本発明は、電子写真装置等の画像形成装置における、感光体等の像担持体の現像部位まで現像剤等の微粒子を静電搬送し、現像部位で静電搬送しながら潜像画像を現像する現像装置及び画像形成装置に関するものである。
ここで、まず、微粒子とは、例えば一成分現像用トナー、二成分現像用トナー、磁性トナー、非磁性トナー、ポジトナー、ネガトナー等のトナー特性や現像極性等に関することや、或いは、粉砕系トナーや重合(球径)系トナー等のトナー形状に関すること等の現像極性や帯電極性、また、トナー形状等々、現像剤として用いられる様々な各種トナー全般を示すものである。
また、微粒子は特に限定されたトナーをいうものではなく、例えば二成分現像時の様々なキャリア微粒子、トナーの帯電性能向上のための帯電促進剤、現像工程を実行する上で必要とされる微粒子の類等も含めているものである。
そして、微粒子は、トナーをも含め様々な微粒子類やその類、それら微粒子類の混合具合等、特に限定されたものではない。
つまり、微粒子とは、感光体等の像担持体の潜像画像を現像し、現像画像を形成する際に必要となる微粒子類全般(現像剤トナー単体の場合も含め、現像のために現像剤トナーに混合させた微粒子類も含め、現像工程を実行するのに用いられる実用上の状態の微粒子類全般を示す)を示したものを表現したものである。以降、説明を容易にするために微粒子のことを総称してトナーと記載する。
現行製品において、装置内の現像供給トナーや廃トナー等の微粒子を静電搬送して画像形成装置に利用する製品や、静電搬送を利用した現像装置を搭載した画像形成装置の類は、今のところ世界市場においても商品化されていない。しかし、トナー等の現像剤類を静電搬送させて、像担持体の潜像画像を現像する静電搬送式の現像装置の類を開発する試みが近年進行中である。
静電搬送式の現像装置の類は、特許文献1や特許文献2に開示されているように、トナーを静電力で搬送する電気基板2を用いて、感光体である感光体ドラム1の潜像画像を現像するために感光体ドラム1の現像部位(現像装置のトナーを感光体ドラム1に受け渡す現像装置と感光体ドラム1とが対向する位置のこと)まで静電搬送し、感光体ドラム1との間で生じる吸引力で搬送面からトナーを分離し感光体ドラム1の表面にトナーを付着させるようにしたもの(図13参照)がある。
また、近年における静電搬送式の現像装置の類は、特許文献3に開示されているように(図14参照。更にその電気基板2に形成される静電搬送用電極配列を図15に示す。)、トナーを感光体ドラム1の現像部位まで静電搬送させて現像するという基本的内容から、例えば、非画像部での地汚れ対策や微細画像の再現性向上など様々な構成や制御手段を電気基板も含めた静電搬送路に対応を施こし、現像技術に静電搬送技術をマッチさせないと商品化できないことが判明している。
そもそも、静電搬送式の現像装置の特徴は、現像装置の省スペース化や低コスト化を目的として開発され始めた技術であるが、感光体に形成された潜像画像に対しトナー補給容
器から感光体の現像部位まで、トナーを静電搬送し現像する基本的構成は既に公知技術である。そして、静電搬送の搬送路を構成する電気基板の静電搬送用電極配列一つをとっても、電極幅や間隔、表層絶縁膜厚など、形状寸法やその材質等々、製品水準としての実用化レベルに到達させるだけでも様々な解決すべき課題が山積されている。
加えて、微粒子の静電搬送を利用した現像技術への応用は、上述した不具合の解消以外にもトナーの帯電付与や現像後の余剰トナー回収、一方では、静電搬送路におけるトナーの目詰まり防止やトナー搬送の良好循環など、静電搬送持続循環構成も含め様々な解決すべき課題がある。
中でも静電搬送路中におけるトナーの目詰まりによる、トナーの静電搬送不良が生じるという大きな課題に対しては、特許文献4を始め、数々の対策手段が施されている。特許文献4によれば、トナーの静電搬送中に生じ得るトナー滞留の原因は電気基板に形成された静電搬送用電極配列の電極パターンの断線によるものが有ると記述されている。
そこで、図16に図示するようにネサ電極による対向電極基板3を設け、停滞して詰まったトナー塊に対し後から搬送されてくるトナーが引っかかり詰まらないように対向電極基板3による静電作用で搬送されてくるトナーを対向電極基板3に吸い上げられるよう構成し停滞トナーの上を乗り越えていけるような静電搬送の構成にしている。
しかし、電極パターンの断線は細い電極基板で形成される場合を除き、通常の電気基板の作成基準で形成した電気基板の電極パターンでは余り起きないものである。例えば、従来からの電子写真画像形成装置の高圧電圧を発生し、高圧バイアスとして、転写や現像に印加する場合と同様に、特定周波数のACバイアスで印加実施しても断線となるケースは少ない。むしろ、静電搬送用電極配列の電極パターンの断線以外での搬送詰まりの方が心配される。
つまり、トナー補給容器に保存されたトナーを排出する時にトナー融着や凝集によるトナー塊が既に発生していて、静電搬送路中の特に狭くなった所、カーブをさせる所等にトナーの停滞現象が発生するという実験結果がある。したがって、収納しているトナーを補給する時に凝集等、トナー塊状態のトナーがあったり、静電搬送路中にプリント用紙の紙粉が溜まっていたり、装置内の塵や埃の類でも場合によっては静電搬送されてくるトナーが吹き溜まり、停滞現象が発生して、ついには静電搬送路をトナーで塞いでしまい停滞して静電搬送を詰まらせてしまう場合が発生する。
特開昭59−181369号公報
特開昭59−181375号公報
特開2003−202752号公報
特開2003−043806号公報
しかしながら、上記背景技術で述べる、トナーの静電搬送路中の詰まり現象を回避する有効的手段として、第一には対向電極を静電搬送路の上層部に設置する構成が挙げられるが、感光体(ここで言う感光体とは、例えばベルト感光体であっても、シリンダ感光体であっても、現像した一色のトナーを転写してトナー画像を一時的に保持し、別の色のトナー画像と合成しフルカラー画像を形成する、所謂中間転写構成の感光体的な一部要素を有するものであっても、トナーの静電搬送や静電搬送式の現像装置に対し何ら変わらず同様な扱いが可能であり、特に限定されるものではない。したがって、説明を容易にするためにも以降は、ベルト形状であれ、シリンダタイプであれ、中間転写ドラムとか中間転写ベルトとかに拘わらず総称して、単に感光体ドラムと表記する)の現像部位以外の静電搬送
路全てに対してトナー詰まりに対処する対向電極を有する基板が必要になる。
つまり、静電搬送路全面に1対1の比率で必ず何らかの形態で対向電極が必要となるので、筒状で内側(上層部)に静電搬送用電極配列が少なくとも独立で形成される電極パターンを有するホースのような静電搬送路とか、一つの静電搬送路手段に対し上下に静電搬送用電極配列が形成される電気基板かそれ相当の構成が必要になり、少なくとも2倍のコストが静電搬送路を構成するために必要になるという欠点がある。
