JP4589562B2 - 連動式カウンタ、カウンタネットワーク及び連動式信号分配回路 - Google Patents

連動式カウンタ、カウンタネットワーク及び連動式信号分配回路 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術の分野】
本発明は、連動信号に連動してカウントする連動式カウンタに関し、詳しくは、論理素子から構成される連動式カウンタ、複数の連動式カウンタを接続したネットワーク、及び入力信号の出力開始時刻と出力終了時刻を制御する連動式信号分配回路に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年LSI(Large Scale Integrated Circuit)技術の急速な進歩により、高速で高集積度のLSIが開発されるようになってきた。LSIの集積度に関しては、単に設計ルールの微細化技術だけでなく、三次元LSI技術(例えば、特開昭63−174356、特開平2−35425、特開平7−135293参照)、特にウェハーを張り合わせる技術(Koyanagi,M., Kurino,H., Lee,K−W., Sakuma,K., Miyakawa,N., Itani,H.,’Future System−on−Silicon LSI Chips’, IEEE MICRO, 1998, Vol.18, No.4, pages17−22参照)の開発によりLSIはますます高集積度になるので、従来別々のLSIに実装されていたデジタル回路は容易に1つのLSIに実装されるようになる。一方でLSIの動作速度に関しては、クロック信号の周波数が高くなるに従い、クロックスキュー及び信号の伝搬遅延時間の問題がますます深刻になっている。本発明者は既に高周波数のクロック信号を供給する同期式発振回路(特願2000−111675参照)を開発しているので、同期式発振回路は前記三次元LSI技術によりクロック信号をLSI全体に容易に供給することができるようになる。しかしながらクロック信号以外の信号、特にLSIの外部から入力されるリセット信号、割込信号及び入力信号などもLSI全体に同時に供給されないと、デジタル回路をLSIの任意の場所に配置することはできない。
【0003】
このようにリセット信号、割込信号及び入力信号などをLSI全体に同時に供給するためには、これらの信号の供給開始時刻及び供給終了時刻を容易に設定することができる機構が必要となる。この際に供給開始時刻及び供給終了時刻をクロック信号に合わせると、この機構を実現するデジタル回路の設計は容易となる。
【0004】
これらのことを考慮すると、同期式発振回路によって生成されたクロック信号に同期したカウンタと、全てのカウンタのカウント数を一致させる機構と、入力信号を任意の時刻に出力する機構が存在すれば、この入力信号をLSI全体に同時に供給することができるものと期待される。
しかしながら、現実にそのような構成は存在せず、デジタル回路の設計の困難性については未解決である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、請求項記載の本発明は、他のカウンタが出力した連動信号に合わせてカウント数を調節する連動式カウンタを実現することを目的とする。また連動式カウンタのカウント数に応じて入力信号を一定期間だけ出力する連動式信号分配回路を実現することも目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明は、同期式カウンタ、終り値判定用論理ゲート、連動用ラッチ回路、連動用論理ゲート及びカウント用論理ゲートを含む連動式カウンタであって、前記終り値判定用論理ゲートが、前記同期式カウンタが出力するリップルキャリーアウト信号から連動信号を生成すること、前記カウント用論理ゲートが前記連動信号を入力すること、前記カウント用論理ゲートの出力が前記同期式カウンタの動作を制御すること、により、前記同期式カウンタが前記リップルキャリーアウト信号を出力した際に、前記連動信号が前記同期式カウンタの動作を停止させること、前記連動用ラッチ回路が前記連動信号及び前記連動用論理ゲートの出力を入力すること、前記連動用ラッチ回路の出力が前記カウント用論理ゲートの前記出力を制御すること、により、前記同期式カウンタの前記動作が停止した際に、前記連動用ラッチ回路の前記出力が前記同期式カウンタの前記動作を開始させること、を特徴とする連動式カウンタである。前記同期式カウンタは1ビット以上のアップカウンタ又はダウンカウンタであり、前記同期式カウンタのイネーブル信号がアクティブである場合だけ、前記同期式カウンタはクロック信号のパルスを数えることができる。また前記同期式カウンタのクロック端子は立ち上がりエッジでも立ち下がりエッジでも良い。前記同期式カウンタのカウント数が最大値又は最小値に到達したとき、前記同期式カウンタは前記リップルキャリーアウト信号をアクティブにする。前記リップルキャリーアウト信号がインアクティブであるときだけ、前記終り値判定用論理ゲートは前記連動信号をアクティブにする。前記連動信号は外部に送信されるので、前記終り値判定用論理ゲートには、駆動能力が高い論理ゲートが用いられる。前記連動信号がインアクティブであるとき、前記カウント用論理ゲートが出力する前記イネーブル信号はアクティブになる。したがって、前記カウント数が前記最大値又は前記最小値に到達するまで、前記同期式カウンタは前記クロック信号の前記パルスを数えた後、前記連動信号がアクティブになる。このとき前記連動用ラッチ回路の出力がインアクティブであれば、前記カウント用論理ゲートが出力する前記イネーブル信号もインアクティブになり、前記同期式カウンタは前記動作を停止する。前記連動用論理ゲートは前記外部から1つ以上の前記連動信号を入力する。もし前記外部から入力された全ての前記連動信号がアクティブであり、しかも前記リップルキャリーアウト信号から生成された前記連動信号がアクティブであれば、前記連動用ラッチ回路の前記出力はアクティブになるので、前記カウント用論理ゲートが出力する前記イネーブル信号もアクティブになる。したがって、前記同期式カウンタの前記動作が停止している場合、前記外部から入力された全ての前記連動信号がアクティブになれば、前記同期式カウンタは前記動作を開始する。本発明は、前記外部から入力される1つ以上の前記連動信号によって前記同期式カウンタの前記動作を制御することができる。したがって、前記同期式カウンタの前記動作に関する諸問題が好適に解決される。
【0007】
請求項2の発明は、同期式カウンタ、終り値判定用論理回路、連動用ラッチ回路、連動用論理ゲート及びカウント用論理ゲートを含む連動式カウンタであって、前記同期式カウンタが同期クリア手段及び同期ロード手段のうち少なくとも1つを備え、前記終り値判定用論理回路が、前記同期式カウンタが出力するカウント数から連動信号を生成すること、前記カウント用論理ゲートが前記連動信号を入力すること、前記カウント用論理ゲートの出力が前記同期式カウンタの動作を制御すること、により、前記同期式カウンタの前記カウント数が終り値になった際に、前記連動信号が前記同期式カウンタの動作を停止させること、前記連動用ラッチ回路が前記連動信号及び前記連動用論理ゲートの出力を入力すること、前記連動用ラッチ回路の出力が前記カウント用論理ゲートの前記出力を制御すること、により、前記同期式カウンタの前記動作が停止した際に、前記連動用ラッチ回路の前記出力が前記同期式カウンタの前記動作を開始させること、前記同期式カウンタが前記連動信号を入力することにより、前記同期式カウンタの前記動作が開始する際に、前記同期クリア手段及び前記同期ロード手段が前記同期式カウンタの初期値を設定すること、を特徴とする連動式カウンタである。前記同期式カウンタは1ビット以上のアップカウンタ又はダウンカウンタであり、前記同期式カウンタのイネーブル信号がアクティブである場合だけ、前記同期式カウンタはクロック信号のパルスを数えることができる。また前記同期式カウンタのクロック端子は立ち上がりエッジでも立ち下がりエッジでも良い。前記同期式カウンタの前記カウント数が前記終り値に到達したとき、前記終り値判定用論理回路は前記連動信号をアクティブにする。前記連動信号は外部に送信されるので、前記終り値判定用論理回路には、駆動能力が高い論理ゲートが用いられる。前記連動信号がインアクティブであるとき、前記カウント用論理ゲートが出力する前記イネーブル信号はアクティブになる。したがって、前記カウント数が前記終り値に到達するまで、前記同期式カウンタは前記クロック信号の前記パルスを数えた後、前記連動信号がアクティブになる。このとき前記連動用ラッチ回路の出力がインアクティブであれば、前記カウント用論理ゲートが出力する前記イネーブル信号もインアクティブになり、前記同期式カウンタは前記動作を停止する。前記連動用論理ゲートは前記外部から1つ以上の前記連動信号を入力する。もし前記外部から入力された全ての前記連動信号がアクティブであり、しかも前記カウント数から生成された前記連動信号がアクティブであれば、前記連動用ラッチ回路の前記出力はアクティブになるので、前記カウント用論理ゲートが出力する前記イネーブル信号もアクティブになる。したがって、前記同期式カウンタの前記動作が停止している場合、前記外部から入力された全ての前記連動信号がアクティブになれば、前記同期式カウンタは前記動作を開始する。さらにこのとき、前記同期式カウンタは、前記同期クリア手段及び前記同期ロード手段を用いて、前記カウント数を前記初期値に設定する。これにより、前記同期式カウンタは前記カウント数を前記初期値と前記終り値の間に限定することができる。本発明は、前記外部から入力される1つ以上の前記連動信号によって前記同期式カウンタの前記動作を制御することができる。したがって、前記同期式カウンタの前記動作に関する諸問題が好適に解決される。
【0008】
