JP4589193B2 - プレフィラブルシリンジ - Google Patents

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Description

本発明は、使用直前に予め薬液中に意図的に充填された気体(11)を、針先を上方に向けながら、プランジャーロッド(6)を押して注射針(7)の先端から脱気するよう設計されたプレフィラブルシリンジにおいて、脱気時、気泡の一部がフロントストッパー(3)下辺部に残留したまま薬液が針先端から流出し、注射の途中にその気泡が抜けて針先の方に移動し、体内に投与されるという現象を防止するために、ロックハブ(5)の内壁に、軸に沿って複数条の溝(23)と、収容したフロントストッパー(3)が自重で後退したときフロントストッパー(3)をロックハブ(5)の底部より少し浮いた状態で挟持するよう複数の突起(18)を設け、且つフロントストッパー(3)の複数の環状リブにはさまれた環状谷間(19)に、フロントストッパー(3)の下方の気泡が抜けきらない間に薬液の流入するのを阻止する複数の突起(24)を設けてなるプレフィラブルシリンジに関する。
プレフィラブルシリンジは、前端及び後端が開口された筒状容器(1)と、この筒状容器(1)内に気密性且つ液密性の薬液充填室(2)を設けるために摺動自在に挿入されたフロントストッパー(3)およびエンドストッパー(4)、エンドストッパー(4)に接続可能なプランジャーロッド(6)、筒状容器(1)先端に嵌着できプランジャーロッド(6)押出時に筒状容器(1)から押し出されたフロントストッパー(3)を収容して、その内壁とフロントストッパー(3)の外面との間隙から薬液を針基(9)に流すことができるロックハブ(5)および針基(9)を介してロックハブ(5)に嵌合することができる注射針(7)等を含んで構成されている。このプレフィラブルシリンジの基本構造については、特許文献1に詳しく記載されている。
特開2000−334043号公報
しかしこのプレフィラブルシリンジは、たとえば、沈降精製百日せきジフテリア破傷風混合ワクチン、沈降破傷風トキソイド、日本脳炎ワクチンなどワクチン類を収容したキットとして既に医療現場に供給されているが、シリンジに充填する薬液の種類によっては、投与直前に薬液を均一にするためにシリンジを数回反転させてよく混合する必要のあるものがある。たとえば、沈降破傷風トキソイドはアルミニウムゲルが配合されているので一定時間靜置したものは僅かではあるが沈降が認められる。その沈降物を均一に分散させるために使用直前にシリンジを数回反転させるのであるが、薬液充填室(2)に、薬液のみが密封された状態ではシリンジを反転させても薬液はあまり攪拌、混合されない。
そこで薬液収容室(2)に、意図的に少量(0.01〜1.0mL程度)の気体(11)を封入しておき、シリンジの反転時薬液の攪拌、混合が効率よく行われる様に工夫をすると共に、使用時まずシリンジの針先が斜め上を向く方向にしてプランジャーロッド(6)を静かに押し出すと、気体が、続いて薬液がフロントストッパー(3)とロックハブ(5)との間隙を擦り抜けて針先から出ていく様に、フロントストッパーの底面(13)の外縁に2〜数個の切り欠き部を設けたプレフィラブルシリンジの開発が進められた。
ところが薬液充填室(2)に気体(11)を封入しておくと、使用直前にプランジャーロッド(6)を押してフロントストッパー(3)をロックハブ(5)に押しやり、気体を針先から抜かなければならない。この脱気操作の際、気体がまだ完全には放出されていない時にフロントストッパー(3)の複数の環状リブにはさまれた環状谷間(19)に薬液が素早く回ってしまうと、フロントストッパー(3)の底部などに残留している気体の放出を阻止することになり、完全には脱気されないまま薬液が注射針(7)先端から流出し出し、注射の途中にその気泡が抜けて体内に投与されることがある。この傾向は、薬液に界面活性剤が配合されているような場合は一層強くなる。
