JP4585718B2 - 高エネルギ発生装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、放射性廃棄物の核変換をして核消滅処理をしかつ熱エネルギを取り出すことができる高エネルギ発生方法及び装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
原子力発電所の原子炉で燃料として使用され、使用済となったウランやプルトニウムなどの高レベル放射性廃棄物は、高レベルの放射性が残存するため廃棄処分が難しく、厳重に容器内に保管した状態で地中深く埋設処理するなどが行われている。このような放射性廃棄物を廃棄処分する方法として、上記のように単に地中に埋設するのではなく、放射性廃棄物に対し核変換処理をして放射性のない又は低い物質、あるいは短半減期の物質に変換する方法について種々試みられた例が知られている。その1例として、制動放射によりγ線を発生させ、このγ線を放射性廃棄物に照射して核変換をし、その核分裂による熱エネルギを取り出す方式の提案が行われた。
【0003】
この制動放射によるγ線の発生は、タングステンやタンタルなどのターゲット物質に電子ビームを当てて発生されるが、この制動放射によるγ線は、原子核とこれを取り巻く電子の系から成る原子に対して外部から電子がこの系の中に入ることにより、原子核−電子のなす系の電界により減速され、この減速によりエネルギが放射光に変わり発生する。制動放射による放射光の発生では、電子のエネルギは原子の運動エネルギ、電離エネルギ、励起エネルギなどに使われ、制動放射に使われるエネルギはほんの一部分であり、極めて発生効率が悪い。このため、このような方式によるγ線を放射性廃棄物に照射して核変換しても、核変換に要するエネルギが核分裂で生じるエネルギ以上になり、経済的には意義が失われ、従って実用化されていない。
【0004】
制動放射に基づくγ線による核変換の方式以外のものとして、陽子ビームによる核破砕装置の提案が行われており、現在建設が行われている。これは、巨大な設備であり、数キロメータに及ぶ巨大な加速器で陽子ビームを加速し、この高速の陽子を核に衝突させて核を破壊するか、若しくはこの過程を通じて中性子を叩き出してこの中性子を中性子増倍法等で増倍し、増倍された中性子で核を変換するという方式のものである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、前述したように、制動放射によるγ線の照射では核変換効率が低いため、核変換に要するエネルギが大き過ぎて熱エネルギ発生装置(原子炉)として意義が失われ、実用的な装置は得られない。これは、核巨大共鳴を起こす際にγ線のエネルギのスペクトル分布における核反応断面積が特定のエネルギ状態の範囲で増加するのに対し、制動放射により発生するγ線の光子数がγ線のエネルギのスペクトル分布において低レベルでかつ殆どフラットな変化であるため、核反応断面積が増加する範囲であっても入射される光子数が増加せず、核巨大共鳴作用が有効に利用されないからである。
【0006】
一方、陽子ビームによる核分裂を生じさせる装置は、巨大な装置であるため、例えば加速器を建設する費用でさえ数1000億円掛かると言われており、膨大な費用が掛かることは明らかである。しかも、これによる核変換が効率よくできるかどうかは、未だ確かではない。これは、中性子の増倍率がどれだけ実際に大きくとれるかが不確定であるためである。又、これは、中性子の断面積の小さな対象物に対して有効ではない。
【0007】
この発明は、上記の問題に留意して、放射性廃棄物を核変換し得るエネルギのレベルでかつ光子数の放射光を廃棄物に照射して核消滅処理をし、かつ高い熱エネルギを発生させることができる高エネルギ発生方法を提供することを課題とするものである。
【0008】
