図示せず)をOFFにする。
光伝送路40に異常が発生し、光信号の伝送品質が低下すると、無線信号に品質も、電波法に定められているスプリアス発射電力や帯域外輻射電力等の項目について、規定の条件を満たすことができなくなる。スプリアス発射電力、および帯域外輻射電力とは、必要な周波数帯域外における不要波の発射電力をいう。これらが発射されると、他の通信機器を妨害してしまう恐れがあるため、不要波の発射電力は、できるだけ小さいことが望ましい。また、スプリアス発射電力、および帯域外輻射電力の許容値は、電波法において、周波数帯ごとに規定されている。中継装置20は、上り光信号の伝送品質が低下した場合に、無線信号の送信を停止する。
以上のように、本実施形態によれば、光伝送路に異常が発生した場合に、中継装置からの無線信号の送信を停止することができる。したがって、公的な条件を満たさない無線信号が送信されることがない。また、中継装置において、反射光のレベルを検出するだけでよいため、システムの構成を簡易なものとすることができる。
なお、光伝送路が、2芯の光ファイバからなる場合においても、光ファイバの障害は、同じケーブル内に光ファイバに同じように影響することが多い。したがって、本方法は有効である。また、一芯双方向伝送の場合は、片方向だけに影響する可能性は極めて小さいため、本方法は有効である。
次に、第1の実施形態の変形例について説明する。本変形例に係る無線通信システムにおいて、中継装置20aは、制御装置10から受信した下り光信号の品質を評価する。
図4は、本変形例に係る無線通信システムが備える中継装置20aの構成を示すブロック図である。図4において、中継装置20aは、光受信部201と、無線送信部202と、分離部203と、送受信アンテナ部204と、無線受信部205と、光送信部206aと、品質評価部290aとを含む。なお、図3と同様の構成要素には、同一の符号を付し、説明を省略する。
品質評価部290aは、パワー制御部209と、受光パワー検出部210とを有する。
受光パワー検出部210は、光受信部201が受信した下り光信号のパワーを検出し、下り光信号のパワーが所定値以上であるか否かを判断する。下り光信号のパワーが所定値未満となった場合、受光パワー検出部210は、無線信号の送信を停止するよう、パワー制御部209に指示する。
パワー制御部209は、受光パワー検出部210からの指示に応じて、無線信号の出力を停止させる。具体的には、パワー制御部209は、無線送信部202の電源をOFFにすることによって、無線信号の出力を停止させる。なお、パワー制御部209は、無線送信部202の経路をスイッチによってOFFとすることで、無線信号の出力を停止させてもよい。
光伝送路40に異常が発生した場合、一般的には、光信号の伝送品質が劣化する。したがって、光伝送路の異常を監視することによって、間接的に伝送品質の劣化を検出することができる。伝送路に異常が発生し、伝送損失が増加すると、受光パワー検出部210が検出する光信号のパワーが低下する。したがって、中継装置において、受信する下り光信号のパワーを監視することによって、光信号の伝送品質を評価することができる。
以上のように、本変形例によれば、光伝送路に異常が発生した場合に、中継装置からの無線信号の送信を停止することができる。したがって、公的な条件を満たさない無線信号が送信されることがない。また、本変形例において、中継装置は、光伝送路を介して制御装置から送信されてくる光信号のレベルを検出する機能を有していればよく、スプリアス発射電力や帯域外輻射電力を測定するための複雑な検出回路を設ける必要がない。
(第2の実施形態)
以下、本発明の第2の実施形態に係る無線通信システムについて説明する。本実施形態に係る無線通信システムにおいて、中継装置は、下り電気信号の品質を評価する。
図5は、本実施形態に係る無線通信システムが備える中継装置20bの構成を示すブロック図である。図5において、中継装置20bは、光受信部201と、無線送信部202bと、分離部203と、送受信アンテナ部204と、無線受信部205と、光送信部206bと、品質評価部290bとを含む。なお、図3と同様の構成要素には、同一の符号を付し、その説明を省略する。
無線送信部202bは、光受信部201によって変換された下り電気信号に増幅等の処理を行った後、分離部203と、後述する電気信号評価部211とに出力する。
