JP4579003B2 - 物理量センサの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、磁界の方位や移動方向などを測定する物理量センサの製造方法に関する。
近年、携帯電話機に代表される携帯端末装置には、ユーザの位置情報を表示させるGPS(Global Positioning System)機能を持たせる要求が高まりつつある。
GPS機能には、地磁気を検出することにより装置の3次元的な方位や向きの位置情報を特定する磁気センサや、地磁気を検出できない場所において、移動方向を検出することにより位置情報を特定する加速度センサといった物理量センサが用いられている。この種の物理量センサには、複数の物理量センサチップ(磁気センサチップ)が相互に傾斜して配置されるものがあり、小型化、薄型化を図ることができる。
この物理量センサチップを傾斜させる構成の物理量センサは、小型化、薄型化に寄与することに加え、傾斜方向に応じた所定軸方向の感度を高く保ち、基板の表面に沿う方向を含む他軸方向の感度を低減することができる利点も有しており、今後の主流となるものである。
図13から図16に示す物理量センサ1は、相互に傾斜させた2つの物理量センサチップ2、3を有することにより、外部磁界の向きと大きさを測定するものであり、金属製薄板をプレス加工もしくはエッチング加工、あるいはこの両方の加工を施すことによって形成されるリードフレーム4を用いて製造されるものである。
図15に示すリードフレーム4は、外周矩形枠を形成する矩形枠部5aと、この矩形枠部5aの各外周辺側から内方に向けて垂直に突出する複数のリード5bと、矩形枠部5aの端部5c側から内方に向けて延出する連結リード5dと、この連結リード5dと連結し支持される2つのステージ部6、7とにより形成されている。このとき、矩形枠部5aとリード5bと連結リード5dとを合わせて、フレーム部5とされる。
2つのステージ部6、7は、矩形状に形成されるとともに、リードフレーム4の中心線を挟み対向に設けられており、対向側の2つの端部6a、7aから対向するステージ部6、7側に突出する一対の突出部8、9を有している。また、この突出部8、9は、細い棒状に形成され、リードフレーム4の裏面4a側に傾斜するように形成されている。
連結リード5dは、ステージ部6、7を矩形枠部5aに対して支持するための吊りリードであり、連結リード5dの一端部5eが各ステージ部6、7の一端部6b、7b側の両端に位置する側端部6c、7cに連結されている。この連結リード5dのステージ部6、7側の一端部5eは、その側面に凹状の切り欠きが設けられて、他の連結リード5dより細く形成され、ステージ部6、7を傾斜させる際に、変形して捻ることができる捻れ部5eとされている。
図13から図14に示す物理量センサ1は、上記リードフレーム4に、ステージ部6、7に各々固着される平面視矩形の板状に形成された2つの物理量センサチップ2、3と、物理量センサチップ2、3とリード5bとを電気的に接続するための金属製のワイヤー10と、物理量センサチップ2、3およびリード5bを樹脂により一体化する樹脂モールド部11とを加えて形成されるとともに、リードフレーム4の矩形枠部5aおよび樹脂モールド部11から外側に突出した部分のリード5bと連結リード5dを切り離して形成されるものである(例えば、特許文献1参照)。
樹脂モールド部11は、図13から図15中に示す二点破線で囲まれた略台形に形成された部分であり、樹脂モールド部11内には、突出部8、9の先端部8a、9aがリード5bの裏面4aと連続する水平面上に当接することにより、ステージ部6、7および物理量センサチップ2、3が傾斜した状態で樹脂により固定されている。
次に、この物理量センサ1の製造方法について図15から図16を参照して説明する。