請求項3の発明は、請求項1又は2記載の複数の連動式カウンタを含むカウンタネットワークであって、複数の前記連動式カウンタを平面内に配列したこと、各々の前記連動式カウンタが、隣接する1個以上の前記連動式カウンタと等距離に配置されること、各々の前記連動式カウンタが、隣接する1個以上の前記連動式カウンタと相互に前記連動信号を通信すること、各々の前記連動式カウンタから出力される前記連動信号が、隣接する1個以上の前記連動式カウンタが出力する前記カウント数をずらすこと、により、全ての前記連動式カウンタの前記カウント数が揃うことを特徴とするカウンタネットワークである。本発明では、複数の前記連動式カウンタが前記正方格子状又は前記六角格子状などに配列されることにより、隣接する前記連動式カウンタ同士の間の前記距離は全て等しくなる。そのため、隣接する前記連動式カウンタ同士の間に前記連動信号の信号線が最短距離で配線された場合、隣接する全ての前記連動式カウンタに各々の前記連動式カウンタが出力する前記連動信号の全ての伝搬遅延時間が等しくなるので、隣接する全ての前記連動式カウンタが入力する前記連動信号の全ての位相も等しくなる。隣接する全ての前記連動式カウンタの前記連動信号がアクティブになったら前記連動信号用ラッチ回路は出力をアクティブにするので、前記連動式カウンタは前記同期式カウンタの前記動作を再開する。隣接する全ての前記連動式カウンタの前記連動信号がアクティブになった後、隣接する前記連動式カウンタの前記連動信号のうち少なくとも1つがインアクティブになったとしても、前記連動信号用ラッチ回路の出力はアクティブのままであるので、前記連動式カウンタは、隣接する前記連動式カウンタの現在の前記連動信号に関わらず、隣接する全ての前記連動式カウンタの前記連動信号のうち、最も位相が遅れているものに合わせて前記同期式カウンタの前記動作を再開する。したがって、全ての前記連動式カウンタが同位相のクロック信号を入力し、しかも前記クロック信号の周期が前記連動信号の前記伝搬遅延時間に比べて十分に長ければ、全ての前記連動信号の位相は一致する。本発明は、複数の前記連動式カウンタを相互に接続することにより、全ての前記連動式カウンタが出力する前記カウント数を一致させることができる。一般に、前記クロック信号をLSI(Large Scale Integrated Circuit)全体に分配する際に、前記クロック信号の周波数が高くなればなるほど、前記クロック信号の伝搬遅延時間が問題となる。しかしながら前記連動式カウンタを前記LSIに分散配置することにより、前記クロック信号の分周信号を前記LSI全体のデジタル回路に分配することができる。
したがって、前記デジタル回路の同期に関する諸問題が好適に解決される。
【0009】
請求項4の発明は、請求項3記載のカウンタネットワークを、格子が重なるように積層したことを特徴とするカウンタネットワークである。本発明では、前記正方格子状又は前記六角格子状などに配列された複数の前記連動式カウンタからなる前記カウンタネットワークが、三次元LSI技術を用いて積層される。その際に、各層において前記正方格子状又は前記六角格子状などに配列された各々の前記連動式カウンタは、垂直方向に重なり合うように配置され、さらに、重なり合った前記連動式カウンタのうち隣接するものから前記連動信号を入力するように、各々の前記連動式カウンタの前記連動信号の信号線が配線される。これにより、各々の前記連動信号の前記信号線の配線長は前記垂直方向に対して最短となる。本発明では、前記垂直方向の前記連動信号の遅延時間が水平方向の前記連動信号の前記遅延時間と等しくなるように、前記三次元LSI技術において、LSI設計者が垂直配線の断面積及び材料を変更したり、又はディレイラインを加えることにより、全ての前記連動式カウンタは前記カウント数を一致させることができる。したがって、前記三次元LSIの同期に関する諸問題が好適に解決される。
【0010】
請求項5の発明は、複数のデジタル回路又は複数のアナログ回路を含む第一の電子回路と、請求項3又は4記載の1個以上のカウンタネットワークと、を含む第二の電子回路が複数の層に積層され、第一の前記電子回路が、1個以上の前記カウンタネットワークのうち少なくとも1個の前記連動式カウンタから前記カウント数を入力することを特徴とするカウンタネットワークである。本発明は、三次元LSI技術を用いて、複数の前記デジタル回路、複数の前記アナログ回路及び1個以上の前記カウンタネットワークを積層する。1個の前記カウンタネットワークに含まれる全ての前記連動式カウンタの前記カウント数は一致している。これにより、複数の前記デジタル回路及び複数の前記アナログ回路は、1個の前記カウンタネットワークに含まれるいずれの前記連動式カウンタから前記カウント数を入力しても、同じ前記カウント数を一致させることができる。そこで複数の前記デジタル回路及び複数の前記アナログ回路は、1個の前記カウンタネットワークに含まれる全ての前記連動式カウンタのうち、最も近いものから前記カウント数を入力することにより、前記カウント数の信号線の配線長及び伝搬遅延時間を最小にすることができる。本発明は前記三次元LSI技術を用いているので、複数の前記デジタル回路及び複数の前記アナログ回路の配置が容易になる。したがって、前記カウント数の分配に関する諸問題が好適に解決される。
【0011】
請求項6の発明は、請求項3、4又は5記載の1個以上のカウンタネットワークに対して、少なくとも1個の前記連動式カウンタが、信号分配用デコーダと、1個以上の信号分配用ラッチ回路と、1個以上の信号分配用論理ゲートと、1個以上の信号分配用フリップフロップ回路と、を備え、前記信号分配用デコーダが前記連動式カウンタの前記カウント数から複数の復号結果を出力すること、各々の前記信号分配用ラッチ回路が複数の入力信号のうちの1つを記憶すること、各々の前記信号分配用論理ゲートが、少なくとも1個の前記信号分配用ラッチ回路の出力と、前記信号分配用デコーダの複数の前記復号結果のうちの少なくとも1つと、を入力すること、各々の前記信号分配用フリップフロップ回路が、少なくとも1個の前記信号分配用論理ゲートの出力と、前記信号分配用デコーダの複数の前記復号結果のうちの少なくとも1つと、を入力すること、各々の前記信号分配用ラッチ回路が、前記信号分配用デコーダの複数の前記復号結果のうちの少なくとも1つと、少なくとも1個の前記信号分配用フリップフロップ回路の出力と、のうち少なくとも1つを用いて、記憶している前記入力信号をリセットすること、により、前記連動式カウンタの前記カウント数に応じて、各々の前記信号分配用フリップフロップ回路が、対応する1個の前記入力信号の出力開始時刻及び出力時間を変更することを特徴とする連動式信号分配回路である。前記信号分配用デコーダは、前記連動式カウンタが出力する前記カウント数の最小値から最大値までの数の前記復号結果を出力し、前記カウント数に対応した前記復号結果だけをアクティブにする。前記信号分配用ラッチ回路が入力する1つの前記入力信号が一旦アクティブになると、前記信号分配用ラッチ回路はこの前記入力信号を記憶する。この状態で、前記信号分配用論理ゲートが入力する1つの前記復号信号がアクティブになると、前記信号分配用論理ゲートの出力もアクティブになる。さらに前記クロック信号が入力されると、前記信号分配用フリップフロップ回路の出力がアクティブになる。つまり、前記信号分配用論理ゲートが入力する1つの前記復号信号がアクティブになった後の最初の前記クロック信号に同期して、前記信号分配用フリップフロップ回路は、前記信号分配用ラッチ回路が記憶した1つの前記入力信号を出力する。一方で、前記信号分配用フリップフロップ回路が入力する1つの前記復号信号がアクティブになると、前記信号分配用フリップフロップ回路の出力は、前記クロック信号に同期してインアクティブになる。つまり、前記信号分配用フリップフロップ回路が入力する1つの前記復号信号がアクティブになった後の最初の前記クロック信号に同期して、前記信号分配用フリップフロップ回路は、前記信号分配用ラッチ回路が記憶した1つの前記入力信号の出力を終了する。最後に、前記信号分配用フリップフロップ回路の出力がアクティブになるか、又は前記信号分配用デコーダが出力する複数の前記復号信号のうちの少なくとも1つがアクティブになることにより、前記信号分配用ラッチ回路が記憶する前記入力信号はリセットされる。これにより本発明は、前記入力信号の最長伝搬遅延時間を考慮するだけで、前記クロック信号に同期しながら、前記入力信号をLSIの任意の場所に分配することができる。したがって、前記LSIの設計に関する諸問題が好適に解決される。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の連動式カウンタ416の実施形態を挙げ、図面を参照して説明する。
【0013】
まず、図1に示すように、請求項1記載の発明に対応する実施形態の連動式カウンタ416は、同期式カウンタ411、終り値判定用論理ゲート412a及びカウント用論理ゲート415から構成されるカウンタ部分と、連動用ラッチ回路413及び連動用論理ゲート414から構成される連動部分と、から構成される。また図1では、連動式カウンタ416が他の4つの連動式カウンタ416から連動信号BLK1’、BLK2’、BLK3’及びBLK4’を入力するものとする。なお、信号X’は信号Xの負論理を表すものとする。また図1において、カウント用論理ゲート415、連動用ラッチ回路413及び連動用論理ゲート414には、全てNORゲートが用いられているが、勿論NANDゲートなど他の論理ゲートが用いられても良い。
【0014】
カウンタ部分では、同期式カウンタ411、終り値判定用論理ゲート412a及びカウント用論理ゲート415が環状に配線される。すなわち、同期式カウンタ411はイネーブル信号G’を入力し、リップルキャリーアウト信号RCOを出力する。終り値判定用論理ゲート412aはリップルキャリーアウト信号RCOを入力して、連動信号BLK0’を出力する。カウント用論理ゲート415は少なくとも1つの入力端子に連動信号BLK0’を入力して、イネーブル信号G’を出力する。
【0015】
例えば、図1の場合、同期式カウンタ411は3つのJKフリップフロップ回路を備え、これらのJKフリップフロップ回路の出力QA、QB及びQCを用いて0から7までのカウント数を出力する。また、これらのJKフリップフロップ回路はそれぞれ出力QA、QB及びQCの負論理出力QA’、QB’及びQC’も出力することができる。分岐点N0及びN1において、クロック信号CLKは3つのJKフリップフロップ回路のクロック端子に分配される。これらのJKフリップフロップ回路はクロック信号CLKの立ち下がりのエッジで動作する。分岐点P0において、イネーブル信号G’はNOTゲートの入力端子に分配される。このNOTゲートの出力端子は左のJKフリップフロップ回路のJ端子及びK端子に接続される。これにより、イネーブル信号G’の電圧がLowレベルであるとき、このJKフリップフロップ回路のJ端子とK端子の両方の電圧がHighレベルになる。したがって、クロック信号CLKが立ち下がる度に、このJKフリップフロップ回路の出力QA及びQA’の電圧が反転する。同様に、分岐点P1において、イネーブル信号G’は、2つのNORゲートそれぞれの入力端子のうちの少なくとも1つに分配される。また分岐点S1及びS2において、出力QA’は2つのNORゲートそれぞれの入力端子のうちの少なくとも1つに分配される。さらに分岐点T2において、出力QB’は2つのNORゲートのうちのいずれかの入力端子のうちの少なくとも1つに分配される。これらの2つのNORゲートの出力端子は、それぞれ中央と右のJKフリップフロップ回路のJ端子及びK端子に接続される。これにより、イネーブル信号G’の電圧がLowレベルであるとき、出力QA’の電圧がLowレベルであれば、中央のJKフリップフロップ回路のJ端子とK端子の両方の電圧がHighレベルになる。したがって、クロック信号CLKが立ち下がる度に、このJKフリップフロップ回路の出力QB及びQB’の電圧が反転する。さらに、イネーブル信号G’の電圧がLowレベルであるとき、出力QA’及びQB’の電圧が共にLowレベルであれば、右のJKフリップフロップ回路のJ端子とK端子の両方の電圧がHighレベルになる。したがって、クロック信号CLKが立ち下がる度に、このJKフリップフロップ回路の出力QC及びQC’の電圧が反転する。つまり、イネーブル信号G’の電圧がLowレベルである場合、クロック信号CLKが立ち下がる度に、同期式カウンタ411が出力するカウント数は1つずつ増える。最後に、NORゲートがリップルキャリーアウト信号RCOを出力するために、このNORゲートの複数(ここでは3つ)の入力端子に分岐点S2において分配された出力QA’、分岐点T2において分配された出力QB’及び出力QC’が入力される。これにより、同期式カウンタ411が出力するカウント数が7であれば、出力QA’、QB’及びQC’の電圧が全てLowレベルになるので、リップルキャリーアウト信号RCOの電圧はHighレベルになる。
