JP4587535B2 - 複合構造物の剥離検知方法および検知装置 - Google Patents

複合構造物の剥離検知方法および検知装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、互いに接着・付着されている複数の構造部分の接着・付着状態を検知する複合構造物の剥離検知方法および剥離検知装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
複合構造物としては、例えば、橋梁やトンネルなどに使用されるコンクリートを補強するために、FRP(繊維強化プラスチック)や鋼板などの補強材を接着剤を用いて前記コンクリートに接着したもの、あるいは鉄骨コンクリート構造のように接着剤を用いずに硬化前のコンクリートの付着力により、コンクリートと鋼材とを相互に付着させたもの、さらに相互間の打継面を界面としてコンクリート同士を付着させたもの、などがある。
【0003】
これらの複合構造物は、いずれもコンクリートや鋼材などの構造部分相互が接着または付着されて構造部分相互間に界面が存在し、この界面における接着・付着状態が経時変化などにより悪化し、複合構造物として全体の強度低下を引き起こす恐れがあるので、接着・付着状態を検査する必要がある。
【0004】
従来の検査方法としては、例えば、超音波や遠赤外線を利用した非破壊検査法、あるいは単に目視や打音による診断を行う方法が採用されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記したような従来の方法では、目視や打音検査については、計測精度に自ずと限界があり、超音波や遠赤外線による非破壊検査法については、非実用性などの問題がある。また、接着・付着状態を検査する時期が、例えば定期的に行うなど、限られたものになるのが現実で、接着・付着状態に対し、常時監視ができず、接着・付着状態の悪化をリアルタイムに検知できないものとなっている。特に、目視検査の場合には、作業者の熟練が必要になることから正確さを欠くこともあり、信頼性の点で不充分なものとなっている。また、定期的に振動付与作業や、目視作業を行う必要があることから、極めて効率の悪い作業であると言える。
【0006】
そこで、この発明は、複合構造物の各構造部分相互の接着・付着状態を、効率よく高精度に、常時監視できるようにすることを目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するために、請求項1の発明は、複合構造物の互いに接着・付着されている構造部分の接着・付着状態を検知するための複合構造物の剥離検知方法において、前記複合構造物の接着・付着界面を間に挟んで該界面の両側の前記各構造部分に光ファイバをそれぞれ施設し、この光ファイバの各構造部分に対する施設部位の歪みをそれぞれ計測することで、前記構造部分相互の剥離を検知する方法としてある。
【0008】
請求項2の発明は、請求項1の発明の剥離検知方法において、接着・付着界面を間に挟んで該界面の両側の前記各構造部分に施設している光ファイバの歪みをそれぞれ計測し、この各計測値相互の差または計測値の分布状況に基づいて、構造部分相互の剥離を検知する方法としてある。
【0009】
請求項3の発明は、請求項1または2の発明の剥離検知方法において、光ファイバは、各構造部分に対し、接着・付着部に沿って互いに並行して施設され、所定位置の接着・付着部近傍の前記各構造部分への光ファイバの施設部位の歪みをそれぞれ計測する方法としてある。
【0010】
請求項4の発明は、請求項1ないし3のいずれかの発明の剥離検知方法において、光ファイバ内に所定長のパルス信号からなる測定光を入射させ、この入射した測定光のパルス長に対応した前記光ファイバの被測定長部分での反射光の周波数分布を解析することで、前記被測定長部分の歪みを計測する方法としてある。
【0011】