はじめに、図15から図16(a)に示すように、フォトエッチング加工によって、ステージ部6、7を含むリード5bよりも内側の金属製薄板を、例えば半分の厚さ寸法に、リードフレーム4の他の部分よりも薄く成形したのち、プレス加工もしくはエッチング加工、あるいはこの両方の加工を施すことによって、ステージ部6、7が矩形枠部5aに支持されたリードフレーム4を形成する。このとき、ステージ部6、7とリード5bと連結リード5dと捻れ部5eとが形成されるとともに、突出部8、9が矩形枠部5aに対して傾斜した状態で形成される。
ついで、ステージ部6、7の表面6d、7dにそれぞれ物理量センサチップ2、3を接着するとともに、ワイヤー10を配して物理量センサチップ2、3とリード5bとを電気的に接続する。
なお、ステージ部6、7を傾斜させる段階において、ワイヤー10と物理量センサチップ2、3とのボンディング部分10a、およびリード5bとのボンディング部分10bが互いに離れることになるため、ワイヤー10は、その長さもしくは高さに余裕を持たせた状態で取り付けられる。
ついで、図16(b)に示すように、フレーム部5のうち、矩形枠部5aおよびリード5bと連結リード5dの一部を除いた部分を金型D、Eに挟み込んで固定する。これら金型D、Eは、物理量センサチップ2、3を樹脂の内部に埋め、固定するためのものである。
フレーム部5を挟み込む際には、金型Eの内面E1に突出部8、9の先端部8a、9aが押圧され、ステージ部6、7の側端部6c、7cに位置する捻れ部5eを結ぶ軸線回りに、ステージ部6、7がそれぞれ回転して、捻れ部5eが捻れるように変形する。これにより、ステージ部6、7および物理量センサチップ2、3が図16(c)に示すように、リード5bや内面E1に対して所定の角度で傾斜することになる。
その後、金型Eの内面E1が突出部8、9の先端部8a、9aを押圧した状態で、金型D、E内に溶融樹脂を射出し、物理量センサチップ2、3を樹脂の内部に埋め、樹脂モールド部11を形成する。これにより、物理量センサチップ2、3が、相互に傾斜した状態で、樹脂モールド部11内に固定されることになる。
最後に、図13から図15中の二点破線で示される矩形枠部5aおよび樹脂モールド部11の外側に突出した部分のリード5bと連結リード5dを切り離して、物理量センサ1の製造が完了する。
特開2004−128473号公報
しかしながら、この物理量センサの製造方法は、ステージ部の先端に形成された突出部が金型内面に押圧されることによって、ステージ部を傾斜させることから、連結リードの捻れ部が所定の捻れ効果を発揮できない場合があることや、突出部と金型の接触面に摩擦抵抗が生じて、所定の傾斜角に傾斜変形しないなどの問題があり、所定の傾斜角で正確に物理量センサチップを設置できない場合があるという問題があった。
また、樹脂モールド部を形成する前のステージ部の傾斜角は、細い棒状の突出部の先端部が金型内面に当接されることにより保持されていることから、金型内に樹脂を射出する際に、この射出によってステージ部の歪みが生じやすく、所定の傾斜角で正確に物理量センサチップを設置できない場合があるという問題があった。
本発明は、上記事情を鑑み、金型内に冶具を挿入しステージ部を押圧することにより傾斜させ、樹脂の射出時に冶具でステージ部の傾斜を保持することによって、所定の傾斜角で正確に物理量センサチップを設置する物理量センサの製造方法を提供することを目的とする。
上記の目的を達するために、この発明は以下の手段を提供している。
請求項1に係る発明は、矩形枠部と、該矩形枠部から内方に突出する複数のリードと、連結リードにより前記矩形枠部と連結される複数のステージ部とを備えるリードフレームを用いて、該リードフレームの前記複数のステージ部にそれぞれ物理量センサチップを固着し、前記物理量センサチップおよび前記リードを樹脂封止する物理量センサの製造方法において、1つの冶具を前記複数のステージ部に押圧することによって前記複数のステージ部を前記矩形枠部に対して傾斜させるとともに前記物理量センサチップを傾斜させ、傾斜した前記複数のステージ部が前記冶具の少なくとも一部の形状と係合する凹部または凸部を備え、該1つの冶具によって傾斜が保持された状態で樹脂封止することを特徴とする。