更には、現像装置の省スペース化を達成することで、装置全体の小型化を図るという事柄に対して、トナーの静電搬送路が立体になるという省スペース化に逆行する対策を施すことになり、トナーの静電搬送技術をあえて取り入れることのメリットが薄らぐという欠点が生じる。
一方、トナーの静電搬送路中の搬送詰まり現象を回避する有効的手段として、第二には静電搬送を実行する静電搬送路における静電搬送速度や静電搬送強度を増強し、トナー凝集等によるトナーの搬送だまになりかけるトナーや、搬送路を詰まらせ始めるトナーを一気に粉砕するトナーの静電搬送構成がある。静電搬送中のトナーに勢いを付加すると、トナー停滞も解消するし、少々のトナー塊が発生しても詰まらせること無くトナー塊を粉砕しながらトナー搬送が実行され、やがてトナー塊は消滅するのである。
しかし、省電力化等のために静電搬送用印加電圧を100〜400V位で設定するとトナーが自ら搬送するというよりは、さらさらと流れていくというか移動させられていくといった状態であるため、この程度の搬送強度ではトナー塊を崩せない。一方、1KV以上で設定するとトナー塊を粉砕して静電搬送路の詰まりを崩しながら静電搬送を実行できるのであるものの、トナー飛散を防止しきれなくなる。つまり、静電搬送の具合状態を高圧電圧強度や周波数速度を増強すれば、ある程度のトナー塊を崩していけるが、弱いとトナー塊の崩しは難しく、強過ぎると崩そうと作用する力によってトナーを吹き飛ばし過ぎて飛散現象を抑えきれなく、丁度良く設定するのは非常に困難である。
本発明は上記の従来技術の課題を解決するためになされたもので、その目的とするところは、微粒子の静電搬送中における詰まり現象を防ぐ現像装置及び画像形成装置を提供することにある。
上記目的を達成するために本発明にあっては、以下の構成を採用する。すなわち、微粒子を静電搬送する電極が配列されており、潜像画像が形成される像担持体の現像部位まで微粒子を静電搬送する電気基板を有し、静電搬送された微粒子で前記像担持体に形成された潜像画像を現像する現像装置において、
前記電気基板による微粒子の静電搬送方向が一方方向と、それとは逆の逆方向に切替え可能に構成されており、
前記電気基板による微粒子の搬送路は、折り返されてUターンするための折り返し部を有することを特徴とする現像装置である。
また、
静電潜像が形成される像担持体と、
前記静電潜像を現像剤で現像する上記の現像装置と、
を備えることを特徴とする画像形成装置である。
本発明によると、微粒子の静電搬送中における詰まり現象を防ぐことができる。
以下に図面を参照して、この発明の最良な実施例を例示的に詳しく説明する。ただし、この実施例に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置などは、特に特定的な記載がない限りは、この発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
実施例を説明する前にトナーを静電搬送する静電搬送用電極配列が形成される静電搬送手段としての電気基板について、説明しておくことにする。本発明の静電搬送を実行させる静電搬送路を構成する電気基板は、従来の静電搬送の場合、多くは特殊加工を施した電気基板が用いられていた。しかし、本発明で用いられる電気基板は、ガラス基台や樹脂基台、紙類基台、セラミックス基台、そしてポリイミド材料をフィルム対応したフレキシブルに変形が可能なフレキ基板の類など、絶縁性材料をベースに電解又は無電解等により導電パターンを形成するような一般的な製法による電気基板を用いている。つまり、ICやトランジスタ、抵抗等による一般的な回路を搭載する電気基板の作成技法でできるもので特殊加工を要求されない電気基板により作成された静電搬送用電極配列が形成される一般的な電気基板である。もちろん、鉄基板等やSUS基板のように導電性材料からなる電気基板のような特殊加工を施す電気基板でも良い。
更には、形成される導電パターンの幅や厚み、材質等においても、例えば、ネサ電極を形成させたりする必要も無く、版下焼き付け時に一般的とされる0.1mm以上の電極導電パターンを形成できれば良い。
つまり、本発明で述べる静電搬送用電極配列を形成する電気基板の導電パターンやパターン間隔、スルーホール等は、上記仕様同様に一般的に作成でき、コストを上げないで作成可能とされる電極幅と電極間隔で、静電搬送用電極配列を形成した電気基板で良く、電極形状寸法以外に対して、特に制約される形態(電極材質や通常寸法外の電極寸法、電極間隔寸法、レジスト等の絶縁材質や絶縁層コーティング厚の指定等)は無い。したがって、静電搬送を実施する電気基板は、一般的な電気部品等を実装するための電気基板の加工可能な精度寸法仕様で十分その効果を発揮できる。
また、以下の説明における感光体は、シリンダタイプによる感光体ドラムで説明するが、所謂感光体ベルトと呼ばれるベルトタイプのような感光体構成であっても良く、本発明における感光体に関しては特に限定されるものではない。
更に説明上用いられる画像形成装置の現像装置構成は、白黒画像を形成する電子写真装置を例に述べる場合や、フルカラー画像を形成するカラー電子写真装置を例に述べる場合があるが、本発明の内容は画像形成装置の構成に限定されたものでは無く、また、画像形成装置の現像装置構成が4連タンデム構成や4サイクル構成の場合であっても良い。つまり、トナーを静電搬送する静電搬送式の現像装置に関する現像装置構成であれば良く、現像装置を利用する画像形成装置等の構成に関しては特に限定されるものではない。
また、本発明の実施例で説明する内容は、例えば、トナーの静電搬送を感光体の現像部位のみで実行する場合であっても、逆にトナーの静電搬送を感光体の現像部位以外のみで実行する場合であっても良く、必ずしも限定される構成部位のみに関するものではない。
そして、本発明は、潜像画像が形成される像担持体の現像部位まで微粒子を静電搬送する静電搬送手段を有し、静電搬送された微粒子で前記像担持体に形成された潜像画像を現像する現像装置において、前記静電搬送手段は、所定の静電搬送方向とそれとは相反する静電搬送方向とに微粒子を静電搬送可能であり、所定条件に応じて静電搬送方向を切替えることである。
これによると、微粒子の静電搬送方向を正逆に切替えることで、例えば一方方向に搬送される微粒子が何らかの原因で蓄積し始めたとしても、それとは逆方向に静電搬送し直すことで、蓄積し始めたトナーはほぐれ始め、トナー詰まりへと発展することを防止することができる。
つまり、微粒子というものは、正方向に通過することで穴が塞がりかけても逆方向に振り戻す動作を加え、また正方向に振る動作を実施すると穴を通り抜けるものである。目詰まりした微粒子は一方方向から押すと固まり、正逆に搬送方向を切替えるシェイク動作を実行すればほぐれ、穴を通り抜けられるのである。
