JP4583201B2 - アングル型フレキシブル高周波同軸ケーブルアセンブリ - Google Patents
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Description
また、同軸ケーブルと同軸コネクタを接続する構造において、フレキシブル高周波同軸ケーブルの先端部を加工し、金属製シェルを通して機械的・電気的に接続するための接続先端部を設け、この接続先端部を同軸コネクタ本体に挿入するという接続構造としては、例えば下記特許文献3(図15参照)に示すものが知られている。なお図15は、従来例に係る同軸ケーブルとプラグタイプの同軸型コネクタとの接続構造(特許文献3の発明)を説明するための略図で、同図(a)は接続構造の縦断面図、同図(b)は接続先端部を設けた同軸ケーブルの斜視図、また同図(c)、(d)は、それぞれシェルの側面図と平面図である。この図15に示す接続構造は、同図(b)に示すようにフレキシブル高周波同軸ケーブル21の接続先端部を順次編組8、金属箔6、および中心導体1に段階的に剥離し、これを金属箔6と編組8とが個別に半田付け可能なDカットされた半田付け溝24を有するシェル11(同図(c)に側面図、(d)に平面図を示す)に半田付けすることにより接続し、プラグタイプの同軸型コネクタ本体に装着(同図(a))した接続構造である。なお、前記半田付け溝24は、ケーブルの金属箔6および編組8より成る外部導体の形状に沿うようテーパーを有する。
また特許文献3の図15(a)に示す接続構造では、ケーブルの接続先端部を、同図(b)に示すように、順次編組8、金属箔6および中心導体1に段階的に剥離するのであるが、金属箔6巻き付け部を露出させると、金属箔の巻きが緩み加工性(シェルへのケーブル挿入)が悪化するという欠点を有していた(金属箔が螺旋巻きされているケーブルは巻き終わり側の端末が緩み、また金属箔が縦添えされているケーブルは両端末が緩む)。なお、金属箔6と編組8との間に緩衝用の樹脂層が介在されている場合(図示せず)は、この樹脂層を剥離することが困難である。また同図(c)に示すように、Dカットされた半田付け溝24を有するシェル11を用いても、半田の充填には熟練技術を要することは言うまでもない。
つまり、図15に示す従来のフレキシブル高周波同軸ケーブルと同軸型コネクタとの接続構造は、半田接続がベースになっているが、この方式は電気的特性の再現性という観点で種々の問題点が存在した。
本発明は、上記従来技術が有する各種問題点を解決するためになされたものであり、従来のL型同軸ケーブルアセンブリに見られるL型同軸コネクタと同軸ケーブルとの物理的な接続部(電気的不連続面になる)や局部的なアングル部が無く、特性インピーダンスが乱れず、伝送特性(反射特性や挿入損失特性など)に優れ、またフレキシブル高周波同軸ケーブルと同軸型コネクタとの接続構造として、半田接続に起因する不具合点を解消し、またDC〜110GHz迄の広帯域に使用可能なアングル型フレキシブル高周波同軸ケーブルアセンブリを提供することを目的とする。
前記高周波同軸ケーブルの接続先端部は、シースが剥離されて露出した外側外部導体と、この外側外部導体下の内側外部導体と、好ましくは前記内側外部導体と外側外部導体の間に介在させた緩衝用の樹脂テープとが錫コート(鉛フリー半田)または半田コート(鉛入り半田)により一体化されて一体化外部導体となった接続先端部とし、該接続先端部の先端要部は中心導体、絶縁体及び一体化外部導体がそれぞれ、もしくは絶縁体と一体化外部導体を面一として順次露出するよう段差加工され、また一体化外部導体の外周表面は螺旋状凹凸加工が施されて段差・螺旋状凹凸加工接続先端部とされ、また螺旋状凹凸加工外周表面の要部のみに接着剤が塗布され、先端部が内側に向かって延設されたフランジを有し且つ内面に螺旋状凹凸加工が施された金属製シェルの該フランジ内壁に、前記段差・螺旋状凹凸加工接続先端部の一体化外部導体の先端面が突き当たり圧着されるまで回転挿入され、フランジ内壁と先端面の突き当たり圧着部を電気的接続部とし