【0016】
そこで、リップルキャリーアウト信号RCOの電圧がHighレベルであれば、終り値判定用論理ゲート412aは連動信号BLK0’の電圧をLowレベルにする。それ以外の場合、連動信号BLK0’の電圧はHighレベルである。分岐点Uにおいて、連動信号BLK0’はカウント用論理ゲート415の入力端子のうちの少なくとも1つに入力される。これにより、もし連動信号BLK0’がHighレベルであれば、イネーブル信号G’はLowレベルになる。したがって、カウント数が7に到達するまで同期式カウンタ411はカウント数を1つずつ増やし、カウント数が7に到達すると、同期式カウンタ411は停止する。
【0017】
なお、図1には、クロック信号CLKに同期した3つのJKフリップフロップ回路から構成される2進3桁の同期式カウンタ411が示されているが、JKフリップフロップ回路の数をN個用いることにより、2進N桁の同期式カウンタ411に変更することは容易である。また分岐点S1及びS2において出力QAを分配することと、分岐点T2において出力QBを分配することとにより、同期式カウンタ411はダウンカウンタに変更される。
【0018】
連動部分では、外部から入力される連動信号BLK1’、BLK2’、BLK3’及びBLK4’に従い、連動用論理ゲート414及び連動用ラッチ回路413がカウント用論理ゲート415を制御する。すなわち、連動用論理ゲート414の複数(ここでは4つ)の入力端子に、それぞれ連動信号BLK1’、BLK2’、BLK3’及びBLK4’が入力され、連動用論理ゲート414の出力端子が連動用ラッチ回路413の1つの入力端子に配線される。また連動信号BLKO’は分岐点Uにおいて分配され、連動用ラッチ回路413のもう1つの入力端子に入力される。したがって、連動信号BLK0’、BLK1’、BLK2’、BLK3’及びBLK4’の全てがLowレベルである場合、連動用ラッチ回路413の出力信号QGはHighレベルになる。さらにカウント用論理ゲート415の出力端子はLowレベルになることができる。ただし、連動信号BLK1’、BLK2’、BLK3’及びBLK4’のうちいずれか1つでもHighレベルである場合、連動信号BLK0’がHighレベルになれば、連動用ラッチ回路413の出力信号QGはLowレベルになる。しかも連動信号BLK0’が再度Lowレベルになっても、連動用ラッチ回路413の出力信号QGはLowレベルのままである。したがって、連動信号BLK0’、BLK1’、BLK2’、BLK3’及びBLK4’の全てがLowレベルにならなければ、連動用ラッチ回路413の出力信号QGはHighレベルになることができない。これにより、連動部分は、連動信号BLK0’の位相と周期を、連動信号BLK1’、BLK2’、BLK3’及びBLK4’のうちの少なくとも1つの位相と周期に合わせることができる。
【0019】
ところで、連動式カウンタ416はクロック信号に同期して動作するが、クロック信号自体が全ての連動式カウンタ416に同時に供給されるとは限らない。そのため連動式カウンタ416がクロック信号を受け取る前に、連動信号BLK1’、BLK2’、BLK3’及びBLK4’のいずれかがHighレベルになり、結果としてイネーブル信号G’がHighレベルになってしまう可能性がある。そこで同期式カウンタ411が動作を開始するまで、連動用ラッチ回路413はイネーブル信号G’をLowレベルに保持することができる。なお、図1では、連動式カウンタ416が4つの連動式カウンタ416から連動信号を入力する場合を示したが、接続される連動式カウンタ416の数に応じて連動用論理ゲート414の入力端子数を変更するか、さもなくば連動用論理ゲート414の入力端子のうち不必要なものをプルダウンすれば良い。
【0020】
さて、図1に示した同期式カウンタ411において、カウント数の初期値は0に、終り値は7に固定されていた。しかしながらLSIの仕様によってはカウント数の初期値及び終り値が変更される場合もある。そこで図2に示すように、請求項2記載の発明に対応する実施形態の連動式カウンタ416は、市販の同期式カウンタ411のような同期式クリア手段及び同期式ロード手段を有する同期式カウンタ411を用いることにより、任意の初期値及び終り値を設定することができる。この場合、終り値の判定は、終り値判定用論理ゲート412aの代りに終り値判定用論理回路412bを用いることによって実現される。勿論、終り値判定用論理回路412bにはNANDゲートなどが用いられても良い。
【0021】
例えば同期式カウンタ411が同期クリア手段を有する場合、カウンタ部分では、同期式カウンタ411、終り値判定用論理回路412b及びカウント用論理ゲート415が環状に配線される。すなわち、同期式カウンタ411はイネーブル信号G’を入力し、カウント数を出力する。加えて、同期式カウンタ411は同期クリア信号CLRとして連動用ラッチ回路413の出力信号QGも入力する。終り値判定用論理回路412bはカウント数を入力して、連動信号BLK0’を出力する。カウント用論理ゲート415は少なくとも1つの入力端子に連動信号BLK0’を入力して、イネーブル信号G’を出力する。
【0022】
例えば、図2の場合、同期式カウンタ411は3つのJKフリップフロップ回路を備え、これらのJKフリップフロップ回路の出力QA、QB及びQCを用いて0から7までのカウント数を出力する。また、これらのJKフリップフロップ回路はそれぞれ出力QA、QB及びQCの負論理出力QA’、QB’及びQC’も出力することができる。分岐点N0及びN1において、クロック信号CLKは3つのJKフリップフロップ回路のクロック端子に分配される。これらのJKフリップフロップ回路はクロック信号CLKの立ち下がりのエッジで動作する。分岐点V2において、連動用ラッチ回路413の出力信号QGは同期式カウンタ411に分配され、クリア信号CLRとなる。さらに分岐点V3において、NOTゲートの入力端子に分配される。このNOTゲートはクリア信号CLRの論理を反転して、クリア信号CLR’を出力する。分岐点P0においてイネーブル信号G’が分配されることと、分岐点V0においてクリア信号CLRが分配されることと、分岐点W0においてクリア信号CLR’が分配されることと、分岐点S0において出力QA’が分配されることと、により、左のJKフリップフロップ回路のJ端子及びK端子の電圧は、数式1に示す論理式によって決定される。
【0023】
【数1】
Figure 0004589562
【0024】
同様に、分岐点P1においてイネーブル信号G’が分配されることと、分岐点V1においてクリア信号CLRが分配されることと、分岐点W1においてクリア信号CLR’が分配されることと、分岐点S0及びS1において出力QA’が分配されることと、分岐点S2において出力QB’が分配されることと、により、中央のJKフリップフロップ回路のJ端子及びK端子の電圧は、数式2に示す論理式によって決定される。
【0025】
【数2】
Figure 0004589562
【0026】
さらに、分岐点P1においてイネーブル信号G’が分配されることと、分岐点V1においてクリア信号CLRが分配されることと、分岐点W1においてクリア信号CLR’が分配されることと、分岐点S0及びS1において出力QA’が分配されることと、分岐点S2において出力QB’が分配されることと、出力QC’が入力されることと、により、右のJKフリップフロップ回路のJ端子及びK端子の電圧は、数式3に示す論理式によって決定される。
【0027】
【数3】
Figure 0004589562
【0028】
これにより、イネーブル信号G’の電圧がLowレベルであり、かつクリア信号CLRがLowレベルである場合、クロック信号CLKが立ち下がる度に、同期式カウンタ411が出力するカウント数は1つずつ増える。さらに、イネーブル信号G’の電圧がLowレベルであり、かつクリア信号CLRがHighレベルである場合、クロック信号CLKが立ち下がるならば、同期式カウンタ411が出力するカウント数は0になる。それ以外の場合、同期式カウンタ411は動作しない。
【0029】
そこで、カウント数が6の場合、終り値判定用論理回路412bは連動信号BLK0’の電圧をLowレベルにする。それ以外の場合、連動信号BLK0’の電圧はHighレベルである。分岐点Uにおいて、連動信号BLK0’はカウント用論理ゲート415の入力端子のうちの少なくとも1つに入力される。これにより、もし連動信号BLK0’がHighレベルであれば、イネーブル信号G’はLowレベルになる。したがって、カウント数が6に到達するまで同期式カウンタ411はカウント数を1つずつ増やし、カウント数が6に到達すると、同期式カウンタ411は停止する。
【0030】
なお、図2には、クロック信号CLKに同期した3つのJKフリップフロップ回路から構成される2進3桁の同期式カウンタ411が示されているが、JKフリップフロップ回路の数をN個用いることにより、2進N桁の同期式カウンタ411に変更することは容易である。また数式1、2及び3において、出力QA’、QB’及びQC’の代りに出力QA、QB及びQCを用いることにより、同期式カウンタ411はダウンカウンタに変更される。その場合クリア信号CLRがHighレベルになると、同期式カウンタ411のカウント数は7に設定される。
【0031】
この他に、同期式カウンタ411として型番74LS163のような標準的なアップダウンカウンタが用いられても良い。その際には、イネーブル信号G’及びクリア信号CLRの論理がこのアップダウンカウンタのイネーブル端子及びクリア端子の論理に合うように、NOTゲートなどを用いて、イネーブル信号G’及びクリア信号CLRの論理が変更されるだけで良い。
【0032】
ここまでは連動式カウンタ416単体の回路構成について説明してきた。以下では複数の連動式カウンタ416が接続された場合に連動式カウンタ416がお互いにどのように連動するのか、タイミングチャートを用いて説明する。
【0033】
まず図3に示すように、3つの連動式カウンタ416a〜416cが接続された場合を考える。なお図3において、連動式カウンタ416a〜416cをICUと略記する。各々の連動式カウンタ416a〜416cの連動信号BLK0’は残りの連動式カウンタ416a〜416cの連動用論理ゲート414に入力される。したがって連動用論理ゲート414は2入力論理ゲートであれば良い。これら3つの連動式カウンタ416a〜416cが安定して動作しているとき、連動式カウンタ416aのタイミングチャートを図4に示す。なお、全ての連動式カウンタ416a〜416cは対称的なので、残りの連動式カウンタ416b及び416cのタイミングチャートも同様である。
