JP4580485B2 - 高精度印刷方法及び高精度印刷装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、高精度な着色パターンを転写するための高精度印刷方法及び印刷装置に関し、特に高精度な着色パターンが要求されるカラーフィルタを製造するために用いることができる印刷方法及び印刷装置である。
【0002】
【従来の技術】
従来、高精度パターンを形成するのに、印刷法で行うと、スループットはよいものの、被印刷体に転写する際に、形状の変化が生じ、グラビア印刷、オフセット印刷等でも、パターン精度が得られず、高精度の着色パターンを形成することができなかった。
【0003】
また、例えば、特開平5−281409号公報、あるいは特開平6−214106号公報に、カラーフィルターを印刷によって製造する方法として、版の凹部内のインキを基材側に直接移すグラビアダイレクト方式を用いること等も提案しているが同様の問題があった。
【0004】
そこで、特開平5−169614号公報等では、平版状のセルからのブランケットの転写像が高精度なものとなるようにセルの形状を改良したり、あるいはブランケットからの転写率を高めたりする方法等を提案されているが、これらの方法では、連続的に転写することはできず、枚葉式の装置に限られているとともに、これらの方法によっても、数十μm単位で正確な画素を形成することは困難であった。
【0005】
このため、本出願人は、高精度の着色パターンを印刷法で形成することを可能にし、先に特願平11−9409号に、着色パターンを印刷基材の表面に形成された粘弾性を有する層に転写することで高精度の着色パターンが印刷できることを開示し、正確に着色パターンの形状を印刷できるようにしたが、この出願によっても、印刷した際に着色パターンのサイズが大きくなる等、特に横方向の幅の再現性が完全ではなかった。
【0006】
具体的には、印刷基材がグラビア版胴と接したときに空にういて、グラビア版胴の凹部に入り込み、着色パターンの転写時に印刷基材の横幅が縮み、転写後には印刷基材の横幅が元に戻ることで、形成された着色パターンのサイズが大きくなる等の影響をうけていた。
【0007】
例えば、グラビア版胴に形成されている右端と左端の凹部の距離が210mmである場合、印刷された着色パターン8の右端から左端の幅は210、100mm〜210、150mmとサイズが大きくなる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
そのため、着色パターンのサイズ等、特に横方向の幅の再現性を向上させ、着色パターンが要求されるカラーフィルタ等を製造することができる高精度印刷方法、高精度印刷装置を提供することを課題とするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明の高精度印刷方法は、帯状の印刷基材に、圧胴を用いて着色パターンを転写する高精度印刷方法であって、前記印刷基材は、基材上に粘弾層を形成してなるもので、前記圧胴は、外周部に粘着性を備えたものであり、該粘着性によって、該基材を圧胴に密着させ、印刷基材に着色パターンを転写することを特徴とするものである。
そして、上記高精度印刷方法であって、前記印刷基材上に転写された着色パターンを転写基材に転写することを特徴とするものである。
この方法はカラーフィルタを製造するのに適した方法であり、印刷基材上に着色パターンを転写した後、印刷基材上に形成された着色パターンをガラス等の転写基材に転写してカラーフィルタを製造することができる。
なお、着色パターンを転写した印刷基材をカラーフィルタとすることもできる。
【0010】
また、上記高精度印刷方法を実現する印刷装置として、供給ロールと圧胴及び少なくとも3つ以上の印刷ユニットを有し、前記圧胴の外周部は粘着性を有し、前記印刷ユニットが少なくとも版胴、ファニッシャーローラ、インキつぼからなる印刷装置、特に版胴がグラビア胴である印刷装置を提供するものである。なお、この装置はカラーフィルタの製造装置としても適している。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下に図1を用いて本発明の1実施形態について説明する。
本発明の着色パターン8は、印刷基材5にグラビア版胴12から供給されたインキ14を転写することで形成する。
【0012】
供給ロール20から巻出された印刷基材5は、テンションロール11でテンション調整され、外周部に粘着性を有した圧胴10の周囲に送られる。その後、ファニッシャーローラ13によりグラビア版胴12に供給されたインキ14を、ドクター15で整形し、印刷基材5に、印刷する。