、前記塗布された接着剤が硬化され、前記段差・螺旋状凹凸加工接続先端部および金属製シェルが機械的に固着され、電気的に接続されたケーブル装着シェル体とし、該ケーブル装着シェル体は同軸コネクタ本体に装着され、また前記フレキシブル高周波同軸ケーブルの外周には、任意長さでクランプの役割も成す金属製円筒パイプが被せられ、該金属製円筒パイプは同軸コネクタ本体にねじ込み固着され、更に金属製円筒パイプは同軸コネクタ本体近傍で所要角度(アングル)に曲げ加工が施されてアングル部が設けられ、金属製円筒パイプと共に内部のフレキシブル高周波同軸ケーブルを湾曲させていることを特長とするアングル型フレキシブル高周波同軸ケーブルアセンブリにある。
前記絶縁体としては、多孔質フッ素系樹脂が好ましく用いられる。また前記一体化外部導体の外周表面の螺旋状凹凸加工は、例えばGroove DiceによるSpiral Groove加工、すなわち、専用ねじ切りダイスを用いた粗雄ねじ加工を用いることができる。また前記接着剤は一体化外部導体の先端面(フランジの内壁に突き当てる面)には塗布しないものとする。また前記金属製円筒パイプの材質としては、各種金属が適用できるが、例えば銅、銅合金、或はアルミニウムが挙げられる。また前記金属製円筒パイプに曲げ加工を施す方法としては、通常のパイプベンダーでも可能であるが、出来るだけ同軸コネクタ本体近傍で曲げることが可能な、専用のパイプベンダーを使用するのが好ましい。また前記金属製円筒パイプの後方端の外側には溝状部を設けても良いし、円筒パイプの後方端の内側にはケーブルの最小曲げ径を考慮したテーパー部を設けても良い。
上記第1観点の同軸ケーブルアセンブリでは、前記アングル部はフレキシブル高周波同軸ケーブルに金属製円筒パイプを被せ、円筒パイプと共にケーブルを湾曲させており、従来のL型アセンブリに見られるL型コネクタとケーブルとの物理的な接続部(電気的不連続面)は無く特性インピーダンスが乱れない為、伝送特性(反射特性や挿入損失特性など)に優れている。またフレキシブル高周波同軸ケーブルを用いているので、同軸ケーブルアセンブリは取り回しが容易である。また同軸ケーブルサイズ、同軸コネクタ本体、金属製円筒パイプを適切に組み合わせることによりDC(直流)〜110GHzの広帯域に対応可能である。また金属製円筒パイプの曲げ角度は、ケーブルの最小曲げ径を維持しておれば、曲げ角度、曲げ方向、曲げ個所が自由に選択可能である。
また上記第1観点の同軸ケーブルアセンブリでは、フレキシブル高周波同軸ケーブルと同軸型コネクタとを接続する際、従来からの半田接続方式ではなく、螺旋状凹凸接合と接着剤を併用し、シェル先端部のフランジ内壁にケーブルの一体化外部導体先端面を突き当て、一体化外部導体およびシェルを機械的に固着させ電気的に接続した方式であるので、従来のような半田接続に起因する問題点が生じることはない。つまり、絶縁体が半田付け時の高温により熱変質したりして特性インピーダンスのミスマッチが生じ反射特性が劣化することはない。更に、ケーブルの接続先端部の内側金属箔と外側編組の外部導体は錫コートまたは半田コートにより一体化されているため、金属箔と編組とを段階的に剥離する必要が無く、金属箔の巻きが緩み加工性が悪化することがない。当然、外部から半田付け状態を確認する必要はなく、また金属箔と編組との間に介在された緩衝用の樹脂テープを特別に処理する必要もない。要するに、本発明の接続方式は、半田を取り扱う特殊な熟練技術を要しなくとも電気的特性の再現性が得られ、また錫コートの場合は、鉛フリーとなり環境に配慮した優れた接続構造と言える。