この方法に基づく構成として、例えば、感光体ドラムの現像部位という一つの部分において、微粒子を静電搬送する際、相反する方向に微粒子を静電搬送できるように静電搬送手段を構成することで、感光体ドラムの現像部位を静電搬送する微粒子移動が右廻りで搬送しても、左廻りで搬送しても共に現像部位を静電搬送するので、現像のための微粒子供給は滞ることが無く、且つ、微粒子詰まり現象に対しては、逆方向に搬送が実行されることで詰まるどころかほぐす状態の搬送となって、停滞する微粒子すら無くなるという良好な微粒子搬送循環が実行でき、微粒子の静電搬送路における詰まり現象を未然に防ぐことができる。
本発明は、前記静電搬送手段は、折り返されてUターンするための折り返し部を有することである。
これによると、微粒子詰まりを防止するために実行する静電搬送方向の切替えがより良好な循環状態で実行できる。
本発明は、入力されるクロックに基づいた時間周期で、予め設定された順番に各相毎の位相タイミング信号を発生する相励磁出力手段を有し、前記相励磁出力手段の出力する各相毎の位相タイミング信号の出力順番の入れ替えを実行し、微粒子の静電搬送方向を切替えることである。
これによると、特に詰まりかけた微粒子をほぐすといった効果をより高めることができ、静電搬送方向を瞬時的に逆方向に切替えられ、微粒子の静電搬送路における詰まり現象を未然に防ぐことができる。
本発明は、予め設定される第二の時間周期を出力する逆切替え指示周期出力手段を有し、前記相励磁出力手段の出力する各相毎の位相タイミング信号の出力順番の入れ替えを、前記逆切替え指示周期出力手段が出力する前記第二の時間周期毎に繰り返し実行させて、微粒子の静電搬送方向を前記第二の時間周期毎に切替えることである。
これによると、予め有効的となる条件周期時間により微粒子の静電搬送を実行している間、静電搬送方向の正逆方向切替えを繰り返し実施することで、微粒子の静電搬送路における詰まり現象を未然に防ぐことができる。
本発明は、微粒子の静電搬送の搬送状態を検出する搬送状態検出手段と、該搬送状態検出手段による出力結果を予め設定する搬送状態判断基準と比較判定する搬送状態判定手段と、を有し、前記搬送状態判定手段による比較判定結果に基づき、前記相励磁出力手段の出力する各相毎の位相タイミング信号の出力順番の入れ替えを実行し、微粒子の静電搬送方向を切替えることである。
これによると、微粒子の静電搬送方向を正逆方向に切替えるタイミングを微粒子の静電
搬送状態から導く構成にすることで、微粒子の静電搬送路における詰まり現象を未然に防ぐことができる。また、電極パターンの断線等による微粒子の静電搬送の停止状態をも検出できる。
本発明は、前記像担持体上に現像された画像における微粒子の付着濃度を検出する濃度検出手段と、該濃度検出手段による出力結果を予め設定する濃度判断基準と比較判定する濃度判定手段と、を有し、前記濃度判定手段による比較判定結果に基づき、前記相励磁出力手段の出力する各相毎の位相タイミング信号の出力順番の入れ替えを実行し、微粒子の静電搬送方向を切替えることである。
これによると、微粒子の静電搬送方向を正逆方向に切替えるタイミングを像担持体に形成された現像画像濃度から導く構成にすることで、微粒子の静電搬送路における詰まり現象を未然に防ぐことができる。また、電極パターンの断線等による微粒子の静電搬送不良による微粒子の現像供給不足状態をも検出できる。
本発明は、前記静電搬送手段の静電搬送強度を決定する電圧発生手段と、前記静電搬送手段の静電搬送速度を決定する周波数発生手段と、前記電圧発生手段の出力電圧値を増減するか、前記周波数発生手段の出力周波数値を増減するかのどちらか一方又は両方を所定条件に応じ実行する制御手段と、を有し、前記相励磁出力手段が出力する各相毎の位相タイミング信号の出力順番を入れ替え、微粒子の静電搬送方向を切替える際に前記制御手段による制御が実行されることである。
これによると、微粒子の静電搬送方向を正逆方向に切替える際に詰まりかけた微粒子をほぐすという効果に、搬送強度変化による更なる効果向上を図ることができ、微粒子の静電搬送路における詰まり現象の防止動作を強化することができる。
また、本発明は、上記の現像装置と、形成される静電潜像が該現像装置によって現像される像担持体と、を備えることである。
これによると、小スペースの現像装置を用いることができ、画像形成装置を小型化することができる。
尚、以下の実施例においては、現像装置を有する画像形成装置については公知技術であるので、詳しい説明は省略し、その名称を例示するにとどまる。例示すれば、白黒の電子写真画像形成装置だけに限らず、カラー電子写真画像形成装置等が挙げられる。カラーの装置としては、本発明により省スペース化の効果を発揮できる装置として、タンデム型の画像形成装置がある。ここで、電子写真画像形成装置は、簡略して説明すれば、帯電させた感光体ドラムに画像情報に応じたレーザーを照射して潜像を形成し、この潜像を現像装置のトナーで現像してシートに現像画像を転写し、定着するものである。
以上説明したように、本発明によれば、画像形成装置を小型化するために装置の大きさを決定する一要因である現像装置構成を静電搬送式の現像装置にすることで、省スペース化を実現するという基本的な目的達成ができる。この場合において、静電搬送式の現像装置の大きな課題の一つである静電搬送路中における微粒子詰まりに起因する微粒子の静電搬送停止状態を防止し、微粒子搬送の常に良好な静電搬送循環を維持できるので、低コスト化を、基本的に省スペース化を維持しつつ実現できる。
そして、一方向に静電搬送される微粒子の流れで微粒子停滞現象が発生しても、詰まる前に静電搬送方向を逆方向に切り返すことができ、停滞する微粒子や微粒子の塊等をほぐし、良好な搬送に戻すことができる。
この微粒子の静電搬送方向の切替えによって微粒子の静電搬送の流れが変わっても、その部位内では、例えば、右廻りから左廻りに搬送方向が変わるだけで、搬送部位から別の搬送部位に移動供給される微粒子量は変わらないため、現像装置としての働きに影響は出ない。しかも、微粒子静電搬送方向を切替える際に、微粒子の静電搬送の循環を比較的悪化させる部位である折り返し部分でも、停滞する微粒子や微粒子の塊等をほぐし、良好な搬送に戻し、微粒子の静電搬送方向の切替え効果をより良好にできる。
更に、微粒子の静電搬送の正逆方向切替え時に、正逆方向切替えを瞬時に実行できるようにするとか、所定条件に応じて搬送力等を変更する制御を行うことで、単に静電搬送方向を正逆方向に切り返すだけの微粒子ほぐし作用に比べ、急激な切り返しによる慣性力の増強作用や静電搬送の強度や速度の急激な増減変化による慣性力作用等の作用を付加でき、微粒子のほぐし作用が増強され、静電搬送路中における微粒子の搬送停滞を始め、微粒子の塊の切り崩し等を行い、微粒子詰まり防止をより一層強化できる。