さらに、上記方法を実施する装置を提供し、かつこの装置では核消滅処理で発生する中性子を原子燃料に照射して高エネルギを発生させることができるようにすることをもう1つの課題とするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
この発明は、上記の課題を解決する手段として、放射性廃棄物に放射光を照射して放射光の光子を吸収させ核巨大共鳴を生じさせる際に、核巨大共鳴断面積が増大するピーク値を含む一定範囲内の放射光エネルギのスペクトル分布値に対応して光子数がピークに増大するようにコンプトン散乱により生じた放射光を照射して核巨大共鳴により光子を吸収させて核変換を生じさせ、これにより廃棄物の核処理をしかつ熱エネルギを発生させ、核変換の生起により放出される中性子を原子燃料に入射させて核分裂を生じさせ、熱エネルギを発生させる高エネルギ発生方法としたのである。
【0010】
上記方法を実施する装置として、放射性廃棄物を収納する副炉心部を炉容器の中心に、容器内周に設けた反射板及び減速材と副炉心部との間に原子燃料管及び冷却管から成る主炉心部を設けて原子炉を形成し、副炉心部内の放射性廃棄物に放射光を炉容器外から照射する放射光照射手段と、炉心部を冷却する冷却材を炉内から炉外へ循環させ炉心部で発生する熱エネルギを外部へ伝達する冷却材循環手段とを備え、放射光照射手段から放射光の照射、吸収で生じる核巨大共鳴で断面積が増大するピーク値を含む一定範囲内の放射光エネルギのスペクトル分布値に対応して、光子数がピーク値を含む一定範囲内の値に増大するようにコンプトン散乱により生じた放射光を放射光照射手段により照射して核巨大共鳴により核変換を生じさせ、この核変換による廃棄物の消滅処理で放出される中性子を主炉心部の原子燃料に照射して核分裂を生じさせ、消滅処理及び核分裂で主、副炉心部からそれぞれ熱エネルギを発生させ、その熱エネルギを冷却材循環手段により外部へ取り出すように構成した高エネルギ発生装置とすることができる。
【0011】
上記の構成としたこの発明の高エネルギ発生方法及び装置によれば、放射性廃棄物の核消滅処理をし、かつ熱エネルギを発生させることができる。放射性廃棄物に放射光を照射する場合、核変換を生じさせ得るレベルの放射光でなければならない。かかる放射光は、制動放射では得ることが困難であり、コンプトン散乱を利用して比較的容易に得られる。
【0012】
放射性廃棄物に核変換を生じさせるために、核巨大共鳴の現象を利用する。核巨大共鳴では光子を共鳴吸収する際の断面積が放射線の特定のエネルギスペクトルの領域で増大する。従って、これに対応するエネルギスペクトル領域で核変換を生じ得るレベルのエネルギを有し、かつ光子数がピークに増加するようなコンプトン散乱による放射光を利用する。このようなコンプトン散乱による放射光は、レーザ光と相対論的速度に加速された電子ビームを衝突させる際にそれぞれの粒子のスピンの回転方向を逆向きにし、両者のヘリシティ積が−1となる回転を付与して衝突させると、所定のエネルギレベルで光子数(の確率分布)がピークとなる放射光が得られる。こうして得られる放射光はγ線として得られる。
【0013】
このような放射光は、光子数が核巨大共鳴で吸収する断面積のピーク領域に対応して増大し、かつ核変換を生起するに十分なレベルで得られるから、これを照射することにより放射性廃棄物に対し核変換を生じさせ、これにより核消滅処理が行われることとなる。この核消滅処理が核変換により生起されると、同時に中性子が放出される。放出された中性子は、放射性廃棄物に隣接して原子燃料を配置しておくと、その原子燃料に入射され核分裂を生起する。従って、これにより熱エネルギが生じることとなる。
【0014】
