JP4581682B2 - ゴミ焼却設備の飛灰中のダイオキシン類の低減方法 - Google Patents

ゴミ焼却設備の飛灰中のダイオキシン類の低減方法 Download PDF

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本発明は、ゴミ焼却設備で発生する飛灰中のダイオキシン類の低減方法に関する。
ゴミ焼却設備でのダイオキシン類の排出源は、排ガスと飛灰や主灰等の固体残渣である。ここで高度な排ガス処理により排ガスに伴う排出量は低減でき、主灰は高温度の焼却で低減できるが、全体でのダイオキシン類の多くを占める固体残渣の飛灰に含まれるダイオキシン類の量は依然として多い。実際、ゴミ焼却設備からの排ガスを消石灰に活性炭を混合した薬剤で処理した場合、排ガス中のダイオキシン類は0.1ng−TEQ/Nmと極めて低くとも、飛灰中のダイオキシン類は1ng−TEQ/gは存在する。排ガス中の飛灰の濃度が5〜10g/Nmとすると、5〜10ng−TEQ/Nmのダイオキシン類が飛灰とともに捕捉されねばならない。よって、ゴミ焼却設備からのダイオキシン類の全発生量を削減するには、単に排ガス中のダイオキシン類を低減させるのみでなく、飛灰中のダイオキシン類を低減させることが重要である。
例えば、前述した排ガスからのダイオキシン類の除去で主に採用されている活性炭等による吸着法では、排ガス中のダイオキシン類が高度に除去されても、結局は飛灰等の固体廃棄物中のダイオキシン類の含有量が高くなってしまい、ゴミ焼却設備から排出されるダイオキシン類全量の低減には寄与しない。ここでの飛灰中のダイオキシン類濃度が高い理由は単にダイオキシン類が吸着されるのみでなく前駆体から再合成されることにもよる。よって再合成を抑制できることが重要な課題である。また飛灰中のダイオキシン類の生成条件は、排ガスとは異なり、滞留時間が長くダイオキシン類生成の触媒となる塩化銅等との接触時間も長い。よって排ガス中のダイオキシン類の低減方法をそのまま適用しても効果は少ない。このように基本的には、排ガス中のダイオキシン類の低減方法と飛灰中のダイオキシン類の低減方法は別方法である。
特許文献1〜3には、排ガス中のダイオキシン類や塩化水素を低減させる方法が記載されている。しかし、これらは何れも飛灰中のダイオキシン類の低減を目的とした発明ではなく、飛灰中のダイオキシン類を低下するに好適な薬剤種の選定やその薬剤の多孔質性、比表面積、平均粒子径、細孔構造等の重要な物性の開示は無い。また、特許文献3のように活性炭を併用するものは、活性炭にダイオキシン類が捕捉されるために飛灰中のダイオキシン類の量は低下しない。
特開平3−224618号公報(請求項1) 特開平11−104439号公報(請求項1、2) 特開2000−354735号公報(請求項1、3)
本発明は、飛灰中のダイオキシン類を、300℃未満の低い温度で、容易に低減する方法を提供することを課題とする。
本発明は、下記の方法を提供するものである。
(1)平均粒子径が1〜50μm、比表面積が1.0〜3.0m/gである多孔質の炭酸カリウム、および、粒子状の水酸化カルシウムを、100℃以上300℃未満で、ゴミ焼却設備から発生する飛灰と接触させることを特徴とする飛灰中のダイオキシン類の低減方法。
(2)前記多孔質炭酸カリウムは、細孔径0.1〜1.0μmの細孔の細孔容積の合計が0.08mL/g以上である(1)記載の低減方法。
(3)前記多孔質炭酸カリウムは、多孔質炭酸カリウムと水酸化カルシウムの合計量に対して1〜50質量%である(1)または(2)記載の低減方法。
(4)前記多孔質炭酸カリウムおよび水酸化カルシウムを、ゴミ焼却設備の煙道中に噴霧して、その後飛灰と共に集塵する(1)〜(3)いずれか記載の低減方法。
(5)平均粒子径60〜500μmの多孔質炭酸カリウムを平均粒子径1〜50μmに粉砕しつつ煙道に噴霧する(4)記載の低減方法。