【0013】
図4は図1のa’−a’断面を矢印A方向から見た模式図である。以下に図4を用いて説明する。
印刷基材5は圧胴10表面に接し、圧胴10の外周部が粘着性を有する。
このため、印刷基材5が、グラビア版胴12と接したときに空にういて、グラビア版胴の凹部、言いかえると、印刷パターン9に入り込み、印刷パターン9の転写時に印刷基材5の横幅Wが縮んで、転写後に印刷基材5の横幅Wが元に戻ることで、形成された着色パターン8のサイズが大きくなることはなく、正確な着色パターンの大きさを再現できる。
【0014】
例えば、グラビア版胴に形成されたストライプ状の印刷パターン9の右端と左端の凹部の距離W’が210mmである場合、印刷された着色パターン8の右端から左端の幅は210mmとなり、1つ1つの着色パターン8も正確な大きさで形成されている。
【0015】
これは、粘着性のない圧胴では印刷基材5がグラビア版胴の凹部には入り込むのに対し、圧胴10の表面に粘着性をもたせた場合には、印刷基材5が圧胴10によって支持されているため、グラビア版胴12の凹部には入り込まないためである。
【0016】
なお、印刷基材5が、基材上に粘弾層を有するため、印刷基材5に転写されるインキ14のパターンは、凹版のインキ形状が完全に転写され、形状の正確な着色パターン8が得られるという特徴を有している。
【0017】
これは、印刷基材5が、圧胴10によって、グラビア版胴12の表面に密着させられ、印刷基材5の表面に形成された粘弾層がパターン非形成部17に密着して、粘弾層がグラビア版胴12の回転に伴い、接触角を変えながら移動し、印刷される。
そのため、印刷基材5が連続しているにもかかわらず、印刷基材5への印刷パターン9の転写が位置決めをされた状態で行なえ、着色パターン形状が正確に転写される。
【0018】
このような印刷基材5は、基材の上に粘弾層を有するが、この粘弾層としては、アクリル系共重合体、シリコーン共重合体、シリコーン等を含む組成物を用いる。
【0019】
具体的に、アクリル系共重合体としては、ステアリル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシル(メタ)アクリレート、を挙げることができ、これらの共重合体の分子量は重量平均分子量で100000ないし800000であることが好ましい。
ここで、(メタ)アクリレートは、メタクリレート、アクリレートの少なくともいずれか一方を含むものを意味する。
【0020】
また、シリコーン共重合体としては、ジメチルポリシロキサンと、ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、ブチルメタクリレート、2−イソシアネートエチル、あるいはメタクリレートから選ばれる少なくとも1種の共重合物を用いることができる。
シリコーン等としては、ジメチルポリシロキサン、メチルフロロポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、またはメチルフロロポリシロキサンを挙げることができる。
なお、シリコーン共重合体及びシリコーンの分子量は、重量平均分子量で100000ないし1000000であることが好ましい。
【0021】
この粘弾層としては、厚さは20〜200μm、損失正接tanδが0.01〜0.2、複素弾性率が106〜107dyne/cm2、表面硬度が0.1〜1.5μm/0.1mN、臨界表面張力が17〜37dyne/cmであることが好ましく、さらに臨界表面張力は20〜26dyne/cmであることが好ましい。
【0022】
これは、損失正接tanδが0.01より小さい場合には、弾性成分が増加するため、粘弾層4は凹版から離れた直後の復元力が強く、着色パターン8の形状および寸法安定性は良好であるが、粘弾層4の凹版への追従性は低下するため、インクとの被接触部分が発生し中抜け不良を起こしやすいためである。
一方、損失正接tanδが0.2より大きい場合は、粘性部分が増加するため、上記とは反対の現象を起こしやすく、粘弾層4が凹版から離れた直後は、復元力が弱く、着色パターン8の形状および寸法安定性は低下するが、凹版への追従性は向上するため中抜け不良の発生は低減するものである。
【0023】
また、複素弾性率が106より小さい場合は、凹版からのインキ14の受理性が悪くなり、印刷不良を起こしやすくなる。一方、107より大きい場合には受理性スピードが速くなるが、凹版への追従性が低下し、中抜け不良が発生しやすくなる。