【0034】
図4から明らかなように、連動式カウンタ416a〜416cのカウント数が一致している場合には、カウント用論理ゲート415の出力が一瞬Highレベルになるが、直ぐにLowレベルに戻るため、同期式カウンタ411は連続してカウントすることができる。したがって連動式カウンタ416a〜416cは同じカウント数を出力し続けることができる。
【0035】
図5に示すように、連動信号BLK1’の位相が何らかの理由により進んだ場合、連動式カウンタ416は連動信号BLK1’に関係なく動作する。したがって連動信号BLK1’はカウント数に対して影響しない。なお連動信号BLK1’を生成する連動式カウンタ416は連動信号BLK1’を連動信号BLK0’及びBLK2’の位相に合わせるように動作する。
【0036】
図6に示すように、連動信号BLK2’の位相が何らかの理由により遅れた場合、連動式カウンタ416は連動信号BLK0’の位相を連動信号BLK2’の位相に合わせるように動作する。したがって連動信号BLK2’がLレベルになるまで、連動式カウンタ416はカウント数として終り値を出力し続ける。
【0037】
図7に示すように、連動信号BLK1’の位相が何らかの理由により進み、連動信号BLK2’の位相が何らかの理由により遅れた場合、連動式カウンタ416は連動信号BLK0’の位相を連動信号BLK2’の位相に合わせるように動作する。したがって連動信号BLK2’がLレベルになるまで、連動式カウンタ416はカウント数として終り値を出力し続ける。
【0038】
上記より、3つの連動式カウンタ416a〜416cは最もカウントが遅れているものにカウント数を合わせることが判る。このことは、終り値が異なる連動式カウンタ416が接続された場合にも成り立つ。したがって電源投入時、3つの連動式カウンタ416a〜416cのカウント数が異なっていても、クロック信号の周期に終り値の最大数を掛け合わせた時間以内に3つの連動式カウンタ416a〜416cのカウント数が一致する。
【0039】
さて、請求項1及び2記載の発明に対応する実施形態の連動式カウンタ416は、必ずしも図3のように他の全ての連動式カウンタ416と接続される必要はない。そこで以下では、連動式カウンタ416が規則的に配列された場合について説明する。
【0040】
図8に示すように、請求項3記載の発明に対応する実施形態のカウンタネットワークは、正方格子状に配列された連動式カウンタ416を隣接同士接続したネットワークである。この場合、連動用論理ゲート414の入力数は4となる。なお辺縁の連動式カウンタ416において、接続先のない連動用論理ゲート414の入力はプルダウンされる。連動式カウンタ416を正方格子状に配列する代りに、図9に示すように六角格子状に配列して隣接同士接続することもできる。このように連動式カウンタ416が配置されることにより、全ての連動信号用信号線の長さがほぼ等しくなるので、連動式カウンタ416は互いに連動し易くなる。したがって、パイプライン処理装置、DSP(Digital SignalProcessor)、シストリックアレイ、データフロープロセッサ、及び並列画像処理装置のように大規模で規則的なデジタル回路431に対して、これらの二次元カウンタネットワークは、連動式カウンタ416のカウント数、つまりクロック信号CLKの分周信号を容易に供給することができる。
【0041】
図11に示すように、請求項4記載の発明に対応する実施形態のカウンタネットワークは、上述の正方格子状又は六角格子状に配列された連動式カウンタ416を、三次元LSI技術を用いて複数重ね合わせたネットワークである。連動式カウンタ416が正方格子状に配列した場合には、連動用論理ゲート414の入力数は6となり、連動式カウンタ416が六角格子状に配列した場合には、連動用論理ゲート414の入力数は8となる。図11の場合、正方格子状に配列された連動式カウンタ416のネットワークが3個積層されており、各々の連動式カウンタ416の連動信号が実線で表されている。なお、各々の連動式カウンタ416の連動用論理ゲート414の入力端子のうち、隣接する連動式カウンタ416と接続されていないものは、プルアップ又はプルダウンされているものとする。図11から明らかなように、各層の連動式カウンタ416が重なり合うことにより、層間の連動信号の信号線の長さは等しく、しかも最短になる。したがって層間の配線材料を変更したり、又はディレイラインなどを用いることにより、層を跨ぐ連動信号の伝搬遅延時間は、層内の連動信号の伝搬遅延時間と等しくなるように容易に調整され得るので、異なる層の連動式カウンタ416は互いに同期することができる。
【0042】
さらに、図12に示すように、請求項5記載の発明に対応する実施形態のカウンタネットワークは、正方格子状又は六角格子状に配列された連動式カウンタ416のネットワークと、プロセッサ及び演算回路などのデジタル回路431と、フォトダイオード及びA/D変換回路などのアナログ回路432と、を三次元LSIの異なる層に実装する。図12の場合、正方格子状に配列された連動式カウンタ416が第2層及び第5層に実装され、デジタル回路431が第1層、第3層及び第4層に実装され、アナログ回路432が第6層に実装されている。なお、図12において、実線は連動信号を表し、破線はカウント数を表す。また連動信号及びカウント数以外の信号線は省略されている。第2層及び第5層に実装された連動式カウンタ416のうち、重なり合ったもの同士は互いの連動信号を入力するので、第2層及び第5層にある全ての連動式カウンタ416は同じカウント数を生成することができる。さらに連動式カウンタ416のネットワークがデジタル回路431及びアナログ回路432と異なる層に実装され得るので、デジタル回路431及びアナログ回路432の配置によって連動式カウンタ416の配置がずれることもなく、しかも連動信号の信号線が迂回することもない。さらに三次元LSIの各層の間にノイズ対策を施すことにより、連動式カウンタ416はデジタル回路431及びアナログ回路432のノイズに影響されないので、連動式カウンタ416は安定に動作する。同様に、デジタル回路431及びアナログ回路432は、これらの配置場所に関係なく、最短距離の連動式カウンタ416からカウント数を入力することができる。このことは、LSI設計者がデジタル回路431及びアナログ回路432の実装層内でカウント数の信号線を引き回す必要がないことを意味するので、このLSI設計者は、デジタル回路431及びアナログ回路432を任意の場所に配置しても、カウント数の伝搬遅延時間を一定範囲内に収めることができる。したがって、デジタル回路431及びアナログ回路432の設計も容易になる。特に、図12に示すような連動式カウンタ416のネットワークは、正方格子状又は六角格子状に配列されたプロセッサが一斉に処理したデータを垂直方向に向かってパイプライン処理するような、シストリックアレイ及び並列画像処理装置に対して効率よくカウント数、つまりクロック信号CLKの分周信号を供給することができる。
【0043】
ところで、請求項3、請求項4及び請求項5記載の発明に対応する実施形態のカウンタネットワークを用いると、全ての連動式カウンタ416はLSI全体に渡って同じカウント数を供給することができる。つまりこのカウント数を用いることにより、適当な信号がLSI全体に同時に分配されるように連動式信号分配回路が設計され得る。
【0044】
図13に示すように、請求項6記載の発明に対応する実施形態の連動式信号分配回路は、信号分配用デコーダ421によって連動式カウンタ416のカウント数を復号することにより、複数の復号結果を生成する。さらにこれらの復号結果のうちの2つがそれぞれ計時開始時刻及び計時終了時刻を表すとすると、信号分配用ラッチ回路422が適当な信号SIGINを入力した場合、信号分配用ラッチ回路422は入力時刻から計時終了時刻まで信号SIGINを記憶し、信号分配用論理ゲート423が、計時開始時刻にだけ、信号分配用ラッチ回路422によって記憶された信号SIGINを信号分配用フリップフロップ回路424に出力し、信号分配用フリップフロップ回路424がクロック信号CLKに同期した信号SIGOUT及び信号SIGOUT’を出力する。これにより、連動式信号分配回路は、任意の時間遅延した信号SIGINから、クロック信号CLKに同期し、しかもクロック信号CLKの周期の整数倍の時間だけアクティブである信号SIGOUTを生成する。
【0045】
例えば、図13の場合、信号分配用デコーダ421は、0から7までのカウント数を表す連動式カウンタ416の3つの出力QA、QB及びQCと、それらの負論理出力QA’、QB’及びQC’と、を入力し、8つのNORゲートを用いて、0から7までのカウント数からそれぞれ8つの復号結果を生成する。すなわち、8つのNORゲートはそれぞれ複数(ここでは3つ)の入力端子を備え、分岐マトリクスXにおいて、連動式カウンタ416の出力QA、QB及びQCは、復号結果0を出力するNORゲートに分配され、連動式カウンタ416の出力QA’、QB及びQCは、復号結果1を出力するNORゲートに分配され、連動式カウンタ416の出力QA、QB’及びQCは、復号結果2を出力するNORゲートに分配され、連動式カウンタ416の出力QA’、QB’及びQCは、復号結果3を出力するNORゲートに分配され、連動式カウンタ416の出力QA、QB及びQC’は、復号結果4を出力するNORゲートに分配され、連動式カウンタ416の出力QA’、QB及びQC’は、復号結果5を出力するNORゲートに分配され、連動式カウンタ416の出力QA、QB’及びQC’は、復号結果6を出力するNORゲートに分配され、連動式カウンタ416の出力QA’、QB’及びQC’は、復号結果7を出力するNORゲートに分配される。そこで、復号結果0から復号結果7までの中から任意の2つを選んで、それぞれ計時開始時刻及び計時終了時刻とすることにより、計時開始時刻がHighレベルになってから計時終了時刻がHighレベルになるまでの時間は、クロック信号CLKの周期の0倍から7倍となる。さらに8つのNOTゲートが、それぞれ復号結果0から復号結果7までを入力し、それぞれ負論理復号結果0’から負論理復号結果7’までを出力する。したがって、負論理復号結果0’から負論理復号結果7’までを用いることにより、計時開始時刻及び計時終了時刻は負論理で表すこともできる。
【0046】
さて、図13の場合、計時開始時刻は負論理復号結果3’であり、計時終了時刻は復号結果5である。そこで連動式信号分配回路が、負論理復号結果3’と復号結果5を用いて任意の時間遅延した信号SIGINから信号SIGOUTを生成するために、まず信号分配用ラッチ回路422は、2つの入力端子のうちの1つに信号SIGINを入力し、信号QS’を出力する。信号分配用論理ゲート423は、2つの入力端子に出力信号QS’及び負論理復号結果3’を入力し、信号J3を出力する。信号分配用フリップフロップ回路424は、J端子に信号J3を入力し、K端子に復号結果5を入力する。また信号分配用フリップフロップ回路424のクロック端子にクロック信号CLKを入力しているので、信号分配用フリップフロップ回路424は、クロック信号CLKの立ち下がりに同期しながら、Q端子から信号SIGOUTを出力し、Q’端子から信号SIGOUT’を出力する。最後に、分岐点Yにおいて、信号SIGOUTが信号分配用ラッチ回路422の2つの入力端子のうちのもう1つに分配される。以下では、図14のタイミングチャートを参照しながら、図13に示された連動式信号分配回路について説明する。
