JP4579344B1 - 野菜・果実類保存用包装シート、袋および容器ならびに野菜・果実類の保存方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】樹脂製の基材シート11の表面に複数の透水孔12を設け、基材シート11の内面側にトレハロース13から成る保水剤を、0.2乃至0.6g/m2の割合で塗布し、基材シート11の外面側にプロアントシアニジン14から成る抗菌剤を、0.2乃至30mg/m2の割合で塗布して成る。この野菜・果実類保存用袋で野菜・果実類を包んで保存する。
【選択図】図1
Description
基材シートは、紙、布、不織布、樹脂フィルム、スポンジ、その他の透水性シートであっても、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのオレフィン系樹脂、塩化ビニル樹脂、その他の非透水性シートであってもよい。複数の透水孔は、基材シートの全体に設けられていても、部分的に設けられていてもよい。透水孔の大きさは、直径2ナノメートル以上3ミリメートル以下が好ましい。透水孔の密度は、その大きさによるが、直径1ミリメートルの場合、1乃至25個/cm2が好ましい。抗菌剤層は、抗酸化作用を有する抗酸化・抗菌剤層から成ることが好ましい。
本発明に係る野菜・果実類保存用容器で、前記保水剤は中芯の箱内面側に0.2乃至0.6g/m2の割合で付着されており、前記抗菌剤は前記中芯の箱外面側に0.2乃至30mg/m2の割合で付着されていることが好ましい。この場合、野菜・果実類の水分保持効果および鮮度保持効果を効果的に高めることができる。段ボールは、中芯が1枚のものでも、2枚以上のものでもよい。
本発明において、保存される野菜・果実類のうち、野菜の例としては、にんじん・長いも・大根・蕪・ジャガイモ・サツマイモ等の根菜、セリ・ほうれん草・白菜・キャベツ・ブロッコリー・カリフラワー・小松菜などの葉菜、きゅうり・トマト・ナス・オクラ・いんげん・ピーマン等の果菜が挙げられる。果実の例としては、リンゴ、ナシ類、モモ、バナナ、トマト、スイカ、イチゴ、カキ、メロン、桜桃などが挙げられる。
図1は、本発明の実施の形態の野菜・果実類保存用袋および野菜・果実類の保存方法の原理を示している。
本発明の実施の形態の野菜・果実類保存用袋は、野菜・果実類保存用包装シートを袋状に形成して成っている。図1に示すように、野菜・果実類保存用包装シートは、基材シート11に複数の透水孔12を設け、基材シート11の内面側にトレハロース13の水溶液を塗布し、外面側にプロアントシアニジン14を塗布して成っている。
基材シート11の内面側にはトレハロース13が0.2乃至0.6g/m2付着した保水剤層が形成され、外面側にはプロアントシアニジンが0.2乃至30mg付着した抗菌剤層が形成される。基材シート11の内面側は野菜・果実類保存用袋の内側となり、基材シート11の外面側は野菜・果実類保存用袋の外側となる。
本発明の実施の形態の野菜・果実類保存用袋の保存効果を検証するために、セリを使用して保存試験を行った。本発明の実施の形態の野菜・果実類保存用袋(以下、「内トレハ・外プロアント」)は、トレハロース5gに対して溶剤50mlの割合で混合したものを、トレハロースが0.2乃至0.6g/m2の割合になるよう、袋体の内面側に刷毛で均一に塗布している。また、プロアントシアニジン250mgに対して溶剤50mlの割合で混合したものを、プロアントシアニジンが10乃至30mg/m2の割合になるよう、袋体の外面側に刷毛で均一に塗布している。なお、野菜・果実類保存用袋には、ポリプロピレン製の開口巾70mm、深さ500mm、34g/m2(袋を開いて1枚にした時の1m2あたりの重量)の袋を用いた。溶剤は、以下の全ての試験を含めて、塩素化ポリプロピレン系のトップコート用バインダー樹脂組成物(東洋インキ製造株式会社製、商品名「RT レジウサー」)を使用した。
12日目には、無処理のセリは、一部の葉が黄色く変色していた。内トレハ・外プロアントおよび内プロアント・外トレハのセリは、新芽がさらに伸びていた。しかし、内プロアント・外トレハのセリは、袋に接していた葉が黒くなり、痛み始めていた。