また、脱気操作時、ロッドの押圧を解いたり緩めたりすると、フロントストッパー(3)は自重でロックハブ(5)の底部、つまり筒状容器(1)の前端(20)方向に後退するが、その時フロントストッパー(3)の底部がロックハブ(5)と円筒容器の先端部(20)との間の連結部を塞ぐ結果、気体の放出を妨げることもある。
本発明者らは、上記課題を解決するためにプレフィラブルシリンジにおけるロックハブの構造、フロントストッパーの材質や構造などを色々と変えて数多くのサンプルを試作し、それぞれ脱気テストを繰り返した結果、フロントストッパーの底面(13)の外縁に切り欠きがなく、且つ中心軸に対して直交する平面であるか、又はフロントストッパーの底面(13)から外周面(14)への連結部(12)がフロントストッパー(3)の中心軸に対して線対称をなす斜面および/または凸状曲面の面取部を形成させると共に、ロックハブ(5)の内壁に、複数の溝(23)と、収容したフロントストッパー(3)が後退したときフロントストッパー(3)を気体の通路を確保するためロックハブの底部から少し浮いた状態で挟持するよう複数の突起(18)を設け、且つフロントストッパー(3)の複数の環状リブにはさまれた環状谷間(19)に薬液の侵入を遅らせる複数の突起(24)を設けることにより、注射前に完全脱気を可能とすることができることを突き止め、さらに研究を重ねて本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は、
[1]
前端(20)および後端(21)が開口した筒状容器(1)、その筒状容器(1)内に気密性且つ液密性の薬液充填室(2)を設けるためにそれぞれ複数の環状リブ(15)、(25)を有して筒状容器(1)内にそれぞれ摺動自在に挿入されたフロントストッパー(3)およびエンドストッパー(4)、エンドストッパー(4)に接続が可能なプランジャーロッド(6)、筒状容器(1)の前端に嵌着され、プランジャーロッド(6)の押出時、筒状容器(1)から押し出されたフロントストッパー(3)を収容し、意図的に封入された気体(11)や薬液をその内壁とフロントストッパー(3)の側面との間隙から針基(9)方向に流すことができるロックハブ(5)およびロックハブ(5)に嵌合することができる注射針(7)を含んで構成されるプレフィラブルシリンジにおいて、ロックハブ(5)の内壁に、軸に沿って複数条の溝(23)と、収容したフロントストッパー(3)が後退したときフロントストッパー(3)を気体の通路を確保するためロックハブの底部から少し浮いた状態で挟持するよう複数の突起(18)を設け、フロントストッパー(3)の複数の環状リブにはさまれた環状谷間(19)に複数の突起(24)を設けてなるプレフィラブルシリンジ。
[2]フロントストッパーの底面(13)が中心軸に対して直交する平面であるか、又はフロントストッパーの底面(13)から外周面(14)への連結部(12)がフロントストッパー(3)の中心軸に対して線対称をなす斜面および/または凸状曲面の面取部を形成している[1]記載のプレフィラブルシリンジ。
[3]連結部(12)が面取部を形成し、フロントストッパーの底面(13)及び外周面(14)におけるそれぞれの面取開始線が、面取部を有しない場合の底面外縁(A)からそれぞれフロントストッパー(3)の直径の1/10〜1/2、高さの1/20〜1/4の位置にある請求項2記載のプレフィラブルシリンジ。
である。
本発明に係わるプレフィラブルシリンジは、図1に示すように、前端(20)および後端(21)が開口した筒状容器(1)、その筒状容器(1)内に薬液を密封する薬液充填室(2)を設けるために摺動自在に挿入されたフロントストッパー(3)、およびエンドストッパー(4)、エンドストッパー(4)に接続可能なプランジャーロッド(6)、プランジャーの押圧によりシリンジ先端から押し出されたフロントストッパー(3)を収容すると共に、その内壁に空気や薬液を針先方向に流出させることができる数条の溝を設けたロックハブ(5)および注射針(7)から構成されている。
