JP4581889B2 - エンジンの制御装置 - Google Patents
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Description
また、このようなエンジンにおいて、成層燃焼と均質燃焼とをエンジンの運転状態に応じて切換えるようにしたエンジンが公知である。成層燃焼とは、圧縮行程中に筒内噴射用インジェクタから燃料を噴射して点火プラグ周辺に集中的に層状の混合気を形成して、燃料を希薄燃焼させる。均質燃焼とは、燃焼室内に燃料を拡散させて均質の混合気を形成して、燃料を燃焼させる。
公報(特許文献1)は、成層燃焼および均質燃焼を運転状態により切換えるエンジンであって、燃焼室内に直接燃料を噴射する主燃料噴射弁と各気筒の吸気ポートに燃料を噴射する副燃料噴射弁とを有するエンジンの燃料噴射制御装置を開示する。このエンジンの燃料噴射制御装置は、成層燃焼と均質燃焼とを運転状態に応じて切換えるエンジンの制御装置であって、燃焼室内に直接燃料を噴射する主燃料噴射弁を設けると共に、各気筒の吸気ポートに燃料を噴射する副燃料噴射弁を設け、主燃料噴射弁と副燃料噴射弁の燃料噴射量の分担率を、エンジン運転状態に基づいて可変に設定することを特徴とする。
このエンジンの燃料噴射制御装置によると、成層燃焼は、主燃料噴射弁から燃焼室内に直接噴射する燃料のみで賄い、均質燃焼を主燃料噴射弁と副燃料噴射弁とを併用(場合によっては副燃料噴射弁のみの使用も可能)することで、高出力エンジンであっても主燃料噴射弁の容量を小さく押さえることができ、以って、アイドルなどの低負荷領域での主燃料噴射弁の噴射期間−噴射量特性のリニアリティが高められ、噴射量制御精度の向上により、成層燃焼を良好に維持でき、アイドルなど低負荷運転の安定性が向上する。均質燃焼時に主燃料噴射弁と副燃料噴射弁とを併用して、直接燃料噴射の利点と、吸気ポート噴射の利点とを活かすことにより、均質燃焼も良好に維持できる。
このような観点から、成層燃焼と均質燃焼との切換時の制御が必要でなく、高コストのリーンNOx触媒の必要もない、成層燃焼を行なわず、全域において均質燃焼を行なう筒内噴射用インジェクタのみを備えた直噴エンジンが開発された。
しかしながら、このような直噴エンジンにおいては、筒内噴射用インジェクタのみで全域における均質燃焼を行なうので、エンジン低回転、高負荷時においては均質度が低くトルク変動が大きくなる可能性がある。なお、上述した特許文献1においては、均質燃焼が行なわれる領域ではエンジン出力(回転数、負荷)の増大に応じて吸気ポートに燃料を噴射する副燃料噴射弁の分担率が増大するように設定されているという開示しかなく、上述した問題点の解決策にならない。
本発明は、上述の課題を解決するためになされたものであって、その目的は、筒内に燃料を噴射する第1の燃料噴射手段と吸気通路に燃料を噴射する第2の燃料噴射手段とで噴射燃料を分担するエンジンにおいて、成層燃焼と均質燃焼との組合せによる問題も、直噴エンジンにおける均質燃焼の問題も解決できる、エンジンの制御装置を提供することである。
筒内へ直接燃料を噴射する場合は、燃料の気化潜熱によって筒内の温度を下げることができ、それに伴い筒内の充填効率が大きくなる。よって、吸気通路内へ燃料を噴射する場合に比べて、筒内へ直接燃料を噴射した場合は高いエンジン出力特性を得ることができる。しかしながら、エンジンの回転数が低い場合は燃料の均質性が悪くなり、反対に筒内へ直接燃料を噴射した場合の方がエンジン出力特性は悪くなる傾向にある。また、長時間吸気通路内にのみ燃料を噴射し、筒内への燃料の供給を停止すると、筒内燃料噴射手段が高熱にさらされ筒内燃料噴射手段にデポジットが付着すると言った虞がある。そのため、エンジンを最適状態で運転するためには、第1の燃料噴射手段と第2の燃料噴射手段とをエンジンの運転領域によって最適に使い分ける必要がある。
そこで、第1の発明では高エンジン回転数領域のような均質性が比較的高い領域では第1の燃料噴射手段のみにより筒内へ燃料を噴射することにより、均質性を保ちながら高いエンジン出力特性を得ることができる。また、低エンジン負荷領域のような要求燃料噴射量が小さい領域では、第1の燃料噴射手段および第2の燃料噴射手段の双方で燃料を噴射すると、最小燃料噴射量が大きくなり、要求燃料噴射量を満たすことができなくなる虞がある(双方の燃料噴射手段で燃料を噴射する場合の最小燃料噴射量は各燃料噴射手段の最小燃料噴射量の合計となるため、一方の燃料噴射手段のみで燃料を噴射する場合よりも最小燃料噴射量は大きくなる)。