(6)平均粒子径60〜500μmの多孔質の炭酸カリウムを平均粒子径1〜50μmに粉砕したものを水酸化カルシウムと混合して煙道に噴霧する(4)記載の低減方法。
(7)平均粒子径60〜500μmの多孔質炭酸カリウムと平均粒子径20μm以下の水酸化カルシウムを混合しものを、粉砕しつつ煙道に噴霧する(4)記載の低減方法。
(8)前記飛灰が、ゴミ焼却設備から取り出した飛灰である、(1)〜(3)のいずれかに記載の低減方法。
)多孔質炭酸カリウムおよび水酸化カルシウムよりなり、多孔質炭酸カリウムは平均粒子径が1〜50μmで比表面積が1.0〜3.0m/gで細孔径0.1〜1.0μmの細孔の細孔容積の合計が0.08mL/g以上であり、水酸化カルシウムは平均粒子径が0.1〜20μmであり、多孔質炭酸カリウムの含量が多孔質炭酸カリウムと水酸化カルシウムの合計量に対して1〜50質量%である、飛灰中のダイオキシン類の低減薬剤。
(10)ゴミ焼却設備から取り出した飛灰と混合して用いられる、(9)記載の低減薬剤。
本発明に係る薬剤の使用により、飛灰中のダイオキシン類を1ng−TEQ/g以下、さらには0.1ng−TEQ/gという、非常に低い濃度まで低減できる。しかも、300℃未満の低い温度で、飛灰中のダイオキシン類を容易に低減できる。また溶融炉や加熱炉等を有していないゴミ焼却設備でも追加設備無く実施可能である。
本明細書において、特に説明のない場合、%は質量%を表す。また、mLは容量の単位であるミリリットルを表す。各物性値の測定にあたっては、平均粒径の測定は、粉砕品等で平均粒子径が微細で50μm以下の場合についてはレーザー散乱回折式の粒度分布測定装置使用して行う。本発明で使用した装置は「マイクロトラックFRA9220」(日機装社製商品名)である。未粉砕品等で平均粒子径が50μm超と大きい場合の平均粒子径についてはロータップ式ふるい分け測定により行う。本発明で使用した装置は「SIEVE SHAKER」(飯田製作所製商品名)である。比表面積の測定は、窒素置換法により行う。本発明で使用した装置は「迅速表面積測定装置SA−1000」(柴田科学社製商品名)である。また、細孔容積の測定は、水銀圧入式法により行う。本発明で使用した装置は「マイクロメリティックスポアサイザー9310形」(島津製作所製商品名、測定範囲:細孔径0.0071〜609.5μm)である。
まず、本発明に用いる多孔質炭酸カリウムについて説明する。多孔質炭酸カリウムは、平均粒子径が1〜50μm、比表面積が1.0〜3.0m/gである。多孔質炭酸カリウムの平均粒子径が50μmを超えると、飛灰中に同じ質量の炭酸カリウムを含んでいても、単位質量あたりの飛灰中の炭酸カリウムの個数が減少し、飛灰中での炭酸カリウムの分散度が低下してしまう。平均粒子径は、より好ましくは20μm以下、さらに好ましくは10μm以下である。一方、平均粒子径が小さいほど個数が増加して飛灰内での分散度が高くなるが、小さすぎると粉砕による製造が困難となったり、粒子同士が凝集する傾向が強くなり逆に分散性が低下したり、吸湿性が強く潮解しやすくなり細孔がつぶれたりし、好ましくない。よって、平均粒子径は1μm以上である。平均粒子径は、より好ましくは2μm以上、さらに好ましくは5μm以上である。
炭酸カリウムの比表面積は1.0〜3.0m/gで、より好ましくは上限は2.5m/gで、下限は1.5m/gである。比表面積が大きいほど反応に寄与する部分が多いが、一方、比表面積が大きいということは、細孔1個の細孔直径と細孔1個の細孔容積が小さいということであり、後述の細孔1個の細孔容積を大きくすることと相反し本用途での性能の低下につながるため、3.0m/g以下が好ましい。比表面積は1.0m/g未満では、反応に寄与する面積が少なくなりダイオキシン類の低減効果が低下する。同一の細孔構造であっても、比表面積は平均粒子径が小さいほど大きくなる。しかし前述のごとく平均粒子径が小さすぎると分散性、吸湿性、工業的生産性の観点から支障が出てくるため、この平均粒子径の制約からも比表面積は3.0m/g以下の範囲が好ましくなる。ここで炭酸カリウムが多孔質でない場合は、平均粒子径を10μmまで小さくしても、比表面積は1.0m/g未満に留まる。