前記高周波同軸ケーブルの接続先端部は、シースが剥離されて露出した外側外部導体と、この外側外部導体下の内側外部導体と、好ましくは前記内側外部導体と外側外部導体の間に介在させた緩衝用の樹脂テープとが錫コート(鉛フリー半田)または半田コート(鉛入り半田)により一体化されて一体化外部導体となった接続先端部とし、該接続先端部の先端要部は中心導体、絶縁体及び一体化外部導体がそれぞれ、もしくは絶縁体と一体化外部導体を面一として順次露出するよう段差加工され、また一体化外部導体の外周表面は未加工のままで段差加工接続先端部とし、また末加工の一体化外部導体の外周表面のみに接着剤が塗布され、先端部が内側に向かって延設されたフランジを有し且つ内面に突起を備え、好ましくはフランジに向かって先細りとなるテーパー付きの穴を有する金属製シェルを用い、フランジ内壁に前記段差加工接続先端部の一体化外部導体の先端面が突き当たるまで圧入され、フランジ内壁と先端面の突き当たり圧着部を電気的接続部とし、前記塗布された接着剤が硬化され、前記段差加工接続先端部および金属製シェルが機械的に固着され、電気的に接続されたケーブル装着シェル体とし、同軸コネクタ本体に装着され、また前記フレキシブル高周波同軸ケーブルの外周には、任意長さでクランプの役割も成す金属製円筒パイプが被せられ、該金属製円筒パイプは同軸コネクタ本体にねじ込み固着され、更に金属製円筒パイプは同軸コネクタ本体近傍で所要角度(アングル)に曲げ加工が施されてアングル部が設けられ、金属製円筒パイプと共に内部のフレキシブル高周波同軸ケーブルを湾曲させていることを特長とするアングル型フレキシブル高周波同軸ケーブルアセンブリにある。
上記第2観点の同軸ケーブルアセンブリでは、上記第1観点の同軸ケーブルアセンブリと同様の作用・効果を奏する。なお、上記第2観点の同軸ケーブルアセンブリにおいて、前記段差加工接続先端部の一体化外部導体の外周表面には、シェルの突起に対応する受けを設けると、一体化外部導体と金属製シェルとの機械的固着および電気的接続がより良好となり好ましい。
上記第3観点の同軸ケーブルアセンブリでは、金属製円筒パイプの曲げ加工時にアングル部位が多少潰れてもフレキシブル高周波同軸ケーブルにストレスが及ばないよう、ケーブルのシース外径とパイプ内径の間にクリアランス(余裕)を設けているものである。また金属製円筒パイプの厚さが1.5mmを超えて厚いと、曲げにくくなり、重くなり、ハンドリング性能が落ちるので好ましくなく、また金属製円筒パイプの厚さが0.2mm未満で薄いとアングル時にパイプが潰れるので好ましくないためである。
上記第4観点の同軸ケーブルアセンブリでは、前記同軸型コネクタ本体として、プラグタイプの同軸型コネクタ本体、ジャックタイプの同軸型コネクタ本体、または中心コンタクト繋ぎ替えプラグタイプの同軸型コネクタ本体を用い、これらのコネクタ本体に前記ケーブル装着シェル体を挿入し、クランプの役割も成す金属製円筒パイプにて締め付け固定することにより優れた電気的特性を有し、且つ多彩なシリーズ化が可能な同軸ケーブルアセンブリとすることができる。
上記第5観点の同軸ケーブルアセンブリでは、曲げ加工後の金属製円筒パイプ端部とケーブル部との段差箇所には、1枚以上の熱収縮チューブが段階的に装着されているので、円筒パイプの端部近辺のケーブルの補強がされ、耐屈曲性能が格段に向上するので好ましい。
上記第6観点の同軸ケーブルアセンブリでは、ケーブル部の全面ないし部分的にケーブルの最小曲げ径を規制できる金属製あるいは樹脂製のアーマーが装着されているので、ケーブルの最小曲げ径が規制でき、ケーブルを保護することが出来るので好ましい。
上記第7観点の同軸ケーブルアセンブリでは、情報通信機器類等に使用する場合、更に好適となる。なお片端末ごとに異種規格コネクタを接続することも可能である。
上記第8観点の同軸ケーブルアセンブリでは、高周波機器類の内外部に使用する場合、両アングル部は同方向または異方向に2次元、3次元的に湾曲されているので更に好適となる。
従って、本発明は産業上に寄与する効果が極めて大である。
