JP4583504B1 - 縦樋用防犯具、当該防犯具用取付アダプタ及び縦樋並びに縦樋用防犯具の設置方法 - Google Patents

縦樋用防犯具、当該防犯具用取付アダプタ及び縦樋並びに縦樋用防犯具の設置方法 Download PDF

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Abstract

【課題】
縦樋を利用した建築物への泥棒や空き巣の侵入を防止するため、簡単な構成で設置自由度が高く且つ安全・確実な縦樋用防犯具を提供する。
【解決手段】
縦樋30を内包するように独立回転可能に複数のリング体110重ねて設置することによって、侵入者が縦樋30に手や足を掛けた場合、当該リング体110が自由に回転する。これにより侵入者の昇降しようとする力(腕力や脚力)が縦樋側に上手く伝わり難くなり、侵入者の昇降作業を妨げる。
【選択図】図1

Description

本発明は、防犯具の技術分野に関し、更に詳しくは建築物への侵入を防止するために縦樋に取り付ける防犯具に関する。
近年、防犯意識の高まりと共に、様々な防犯対策がなされている。例えば玄関扉等への複数鍵の設置、サムターン回し防止具の設置、防犯カメラの設置、ガラスへの衝撃吸収フィルムの貼付などである。このような防犯対策は設置コストとの関係もあり主に建築物の1階フロアに施されるに留まり、2階フロア以上には設置されていないことも多い。
侵入者もこれらの事実をよく承知しており、1階フロアから侵入せず敢えて2階以上のフロアから侵入がなされる場合も多い。このとき2階以上のフロアへのアクセス手段として、縦樋が多く利用されている。縦樋とは、建築物の屋根等の上層に溜まった雨水等を下水道へと導くために建築物の壁面に設置されている「パイプ」のことであり、人一人が昇降する手段としては強度的にも十分である。この縦樋からの侵入を完全に防止するには、例えば、縦樋を建築物の壁面外側に設置するのではなく、建築物の壁内構造として設置すれば万全である。しかしながらこのような設置では設置コストも高く、また、メンテナンス作業が煩雑となり現実的ではない。
一方で、こういった問題点を解決するべく、従来から様々な発明がされている。例えば特許文献1においては、縦樋を壁面から支持する金具に鋭利な突起物(忍び返し)を設け、縦樋からの侵入を防止しようとするものである。
また特許文献2においては、縦樋に荷重が掛かると落下する機構を設け、縦樋からの侵入を防止しようとするものである。
また特許文献3においては、縦樋全体を「断面がU字型のカバー」で覆うことで、縦樋からの侵入を防止しようとするものである。
また特許文献4においては、縦樋に掛かった圧力を検知する検知手段を設け、圧力が検知された場合に警報手段により警報が発せられるというものである。
特開2005−299327号公報 特開2008−115664号公報 特開2005−267154号公報 特開2005−215798号公報
しかしながら、上記特許文献に記載されている発明では以下のような問題点があった。例えば特許文献1に記載の発明の場合、鋭利な突起物(忍び返し)により侵入者以外(例えば子供など)が怪我をする危険性がある。
また特許文献2に記載の発明の場合、荷重が掛かって一旦落下してしまうと縦樋としての機能を果たさなくなる恐れがある。
また特許文献3に記載の発明の場合、設置作業が煩雑であり、メンテナンスも行い難くなるといった問題がある。
また特許文献4に記載の発明の場合、電力が要求される事に加え、発せられた警報に気がつかない場合など、侵入自体を防止できる効果が発揮されるものではないといった問題がある。
本発明はこのような問題点を解決するべくなされたものであって、簡単な構成で設置自由度が高く且つ安全・確実な防犯具を提供することをその目的としている。
上記課題を解決するべく、請求項1に記載の発明は、建築物の側面に設置される縦樋に取り付けるための防犯具であって、前記縦樋を内包するように独立回転可能に重ねられた複数のリング体を備えることを特徴としている。このような複数のリング体を重ねて配置することによって、侵入者が縦樋を使って昇降するために手や足を掛けた場合でも、当該リング体がクルクルと回転し、侵入者の昇降作業を妨げるのである。即ち、昇降するための腕力や脚力が縦樋に伝わるのを逃がして昇降自体を行えないように(若しくは行い難く)するのである。なおここで「リング体」には所謂「Oリング」のような完全に全周囲が繋がったものが含まれることは当然として、その他にも「Cリング」のものも含まれる概念である。
また請求項2に記載の発明は、請求項1の発明に加えて、前記リング体の内周面に、摩擦低減処理が施されていることを特徴とする縦樋用防犯具である。このような処理を施すことによって、リング体(の内周面)と縦樋(の外周面)との間に生じ得る摩擦が低減し、当該リング体がより回転し易くなる。
また請求項3に記載の発明は、請求項1の発明に加えて、前記リング体の内周面に、摩擦低減機構として複数のローラが設けられていることを特徴とする縦樋用防犯具である。このような機構を設けることによって、リング体(の内周面)と縦樋(の外周面)との間に生じ得る摩擦が低減し、当該リング体がより回転し易くなる。