一方、上記する微粒子の静電搬送方向の正逆方向切替えを実行させる所定条件は、第一の方法として、静電搬送実行中は常に予め設定した周期時間毎に正逆方向に繰り返し切替えるように制御するということで、微粒子が停滞しても、停滞しなくても一律に所定周期で搬送方向が切替わるので、仮に微粒子が停滞し始めても直ぐに搬送方向が切替わることで搬送詰まりが発生しない。更に、微粒子搬送状態を検出する手段が不要であり、単なるCPUソフト制御で実現できるために低コスト対応した微粒子の詰まり防止対策が可能になる。
次に、第二の方法として、電極パターンの断線等も含めた静電搬送路の詰まり防止対応としては、トナーの静電搬送状態を検出する搬送状態検出手段を設け、搬送状態具合に応じて搬送方向の切替えを実施するということで、微粒子が停滞し始めると微粒子供給移動量が減少し、停滞の有無が判定でき、搬送方向の切替えタイミングが判るものである。微粒子の供給移動量を検出する手段としては、静電搬送中の微粒子濃度を測定したり、像担持体に現像される微粒子濃度を測定したりして、その測定濃度変化を推移することで微粒子搬送の停滞具合を判断する。これにより、例えば断線の要素を有する細い特殊電極パターンを形成する静電搬送路の場合であっても微粒子の搬送詰まりを防止しながら、断線状況も判断できる。
以下に本発明を具体的に実施例で説明する。
図1及び図2(a)は本発明の実施例1の代表的構成を示す現像装置構成と静電搬送手段を構成する電気基板に形成された静電搬送用電極配列を図式化したものである。
図1において、トナー(微粒子)の静電搬送方向は、感光体ドラム1の移動方向(移動回転方向)に対して直交する方向にトナーを静電搬送する。
尚、本発明の静電搬送式の現像装置においては、感光体ドラム1に対するトナーの静電搬送方向に係る構成に関して特に限定されるものではない。更には、感光体ドラム1に関しても同様に、ベルト形態のものであっても良い。一方、特に不図示であるが説明を容易にするために本実施例での静電搬送式の現像装置は、白黒一色の現像の場合で説明しているが、感光体ベルト等を用いてフルカラー4連タンデムの画像形成装置へ容易に対応できる事は言うまでもない。
図1は、本発明の実施例1における感光体ドラム1とトナーの静電搬送方向との相関関
係を示す、基本的な設置構成を示すものである。図1上、静電搬送自体を図式化できないため、静電搬送手段を構成する電気基板2を利用し表現したものであって、静電搬送方向は感光体ドラム1の移動方向に対して直交している場合を示している。
電気基板2は、現像部位を通過する往路とUターンしてトナーを戻す同様に現像部位を通過する復路とを有する基板であり、両端部が略同等な位置に設けられている。
感光体ドラム1に形成される潜像画像の移動回転方向と現像部位を静電搬送するトナーの静電搬送方向との相関関係は、図中矢印で示す関係で構成されるものであって、図1で述べるトナーの静電搬送方向は電気基板2の長手方向に搬送する場合を前提としている。
4は、感光体ドラム1の現像部位を静電搬送しながら現像させるトナーのうち、現像に用いられなかった電気基板2上の残りのトナーを再び現像工程に戻すことを主目的としたリターン用静電搬送手段であって、トナーの静電搬送を一巡させる循環経路系のためのもので静電搬送手段の一部分である。
尚、このリターン用静電搬送手段4には、例えば、戻ってきた残トナーに対し再び電荷量を持たせる等の帯電付与手段を内蔵しても、或いは、現像に用いられるトナーの補給や保管収納のための補給容器手段を兼ね備えた構成であっても良い。一方では特に図示していないが、逆に現像実行できる状態等の所定条件を付与したトナーをこのリターン用静電搬送手段4に静電搬送やその他の手段で補給するよう構成しても良く、更には、リターン用静電搬送手段4では本来の目的である現像残トナーの戻し用静電搬送手段のみの構成であっても良い。又、帯電付与手段のみをリターン用静電搬送手段4の現像残トナーの戻し用静電搬送手段に兼ね備えるように構成しても良い。つまり、リターン用静電搬送手段4の構成要因は、現像残トナーの戻し用静電搬送手段が少なくとも構成されていれば良く、その他の付随手段に関しては特に限定されるものではない。
一方、リターン用静電搬送手段4に構成される現像残トナーの戻し用静電搬送手段の構成においても同様に、本発明の目的効果にとって特徴のあるところではないのでリターン用静電搬送手段4の構成する現像残トナーの戻し用静電搬送手段についても特に限定されるものではない。
図1で示す静電搬送式の現像装置の場合においては、リターン用静電搬送手段4による現像残トナーの戻し用静電搬送手段は、残トナーを上昇移動用静電搬送路で再び、戻す構成が必要である。つまり、通常の階段構成のように所定の角度を有する登りの静電搬送路を有し、途中に階段の踊り場と同様に構成されたUターン搬送路にて戻され再び登りの静電搬送路に接続されて、徐々にトナーを上昇静電搬送させれば良く、所望の高さに達するまで構成し、予め設定される静電搬送手段に戻せば良いのである。尚、実際の検討結果によればこの上昇静電搬送可能角度は、45°までが限界であるために静電搬送式の現像装置全体の構成容積を大きくしない工夫も必要である。そのために例えば、この上昇静電搬送構成を螺旋階段のように構成しても良いのである。
図1では、トナーの静電搬送路は現像部位を静電搬送する電気基板2とリターン用静電搬送手段4と感光体ドラム1で構成されているが、これは本実施例の構成を容易に理解するためのもので、トナーの他の静電搬送路部分も現像部位と同様であっても良い。
トナーの電気基板2における現像部位の静電搬送方向は、感光体ドラム1の移動方向に対して直交方向に設置され、リターン用静電搬送手段4から静電搬送されるトナーは第一の静電搬送用電極配列(往路)2aを静電搬送され、感光体ドラム1の現像を実行する。更に、現像部位の静電搬送路は、第二の静電搬送用電極配列(復路)2bに静電搬送され
、再び感光体ドラム1の現像部位での現像を実行する。そして、現像に使われなかった残トナーをリターン用静電搬送手段4に戻すように、往復運動を実行するようトナーの静電搬送が行われる往復静電搬送手段である。
図2(a)に実施例1での電気基板2による静電搬送用電極配列の電極パターン例を示す。本静電搬送手段による静電搬送構成は、図2(a)に示すようにUターンに戻る戻り経路を一枚の電気基板2で構成し、図1で示すような往復運動を実行する静電搬送式の現像装置の構成にすることで本来の目的以外に静電搬送手段を渡り合って搬送されるトナーの受け渡し個所が一箇所で出来るために省スペース化対応の構成になる。なお、左端の折り返し部では、外側に壁が形成されており、この壁に当たってトナーの方向が変わるようになっている。
一方、現像部位を静電搬送されるトナーは、静電搬送用高圧電圧を印加することで電気基板2の表層に生じる不平等電界が電荷を有するトナーとの間でクーロン力による吸引力が発生し、静電搬送されるトナーは、感光体ドラム1の現像部位での対向電極間でトナーを分離し、感光体ドラム1の表面上に形成される潜像画像を現像する、と言う現像工程が往復静電搬送により2度実行されるため、現像不良が出にくい構成となる。