図1は、本発明に係る同軸ケーブルアセンブリにおいて、フレキシブル高周波同軸ケーブルおよび接続先端部を説明するための略図であり、左方部は段差・螺旋状凹凸加工接続先端部の構成、また右方部はケーブルの構成を示す。図2は、本発明に係る同軸ケーブルアセンブリにおいて、段差・螺旋状凹凸加工接続先端部を設けたフレキシブル高周波同軸ケーブルを金属製シェルに装着したケーブル装着シェル体を示す要部縦断面図である。図3は、本発明に係る同軸ケーブルアセンブリにおいて、図2のケーブル装着シェル体をプラグタイプの同軸型コネクタに挿入し、金属製円筒パイプをねじ込み固着した状態のフレキシブル高周波同軸ケーブルアセンブリ中間体を示す要部縦断面図である。図4は、図3の同軸ケーブルアセンブリ中間体の金属製円筒パイプを略90度曲げてアングル部を設けた本発明のアングル型フレキシブル高周波同軸ケーブルアセンブリの第1実施例である。図5は本発明の同軸ケーブルアセンブリの第2実施例であり、図4の本発明の同軸ケーブルアセンブリにおいて、金属製円筒パイプ端部とフレキシブル高周波同軸ケーブルとの段差箇所に3枚の熱収縮チューブを段階的に装着し、補強加工を施した状態を示す要部縦断面図である。図6は本発明の同軸ケーブルアセンブリの第3実施例であり、図2に示すケーブル装着シェル体とジャックタイプの同軸型コネクタとの接続構造を有する同軸ケーブルアセンブリを示す要部縦断面図である(アングル部以降は図4と同様なので示さず)。図7は本発明の同軸ケーブルアセンブリの第4実施例であり、図2に示すケーブル装着シェル体と中心コンタクト繋ぎ替えプラグタイプの同軸型コネクタとの接続構造を有する同軸ケーブルアセンブリを示す要部縦断面図である(アングル部以降は図4と同様なので示さず)。図8は本発明の同軸ケーブルアセンブリの第5実施例を示す略図であり、図5の同軸ケーブルアセンブリと任意の同軸コネクタとを接続したもの(片端湾曲品)である。図9は本発明の同軸ケーブルアセンブリの第6実施例を示す略図であり、図5の同軸ケーブルアセンブリの2つを、アングル部の曲げ方向を同方向に接続したもの(両端同方向湾曲品)である。図10は本発明の同軸ケーブルアセンブリの第7実施例を示す略図であり、図5の同軸ケーブルアセンブリの2つを、アングル部の曲げ方向を異方向に接続したもの(両端異方向湾曲品)である。図11は、第1実施例の同軸ケーブルアセンブリ完成品(ケーブル種別67GHz
type)(アングル後)の伝送特性チャートである。図12は、第1実施例の同軸ケーブルアセンブリ(中間体)(ケーブル種別67GHz
type)(アングル前)の伝送特性チャートである。また図13は、第1実施例の同軸ケーブルアセンブリ完成品(ケーブル種別67GHz
type)(アングル後)の伝送特性チャートと同軸ケーブルアセンブリ(中間体)(ケーブル種別67GHz
type)(アングル前)の伝送特性チャートを重ね合わせた伝送特性チャートである。
本発明の同軸ケーブルアセンブリに用いるフレキシブル高周波同軸ケーブル10は、図1の右部に示すように、例えば銀メッキ銅被覆鋼線よりなる中心導体1の外周に順次、多孔質PTFE樹脂(四フッ化エチレン樹脂)よりなる絶縁体2、金属箔の螺旋巻きにより形成した内側の外部導体6、緩衝用の樹脂テープ7、編組により形成した外側の外部導体8およびシース9からなる。
先ず前記同軸ケーブル10の接続先端部を形成するため、図1の左部に示すように、シース9を剥離して外側外部導体8を露出した。次いで、内側外部導体6と、外側外部導体8と、内側外部導体6と外側外部導体8との間に介在された緩衝用樹脂テープ7とを錫コートにより一体化して一体化外部導体3とした。次いで、中心導体1および絶縁体2が順次露出するよう段差剥離し、一体化外部導体3表面には専用ねじ切りダイス(Groove Dice)を用いた粗雄ねじ加工(Spiral Groove加工)を施して螺旋状凹凸加工面4を設けて段差・螺旋状凹凸加工接続先端部10aとし、更に螺旋状凹凸加工面4の要部には接着剤5を塗布した。前記接着剤5としては、エポキシ系接着剤、例えば、エポキシ・テクノロジー社(ビレリカ.マサチューセッツ)によって「EPO-TEK
353ND」の商品名で市販されている非導電性2液型接着剤などが好ましい。なお、接着剤5は一体化外部導体3の先端面(フランジの内壁に突き当てる面)付近には塗布しなかった。
次いで、図4に示すように、同軸ケーブルアセンブリ(中間体)20aの金属製円筒パイプ12を同軸コネクタ本体近傍で専用パイプベンダー(図示せず)にて略90度に曲げ加工を施してアングル部eを設け、金属製円筒パイプ12と共に内部の同軸ケーブル10を湾曲させてアングル型フレキシブル高周波同軸ケーブルアセンブリ20を完成させた。