そこで、第1の燃料噴射手段または第2の燃料噴射手段のどちらか一方のみによって燃料を供給することが考えられるが、上述したように吸気通路内に燃料を供給する第2の燃料噴射手段によってのみ燃料を供給すると、第1の燃料噴射手段へデポジットが堆積しやすくなるため、本発明では第1の燃料噴射手段のみにより筒内へ燃料を噴射することにより、デポジットの堆積を抑制することができる。更に、低エンジン負荷領域以上であって、かつ、高エンジン回転数領域以下の所定の領域では、第1の燃料噴射手段と第2の燃料噴射手段の双方から燃料を噴射する領域を含むため、均質性およびエンジン出力特性を最適化することができる。このように、各領域で各燃料噴射手段を最適に使い分けることにより、エンジンを最適状態で運転することが可能となる。第2の発明に係る制御装置においては、第1の発明の構成に加えて、前記所定の領域では、高エンジン回転数側に移行するにつれて前記第1の燃料噴射手段の分担比率が前記の燃料噴射手段との分担比率より大きくなる領域を有する情報である。
燃料の均質性は高回転数側の領域になるほど良くなる傾向にある。上途したように、均質性が良ければ、筒内へ直接燃料を供給した方がエンジン出力特性は良くなる。よって、第2の発明によれば、高回転領域側へ移行するにつれて第2の燃料噴射手段の分担比率を大とすることで、均質性を保ちながらエンジン出力特性を良好にすることができる。
第3の発明に係る制御装置においては、第1、2のいずれかの発明の構成に加えて前記所定の領域では、高エンジン負荷側に移行するにつれて前記第1の燃料噴射手段の分担比率が前記第2の燃料噴射手段との分担比率より小さくなる領域を有する情報である。
燃料の均質性を考えると、エンジン負荷が高いほど燃料噴射量が多くなるため、均質性は悪くなる。よって、第3の発明に係る制御装置においては、高エンジン負荷側へ移行するにつれて吸気通路へ燃料を噴射する第2の燃料噴射手段の分担比率を大きくすることによって、均質性を良好にすることができ、エンジン出力特性の悪化を防止することができる。
第4の発明に係る制御装置においては、第1〜3のいずれかの発明の構成に加えて、前記所定の領域内の高エンジン負荷かつ高エンジン回転数の領域では第1の燃料噴射手段のみが使用される情報を含む。
第5の発明に係る制御装置においては、第1〜4のいずれかの発明の構成に加えて、前記判断手段は、アイドル時の触媒暖機時は前記エンジンが通常運転状態ではないと判断するための手段を含み、アイドル時の触媒暖機時は、前記制御装置は成層燃焼を行なうように、前記第1の燃料噴射手段および前記第2の燃料噴射手段を制御する。
第5の発明によると、触媒暖気中は成層燃焼することにより触媒暖機を促進しつつ、通常運転状態である他の領域では均質燃焼とするため、制御を複雑化させることはない。
なお、ここでいう成層燃焼には、成層燃焼と以下に示す弱成層燃焼の双方を含むものである。弱成層燃焼とは、吸気通路噴射用インジェクタを吸気行程で燃料噴射して燃焼室全体にリーンで均質な混合気を生成して、さらに筒内噴射用インジェクタを圧縮行程で燃料噴射して点火プラグ周りにリッチな混合気を生成して、燃焼状態の向上を図るものである。このような弱成層燃焼は触媒暖気時に好ましい。これは、以下の理由による。すなわち、触媒暖気時には高温の燃焼ガスを触媒に到達させるために点火時期を大幅に遅角させ、かつ良好な燃焼状態(アイドル状態)を維持する必要がある。また、ある程度の燃料量を供給する必要がある。これを成層燃焼で行なおうとしても燃料量が少ないという問題があり、これを均質燃焼で行なおうとしても良好な燃焼を維持するために遅角量が成層燃焼に比べて小さいという問題がある。このような観点から、上述した弱成層燃焼を触媒暖気時に用いることが好ましいが、成層燃焼および弱成層燃焼のいずれであっても構わない。
第6の発明に係る制御装置においては、第1〜5のいずれかの発明の構成に加えて、情報は、エンジンの回転数と負荷率とにより規定される、第1の燃料噴射手段と第2の燃料噴射手段との分担比率を表わす情報を含む。
第6の発明によると、エンジンの回転数と負荷率とにより筒内噴射用インジェクタと吸気通路噴射用インジェクタとの燃料噴射量の分担率を定めておいて、いずれの回転数および負荷率においても、通常運転時には均質燃焼を実現させることができる。
第7の発明に係る制御装置においては、第1〜6のいずれかの発明の構成に加えて、第1の燃料噴射手段は、筒内噴射用インジェクタであって、第2の燃料噴射手段は、吸気通路用インジェクタである。
第7の発明によると、第1の燃料噴射手段である筒内噴射用インジェクタと第2の燃料噴射手段である吸気通路噴射用インジェクタとを別個に設けて噴射燃料を分担するエンジンにおいて、成層燃焼と均質燃焼との組合せによる問題も、直噴エンジンにおける均質燃焼の問題も解決できる、エンジンの制御装置を提供することができる。