また請求項4に記載の発明は、請求項1〜3の発明に加えて、前記リング体の端面に、摩擦低減処理が施されていることを特徴とする縦樋用防犯具である。このような処理を施すことによって、重ねられたリング体同士の間に生じ得る摩擦が低減し、当該リング体がより回転し易くなる。
また請求項5に記載の発明は、請求項1〜4の発明に加えて、前記リング体の外周面に、摩擦低減処理が施されていることを特徴とする縦樋用防犯具である。このような処理を施すことによって、リング体(の外周面)と侵入者(の手足)との間に生じ得る摩擦が低減し、当該リング体に手や足を掛け難くなる。
また請求項6に記載の発明は、請求項1〜5の発明に加えて、前記リング体の単体の高さが、15cm以下に設定されていることを特徴としている。この「15cm」という高さは、一般的な大人が「両方の手を単一のリング体に掛けられない」サイズである。即ち、このような高さのサイズとしておくことによって、侵入者の「右手で握るリング体」と「左手で握るリング体」とが必然的に「異なるリング体」となり、リング体の回転が阻害(右手と左手で同じリング体を握ると回転しようとする方向が異なるため回転力が相殺され、結果として回転が阻害される。)されない。
また請求項7に記載の発明は、請求項1〜6の発明に加えて、前記リング体が、前記縦樋よりも大径の縦樋を切断したものであることを特徴としている。即ち、別途特別な材料を用意することなく、径の異なる縦樋を利用して防犯具を構成することが可能となっている。
また請求項8に記載の発明は、請求項1〜7の発明を異なる観点から捉えたものであって、請求項1〜7に記載のいずれかの縦樋用防犯具が備わる縦樋としての発明である。
また請求項9に記載の発明は、請求項1〜7に記載のいずれかの縦樋用防犯具を縦樋に取り付けるためのアダプタであって、前記縦樋に固定可能な固定部と、該固定部上に設けられ、前記リング体を載置可能な円盤部と、を備えることを特徴とする防犯具用取付アダプタである。このアダプタを取り付けておくことによって、リング体を回転し易い状態で縦樋に取り付けることができる。
また請求項10に記載の発明は、請求項1〜8の発明を異なる観点から捉えたものであって、建築物の側面に設置される縦樋に防犯性能を付加するための縦樋用防犯具の設置方法であって、前記縦樋を内包するように複数のリング体を重ねて挿通させた後、前記建築物に組み付けることを特徴とする縦樋用防犯具の設置方法である。また請求項11に記載の発明も、請求項1〜8の発明を異なる観点から捉えたものであって、建築物の側面に設置される縦樋に防犯性能を付加するための縦樋用防犯具の設置方法であって、既に前記建築物に設置されている縦樋の一部を切断し、当該切断部を利用して、前記縦樋を内包するように複数のリング体を重ねて挿通させ、前記切断部を継パイプで繋ぐことを特徴とする縦樋用防犯具の設置方法である。要するに、縦樋を新設する場合に当該防犯具を取り付けることも、また、既に設置されている縦樋に対して追加的に取り付ける場合も簡単な作業での設置が可能となっている。
本発明を適用することで、縦樋を利用した侵入を効果的に防止できる。また構造が簡単であるため低コスト且つ設置も容易である。
本発明にかかる防犯具が設置された縦樋の全体図である。 図1における矢示II部周辺拡大図である。 図1における矢示II部周辺拡大分解図である。 防犯具の第2の実施例を示した斜視図である。 図4の防犯具を縦樋に設置した状態の断面図である。 図4の矢示VI−VI線に沿う断面図である。
以下、添付図面を参照しつつ、本願発明の実施形態の一例としての防犯具100について詳細に説明を加える。
〈防犯具の構成〉
防犯具100は、複数のリング体110と取付アダプタ120とで構成されている。リング体110は、縦樋30の外径Dよりも大きな内径dを有し、縦樋30を内包するように複数重ね合わされ積み上げられて構成される。個々のリング体110は単に重ねて配置されているのみであり、お互いが独立して回転可能とされている。また、当該リング体110の単体の高Hは本実施形態では約10cmとされている。
リング体110は、様々な材質で構成することが可能であるが、本実施形態においては塩化ビニール製の管で構成されている。またこのリング体110は、本来縦樋として利用できる管を所定の長さ(高さ)に切断・加工して作られている。
また、各リング体110の内周面110a及び上下の端面110bにはフッ素コーティング処理(摩擦低減処理)が施されている。もちろんフッ素コーティング以外であっても摺動摩擦を低減できる限りにおいて種々の表面処理を採用してもよい。
また、各リング体110の外周面110cにもフッ素コーティング処理(摩擦低減処理)が施されている。もちろんフッ素コーティング以外であっても摩擦を低減できる限りにおいて種々の表面処理を採用してもよい。
また、リング体110は、縦樋30に取り付けられた取付アダプタ120の上に載置されている。この取付アダプタ120は、円筒形状の固定部122と、この固定部122に一体的に形成された円盤部(フランジ部)124と、固定部122を外側から締結可能な締結バンド128を有した構成とされている。円盤部124の直径は、リング体110の直径よりも大きく構成されており、リング体110を載置することが可能な構成とされている。また当該円盤部124の表面(上面)にもフッ素コーティング処理(摩擦低減処理)が施されており、載置したリング体110がスムーズに回転可能に構成されている。