請求項5の発明は、請求項4の発明の剥離検知方法において、各構造部分に局所測定長領域をそれぞれ設定し、この局所測定長領域に施設される光ファイバの被測定長部分の長さを、歪み計測器の最小距離分解能より長く設定した方法としてある。
【0012】
請求項6の発明は、請求項4または5の発明の剥離検知方法において、光ファイバにおける相互に隣接する被測定長部分相互間に、各構造部分の歪みの影響を受けないよう施設されるフリー部分を設ける方法としてある。
【0013】
請求項7の発明は、請求項4ないし6のいずれかの発明の剥離検知方法において、光ファイバは、被測定長部分の両端が、各構造部分に対して固定されている方法としてある。
【0014】
請求項8の発明は、複合構造物の互いに接着・付着されている構造部分の接着・付着状態を検知するための複合構造物の剥離検知装置において、前記複合構造物の接着・付着界面を間に挟んで該界面の両側の前記各構造部分にそれぞれ施設した光ファイバと、この光ファイバの各構造部分に対する施設部位の歪みをそれぞれ計測する歪み計測器と、この歪み計測器により計測した各歪み計測値相互の比較または計測値の分布状況から前記接着・付着状態の良否を判断する剥離判断手段とを有する構成としてある。
【0015】
請求項9の発明は、請求項8の発明の構成において、歪み計測器は、光ファイバ内に所定長のパルス信号からなる測定光を入射させ、この入射した測定光のパルス長に対応した前記光ファイバの被測定長部分での反射光の周波数分布を解析することで、前記被測定長部分の歪みを計測する構成としてある。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の形態を図面に基づき説明する。
【0017】
図1は、この発明の実施の一形態に係わる複合構造物の剥離検知装置の簡略化した全体構成図で、図2は、図1の拡大されたA−A断面図である。複合構造物を構成する一方の構造部分となるコンクリート1の下面には、前記複合構造物を構成する他方の構造部分となるFRP3が、接着剤5によって接着されてコンクリート1の補強がなされている。
【0018】
コンクリート1の接着剤5側の幅方向(図2中で左右方向)ほぼ中央には、図1中で左右方向に延長される溝1aが形成され、この溝1a内に、光ファイバ7がコンクリート1に対して接着などにより固定された状態で収容され、その一端は、図1中で左方向に引き出されて歪み計測器9に接続されている。光ファイバ7の他端側は、コンクリート1から外部に引き出され、FRP3の接着剤5と反対側の表面に、前記溝1aに沿った状態で接着などにより固定されている。
【0019】
光ファイバ7のコンクリート1に固定された部位をコンクリート側センサ部7aとし、FRP3に固定された部位をFRP側センサ部7bとする。この各センサ部7a,7bは、コンクリート1とFRP3との接着部に沿って互いに並行に配置されたものとなっている。
【0020】
歪み計測器9には、剥離判断手段としての剥離検知器10が接続されている。剥離検知器10は、歪み計測器9が計測した歪み値に基づいて、コンクリート1とFRP3との接着状態の良否を判断する。
【0021】
歪み計測器9は、光ファイバ7内に、所定長のパルス信号からなる測定光であるパルス光Pを入射させ、この入射したパルス光Pのパルス長に対応した光ファイバ7の、所定の被測定長部分での反射光の周波数分布を解析することにより、光ファイバ7における被測定長部分の歪みを計測する。
【0022】
次に、上記した光ファイバ7における被測定長部分に対する歪み計測方法の原理を説明する。
【0023】
図3は、光ファイバ内における入射光に対する散乱光(反射光)の代表的なスペクトラムを示している。このうちブリルアン散乱光は、単色性(コヒーレンシー)が高い入射光が媒体中に生じる音波と相互作用し、媒質固有の周波数だけずれるもので、この現象は、ブリルアン周波数シフトと呼ばれている。
【0024】