本来の発明の目的であるトナーの静電搬送路の詰まり防止対応手段は、図1で示すような往復静電搬送路を基本構成とする静電搬送手段にて実行されるものであって、他の構成としての応用例を図3から図8を用いて説明をした後に、共通である制御手段について図9及び図10を用いて説明していく。
図2(b)は、実施例1で述べた本発明の代表的構成に基づき、より実機に近い代表的応用例を示した電気基板2を示したものである。
本発明の基本的構成要因は、第一の静電搬送用電極配列と第二の静電搬送用電極配列を有して、相反する方向に静電搬送を実行できる電気基板2で構成された静電搬送手段での静電搬送方向を切替え制御により正逆方向に切替えることでトナー詰まりを防止するところに有る。
しかし、実機検討において、搬送方向を切替える際に、トナー停滞の解消はできるものの、トナーの折り返し搬送部分に比較的トナー停滞が生じ得る。つまり、より良好なトナー搬送の循環を維持しながら搬送方向を切替え、より良好なトナー搬送の循環を継続させる構成として、実施例2の電気基板2による静電搬送手段を説明する。
図2(b)は、先の実施例1で示す図2(a)に比べ、トナーを相反する方向に静電搬送する、第一の静電搬送用電極配列2aと第二の静電搬送用電極配列2bを結合する折り返し部としての静電搬送折り返し用電極配列2cが付加された静電搬送手段(電気基板2)の構成でできたものである。これにより、本発明の意図する一つである静電搬送方向切替え手段によるトナー搬送の切替え(図2(a)及び、図2(b)で図示する矢印が示す搬送方向への切替え)を実行した場合でも、より良好なトナー搬送の循環を継続できるのである。
図3は、従来例である図13や図14で示す感光体ドラム1の移動方向(移動回転方向)に対し、トナーの静電搬送方向が平行方向に搬送される場合での本発明の静電搬送手段を用いた場合についての往復搬送を実行させる静電搬送構成例である。
図4には、図3の場合における電気基板2に形成される静電搬送用電極配列の概念構成例を示す。図4において電気基板2に形成される静電搬送用電極配列は、所定の長さの電極パターンで形成される第一の静電搬送用電極配列2aと第二の静電搬送用電極配列2bを一対とした、複数対の静電搬送用電極配列が並列状に形成されたものである。
また、本実施例では、実施例2で記載した静電搬送折り返し用電極配列は静電搬送手段には無く、変わりにトナー搬送の折り返し手段をトナー移動方向からの逸脱防止用の壁5により実施する。このトナー搬送の折り返し手段は本発明の場合、特に壁5に限定される手段ではなく、壁5であっても、図8に示すような電極パターン構成であっても良く、また、図2(b)に示す静電搬送折り返し用電極配列であっても良い。
そして、本実施例の静電搬送手段により、トナーの静電搬送は、感光体ドラム1の現像部位面を余すこと無く1度ではあるものの現像を伴った静電搬送が実行できる構成となり、トナーの静電搬送方向が右廻りでも左廻りでも問題は無い。
図3において図4で示すような電気基板2で構成された静電搬送手段を感光体ドラム1の現像部位に設けることでリターン用静電搬送手段4から補給されたトナーは、電気基板2で構成される静電搬送路を搬送し現像を実行する。そして、行き着いた先の静電搬送用電極配列と壁5により戻りの静電搬送がなされ、現像が実行されることで感光体ドラム1の現像部位全面に現像が実行される。現像に利用されなかった残トナーは再びリターン用静電搬送手段4へと戻る。つまり、図中矢印で示す方向にトナーの静電搬送がなされる。
本場合も同様に、後述する静電搬送用駆動回路にて静電搬送方向は逆搬送切替えを実行するが、同様にトナーの静電搬送方向が右廻りでも左廻りでも問題は無い。
図5は、図1にて述べた静電搬送路構成の応用例で、図6に示すような静電搬送用電極配列を形成する電気基板2で構成した静電搬送手段を示したものである。図5に示す往復静電搬送による静電搬送式の現像装置の動きは図1で示す場合と同様な構成であるため説明を省く。
本実施例の特徴は、図6に示す電気基板2を用いて往復静電搬送を実行させる静電搬送制御にある。具体的には、電気基板2による予め確保された第一の静電搬送用電極配列と第二の静電搬送用電極配列とは無く、第一の静電搬送用電極配列と第二の静電搬送用電極配列は同一電極で構成され、時系列で第一の静電搬送用電極配列と第二の静電搬送用電極配列とを使い分けるものである。例えば、或る時間では一つの方向の搬送を第一の静電搬送用電極配列と見なし、また別の或る時間では先程とは逆の方向の搬送を実行させることで第二の静電搬送用電極配列とするのである。
尚、時間的に同時に相反する方向へ搬送できないので、図6に示す如く、電気基板2の一方端にトナーを一時滞留させ、待機させる図2(b)で述べた静電搬送折り返し用電極配列2cが必要になるのである。
尚、本実施例での電気基板2には、トナー移動方向からの逸脱防止用の壁5が存在する方がトナー飛散を防止する上で、また、トナー搬送を折り返す上で好都合なので図に示した。しかし、壁5は、本実施例の静電搬送手段にとって特に限定される構成ではない。
実施例4における、具体的な制御方法は先ず、片方向にてトナーを静電搬送し、片方向の静電搬送で行き着いたトナーを貯めるスペースを用意し、ある程度の時間が過ぎるとか、搬送したトナー量を想定するか検出することで、行き着いたトナーを逆搬送させてリタ
ーン用静電搬送手段4へと戻すという静電搬送方法である。例えば、所定周期で往方向搬送と復方向搬送を繰り返し実行することでトナーの静電搬送を往復搬送する図1の場合と同等なものとなる。
図6の電気基板2で静電搬送式の現像装置を構成し、少なくとも現像部位での静電搬送と現像を往復搬送で実行する静電搬送手段であれば、静電搬送手段を構成する電気基板2はより一層細くできるため、より省スペース化対応した静電搬送式の現像装置が実現できる。
尚、本場合の静電搬送制御に関しても上述同様に電界搬送用駆動回路を示す図9と図10の説明で述べることにする。
図7は、感光体ドラム1の現像部位の往復静電搬送構成に対しその他の静電搬送手段を感光体ドラム1の内側部分に収納し、更なる省スペース化を図った静電搬送式の現像装置について図示したものである。また、図8に示す電気基板2は第一、第二の静電搬送用電極配列を有し往復静電搬送を実行する静電搬送の電極パターンに静電搬送されるトナーが逸脱する方向に移動させないガイド電極パターン6を付加した電気基板2を示したものであり、このガイド電極パターン6によりトナーの折り返し搬送が実施されるような静電搬送手段の構成になっている。
これによれば、静電搬送手段を搬送するトナーがその搬送方向から逸脱して外に飛び出す現象を防止するために静電搬送方向を電気基板2の搬送中心部に集める方向に静電気力が働くよう電極パターン6が形成されたもので、トナーの折り返し搬送においても有効的な手段なのである。