前記同軸ケーブルアセンブリ20において、ケーブル種別と金属製円筒パイプのサイズの4例を下記表1に示す。なお、パイプの選定に当たっては、パイプ内径(b)=シース外径(a)+(0.1〜0.5)mm(クリアランス=b−a=0.1〜0.5mm)、パイプ厚さ(d)=(パイプ外径(c)‐パイプ内径(b))/2=0.2〜1.5mmを推称値としている。
上記表1のケーブル種別が67GHz typeで1000mm品の同軸ケーブルアセンブリについて伝送特性試験を行った。その試験方法としては、同軸ケーブルアセンブリ完成品(アングル後)と同軸ケーブルアセンブリ中間体(アングル前)をベクトル・ネットワーク・アナライザのport1およびport2にそれぞれ接続し、伝送特性(挿入損失特性および反射特性(VSWR値))を試験した。その結果を図11、図12に示す。また同軸ケーブルアセンブリ完成品の伝送特性チャートと同軸ケーブルアセンブリ中間体の伝送特性チャートを重ね合わせたチャートを図13に示す。
図11の伝送特性チャートから明らかなように、本発明の同軸ケーブルアセンブリはDC(直流)〜65GHzの高周波帯域において、挿入損失は小さく且つ安定しており、また反射特性はVSWR1.2以下を確保しており、優れた伝送特性を有していた。また図13の重ね合わせたチャートから明らかなように、本発明の同軸ケーブルアセンブリはアングル前後で特性変動が無かった。なお図11〜13の伝送特性チャートにおいて、縦軸は減衰量(Loss)(db)又は電圧定在波比(0.1U/div)、横軸は周波数(Hz)である。また上方の曲線は挿入損失特性、下方の波形線は反射特性である。
なお、上記螺旋状凹凸接合のみでも金属製シェル11先端部のフランジf内壁にケーブルの外部導体先端面が圧着するため、良好な伝送特性は得られるが、機械的強度を確保する意味で接着剤は必要である。また上記エポキシ系接着剤「EPO-TEK
353ND」の硬化条件は、70℃×60分の他150℃×1分、60℃×90分が選択可能である。むろん接着剤には「EPO-TEK 353ND」以外の、これと同等性能以上の機械的強度や耐環境性を有するエポキシ系接着剤(2液タイプの他、1液タイプや導電性タイプ)、その他の接着剤を用いても何ら問題はない。ただし、導電タイプは非導電タイプに比べ一般的に接着強度は劣るうえに、本発明の接着箇所は導電性能を必要としない。
上記実施例1で得られた同軸ケーブルアセンブリ20に、円筒パイプ部12とこれに隣接するケーブル部10の段差箇所には、耐屈曲特性を考慮し双方に跨る3枚の熱収縮チューブt1(1層目),t2(2層目),t3(3層目)を段階的に装着し、その他は上記実施例1と同様にして同軸ケーブルアセンブリ20tを完成させた。上記熱収縮チューブとしては、例えば1層目に電子線架橋軟質ポリオレフィン樹脂のスミチューブ(住友電工社商品名)を用い、2、3層目にオレフィン系、ゴム系、塩ビ系、フッ素系の何れかを用いる。なお、ゴム系のものを用いると耐屈曲性能は増すが、被覆が厚くなる傾向にある。
本実施例の同軸ケーブルアセンブリ20tでは、円筒パイプ部12に隣接するケーブル部10の補強がされ、耐屈曲性能が格段に向上した。
本実施例3は、フレキシブル高周波同軸ケーブルとジャックタイプの同軸型コネクタとの接続構造を有する同軸ケーブルアセンブリである。上述の実施例1、2のプラグタイプに対してジャックタイプは、図2に示すケーブル装着シェル体11aを、片側に中心導体1の嵌合部hを備え、別の片側に相手側プラグコネクタの中心コンタクトの嵌合部iを有するジャックタイプ変換部32をコネクタ本体中に備えたジャックコネクタ本体31に挿入し、金属製円筒パイプ12にてきつく締め付け固定した構造である。そして、ジャックコネクタ本体31の片端に施されたねじ山部jにより、相手側プラグコネクタのカップリングナット(図示せず)とねじ嵌合できる構造である。また本実施例では、金属製円筒パイプ12は上記実施例1と同様のものを用いており、実施例1と同様、ジャックタイプの同軸コネクタ本体31近傍で専用パイプベンダー(図示せず)にて略90度に曲げ加工を施してアングル部e(図示せず)を設け、ジャックタイプのアングル型フレキシブル高周波同軸ケーブルアセンブリ30を完成させた。なお前記同軸ケーブルアセンブリ30は、ケーブル接続先端部の加工方法や金属製シェルとの接続方法、金属製シェルの各部材が実施例1、2の標準プラグタイプと共通化されている。