上記したブリルアン周波数シフトは、温度による変化量が、歪みによる変化量に対して極めて少ない(0.002%/℃)ため、歪みによるブリルアン周波数シフトの変化量を計測するうえで、温度変化が小さい場合(5℃)には、温度の影響を無視することができる。このため、ブリルアン周波数シフトの変化量を求めることにより、光ファイバに発生した歪みを計測することが可能となる。仮に、温度変化が大きい場合であっても、あらかじめ温度変化による歪みを計測しておくことで、温度の影響を補正することができるので、実用上は問題ない。
【0025】
光ファイバ中のブリルアン散乱は、レーリー散乱と比べて約2桁程度微弱なため、コヒーレント検波技術、光周波数変換技術を採用した歪み計測器9が採用されている。
【0026】
図4は、上記した歪み計測器9の基本構成のブロック図である。光源11から発光した光周波数νの連続光(信号光)は、光周波数変換器13によりΔνの周波数シフトを受け、光パルス変調器15でパルス変調され、光周波数ν+Δνのパルス光Pとして光ファイバ7の片端から入射される。パルス光Pの入射により、光ファイバ7の中で生じる後方散乱光の一つであるブリルアン散乱光Bが発生し、このブリルアン散乱光Bと参照光とが、高感度測定が可能なコヒーレント光受信器17に入力される。コヒーレント光受信器17では、受信信号であるブリルアン散乱光Bと参照光との周波数差を小さく制御する必要がある。ブリルアン散乱光Bは、発生過程で周波数がシフトするため、あらかじめ光周波数変換器13を用いて信号光の周波数をシフトしている。
【0027】
上記したブリルアン散乱光Bは、光波と光ファイバ7中の音波との相互作用により誘起されて光周波数が下方にシフトされ、このときのブリルアン散乱光Bの周波数シフト分布から光ファイバ7の歪み分布を測定する。
【0028】
図5は、ブリルアン散乱光の光周波数分布を示している。実線aが歪みなしの波形で破線bが歪みありの波形である。歪み量は、その周波数シフト量(f2−f1)に比例することから、このシフト量を計測することによって得ることができる。光ファイバ7内での計測位置(前述した所定の被測定長部分に相当)は、パルス光Pを光ファイバ7に入射してからその散乱光が観測されるまでの時間を計ることによって求めることができる。
【0029】
図6は、得られたブリルアン散乱光の波形図である。光ファイバ7における位置Z1からZ2にわたる歪み発生部分Zにおいて、f1からf2に周波数シフトしているのがわかる。このときの歪みεは周波数シフト量に比例している。
【0030】
上記した歪み計測器9を用いて光ファイバ7の歪みの計測をするが、このとき、コンクリート1とFRP3とが接着されている、図1中で左右方向の領域Hにおいて、コンクリート側センサ部7aおよびFRP側センサ部7bの図1中で左右方向の同一部位について歪みの計測をそれぞれ行う。そして、剥離検知器10が、各センサ部7a,7bの計測値相互の差を算出し、その差が、あらかじめ設定した所定値以上となった場合に、コンクリート1とFRP3との接着状態が不良であるとして、剥離が発生したと判断する。なお、上記した計測値相互の差に代えて、計測値の分布状況によっても剥離の判断が可能である。
【0031】
光ファイバ7に対する歪みの計測は、前述したように、パルス光Pが光ファイバ7に入射してからその散乱光が観測されるまでの時間を計ることによって求めることができることから、光ファイバ7のコンクリート1およびFRP3に対する施設領域Hの範囲における任意の位置で可能でありかつ、光ファイバ7の施設位置に沿って連続して可能である。
【0032】
図7は、コンクリート1を左右の2カ所の支持部19,21にて支持し、各支持部19,21相互間の中央部にて荷重Tをコンクリート1に対して付加する実験装置である。図7(a)は剥離が発生していない状態であり、図7(b)は剥離が発生している状態である。なお、図7では接着剤5を省略してある。
【0033】