上記熱エネルギ発生方法を実施する装置においては、放射性廃棄物は副炉心部に収納されており、上記所定エネルギで光子が核変換作用を生起し得るレベルの放射光を放射光照射手段より照射して核変換を生起させ、核消滅処理が行われると共に熱エネルギが生じる。そして、発生する中性子は主炉心部内の原子燃料に照射され、原子燃料が核分裂を生じて反応する。これにより、巨大な熱エネルギが生じる。これら熱エネルギは、冷却材循環手段により外部へ伝達され、この熱エネルギはさらに蒸気タービン等を駆動して発電機を回し、発電が行われる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の形態について図面を参照して説明する。図1は実施形態の高エネルギ発生装置の全体概略構成図である。図示のように、高エネルギ発生装置は、放射性廃棄物Gを収納した副炉心部12S を炉容器11の中心に、炉容器11の内周に反射材13、減速材14を設け、かつ副炉心部12S と減速材14との間に原子燃料管15、冷却管16を交互に配置した主炉心部12M を設けた原子炉10と、副炉心部12S 内の放射性廃棄物Gに放射光を炉容器外から照射する放射光照射手段20と、主、副炉心部12M 、12S を冷却する冷却材を炉内から炉外へ送り出し、両炉心部で発生する熱エネルギを外部へ伝達する冷却材循環手段30とを備えている。
【0016】
原子炉10は、図2に示すように、炉容器11の中心部に副炉心部12S が長手方向に適宜間隔に設けられた支持部材11aにより取り付けられている。副炉心部12S は、従来の原子炉に用いられる燃料棒のように中空筒内に放射性廃棄物を収納し、一端は黒鉛を用いた窓12wで、他端は端壁で閉じられている。図示の例の副炉心部12S は、直径が数cm程度、長さはm級である。この副炉心部12S へは、外部に設置された第2貯留容器18R に収納されている放射性廃棄物Gのペレットが配管18bを経由して送り込まれる。
【0017】
この配管18bは副炉心部12S のγ線入射端寄りに接続されているため、γ線による核変換作用を受けたペレットが副炉心部12S の出口側へ送られ、出口側に接続された配管19aにより第2回収容器19R へ送り出される。なお、図示していないが、第2貯留容器18R から副炉心部12S を経由して第2回収容器19R へペレットを移動させる圧力ポンプ又は吸引ポンプが適宜位置に設けられている。
【0018】
炉容器11はステンレス鋼板を用いた耐圧容器として形成され、その内周には中性子の反射材13が取り付けられ、さらにその内側に減速材14が設けられている。減速材14は反射材も兼ねて水などが使用される。主炉心部12M の原子燃料管15には、外部に設置された第1貯留容器18P が配管18aを経由して接続され、第1貯留容器18P に貯留された原子燃料ペレットが送られて来る。原子燃料管15に接して設けられる冷却管16は、1次冷却水が流通する。
【0019】
原子燃料管15、冷却管16の内側には管路17pが設けられ、この管路17pのスペースには中性子増倍金属球、又は99TC、Pd、 127Cs等の核変換対象核ペレットが挿入され、これらが中性子増倍手段17を形成する。上記ペレットにはBe、Al等の中性子増倍材又は黒鉛を含ませてもよい。なお、炉容器11、副炉心部12sの端にそれぞれ設けられたγ線透過用の窓11w、12wは黒鉛やAl等の軽合金材が用いられる。
【0020】
上記第2貯留容器18R に貯留される核変換対象物の放射性廃棄物ペレットは、図示の例では、例えばヨウ素 129I、テクネチウム99TC、ネプチウム 237Np、アメリシウムAm、セシウム 137Csなどの長寿命核分裂元素であり、その径は〜cm級である。又、第1貯留容器18P に貯留される原子燃料ペレットは、例えばウラン 235U、 238U、プルトニウムPu239 、Th232 などと黒鉛等の混合した球体である。
【0021】
上記原子炉10へ照射されるγ線放射光は、放射光照射手段20により伝達されるが、この照射手段20は、図1に示すようにγ線発生装置21で発生されたγ線を真空ダクト22等の光伝送部材により伝送するように構成されている。γ線発生装置21は、詳細は図示省略しているが、パルスレーザ光と電子ビームのバンチ(集群)を衝突させてγ線の放射光を発生させる特殊コンプトン散乱方式に基づく装置である。この装置により発生するγ線放射光は、次のような特性を有する。