【0047】
まず、信号SIGINがHighレベルになると、信号分配用ラッチ回路422は信号QS’をLowレベルにする。その後、信号SIGINがLowレベルになったとしても、信号SIGOUTがHighレベルになるまで、信号QS’はLowレベルのままである。信号QS’がLowレベルになった後、負論理復号結果3’がLowレベルの場合にのみ、信号分配用論理ゲート423は信号J3をHighレベルにする。つまり信号SIGOUTがHighレベルになった後、連動式カウンタ416のカウント数が3になったならば、信号J3はHighレベルになる。このとき信号分配用フリップフロップ回路424のJ端子がHighレベルになるので、信号SIGOUTはクロック信号CLKの立ち下がり時にHighレベルになる。また、信号SIGOUTが信号分配用ラッチ回路422に入力されるので、信号分配用ラッチ回路422はリセットされ、信号QS’はHighレベルになる。この状態で連動式カウンタ416のカウント数が4になったとしても、信号分配用フリップフロップ回路424のJ端子及びK端子が共にLowレベルになるので、信号SIGOUTはHighレベルのままである。しかしながら、連動式カウンタ416のカウント数が5になると、復号結果5がHighレベルになり、信号分配用フリップフロップ回路424のK端子もHighレベルになる。つまり信号SIGOUTはクロック信号CLKの立ち下がり時にLowレベルになる。図14から明らかなように、信号SIGINが入力されると、復号結果3’がLowレベルである際にクロック信号CLKが立ち下がった時刻から復号結果5がHighレベルである際にクロック信号CLKが立ち下がった時刻まで信号SIGOUTが出力されている。そこでデジタル回路431がLSIの何処に配置されようとも、復号結果5の立ち上がり時にデジタル回路431は信号SIGOUTを確実に入力することができる。このような機能はリセット信号、割込信号及び入出力信号など、既に設計されているデジタル回路431を殆んど変更することなく1つのシステムLSIを組み込む場合には必要不可欠である。
【0048】
この他に、図15に示すように、請求項6記載の発明に対応する実施形態の連動式信号分配回路は、分岐点Zにおいて、復号結果5が信号分配用ラッチ回路422の2つの入力端子のうちのもう1つに分配されても良い。図13に示された連動式信号分配回路の場合、信号分配用ラッチ回路422は信号SIGOUTによってリセットされる。したがって、信号SIGOUTがHighレベルである際に信号SIGINがHighレベルになったとしても、信号分配用ラッチ回路422は信号SIGINを記憶することができない。これに対して、図15に示された連動式信号分配回路の場合、信号分配用ラッチ回路422は復号結果5によってリセットされる。したがって、信号SIGOUTがHighレベルである際に信号SIGINがHighレベルになったとしても、復号結果5がHighレベルでなければ、信号分配用ラッチ回路422は信号SIGINを記憶することができる。つまり、復号結果5がHighレベルからLowレベルに変った直後に信号SIGINがHighレベルになったならば、信号分配用ラッチ回路422は信号SIGINを記憶することができる。そこで復号結果5の代りに、信号分配用ラッチ回路422の2つの入力端子のうちのもう1つに復号結果4を入力すれば、信号SIGOUTがHighレベルであったとしても、信号分配用ラッチ回路422は信号SIGINを記憶することができるようになる。
【0049】
なお、図13及び15の信号分配用デコーダ421、信号分配用ラッチ回路422及び信号分配用論理ゲート423にはNORゲートが用いられているが、NANDゲートなどが用いられても良い。また、図13及び15では、計時開始時刻及び計時終了時刻を表すためにそれぞれ負論理復号結果3’及び復号結果5が用いられているが、勿論他の復号結果及び負論理復号結果が用いられても良い。外部から適当な信号SIGINが入力されると、信号分配用ラッチ回路422がこの信号を一旦記憶した後、信号分配用論理ゲート423によって計時開始時刻に信号分配用フリップフロップ回路424に入力される。信号分配用フリップフロップ回路424はクロック信号に同期して入力信号を記憶し、計時終了時刻にリセットされる。これにより入力信号の伝搬遅延時間に関わらず、連動式信号分配回路は計時開始時刻前に到達した入力信号を計時開始時刻から計時終了時刻まで出力することができる。なお入力信号の論理が反転している場合には信号分配用ラッチ回路422の前に論理ゲートを加えることにより、連動式信号分配回路は正常に動作することができる。
【0050】
ここまでは連動式カウンタ416、カウンタネットワーク及び連動式信号分配回路について説明してきた。連動式カウンタ416が連動用ラッチ回路413を備えているので、各々の連動式カウンタ416に入力されるクロック信号CLKの伝搬遅延時間が長くなったとしても、隣接する連動式カウンタ416に各々の連動信号が到達するまでの遅延時間がクロック信号CLKの周期に比べて十分に短ければ、全ての連動式カウンタ416は同じカウント数を出力することができる。しかしながら、クロック信号CLKの周波数が高くなると、各々の連動信号が上記の条件を満すことは難しくなる。そこで以下では、連動式カウンタ416をLSI全体で同期させるために必要な同期式発振回路410について説明した後、連動式カウンタ416及び同期式発振回路410が三次元LSIに実装される場合について説明する。
【0051】
まず、図16に示すように、同期式発振回路410は、A側発振用論理ゲート401a、A側発振用コンデンサ404a、B側発振用論理ゲート401b及びB側発振用コンデンサ404bから構成される発振部分、A側同期用ラッチ回路405a、A側同期用論理ゲート406a、B側同期用ラッチ回路405b及びB側同期用論理ゲート406bから構成される同期部分、及び初期化用論理ゲート402から構成され、発振部分と同期部分はそれぞれA側とB側の2つに分割される。また図16では、同期式発振回路410が他の4つの同期式発振回路410から同期信号SyncA1’、SyncA2’、SyncA3’、SyncA4’、SyncB1’、SyncB2’、SyncB3’及びSyncB4’を入力するものとする。なお図16において、A側発振用論理ゲート401a、B側発振用論理ゲート401b、A側同期用ラッチ回路405a、A側同期用論理ゲート406a、B側同期用ラッチ回路405b、B側同期用論理ゲート406b及び初期化用論理ゲート402には、全てNORゲートが用いられているが、勿論NANDゲートなど他の論理ゲートが用いられても良い。
【0052】
発振部分では、A側発振用論理ゲート401a、A側発振用コンデンサ404a、B側発振用論理ゲート401b及びB側発振用コンデンサ404bが環状に配線され、さらにA側発振用論理ゲート401a及びB側発振用論理ゲート401bの出力と入力が、それぞれA側発振用抵抗403a及びB側発振用抵抗403bを用いて配線される。すなわち、A側発振用論理ゲート401aは複数(ここでは3つ)の入力端子を備え、各々の入力端子が、A側発振用コンデンサ404aの1つの端子、初期化用論理ゲート402の出力端子及びA側同期用ラッチ回路405aの出力端子に配線される。さらにA側発振用抵抗403aが、A側発振用コンデンサ404aに接続されたA側発振用論理ゲート401aの入力端子と、A側発振用論理ゲート401aの出力端子との間を接続する。同様に、B側発振用論理ゲート401bは複数(ここでは2つ)の入力端子を備え、各々の入力端子が、B側発振用コンデンサ404bの1つの端子、初期化用論理ゲート402の出力端子及びB側同期用ラッチ回路405bの出力端子に配線される。さらにB側発振用抵抗403bが、B側発振用コンデンサ404bに接続されたB側発振用論理ゲート401bの入力端子と、B側発振用論理ゲート401bの出力端子との間を接続する。最後に、A側発振用コンデンサ404a及びB側発振用コンデンサ404bの開放端子が、それぞれB側発振用論理ゲート401b及びA側発振用論理ゲート401aの出力端子に接続される。
【0053】
さて、A側発振用論理ゲート401aの出力端子の電圧がHighレベルである場合、分岐点Eの電圧もHighレベルになる。したがってクロック信号ClockAもHighレベルになる。また分岐点E及びFにおいて、A側発振用論理ゲート401aの出力端子から供給される電流は、クロック信号ClockA、A側発振用抵抗403a、B側発振用コンデンサ404b及び初期化用論理ゲート402に分配される。A側発振用抵抗403aに分配された電流は、分岐点Gにおいて、A側発振用論理ゲート401a及びA側発振用コンデンサ404aに分配される。分岐点Gの電圧が分岐点E及びFの電圧と等しくなるまで、A側発振用コンデンサ404aは、分配された電流を入力する。分岐点Gの電圧がHighレベルになると、分岐点Hの電圧もHighレベルになるので、同期信号SynchA0’もHighレベルになる。さらにA側発振用論理ゲート401aの1つの入力端子の電圧がHighレベルになるので、A側発振用論理ゲート401aの出力端子の電圧がLowレベルになる。一方で、A側発振用論理ゲート401aの出力端子の電圧がLowレベルの場合、分岐点Gの電圧が分岐点E及びFの電圧と等しくなるまで、A側発振用コンデンサ404aは電流を出力する。この電流は、分岐点Gにおいて、A側発振用論理ゲート401a及びA側発振用抵抗403aに分配される。A側発振用抵抗403aに分配された電流は、分岐点Eにおいて、B側発振用コンデンサ404bからの電流と合流し、A側発振用論理ゲート401aの出力端子に流入する。分岐点Gの電圧がLowレベルになると、分岐点Hの電圧もLowレベルになるので、同期信号SynchA0’もLowレベルになる。さらにA側発振用論理ゲート401aの他の入力端子の電圧もLowレベルになると、A側発振用論理ゲート401aの出力端子の電圧がHighレベルになる。
【0054】