品質評価部290bは、パワー制御部209と、電気信号評価部211とを有する。
電気信号評価部211は、無線送信部202bから出力される下り電気信号の品質を評価する。
図6は、電気信号評価部211の詳細な構成を示すブロック図である。図6において、電気信号評価部211は、バンドパスフィルタ−s(以下、BPF−sと呼ぶ)251と、バンドパスフィルタ(以下、BPFと呼ぶ)252−1〜252−nと、レベル検出部253−1〜253−n+1と、レベル判定部254とからなる。
BPF−s251,BPF252−1〜252−nは、スペクトラムマスクに応じた周波数を通過させる。BPF−s251は、本来送信すべき周波数帯域の無線信号を通過させ、当該無線信号の帯域外周波数を除去する。BPF−s251は、通過させた信号の周波数成分をレベル検出部253―1に出力する。レベル検出部253−1は、BPF−s251から出力される信号のレベルを検出し、レベル判定部254に出力する。
BPF252−1〜252−nは、無線信号の帯域外周波数成分を通過させ、レベル検出部253−2〜253−n+1に出力する。なお、BPF252−1〜252−nは、それぞれ異なる周波数を通過させる。
レベル判定部254は、レベル検出部253−1によって検出された周波数のレベルに対して、レベル検出部253−2〜253−n+1によって検出された帯域外周波数のレベルが一定レベル以上であるか否かを判断する。無線信号の品質が低下すると、無線信号の帯域外周波数のレベル、つまり、不要輻射電力のレベルが増加する。無線信号のレベルに対する不要輻射電力のレベルが一定レベル以上になった場合、レベル判定部254は、無線信号の送信を停止するようパワー制御部209に指示する。
パワー制御部209は、電気信号評価部211からの指示に応じて、無線信号の出力を停止させる。パワー制御部209の具体的な動作は、図4に示すパワー制御部209と同様であるため、説明を省略する。
以上のように、本実施形態において、中継装置は、無線信号のレベルに対する不要輻射電力のレベルが一定レベル以上となり、無線信号の品質が公的な条件を満たすことができなくなったと判断した場合、無線信号の送信を停止する。したがって、公的な条件を満たさない無線信号が送信されることがない。
次に、第2の実施形態の変形例について説明する。本変形例に係る無線通信システムにおいて、制御装置は、試験信号を重畳した下り電気信号を下り光信号に変換して中継装置に送信する。中継装置は、制御装置から受信した試験信号の品質を評価する。
具体的には、中継装置は、試験信号の相互変調ひずみを評価する。相互変調ひずみとは、複数の異なる周波数の信号が、制御装置において下り光信号に変換される際に発生する信号をいう。相互変調ひずみは、発光素子のIL特性に非直線性があるために発生する。一般的に、異なる2波の信号が発光素子や増幅器等に入力されると、それぞれの基本波の周波数以外に、高調波成分や、2つの基本波の周波数の和および差、基本波の周波数と高調波の周波数との和および差、2つの高調波の周波数の和および差などの成分が現れる。このように、複数の周波数の相互関係から生じる周波数成分(高調波以外の成分)を相互変調ひずみと呼ぶ。例えば、周波数aと、周波数bの2波が発光素子や増幅器等に入力された場合、相互変調ひずみとして、周波数2a−bなどが発生する。周波数2a−bは、主信号の周波数に接近するため、主信号を妨害する恐れがある。
図7は、本変形例に係る無線通信システムが備える制御装置10aの構成を示すブロック図である。図7において、制御装置10aは、送信信号処理部101と、光送信部102aと、光分配部103と、光受信部104−1〜104−nと、受信信号処理部105と、試験信号送信部106とを含む。なお、図2と同様の構成要素には、同一の符号を付し、説明を省略する。
試験信号送信部106は、下り電気信号に重畳させるための試験信号を生成し、光送信部102aに出力する。試験信号送信部106は、発振器SG−aと、発振器SG−bとを有する。
発振器SG−aは、試験信号aを生成し、光送信部102aに出力する。試験信号aの周波数をaとする。発振器SG−bは、試験信号bを生成し、光送信部102aに出力する。試験信号bの周波数をbとする。