【0024】
表面硬度が1.5μm/0.1mNより大きい場合には、凹版への追従性が高すぎ、凹版に充填されたインキ14が押し出されてくるため、着色パターン8が正確な形状で印刷できない。
一方、表面硬度が0.1μm/0.1mNより小さい場合には、凹版への追従性が低く、凹版に充填されたインキ14と粘弾層2との接触が不十分であり、印刷された着色パターン8はピンホール不良を起こすものである。
【0025】
なお、この表面硬度は、微小硬度で表現したものであり、ビッカーズ硬度測定のように大きな荷重で粘弾層に圧力を印加して行う測定方法では測定不可能であった。
微小硬度の測定は、一般には、測定針に荷重を印加した際の、変化量を測定針に結合した検出装置によって電気的に検出することにより行われている。測定は、先端の直径が50μm、綾と先端面のなす角度が120度の円錐台圧子を用いて、0.1mNの荷重を加え、島津製作所ダイナミック超微小硬度計にて測定し、適正な範囲の硬度を求めたものである。
【0026】
さらに、臨界表面張力が37dyne/cmより大きい場合には、インキ14との濡れ性が高すぎ、印刷後のレベリング現象により印刷パターンがダレて直線性が低下する。
一方、臨界表面張力が17dyne/cmより小さい場合には、逆に濡れ性が悪く、インキ14をはじく現象が生じ、パターンの寸法精度の低下が生じるものである。
【0027】
また、印刷基材5に用いる基材としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリエーテルサルホン、ポリフェニレンスルフィド、ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミド、芳香族ポリアミド等の合成樹脂製フィルムを用いることができる。
【0028】
なお、粘弾層は粘性及び弾性を有し、粘性により印刷基材のグラビア版胴12の凹版パターンへの追従性が向上し、弾性により粘弾層の変形後の復元力が向上し、グラビア版胴12の凹部の印刷パターン9を印刷基材へ転写する際の転移性及び印刷基材上の着色パターン8をさらに転写基材へ転写する際の転移性を良好にするものである。
【0029】
よって、圧胴10の外周部に粘着性をもたせることで、印圧等の調整を行わなくても、印刷基材5上に形成される着色パターン8のサイズを印刷パターン9と同一とすることができる。
なお、印刷基材5の表面に粘弾層を設けることでパターン形状の正確な着色パターン8を正確に位置決めして転写することができるものである。
【0030】
さらに、この印刷基材5上に形成された着色パターン8をガラス等の転写基材に転写して、カラーフィルタを形成することができる。
なお、転写して形成されるものはカラーフィルタに限られるものではないが、カラーフィルタを形成するのに好ましい。
また、転写基材に転写するタイミングとしては、着色パターン8が形成された印刷基材5を一度巻き取った後、再度巻きだし、転写してもよいし、巻き取らずそのまま、転写してもよいものである。
この他、転写基材に転写しなくても、そのまま着色パターン8が形成された印刷基材5を適切な大きさで切り取ることにより、カラーフィルタとすることも可能である。
【0031】
次に図1、図2、図3を用いて、本発明の高精度印刷装置について説明する。
図1に示すように、圧胴10に印刷基材5を供給するための供給ロール20、圧胴10にテンションを調整して印刷基材5を供給するテンションロール11、圧胴10に供給された印刷基材5に着色パターン8を転写するための印刷ユニット、着色パターン8が形成された印刷基材5を送り出す際にテンションを調整するテンションロール11とを有しており、印刷ユニットはインキ14を供給するインキつぼ14、ファニッシャーロール13、グラビア胴12、ドクター15、UV照射装置16からなる。
この他、着色パターン8が形成された印刷基材5を巻き取るためのロールを有していてもよい。
【0032】
以下に上記圧胴10について図2、3を用い説明します。
上記圧胴10は、外周部に粘着性を有するため、印刷基材5に大きさを変化させることなく着色パターン8を形成することができるが、外周部に粘着性を有する圧胴10としては、粘着スプレーを塗布したもの、ブランケットに粘着性をもたせたもの、金属等の周りに収縮性を有する粘着ゴム41を巻き、収縮させたものを用いることができる。
【0033】
粘着スプレーを塗布したものとしては、3M スプレーのり55カラー(アクリルゴム10%、イソヘキサン54%、ジメチルエーテル36%からなる合成ゴム接着剤)を圧胴10の外周部に塗布して用いることができる。