この発明に係る物理量センサの製造方法においては、冶具をステージ部に押圧することによって物理量センサチップを傾斜させ、該冶具によって傾斜が保持された状態で樹脂により一体化することから、冶具を所定量挿入する簡易な操作で適正にステージ部を傾斜させることができるとともに、金型内に樹脂を射出する際に、冶具によって確実にステージ部が保持されるため、樹脂の射出による歪みやずれが生じることはなく、ステージ部を所定の傾斜角で固定することができる。
また、ステージ部に、冶具の少なくとも一部の形状と係合する凹部または凸部を形成することによって、冶具を所定量挿入する簡易な操作で適正にステージ部を傾斜させることができるとともに、金型内に樹脂を射出する際に、ステージ部に形成された凹部または凸部と冶具が係合するため、確実にステージ部が保持され、樹脂の射出による歪みやずれが生じることはなく、ステージ部を所定の傾斜角に固定することができる。
請求項2に係る発明は、請求項1記載の物理量センサの製造方法において、前記冶具を抜脱したのち、前記冶具を抜脱した凹部に充填物を充填することを特徴とする。
この発明に係る物理量センサの製造方法においては、冶具を抜脱したのち、冶具を抜脱した凹部に充填物を充填することができるため、物理量センサの放熱効率を向上させたい場合には、熱伝導率の高い充填物を充填することができる。
請求項3に係る発明は、請求項1からのいずれか記載の物理量センサの製造方法において、前記連結リードが、前記2つのステージ部を傾斜させる際に折り曲げることができる折曲部を有することを特徴とする。
本発明によれば、冶具をステージ部に押圧することによって物理量センサチップを傾斜させ、該冶具によって傾斜が保持された状態で樹脂により一体化することから、冶具を所定量挿入する簡易な操作で適正にステージ部を傾斜させることができるとともに、金型内に樹脂を射出する際に、冶具によって確実にステージ部が保持されるため、樹脂の射出による歪みやずれが生じることはなく、ステージ部を所定の傾斜角で固定することができる。これにより、所定の傾斜角で正確に物理量センサチップを設置できる。
また、本発明によれば、冶具を抜脱したのち、冶具を抜脱した凹部に充填物を充填することができるため、物理量センサの放熱効率を向上させたい場合には、熱伝導率の高い充填物を充填することができ、物理量センサの長寿命化を図ることができる。
さらに、本発明によれば、ステージ部に、冶具の少なくとも一部の形状と係合する凹部または凸部を形成することによって、冶具を所定量挿入する簡易な操作で適正にステージ部を傾斜させることができるとともに、金型内に樹脂を射出する際に、ステージ部に形成された凹部または凸部と冶具が係合するため、確実にステージ部が保持され、樹脂の射出による歪みやずれが生じることはなく、ステージ部を所定の傾斜角で固定することができる。これにより、所定の傾斜角で正確に物理量センサチップを設置できる。
以下、図1から図6を参照し、この発明の第1実施形態について説明する。本実施形態の説明において、前述の図13から図16に示した物理量センサと共通する構成については、同一符号を付して詳細についての説明を省略する。
図1に示す物理量センサ1は、前述した図13から図16に示すものと同様に、相互に傾斜させた2つの物理量センサチップ2、3を有することにより外部磁界の向きと大きさを測定するものであり、リードフレーム4を用いて製造されるものである。
図2に示すように、リードフレーム4は、外周矩形枠を形成する矩形枠部5aと、この矩形枠部5aの各外周辺側から内方に向けて垂直に突出する複数のリード5bと、矩形枠部5aの端部5c側から内方に向けて延出する連結リード5dと、この連結リード5dと連結し支持される2つのステージ部6、7とにより形成されている。このとき、矩形枠部5aとリード5bと連結リード5dとを合わせて、フレーム部5とされる。
ここで、2つのステージ部6、7は、矩形状に形成されるとともに、リードフレーム4の中心線を挟み対向に設けられており、前述した図13から図16に示すものと異なり、突出部8、9は形成されていない。