シリンジを使用する前、ロックハブ(5)内には通常空気のみが存在している。薬液充填室(2)には溶液、懸濁液、乳液などの薬液が充填されているが、例えば、破傷風ワクチン、三種混合ワクチン、日本脳炎ワクチンなど、使用直前に薬液を均一に混合する必要のある薬液を充填した場合は、シリンジ反転時の混合を容易にするために少量(0.01〜1.0mL)の気体(11)、通常は空気、が封入されている。保存時フロントストッパー(3)およびエンドストッパー(4)は薬液充填室(2)の前後の液密性を保持して挿入されているので薬液が外に漏出することはない。
注射に際しては、図2に示すように、薬液混合後、まずプランジャーロッド(6)を押し上げるとその押圧によりフロントストッパー(3)が前進し、本発明のフロントストッパーの底面(13)の構造に起因して勢いよく飛び出すように筒状容器(1)の先端からロックハブ(5)内の奥深い位置に移動し、収容される。ロックハブ(5)の内壁には、軸に沿って複数条の溝(23)と、収容したフロントストッパー(3)が自重で後退したときフロントストッパー(3)を傾きなく少し浮かせた状態で挟持するよう複数の突起(18)が設けられており、気体および薬液がその溝を通って針基(9)に流出することができる構造になっている。したがってプランジャーロッド(6)の押圧によりまずフロントストッパー(3)がロックハブ(5)内に移動し、封入されていた気体(11)が溝(23)やフロントストッパー(3)の外周とロックハブ(5)との間隙を通って針先から外部に誘導、放出され、つづいて薬液も同じ経路で針の先端に達する。
フロントストッパー(3)は、その複数の環状リブ(15)にはさまれた環状谷間(19)に薬液の素早い回りを遅らせるための複数の突起(24)を設けてあるので、脱気操作時、フロントストッパー(3)のリブの谷間(19)への薬液の廻りが遅らされ、気体はフロントストッパー(3)の前進とともに円滑にロックハブ(5)とフロントストッパー(3)の隙間や溝(23)を通って針先から外に放出される。突起(24)の数は、一つの環状谷間(19)に3〜12個、好ましくは、4〜8個である。
フロントストッパー(3)の上面は、平坦でもよくまた気体や薬液の流出を容易にするため上面周縁に面取部や1〜数個の切り欠き(17)または突起を設けてもよい。
フロントストッパー(3)およびエンドストッパー(4)の素材としてはノルマルブチルゴム、ハロゲン化ブチルゴム、ブタジエンゴム、イソプレンゴム、イソブチレンゴムなどの弾性ゴム材料が挙げられるが、通常ハロゲン化ブチルゴムが用いられる。
それぞれのストッパーは摺動を円滑にし、且つ液密性を高めるため通常1〜数本の環状リブ(15)、(25)が設けられている。
フロントストッパー(3)およびエンドストッパー(4)の上面、下面には、洗浄時の水によるストッパー同士の付着を防止するために複数個、とくに2〜6個の小突起(16)が設けられていてもよい。
図3に示されるように、ロックハブ(5)の内壁面には、押圧によりフロントストッパー(3)がロックハブ(5)内に収容されたとき気体や薬液の通路を確保するために、シリンジの軸方向と平行に1〜16本、好ましくは3〜8本の溝(23)が設けられている。これらの溝は、図3−Bに示されるように、針基との連結部(22)にかけて周囲から放射状に集合する。又ロックハブの内壁には、フロントストッパー(3)が後退した折、フロントストッパー(3)を傾きなくかつその底部に気体や薬液の移動を容易にするために必要な程度の間隙を残して収容しうるように複数箇、通常3〜8箇の突起(18)を形成させる。
本発明の特徴をなす部分は、上述のフロントストッパー(3)の構造とロックハブ(5)の構造にあるが、そのほかにフロントストッパーの連結部(12)の構造にも工夫がある。