ここで、計測した光ファイバ7の歪みεは、被測定長部分の長さをL、この長さLにおける伸びもしくは縮みをΔLとすると、ΔL/Lに等しいものとする。つまりε=ΔL/Lである。そして、コンクリート側センサ部7aの歪み計測値をε、FRP側センサ部7bによる歪み計測値をεとすると、図7(a)では、剥離が発生していないことから、コンクリート1とFRP3の変形量がほぼ等しいので、ε=εであり、図7(b)では、剥離の発生によりFRP3の変形がコンクリート1の変形より大きくなっているので、ε<εである。また、ここでの図1における施設領域Hに相当する光ファイバ7の歪み計測長さは、180cmである。
【0034】
図8は、図7にて荷重Tを付加した中央部位の歪みεおよびεを計測し、この歪みの差Q=ε−εと、荷重T(KN)と関係を示している。これによれば、荷重T=80KNが付加されたB点からC点との間で、歪みの差Qの変化が大きくなっている。上記B点で、接着剤5にひび割れが発生し、これを起点として剥離が発生した。
【0035】
荷重Tを110KNまで上昇させたD点とE点との間での歪みの差Qの変化はさらに大きくなっており、このD点で剥離の進展がみられた。荷重Tをさらに上昇させ、荷重T=128KNが付加されているG点とその前のF点との間での歪みの差Qの変化はさらに大きくなっており、このG点で最終的な剥離破壊を生じた。破壊直前に計測した荷重T=127.6KNで、最終剥離が発生したと思われる。
【0036】
図9は、光ファイバ7における上記180cmの歪み計測長さでの各部(0〜180cmのうちの適宜部位)の歪みの差Qを、各荷重について示している。これによれば、荷重Tが付加される中央部S付近の歪みの差Qが大きく、この部位で剥離が発生していることになる。また、図8における最終的な剥離が発生したと思われる荷重T=127.6KNによるデータ線Rについては、中央部Sより左側の80cmの部位が最大となっている。
【0037】
このような剥離検知装置を用いた剥離検知方法によれば、歪み計測器9からパルス光Pを常時出力するようにすれば、コンクリート1とFRP3との接着状態を常時監視することができて接着状態の悪化をリアルタイムに検知でき、信頼性の向上が得られ、極めて実用的であると言える。また、従来のように定期的に振動付与作業や、目視作業を行う必要がないので、効率よくかつ高精度に剥離検知を行うことができる。
【0038】
なお、光ファイバ7に対する歪みの計測は、光ファイバ7のコンクリート1およびFRP3への施設領域Hの全長にわたり行ってもよいが、剥離が発生しやすい部位、換言すれば剥離が発生すると予想される部位のみを局所的に計測するようにしてもよい。剥離が発生しやすい部位としては、例えば、図1中で施設領域Hにおける左右両端部であり、この左右両端部の歪みを、特により狭い範囲、例えば約20cmの範囲を計測することで、剥離検知をより直接的に検知することができる。
【0039】
また、光ファイバ7は、コンクリート1およびFRP3に対し、その全長にわたり接着固定してもよいが、図10に示すように、所定間隔、例えば20cm程度の局所測定長領域となる間隔Mをおいて接着部23を設け、部分的に接着したほうが、計測安定性および精度の面で有利となる。これは、複合構造物を構成する構造部分、特に各種の結合材および骨材を含んでいるコンクリート1などでは、内部の構造が不均一であり、このため全長を接着すると、不均一構造の影響を受けて計測精度が不安定となり、剥離検知を精度よく行えないからである。
【0040】
図10のように光ファイバ7を部分的に接着する場合には、図10のB−B断面図である図11に示すように、コンクリート1側については、特に接着剤5に接触しないように、溝1aを図2に示したものより大きくする必要がある。なお、図11において光ファイバ7は、溝1aの左右の側壁に対しては強く拘束されない程度であれば接触していても構わない。
【0041】
また、上記した光ファイバ7の部分的な接着法を実現する手段として、図12に示すように、光ファイバ7を構成する素線25と被覆27と間に隙間を形成し、前記所定の間隔Mをおいて接着部29により素線25と被覆27とを固定する方法がある。この場合の光ファイバ7の外周は、コンクリート1側については、図2の場合と同様に、全長にわたり接着剤などにより固定する。