尚、このガイド電極パターン6は、本来の静電搬送方向とは別に構成された電極配列であって、飛散するトナーを防止させる作用を有した電気基板2から構成されるの一つの静電搬送手段である。このガイド電極パターン6を有する静電搬送手段は、特に感光体ドラム1の現像部位などのように静電搬送路を開口しなければならない構成が要求される所に有効な手段である。
図7におけるトナーの静電搬送動作は、図1の場合と同様に矢印で示す流れでトナーを静電搬送するのであるが、省スペース化のために感光体ドラム1の内側に収納した往復静電搬送路は、トナー電荷を付与する衝突帯電手段を実行させたり、搬送トナーを収納させるトナー補給容器として用いても良く特に限定されるものではない。例えば、感光体ドラム1の内側に収納した静電搬送手段は、トナー補給容器を兼用し且つ、補給静電搬送時には電荷付与を実行するように構成にすれば、リターン用静電搬送手段4へ移動するトナーは、そのまま現像工程を実行可能状態であるため、その帯電トナーを感光体ドラム1の現像部位に静電搬送すれば良く、現像に利用されなかった残トナーを再びリターン用静電搬送手段4に戻しリターン用静電搬送手段4内部或いは、感光体ドラム1内部に有する静電搬送手段で再度電化付与を実行するように構成すれば、図7に示す構成そのものが省スペース化対応し、現像部位でのトナー飛散が防止できた静電搬送式の現像装置として成立する。
以上説明したような往復静電搬送路構成が可能な電気基板2を用いた静電搬送手段を構成すれば、トナーの静電搬送によるトナー供給作用に関しては、静電搬送方向が正逆方向に切替わってもトナーの移動運動による供給搬送が右廻りか左廻りかという違いがあるものの、搬送されるトナー量は不変であり、静電搬送そのものに不都合はない。つまり、例えば図7に示すトナーの静電搬送手段である静電搬送式の現像装置のような構成であれば
、供給搬送が右廻りであっても、左廻りであっても問題は無い。
最後に図9及び図10を用いて、本発明の主たる目的であるトナーの静電搬送手段における詰まり現象の防止制御手段を説明する。尚、本制御はあくまでも静電搬送手段によるトナー搬送方向が往復搬送できる構成でなくてはならず、逆に言うと往復搬送が可能である静電搬送手段の構成であれば、その構成に対しては特に限定さるものでは無い。
先ず始めに図9を用いて本発明での静電搬送用駆動回路の基本的構成を説明する。図9は、静電搬送用駆動回路を示す電気回路ブロック図である。図9の電気基板2は説明を容易にするために駆動回路に接続される状態を模式化し表現したものである。20はCPUで駆動回路を所定条件に基づき制御実行する。
23は相励磁周波数発生回路であり、図10に示すように分周段回路21と各相毎の印加タイミングを発生させるフリップフロップ回路(図中ではF/Fと表現する)で構成さ
れた相励磁出力回路22とで基本的に構成されている。
分周段回路21は、CPU20により受信する印加タイミング指示クロックを分周するもので、印加タイミング指示クロックは、静電搬送用電極配列を予め定め配線した相グループ毎に分けられた各相に対して静電搬送用印加高圧電圧を印加励磁する印加位相を切替えるためのCPU20で指示される位相周期周波数の源発クロックとなる印加タイミング指示クロックを分周して安定化するための分周器手段である。
また、相励磁出力回路22では、前段の分周段回路21から分周された位相周期周波数に基づき、静電搬送用電極配列の各相グループ毎に印加する高圧電圧の出力位相を発生させる相励磁出力手段である。
この構成を基本とする相励磁周波数発生回路23は、静電搬送用電極配列の各相グループ毎に印加する高圧電圧発生回路24で出力される高圧電圧を各相毎に構成された高圧スイッチング回路25のスイッチングを各相毎に制御するものである。尚、高圧電圧発生回路24の出力高圧電圧値は特に図示していないが、CPU20からの指示制御信号によってその出力値を増減制御されるような回路構成となっている。
つまり、CPU20は静電搬送の搬送強度を決める印加高圧電圧値を増減でき、一方では独立して構成される静電搬送の搬送速度を決める相励磁周波数値も増減できるよう構成されている。更には、図10で詳細説明をするが静電搬送方向を逆方向切替えする手段を付加すれば、CPU20で搬送方向を制御可能になる。
具体的には、本発明に使用される静電搬送用駆動回路は、予め設定された相グループに分類配線された静電搬送用電極配列が形成される電気基板2に各相毎に異なる所定周期でスイッチングされる所定の高圧電圧出力が繰り返されることでトナーの静電搬送が実行されるよう構成したものである。
この制御方式はスイッチング出力される電圧値こそ異なるものの、一般的にはパルスモータの駆動回路構成とほぼ同様なものであり、一般的に公知技術とされる回路技術である。また、印加電圧の相励磁周波数はパルスモータの場合と静電搬送の場合とでは、励磁方法にある程度の共通点はあるものの、設定する周波数値に対する考え方等に大きな違いがある。
図9に示す静電搬送用駆動回路は、4相パルスモータを駆動する駆動制御回路と同様な
回路構成であって、2−2相励磁制御方式で相励磁制御するものである。但し、スイッチング電圧がパルスモータの場合、一般的には24V程度のものを絶対値電圧で数百〜数千V位の範囲でスイッチングする回路に改良変更した構成としている。
尚、静電搬送制御における印加高圧電圧のための相励磁制御方式は、パルスモータを駆動するために公知技術である種々な相励磁制御方式と同様な方式を利用できるのである。つまり、例えば一般的な技術である1−2相励磁制御方式や相独立励磁制御方式でも静電搬送にそのまま利用できるし、2相や4相、8相などのハイブリットパルスモータとか様々な相を有するモータ種の相励磁制御方式も利用できるのである。もちろん、DCモータやACモータ等のモータ駆動方式も利用可能である。
したがって、静電搬送の駆動制御においても静電搬送用電極配列の相数や相励磁の仕方や基本構成などを含む制御手段そのものは既に公知技術であって、本発明に使用される静電搬送用駆動回路そのものの回路構成は、特に限定されるものでは無い。
以降、図9を用いて、本発明に使用される静電搬送用駆動回路の動作を簡潔に説明する。CPU20からの指示制御信号(信号数は特に限定されない)は、基本的には、第一に高圧電圧発生回路24の出力高圧電圧値を切替え設定できるよう構成された回路構成であって、制御される高圧電圧発生回路24の構成は、例えば、発生する高圧電圧を分圧出力するとか、高圧電圧発生用トランスの一次側回路の印加電圧値を可変設定可能な構成にするとか等、特に限定されるものではないが、出力する高圧電圧値を予め定める範囲で可変設定ができる回路構成である。したがって、CPU20の制御信号に応じて予め定める範囲内で指示される所望高圧電圧出力値を発生できる構成になっている。