【0022】
γ線発生装置21で発生したγ線を放射性廃棄物に照射して核変換を引き起こす場合、図5の(b)図に示すように、核変換の作用と同時にγ線によって電子−陽電子の対創生が生じる。この対創生に寄与する原子の有効断面積は大きく、数b〜10bであるが、核変換を引き起こす際の核巨大共鳴に寄与する断面積は数百mbと極めて小さい。そして、この核巨大共鳴のエネルギは中心値で14〜16MeVであり、共鳴幅は3〜4MeVである。従って、核巨大共鳴を有効に作用させるためには、核巨大共鳴の断面積が最大となる上記γ線の中心値エネルギに対応して核巨大共鳴で吸収される光子数が核変換を引き起こすのに十分なレベル以上のγ線でなければならない。
【0023】
一方、γ線の発生方式による光子数のエネルギスペクトル分布における変化について見ると、図5の(a)図において、(ハ)は制動放射による光子数の変化、(ロ)は一般的なコンプトン散乱による光子数の変化を示す。そして、(イ)はこの発明で用いられる特殊コンプトン散乱方式での光子数の変化であるが、レーザ光と電子ビームの衝突において両者の粒子スピンを特定方向に向け、両者の回転方向を逆向きに与えてそのヘリシティの積が−1となるようにして発生させた場合である。この場合、図示のように、γ線の核巨大共鳴による吸収断面積が最大となるエネルギ値を含む所定領域のエネルギ中心値に対応する領域で光子数の確率分布がピークとなるように発生する。
【0024】
但し、図示のグラフは制動放射、コンプトン散乱に用いられる電子ビームのエネルギを同一レベルとし、発生したγ線エネルギのスペクトル分布として見た光子数の確率分布を示す。(イ)のグラフではγ線エネルギ16MeV付近で光子数がピークとなり、従ってこの方式による光子数は制動放射方式より桁違いに大きく、一般のコンプトン散乱方式による場合の数倍以上となる。実際の光子数は、1017〜1021個程度であり、放射性廃棄物の核変換を発生させるに十分なレベルである。又、この特殊コンプトン散乱方式によるγ線は極めて細く、かつ殆ど広がらない。
【0025】
以上のような特定の条件で発生するγ線をγ線照射手段20から原子炉10へ伝送し、副炉心部12sの透過窓12wから放射性廃棄物のペレットへ照射し、核変換を持続させて熱エネルギが取り出される。図示した実施形態の原子炉設備は、副炉心部12sで放射性廃棄物を核変換による消滅処理をすると同時に、消滅処理で発生する熱エネルギを外部へ取り出し、又上記核変換で発生する中性子を主炉心部12M へ入射させて原子燃料を核分裂させ、これにより発生する熱エネルギも外部へ取り出すようにしたものである。こうして取り出されたエネルギにより蒸気タービンを駆動して発電機を回し、発電が行われる点は従来の原子力発電設備と同様である。
【0026】
又、図示の原子炉設備は、消滅処理の対象の放射性廃棄物として、例えばヨウ素 129I、Pd、Zn、セシウム 135Csなどの長寿命核分裂元素を消滅処理することを主眼としている。これは、次の理由による。原子炉から排出される高レベル放射性廃棄物は色々な放射性物質を含んでおり、これらのうち長寿命核分裂元素は長時間(100万年)放射線を出し続け、強い毒性があり、地下深くに埋設するにしても封じ込めが困難であり、これを核変換処理して、短時間(約1000年)の寿命の物質に変換すれば封じ込めが容易となるからである。但し、長寿命以外の核分裂元素であっても消滅処理をすることは勿論可能である。
【0027】
以上のような放射性廃棄物の消滅処理を前提とした実施形態の原子炉設備でγ線を副炉心部12sに照射すると、図4に示すように、放射性廃棄物のペレット中の物質に作用し、(γ、n)反応により中性子が叩き出されると同時に電子−陽電子の対創生が起こり、核変換が行われる。この場合、第2貯留容器18R から送り込まれた反応ターゲットのペレット球は副炉心部12sの左側入口から入り、数日又は数カ月照射され右側出口から出て行く。ペレット球はゆっくりと循環する。出口から排出されたペレット球は第2回収容器19R に回収される。