〈防犯具の設置方法〉
次に、防犯具100の縦樋への設置方法について説明する。防犯具100は縦樋30を新設する場合にも、また、既に設置されている縦樋30に対して追加的に設置する場合にも両方に対応することができる。
縦樋30を新設する場合には、縦樋30に取付アダプタ120を固定し、更に複数のリング体110を挿通させた上で、取付金具40により建築物10の壁面に固定すればよい。
一方、既に設置されている縦樋30に対して追加的に施工する場合には、例えば、縦樋30の一部をリング体110の高さH以上の幅で切断し、当該切断部からリング体110を挿通させる。その後、当該切断部を継パイプで繋ぐことで設置が完了する。
なお、リング体110の設置にあたっては、縦樋30全体に渡って施工してもよいし、部分的に(例えば地上1.5m〜3.0mの範囲のみ等)施工してもよい。建築物自体の構造や隣接建築物の有無などを考慮して必要な部分のみ施工が可能である。これは本発明に係る防犯具100がリング体110を重ねるように設置して機能する構成とされているため、その重ね合わせる数を状況に応じて増減することのみで施工範囲を簡単に調整できる(本発明特有のメリット)。更に事後的に施工範囲を増減する場合においても、リング体110を追加したり、一部取り除くことで足り、設置自由度が高い。
〈防犯具の作用・機能〉
防犯具100は次のような作用を発揮する。泥棒や空き巣等の侵入者が縦樋30に手や足を掛けようとする場合、縦樋30には複数のリング体110が取り付けられているので、侵入者は不可避的に当該リング体110を握ったり、リング体110に足を掛けたりすることになる。これらリング体110は縦樋30に対して回転可能であるため、リング体110に力を加えると同時に、(その力の掛け具合に応じて)左右いずれかの方向に回転する。これにより侵入者は自分の力(腕力や脚力)を上手く縦樋30側に伝えることができず、落下したり、昇るのに時間を要してしまう。要するに、設置されたリング体110がクルクルと左右に回転するので、侵入者は縦樋30を伝って上階へとアクセスすることができなくなる。
また、本実施形態のリング体110は、単体の高さHが10cmとされているので、左右の手は不可避的にそれぞれ別のリング体110を握ることになる。そうすると、右手で握ったリング体110は右回転しようとし、一方、左手で握ったリング体110は左回転しようとするので、侵入者は非常に力を入れ難くなり、結果として侵入を阻止できる。
〈第2の実施形態〉
また、図5及び図6に示しているように、リング体210の内周面に摩擦低減機構としてのローラ機構211を設けるような構成を採用することもできる。このローラ機構211は、リング体210の内周面210aに「コ字状」に設けられたローラ回転軸214と、当該ローラ回転軸214に軸支されるローラ212で構成される。またこのローラ機構211は、円筒体210の内周面210aに合計12コ設置されている。
このようなローラ機構211を設けることで、より積極的に縦樋30に対する回転を促し、手や足が掛け難くなるという効果が発揮される。
〈その他の実施形態〉
上記では、リング体が所謂「Oリング」形状の一体物として構成されていた。しかしながら、例えば優れた可撓性を有する素材で構成したような場合であれば、リング体を「Cリング」形状として構成し、切れ目部分を開いて縦樋に装着するような構成を採用してもよい。このような構成とすれば、特に、既に設置されている縦樋に追加的に設置する作業が容易となる。
更に、半円筒形状のパーツを接着することによりリング体を構成してもよい。このような構成とした場合も、特に、既に設置されている縦樋に追加的に設置する作業が容易となる。
また上記のリング体は全て外形が「丸い」形状のものであった。しかしながらこれに限定されず、場合により六角形状や八角形状、更にはそれ以上の多角形状であってもよい。
また上記では、リング体110を載置するために取付アダプタ120を設置していたが、場合により省略して構成してもよい。具体的には、複数のリング体110を縦樋30に通すのみでも略同様の効果を発揮させることができる。また、最下部に位置するリング体のみを縦樋に接着固定することで、取付アダプタの代用品として利用することも可能である。
また上記では、上下方向に沿って設置されている縦樋30に取り付けられていたが、左右方向及び斜め方向に沿って設置されている縦樋に対しても同様に施工することが可能であり、空き巣等の侵入を防止するという観点から同様の効果を発揮させることができる。
また上記では、丸い縦樋30を前提として説明しているが、丸形以外の縦樋に対しても同様に施工することができる。具体的には、縦樋の最大外径よりもリング体の内径が大きく回転可能である限り、同様の効果を発揮することが可能である。
10…建築物
20…雨樋
30…縦樋
40…支持金具
100…防犯具
110、210…リング体
110a、210a…内周面
110b…端面
110c…外周面
120…取付アダプタ
122…固定部
124…円盤部
126…貫通孔
128…締結バンド
211…ローラ機構
212…ローラ
214…ローラ支持軸