次に、CPU20から発する指示制御信号で制御できる第二には、印加する高圧電圧出力の各相毎の位相タイミングやその周期時間量を予め定める範囲で設定できるように構成したものである。具体的には、分周段回路21に入力する周波数をCPUが発生する可変制御される周波数で実行される構成にしたり、特に図示していないが、発振回路を有して発振回路出力クロックを分周段回路21に入力させ、分周段回路21による分周段数をCPU20によって切替える構成であったりする等の様々な構成があって、特に限定されるものではなく、相励磁出力回路22が実行する相励磁スイッチングの励磁周期が可変制御できるように構成されていれば良いのである。したがって、CPU20からの指示制御信号によって、静電搬送用電極配列に印加される高圧電圧値と、印加高圧電圧の印加時間量を決定する相励磁周波数値(電極グループ毎に対する相印加位相関係は可変しない)とが可変制御可能な静電搬送用駆動回路である。
以上のように構成することで、例えばパルスモータの場合は、印加出力電圧値と相励磁周波数を変化させると、その駆動トルク量とモータ回転数、また、回転数に伴う駆動トルク量や発生音などが変化するように、静電搬送においても同様に、静電搬送力や静電搬送速度が変化させられるのである。
つまり、CPU20からの指示制御信号が意味する内容に応じた静電搬送状態が制御可能になるのである。もちろん、相励磁順番を入れ替える(例えば、2−2相励磁制御するパルスモータの場合、回転方向を逆回転させるためにはA相もしくは、B相うちどちらか一方の相の正相と反転相を入れ替えるだけで良い)とパルスモータは逆回転するように静電搬送の場合も同様に相励磁順番を逆搬送方向になるように入れ替えれば、静電搬送方向も逆搬送方向に変わるものであって、磁気力制御と静電気力制御は相通じる点が多いのである。
したがって、トナーのような粉体を静電搬送させる搬送状態も同様に印加高圧電圧値と
その相励磁周波数値を予め設定する制御条件に応じて可変制御させたり、相励磁順番を制御させたりできれば、その制御に伴った静電搬送動作を指示できる。
次に、静電搬送の搬送方向を正逆方向搬送に切替える具体的な回路と、その制御について図10を用いて説明する。尚、図10に示す回路構成は、図9で説明した基本的回路構成に31の静電搬送逆方向切替え回路を付加し、その制御をCPU20が発する指示制御信号にて制御実行させる構成である。尚、静電搬送逆方向切替え手段を付加した構成である以外は図9と同様なのでここでは説明を省略する。
図10において、2−2相励磁制御で静電搬送駆動制御を実行する場合においては、静電搬送方向切替え回路31は、B相(A相であっても良い)の位相タイミングを正逆方向になるように組替える回路構成であれば良く、具体的にはパルスモータの回転を正逆転する場合と同様なのである。図中破線で囲ったタイミングチャート図のようにB相(A相でも可)と、/B相を入れ替えれば、CW回転のモータをCCW回転に変えられるように静
電搬送方向も変えられるのである。
つまり、相励磁する各相の時間周期はそのままで位相タイミングを所定の相励磁順番に変えれば、静電搬送方向を正逆方向に設定できるのである。したがって、正逆方向に静電搬送を変える方法に関しては、構成する相励磁制御に応じ異なるが、モータを正逆回転に変える制御を実行できるように構成できれば特にその手段に対して限定されるものではない。
しかし、モータ駆動制御と静電搬送駆動制御との大きな違いは、パルスモータ駆動制御で、例えば、CW回転からCCW回転に切替え制御を実行する場合においては、徐々に時間を有し一旦停止状態まで回転数をスローダウンして、瞬間的に停止させて逆回転相励磁となるように徐々にスローアップして回転方向を切替えるという当たり前の駆動制御方法を実行する。つまり、既に公知技術である等加速度運動を実行させないと脱調現象が生じ、モータ回転は停止状態に陥るのである。
一方、静電搬送の場合においては、モータのような現象は発生しないのである。したがって、より高速に切替えても問題は無いのであり、本発明のようにトナー停滞に起因する静電搬送路の詰まり現象を解消させる為には、より高速で正逆方向に切替えることがより多くの切り返しショック力を静電搬送路中に停滞し始めるトナーに与えられるのである。そのことがトナー詰まりを破壊解消して防止することになるのである。
CPU20は上述したような構成である静電搬送用駆動回路に対して指示制御信号を発信できるよう構成されているために、例えば、静電搬送強度を増減することも可能であり、静電搬送速度を可変することも可能である。更には、静電搬送方向を正逆方向に切替えることを高速で実行可能なのである。
したがって、予め定め設定される時間周期でCPU20が有するタイマー機能を一般的なタイマー割り込み制御ソフトで、所定時間周期のクロックを分周段回路21に出力するか、否かで静電搬送の搬送実行を制御しつつ、別でも共用でも良いが同様なタイマー割り込み制御ソフトを用いて予め設定される別時間周期で静電搬送方向を正逆方向搬送させるか、否かを繰り返しCPU20から出力する指示制御信号で実行すれば、本発明の目的であるトナー詰まり防止手段をトナー搬送状態や詰まり具合に拘わらず所定周期毎に常に正逆搬送を繰り返しながらトナー供給搬送が実行できるようになり、静電搬送手段のトナー詰まりを防止できることになる。
この正逆搬送切替えタイミング時に、高圧電圧発生回路24からの出力電圧値を増減し
て静電搬送強度を瞬間的に、または次の正逆搬送切替え時まで継続して出力するか、相励磁周波数発生回路23が実行する相励磁周波数を変えて静電搬送速度を瞬間的に、または次の正逆搬送切替え時まで継続して加速減速するか、どちらか一方、ないし両方を実行させることで正逆方向に切り返してトナー塊を崩す作用を強化させるように付加実行しても良く、そのことでトナーには、より大きな力が加わり、更なるトナー詰まり防止を実現できるようになる。
次に、本発明の実施例7での静電搬送手段におけるトナー詰まり現象を防止する、トナーの正逆搬送実行判定制御と電気基板2に形成される静電搬送用電極配列等の電極パターンの断線等に起因するトナー搬送停滞の対応手段について図11を用いて説明する。尚、実施例7において、実施例1〜6と同様な部分の同様な説明は省略することにする。
図11において、実施例1との違いは、発光素子11とその光量をアナログ値で読み取る受光素子12とが対となる搬送状態検出手段が付加されたことである。尚、この搬送状態検出手段は説明を容易にするために図中では1対で表現しているが、複数対あっても少数の発光素子と多数の受光素子で構成されていても良く、特に限定される構成の搬送状態検出手段では無い。更に、図中においては透過型検出構成で表現しているが、反射型検出構成であっても良く、要は所定の場所に静電搬送されるトナー濃度(トナーの搬送量でも可)が判定できる搬送状態検出手段であれば良い。