同様に、B側発振用論理ゲート401bの出力端子の電圧がHighレベルである場合、分岐点Iの電圧もHighレベルになる。したがってクロック信号ClockBもHighレベルになる。また分岐点I、J及びKにおいて、B側発振用論理ゲート401bの出力端子から供給される電流は、クロック信号ClockB、B側発振用抵抗403b、A側発振用コンデンサ404a及び初期化用論理ゲート402に分配される。B側発振用抵抗403bに分配された電流は、分岐点Lにおいて、B側発振用論理ゲート401b及びB側発振用コンデンサ404bに分配される。分岐点Lの電圧が分岐点I、J及びKの電圧と等しくなるまで、B側発振用コンデンサ404bは、分配された電流を入力する。分岐点Lの電圧がHighレベルになると、分岐点Mの電圧もHighレベルになるので、同期信号SynchB0’もHighレベルになる。さらにB側発振用論理ゲート401bの1つの入力端子の電圧がHighレベルになるので、B側発振用論理ゲート401bの出力端子の電圧がLowレベルになる。一方で、B側発振用論理ゲート401bの出力端子の電圧がLowレベルの場合、分岐点Lの電圧が分岐点I、J及びKの電圧と等しくなるまで、B側発振用コンデンサ404bは電流を出力する。この電流は、分岐点Lにおいて、B側発振用論理ゲート401b及びB側発振用抵抗403bに分配される。B側発振用抵抗403bに分配された電流は、分岐点Jにおいて、A側発振用コンデンサ404aからの電流と合流し、B側発振用論理ゲート401bの出力端子に流入する。分岐点Lの電圧がLowレベルになると、分岐点Mの電圧もLowレベルになるので、同期信号SynchB0’もLowレベルになる。さらにB側発振用論理ゲート401bの他の入力端子の電圧もLowレベルになると、B側発振用論理ゲート401bの出力端子の電圧がHighレベルになる。
【0055】
なお、A側発振用コンデンサ404a及びB側発振用コンデンサ404bに蓄えられる電荷量は、A側発振用論理ゲート401a及びB側発振用論理ゲート401bの出力端子の電圧の差に依存する。
【0056】
ここでA側発振用抵抗403a及びB側発振用抵抗403bの抵抗値を共にRオームとし、A側発振用コンデンサ404a及びB側発振用コンデンサ404bの容量を共にCファラッドとすると、発振部分は、時定数RCに応じて自励発振をすることにより、2つのクロック信号ClockA及びClockBと、2つの同期信号SyncA0’及びSyncB0’を生成することができる。
【0057】
同期部分では、同期信号SyncA1’、SyncA2’、SyncA3’、SyncA4’、SyncB1’、SyncB2’、SyncB3’及びSyncB4’に応じて、A側同期用ラッチ回路405aとA側同期用論理ゲート406a、及びB側同期用ラッチ回路405bとB側同期用論理ゲート406bが、それぞれA側発振用論理ゲート401a及びB側発振用論理ゲート401bを制御する。
【0058】
すなわち、A側同期用論理ゲート406aの複数の入力端子(ここでは4つ)に、それぞれ同期信号SyncA1’、SyncA2’、SyncA3’及びSyncA4’が入力され、A側同期用論理ゲート406aの出力端子がA側同期用ラッチ回路405aの1つの入力端子に配線される。またA側同期用ラッチ回路405aのもう1つの入力端子に同期信号SyncAO’が入力される。したがって、同期信号SyncA1’、SyncA2’、SyncA3’及びSyncA4’の全てがLowレベルである場合、A側同期用ラッチ回路405aの出力信号QSA’はLowレベルになる。さらに同期信号SyncA0’がLowレベルであれば、A側発振用論理ゲート401aの出力端子はHighレベルになることができる。ただし、同期信号SyncA1’、SyncA2’、SyncA3’及びSyncA4’のうちいずれか1つでもHighレベルである場合、同期信号SyncA0’がHighレベルになれば、A側同期用ラッチ回路405aの出力信号QSA’はHighレベルになる。しかも同期信号SyncA0’が再度Lowレベルになっても、A側同期用ラッチ回路405aの出力信号QSA’はHighレベルのままである。したがって同期信号SyncA0’、SyncA1’、SyncA2’、SyncA3’及びSyncA4’の全てがLowレベルにならなければ、A側発振用論理ゲート401aの出力端子はHighレベルになることができない。
【0059】
同様に、B側同期用論理ゲート406bの複数の入力端子(ここでは4つ)に、それぞれ同期信号SyncB1’、SyncB2’、SyncB3’及びSyncB4’が入力され、B側同期用論理ゲート406bの出力端子がB側同期用ラッチ回路405bの1つの入力端子に配線される。またB側同期用ラッチ回路405bのもう1つの入力端子に同期信号SyncBO’が入力される。したがって、同期信号SyncB1’、SyncB2’、SyncB3’及びSyncB4’の全てがLowレベルである場合、B側同期用ラッチ回路405bの出力信号QSB’はLowレベルになる。さらに同期信号SyncB0’がLowレベルであれば、B側発振用論理ゲート401bの出力端子はHighレベルになることができる。ただし、同期信号SyncB1’、SyncB2’、SyncB3’及びSyncB4’のうちいずれか1つでもHighレベルである場合、同期信号SyncB0’がHighレベルになれば、B側同期用ラッチ回路405bの出力信号QSB’はHighレベルになる。しかも同期信号SyncB0’が再度Lowレベルになっても、B側同期用ラッチ回路405bの出力信号QSB’はHighレベルのままである。したがって同期信号SyncB0’、SyncB1’、SyncB2’、SyncB3’及びSyncB4’の全てがLowレベルにならなければ、B側発振用論理ゲート401bの出力端子はHighレベルになることができない。
【0060】
これにより同期部分は、同期信号SyncA0’及びSyncB0’の位相と周期を、同期信号SyncA1’、SyncA2’、SyncA3’、SyncA4’、SyncB1’、SyncB2’、SyncB3’及びSyncB4’の位相と周期に合わせることができる。
【0061】
初期化用論理ゲート402は、電源投入時などにA側発振用論理ゲート401a及びB側発振用論理ゲート401bを制御することにより、同期信号SyncA0’及びSyncB0’の位相を決定するものである。図16の場合、初期化用論理ゲート402として2入力NORゲートが用いられている。この初期化用論理ゲート402の2つの入力端子が、それぞれA側発振用論理ゲート401a及びB側発振用論理ゲート401bの出力端子に配線され、しかも初期化用論理ゲート402の出力信号Osc’がA側発振用論理ゲート401aの入力端子のうちの1つに入力されているので、A側発振用論理ゲート401a及びB側発振用論理ゲート401bの出力端子の電圧が共にLowレベルの時だけ、出力信号Osc’はHighレベルになる。このような状態は、A側発振用論理ゲート401a、A側発振用抵抗403a、A側発振用コンデンサ404a、A側同期用ラッチ回路405a、A側同期用論理ゲート406a、B側発振用論理ゲート401b、B側発振用抵抗403b、B側発振用コンデンサ404b、B側同期用ラッチ回路405b、B側同期用論理ゲート406b及び初期化用論理ゲート402の低品質及び故障が原因である場合、及びノイズにより同期式発振回路410が誤動作した場合を除いて、電源投入時に限られる。したがって初期化用論理ゲート402は、電源投入時にA側発振用論理ゲート401aの出力端子の電圧をLowレベルに固定することができる。これにより、B側発振用論理ゲート401bの出力端子の電圧がHighレベルになるので、同期信号SyncA0’及びSyncB0’の位相が電源投入時に決定される。
【0062】
なお、図16では同期式発振回路410が他の4つの同期式発振回路410から同期信号を入力する場合を示したが、接続される同期式発振回路410の数に応じてA側同期用論理ゲート406a及びB側同期用論理ゲート406bの入力数を変更するか、さもなくばA側同期用論理ゲート406a及びB側同期用論理ゲート406bの入力端子のうち不必要なものをプルダウンすれば良い。
【0063】
図16の同期式発振回路410は、TTL(Transistor−Transistor Logic)及びECL(エミッタ結合論理回路)など多くの半導体技術を用いて実装することができる。ただしCMOS(相補形金属酸化膜半導体)のようなFET(電界効果型トランジスタ)を用いた場合には、A側発振用コンデンサ404a及びB側発振用コンデンサ404bに蓄えられた電荷がA側発振用論理ゲート401a、A側同期用ラッチ回路405a、B側発振用論理ゲート401b及びB側同期用ラッチ回路405bの入力端子に一斉に流れた場合、A側発振用論理ゲート401a、A側同期用ラッチ回路405a、B側発振用論理ゲート401b及びB側同期用ラッチ回路405bのいずれかが破壊される恐れがある。図17に示すように、同期式発振回路410では、この問題を回避するためにA側入力抵抗407a及びB側入力抵抗407bが用いられる。これにより、A側発振用コンデンサ404a及びB側発振用コンデンサ404bに蓄えられた電荷が、A側発振用論理ゲート401a、A側同期用ラッチ回路405a、B側発振用論理ゲート401b及びB側同期用ラッチ回路405bの入力端子に一斉に流れることはない。またA側入力抵抗407a及びB側入力抵抗407bにより、A側発振用論理ゲート401a及びB側発振用論理ゲート401bの入力端子に流れる電流が減少するので、A側入力抵抗407aとA側発振用コンデンサ404a、及びB側入力抵抗407bとB側発振用コンデンサ404bから求められる時定数の精度も上がる。なおA側入力抵抗407a及びB側入力抵抗407bの抵抗値を共にR0オームとする。抵抗値R0は電源電圧、A側発振用論理ゲート401a、A側同期用ラッチ回路405a、B側発振用論理ゲート401b及びB側同期用ラッチ回路405bの入力特性、及び容量Cなどを参考にして決定する。
【0064】
さて、LSI技術を用いて論理ゲートのみならず抵抗及びコンデンサを実現したとしても、図16及び17の個々の部品の性能にはばらつきが生じる。まして同期式発振回路410に望み通りのクロック周波数を発生させることは困難である。そこで図18に示すように、A側発振用コンデンサ404aの代りに水晶振動子408を用いることにより、同期式発振回路410が水晶振動子408の振動数に合わせて自励発振することができる。ただしB側発振用コンデンサ404bの容量Cは、同期式発振回路410がおおよそ水晶振動子408の振動数で自励発振するような値に設定する必要がある。
【0065】
ここまでは同期式発振回路410単体の回路構成について説明してきた。以下では、複数(ここでは3個)の同期式発振回路410a〜410cが接続された場合に、同期式発振回路410a〜410cがお互いにどのように同期を取るのか、タイミングチャートを用いて説明する。なおCMOSの場合、入力インピーダンスが高い上、入力電圧のしきい値が電源電圧と接地電圧の中央に設定され得るので、以下のタイミングチャートはCMOSを念頭に作成されている。ただしTTL及びECLなどの場合でも、タイミングチャートは同様の波形となる。
【0066】
まず図19に示すように、3つの同期式発振回路410a〜410cが接続された場合を考える。なお、図19において、同期式発振回路410a〜410cをSOUと略記する。各々の同期式発振回路410a〜410cの同期信号SyncA0’及びSyncB0’は、それぞれ残りの同期式発振回路410a〜410cのA側同期用論理ゲート406a及びB側同期用論理ゲート406bに入力される。したがってA側同期用論理ゲート406a及びB側同期用論理ゲート406bは2入力論理ゲートであれば良い。これら3つの同期式発振回路410a〜410cが安定して自励発振しているとき、同期式発振回路410aのタイミングチャートを図20に示す。なお、全ての同期式発振回路410a〜410cは対称的なので、同期式発振回路410b及び410cのタイミングチャートも同様である。
