JP4578812B2 - 電力用電解液静止型亜鉛―臭素二次電池 - Google Patents

電力用電解液静止型亜鉛―臭素二次電池 Download PDF

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Description

本発明は電力用電解液静止型亜鉛―臭素二次電池に関し、更に詳細には臭化亜鉛を含有する電解液に対して耐食性を有する導電性材料から成る正極と負極とを具備する電力用電解液静止型亜鉛―臭素二次電池に関する。
亜鉛―臭素二次電池は、電極反応の起電力が1.82V、理論エネルギー密度が430Wh/kgと比較的高いため、近年、深夜電力の充電用や電気自動車用の電力用二次電池として見直されつつある。
かかる電力用亜鉛―臭素二次電池としては、従来、図5に示すものが知られていた。図5に示す電力用亜鉛―臭素二次電池は、セル100がイオン交換膜や多孔質膜から成るセパレータ102によって正極室104と負極室106とに隔されて、正極室104には、白金等の耐酸性の金属から成る正極108が設けられており、負極室106には、亜鉛金属から成る負極110が設けられている。
また、正極室104には、臭化亜鉛を含有する正極電解液112を貯留する正極タンク114が設けられており、正極タンク114と正極室104との間には、正極電解液112を循環する循環ポンプ116が設けられいる。
更に、負極室106には、臭化亜鉛を含有する負極電解液118を貯留する負極タンク120が設けられており、負極タンク106と負極室120との間には、負極電解液118を循環する循環ポンプ122が設けられいる。
図5に示す電力用亜鉛―臭素二次電池では、充電の際には、負極110でZn2++2e→Znの電気化学反応が生じ、正極108で2Br-→Br2+2eの電気化学反応が生じる。正極108での反応によって生じた臭素の一部分は電解液中に溶解するが、大部分は電解液中に配合された錯化剤によって錯化合物となって正極タンク114内に蓄積される。
一方、放電の際には、負極110及び正極108の各々に、充電の際と逆の反応が生じ、電気エネルギーが放出される。
しかし、図5に示す電力用亜鉛―臭素二次電池は、正極タンク114、負極タンク120、及び循環ポンプ116,122を必要とするため、小型化には限界がある。
一方、ビルや病院の非常用電源用等に用いる場合には、設置スペース等の関係から正極タンク114、負極タンク120、及び循環ポンプ116,122を要しない省スペースを図ることができる小型の電力用亜鉛―臭素二次電池が求められている。
これに対し、下記特許文献1には、循環ポンプ等を用いない電解液静止型亜鉛―臭素二次電池が提案されている。
かかる特許文献1に提案された電解液静止型亜鉛―臭素二次電池の概要を図6に示す。図6に示す電解液静止型亜鉛―臭素二次電池は、正極200及び負極202の間にイオン交換膜や多孔質膜から成るセパレータ204で隔離して正極室210及び負極室212を形成し、正極室210内には、臭素亜鉛を含有する正極電解液を含浸した導電性カーボン層206が充填されて密閉されている共に、負極室212内には、臭素亜鉛及び四級アンモニウムブロマイド等の錯塩形成剤を含有する負極電解液を含浸した親水性多孔質プラスチック層208が密閉されている。
特許第2853294号公報(特許請求の範囲、図1)
図6に示す電解液静止型亜鉛―臭素二次電池を電力用二次電池に適用すると、図5に示す電力用亜鉛―臭素二次電池に比較して、正極タンク114、負極タンク120、及び循環ポンプ116,122を要しないため、小型化を図ることができる。
しかしながら、図6に示す電解液静止型亜鉛―臭素二次電池では、セパレータ204としてイオン交換膜や多孔質膜を用いているが、イオン交換膜から成るセパレータ204では、電力用二次電池での充電や放電の際に、大量に生成するイオンの通過量が制限され易く、充分に満足し得る電池性能を呈し難い。