多孔質の炭酸カリウムは、細孔径0.1〜1.0μmの細孔の細孔容積の合計が0.08mL/g以上であることが好ましい。反応性を高くするために、炭酸カリウムは細孔径0.1〜1.0μmの細孔を数多く有していることが好ましく、細孔径0.1〜1.0μmの細孔の細孔容積の合計が0.08mL/g以上であることが好ましく、0.1mL/g以上であることがより好ましい。ここで細孔径は細孔の直径のことをいう。発明者らは、細孔径0.1〜1.0μmの細孔が発達することによって、反応相手となるダイオキシン類の前駆体の炭酸カリウム細孔内での物質移動が容易となるため、炭酸カリウムの飛灰中のダイオキシン類の低減効果が、無孔質の炭酸カリウムの場合に比較してさらに向上すると推測している。すなわち、本発明における多孔質の炭酸カリウムが飛灰に接して存在することによってクロロベンゼン類やクロロフェノール類等のダイオキシン類の前駆体と、塩素ガスや臭素ガスや塩化水素ガスとの反応が抑制されるので、飛灰中の重金属によるダイオキシン類の再合成も抑制されると推測される。細孔径0.1μm未満の微細な細孔では、比表面積が大きくとも、反応相手となるダイオキシン類の前駆体の炭酸カリウムの細孔内での物質移動速度が遅くなり、反応活性が低下すると推測している。この効果は特願2004−67204に示されるごとく、炭酸水素ナトリウムが焼成された多孔質の炭酸ナトリウムよりも多孔質炭酸カリウムが優れる。
比表面積の大きさに関連し、排ガス中の塩化水素ガスの低減と飛灰中のダイオキシン類の低減の機構は以下のように推測される。塩化水素ガスの分子はダイオキシン類の前駆体の分子に比較して小さいため、本薬剤の細孔径が小さくとも塩化水素ガスとの反応性は良く、さらに本薬剤の比表面積が大きいほど良い。一方、飛灰中のダイオキシン類の低減に関しては、ガス状のダイオキシン類の前駆体が炭酸カリウムの細孔内を拡散し、そこで脱塩素化されねばならないため、本薬剤の細孔径はダイオキシン類の前駆体に比較して大きいことが必要である。すなわち細孔径が小さいほど比表面積は大きくできるが、細孔径に下限があるために、比表面積に上限が出てくる。このため比表面積の値は、1.0〜3.0m/gが好ましいと推測される。
本発明に用いる水酸化カルシウムは、排ガス中の塩化水素等の酸性ガス成分を除去する効果を有し、多孔質の炭酸カリウムが排ガス中の塩化水素等の酸性ガス成分との反応により消耗されるのを抑制する。このため、本方法においては、経済的にも効能とバランスのとれたダイオキシンの低減方法が実現できる。水酸化カルシウムは、消石灰で良く、平均粒子径は、塩化水素ガスとの反応に供されるので、排ガス中の分散をよくするためと、比表面積を増加して塩化水素等の酸性ガス成分との反応性を向上させるために、細かい方が良いので20μm以下が好ましい。より好ましくは10μm以下である。また、水酸化カルシウムの平均粒子径は、0.1μm以上であることが好ましい。微細な水酸化カルシウムほど、排ガス中での単位質量あたりの個数が増加し塩化水素等の酸性ガスの水酸化カルシウム粒子への拡散距離が短くなり、かつ比表面積も大きくなるので、排ガス中の塩化水素等の酸性ガス成分との反応に優れるが、0.1μm未満の水酸化カルシウムは工業的に製造するには高価となるし、さらに凝集しやすくなる。
本発明において、排ガス中の塩化水素等の酸性ガス成分の濃度にもよるが、多孔質の炭酸カリウムは多孔質の炭酸カリウムと水酸化カルシウムの合計に対して1〜50%であることが好ましい。より好ましくは、5〜40%である。1%未満であるとダイオキシン類の低減効果が十分発現しないおそれがあり、50%より多いと、飛灰中のダイオキシン類の低減効果は向上するものの、一般的には水酸化カルシウムより高価である炭酸カリウムの使用量が増加しコストが過大となってしまう。