【0034】
また、ブランケットに粘着性をもたせたものとしては、図2に示したように、ブランケット胴33上にブランケット30をまいて、巻き付け軸31にブランケット30を巻き付けたものを用いる。図2ではブランケット胴33中に空洞はないが、特にこれに限定されるものではなく、空洞があってもよい。
このようにすると、ブランケット30の外周部に粘着性がなくなったとき、巻き付け軸31を弛めることで、簡単に、ブランケット30を取り外して交換、もしくは再びブランケット30に粘着性をもたせて再利用することができるものである。
【0035】
さらに、金属等の周りに収縮性を有する粘着ゴム41を巻き、収縮させたものとしては、図3に示したように、圧力や、熱、湿度等により形が変形しない金属、セラミックスもしくはゴムの周りに(株)金陽社のクリンタックLを巻き、収縮させることで圧胴とする。この圧胴は、厚さ1mmの粘着ゴム41を外周部に有するものとなる。また、上記金属、セラミックもしくはゴムは、円柱状であればよく、中に空洞を有していてもよい。
【0036】
【発明の効果】
本発明の印刷方法は、粘着性をもたせた圧胴の外周部に印刷基材を供給し、正確な大きさの着色パターンを形成出来るようにした。
また、本発明の印刷装置は、圧胴の外周部に粘着性をもたせたため、着色パターンの大きさを正確に形成することができ、従来印刷法で、カラーフィルタ等の高精度な着色パターンを形成することはできなかったのに対し、この印刷装置を用いることで可能とすることができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の1実施形態
【図2】本発明の他の例の印刷装置を説明するための図
【図3】本発明の他の例の印刷装置を説明するための図
【図4】本発明のグラビア胴からインキが印刷基材に転写される過程を説明する模式図
【符号の説明】
5・・・印刷基材
8・・・着色パターン
9・・・印刷パターン
10・・圧胴
11・・テンションロール
12・・グラビア版胴
13・・ファニッシャーローラ
14・・インキ
15・・ドクター
16・・UV照射装置
17・・パターン非形成部
19・・インキつぼ
20・・供給ロール
30・・ブランケット
31・・巻き取り軸
41・・粘着ゴム
Claims (6)
- 帯状の印刷基材に、圧胴を用いて着色パターンを転写する高精度印刷方法であって、前記印刷基材は、基材上に粘弾層を形成してなるもので、前記圧胴は、外周部に粘着性を備えたものであり、該粘着性によって、該基材を圧胴に密着させ、印刷基材に着色パターンを転写することを特徴とする高精度印刷方法。
- 前記印刷基材上に転写された着色パターンを転写基材に転写することを特徴とする請求項1記載の高精度印刷方法。
- 帯状の印刷基材に、圧胴を用いて着色パターンを転写し、印刷基材上に転写された着色パターンを転写基材に転写するカラーフィルタの製造方法であって、前記印刷基材は、基材上に粘弾層を形成してなるもので、前記圧胴は、外周部に粘着性を備えたものであり、該粘着性によって、該基材を圧胴に密着させ、印刷基材上に着色パターンを転写した後、印刷基材上に転写された着色パターンを転写基材に転写することを特徴とするカラーフィルタの製造方法。
- 供給ロールと圧胴、及び、少なくとも3つ以上の印刷ユニットを有する高精度印刷装置であって、前記圧胴の外周部は粘着性を有し、前記印刷ユニットが少なくとも版胴、ファニッシャーローラ、インキつぼ、からなることを特徴とする高精度印刷装置。
- 前記版胴がグラビア胴であることを特徴とする請求項4記載の高精度印刷装置。
- カラーフィルタの製造装置であることを特徴とする請求項4又は5に記載の高精度印刷装置。
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JP19094299A JP4580485B2 (ja) | 1999-07-05 | 1999-07-05 | 高精度印刷方法及び高精度印刷装置 |
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Citations (2)
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- 1999-07-05 JP JP19094299A patent/JP4580485B2/ja not_active Expired - Fee Related
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