連結リード5dは、前述の図13から図16と同様に、一端部5eが各ステージ部6、7の一端部6b、7b側の両端に位置する側端部6c、7cに連結されており、一端部5eは、その側面に凹状の切り欠きを設けて、ステージ部6、7を傾斜させる際に、変形して捻ることができる捻れ部5eとなっている。
図1に示す物理量センサ1は、上記のリードフレーム4に、ステージ部6、7に各々固着される2つの物理量センサチップ2、3と、物理量センサチップ2、3とリード5bとを電気的に接続するためのワイヤー10と、物理量センサチップ2、3およびリード5bを一体化する樹脂モールド部11とを加えて形成されるとともに、矩形枠部5aおよび樹脂モールド部11から外側に突出した部分のリード5bと連結リード5dを切り離して形成されている。
ついで、この物理量センサ1の製造方法について説明する。
図2に示すように、図15に示すものから突出部8、9を除き、同様に製造されたリードフレーム4を用意したのち、ステージ部6、7の表面6d、7dにそれぞれ物理量センサチップ2、3を接着するとともに、ワイヤー10を配して物理量センサチップ2、3とリード5bとを電気的に接続する。
ついで、図3に示すように、フレーム部5のうち、矩形枠部5aおよびリード5bの一部を除いた部分を金型F、Gにより挟み込んで固定する。これら金型F、Gは、物理量センサチップ2、3を樹脂の内部に埋め、固定するためのものである。
このとき、金型Gには、詳細は後述の冶具20を挿入するための開口部21が設けられており、開口部21を除く内面G1は、矩形枠部5aおよびリード5bの裏面4aと密着するよう平面とされている。
ついで、図4に示すように、金型Gの開口部21に冶具20を挿入する。このとき、冶具20の先端部20aがステージ部6、7の裏面6e、7eを押圧し、これとともに、ステージ部6、7が徐々に傾斜していき、ステージ部6、7の所定の傾斜角に見合った挿入量で冶具20が挿入されることにより、ステージ部6、7は所定の傾斜角で傾斜される。このとき、冶具20の先端部20aには、各ステージ部6、7の裏面6e、7eが所定の傾斜角で傾斜された際に形成する傾斜した平面6e、7eと面接触する平面部20b、20cが形成されている。
ここで、冶具20の平面部20b、20cは、1つのステージ部6、7の2つの捻れ部5eを結ぶ直線からステージ部6、7の先端部6f、7fまでの距離aに対し、ステージ部6、7の裏面6e、7eと面接触する平面部20b、20cの側端部20d、20eから面接触するステージ部6、7の先端部6f、7fまでの距離dが距離aの30%から70%となるように形成されている。この場合、距離dは距離aの50%程度が好ましい。
ついで、ステージ部6、7が所定の傾斜角になるように冶具20の挿入を完了した段階で、冶具20を固定する。このとき、冶具20の先端部20aに設けられた平面部20b、20cと、傾斜したステージ部6、7の裏面6e、7eが面接触され、冶具20がステージ部6、7を支持しているため、ステージ部6、7は所定の傾斜角で保持されることとなる。ここで、所定の傾斜角とは、物理量センサ1により外部磁界の方位や向きを確実に検出可能な角度とされる。
金型F、G内に冶具20が挿入された状態で、金型F、G内に溶融樹脂を射出し、物理量センサチップ2、3を樹脂の内部に埋め、樹脂モールド部11を形成する。これにより、物理量センサチップ2、3が、相互に傾斜した状態で、樹脂モールド部11内に固定される。
ついで、図5に示すように、樹脂が固結し樹脂モールド部11が形成されたのち、冶具20を抜脱し、金型F、Gを取り外す。このとき、樹脂モールド部11には、挿入した冶具20の形状を呈する凹部11aが形成される。
さらに、図6に示すように、樹脂モールド部11に形成された凹部11aに充填物を充填する。このとき、充填物11bとして、物理量センサ1の放熱効率を向上させる場合には、熱伝導率の高い充填物11bを充填する。例えば、銅、真鋳からなる凹部11aに沿う形状のヒートシンクを接蓋する、もしくは高放熱樹脂、あるいは金属を混入した樹脂を凹部11aにポンティングする方法で充填できる。物理量センサ1の放熱効率を向上させる必要性がない場合には、樹脂モールド部11と同じ樹脂を充填する。