本実施例4は、フレキシブル高周波同軸ケーブルと中心コンタクト繋ぎ替えプラグタイプの同軸型コネクタとの接続構造を有する同軸ケーブルアセンブリである。上述の実施例1、2のプラグタイプに対して本プラグタイプは、図2に示すケーブル装着シェル体11aを、片側に中心導体1の嵌合孔hを備え、別の片側に中心コンタクトピンkを有する中心コンタクト繋ぎ替え部42を備えたコネクタ本体41に挿入し、金属製円筒パイプ12にてきつく締め付け固定した構造である。なお、前記中心コンタクト繋ぎ替え部42以外の構造は、上記実施例1のコネクタ本体18と同様である。また本実施例では、金属製円筒パイプ12は上記実施例1と同様のものを用いており、実施例1と同様、中心コンタクト繋ぎ替えプラグタイプの同軸コネクタ本体41近傍で専用パイプベンダー(図示せず)にて略90度に曲げ加工を施してアングル部e(図示せず)を設け、中心コンタクト繋ぎ替えプラグタイプのアングル型フレキシブル高周波同軸ケーブルアセンブリ40を完成させた。なお前記同軸ケーブルアセンブリ40は、ケーブル接続先端部の加工方法や金属製シェルとの接続方法、金属製シェルの各部材が実施例1、2の標準プラグタイプと共通化されている。
上述の実施例2のアングル型フレキシブル高周波同軸ケーブルアセンブリ(熱収縮チューブあり)20tのケーブル部10にプラグタイプの同軸コネクタ90を接続し、アングル型フレキシブル高周波同軸ケーブルアセンブリ(片端湾曲品)50を製造した。
上述の実施例2の同軸ケーブルアセンブリ20tの2つを、アングル部eの曲げ方向を同方向にして接続し、アングル型フレキシブル高周波同軸ケーブルアセンブリ(両端同方向湾曲品)60を製造した。
上述の実施例2の同軸ケーブルアセンブリ20tの2つを、アングル部eの曲げ方向を反対方向に接続し、アングル型フレキシブル高周波同軸ケーブルアセンブリ(両端異方向湾曲品)70を製造した。
その他の実施例として、特に図示はしないが、前記図2において、シェル内面の螺旋状凹凸処理の代わりに突起を備えたテーパー付きの穴を有する金属製シェルを用い、これに、末加工の一体化外部導体に接着剤を塗布した一体化接続先端部を圧入して固着させ電気的に接続した螺旋状凹凸接合以外の接続方法を適用した同軸ケーブルアセンブリとすることも可能である。なお、ケーブルの一体化外部導体表面には、シェル内面の突起に対応する受けを設けても良い。また、接着剤を塗布した接続先端部を金属製シェルの穴に挿入し、フランジの内壁に一体化外部導体先端面を突き当てた状態で、ケーブルとシェルとを固定治具にて圧着させたり、シェルの後端でケーブル(一体化外部導体部)を補助的に半田で仮止めしたり、シェルの後端をケーブルの特性インピーダンスが劣化しない程度にカシメ、固定しても良い。なお、接着剤は一体化外部導体の先端面(フランジの内壁に突き当てる面)には塗布しないものとする。またケーブル部には、ケーブルの最小曲げ径を規制できる金属製あるいは樹脂製のアーマー(保護外装、例えば可撓管、蛇腹等)を、ケーブル部の全面ないし部分的に装着しても良い。また、アーマー表面やケーブル部との段差箇所には、必要に応じ1枚以上の熱収縮チューブを装着しても良い。
2 絶縁体
3 一体化外部導体(錫コートまたは半田コート)
4 螺旋状凹凸加工面
5 接着剤
6 金属箔の螺旋巻き外部導体(内側外部導体)
7 緩衝用の樹脂テープ
8 編組外部導体(外側外部導体)
9 シース
10 フレキシブル高周波同軸ケーブル(ケーブル部)
10a 接続先端部(段差・螺旋状凹凸加工接続先端部)
11 金属製シェル