【0067】
図20から明らかなように、同期式発振回路410a〜410cが自励発振している場合には、クロック信号ClockA及びClockBが同時にHighレベル(Hレベル)になることはない。そのため初期化用論理ゲート402の出力は常にLowレベル(Lレベル)となる。またA側発振用論理ゲート401a及びB側発振用論理ゲート401bの真理値表の非対称性に従い、A側発振用コンデンサ404a及びB側発振用コンデンサ404bの電圧が放電によりA側発振用論理ゲート401a及びB側発振用論理ゲート401bの入力電圧のしきい値に到達した時点を起点として同期式発振回路410a〜410cが自励発振する。
【0068】
図21に示すように、同期信号SyncA1’及びSyncB1’の波形が何らかの理由により短くなった場合、同期式発振回路410は同期信号SyncA1’及びSyncB1’に関係なく動作する。したがってクロック信号ClockA及びClockBに対して影響はない。なお、同期信号SyncA1’及びSyncB1’を生成する同期式発振回路410は、同期信号SyncA1’及びSyncB1’を同期信号SyncA0’、SyncA2’、SyncB0’及びSyncB2’の位相に合わせるように動作する。
【0069】
図22に示すように、同期信号SyncA2’及びSyncB2’の波形が何らかの理由により長くなった場合、同期式発振回路410aは、同期信号SyncB0’(又はSyncA0’)の位相を同期信号SyncB2’(又はSyncA2’)の位相に合わせるように動作する。したがってクロック信号ClockA及びClockBの周期は同期信号SyncB2’(又はSyncA2’)の周期に合わせて長くなる。
【0070】
図23に示すように、同期信号SyncA1’及びSyncB1’の波形が何らかの理由により短くなり、同期信号SyncA2’及びSyncB2’の波形が何らかの理由により長くなった場合、同期式発振回路410aは同期信号SyncB0’(又はSyncA0’)の位相を同期信号SyncB2’(又はSyncA2’)の位相に合わせるように動作する。したがってクロック信号ClockA及びClockBの周期は同期信号SyncB2’(又はSyncA2’)の周期に合わせて長くなる。
【0071】
上記より、3つの同期式発振回路410a〜410cは、これらのうち最も周期が長いものに同期することが判る。このことは、時定数が微妙に異なる同期式発振回路410が接続された場合にも成り立つ。
【0072】
図24に示すように、電源投入時に全ての信号の電圧は0ボルトとなるので、A側発振用論理ゲート401a及びB側発振用論理ゲート401bの出力、つまりクロック信号ClockA及びClockBはLレベルと見なされる。したがって初期化用論理ゲート402の出力、つまり信号Osc’は直ちにHレベルに変化する。同時にクロック信号ClockA及びClockBもHレベルに変化する。しかしながら信号Osc’がHレベルになると、クロック信号ClockAは強制的にLレベルに変更されるので、結果としてクロック信号ClockBのみがHレベルとなる。このとき信号Osc’はLレベルになり、その後Lレベルを持続する。これにより電源投入後、同期信号SyncA0’及びSyncB0’の位相が一意に決定される。
【0073】
ここまでは同期式発振回路410を3つ接続した場合のタイミングチャートについて説明したが、3つの同期式発振回路410のうち少なくとも1つに、同期式発振回路410を用いた場合も同様の動作をする。ただし水晶振動子408の周期は一定であると見なせるので、水晶振動子408を含まない同期式発振回路410の位相が、水晶振動子408を含む同期式発振回路410の位相に合うように、水晶振動子408を含まない同期式発振回路410の波形の長さが優先的に変化する。したがって、同期式発振回路410のネットワークにおいて、水晶振動子408を含む同期式発振回路410が少なくとも1つあれば、ネットワーク全体のクロック周波数を一定に保つことができる。
【0074】
さて、同期式発振回路410は、必ずしも図19のように他の全ての同期式発振回路410と接続される必要はない。そこで以下では、同期式発振回路410が規則的に配列された場合について説明する。
【0075】
図25に示すように、二次元発振回路ネットワークは、正方格子状に配列された同期式発振回路410を隣接同士接続したネットワークである。この場合、A側同期用論理ゲート406a及びB側同期用論理ゲート406bの入力数は4となる。なお、辺縁の同期式発振回路410において、接続先のないA側同期用論理ゲート406a及びB側同期用論理ゲート406bの入力はプルアップ又はプルダウンされるものとする。同期式発振回路410を正方格子状に配列する代りに、図26に示すように六角格子状に配列して隣接同士を接続することもできる。このように同期式発振回路410が規則的に配置されることにより、全ての同期信号用信号線の長さがほぼ等しくなるので、同期式発振回路410は互いに同期し易くなる。したがって、パイプライン処理装置、DSP(Digital Signal Processor)、シストリックアレイ、データフロープロセッサ、及び並列画像処理装置のように大規模で規則的なデジタル回路431に対して、これらの二次元ネットワークは、外部からのクロック信号を分配する場合に比べて、クロック信号を容易に供給することができる。
【0076】
そこで、正方格子状に配列された同期式発振回路410が、図12に示すように三次元LSIに実装された連動式カウンタ416、デジタル回路431及びアナログ回路432にクロック信号を供給する場合を考えてみる。
【0077】
例えば、図27の場合、正方格子状に配列された同期式発振回路410が第4層に実装され、正方格子状に配列された連動式カウンタ416が第2層及び第6層に実装され、デジタル回路431が第1層、第3層及び第5層に実装され、アナログ回路432が第7層に実装されている。つまり、図12の第4層に、正方格子状に配列された同期式発振回路410が挿入されている。なお、図27において、太線は連動信号を表し、細線は同期信号を表し、破線はクロック信号を表す。また連動信号、同期信号及びクロック信号を除く信号線は省略されているが、連動式カウンタ416カウント数の信号線は、図12と同様に配線されているものとする。このとき第4層にある全ての同期式発振回路410は同じ位相と周期のクロック信号を生成するので、第2層及び第6層に実装された全ての連動式カウンタ416は、同じ位相と周期のクロック信号を入力することができる。したがって、第2層及び第6層に実装された各々の連動式カウンタ416を用いることにより、第1層、第3層及び第5層に実装された全てのデジタル回路431と、第7層に実装された全てのアナログ回路432は、リセット信号及び割り込み信号のような、三次元LSIの外部から入力される大域信号を一斉に入力することができるばかりでなく、互いに適当なタイミングで通信をすることができる。
【0078】
なお、図27の場合、正方格子状に配列された同期式発振回路410が第4層に実装されているが、三次元LSIにおいて垂直方向の配線距離は水平方向の配線距離に比べて極めて短くなるので、各々の同期式発振回路410のクロック信号の伝搬遅延時間は無視できるほど小さいと見なされる。したがって、正方格子状に配列された同期式発振回路410は、第1層など他の層に実装されても良い。また、図11に示された連動式カウンタ416と同様に、正方格子状に配列された同期式発振回路410が複数の層に実装されても良い。
【0079】
以上、本実施形態を説明したが、本発明は上述の実施形態には限定されることはなく、当業者であれば種々なる態様を実施可能であり、本発明の技術的思想を逸脱しない範囲において本発明の構成を適宜改変できることは当然であり、このような改変も、本発明の技術的範囲に属するものである。
【0080】
【発明の効果】
請求項1〜2記載の発明によれば、連動式カウンタは、位相が異なる複数の連動信号を入力したとしても、連動式カウンタは、これらの連動信号の中から最も位相が遅れたものを選んで連動信号を生成すると共に、連動信号の位相に合わせたカウント数を出力することができる。したがって、複数の連動式カウンタがLSI(Large Scale Integrated Circuit)全体に分散されたとしても、全ての連動式カウンタが互いに連動信号を通信するならば、全ての連動式カウンタの連動信号の位相は最も遅れたものに一致し、これらの連動式カウンタのカウント数も一致する。これらのカウント数はクロック信号の整数倍の時間を表しているので、これらの連動式カウンタは、LSI全体に同一のタイマ信号を供給することができる。また、これらのカウント数はクロック信号の分周信号となるので、これらの連動式カウンタはLSI全体に同一の分周信号も供給することができる。一方で、近年のLSIの大規模化及びクロック信号の高速化により、LSIには消費電力の低減が求められているので、LSI設計者はLSIの部分毎に細かくクロック制御をしなければならない。しかしながら、長距離配線による伝搬遅延時間の顕在化及びクロックスキューの問題により、LSI設計者は、クロック信号を単純に分周しただけではタイミング設計を行うことが困難になってきている。そこで本発明を用いることにより、LSI設計者は、高周波数のクロック信号に対応したLSIを容易に設計することができるようになる。
【0081】
請求項3及び4記載の発明によれば、カウンタネットワークは、連動信号の配線量を抑えながら、パイプライン処理装置、DSP(Digital Signal Processor)、シストリックアレイ、データフロープロセッサ、及び並列画像処理装置など大規模になればなるほど性能が向上する並列システムの全体に、クロック信号に同期した分周信号及びタイマ信号を供給することができるので、LSI設計者は伝搬遅延時間の問題を回避しながら大規模な並列システムを設計することができる。特に、同期式発振回路から構成されるネットワークを用いた場合、このネットワークはクロック信号を生成するので、LSI設計者は、LSIの外部からクロック信号を供給する必要がなくなる。そこで連動式カウンタがクロック信号をN分周して、N分周信号を生成した場合、隣接する連動式カウンタが生成するN分周信号の位相差は、2π/Nラジアン以下、つまりクロック信号の1周期以内である。つまり、同期式発振回路が高周波数のクロック信号を生成し、しかもNが大きくなればなるほど、N分周信号の位相差は0ラジアンに近づく。したがって、LSI設計者は、高周波のクロック信号を用いたLSIを容易に設計できるようになる。
【0082】
請求項5記載の発明によれば、連動式カウンタの配置が容易になるので、連動式カウンタのネットワークは、プロセッサ及び演算回路などのデジタル回路に分周信号及びタイマ信号を安定的に供給することができる。しかもこれらのデジタル回路はどの連動式カウンタからでも分周信号及びタイマ信号を入力することができるので、LSI設計者はデジタル回路を自由に配置することができる。