14日目には、無処理のセリは、保存時に下になっている葉の変色が進んでいた。内トレハ・外プロアントのセリは、新芽がさらに伸びていたが、内側の葉に変色が始まっていた。内プロアント・外トレハのセリは、新芽の伸長が止まり、一部の葉が黒く変色していた。
本発明の実施の形態の野菜・果実類保存用袋の、保存効果の高いプロアントシアニジンの量を調べるために、セリを使用して保存試験を行った。本発明の実施の形態の野菜・果実類保存用袋に対応する袋として、「内トレハ・外プロアント」に比べて、プロアントシアニジンの量を1/10にした袋(以下、「内トレハ・外1/10プロアント」)と、プロアントシアニジンの量を1/50にした袋(以下、「内トレハ・外1/50プロアント」)とを使用した。また、比較用として、「無処理」の袋と、無処理の袋の内面側にトレハロースおよびプロアントシアニジンの両方を塗布した袋(以下、「内ポレハ」)と、無処理の袋の内面側にトレハロースを塗布し、外面側には何も塗布しない袋(以下、「内トレハロース」)とを使用した。
内トレハ・外1/50プロアントの袋は、トレハロース5gに対して溶剤50mlの割合で混合したものを、トレハロースが0.2乃至0.6g/m2の割合になるよう、袋体の内面側に刷毛で均一に塗布している。また、プロアントシアニジン5mgに対して溶剤50mlの割合で混合したものを、プロアントシアニジンが0.2乃至0.6mg/m2の割合になるよう、袋体の外面側に刷毛で均一に塗布している。
内ポレハの袋は、トレハロース5g、プロアントシアニジン250mgに対して溶剤50mlの割合で混合したものを、トレハロースが0.1乃至0.4g/m2、プロアントシアニジンが5乃至20mg/m2の割合になるよう、袋体の内面側に刷毛で均一に塗布している。
内トレハロースの袋は、トレハロース5gに対して溶剤50mlの割合で混合したものを、トレハロースが0.2乃至0.6g/m2の割合になるよう、袋体の内面側に刷毛で均一に塗布している。
5日目には、無処理のセリは、根の先端部分が茶色く変色していた。内トレハロースおよび内トレハ・外1/50プロアントのセリは、さらに新芽が伸びており、状態が良かった。
7日目には、無処理、内ポレハ、内トレハ・外1/10プロアントおよび内トレハ・外1/50プロアントのセリは、新芽が順調に伸びていた。内トレハロースのセリは、新芽の先が下や横を向いており、新芽の勢いが失われていた。
10日目には、無処理のセリは、根の茶色の変色が拡がっており、2〜3枚の葉が黄色や茶色に変色し、枯れ始めていた。全ての袋のセリで、茎と新芽とを問わず、伸長していた。内トレハロースのセリは、茎の痛みが始まっていた。
17日目には、無処理、内ポレハおよび内トレハロースのセリは、葉全体がしんなりとし、茎にも張りがなくなっており、食味不可の状態であり、枯れているものもあった。無処理のセリは、根全体が土のような色に変色していた。内ポレハおよび内トレハロースのセリは、無処理のものと比べて、根の白い部分が残っていた。内トレハ・外1/10プロアントおよび内トレハ・外1/50プロアントのセリは、ほとんどの葉が青々とした緑を保ち、茎もしっかりしており、根の変色もほとんど見られなかった。特に、内トレハ・外1/50プロアントのセリは、状態が一番良かった。
24日目には、無処理のセリは、茎全体が変色し傷みにより軟らかくなっており、葉の半分が黄色に変色していた。内トレハロースのセリは、無処理のものと同程度の傷みが起きていた。内ポレハおよび内トレハ・外1/10プロアントのセリは、無処理のものよりは茎や葉の傷んでいる範囲は少ないものの、新芽の半数で傷みが起こっていた。内トレハ・外1/50プロアントのセリは、わずかの茎や葉に傷みが起きているものの、他のものと比べると葉の青さと茎の張りが残っており、新芽にも傷みは見られなかった。
本発明の実施の形態の野菜・果実類保存用袋の袋体の内面側のトレハロースをソルビトールに変え、袋体の外面側のプロアントシアニジンを茶カテキンに変えた野菜・果実類保存用袋について、保存効果を検証するために、セリを使用して保存試験を行った。野菜・果実類保存用袋として、所定の割合でソルビトールと茶カテキンとを塗布した袋(以下、「ソルビトール1・茶カテキン」)と、ソルビトールの量を5倍にした袋(以下、「ソルビトール5・茶カテキン」)とを使用した。また、比較用として、「無処理」の袋を使用した。