一方、多孔質膜からセパレータ204では、多孔質膜に孔径が1μm以下の微細孔が形成されているものの、臭素イオン半径(1.82×10-4μm)や臭素原子半径(1.14×10-4μm)を考えると、極めて巨大な分子集団を形成しないと臭素の錯体も容易に通過し、充電の際に、正極で発生した臭素が負極に到達して、負極に析出している亜鉛と反応して電力ロスを生じ易い。
また、正極室210及び負極室212を形成し、正極室210及び負極室212内には、正極電解液を含浸した導電性カーボン層206や負極電解液を含浸した親水性多孔質プラスチック層208を充填することを要する。このため、図6に示す電解液静止型亜鉛―臭素二次電池は、構造が複雑である。
更に、図6に示す電解液静止型亜鉛―臭素二次電池で用いる正極電解液と負極電解液とは、互いの組成が異なる電解液であるため、構造が複雑であることと相俟って、電池の組立の際に、特別の注意を払う必要ある。
そこで、本発明の課題は、満足し得る電力用二次電池の性能を呈することができ、且つ構造が簡単であって、組立が容易な電力用電解液静止型亜鉛―臭素二次電池を提供することにある。
本発明者等は、前記課題を解決するには、正極室及び負極室を形成することなく一種類の電解液を用いる一液性の電力用電解液静止型亜鉛―臭素二次電池が有効であると考え検討したところ、負極の正極側に電解液中の臭素を吸着して負極への臭素の到達を阻止する非導電性の臭素吸着遮断層を設けることが有効であり、細いガラス繊維から成る広い表面積の不織布は臭素を効率よく吸着できることを見出し、本発明に到達した。
すなわち、本発明は、臭化亜鉛を含有する電解液に対して耐食性を有する正極と負極とを具備する一液性の電力用電解液静止型亜鉛―臭素二次電池であって、該負極の正極側に、BET法で測定した表面積が0.5m2/g以上のガラス繊維から成る不織布によって形成され、前記電解液中の臭素を吸着して負極への臭素の到達を阻止する非導電性の臭素吸着遮断層が設けられ、前記臭素吸着遮断層と正極との間に、無機材料によって形成され、充電の際に、前記正極で生じた臭素を吸収して蓄積する導電性の臭素蓄積層が設けられ、前記臭素吸着遮断層の、不織布を形成するガラス繊維間にシリカ粉末が充填されていることを特徴とする電力用電解液静止型亜鉛―臭素二次電池にある。
かかる本発明において、臭素吸着遮断層を、不織布を形成するガラス繊維間にシリカ粉末を充填することによって、負極近傍の臭素を効果的に補足でき、充電の際に、正極で発生した臭素が負極に到達して惹起される電力ロスを防止できる。この不織布としては、BET法で測定した表面積が3m2/g以下の工業的に得られ易い不織布を用いることができる。
また、臭素蓄積層を、黒鉛粒子から成る炭素材料によって形成することにより、大量の臭素を吸収貯蔵できる。
更に、臭素吸着遮断層と負極との間に、活性炭素繊維層又は多孔質炭素板を設けることによって、負極の電極面積を拡大でき、負極の接触抵抗を低下できる。
電力用亜鉛―臭素二次電池では、充電の際に、正極で発生した臭素が負極に到達すると、負極に析出している亜鉛と反応して電力ロスを生ずる。このため、臭素が負極に到達することを阻止することが必要である。
また、一種類の電解液を用いる一液性の電力用電解液静止型亜鉛―臭素二次電池では、その充電の際に、負極に亜鉛が析出して樹枝状結晶(デントライト)を生成し易い。かかるデントライトの形成は、両極間の短絡を引き起こすおそれがある。
この点、本発明においては、負極の正極側に、BET法で測定した表面積が0.5m2/g以上のガラス繊維から成る不織布によって形成され、電解液中の臭素を吸着して負極への臭素の到達を阻止する非導電性の臭素吸着遮断層を設け、この臭素吸着遮断層と正極との間に、無機材料から形成され、臭素を吸収して蓄積する導電性の臭素蓄積層を設けている。