水酸化カルシウムは多孔質の炭酸カリウムと混合した後に噴霧してもよく、あるいは水酸化カルシウムを先に煙道の上流部分に噴霧して下流で炭酸カリウムを噴霧するなど、別々に噴霧してもよい。
排ガス中の塩化水素等の酸性ガス成分の除去のために、水酸化カルシウムを使用する利点としては、水酸化カルシウムが安価であり、消石灰として入手が容易であること、さらにはこれらの事情によりゴミ焼却の排ガス中の塩化水素の除去薬剤として普及しているために、利用できる既設設備がすでに整っていることが挙げられる。
本発明で用いる多孔質の炭酸カリウムは、ヒュームドシリカを多孔質の炭酸カリウムとヒュームドシリカとの合計に対して0.1〜5%含むことが好ましい。微粉に粉砕した場合の分散性の向上には固結防止剤を使用することができる。特にヒュームドシリカは好適に使用できる。ヒュームドシリカは親水性あるいは疎水性ともに使用できるが、飛灰を引き続き、水に溶解する等の、湿式処理する場合は親水性のヒュームドシリカの使用が好ましい。またヒュームドシリカは平均粒子径1〜50μmの炭酸カリウムに混合するだけでなく、後述するオンサイト粉砕法において、粉砕する前の平均粒子径60〜500μmの炭酸カリウムに混合して使用できる。これによって粉砕機への粉体の安定した投入ができ、かつ粉砕中の凝集を抑制し、さらに粉砕後の微粉の分散性を改善でき、本薬剤を飛灰に均一に添加できる。ヒュームドシリカの添加量は多孔質の炭酸カリウムとヒュームドシリカとの合計に対して、さらに好ましくは0.3〜2%である。ヒュームドシリカの添加量は0.1%未満では添加効果が少ない。一方、ヒュームドシリカは高価であるために5%を超えて添加することは経済的でない。
本発明においては、多孔質炭酸カリウムとともに実質的には活性炭を使用しないことが好ましい。活性炭は水不溶解成分として固形廃棄物を増加させることとなり、また引火性であるため高温での使用にあたり制約が出るからである。さらに本発明の目的である飛灰中のダイオキシン類を減らす観点から見ても、活性炭はダイオキシン類を吸着するのみであり、飛灰中のダイオキシン類の低減には寄与しないので不要である。
本発明は上記の多孔質炭酸カリウムおよび水酸化カリウム(以下あわせて本薬剤という。)を100℃以上300℃未満で、ゴミ焼却設備から発生する飛灰と接触させることにより飛灰中のダイオキシン類を低減する方法である。本薬剤を飛灰と接触させる温度は、100℃以上300℃未満である。下限が100℃未満であると、本薬剤の反応性が低下したり、ゴミ焼却ガスが結露し本薬剤が吸湿したり、酸露点以下となり設備腐食が発生したりする。また、300℃以上では本薬剤の細孔構造が次第に変化することで比表面積が低下したり、設備がアルカリ腐食したりする。より好ましくは下限は120℃で上限は260℃である。
本発明においてゴミ焼却設備とは、都市ゴミ、産業廃棄物、RDF(熱可塑性樹脂を含むゴミを粉砕乾燥して圧縮成形した固形化物)を燃焼する設備をいう。
以下に、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。図1は、本発明をゴミ焼却設備から発生する飛灰中のダイオキシン低減に適用した好適な例の概要を示したものである。本発明の実施の態様は、本図を用いた説明に限定されるものではなく、飛灰をゴミ焼却設備から取り出した後、本薬剤と飛灰とを混合して外熱式のロータリーキルンなどで100〜300℃に加熱する態様も含む。
本発明の飛灰中のダイオキシン類の低減方法の態様として、本薬剤をゴミ焼却設備の煙道に噴霧しその後、飛灰と共に集塵することが好ましい。例えば図1のゴミ焼却設備1から発生する排ガス中に、第2の煙道4で噴霧する。本薬剤の噴霧にあたっては、水溶液やスラリーにせず粉体のまま使用する。噴霧された本薬剤は、飛灰と共にバグフィルターや電気集塵機等の集塵装置で捕集される。例えば図1の集塵装置5で除去されて、さらに排ガスは第3の煙道6を通って煙突7から排出される。
