JP4582862B2 - 二次電池 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は二次電池に関し、特に複数の単電池を接続してなる集合型二次電池に好適に適用できる二次電池に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
所要の電力容量が得られるように複数の単電池を接続して一体的に連結して成る従来の集合型二次電池としては、図5のようなものが知られている。この集合型二次電池は、図6に示すような密閉型アルカリ二次電池からなる複数個の単電池41(41a〜41j)を、その電槽42の幅の広い長側面同士を互いに対向させて重ねるように配置し、両端の単電池41a、41jの電槽42の外側にエンドプレート52を当接させ、両エンドプレート52、52間を拘束バンド53にて結束することにより一体的に連結して構成されている。
【0003】
単電池41は、正極板と負極板をセパレータを介して積層してなる発電要素である極板群47を電解液と共に電槽42内に収容し、各電槽42の開口部を安全弁45を設けた蓋46で閉じ、極板群47を構成する各正極板の一側部上端から上方にリード49を引き出してその上部に正極端子43を接続し、また同様に各負極板の他側部上端から上方にリード49を引き出してその上部に負極端子44を接続し、これら正極端子43及び負極端子44を蓋46に取付けて構成されている。
【0004】
そして、連結されて隣り合う単電池41間の正極端子43と負極端子44とが接続板51にて接続されて各単電池41が直列接続されている。また、各電槽42間が連結されるとき、電槽42の長側面に上下方向に突設されたリブ48が隣接間で突き合わされ、各リブ48、48間の長側面間の空間にて電槽42の上下方向に貫通する冷媒流路が形成され、冷媒通路に送風して各単電池41a〜41jを冷却するように構成されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記従来の集合型二次電池の構成では、極板の上端一側部から上方にリード49を引き出して蓋46に装着される端子43、44に接続し、これら端子43、44の蓋46の上部に突出した部分間を接続板51で接続するようにしているので、単電池間の接続構成が複雑で部品点数が多いためにコスト高になるとともに接続抵抗が大きくなり、また電槽42の上部に接続用の空間を確保する必要があるとともに接続部が外部に露出しているために、設置スペースをコンパクトにできないという問題があった。
【0006】
また、極端子43、44の極柱が蓋46を貫通する部分には、一般に蓋内面側にのみOリングを配置して1重にのみシールしているので、電池使用時に液漏れの恐れがあった。
【0007】
本発明は、上記従来の問題点に鑑み、電池間の接続構成が簡単で低コストにて構成できるとともに設置スペースをコンパクトにでき、しかも液漏れの恐れがなくかつそのためのシール材の組み付け作業性の良い二次電池を提供することを目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明の二次電池は、幅の狭い短側面と幅の広い長側面とを有する直方体状の電槽内に、その長側面方向両端に正極と負極の集電板を有する極板群と電解液を収容して単電池を構成し、これらの集電板に、電槽の短側面に貫通形成した接続穴に嵌入する接続突部を設け、その電槽の短側面の外側に配置した同様の集電板又は接続端子に接続突部を設け、これら接続突部の先端を溶接して外部と接続するようにし、かつ短側面の両側に配設された集電板又は接続端子の接続突部の周囲にそれぞれ短側面との間のシールを行うシール材を配設するとともに、接続突部の周囲のシール材を配置する環状溝の開口縁に環状溝内に突出するシール材抜け出し防止突部を突設したものである。
【0009】
この構成によれば、極板群の集電板に設けた接続突部によって隣接する電池間又は接続端子と接続するので、接続構成が簡単でかつ別の接続部品を必要とせずに接続できて低コストにて構成でき、また電池間の接続構成がコンパクトとなり、設置スペースをコンパクトにでき、かつ短側面両側のシール材による2重シールにて使用中の液漏れを確実に防止でき、さらに集電板の環状溝にシール材を保持させた後、その集電板を電槽の短側面の両側に配置して接続突部を接続穴に挿入して溶接するまでの集電板の取扱い中にシール材が環状溝から抜け出してしまうのを防止でき、集電板の接続時の作業性を向上できる。