このため、充電の際に、正極で発生した臭素の一部分は電解液に溶解するが、大部分は臭素蓄積層によって吸収し蓄積され、電解液に溶解した臭素も臭素吸着遮断層とによって吸着される。
したがって、正極で発生した臭素の負極への到達を阻止でき、臭素との錯塩を形成する錯塩形成剤を添加した電解液を用い、臭素の錯塩の通過を阻止するセパレータを設けることを要しない。
また、非導電性の臭素吸着遮断層は、導電性の臭素蓄積層と負極とを絶縁していると共に、臭素吸着遮断層に吸着された臭素は、負極から侵入してきた亜鉛を溶解するため、一液性の電力用電解液静止型亜鉛―臭素二次電池において問題となる負極での亜鉛のデントライトの生成・成長を防止できる。
更に、導電性の臭素蓄積層は、充放電の際に、層全体が正極となるため、内部抵抗を低下することができ、電池性能を向上できる。
この様に、本発明に係る一液性の電力用電解液静止型亜鉛―臭素二次電池は、錯形成剤が無添加の臭化亜鉛を含有する電解液を用いることができ、且つ臭素が負極に到達することによる電力ロスや負極に生成する亜鉛のデントライトを防止できるものであって、負極と正極との間に、無機材料から成る、非導電性の臭素吸着遮断層と導電性の臭素蓄積層とを設けた簡単な構造であって、組立を容易に行なうことができる。
その結果、本発明に係る一液性の電力用電解液静止型亜鉛―臭素二次電池は、小型化も容易に図ることができ、ビルや病院の非常用電源用等に好適に用いることができる。
本発明に係る電力用電解液静止型亜鉛―臭素二次電池の一例を図1に示す。図1に示す電力用電解液静止型亜鉛―臭素二次電池(以下、単に電力用二次電池と称することがある)は、ガラス製の円筒電槽10の内周面に沿って亜鉛板から成る負極12を配置し、その一部を円筒電槽10の上面から突出して突出負極12aとする。この亜鉛板から成る負極12は、臭化亜鉛を含む電解液に対して耐食性を有している。
かかる負極12の内周面に沿って活性炭素繊維フェルトを配置し、活性炭素繊維層14を形成する。この活性炭素繊維層14は、負極12の電極面積を大きくして負極12の接触抵抗を低下するものである。
更に、活性炭素繊維層14の内側には、ガラス繊維から成る不織布から成り、ガラス繊維間にシリカ粉末が充填された非導電性の臭素吸着遮断層16が形成されている。この臭素吸着遮断層16を形成するガラス繊維は、臭素を吸着する性質を有する。
尚、黒鉛板に貼り付けたガラス繊維から成る不織布内に臭素が満たされた後、ガラス繊維に吸着されない臭素は、電解液中に放出される。
かかる臭素吸着遮断層16は、臭素の通過を阻止するが、亜鉛イオンや臭素イオンは通過し、負極12において所定の電気化学反応が進行する。
この臭素吸着遮断層16を形成する不織布としては、1μm以下のガラス繊維を湿式抄紙法又は乾式抄紙法で抄紙して得た不織布を用いることができるが、湿式抄紙法で抄紙して得た不織布は、乾式抄紙法で抄紙して得た不織布に比較して厚さが均一であるため好ましい。
かかる不織布を形成するガラス繊維としては、耐酸性のものであればよいが、ケミカルガラス繊維が好ましい。
また、このガラス繊維から成る不織布としては、BET法で測定した表面積が0.5m2/g以上の不織布を用いる。表面積が0.5m2/g未満の不織布では、臭素を吸着する吸着面積が少なくなり、負極12への臭素の到達を充分に阻止できず、電力ロスが生じる。
尚、かかる不織布としては、不織布の生産性等の観点からBET法で測定した表面積が3m2/g以下の不織布を好適に用いることができる。
図1に示す臭素吸着遮断層16を形成する不織布には、ガラス繊維間にシリカ粉末が充填されている。かかるシリカ粉末は、臭素吸着遮断層16に含浸された電解液の水分子の熱分子運動等に因る電解液の流動を可及的に抑制し、ガラス繊維に吸着された臭素が電解液の流動によって剥離することを防止するためである。