【0042】
なお、素線25と被覆27とが密着固定されている通常の光ファイバ7を、例えばビニールチューブなどに挿入し、このビニールチューブと光ファイバ7とを所定の間隔Mをおいて接着部29により部分的に接着固定するようにしてもよい。
【0043】
図13は、間隔Mに相当する局所測定長領域の測定データが、隣接する局所測定長領域の測定データの影響を受けないようにした例を示している。すなわち、間隔Mにおいて、光ファイバ7を施設し、間隔M相互間の光ファイバ7に、フリー部分7を設けて、間隔M相互間にある程度の距離(例えば、後述する最小距離分解能が1mの場合は、1m以上)を確保するとよい。フリー部分7cは、コンクリート1およびFRP3に、適宜収容凹部を設けるなどして固定せず、これによりフリー部分7cが検知する歪み値は零として扱え、このため隣接する局所測定長領域の歪み検知を明確に識別でき、計測精度をより向上させることができる。
【0044】
上記図13において、間隔Mにおける光ファイバ7の施設方法は、その全長にわたり接着固定してもよく、前記図10に示したように両端を接着固定する部分的な接着固定でもよい。部分接着の場合は、図12に示したような光ファイバ7を使用してもよい。
【0045】
ところで、前述したような歪み計測器9は、歪み計測可能領域、すなわち最小距離分解能があり、これが例えば1mであるとすると、1m未満の領域での計測結果は精度および安定性が不充分となる。このような場合、図10で説明したような20cmの間隔Mを局所測定長領域とした場合、それと同長の光ファイバによって計測するのでは充分な結果が得られない。
【0046】
そこで、図14に示すように、コンクリート1およびFRP3に対し、局所測定長領域(間隔M)における光ファイバ7の被測定長部分の長さが1mとなるようにループ部7dを設け、その全長をコンクリート1およびFRP3に接着固定する。すなわち、局所測定長領域に施設される光ファイバ7の被測定長部分の長さが、局所測定長領域より長く設定されることになる。これにより、1mの最小距離分解能の範囲内での計測が可能となり、極めて高精度に歪み計測を行うことができる。
【0047】
上記図14においては、局所測定長領域に施設される光ファイバ7の全長をコンクリート1およびFRP3に接着固定したが、前記図12に示したように素線25と被覆27とを部分的に接着固定した光ファイバ7を使用し、これを間隔M(局所測定長領域)においてループ部7dを設けてコンクリート1およびFRP3に接着固定してもよい。これにより、前記図10に示した部分的な接着による利点が得られる。
【0048】
また、図14の例においても、図13の例と同様に、相互に隣接する間隔M相互間の光ファイバ7に、フリー部分7cを設け、隣接する間隔M相互間の測定データが、互いに影響を及ぼさないようにしてもよい。
【0049】
なお、複合構造物としては、コンクリート1にFRP3を接着剤5にて接着したもののほかに、FRP3の代わりに鋼板を接着したものでもよく、また鉄骨コンクリート構造のように接着剤を用いずに硬化前のコンクリートの付着力によりFRPや鋼板をコンクリートに付着させたもの、あるいは相互間の打継面を界面としてコンクリート同士を付着させたものなどでもよい。
【0050】
【発明の効果】
以上説明してきたように、請求項1の発明によれば、複合構造物の互いに接着・付着されている複数の構造部分の接着・付着状態を、各構造部分に施設した光ファイバの歪みをそれぞれ計測することで、検知するようにしたので、光ファイバに入射した測定光の反射光の周波数分析によって歪み計測を行うことができ、構造部分相互の接着・付着状態を検知するにあたり、従来のように構造部分に対して振動を付与したり、目視によるなどの煩雑な作業が不要となり、高精度に常時監視を行うことができ、実用性を確保することができる。
【0051】