【0028】
図6に上記核変換の例を示す。(a)図は 137Csの核変換、(b)図は 237Npの核変換、(c)図は 129Iの核変換である。(a)図の 137Csにγ線を当てると、中性子が叩き出されて 136Csに変わり、この 136Csはベータ(β)崩壊し、 136Baに変化して安定核となる。(b)図の 237Npは核が非対称性を持ち、そのため断面的に2重のピークを持つ。
【0029】
γ線を当てると(γ、n)反応によってγ線を吸収した後中性子を放出して 236Npとなる。その後崩壊し種々の過程を経て 208Pbになる。しかし、この過程は複雑で、かつ安定核に辿り着くには80年近く必要であるが、 237Npの半減期100万年に比較するとはるかに短い。(c)図の 129Iはγ線の照射により 128Iから直ぐにβ崩壊して 128Xeに変わり安定核となる。なお、(b)図、(c)図中の( )内の数値はそれぞれ核巨大共鳴の断面積である。
【0030】
副炉心部12sで核変換作用が行われると、叩き出された中性子はその直ぐ外側の中性子増倍手段である中性子増倍球に当たって中性子の増倍(n、2n)、(n、3n)の作用により中性子数は増倍される。この増倍された中性子が主炉心部12M の原子燃料ペレットに作用すると原子燃料の核物質が核分裂を始めて熱エネルギが発生する。この原子燃料の核分裂による熱エネルギの発生については公知の原理に従うものであり、詳細な説明は省略する。
【0031】
副炉心部12sと主炉心部12M で発生した熱エネルギは、主炉心部12M の原子燃料管15に接して設けられた冷却管16内を流通する1次冷却水に付与され、この1次冷却水が循環することにより外部へ送られて熱交換器31で熱エネルギが付与された水蒸気をタービン41へ送り、これにより発電機43を回転させて発電が行われる。
【0032】
以上の副炉心部12sと主炉心部12M で発生する熱エネルギは、原子炉10へ入射されるγ線を発生させるに要したエネルギを1とすると、副炉心部12sでは0.5倍、主炉心部12M では10〜1000倍のエネルギが発生する。そして、副炉心部12sで放射性廃棄物の消滅処理が行われると共に同時に発生する中性子を用いて主炉心部12M での原子燃料の核分裂を生じさせ、又γ線の照射を停止させると直ちに中性子の供給も停止され、主炉心部12M での核分裂が停止する。
【0033】
従って、主炉心部12M が暴走することがなく、極めて安全な原子炉設備が得られる。なお、この場合、主炉心部12M の原子燃料管15へは原子燃料が未臨界状態に配置され、未臨界状態で核分裂作用が生起されることが前提である。
【0034】
上記副炉心部12S は、ヨウ素 129I、ネプチウム 237Npなどの放射性廃棄物を混合して送り込み、核処理をするとしたが、この副炉心部12S を第1副炉心部12S1と第2副炉心部12S2とに分離することもできる。この場合、上記実施形態の副炉心部12S を第1副炉心部12S1とし、これにヨウ素 129Iの放射性廃棄物を送る。そして、図示省略しているが、中性子増倍手段17の管路17pと、原子燃料管15又は冷却管16との間に原子燃料管15と同様なもう1種の複数の管路を円心状に設け、これを第2副炉心部12S2とする。
【0035】
第2副炉心部12S2には、ネプチウム 237Np、テクネチウムTc等の放射性廃棄物を送り込むようにする。従って、図示省略しているが、この第2副炉心部12S2にも貯留容器18R ’や回収容器19R ’が第1副炉心部12S1と同様に接続される。第1副炉心部12S1へγ線の放射光を照射してヨウ素 129Iを核変換すると、前述したように、ヨウ素 129Iが安定核に変換されて熱エネルギを発生すると同時に、中性子を放出してこれら中性子は中性子増倍手段17に作用し、(n、2n)、(n、3n)作用で中性子がさらに増倍される。
【0036】