【0010】
また、そのシール材抜け出し防止突部を、環状溝の開口縁部の全周又は適当間隔置きの複数箇所を溝底に向けてプレスすることにより環状溝内に膨出させて形成すると、複雑なプレス型を用いずにプレス成形時の一連の工程で環状溝内に突出する突部を容易に低コストにて形成できる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態の集合型二次電池について、図1〜図4を参照して説明する。
【0012】
本実施形態の集合型二次電池1は、電気自動車用の駆動電源として好適に用いることができるニッケル・水素二次電池であり、図1、図2に示すように、幅の狭い短側面と幅の広い長側面とを有する上面開口の直方体状の複数(図示例では6つ)の電槽3をその短側面を共用して相互に一体的に連結して成る一体電槽2にて構成されかつ各電槽3の上面開口は一体の蓋体4にて一体的に閉鎖されている。
【0013】
各電槽3内には、電槽3の長側面と平行な多数の正極板と負極板をセパレータを介して短側面方向に積層してなる極板群5が電解液とともに収納され、単電池6が構成されている。極板群5においては、正極板と負極板の互いに反対側の側縁部をそれぞれ対向部分から外側に突出させてそれらの突出部を正極リード部18aと負極リード部19aとし、これらリード部18a、19aに対してその全長にわたって集電板31、32を固着して構成されている。
【0014】
一体電槽2の両端の電槽3の外側の短側面及び各電槽3、3間の短側面の上端部には接続穴7が形成され、後で詳細に説明するように、両端の電槽3の外側の短側面の接続穴7には正極又は負極の接続端子8が装着され、中間の電槽3、3間の短側面の接続穴7を通して両側の単電池6、6が直列接続されている。
【0015】
蓋体4の上面には、互いに隣り合う電槽3、3の隣接端部において通孔9が形成されるとともに、蓋体4上にこれら通孔9、9間を連通する連通路22を形成した連通蓋21が溶着されている。21aは、連通蓋21の内面中央部に突設された補強突起で、連通路22を閉じない大きさでかつその先端が蓋体4の上面に当接して溶着され、連通蓋21の耐圧強度を確保している。
【0016】
一体電槽2と蓋体4と連通蓋21は、PP/PPEアロイなどの合成樹脂材料にて構成されており、電解液に対して撥液性を有している。なお、蓋体4と連通蓋21のみを撥液性材料で構成してもよく、さらに連通路22の表面にのみ撥液性の材料のコーティングを施してもよい。
【0017】
また、蓋体4には各電槽3毎に内部圧力が一定以上になったときに圧力を解放するための単一の安全弁10が配設され、また単電池6の温度を検出する温度検出センサを装着するセンサ装着穴11が適当な単電池6の極板群5の上端に接するように凹入形成されている。
【0018】
各電槽3の長側面が一平面を成す一体電槽2の長側面12には、各電槽3の両側端に対応する位置に上下方向に延びるリブ13が突設されており、かつリブ13、13間には適当ピッチ間隔でマトリックス状に多数の比較的小さな円形の突部14が突設されている。これらリブ13と突部14は同じ高さである。さらに、電槽3の上端部と蓋体4の側面には、リブ13の延長位置及び突部14の配置位置に対応してそれらの側面間にわたるように、リブ13及び突部14と同じ高さの連結リブ15a及び15bが形成されている。また、一体電槽2の長側面12の両端近傍の2つのリブ13の外面の上部と下部に、一体電槽2をその長側面12で互いに重ねた時に相互に嵌合する複数の位置決め用の突部16と凹部17が設けられている。これらリブ13、突部14及び連結リブ15a、15bは、一体電槽2を並列配置したときにそれらの間に各電槽3を効率的にかつ均一に冷却するための冷媒通路を形成する。
【0019】
また、単電池6、6を直列接続する接続構成は、図3、図4に示すように、極板群5の両側の集電板31、32の上端部に、電槽3の短側面の上端部に貫通形成した接続穴7に嵌入する接続突部33を突出形成し、これら接続突部33の先端を溶接して隣り合う単電池6、6の集電板31、32を接続している。なお、両端の電槽3の集電板31又は32と接続端子8との間の接続は、接続端子8の接続突部26と接続突部33の先端を溶接して接続している。
【0020】
また、短側面の両側の集電板31、32の接続突部33又は接続端子8の接続突部26の周囲に環状溝34を形成してそれぞれ短側面との間のシールを行うOリング28を配設している。これらの環状溝34に装着されたOリング28にて接続穴7は2重にシールされている。