Claims (11)

  1. 建築物の側面に設置される縦樋に取り付けるための防犯具であって、
    前記縦樋を内包するように独立回転可能に重ねられた複数のリング体を備える
    ことを特徴とする縦樋用防犯具。
  2. 請求項1において、
    前記リング体の内周面に、摩擦低減処理が施されている
    ことを特徴とする縦樋用防犯具。
  3. 請求項1において、
    前記リング体の内周面に、摩擦低減機構として複数のローラが設けられている
    事を特徴とする縦樋用防犯具。
  4. 請求項1〜3のいずれかにおいて、
    前記リング体の端面に、摩擦低減処理が施されている
    ことを特徴とする縦樋用防犯具。
  5. 請求項1〜4のいずれかにおいて、
    前記リング体の外周面に、摩擦低減処理が施されている
    ことを特徴とする縦樋用防犯具。
  6. 請求項1〜5のいずれかにおいて、
    前記リング体の単体の高さが、15cm以下に設定されている
    ことを特徴とする縦樋用防犯具。
  7. 請求項1〜6のいずれかにおいて、
    前記リング体が、前記縦樋よりも大径の縦樋を切断したものである
    ことを特徴とする縦樋用防犯具。
  8. 請求項1〜7に記載のいずれかの縦樋用防犯具が備わる縦樋。
  9. 請求項1〜7に記載のいずれかの縦樋用防犯具を縦樋に取り付けるためのアダプタであって、
    前記縦樋に固定可能な固定部と、
    該固定部上に設けられ、前記リング体を載置可能な円盤部と、を備える
    ことを特徴とする防犯具用取付アダプタ。
  10. 建築物の側面に設置される縦樋に防犯性能を付加するための縦樋用防犯具の設置方法であって、
    前記縦樋を内包するように複数のリング体を重ねて挿通させた後、前記建築物に組み付ける
    ことを特徴とする縦樋用防犯具の設置方法。
  11. 建築物の側面に設置される縦樋に防犯性能を付加するための縦樋用防犯具の設置方法であって、
    既に前記建築物に設置されている縦樋の一部を切断し、
    当該切断部を利用して、前記縦樋を内包するように複数のリング体を重ねて挿通させ、
    前記切断部を継パイプで繋ぐ
    ことを特徴とする縦樋用防犯具の設置方法。




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