各気筒112に対しては、筒内に向けて燃料を噴射するための筒内噴射用インジェクタ110と、吸気ポートまたは/および吸気通路内に向けて燃料を噴射するための吸気通路噴射用インジェクタ120とがそれぞれ設けられている。これらインジェクタ110、120はエンジンECU300の出力信号に基づいてそれぞれ制御される。また、各気筒内噴射用インジェクタ110は共通の燃料分配管130に接続されており、この燃料分配管130は燃料分配管130に向けて流通可能な逆止弁140を介して、機関駆動式の高圧燃料ポンプ150に接続されている。なお、本実施の形態においては、2つのインジェクタが別個に設けられたエンジンについて説明するが、本発明はこのようなエンジンに限定されない。たとえば、筒内噴射機能と吸気通路噴射機能とを併せ持つような1個のインジェクタを有するエンジンであってもよい。
エアフローメータ42は吸入空気量に比例した出力電圧を発生し、このエアフローメータ42の出力電圧はA/D変換器370を介して入力ポート350に入力される。エンジン10には機関冷却水温に比例した出力電圧を発生する水温センサ380が取付けられ、この水温センサ380の出力電圧は、A/D変換器390を介して入力ポート350に入力される。
次にアイドル状態時のエンジンの制御に関して説明する。アイドル状態においては、図2とは異なる図示しない条件に基づいてエンジンが制御される。温間アイドル時においては筒内噴射用インジェクタ110のみを用いた燃料供給が行われるが、冷間アイドル(機関温度が所定値以下の低温状態)時においては吸気通路噴射用インジェクタ120のみを用いた燃料供給が行われる。これは、筒内噴射用インジェクタ110と吸気通路噴射用インジェクタ120の最小燃料噴射量と筒内噴射用インジェクタ110のデポジット堆積し易さに基づいて決定されている。
Claims (7)
- 筒内に燃料を噴射するための第1の燃料噴射手段と吸気通路内に燃料を噴射するための第2の燃料噴射手段とを備えた火花点火式ガソリンエンジンの制御装置であって、
前記エンジンが通常運転状態であるか否かを判断するための判断手段と、
前記判断手段によって通常運転状態であると判断された場合には、前記エンジンは均質燃焼のみを行なうように、前記エンジンの運転状態に対応させた情報に基づいて、前記第1の燃料噴射手段と前記第2の燃料噴射手段とを制御するための制御手段とを含み、
前記情報は、予め定められた高エンジン回転数領域では第1の燃料噴射手段のみが使用される情報であり、かつ、予め定められた低エンジン負荷領域では第1の燃料噴射手段のみが使用される情報であり、かつ、前記予め定められた低エンジン負荷領域以上であって、かつ、前記予め定められた高エンジン回転数領域以下の所定の領域では前記第1の燃料噴射手段と前記第2の燃料噴射手段の双方が使用される領域を有する情報を含み、
前記情報に基づいて、燃料噴射手段を制御するための手段を含む、エンジンの制御装置。 - 前記所定の領域では、高エンジン回転数側に移行するにつれて前記第1の燃料噴射手段の分担比率が前記第2の燃料噴射手段との分担比率より大きくなる領域を有する情報である、請求項1に記載のエンジンの制御装置。
- 前記所定の領域では、高エンジン負荷側に移行するにつれて前記第1の燃料噴射手段の分担比率が前記第2の燃料噴射手段との分担比率より小さくなる領域を有する情報である、請求項1または2に記載のエンジンの制御装置。
- 前記所定の領域内の高エンジン負荷かつ高エンジン回転数の領域では第1の燃料噴射手段のみが使用される情報を含む、請求項1〜3のいずれかに記載のエンジンの制御装置。
- 前記判断手段は、アイドル時の触媒暖機時は前記エンジンが通常運転状態ではないと判断するための手段を含み、
アイドル時の触媒暖機時は、前記制御装置は成層燃焼を行なうように、前記第1の燃料噴射手段および前記第2の燃料噴射手段を制御することを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載のエンジンの制御装置。 - 前記情報は、エンジンの回転数と負荷率とにより規定される、前記第1の燃料噴射手段と前記第2の燃料噴射手段との分担比率を表わす情報を含む、請求項1〜5のいずれかに記載のエンジンの制御装置。
- 前記第1の燃料噴射手段は、筒内噴射用インジェクタであって、
前記第2の燃料噴射手段は、吸気通路用インジェクタである、請求項1〜6のいずれかに記載のエンジンの制御装置。
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