本薬剤のうちの炭酸カリウムを煙道に噴霧する態様として、平均粒子径60〜500μmの多孔質の炭酸カリウムを平均粒子径1〜50μmに粉砕しつつ煙道に噴霧することが好ましい。粉砕される前の平均粒子径は粉砕機への投入が安定するように60〜500μmが好適である。より好ましくは100〜400μmである。500μm超であると粉砕機が大型となり、60μm未満であると粉体としての流動性が低下し粉砕機への投入が安定しない。ここで粉砕された炭酸カリウムの平均粒子径は1〜50μmで、より好ましくは1〜20μm、さらに好ましくは1〜10μmである。事前に平均粒子径50μm以下の微粉を準備してこれを噴霧せず、平均粒子径60〜500μmの粗粉を平均粒子径1〜50μmに粉砕しつつ噴霧する方法を、以下、オンサイト粉砕法という。また、平均粒子径60〜500μmの多孔質の炭酸カリウムの比表面積は1m/g以上が好ましい。すなわち平均粒子径1〜50μmに粉砕された後に比表面積が1.0〜3.0m/gとなる必要がある。
この場合は水酸化カルシウムは別に煙道中に噴霧される。一方、所定の平均粒子径にした炭酸カリウムと水酸化カルシウムを予め混合したものを噴霧しても良い。この場合には、炭酸カリウム単独の場合に比べて、固結しにくいという利点がある。
本薬剤を煙道に噴霧する別の態様として、平均粒子径60〜500μmの炭酸カリウムと平均粒子径20μm以下の水酸化カルシウムを混合して、炭酸カリウムの平均粒子径を1〜50μmに粉砕しつつ煙道に噴霧しても良い。
平均粒子径60〜500μmの炭酸カリウムと水酸化カルシウムの合計に対して炭酸カリウムを1〜50%混合することが好ましい。これは吸湿性の低い水酸化カルシウムが介在するために炭酸カリウムが粉砕機のハンマーや分級機のインペラに付着することを防止できるからである。
他の態様としては事前に粉砕した多孔質炭酸カリウムや水酸化カルシウムを混合し、あるいは別々に貯層に貯留して、一定量を逐次使用する方法を採用することができる。この方法は、微粉砕を別のラインで大規模に効率良く実施できるので、小規模のゴミ焼却設備で本発明を採用する場合に有利となる。
なお、上記した粉砕には、風力式分級機能を内蔵した衝撃式粉砕器、例えば「ACMパルベライザー」(ホソカワミクロン社製商品名)が好適に使用できる。炭酸カリウムは吸湿性が強いために、露点が0℃以下、より好ましくは露点が−10℃以下の乾燥空気中で粉砕を行う。
[例1(実施例)]
バッチ炉のゴミ焼却設備で、3000kgの紙類を、20時間で焼却した。ゴミ焼却部分の温度制御は400〜480℃となっている。燃焼の初期は一次バーナーで補助燃料として天然ガスを用いて燃焼し、8時間後は補助燃料を停止し、自燃で推移する。さらにここで発生した排ガスを二次バーナーで800〜900℃に温度制御した。この排ガスはその後、スプレー式の冷却塔である冷却装置3で180℃に冷却され、次いで本発明の薬剤が噴霧され、バグフィルターである集塵装置5集塵される。下記の各例においてはゴミ質と焼却量は同じとした。
以下に本薬剤の調整について記載する。ここに平均粒子径290μmの多孔質の炭酸カリウムを、ACMパルベライザーACM−5型(ホソカワミクロン社製商品名)を用いて、露点が−15℃の乾燥空気中で粉砕して作製しておいた平均粒子径12μmの炭酸カリウム10質量%と、宇部マテリアル株式会社の平均粒子径6.5μmの消石灰特号90質量%とを事前に混合した本薬剤を、6.8kg/h噴霧した。噴霧場所は水噴霧式の冷却塔である冷却装置3とバグフィルターである集塵装置5の間の第2の煙道4である。噴霧した炭酸カリウムの物性を表1に示す。
Figure 0004581682
