JP4588377B2 - 化粧料の簡易処方作成システム - Google Patents
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例えば、ワックスなどの基材の種類によっては、艶消しのマットタイプになったり、艶やかなグロスタイプになったりするし、パール材を含んだ場合には、その種類や量によって、さらに違ったものになる。
例えば、顧客の要望にマッチした化粧料を実現するための処方を決めることは難しく、さまざまな処方を作成したベテランの知識や勘に頼っているのが現状である。
そのために、顧客の要望や、流行に合わせて新しい化粧料を開発する際に、非常に多くの手間と時間とが掛かってしまうという問題があった。
これにより、ユーザーの要望やトレンドなどの市場動向にマッチした製品開発が簡単にできるようになる。
また、第3の発明によれば、入力手段を処理手段とは別々に、離れた場所に設置することもでき、使い勝手がよい。例えば、ユーザーの意見を収集する際などにも便利である。
この発明の化粧料の簡易処方作成システムは、図1に示すように、管理コンピュータCと、この管理コンピュータCに通信手段としてのインターネットNを介して接続したこの発明の入力手段である複数のユーザー端末1とからなる。
上記管理コンピュータCは、化粧料メーカーが管理するコンピュータであり、上記ユーザー端末1は、化粧料のユーザーが使用するパソコンである。
そして、ユーザー端末1から入力された信号に基づいて、上記処理部5が化粧料の簡易処方を作成する。
口紅を構成する主な材料は、ワックスやオイルなどの基材と、その中に練り込まれて分散される顔料などの色材と、パール材である。上記パール材とは、パールの輝きをまねた粉体の材料で、これを色材とともに基材に練り込んで、口紅にパールのような輝きを与えることができる。ここでは、パールの輝きのような感じを、パール感ということにする。そして、この第1実施形態で簡易処方の作成を行う口紅は、色材、基材、パール材によって構成されるものである。ただし、すべての口紅が、パール材を含む必要はない。
また、図3に示すのは、色ごとの色濃度レベルに対応した色材割合(%)のデータである。上記色材割合とは、化粧料全体に占める色材の割合である。つまり、基材と、色材と、場合によってはパール材とからなる口紅全体の分量を100(%)としたときの、色材量の割合を色材割合としている。
例えば、色1の色濃度レベル2の場合、色材割合は4(%)であるが、色2では、同じ色濃度レベル2でも、色材割合は6(%)である。
質感の種類として、マット、グロス、これらの中間のスタンダードなどを設定し、それぞれのタイプの質感を実現するための基材処方を対応づけている。基材処方とは、ワックスとオイルの種類と、各ワックスおよびオイルの比率を規定したデータであるが、ここで、ワックスの比率やオイルの比率は、基材の総量に対する比率である。例えば、質感がマットの場合には、ワックスWaと、ワックスWbと、オイルOcと、オイルOdとを用い、それぞれを、wa:wb:wc:wd比率で用いるというデータである。
ただし、ワックス、オイルなど基材の総量は、あとで説明するパール材割合が決まらなければ、特定できない。
なぜなら、上記したように、色濃度レベルによって口紅全体に占める色材割合が変わるため、パール材割合を同じにしても、色濃度によってパール濃度レベルが違ってしまうことがあるからである。例えば、同じパール材割合でも色濃度レベルが高い場合には、色材の強さにパール感が隠されてしまい、その結果パール濃度レベルは低くなってしまう。従って、色濃度レベルによって、同じパール濃度レベルを実現するためのパール材割合を変えているのである。
ここでは、特定のユーザーが、ユーザー端末1から入力した特定信号に基づいて管理コンピュータCの処理部5が簡易処方を作成する。上記ユーザー端末1は、口紅の処方を決定するために必要なデータをユーザーに選択させるため、色見本などをディスプレイに表示する。ユーザー端末1に表示する色見本は、口紅として実現可能な色として、色データ記憶部2が色材処方を対応づけて記憶している色である。
ユーザー側で色が特定されたら、次に、色濃度レベルを選択させる。そのために、ユーザー端末1には、上記特定された色に関して、濃度レベルの異なる色見本を表示させ、その中から、ユーザーに濃度レベルを選択させる。ユーザー端末1で、色濃度レベルが特定されると、色濃度特定信号がユーザー端末1から上記処理部5へ入力され、処理部5は入力された色濃度特定信号に基づいて色材割合を特定する。
ここでは、色濃度レベル3が特定されたものとし、処理部5は、図3のデータから、四角で囲んだ色1の色濃度レベル3の色材割合6(%)を特定する。