【0021】
上記接続突部33は、集電板31、32のプレス成形によって一面側に突出成形されている。また、接続突部33の先端中央部に若干の凹み39が形成され、先端外周部に環状突出部38を有する断面形状に形成している。
【0022】
また、集電板31、32の接続突部33の周囲のOリング28を配置する環状溝34において、その内周面34aの開口縁部の周方向複数箇所(図示例では6箇所)に環状溝34内に向けて所定量pだけ突出するシール材抜け出し防止突部30が突設されている。
【0023】
詳しく説明すると、環状溝34は、図4(d)に示すように、その内周面34aが中心側に向けてθ°(1〜3°程度)テーパして形成されており、そのままの状態でOリング28を配置した場合、図3に示すように、集電板31、32を電槽3の短側面の両側に配置し、接続突部33を接続穴7に挿入し、集電板31、32を矢印の如く挟圧して溶接するまでの集電板31、32の取扱い中に、Oリング28が環状溝34から抜け出してしまう恐れがあるが、シール材抜け出し防止突部30を設けることによって上記集電板31、32の取扱い中にOリング28が環状溝34から抜け出すのを防止している。
【0024】
上記シール材抜け出し防止突部30の突出量pは、内周面34aのテーパをほぼ補償する程度か若干それよりも大きくするのが、Oリング28の装着作業の容易化と抜け出し防止の両方を満たすのに好適である。
【0025】
なお、図示例では、シール材抜け出し防止突部30を等間隔おきに6箇所に設けたが、その数は少なくても、多くても良く、場合によっては全周にわたって連続して形成してもよい。また、シール材抜け出し防止突部30を環状溝34の内周面34aの開口縁部に設けたが、外周面の開口縁部に設けてもよく、また内外周に形成してもよい。
【0026】
また、このシール材抜け出し防止突部30は、図4(d)に仮想線で示す断面形状の環状溝34の開口縁部を溝底に向けてプレスしてプレス部30aを凹入形成することによって集電板材料を環状溝34内に向けて膨出させて形成している。これにより、複雑なプレス型を用いずにプレス成形時の一連の工程で、環状溝34内に突出するシール材抜け出し防止突部30を容易に低コストにて形成することができる。
【0027】
以上の構成の集合型二次電池1においては、直方体状の複数の電槽3をその短側面で相互に一体的に連結して成る一体電槽2を構成し、かつ各電槽3の上面開口を蓋体4にて一体的に閉鎖し、電槽3、3間の短側面の上端部に形成した接続穴7に、両側の極板群5の集電板31、32の接続突部33を挿入してその先端同士を溶接して接続しているので、隣接する単電池6の接続を一体電槽2の内部で行うことができ、外部に接続構成が露出しないので、集合型二次電池1の設置スペースをコンパクトにすることができる。
【0028】
また、互いに隣り合う電槽3、3の隣接端部において、蓋体4に通孔9を形成するとともに、蓋体4上にこれら通孔9、9間を連通する連通路22を形成した連通蓋21が溶着されており、これによって各電槽3の間の内部圧力を均一化して一部の電槽3の内部圧力の上昇によってその単電池6の寿命が低下し、それに伴って集合型二次電池1全体の寿命が短くなるのを防止するとともに、蓋体4に単一の安全弁10を設けるだけで良くして、コスト低下を図ることができる。
【0029】
また、極板群5を構成している集電板31、32のプレス成形によって突出成形された接続突部33にて、隣接する電槽3の極板群5、すなわち単電池6を直列接続しているので、接続部品を別途に必要とせず、少ない部品点数で低コストにて簡単に接続することができ、また接続突部33が集電板31、32と一体でありかつ1箇所の溶接で接続されているので、電気抵抗の極めて少ない接続が可能となる。
【0030】
さらに、両端の電槽3の外側の短側面においても、同様の接続突部26を有する接続端子8と集電板31または32を両側に配置してそれらの接続突部26と33の先端同士を溶接することにより、電槽3とその外部との接続をコンパクトな構成でかつ簡単に行うことができる。
【0031】
また、接続突部33の先端外周部に環状突出部38を設けているので、接続突部33の先端同士の溶接時に、先端が平面の溶接電極を用いて接続突部33の突出側とは反対側の周囲を加圧してもその加圧力は確実に突出先端外周部の環状突出部38に伝達され、この環状突出部38の当接部に加圧力が集中しかつ環状の溶接線となって大きな溶接面積が確保されるため溶接性が良好となり、電気抵抗の小さい接続部を高い信頼性をもって得ることができる。