11a ケーブル装着シェル体
12 金属製円筒パイプ(パイプ部)
15 カップリングナット
16 ガスケット
17 リティニングリング
18 プラグタイプの同軸型コネクタ本体
20 実施例1のアングル型フレキシブル高周波同軸ケーブルアセンブリ(熱収縮チューブなし)
20a 実施例1のフレキシブル高周波同軸ケーブルアセンブリ中間体
20t 実施例2のアングル型フレキシブル高周波同軸ケーブルアセンブリ(熱収縮チューブあり)
30 実施例3のアングル型フレキシブル高周波同軸ケーブルアセンブリ(ジャックタイプのアングル型フレキシブル高周波同軸ケーブルアセンブリ)
31 ジャックタイプ変換部を備えたジャックコネクタ本体
32 ジャックタイプ変換部
40 実施例4のアングル型フレキシブル高周波同軸ケーブルアセンブリ(中心コンタクト繋ぎ替えプラグタイプのアングル型フレキシブル高周波同軸ケーブルアセンブリ)
41 中心コンタクト繋ぎ替え部を備えたプラグコネクタ本体
42 中心コンタクト繋ぎ替え部
50 実施例5のアングル型フレキシブル高周波同軸ケーブルアセンブリ(片端湾曲品)
60実施例6のアングル型フレキシブル高周波同軸ケーブルアセンブリ(両端同方向湾曲品)
70 実施例7のアングル型フレキシブル高周波同軸ケーブルアセンブリ(両端異方向湾曲品)
90 任意の同軸コネクタ
a シース外径
b パイプ内径
c パイプ外径
d パイプ厚さ
e アングル部
f フランジ
g 一体化外部導体先端面
h 中心導体嵌合部
i 相手側中心コンタクト嵌合部
j ねじ山部
k 中心コンタクトピン
t1,t2,t3 熱収縮チューブ
Claims (7)
- 中心導体の外周に順次、絶縁体、金属箔の螺旋巻きにより形成した内側の外部導体、編組により形成した外側の外部導体、好ましくは前記内側外部導体と外側外部導体の間に介在させた緩衝用の樹脂テープ、およびシースからなるフレキシブル高周波同軸ケーブルの先端部を加工し、金属製シェルを通して機械的・電気的に接続するための接続先端部を設け、この接続先端部を同軸コネクタ本体に挿入し、接続した構造からなるフレキシブル高周波同軸ケーブルアセンブリであって、
前記高周波同軸ケーブルの接続先端部は、シースが剥離されて露出した外側外部導体と、この外側外部導体下の内側外部導体と、好ましくは前記内側外部導体と外側外部導体の間に介在させた緩衝用の樹脂テープとが錫コート(鉛フリー半田)または半田コート(鉛入り半田)により一体化されて一体化外部導体となった接続先端部とし、該接続先端部の先端要部は中心導体、絶縁体及び一体化外部導体がそれぞれ、もしくは絶縁体と一体化外部導体を面一として順次露出するよう段差加工され、また一体化外部導体の外周表面は螺旋状凹凸加工が施されて段差・螺旋状凹凸加工接続先端部とされ、また螺旋状凹凸加工外周表面の要部のみに接着剤が塗布され、先端部が内側に向かって延設されたフランジを有し且つ内面に螺旋状凹凸加工が施された金属製シェルの該フランジ内壁に、前記段差・螺旋状凹凸加工接続先端部の一体化外部導体の先端面が突き当たり圧着されるまで回転挿入され、フランジ内壁と先端面の突き当たり圧着部を電気的接続部とし、前記塗布された接着剤が硬化され、前記段差・螺旋状凹凸加工接続先端部および金属製シェルが機械的に固着され、電気的に接続されたケーブル装着シェル体とし、該ケーブル装着シェル体は同軸コネクタ本体に装着され、また前記フレキシブル高周波同軸ケーブルの外周には、任意長さでクランプの役割も成す金属製円筒パイプが被せられ、該金属製円筒パイプは、パイプ内径(b)=シース外径(a)+(0.1〜0.5)mm、パイプ厚さ(d)=(パイプ外径(c)‐パイプ内径(b))/2=0.2〜1.5mmであり、同軸コネクタ本体にねじ込み固着され、更に金属製円筒パイプは同軸コネクタ本体近傍で所要角度(アングル)に曲げ加工が施されてアングル部が設けられ、金属製円筒パイプと共に内部のフレキシブル高周波同軸ケーブルが湾曲されていることを特長とするアングル型フレキシブル高周波同軸ケーブルアセンブリ。 - 中心導体の外周に順次、絶縁体、金属箔の螺旋巻きにより形成した内側の外部導体、編組により形成した外側の外部導体、好ましくは前記内側外部導体と外側外部導体の間に介在させた緩衝用の樹脂テープ、およびシースからなるフレキシブル高周波同軸ケーブルの先端部を加工し、金属製シェルを通して機械的・電気的に接続するための接続先端部を設け、この接続先端部を同軸コネクタ本体に挿入し、接続した構造からなるフレキシブル高周波同軸ケーブルアセンブリであって、