光送信部102aは、送信信号処理部101から出力される下り電気信号に、試験信号送信部106から出力される試験信号a,bを重畳させて下り光信号に変換する。
次に、制御装置10aから送信されてくる試験信号を評価する中継装置について説明する。本変形例に係る中継装置の構成は、図5に示す中継装置20bの構成と比較すると、電気信号評価部の構成以外は同様であるため、図5を援用し、電気信号評価部についてのみ説明する。また、本変形例に係る中継装置が含む電気信号評価部を図5に示す電信号評価部と区別するために、本変形例に係る中継装置が含む電気信号評価部を電気信号評価部211eと呼ぶ。
図8は、電気信号評価部211eの詳細な構成を示すブロック図である。図8において
、電気信号評価部211eは、バンドパスフィルタ−a(以下、BPF−aと呼ぶ)255と、バンドパスフィルタ−(2a−b)(以下、BPF−(2a−b)と呼ぶ)256と、レベル検出部253−1〜253−2と、レベル判定部254とからなる。
BPF−a255は、周波数aの試験信号aを通過させて、試験信号aの帯域外周波数を除去する。そして、BPF−a255は、通過させた試験信号aをレベル検出部253―1に出力する。レベル検出部253−1は、試験信号aのレベルを検出し、レベル判定部254に出力する。
BPF−(2a−b)256は、相互変調ひずみの周波数(2a−b)を通過させ、レベル検出部253−2に出力する。
レベル判定部254は、レベル検出部253−1によって検出された試験信号aのレベルに対して、レベル検出部253−2によって検出された相互変調ひずみのレベルが一定レベル以上であるか否かを判断する。試験信号aのレベルに対する相互変調ひずみのレベルが一定レベル以上になった場合、レベル判定部254は、無線信号の送信を停止するようパワー制御部209に指示する。
パワー制御部209は、電気信号評価部211からの指示に応じて、無線信号の出力を停止させる。パワー制御部209の具体的な動作は、図4に示すパワー制御部209と同様であるため、説明を省略する。
以上のように、本変形例によれば、中継装置は、制御装置から送信されてくる試験信号の相互変調ひずみを評価し、試験信号のレベルに対する相互変調ひずみのレベルが一定レベル以上となった場合、無線信号の送信を停止する。これにより、品質が劣化した無線信号を送信することを防止することができる。
一般的に、スプリアス発射電力や帯域外輻射電力等を直接測定することは困難であり、これらを測定するためのコストも高い。しかしながら、本変形例によれば、試験用信号の相互変調ひずみを測定すればよい。相互変調ひずみを測定するためには、例えば、予め設定した周波数だけを観測すればよいため、簡易な回路で実現できるというメリットがある。
なお、上記変形例においては、試験信号の相互変調ひずみを測定する方法について説明したが、相互変調ひずみの代わりに、試験信号の高調波ひずみを測定することによって、伝送品質を評価することとしてもよい。
高調波とは、基本周波数の整数倍の周波数をもつ成分をいう。例えば、周波数aの信号aを非直線回路に入力すると、ひずみが発生し、周波数2aや周波数3aの高調波が周波数aと共に出力される。信号の伝送品質が低下すると、これらの高調波のレベルが上昇する。したがって、高調波ひずみを測定することによって、伝送品質を評価することもできる。
その場合、制御装置から中継装置に送信される試験信号は、1種類でよいため、図7に示す試験信号送信部106は、発振器SG−aのみを有していればよい。これにより、中継装置には、試験信号aが重畳された下り光信号が送信されることとなる。中継装置において、図8に示す電気信号評価部211eは、BPF−(2a−b)の代わりに、周波数2aを通過させるバンドパスフィルタ−2aを有していればよい。
以下、高調波ひずみを検出するための電気信号評価部について説明する。高調波ひずみを検出する中継装置が含む電気信号評価部を図5に示す電信号評価部と区別するために、高調波ひずみを検出する中継装置が含む電気信号評価部を電気信号評価部211fと呼ぶ。
図9は、電気信号評価部211fの構成を示すブロック図である。高調波ひずみを検出する場合、図5に示す中継装置20bは、電気信号評価部211の代わりに、図9に示す電気信号評価部211fを含む。図9において、電気信号評価部211fは、バンドパスフィルタ−a(以下、BPF−aと呼ぶ)255と、バンドパスフィルタ−2a(以下、BPF−2aと呼ぶ)257と、レベル検出部253−1〜253−2と、レベル判定部254とからなる。