ソルビトール5・茶カテキンの袋は、ソルビトール25gに対して溶剤50mlの割合で混合したものを、ソルビトールが1乃至3g/m2の割合になるよう、袋体の内面側に刷毛で均一に塗布している。また、茶カテキン250mgに対して溶剤50mlの割合で混合したものを、茶カテキンが10乃至30mg/m2の割合になるよう、袋体の外面側に刷毛で均一に塗布している。
本発明の実施の形態の野菜・果実類保存用袋の、保存効果の高いトレハロースの量を調べるために、セリを使用して保存試験を行った。本発明の実施の形態の野菜・果実類保存用袋に対応する袋として、「内トレハ・外プロアント」に比べて、トレハロースの量を1/125にした袋(以下、「トレハ1/125・プロアント」)と、トレハロースの量を1/25にした袋(以下、「トレハ1/25・プロアント」)と、トレハロースの量を1/5にした袋(以下、「トレハ1/5・プロアント」)とを使用した。また、比較用として、無処理の袋の内面側にのり剤を塗布した袋(以下、「のり剤」)を使用した。のり剤には、塩素化ポリプロピレン系のトップコート用バインダー樹脂組成物(東洋インキ製造株式会社製、商品名「RT レジウサー」)を用いた。のり剤は内側全面に塗布し、塗布後に袋体の表面に2乃至3個/cm2の密度となるよう針で孔(孔径約0.8mm)を開けた。のり剤の塗布量は乾燥重量として7.5g/m2である。
トレハ1/25・プロアントの袋は、トレハロース0.2gに対して溶剤50mlの割合で混合したものを、トレハロースが8乃至24mg/m2の割合になるよう、袋体の内面側に刷毛で均一に塗布している。また、プロアントシアニジン250mgに対して溶剤50mlの割合で混合したものを、プロアントシアニジンが10乃至30mg/m2の割合になるよう、袋体の外面側に刷毛で均一に塗布している。
トレハ1/5・プロアントの袋は、トレハロース1gに対して溶剤50mlの割合で混合したものを、トレハロースが40乃至120mg/m2の割合になるよう、袋体の内面側に刷毛で均一に塗布している。また、プロアントシアニジン250mgに対して溶剤50mlの割合で混合したものを、プロアントシアニジンが10乃至30mg/m2の割合になるよう、袋体の外面側に刷毛で均一に塗布している。
Claims (6)
- 複数の透水孔を有する基材シートの内面側に保水剤層を有し、外面側に抗菌剤層を有して成ることを、特徴とする野菜・果実類保存用包装シート。
- 前記保水剤層は保水性糖質を含み、前記抗菌剤は抗菌性ポリフェノールを含むことを、特徴とする請求項1記載の野菜・果実類保存用包装シート。
- 前記保水性糖質はトレハロースおよびソルビトールの一方または両方を含み、前記抗菌性ポリフェノールはプロアントシアニジンおよびカテキンの一方または両方を含むことを、特徴とする請求項2記載の野菜・果実類保存用包装シート。
- 請求項3記載の野菜・果実類保存用包装シートを袋状に形成して成り、前記基材シートは複数の透水孔を形成した、前記保水剤層は袋内面にトレハロースまたはソルビトールを0.2乃至0.6g/m2付着させて成り、前記抗菌剤層は袋外面にプロアントシアニジンまたはカテキンを0.2乃至30mg/m2付着させて成ることを、特徴とする野菜・果実類保存用袋。
- 段ボールで形成された箱から成り、前記段ボールは2枚のライナーの間に中芯を挟んで接着した構造を有し、前記中芯は請求項3記載の野菜・果実類保存用包装シートから成り、前記保水剤層を箱内面側に配置し、前記抗菌剤層を箱外面側に配置していることを、特徴とする野菜・果実類保存用容器。
- 請求項1,2もしくは3記載の野菜・果実類保存用包装シート、請求項4記載の野菜・果実類保存用袋または請求項5記載の野菜・果実類保存用容器で野菜・果実類を包むことを、特徴とする野菜・果実類の保存方法。
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