さらに、ユーザーにパール感を選択させ、処理部5は、パール感特定信号を受信したら、そのパール感特定信号に基づいてパール材処方を特定する。例えば、パール感Aを特定した場合には、パール材Pa,Pbとその比率pa:pbを特定する(図5参照)。そして、パール濃度レベル1〜3のいずれかが選択されたら、上記ユーザー端末1からパール濃度特定信号が処理部5へ入力される。ここでは、パール濃度レベル3が特定されたものとする。
以上のように、色材、パール材、基材の種類および量が特定されれば、口紅としての簡易処方を作成することができる。
ただし、上記色材処方の顔料比率を、a:b:c=1:1:1とし、パール材比率を、pa:pb=2:1とし、基材比率を、wc:wd:oe:of=1:1:6:9とする。
まず、顔料A,B,Cからなる色材総量である色材割合が6(%)であり、それぞれの比率は1:1:1であることから、処理部5は、顔料A,B,Cの割合を、それぞれ2(%)と算出する(図7参照)。
処理部5は、パール材Pa,Pbからなるパール総量の口紅全体に対するパール材割合が9(%)であり、パール材の比率が2:1であることから、パール材Pa,Pbの割合を、それぞれ、6(%)、3(%)と算出する。
その結果、処理部5は、図7に示す簡易処方を完成し、出力装置6に出力する。
上記のように、このシステムによれば、ユーザー端末1から口紅の見た目に関する特定信号を入力すると、そのデータに基づいて、上記処理部5が、自動的に口紅の簡易処方を作成することができる。従って、従来のように、ベテランでなくても、目的の口紅の処方を決定することができる。
そして、色データ記憶部2が記憶しているデータは、図2,図3に示すデータであり、パール感データ記憶部4が記憶しているデータは、図5に示すデータである。ただし、図1の質感データ記憶部3が記憶しているデータは、第1実施形態と異なり、図8に示すデータである。
上記基材は、口紅の質感を決める材料であり、ワックスやオイルの組み合わせや、量によって異なる質感を実現するようにしている。
そして、上記質感データ記憶部3が記憶しているデータに基づいて基材量が特定され、色材、パール材との合計が、100(%)に満たない場合には、その不足分を補正材で補うようにしている。なお、上記補正材としては、それを添加しても質感に影響を与えない種類のワックスなどである。
この第2実施形態でも、管理コンピュータCの処理部5が、ユーザー端末1から入力される特定信号に基づいて簡易処方を作成するものとする。そして、ユーザー端末1から入力される各特定信号が、上記第1実施形態と同じ例について説明する。
つまり、色1、色濃度レベル3、パール感A、パール濃度レベル3、質感としてスタンダードが特定された場合である。そして、図9に示すように、色材、パール材の各比率は、図6に示す第1実施形態と同じである。ただし、スタンダードの質感に対応する基材処方はワックスWc,Wd,オイルOe,Ofの比率がwc:wd:oe:ofであり、口紅全体に対する基材割合は65(%)である。なお、上記基材の比率wc:wd:oe:of=1:1:5:6とする(図9参照)。
これに対し、第1実施形態のシステムでは、基材の種類の組み合わせが質感に大きく寄与し、その総量の変化は、ほとんど質感に影響しないような基材を用いることが好ましい。また、基材以外の材料の総割合が変化しても、基材割合が質感に影響を与えない範囲内で変化するように各材料の割合を設定しておけばよい。
多数のユーザーから入力された特定信号を集計して、トレンドを把握し、トレンドにマッチした処方を作成することもできる。
なお、ユーザーに、各要素を選択させるための方法は、どのような方法でもかまわない。ディスプレイに色見本を表示させてその中から選択させるためには、ユーザー端末1のディスプレイを調整して、実際の口紅の色を表示できるようにする必要がある。
また、印刷物などの色見本を用いて、選択された色番号をユーザー端末1から入力するようにしてもよい。
また、上記出力装置6は、ディスプレイ、プリンターなど、作成された簡易処方を出力できる装置ならどんなものでもかまわないし、処理部5と通信手段を介して接続した装置でもかまわない。
さらに、この発明のシステムは、上記実施形態の口紅の代わりに、他のメーキャップ化粧料にも同様に適応できる。
2 色データ記憶部
3 質感データ記憶部
4 パール感データ記憶部
5 処理部
Claims (3)