すなわちフロントストッパーの底面(13)から外周面(14)にかけての連結部(12)が、外縁の切り欠きがなく、且つフロントストッパー(3)の中心軸に対して直交する平面であるか、中心軸に対して線対称をなす斜面(図7)または凸状曲面からなる面取り部(12)を構成していることである。このフロントストッパー(3)の底部の構造により、脱気操作時、プランジャーからの押圧でフロントストッパー(3)は飛び出すようにロックハブ(5)の奥まで(針基に近い位置)移動し、フロントストッパー(3)の底部は、筒状容器(1)の先端開口部と間隙をもって収容される(図4)。この筒状容器(1)の先端開口部とフロントストッパー(3)下部の間に生じた隙間から、気体(11)がロックハブ(5)の内壁に設けられた溝(23)や、フロントストッパーの外周面(14)とロックハブ(5)の内壁の間隙を通り抜けて円滑に針基(9)に移行する。又ロックハブの内壁には、複数個の軸に沿った小突起(18)がもうけられているので、フロントストッパー(3)が後退した折、フロントストッパー(3)を傾きなく、かつその底面に空気や薬液の移動を容易にするために必要な程度の間隙を残して収容することができる。その結果、封入されていた空気や薬液は、スムースに針の方向に移動する。
これに対し、図8に示されるように、公知のフロントストッパーの底面構造が外周面と底面の接する角の2〜4個所に切り欠き(17)を設けたものは、フロントストッパーがロックハブ(5)内に移行する際に気体の一部が切り欠きを通ってロックハブ内に漏れるため、薬液充填室にあまり圧力が掛からず、フロントストッパー(3)が勢いよく飛び出さないのでロックハブ(5)の奥にまで収容され難い。その結果、筒状容器(1)先端の開口部と切り欠きを有するフロントストッパー底部付近に気泡が残留する率が高まる。
図7に示されるように、フロントストッパー(3)の下部の連結部(12)が面取部構成している場合、フロントストッパーの底面(13)及び外周面(14)におけるそれぞれの面取開始線が、面取部を有しない場合の底面外縁(A)からそれぞれフロントストッパー(3)の直径の1/10〜1/2、好ましくは1/5〜1/3、高さの1/20〜1/4、好ましくは1/10〜1/4(すなわち、図7のフロントストッパーの中軸断面図におけるA点からX点の長さがフロントストッパーの直径の1/10〜1/2、好ましくは1/5〜1/3であり、A点からY点の長さがフロントストッパーの高さの1/20〜1/4、好ましくは1/10〜1/4)であると、気泡残存率は極めて低くなる。面取り部に形成させる斜面は、単斜面に限らず、2〜複数の斜面、すなわち、多段の傾斜面を形成させてもよい。
面取部(12)が凸状曲面を構成している場合、曲面は中軸断面図において中軸線に対称な円弧又は、楕円弧を形成するものが好ましい。面取部(12)が、斜面と、凸状曲面を組み合わせたものでもよい。
また、フロントストッパー(3)の少なくとも面取部と底面を含む部分をフッ素樹脂で被覆しておくと、脱気は一層容易となる。フッソ樹脂の被覆層の厚みは、10〜100μm程度である。
エンドストッパー(4)の形状は、従来から使用されているものと同形でよく、摺動性と気密性、液密性を備えたものであれば特に限定されない。液密性を高めるため、1〜4周程度の環状リブ(25)を備えたものがよい。
針キャップ(8)、ロックハブ(5)、フィンガーグリップ(10)、プランジャーロッド(6)の形状、材質は、従来品のものでよく、たとえば、ポリプロピレンなどのような硬質プラスチックが用いられる。筒状容器(1)は、ガラス又は透明な硬質プラスチックが適している。
薬液投与前の脱気は、シリンジの針(7)を斜め上方に向け、ゆっくりとプランジャーロッド(6)を押し上げ、フロントストッパー(3)がロックハブ(5)内に収容されるのを確認してから更にプランジャーロッド(6)を押し上げると、気泡はフロントストッパー(3)の底部に残留することなくスムースに針先から排出される。