燃焼状態が安定する焼却開始2時間後から、バグフィルターである集塵装置5出口における排ガスおよび飛灰の分析を開始した。分析結果は表2のようであった。排ガス中のダイオキシン類の濃度も活性炭を使用していなかったが良好であった。
[例2(比較例)]
例1と同一設備を用い、同一焼却条件で、噴霧する薬剤を消石灰のみとした。使用した消石灰は例1と同じく宇部マテリアルズ株式会社の消石灰特号を使用した。噴霧量は6.8kg/hであった。
Figure 0004581682
本発明によって飛灰中のダイオキシン類を低減できた。本発明の炭酸カリウムの効果に関して例1と例2と比較すると、例1は、例2と同一の特号消石灰の10%を本発明の炭酸カリウムに置換したのみであるが、飛灰中のダイオキシン類について、例1は例2に対し、0.10/0.26=0.38倍であった。一方、塩化水素ガスの濃度については、例1は例2に対し、21/35=0.60倍であったことから、本発明の炭酸カリウムが飛灰中のダイオキシン類の選択的低減に効果があったことが分かる。また、排ガス中のダイオキシン類の濃度については、例1は例2に対し、0.32/0.5=0.64倍、すなわち、低減したものの飛灰中のダイオキシン類の低減効果(0.38倍)までには至らなかった。これは本薬剤が飛灰中のダイオキシン類の低減により効果的であったことを示している。
本発明は、ゴミ焼却設備から発生する飛灰中のダイオキシン類の低減に利用できる。
本発明に係る薬剤を使用するゴミ焼却設備の概要を示す図。
符号の説明
1.ゴミ焼却設備、
2.第1の煙道、
3.冷却装置、
4.第2の煙道、
5.集塵装置、
6.第3の煙道、
7.煙突、
8.薬剤(飛灰中のダイオキシン類低減剤)、
9.飛灰。

Claims (10)

  1. 平均粒子径が1〜50μm、比表面積が1.0〜3.0m/gである多孔質の炭酸カリウム、および、粒子状の水酸化カルシウムを、100℃以上300℃未満で、ゴミ焼却設備から発生する飛灰と接触させることを特徴とする飛灰中のダイオキシン類の低減方法。
  2. 前記多孔質炭酸カリウムは、細孔径0.1〜1.0μmの細孔の細孔容積の合計が0.08mL/g以上である請求項1記載の低減方法。
  3. 前記多孔質炭酸カリウムは、多孔質炭酸カリウムと水酸化カルシウムの合計量に対して1〜50質量%である請求項1または2記載の低減方法。
  4. 前記多孔質炭酸カリウムおよび水酸化カルシウムを、ゴミ焼却設備の煙道中に噴霧して、その後飛灰と共に集塵する請求項1〜3いずれか記載の低減方法。
  5. 平均粒子径60〜500μmの多孔質炭酸カリウムを平均粒子径1〜50μmに粉砕しつつ煙道に噴霧する請求項4記載の低減方法。
  6. 平均粒子径60〜500μmの多孔質の炭酸カリウムを平均粒子径1〜50μmに粉砕したものを水酸化カルシウムと混合して煙道に噴霧する請求項4記載の低減方法。
  7. 平均粒子径60〜500μmの多孔質炭酸カリウムと平均粒子径20μm以下の水酸化カルシウムを混合しものを、粉砕しつつ煙道に噴霧する請求項4記載の低減方法。
  8. 前記飛灰が、ゴミ焼却設備から取り出した飛灰である、請求項1〜3のいずれかに記載の低減方法。
  9. 多孔質炭酸カリウムおよび水酸化カルシウムよりなり、多孔質炭酸カリウムは平均粒子径が1〜50μmで比表面積が1.0〜3.0m/gで細孔径0.1〜1.0μmの細孔の細孔容積の合計が0.08mL/g以上であり、水酸化カルシウムは平均粒子径が0.1〜20μmであり、多孔質炭酸カリウムの含量が多孔質炭酸カリウムと水酸化カルシウムの合計量に対して1〜50質量%である、飛灰中のダイオキシン類の低減薬剤。
  10. ゴミ焼却設備から取り出した飛灰と混合して用いられる、請求項9記載の低減薬剤。
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