このようにして増倍された中性子は、その外側の第2副炉心部12S2内の237 Np、Tcなどの放射性廃棄物に当り、この(n、n)作用によっても核変換が行なわれ、核消滅処理が行なわれる。この場合、増倍された中性子は核変換による核消滅処理だけでなく、核変換によって生じる中性子と共に主炉心部12M の原子燃料に作用して核分裂を生起させ、高エネルギを発生させる点は前述の第1実施形態と同様である。この変形例の方法は、ヨウ素 129Iのような水に溶け易く、かつ長寿命核であるため消滅処理が困難な放射性廃棄物を集中的に処理できるという点で有利である。
【0037】
【発明の効果】
以上、詳細に説明したように、この発明の高エネルギ発生方法及び装置は放射性廃棄物に対し核変換を生じ得るエネルギ及び光子数のレベルの放射光を照射して核変換を生起して核消滅処理をすると共に発生した中性子を原子燃料に当てて核分裂を生起し、熱エネルギを発生させるようにしたから、放射性廃棄物の核消滅処理を経済的規模の設備で実施でき、かつこれにより放出される中性子を利用して原子燃料を核分裂させて熱エネルギを取り出すことができるという顕著な効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態の原子炉設備の全体概略構成図
【図2】同上の原子炉の縦断面図
【図3】図2の矢視IIIからの部分断面図
【図4】副炉心部の断面図
【図5】(a)γ線の光子数のエネルギスペクトル分布図
(b)γ線の核巨大共鳴断面積のエネルギスペクトル分布図
【図6】核変換の具体例の説明図
【符号の説明】
10 原子炉
11 炉容器
12 副炉心部
12 主炉心部
13 反射材
14 減速材
15 原子燃料管
16 冷却管
17 中性子増倍手段
18 第1貯留容器
18 第2貯留容器
19 第1回収容器
19 第2回収容器
20 放射照射手段
21 γ線発生装置
22 光学伝送手段
30 冷却材循環手段
40 発電設備
41 蒸気タービン
42 復水器
43 発電機

Claims (3)

  1. 放射性廃棄物(G)を収納する副炉心部(12 を炉容器(11)の中心に、容器内周に設けた反射材(13)及び減速材(14)と副炉心部(12 との間に原子燃料管(15)及び冷却管(16)から成る主炉心部(12 を設けて原子炉(10)を形成し、副炉心部(12 内の放射性廃棄物(G)に放射光を炉容器(11)外から照射する放射光照射手段(20)と、主、副炉心部(12 、12 を冷却する冷却材を炉内から炉外へ循環させ炉心部で発生する熱エネルギを外部へ伝達する冷却材循環手段(30)とを備え、放射光照射手段(20)から放射光の照射、吸収で生じる核巨大共鳴で断面積が増大するピーク値を含む一定範囲内の放射光エネルギのスペクトル分布値に対応して、光子数がピーク値を含む一定範囲内の値に増大するようにコンプトン散乱により生じた放射光を放射光照射手段(20)により照射して核巨大共鳴により核変換を生じさせ、この核変換による廃棄物の消滅処理で放出される中性子を主炉心部(12 の原子燃料に照射して核分裂を生じさせ、消滅処理及び核分裂で主、副炉心部(12 からそれぞれ熱エネルギを発生させ、その熱エネルギを冷却材循環手段(30)により外部へ取り出すように構成した高エネルギ発生装置。
  2. 前記原子炉内の副炉心部(12 と主炉心部(12 との間に中性子増倍手段(17)を設け、この中性子増倍手段(17)が管内に中性子増倍体を収納したものから成ることを特徴とする請求項に記載の高エネルギ発生装置。
  3. 前記中性子増倍手段(17)と主炉心部(12 との間に放射性廃棄物(G)を収納する第2副炉心部(12 S2 を設け、第1副炉心部(12 S1 と異なる種類の放射性廃棄物(G)を中性子の照射により核消滅処理するようにしたことを特徴とする請求項に記載の高エネルギ発生装置。
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