本発明によれば、シリンジの薬液充填室(2)に封入された気泡を使用直前に脱気する際、気泡(11)の一部がフロントストッパー(3)の下部周辺に付着したまま薬液が針先に移行するという、いわゆる気泡残留現象を、ほぼ確実に防止することができ、かつ薬液を円滑に注射することができる。
以下に実施例と実験例を挙げて本発明を具体的に説明する。
薬剤調製タンク中で1mLあたり精製百日せきワクチン含量が8国際単位以上、ジフテリアトキソイド含量が約30Lf及び破傷風トキソイド含量が約5Lf (Limit of flocculation)になるよう各ワクチン原液を添加した後、緩衝性の生理食塩液で希釈混合した。ついで1mLあたりフェノキシエタノール含量が3.5〜6.4μL(好ましくは5μL)となるよう添加した後、アルミニウム塩を1mLあたり0.2mgとなるよう加え、水酸化ナトリウム液でpHを5.4〜7.4の範囲になるよう調整した。この液をプレフィラブルシリンジに0.62〜0.67mL充填し、沈降精製百日せきジフテリア破傷風混合ワクチンキットとした。
沈降精製百日せきジフテリア破傷風混合ワクチン(1mL中)の処方
精製百日せきワクチン 8国際単位以上
ジフテリアトキソイド 約30Lf
破傷風トキソイド 約5Lf
アルミニウム塩 0.2mg
水酸化ナトリウム液 適量
フェノキシエタノール 5μL
緩衝性の生理食塩液 適量
薬剤調製タンク中で1mLあたりの不活化日本脳炎ウイルスがたん白含量として80μg以下となるよう緩衝性の生理食塩液で希釈混合し、ついで1mLあたりフェノキシエタノール含量が3.5〜6.4μL(好ましくは5μL)及びポリソルベート80含量が0.25μLとなるよう添加調整した。この液をプレフィラブルシリンジに0.62〜0.67mL充填し、日本脳炎ワクチンキットとした。
日本脳炎ワクチン(1mL中)の処方
不活化日本脳炎ウイルス(たん白量) 80μg以下
ポリソルベート80 0.25μL
フェノキシエタノール 5μL
緩衝性の生理食塩液 適量
〔実験例1〕
図1、図5及び7図に示したように、複数の環状リブ(15)にはさまれた環状谷間(19)に複数の突起(24)を持ち、直径7.3mm、高さ6mmで、底面及び外周面における面取開始点が、面取部を有しない場合の底面外縁点Aからそれぞれ1.5mm、0.5mmの面取部(12)を有し、且つその面取部の外周面との接点にR0.1の円弧状面取部を有したフロントストッパー及びロックハブ(5)の内壁に、軸に沿って複数条の溝(23)及び収容したフロントストッパー(3)が後退したときフロントストッパー(3)を気体の通路を確保するためロックハブの底部から少し浮いた状態で挟持するよう複数の突起(18)を設けたシリンジ(本発明品)、図8に示した底面に3カ所の切り欠き(17)があり、直径7.3mm、高さ6mmのフロントストッパーを持ち、溝(23)及び突起(24)を有しないロックハブを持つシリンジ(従来品)及び突起(24)、ロックハブ(5)の内壁の溝(23)及び突起(18)を有しない以外は本発明品と同じ構成のシリンジ(比較品)のそれぞれ90本に、実施例2の日本脳炎ワクチンを0.67mLずつ充填し、静置した。
シリンジを取り出し、手で3回反転し、液を振り混ぜて均等に分散させた後、シリンジからキャップを外した。先端を上に約30〜45度斜めにして、プランジャーロッドをゆっくりと押し、フロントストッパーをロックハブ内に移動させ、気泡を抜く操作をした。この脱泡操作の後、目視にて残留気泡の存在の有無を確かめた。
その結果、従来品では、90本中、4本に、比較品では90本中、2本にそれぞれ外部から容易に確認できる大きさの気泡が残留したのに対して、本発明品の場合は、90本中気泡が残留したものは全くなかった。
〔実験例2〕
実験例1と同様にして、実施例1の沈降精製百日せきジフテリア破傷風混合ワクチンをシリンジに充填し、実験例1と同様にして比較品と本発明品における気泡を抜く実験を行った。
その結果、比較品では、90本中、1本に外部から容易に確認できる大きさの気泡が残留したのに対して、本発明品の場合は、90本中気泡が残留したものは全くなかった。