本実施例は、上述した実施例6のように予め定められる所定周期時間毎に繰り返し実行するトナーの搬送方向の正逆搬送制御とは異なり、発光素子11と受光素子12で構成される搬送状態検出手段で静電搬送手段の特定される位置でのトナー搬送状態、特にトナー搬送量を検出して、トナー搬送の絶対量、或いは、トナー搬送の変化量具合に応じてトナー搬送の詰まり具合を判定するものであって、判定後のトナーの搬送方向を正逆搬送方向に切替える制御実行を実施例1〜5と同様な構成により実行するものである。
そのことにより、静電搬送路におけるトナー搬送がなされない場合は電極パターンの断線等と判断し、画像形成装置が有する故障モード処理を実行させる。一方、トナー搬送量が減少し始めたと判定すれば、直ちに、トナー搬送の搬送方向を逆搬送に切替え、トナーの詰まり現象を未然に防ぐだけでなく、静電搬送の活性化にも効果を発揮する。
具体的には、発光素子11と受光素子12で構成される搬送状態検出手段は、固定値発光する発光素子11の照射量を受光素子12で光電変換されたアナログ電圧値を図11中特に図示していないがCPU20に入力する。CPU20ではA/D変換入力端子でデー
タ値に変換しトナーの静電搬送時の搬送量とする。そのデータ値を絶対値的に判定しても、ある程度格納したデータ値同士を比較判断するとか、差分判断する等の相対値判定しても良く、トナーの静電搬送時での搬送量の変化具合を判定している。尚、これら判定方法に関しては、特に限定されるものではないが、経験的判定方法に基づいた判定をCPU20のソフトシーケンスで実行し、トナーの逆搬送実行を指示するような制御手段である。
最後に、本発明の実施例8での静電搬送手段におけるトナー詰まり現象を防止する、トナーの正逆搬送実行判定制御と電気基板2に形成される静電搬送用電極配列等の電極パターンの断線等に起因するトナー搬送停滞の対応手段について図12を用いて説明する。尚、本実施例8において、実施例1〜7と同様な部分の同様な説明は省略することにする。
図12において、上記実施例との違いは、発光素子13とその光量をアナログ値で読み取る受光素子14とが対となる濃度検出手段が付加されたことである。尚、この濃度検出
手段は説明を容易にするために図中では1対で表現しているが、複数対あっても少数の発光素子と多数の受光素子で構成されていても良く、特に限定される構成の検出手段では無い。更に、図中においては反射型検出構成で表現しているが、透過型検出構成でも対応可能ならば良く、特に限定される構成ではないが、感光体ドラム1の潜像画像を現像した後の現像画像のトナー濃度が読み取れる場所に設置され判定可能なデータ値が検出できれば良い。
本実施例は、上述した実施例6のように予め定められる所定周期時間毎に繰り返し実行するトナーの搬送方向の正逆搬送制御とは異なり、発光素子13と受光素子14で構成される濃度検出手段で感光体ドラム1面上に形成された現像画像のトナー濃度量を検出し、静電搬送されるトナーの搬送量等を推定し、トナー搬送の詰まり具合を判定するものであり、判定後のトナーの搬送方向を正逆搬送方向に切替える制御実行は実施例1〜5と同様な構成によって実行するものである。
尚、本場合では、現像されるべき感光体ドラム1の面上の場所にトナー濃度が検出できない時に電極パターンの断線等と判断し、画像形成装置が有する故障モード処理を実行させる。一方、トナー濃度が若干でも変化し始めたと判定すれば、直ちに、トナー搬送の搬送方向を逆搬送に切替えを実行させて、トナーの詰まり現象を未然に防ぐように静電搬送駆動制御を実行するものである。
また、本場合の感光体ドラム1の面上に現像されたトナー濃度を測定する構成については、現行製品でも用いられる画像濃度検出手段をそのまま利用したものであって、本発明が意図する事は、検出手段でなく検出結果に基づく制御方法なのである。
本実施例の制御で重要な点は、感光体ドラム1に現像されたトナー濃度を検出し、その検出判定具合に応じトナーの静電搬送の実行を正逆搬送に切替えさせる場合の制御判定内容にある。通常、所定潜像電位量に対するトナー濃度は現像部位に供給するトナー量が不足しない限りは一定濃度で現像されるものであるが、トナーに付与された電荷量の変化具合に応じて画像濃度も変わることは一般的にも知られている。つまり、トナーにチャージされた一定電荷量は、画像形成装置が利用される生活環境(温度、湿度等)に影響を受け易く、特に湿度変化は現像実行時までにトナーが有する電荷量をディスチャージすることがある。もちろんディスチャージ量は個々のトナーにより異なるのである。これらの原因によるトナー濃度のバラツキは、特にフルカラー対応画像形成装置の場合、色味変化として画質品位を低下させる要因に結びつくのであった。
そこで、感光体ドラム1の面上のトナー濃度を検出測定しトナーの静電搬送方向を逆搬送に切替える時、画像形成装置の設置環境条件等に応じて、静電搬送強度を増減したり、静電搬送速度を加速減速したりしながら、感光体ドラム1の面上のトナー濃度を一定に保つよう現像部位でのトナーの静電搬送駆動条件を経験値に基づき設定制御する。具体的には、特に図示していないがCPU20には、湿度検出手段を有し現像部位付近の湿度状態検出して、その検出結果に基づき、静電搬送強度を決定する高圧電圧発生回路24の出力値を増減することで、トナー現像を多少かぶり気味傾向にするとか、多少濃度薄状態傾向にするとか画像変化に気が付かない程度の徐々たる変化対応で感光体ドラム1の面上トナー濃度を判定しながらトナーの載り量を補正していく。
以上、本来の目的である静電搬送手段中に生じ得るトナー詰まり現象を正逆搬送することで防止するということを満足させつつ、トナー詰まりを防止する構成要素で画像品位までを向上可能にする効果も兼ね備える静電搬送式の現像装置を提供する。
本発明の実施例1に係る現像装置を示す構成図である。
本発明の実施例1,2に係る静電搬送路を構成する電気基板を示す図である。
本発明の実施例3に係る現像装置を示す構成図である。
本発明の実施例3に係る静電搬送路を構成する電気基板を示す図である。
本発明の実施例4に係る現像装置を示す構成図である。
本発明の実施例4に係る静電搬送路を構成する電気基板を示す図である。
本発明の実施例5に係る現像装置を示す構成図である。
本発明の実施例5に係る静電搬送路を構成する電気基板を示す図である。
本発明の実施例6に係る静電搬送用駆動回路を示すブロック図である。
本発明の実施例6に係る静電搬送逆方向切替え回路を示すブロック図である。
本発明の実施例7に係る現像装置を示す構成図である。
本発明の実施例8に係る現像装置を示す構成図である。
従来技術の現像装置を示す構成図である。
従来技術の現像装置を示す構成図である。
従来技術の静電搬送路を構成する電気基板を示す図である。
従来技術の現像装置を示す構成図である。
符号の説明
1 感光体ドラム
2 電気基板
3 対向電極基板
4 リターン用静電搬送手段
5 壁
6 ガイド電極パターン
11 発光素子
12 受光素子
13 発光素子
14 受光素子
20 CPU
21 分周段回路
22 相励磁出力回路
23 相励磁周波数発生回路
24 高圧電圧発生回路
25 高圧スイッチング回路