【0032】
また、集電板31又は32の接続突部33や接続端子8の接続突部26の周囲に短側面との間のシールを行うOリング28を配設しているので、短側面の両側で2重にシールすることができ、使用中の液漏れを確実に防止できる。
【0033】
しかも、環状溝34の内周面34aにシール材抜け出し防止突部30を設けているので、図3に示すように、この環状溝34内にOリング28を配置した状態で集電板31、32を電槽3の短側面の両側に配置し、接続突部33を接続穴7に挿入し、集電板31、32を矢印の如く挟圧して溶接するまでの集電板31、32の取扱い中にOリング28が環状溝34から抜け出すのを確実に防止でき、集電板31、32の接続時の作業性を向上できる。
【0034】
【発明の効果】
本発明の二次電池によれば、以上の説明から明らかなように、直方体状の電槽内に、その長側面方向両端に正極と負極の集電板を有する極板群と電解液を収容して単電池を構成し、これらの集電板に、電槽の短側面に貫通形成した接続穴に嵌入する接続突部を設け、その電槽の短側面の外側に配置した同様の集電板又は接続端子に接続突部を設け、これら接続突部の先端を溶接して外部と接続するようにし、かつ短側面の両側に配設された集電板又は接続端子の接続突部の周囲にそれぞれ短側面との間のシールを行うシール材を配設するとともに、接続突部の周囲のシール材を配置する環状溝の開口縁に環状溝内に突出するシール材抜け出し防止突部を突設したので、極板群の集電板に設けた接続突部によって隣接する電池間又は接続端子と接続でき、接続構成が簡単、低コスト、コンパクトとなり、設置スペースをコンパクトにでき、かつ短側面両側のシール材による2重シールにて使用中の液漏れを確実に防止でき、さらに集電板の環状溝にシール材を保持させた後、その集電板を電槽の短側面の両側に配置して接続突部を接続穴に挿入して溶接するまでの集電板の取扱い中にシール材が環状溝から抜け出してしまうのを防止でき、集電板の接続時の作業性を向上できる。
【0035】
また、そのシール材抜け出し防止突部を、環状溝の開口縁部の全周又は適当間隔置きの複数箇所を溝底に向けてプレスすることにより環状溝内に膨出させて形成すると、複雑なプレス型を用いずにプレス成形時の一連の工程で環状溝内に突出する突部を容易に低コストにて形成できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態の集合型二次電池を示し、(a)は正面図、(b)は平面図である。
【図2】同実施形態の部分縦断正面図である。
【図3】同実施形態における単電池間の接続構成を示す拡大縦断面図である。
【図4】同実施形態における集電板の接続部の構成を示し、(a)は正面図、(b)は(a)の縦断側面図、(c)は(a)のC部拡大図、(d)は(c)のD−D矢視拡大断面図である。
【図5】従来例の集合型二次電池の外観斜視図である。
【図6】同従来例の単電池の部分破断斜視図である。
【符号の説明】
1 集合型二次電池
2 一体電槽
3 電槽
5 極板群
6 単電池
7 接続穴
8 接続端子
26 接続突部
28 Oリング(シール材)
30 シール材抜け出し防止突部
30a プレス部
31 集電板
32 集電板
33 接続突部
34 環状溝
Claims (2)
- 幅の狭い短側面と幅の広い長側面とを有する直方体状の電槽内に、その長側面方向両端に正極と負極の集電板を有する極板群と電解液を収容して単電池を構成し、これらの集電板に、電槽の短側面に貫通形成した接続穴に嵌入する接続突部を設け、その電槽の短側面の外側に配置した同様の集電板又は接続端子に接続突部を設け、これら接続突部の先端を溶接して外部と接続するようにし、かつ短側面の両側に配設された集電板又は接続端子の接続突部の周囲にそれぞれ短側面との間のシールを行うシール材を配設するとともに、接続突部の周囲のシール材を配置する環状溝の開口縁に環状溝内に突出するシール材抜け出し防止突部を突設したことを特徴とする二次電池。
- シール材抜け出し防止突部は、環状溝の開口縁部の全周又は適当間隔置きの複数箇所を溝底に向けてプレスすることにより環状溝内に膨出させて形成したことを特徴とする請求項1記載の二次電池。
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