請求項2の発明によれば、光ファイバの各構造部分に対する施設部位の歪みをそれぞれ計測し、この各計測値相互の差または計測値の分布状況に基づいて、構造部分相互の剥離を検知するようにしたので、剥離検知を確実に行うことができる。
【0052】
請求項3の発明によれば、光ファイバは、各構造部分に対し、接着・付着部に沿って互いに並行して施設され、所定位置の接着・付着部近傍の各構造部分への光ファイバの施設部位の歪みをそれぞれ計測するようにしたので、剥離発生による歪み計測値に、より顕著な相異が生じ、剥離検知をより確実に行うことができる。
【0053】
請求項4の発明によれば、光ファイバ内に所定長のパルス信号からなる測定光を入射させ、この入射した測定光のパルス長に対応した光ファイバの被測定長部分での反射光の周波数分布を解析することで、被測定長部分の歪みを計測するようにしたので、剥離検知するにあたり、従来のように構造部分に対して振動を付与したり、目視によるなどの煩雑な作業が不要となり、高精度に常時監視を行うことができ、実用性を確保することができる。
【0054】
請求項5の発明によれば、各構造部分に局所測定長領域をそれぞれ設定し、この局所測定長領域に施設される光ファイバの被測定長部分の長さを、歪み計測器として必要な最小距離分解能より長く設定することで、歪み計測をより高精度かつ安定的に行うことができる。
【0055】
請求項6の発明によれば、光ファイバにおける相互に隣接する被測定長部分相互間に、各構造部分の歪みの影響を受けないよう施設されるフリー部分を設けたので、隣接する被測定長部分の測定データが互いに影響を受けず、歪み検知を明確に識別でき、計測精度をより向上させることができる。
【0056】
請求項7の発明によれば、光ファイバは、被測定長部分の両端が、各構造部分に対して固定されているので、構造部分の内部が不均一となっているような場合でも、この不均一構造の影響を受けることなく、歪み計測を高精度に行うことができる。
【0057】
請求項8の発明によれば、複合構造物の互いに接着・付着されている複数の構造部分の接着・付着状態を検知する剥離検知装置において、複合構造物の接着・付着界面付近の両側に施設した光ファイバと、この光ファイバの各構造部分に対する施設部位の歪みをそれぞれ計測する歪み計測器と、この歪み計測器により計測した各歪み計測値相互の比較または計測値の分布状況から前記接着・付着状態の良否を判断する剥離判断手段とを有する構成としたので、光ファイバに入射した測定光の反射光の周波数分析によって歪み計測を行うことができ、構造部分相互の接着・付着状態を検知するにあたり、従来のように構造物に対して振動を付与したり、目視によるなどの煩雑な作業が不要となり、高精度に常時監視を行うことができ、実用性を確保することができる。
【0058】
請求項9の発明によれば、歪み計測器は、光ファイバ内に所定長のパルス信号からなる測定光を入射させ、この入射した測定光のパルス長に対応した前記光ファイバの被測定長部分での反射光の周波数分布を解析することで、前記被測定長部分の歪みを計測するようにしたので、剥離検知するにあたり、従来のように構造部分に対して振動を付与したり、目視によるなどの煩雑な作業が不要となり、高精度に常時監視を行うことができ、実用性を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施の一形態に係わる複合構造物の剥離検知装置の簡略化した全体構成図である。
【図2】図1の拡大されたA−A断面図である。
【図3】光ファイバ内における入射光に対する散乱光の代表的なスペクトラム特性図である。
【図4】歪み計測器の基本構成を示すブロック図である。
【図5】ブリルアン散乱光の光周波数分布特性図である。
【図6】ブリルアン散乱光の波形図である。
【図7】コンクリートに対し、左右の2カ所の支持部相互間の中央部にて荷重を付加した状態を示す説明図で、(a)は剥離が発生していない状態、(b)は剥離が発生している状態である。
【図8】図7にて荷重を付加した中央部位における、コンクリートおよびFRPに接着した各光ファイバの歪み計測値相互の差と荷重との相関図である。