【0083】
請求項6記載の発明によれば、LSI全体に配置されたデジタル回路及びアナログ回路はLSIの任意の場所から発信された信号を同時に受信することができる。特にシステムLSIのように1つのLSIに複数の機能ブロックが実装される場合、クロック信号の周波数が高くなればなるほど、リセット信号、割込信号及び入出力信号のタイミングが合うように個々の機能ブロックの設計を変更することは難しくなる。しかしながら本発明を用いることにより個々の機能ブロックの配置に関係なく、最大伝搬遅延時間のみを考慮するだけでリセット信号、割込信号及び入出力信号のタイミングを制御することができるので、LSI設計者はこれらの機能ブロックの設計を殆んど変更することなくこれらの機能ブロックを1つのLSIの中に実装することができるようになる。また、SIMD(Single Instruction Stream Multi Data Stream)型マルチプロセッサのように、多数のプロセッサが同じ命令を入力する場合、命令を記憶しているメモリから各プロセッサへの信号の伝搬遅延時間が異なるにも関わらず、全てのプロセッサが同じタイミングで動作しなければならない。しかしながら本発明を用いることにより、クロック周波数に依らず、命令を全てのプロセッサに同時に供給することができるので、LSI設計者は容易にプロセッサを設計することができるようになる。さらに、同期式発振回路から構成されるネットワークを用いた場合、同期式発振回路がクロック信号を生成することにより、クロック信号の周波数が高くても全ての連動式カウンタは一斉に動作することができる。三次元LSI技術を用いることにより、連動式カウンタ及び同期式発振回路はそれ以外のデジタル回路及びアナログ回路から容易に分離されるので、LSI設計者は、連動式カウンタ及び同期式発振回路と、連動式カウンタ及び同期式発振回路を除いたデジタル回路及びアナログ回路と、を独立に高速化することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】基本的な連動式カウンタの回路図である。
【図2】同期式カウンタが6まで数える連動式カウンタの回路図である。
【図3】3つの連動式カウンタから構成されるネットワークのブロック図である。
【図4】3つの連動式カウンタが同期した場合のタイミングチャートである。
【図5】3つの連動式カウンタのうち1つの位相が進んだ場合のタイミングチャートである。
【図6】3つの連動式カウンタのうち1つの位相が遅れた場合のタイミングチャートである。
【図7】3つの連動式カウンタの位相が異なる場合のタイミングチャートである。
【図8】正方格子状に配列された連動式カウンタから構成されるネットワークのブロック図である。
【図9】六角格子状に配列された連動式カウンタから構成されるネットワークのブロック図である。
【図10】互いの距離が等しくなるように配列された連動式カウンタから構成されるネットワークのブロック図である。
【図11】格子が重なるように連動式カウンタを積層した場合の説明図である。
【図12】連動式カウンタ、デジタル回路及びアナログ回路を積層した場合の説明図である。
【図13】信号分配用フリップフロップ回路の出力によって信号分配用ラッチ回路がリセットされる場合において、信号分配用デコーダの出力のうち3番及び5番を用いて出力信号を生成する連動式信号分配回路の回路図である。
【図14】信号分配用デコーダの出力のうち3番及び5番を用いて出力信号を生成する連動式信号分配回路のタイミングチャートである。
【図15】信号分配用デコーダの出力によって信号分配用ラッチ回路がリセットされる場合において、信号分配用デコーダの出力のうち3番及び5番を用いて出力信号を生成する連動式信号分配回路の回路図である。
【図16】基本的な同期式発振回路の回路図である。
【図17】入力抵抗を用いた同期式発振回路の回路図である。
【図18】水晶振動子を用いた場合の同期式発振回路の回路図である。
【図19】3つの同期式発振回路から構成されるネットワークのブロック図である。
【図20】3つの同期式発振回路が同期した場合のタイミングチャートである。
【図21】3つの同期式発振回路のうち1つの位相が進んだ場合のタイミングチャートである。
【図22】3つの同期式発振回路のうち1つの位相が遅れた場合のタイミングチャートである。
【図23】3つの同期式発振回路の位相が異なる場合のタイミングチャートである。
【図24】3つの同期式発振回路に電源が投入された場合のタイミングチャートである。
【図25】正方格子状に配列された同期式発振回路から構成されるネットワークのブロック図である。
【図26】六角格子状に配列された同期式発振回路から構成されるネットワークのブロック図である。
【図27】連動式カウンタ、同期式発振回路、デジタル回路及びアナログ回路を積層した場合の説明図である。
【符号の説明】
401a A側発振用論理ゲート
401b B側発振用論理ゲート
402 初期化用論理ゲート
403a A側発振用抵抗
403b B側発振用抵抗
404a A側発振用コンデンサ
404b B側発振用コンデンサ
405a A側同期用ラッチ回路
405b B側同期用ラッチ回路
406a A側同期用論理ゲート
406b B側同期用論理ゲート
407a A側入力抵抗
407b B側入力抵抗
408 水晶振動子
410 同期式発振回路
411 同期式カウンタ
412a 終り値判定用論理ゲート
412b 終り値判定用論理回路
413 連動用ラッチ回路
414 連動用論理ゲート
415 カウント用論理ゲート
416 連動式カウンタ
421 信号分配用デコーダ
422 信号分配用ラッチ回路
423 信号分配用論理ゲート
424 信号分配用フリップフロップ回路
431 デジタル回路
432 アナログ回路

Claims (6)

  1. 同期式カウンタ、終り値判定用論理ゲート、連動用ラッチ回路、連動用論理ゲート及びカウント用論理ゲートを含む連動式カウンタであって、
    前記終り値判定用論理ゲートが、前記同期式カウンタが出力するリップルキャリーアウト信号から連動信号を生成すること、
    前記カウント用論理ゲートが前記連動信号を入力すること、
    前記カウント用論理ゲートの出力が前記同期式カウンタの動作を制御すること、により、
    前記同期式カウンタが前記リップルキャリーアウト信号を出力した際に、前記連動信号が前記同期式カウンタの動作を停止させること、
    前記連動用ラッチ回路が前記連動信号及び前記連動用論理ゲートの出力を入力すること、
    前記連動用ラッチ回路の出力が前記カウント用論理ゲートの前記出力を制御すること、により、
    前記同期式カウンタの前記動作が停止した際に、前記連動用ラッチ回路の前記出力が前記同期式カウンタの前記動作を開始させること、
    を特徴とする連動式カウンタ。
  2. 同期式カウンタ、終り値判定用論理回路、連動用ラッチ回路、連動用論理ゲート及びカウント用論理ゲートを含む連動式カウンタであって、
    前記同期式カウンタが同期クリア手段及び同期ロード手段のうち少なくとも1つを備え、
    前記終り値判定用論理回路が、前記同期式カウンタが出力するカウント数から連動信号を生成すること、
    前記カウント用論理ゲートが前記連動信号を入力すること、
    前記カウント用論理ゲートの出力が前記同期式カウンタの動作を制御すること、により、
    前記同期式カウンタの前記カウント数が終り値になった際に、前記連動信号が前記同期式カウンタの動作を停止させること、
    前記連動用ラッチ回路が前記連動信号及び前記連動用論理ゲートの出力を入力すること、
    前記連動用ラッチ回路の出力が前記カウント用論理ゲートの前記出力を制御すること、により、
    前記同期式カウンタの前記動作が停止した際に、前記連動用ラッチ回路の前記出力が前記同期式カウンタの前記動作を開始させること、
    前記同期式カウンタが前記連動信号を入力することにより、
    前記同期式カウンタの前記動作が開始する際に、前記同期クリア手段及び前記同期ロード手段が前記同期式カウンタの初期値を設定すること、
    を特徴とする連動式カウンタ。
  3. 請求項1又は2記載の複数の連動式カウンタを含むカウンタネットワークであって、
    複数の前記連動式カウンタを平面内に配列したこと、
    各々の前記連動式カウンタが、隣接する1個以上の前記連動式カウンタと等距離に配置されること、
    各々の前記連動式カウンタが、隣接する1個以上の前記連動式カウンタと相互に前記連動信号を通信すること、
    各々の前記連動式カウンタから出力される前記連動信号が、隣接する1個以上の前記連動式カウンタが出力する前記カウント数をずらすこと、により、
    全ての前記連動式カウンタの前記カウント数が揃うことを特徴とするカウンタネットワーク。
  4. 請求項3記載のカウンタネットワークを、格子が重なるように積層したことを特徴とするカウンタネットワーク。
  5. 複数のデジタル回路又は複数のアナログ回路を含む第一の電子回路と、
    請求項3又は4記載の1個以上のカウンタネットワークと、
    を含む第二の電子回路が複数の層に積層され、
    第一の前記電子回路が、1個以上の前記カウンタネットワークのうち少なくとも1個の前記連動式カウンタから前記カウント数を入力することを特徴とするカウンタネットワーク。
  6. 請求項3、4又は5記載の1個以上のカウンタネットワークに対して、
    少なくとも1個の前記連動式カウンタが、
    信号分配用デコーダと、
    1個以上の信号分配用ラッチ回路と、
    1個以上の信号分配用論理ゲートと、
    1個以上の信号分配用フリップフロップ回路と、
    を備え、
    前記信号分配用デコーダが前記連動式カウンタの前記カウント数から複数の復号結果を出力すること、
    各々の前記信号分配用ラッチ回路が複数の入力信号のうちの1つを記憶すること、
    各々の前記信号分配用論理ゲートが、
    少なくとも1個の前記信号分配用ラッチ回路の出力と、
    前記信号分配用デコーダの複数の前記復号結果のうちの少なくとも1つと、
    を入力すること、
    各々の前記信号分配用フリップフロップ回路が、
    少なくとも1個の前記信号分配用論理ゲートの出力と、
    前記信号分配用デコーダの複数の前記復号結果のうちの少なくとも1つと、
    を入力すること、
    各々の前記信号分配用ラッチ回路が、
    前記信号分配用デコーダの複数の前記復号結果のうちの少なくとも1つと、
    少なくとも1個の前記信号分配用フリップフロップ回路の出力と、
    のうち少なくとも1つを用いて、記憶している前記入力信号をリセットすること、により、
    前記連動式カウンタの前記カウント数に応じて、各々の前記信号分配用フリップフロップ回路が、対応する1個の前記入力信号の出力開始時刻及び出力時間を変更することを特徴とする連動式信号分配回路。
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