BPF−a255は、周波数aの試験信号aを通過させて、試験信号aの帯域外周波数を除去する。そして、BPF−a255は、通過させた試験信号aをレベル検出部253―1に出力する。レベル検出部253−1は、試験信号aのレベルを検出し、レベル判定部254に出力する。
BPF−2a257は、高調波ひずみの周波数2aを通過させ、レベル検出部253−2に出力する。
レベル判定部254は、レベル検出部253−1によって検出された試験信号aのレベルに対して、レベル検出部253−2によって検出された高調波ひずみのレベルが一定レベル以上であるか否かを判断する。試験信号aのレベルに対する高調波ひずみのレベルが一定レベル以上になった場合、レベル判定部254は、無線信号の送信を停止するようパワー制御部209に指示する。
パワー制御部209は、電気信号評価部211からの指示に応じて、無線信号の出力を停止させる。パワー制御部209の具体的な動作は、図4に示すパワー制御部209と同様であるため、説明を省略する。
以上のように、本変形例によれば、中継装置は、制御装置から送信されてくる試験信号の高調波ひずみを評価し、試験信号のレベルに対する高調波ひずみのレベルが一定レベル以上となった場合、無線信号の送信を停止する。これにより、品質が劣化した無線信号を送信することを防止することができる。
以上、第1の実施形態および第2の実施形態において、中継装置が無線信号または光信号の品質を評価する場合について説明した。ここで、中継装置ではなく、制御装置がこれらの信号の品質を評価してもよい。以下、制御装置が無線信号または光信号の品質を評価する場合について説明する。
(第3の実施形態)
図10は、第3の実施形態に係る無線通信システムが備える制御装置10bの構成を示すブロック図である。図10において、制御装置10bは、送信信号処理部101と、光送信部102bと、光分配部103と、光受信部104−1〜104−nと、受信信号処理部105と、品質評価部290bとを含む。なお、図2と同様の構成要素には、同一の符号を付し、説明を省略する。
光送信部102bは、外部ネットワークから送信されてくる信号を下り光信号に変換し、後述する光カプラ部107に出力する。
品質評価部290bは、光カプラ部107と、光パワー検出部108と、パワー制御部109とを有する。
光カプラ部107は、上り光信号を光分配部103に出力し、光伝送路40から反射される反射光を光パワー検出部108に出力する。
光パワー検出部108は、光カプラ部107から出力される反射光のパワーを検出し、反射光のパワーが所定値以上である場合、下り光信号の送出を停止するよう、パワー制御部109に指示する。
パワー制御部109は、光送信部102bを制御して、下り光信号の送出を停止する。具体的には、パワー制御部209は、光送信部102bの電源をOFFにするか、または、光送信部102bにおける信号の経路のスイッチ(図示せず)をOFFにする。なお、光カプラ部107、光パワー検出部108、およびパワー制御部109は、それぞれ図3に示す光カプラ部207、光パワー検出部208、およびパワー制御部209と同様の機能を有するため、詳細な説明を省略する。
なお、本実施形態に係る中継装置は、図3に示す中継装置20から品質評価部290を省略した構成となる。
以上のように、本実施形態によれば、光伝送路に異常が発生した場合に、制御装置からの光信号の送信を停止することができる。したがって、公的な条件を満たさない無線信号が中継装置から送信されることがない。また、制御装置において、反射光を検出するだけでよいため、システムの構成を簡易なものとすることができる。
次に、第3の実施形態の変形例について説明する。図11は、第3の実施形態の変形例に係る制御装置10cの構成を示すブロック図である。
図11において、制御装置10cは、送信信号処理部101と、光送信部102と、光分配部103cと、光受信部104−1〜104−nと、受信信号処理部105と、品質評価部290cとを含む。なお、図2と同様の構成要素には、同一の符号を付し、説明を省略する。
光分配部103cは、n個に分岐した下り光信号を、後述する可変光減衰器121−1〜121−nに出力する。