【図9】図7にて荷重を付加した際の、光ファイバの長さ方向各部における歪み計測値の差と各荷重との相関図である。
【図10】光ファイバを構造部分に対して所定間隔をおいて部分的に接着した場合の説明図である。
【図11】図10のB−B断面図である。
【図12】光ファイバを、その構造を変更して構造部分に対し部分的に接着する例を示す光ファイバの断面図である。
【図13】隣接する局所測定長領域の測定データが互いに影響を受けないようにした場合の光ファイバの構造部分への施設状態を示す説明図である。
【図14】局所測定長領域における光ファイバにループ部を設けた場合の光ファイバの構造部分への施設状態を示す説明図である。
【符号の説明】
1 コンクリート(構造部分)
3 FRP(構造部分)
7 光ファイバ
7c フリー部分
7d ループ部
9 歪み計測器
10 剥離検知器(剥離判断手段)
P パルス光(測定光)

Claims (9)

  1. 複合構造物の互いに接着・付着されている構造部分の接着・付着状態を検知するための複合構造物の剥離検知方法において、前記複合構造物の接着・付着界面を間に挟んで該界面の両側の前記各構造部分に光ファイバをそれぞれ施設し、この光ファイバの各構造部分に対する施設部位の歪みをそれぞれ計測することで、前記構造部分相互の剥離を検知することを特徴とする複合構造物の剥離検知方法。
  2. 接着・付着界面を間に挟んで該界面の両側の前記各構造部分に施設している光ファイバの歪みをそれぞれ計測し、この各計測値相互の差または計測値の分布状況に基づいて、構造部分相互の剥離を検知することを特徴とする請求項1記載の複合構造物の剥離検知方法。
  3. 光ファイバは、各構造部分に対し、接着・付着部に沿って互いに並行して施設され、所定位置の接着・付着部近傍の前記各構造部分への光ファイバの施設部位の歪みをそれぞれ計測することを特徴とする請求項1または2記載の複合構造物の剥離検知方法。
  4. 光ファイバ内に所定長のパルス信号からなる測定光を入射させ、この入射した測定光のパルス長に対応した前記光ファイバの被測定長部分での反射光の周波数分布を解析することで、前記被測定長部分の歪みを計測することを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の複合構造物の剥離検知方法。
  5. 各構造部分に局所測定長領域をそれぞれ設定し、この局所測定長領域に施設される光ファイバの被測定長部分の長さを、歪み計測器の最小距離分解能より長く設定したことを特徴とする請求項4記載の複合構造物の剥離検知方法。
  6. 光ファイバにおける相互に隣接する被測定長部分相互間に、各構造部分の歪みの影響を受けないよう施設されるフリー部分を設けたことを特徴とする請求項4または5記載の複合構造物の剥離検知方法。
  7. 光ファイバは、被測定長部分の両端が、各構造部分に対して固定されていることを特徴とする請求項4ないし6のいずれか1項に記載の複合構造物の剥離検知方法。
  8. 複合構造物の互いに接着・付着されている構造部分の接着・付着状態を検知するための複合構造物の剥離検知装置において、前記複合構造物の接着・付着界面を間に挟んで該界面の両側の前記各構造部分にそれぞれ施設した光ファイバと、この光ファイバの各構造部分に対する施設部位の歪みをそれぞれ計測する歪み計測器と、この歪み計測器により計測した各歪み計測値相互の比較または計測値の分布状況から前記接着・付着状態の良否を判断する剥離判断手段とを有することを特徴とする複合構造物の剥離検知装置。
  9. 歪み計測器は、光ファイバ内に所定長のパルス信号からなる測定光を入射させ、この入射した測定光のパルス長に対応した前記光ファイバの被測定長部分での反射光の周波数分布を解析することで、前記被測定長部分の歪みを計測することを特徴とする請求項8記載の複合構造物の剥離検知装置。
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