- 複数の色と、これら色ごとにその色を実現する色材の色材処方を対応付けて記憶するとともに、複数の色濃度レベルを記憶し、かつ、上記色ごとに色材が化粧料全体の中で占める色材割合を各色濃度レベルに対応付けて記憶する色データ記憶手段と、マットやグロス等の複数の質感を記憶するとともに、これら質感ごとにその質感を実現する基材の基材処方を対応付けて記憶する質感データ記憶手段と、複数のパール感と、これらパール感ごとにそのパール感を実現するパール材のパール材処方を対応付けて記憶するとともに、複数のパール濃度レベルと上記複数の色濃度レベルとを記憶し、かつ、上記パール感ごとにパール材が化粧料全体の中で占めるパール材割合をパール濃度レベルおよび色濃度レベルに対応付けて記憶するパール感データ記憶手段と、上記色データ記憶手段、質感データ記憶手段およびパール感データ記憶手段と接続する処理手段と、この処理手段と接続する入力手段とを備え、上記処理手段は、入力手段から入力された色特定信号に基づいて、色データ記憶手段から色を特定し、この特定した色に対応する色材処方を抽出する機能と、入力手段から入力された色濃度特定信号に基づいて、色データ記憶手段から色濃度レベルを特定し、上記特定した色および色濃度レベルに対応する色材割合を抽出する機能と、入力手段から入力された質感特定信号に基づいて、質感データ記憶手段から質感を特定し、この特定した質感に対応する基材処方を抽出する機能と、入力手段から入力されたパール感特定信号に基づいて、パール感データ記憶手段からパール感を特定し、この特定したパール感に対応するパール材処方を抽出する機能と、入力手段から入力されたパール濃度特定信号に基づいて、パール感データ記憶手段からパール濃度レベルを特定し、上記特定したパール感に対応し、かつ、上記特定したパール濃度レベルおよび色濃度レベルに対応するパール材割合を抽出する機能と、上記抽出した色材割合およびパール材割合の合計と、化粧料全体の割合との差を、上記抽出した基材処方の基材が化粧料全体の中で占める基材割合として算出する機能と、上記抽出した色材処方、色材割合、基材処方、パール材処方およびパール材割合と、算出した基材割合とから簡易処方を作成する機能とを備えたことを特徴とする化粧料の簡易処方作成システム。
- 複数の色と、これら色ごとにその色を実現する色材の色材処方を対応付けて記憶するとともに、複数の色濃度レベルを記憶し、かつ、上記色ごとに色材が化粧料全体の中で占める色材割合を各色濃度レベルに対応付けて記憶する色データ記憶手段と、マットやグロス等の複数の質感と、これら質感ごとにその質感を実現する基材の基材処方を対応付けて記憶するとともに、上記質感ごとに基材が化粧料の中で占める基材割合を記憶する質感データ記憶手段と、複数のパール感と、これらパール感ごとにそのパール感を実現するパール材のパール材処方を対応付けて記憶するとともに、複数のパール濃度レベルと上記複数の色濃度レベルとを記憶し、かつ、上記パール感ごとにパール材が化粧料全体の中で占めるパール材割合をパール濃度レベルおよび色濃度レベルに対応付けて記憶するパール感データ記憶手段と、上記色データ記憶手段、質感データ記憶手段およびパール感データ記憶手段と接続する処理手段と、この処理手段と接続する入力手段とを備え、上記処理手段は、入力手段から入力された色特定信号に基づいて、色データ記憶手段から色を特定し、この特定した色に対応する色材処方を抽出する機能と、入力手段から入力された色濃度特定信号に基づいて、色データ記憶手段から色濃度レベルを特定し、上記特定した色および色濃度レベルに対応する色材割合を抽出する機能と、入力手段から入力された質感特定信号に基づいて、質感データ記憶手段から質感を特定し、この特定した質感に対応する基材処方と基材割合とを抽出する機能と、入力手段から入力されたパール感特定信号に基づいて、パール感データ記憶手段からパール感を特定し、この特定したパール感に対応するパール材処方を抽出する機能と、入力手段から入力されたパール濃度特定信号に基づいて、パール感データ記憶手段からパール濃度レベルを特定し、上記特定したパール感に対応し、かつ、上記特定したパール濃度レベルおよび色濃度レベルに対応するパール材割合を抽出する機能と、上記抽出した色材割合、基材割合およびパール材割合の合計と、化粧料全体の割合との差を、上記質感に影響を及ぼさない材料である補正材が化粧料全体の中で占める補正材割合として算出する機能と、上記抽出した色材処方、色材割合、基材処方、基材割合、パール材処方およびパール材割合と、算出した補正材割合とから簡易処方を作成する機能とを備えたことを特徴とする化粧料の簡易処方作成システム。
- 上記入力手段は、通信手段を介して処理手段に接続することを特徴とする請求項1または2に記載の化粧料の簡易処方作成システム。
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