品質評価部290cは、パワー制御部109と、受光パワー検出部110−1〜110−nと、可変光減衰器121−1〜121−nとを有する。
受光パワー検出部110−1〜110−nは、光受信部104−1〜104−nが受信した上り光信号のパワーを検出し、上り光信号のパワーが所定値以上であるか否かを判断する。受光パワー検出部110−1〜110−nは、上り光信号のパワーが所定値未満となった場合、下り光信号の送信を停止するよう、パワー制御部109に指示する。
可変光減衰器121−1〜121−nは、光分配部103cから出力される下り光信号のパワーを減衰させ、光伝送路40−1〜40−nに送出する。
パワー制御部109は、受光パワー検出部110−1〜110−nからの指示に応じて、下り光信号の出力を停止させる。具体的には、パワー制御部109は、可変光減衰器121−1〜121−nにおける下り光信号の減衰量を制御し、下り光信号の出力を停止させる。また、このとき、パワー制御部109は、異常が発生した光伝送路のみに対する下り信号の送信を停止する。例えば、受光パワー検出部110−2によって検出された上り光信号のパワーが所定値未満である場合、パワー制御部109は、可変光減衰器121−2を制御し、光伝送路40−2への下り光信号の送出を停止する。
なお、受光パワー検出部110およびパワー制御部109の機能は、それぞれ図4に示す受光パワー検出部210、およびパワー制御部209の機能と同様であるため、詳細な説明を省略する。
以上のように、本変形例によれば、光伝送路に異常が発生した場合に、制御装置からの下り光信号の送信を停止することができる。したがって、公的な条件を満たさない無線信号が中継装置から送信されることがない。また、本変形例において、制御装置は、光伝送路を介して制御装置から送信されてくる光信号のレベルを検出する機能を有していればよく、スプリアス発射電力や帯域外輻射電力を測定するための複雑な検出回路を設ける必要がない。
(第4の実施形態)
図12は、本発明の第4の実施形態に係る制御装置10dの構成を示すブロック図である。
図12において、制御装置10dは、送信信号処理部101と、光送信部102と、光分配部103と、光受信部104−1〜104−nと、受信信号処理部105dと、品質評価部290dとを含む。なお、図2と同様の構成要素には、同一の符号を付し、説明を省略する。
受信信号処理部105dは、光受信部104−1〜104−nによって変換された電気信号を、後述する電気信号評価部111に出力する。
品質評価部290dは、パワー制御部109と、電気信号評価部111とを有する。
電気信号評価部111は、受信信号処理部105dから出力される電気信号の品質を評価し、電気信号の品質が低下した場合には、下り光信号の送信を停止する。ここで、電気信号評価部111は、図6に示す電気信号評価部211に相当するため、図6を援用し、詳細な説明を省略する。
パワー制御部109は、図5に示すパワー制御部209に相当する。パワー制御部109は、電気信号評価部111からの指示に応じて、光送信部102からの下り光信号の出力を停止させる。
なお、本実施形態に係る中継装置は、図3に示す中継装置20から品質評価部290を省略した構成となる。
以上のように、本実施形態において、制御装置は、中継装置から送信されてくる信号のレベルに対する不要輻射電力のレベルが一定以上であるか否かを判断する。例えば、光伝送路に異常が発生すると、上りの信号の品質が低下してしまう。この場合、下りの信号を中継装置に送信してしまうと、品質が劣化した無線信号を送信することになってしまう。制御装置は、上りの信号の品質が低下すると下り光信号の送信を停止する。したがって、公的な条件を満たさない無線信号が中継装置から送信されることがない。
次に、第4の実施形態の変形例について説明する。本変形例に係る無線通信システムにおいて、中継装置は、試験信号を重畳した上り電気信号を上り光信号に変換して制御装置に送信する。制御装置は、中継装置から受信した試験信号の品質を評価する。
図13は、本変形例に係る無線通信システムが備える中継装置20cの構成を示すブロック図である。図13において、中継装置20cは、光受信部201と、無線送信部202と、分離部203と、送受信アンテナ部204と、無線受信部205と、光送信部206cと、試験信号送信部212とを含む。