最後に、矩形枠部5aおよびリード5bのうち樹脂モールド部11の外側に突出する部分を切り落として、物理量センサ1の製造が完了する。
したがって、上記の物理量センサ1の製造方法においては、ステージ部6、7に冶具20を押圧することによりステージ部6、7を傾斜させるため、冶具20を所定量挿入する簡易な操作で適正にステージ部6、7を傾斜させることができる。
また、上記の物理量センサ1の製造方法においては、傾斜したステージ部6、7の裏面6e、7eが形成する平面6e、7eと面接触する平面部20b、20cを、冶具20が備えることから、金型F、G内に樹脂を射出する際に、確実にステージ部6、7が保持され、樹脂の射出による歪みやずれが生じることなく、ステージ部6、7を所定の傾斜角で固定することができる。
さらに、上記の物理量センサ1の製造方法においては、冶具20を抜脱したことによって形成された樹脂モールド部11の凹部11aに充填物を充填できるため、物理量センサ1の放熱効率を向上させる場合には、熱伝導率の高い充填物を充填することができ、物理量センサ1の放熱効率を向上させる必要性がない場合には、樹脂モールド部11と同じ樹脂を充填できる選択的充填を可能にする。
よって、上記の物理量センサの製造方法によれば、冶具20を挿入し押圧することによりステージ部6、7を傾斜させ、樹脂の射出時に冶具20でステージ部6、7の傾斜を保持することによって、所定の傾斜角で正確に物理量センサチップ2、3を設置できる。
なお、本発明は、上記の第1実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。例えば、冶具20を抜脱したことによって形成された樹脂モールド部11の凹部11aに充填物を充填するものとしたが、必ずしもこの限りではない。つまり、この樹脂モールド部11に形成された凹部11aは、残存させてもよいものである。
また、図1から図2に示すようなステージ部6、7を傾斜させる際に変形して捻ることができる捻れ部5eは、例えば図7から図8に示すように、ステージ部6、7を傾斜させる際に変形して折り曲げることができる折曲部5fとされてもよいものである。ここで、図8(a)および図8(b)は、それぞれ図7に示した物理量センサ1のA−A線矢視図、B−B線矢視図を示している。
この図7から図8に示す物理量センサ1では、物理量センサチップ2、3の一端部2b、3b側が位置するリード5bの内方側が、例えば半分の厚さ寸法に薄く形成されている。
この物理量センサ1は、図8に示すように、ステージ部6、7を冶具20で押圧することによって、連結リード5dに設けられた折曲部5fが折れ曲がり、ステージ部6、7を傾斜させたものである。その結果、内方側のリード5bの上部に傾斜した物理量センサチップ2、3の一端部2b、3bがくるが、この部分は薄く形成されているので、リード5bに物理量センサチップ2、3が当たらないものとされている。
よって、冶具20を押圧することによるステージ部6、7の傾斜は、捻れ部5eの捻れ変形によることに限定されるのではなく、連結リード5dに設けられた折曲部5fのリード5bの折れ曲り変形によってなされてもよい。
ついで、以下、図1から図2および図9から図12を参照し、この発明の第2実施形態について説明する。本実施形態の説明においては、前述の図13から図16に示した物理量センサおよび第1実施形態に係る物理量センサと共通する構成について、同一符号を付し詳細についての説明を省略する。
図9から図12に示す物理量センサ1は、前述の図2に示すリードフレーム4のうち、ステージ部22、23の裏面22a、23aに、ステージ部22、23が所定の傾斜角で傾斜した際に冶具24と係合する凹部22b、23bが形成されている。
ついで、この物理量センサ1の製造方法について説明する。