前記高周波同軸ケーブルの接続先端部は、シースが剥離されて露出した外側外部導体と、この外側外部導体下の内側外部導体と、好ましくは前記内側外部導体と外側外部導体の間に介在させた緩衝用の樹脂テープとが錫コート(鉛フリー半田)または半田コート(鉛入り半田)により一体化されて一体化外部導体となった接続先端部とし、該接続先端部の先端要部は中心導体、絶縁体及び一体化外部導体がそれぞれ、もしくは絶縁体と一体化外部導体を面一として順次露出するよう段差加工され、また一体化外部導体の外周表面は未加工のままで段差加工接続先端部とし、また末加工の一体化外部導体の外周表面のみに接着剤が塗布され、先端部が内側に向かって延設されたフランジを有し且つ内面に突起を備え、好ましくはフランジに向かって先細りとなるテーパー付きの穴を有する金属製シェルを用い、フランジ内壁に前記段差加工接続先端部の一体化外部導体の先端面が突き当たるまで圧入され、フランジ内壁と先端面の突き当たり圧着部を電気的接続部とし、前記塗布された接着剤が硬化され、前記段差加工接続先端部および金属製シェルが機械的に固着され、電気的に接続されたケーブル装着シェル体とし、同軸コネクタ本体に装着され、また前記フレキシブル高周波同軸ケーブルの外周には、任意長さでクランプの役割も成す金属製円筒パイプが被せられ、該金属製円筒パイプは、パイプ内径(b)=シース外径(a)+(0.1〜0.5)mm、パイプ厚さ(d)=(パイプ外径(c)‐パイプ内径(b))/2=0.2〜1.5mmであり、同軸コネクタ本体にねじ込み固着され、更に金属製円筒パイプは同軸コネクタ本体近傍で所要角度(アングル)に曲げ加工が施されてアングル部が設けられ、金属製円筒パイプと共に内部のフレキシブル高周波同軸ケーブルが湾曲されていることを特長とするアングル型フレキシブル高周波同軸ケーブルアセンブリ。 - 前記同軸コネクタ本体が、プラグタイプの同軸コネクタ本体、ジャックタイプの同軸コネクタ本体、または中心コンタクト繋ぎ替えプラグタイプの同軸コネクタ本体であることを特徴とする請求項1または2記載のアングル型フレキシブル高周波同軸ケーブルアセンブリ。
- 前記曲げ加工後の金属製円筒パイプの端部(同軸コネクタ本体接続端部と逆側)とフレキシブル高周波同軸ケーブルとの段差箇所には、1枚以上の熱収縮チューブが段階的に装着されていることを特徴とする請求項1、2または3記載のアングル型フレキシブル高周波同軸ケーブルアセンブリ。
- 前記金属製円筒パイプが被せられていない部分のフレキシブル高周波同軸ケーブルには、ケーブルの全面ないし部分的にケーブルの最小曲げ径を規制できる金属製あるいは樹脂製のアーマー(保護外装)が装着されていることを特徴とする請求項1、2、3または4記載のアングル型フレキシブル高周波同軸ケーブルアセンブリ。
- 前記請求項1、2、3、4または5いずれか1項記載のアングル型フレキシブル高周波同軸ケーブルアセンブリのフレキシブル高周波同軸ケーブルの他端には、任意の同軸コネクタが接続されていることを特徴とするアングル型フレキシブル高周波同軸ケーブルアセンブリ。
- 前記請求項1、2、3、4または5いずれか1項記載のアングル型フレキシブル高周波同軸ケーブルアセンブリのフレキシブル高周波同軸ケーブルの他端には、前記請求項1、2、3、4または5いずれか1項記載の同軸ケーブルアセンブリが接続されるとともに、両アングル部は同方向または異方向に湾曲されていることを特徴とするアングル型フレキシブル高周波同軸ケーブルアセンブリ。
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