本発明のプレフィラブルシリンジは、たとえば、沈降破傷風トキソイドワクチンなどのように、静置しておいた場合に沈降物が認められるような注射液に、投与直前にシリンジ内の薬液を均一に混合するために薬液収容部に意図的に空気を挿入しておき、シリンジを数回反転させてよく混合する用に設計された注射器に適して効果がある。
本発明のシリンジの保存時の状態(薬液充填室に気泡が封入された状態)を示す断面図 本発明のシリンジの脱気を終えた時点での断面図 3−Aはフロントストッパー収容前のロックハブ断面図、3−Bは筒状容器の方から見た端面図 ロックハブと収容されたフロントストッパーの透視図 図4のフロントストッパーの下方から視た斜視図 6−Aはフロントストッパーの底面図、6−Bはフロントストッパーの縦断面図および6−Cはフロントストッパーの頂部図 面取部が斜面であるフロントストッパーの断面図 従来のフロントストッパーの斜視図
符号の説明
1 筒状容器
2 薬液充填室
3 フロントストッパー
4 エンドストッパー
5 ロックハブ
6 プランジャーロッド
7 注射針
8 針キャップ
9 針基
10 フィンガーグリップ
11 気泡
12 フロントストッパーの面取部
13 フロントストッパーの底面
14 フロントストッパーの外周面
15 フロントストッパーの環状リブ
16 フロントストッパー上面、底面の付着防止小突起
17 フロントストッパー上面部の切り欠き
18 ロックハブ内壁に設けられた突起
19 環状リブに挟まれた環状谷間
20 筒状容器の前端
21 筒状容器の後端
22 ロックハブと針基との連結部
23 ロックハブ内壁に設けられた溝
24 フロントストッパーの環状谷間に設けられた突起
25 エンドストッパーの環状リブ
図7におけるAは、面取部が無い場合のフロントストッパー縦断面図における
底面の外縁点
図7におけるXは、フロントストッパー縦断面図における底面の面取開始点
図7におけるYは、フロントストッパー縦断面図における外周面の面取開始点

Claims (3)

  1. 前端(20)および後端(21)が開口した筒状容器(1)、その筒状容器(1)内に気密性且つ液密性の薬液充填室(2)を設けるためにそれぞれ複数の環状リブ(15)、(25)を有して筒状容器(1)内にそれぞれ摺動自在に挿入されたフロントストッパー(3)およびエンドストッパー(4)、エンドストッパー(4)に接続が可能なプランジャーロッド(6)、筒状容器(1)の前端に嵌着され、プランジャーロッド(6)の押出時、筒状容器(1)から押し出されたフロントストッパー(3)を収容し、意図的に封入された気体(11)や薬液をその内壁とフロントストッパー(3)の側面との間隙から針基(9)方向に流すことができるロックハブ(5)およびロックハブ(5)に嵌合することができる注射針(7)を含んで構成されるプレフィラブルシリンジにおいて、ロックハブ(5)の内壁に、軸に沿って複数条の溝(23)と、収容したフロントストッパー(3)が後退したときフロントストッパー(3)を挟持するよう複数の突起(18)を設け、フロントストッパー(3)の複数の環状リブの環状谷間(19)に複数の突起(24)を設けてなるプレフィラブルシリンジ。
  2. フロントストッパーの底面(13)が中心軸に対して直交する平面であるか、又はフロントストッパーの底面(13)から外周面(14)への連結部(12)がフロントストッパー(3)の中心軸に対して線対称をなす斜面および/または凸状曲面の面取部を形成している請求項1記載のプレフィラブルシリンジ。
  3. 連結部(12)が面取部を形成し、フロントストッパーの底面(13)及び外周面(14)におけるそれぞれの面取開始線が、面取部を有しない場合の底面外縁(A)からそれぞれフロントストッパー(3)の直径の1/10〜1/2、高さの1/20〜1/4の位置にある請求項2記載のプレフィラブルシリンジ。

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