試験信号送信部212は、中継装置20cから送信する上り電気信号に重畳させるための試験信号を生成し、光送信部206cに出力する。試験信号送信部212は、発振器SG−aと、発振器SG−bとを有する。
発振器SG−aは、試験信号aを生成し、光送信部206cに出力する。試験信号aの周波数をaとする。発振器SG−bは、試験信号bを生成し、光送信部206cに出力する。試験信号bの周波数をbとする。なお、試験信号送信部212は、図7に示す試験信号送信部106に相当する。
光送信部206cは、無線受信部205から出力される上り電気信号に、試験信号送信部212から出力される試験信号a,bを重畳させて上り光信号に変換する。
次に、中継装置20cから送信されてくる試験信号を評価する制御装置について説明する。本変形例に係る制御装置の構成は、図12に示す制御装置10dの構成と比較すると、電気信号評価部の構成以外は同様であるため、図12を援用し、その相違点についてのみ説明する。相互変調ひずみを評価する場合における電気信号評価部の構成は、図8に示す電気信号評価部211eの構成と同様であるため、図8を援用する。電気信号評価部211eは、受信信号処理部105dから出力される上り電気信号に重畳されている試験信号の品質を評価する。電気信号評価部211eは、試験信号のレベルに対する相互変調ひずみのレベルが一定レベル以上となった場合、下り光信号の送信を停止させるよう、パワー制御部109に指示する。
以上のように、本変形例によれば、制御装置は、中継装置から送信されてくる試験信号の相互変調ひずみを評価し、試験信号のレベルに対する相互変調ひずみのレベルが一定レベル以上となった場合、下り光信号の送信を停止する。これにより、中継装置が品質が劣化した無線信号を送信することを防止することができる。
なお、本変形例において、制御装置は、相互変調ひずみを評価した。ここで、第4の実施形態の変形例と同様に、高調波ひずみを評価することとしてもよい。その場合の電気信号評価部の構成は、図9に示す電気信号評価部211fと同様であるため、図9を援用する。電気信号評価部211fは、受信信号処理部105dから出力される出力信号において、試験信号のレベルに対する高調波ひずみのレベルが一定レベル以上となった場合、下り光信号の送信を停止させるよう、パワー制御部109に指示する。
以上のように、本変形例において、制御装置は、中継装置から送信されてくる試験信号の相互変調ひずみまたは高調波ひずみを評価し、試験信号のレベルに対する相互変調ひずみまたは高調波ひずみのレベルが一定レベル以上となった場合、無線信号の送信を停止する。これにより、品質が劣化した無線信号を送信することを防止することができる。相互変調ひずみまたは高調波ひずみを測定するためには、例えば、予め設定した周波数だけを観測すればよいため、簡易な回路で実現できるというメリットがある。
また、上記の第1〜第4の実施形態において、光伝送路同士、または光伝送路と装置とを接続する光コネクタとしては、斜め研磨コネクタが最も適している。コネクタが緩んだ状態になると、コネクタ端面において反射が発生するので、PCコネクタ等では、発光素子への光反射が発生したり、反射点が複数ある場合、多重反射が発生したりするため、信号品質が劣化してしまう。しかしながら、斜め研磨コネクタを採用することによって、コネクタが緩んだ状態でも発光素子への光反射や多重反射が発生せず、信号品質が劣化しないというメリットがある。
また、第1〜第4の実施形態においては、無線通信システムは、無線LAN信号を利用して通信する場合を想定して説明した。ここで、無線通信システムは、放送波の不感地対策用の再送信システムとして利用することもできる。ただし、放送波を用いて通信するシステムにおいて、一般的には、上り系の信号は不要であると考えられる。したがって、第3の実施形態および第4の実施形態において説明したように、上り系の信号の品質を評価するという手法はとれないが、その他の方法に関しては、第1〜第4の実施形態に係る無線通信システムを利用することができる。
以上、説明したように、第1〜第4の実施形態に係る無線通信システムは、同じエリアにおいて複数のチャンネルからなる無線信号で通信できるシステムであり、業務用ビル内ネットワーク、無線LANサービス等として有用である。また、第1〜第4の実施形態に係る無線通信システムは、列車や航空機内ネットワーク等の用途にも応用できる。