図9に示すように、ステージ部22、23の裏面22a、23aに、冶具24と係合する凹部22b、23bが形成されたリードフレーム4のフレーム部5のうち、矩形枠部5aおよびリード5bの一部を除いた部分を金型F、Gにより挟み込んで固定する。これら金型F、Gは、物理量センサチップ2、3を樹脂の内部に埋め、固定させるためのものである。
このとき、金型Gには、冶具24を挿入するための開口部21が設けられており、開口部21を除く内面G1は、矩形枠部5aおよびリード5bの裏面4aと密着するよう平面とされている。
ついで、図10に示すように、金型Gの開口部21に冶具24を挿入する。これにより、冶具24の先端の両端部24a、24bがステージ部22、23の裏面22a、23aを押圧し、ステージ部22、23が徐々に傾斜される。冶具24が所定の挿入量で挿入された時点で、ステージ部22、23は所定の傾斜角で傾斜されており、このとき、ステージ部22、23の裏面22a、23aに形成された凹部22b、23bが冶具24の両端部24a、24bに係合され、ステージ部22、23は、冶具24によって所定の傾斜角で保持される。
ついで、ステージ部22、23の裏面22a、23aに形成された凹部22b、23bが冶具24の両端部24a、24bに係合された状態で、金型F、G内に溶融樹脂を射出し、物理量センサチップ2、3を樹脂の内部に埋め、樹脂モールド部11を形成する。これにより、物理量センサチップ2、3が、相互に傾斜した状態で、樹脂モールド部11内に固定される。
図11に示すように、樹脂が固結し樹脂モールド部11が形成されたのち、冶具24を抜脱し、金型F、Gを取り外す。このとき、樹脂モールド部11には、挿入した冶具24の形状を呈する凹部11aが形成される。
図12に示すように、樹脂モールド部11に形成された凹部11aに充填物を充填する。このとき、充填物として、物理量センサ1の放熱効率を向上させる場合には、熱伝導率の高い充填物を充填する。例えば、銅、真鋳からなる凹部11aに沿う形状のヒートシンクを接蓋する、もしくは高放熱樹脂、あるいは金属を混入した樹脂を凹部11aにポンティングする方法で充填できる。物理量センサ1の放熱効率を向上させる必要性がない場合には、樹脂モールド部11と同じ樹脂を充填する。
最後に、矩形枠部5aおよびリード5bと連結リード5dのうち樹脂モールド部11の外側に突出する部分を切り離して、物理量センサ1の製造が完了する。
したがって、上記の物理量センサ1の製造方法においては、ステージ部22、23に冶具24を押圧することによりステージ部22、23を傾斜させるため、冶具24を所定量挿入する簡易な操作で適正にステージ部22、23を傾斜させることができる。
また、上記の物理量センサ1の製造方法においては、ステージ部22、23の裏面22a、23aに、冶具24の先端の両端部24a、24bと係合する凹部22b、23bが形成されているため、金型F、G内に樹脂を射出する際に確実にステージ部22、23が保持され、樹脂の射出による歪みやずれが生じることなく、ステージ部22、23を所定の傾斜角で固定することができる。
さらに、上記の物理量センサ1の製造方法においては、冶具24を抜脱することによって形成された樹脂モールド部11の凹部11aに充填物を充填できるため、物理量センサ1の放熱効率を向上させる場合には、熱伝導率の高い充填物を充填することができ、物理量センサ1の放熱効率を向上させる必要性がない場合には、樹脂モールド部11と同じ樹脂を充填できる選択的充填を可能にする。
よって、上記の物理量センサの製造方法によれば、冶具24を挿入し押圧することによりステージ部22、23を傾斜させ、樹脂の射出時に冶具24でステージ部22、23の傾斜を保持することによって、所定の傾斜角で正確に物理量センサチップ2、3を設置できる。
なお、本発明は、上記の第2実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。例えば、ステージ部22、23の裏面22a、23aに、冶具24の先端の両端部24a、24bと係合する凹部22b、23bを形成するものとしたが、必ずしもこの限りではない。つまり、ステージ部22、23の裏面22a、23aに、冶具24と係合する凸部を形成してもよいものであり、かつ、これらの凹部、凸部に係合される冶具24の部位は、先端の両端部24a、24bに限定されるものではない。
また、冶具24を抜脱したことによって形成された樹脂モールド部11の凹部11aに充填物を充填するものとしたが、必ずしもこの限りではない。つまり、この樹脂モールド部11に形成された凹部11aは、残存させてもよいものである。
本発明の実施形態に係る製造方法により製造される物理量センサを示す平面図である。 図1の物理量センサにおいて、リードフレームに物理量センサチップを搭載した状態を示す平面図である。 本発明の第1実施形態に係る図1の物理量センサにおいて、ステージ部および物理量センサチップを傾斜させる方法を示す図である。 本発明の第1実施形態に係る図1の物理量センサにおいて、冶具によりステージ部および物理量センサを傾斜させる方法を示す図である。 本発明の第1実施形態に係る物理量センサの側断面図である。 本発明の第1実施形態に係る樹脂モールドの凹部に充填物を充填した物理量センサの側断面図である。 本発明の実施形態に係る製造方法により製造される物理量センサの変形例として示した図である。 本発明の第1実施形態に係る図7の物理量センサの、A−A線矢視図およびB−B線矢視図である。 本発明の第2実施形態に係る図1の物理量センサにおいて、ステージ部および物理量センサチップを傾斜させる方法を示す図である。 本発明の第2実施形態に係る図1の物理量センサにおいて、冶具によりステージ部および物理量センサを傾斜させる方法を示す図である。 本発明の第2実施形態に係る物理量センサの側断面図である。 本発明の第2実施形態に係る樹脂モールドの凹部に充填物を充填した物理量センサの側断面図である。 従来の他の物理量センサの製造方法により製造される物理量センサを示す平面図である。 図13の従来の物理量センサの側断面図である。 図13の従来の物理量センサにおいて、リードフレームに物理量センサチップを搭載した状態を示す平面図である。 図13の従来の物理量センサにおいて、ステージ部および物理量センサチップを傾斜させる方法を示す図である。
符号の説明
2,3・・・物理量センサチップ、4・・・リードフレーム、5a・・・矩形枠部、5b・・・リード、5d・・・連結リード、6,7,22,23・・・ステージ部、6e,7e・・・平面、11・・・樹脂モールド部、11a・・・樹脂モールド部の凹部、20,24・・・冶具、20b,20c・・・平面部、22b,23b・・・ステージ部の凹部

Claims (3)

  1. 矩形枠部と、該矩形枠部から内方に突出する複数のリードと、連結リードにより前記矩形枠部と連結される複数のステージ部とを備えるリードフレームを用いて、該リードフレームの前記複数のステージ部にそれぞれ物理量センサチップを固着し、前記物理量センサチップおよび前記リードを樹脂封止する物理量センサの製造方法において、
    1つの冶具を前記複数のステージ部に押圧することによって前記複数のステージ部を前記矩形枠部に対して傾斜させるとともに前記物理量センサチップを傾斜させ、傾斜した前記複数のステージ部が前記冶具の少なくとも一部の形状と係合する凹部または凸部を備え、該1つの冶具によって傾斜が保持された状態で樹脂封止することを特徴とする物理量センサの製造方法。
  2. 請求項1記載の物理量センサの製造方法において、
    前記冶具を抜脱したのち、前記冶具を抜脱した凹部に充填物を充填することを特徴とする物理量センサの製造方法。
  3. 請求項1からのいずれか記載の物理量センサの製造方法において、
    前記連結リードが、前記2つのステージ部を傾斜させる際に折り曲げることができる折曲部を有することを特徴とする物理量センサの製造方法。
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