ガラス繊維間にシリカ粉末が充填された不織布は、例えばガラス繊維から成る不織布を、シリカ粉末が縣濁されている電解液に所定時間浸漬してから取り出すことによって得ることができる。或いは、ガラス繊維から成る不織布を二重にして、その間にシリカ粉末を充填することによっても得ることができる。
尚、不織布を浸漬したシリカ粉末を縣濁した電解液は、電池の電解液としては使用しない。
図1に示す電力用二次電池では、臭素吸着遮断層16の内側に、黒鉛粉末が充填されて成る導電性の臭素蓄積層18が形成されており、臭素蓄積層18の中心部近傍には、棒状の黒鉛から成る正極20が挿入されている。棒状の正極20の一端部は、円筒電槽10の上面から突出されて突出正極20aが形成されている。
かかる臭素蓄積層18を形成する黒鉛粒子では、臭素と黒鉛との層間化合物(C8Br)を形成するため、臭素をよく吸収できる。
更に、臭素の層間化合物は、アクセプタの性質を持ち、よく電子を伝導するため、黒鉛粒子間の電気抵抗が低いことと相俟って、充放電の際に、内部抵抗を低下できる。従って、正極20と黒鉛粒子から成る臭素蓄積層18とは、全体で正極を形成する。
尚、黒鉛粒子から成る臭素蓄積層18中を、電解液中の亜鉛イオンや臭素イオンは容易に移動できる。
この負極12、活性炭素繊維層14、臭素吸着遮断層16、臭素蓄積層18及び正極20を含浸する電解液としては、臭化亜鉛を含有する電解液を用いる。かかる電解液には、電気伝導性を向上する塩化カリウム等の電気伝導度向上剤を添加してもよい。
但し、塩化カリウム等の電気伝導度向上剤を添加した場合には、充放電の際に、少量の水素が発生することがあるため、ガラス製の円筒電槽10に、水素パージ用の小孔22,22・・を開口しておくことが好ましい。
図1に示す電力用二次電池では、充電の際に、正極20で発生した臭素は、臭素蓄積層18によって吸収し蓄積され、この臭素蓄積層18を通過した臭素も臭素吸着遮断層16によって吸着されるため、臭素の通過を阻止して負極12への到達を阻止している。このため、図1に示す電力用二次電池では、臭素との錯塩を形成する錯塩形成剤を添加した電解液を用い、臭素との錯塩の通過を阻止するセパレータを設けることを要せず、一種類の電解液を用いる一液性の電力用電解液静止型亜鉛―臭素二次電池とすることができ、その構造を簡単なものにできる。
更に、図1に示す電力用二次電池では、無機材料から形成されるため、環境に対してもやさしいものである。
図1に示す電力用二次電池では、臭素吸着遮断層16及び臭素蓄積層18によって臭素を吸収・吸着するため、臭素が円筒電槽10に形成された小孔22,22・・を経由して外部に放出されることはない。
但し、急激に臭素が発生して臭素吸着遮断層16及び臭素蓄積層18での吸収・吸着能力を上回った場合は、腐食性の高い臭素が小孔22,22・・を経由して外部に放出されるおそれがある。
このため、図1に示す電力用二次電池では、急激に臭素が発生して臭素吸着遮断層16及び臭素蓄積層18での吸収・吸着能力を上回った場合でも、外部に臭素が放出されないように、臭素吸着遮断層16及び臭素蓄積層18と円筒電槽10との空間部10aには、臭素密閉分離遮断層24が形成されている。この臭素密閉分離遮断層24は、ガラス繊維の粉砕物、シリカ粉末及び電解液の混合物から成り、水素その他の気体を通すが、臭素を補足して臭素の通過を阻止できる。
図1に示す電力用二次電池では、充電の際には、負極12でZn2++2e→Znの電気化学反応が生じ、正極20で2Br-→Br2+2eの電気化学反応が生じる。正極20での反応によって生じた臭素の一部分は電解液中に溶解するが、大部分は臭素蓄積層18を形成する黒鉛粒子中に吸収され、電解液中に溶解した臭素も、臭素吸着遮断層16を形成するガラス繊維に吸着される。このため、負極12への臭素の到達を阻止し、負極12に析出している亜鉛と反応して生じる電力ロスを防止できる。
一方、臭素吸着遮断層16及び臭素蓄積層18は、亜鉛イオンや臭素イオンが通過でき、負極12及び正極20での反応をスムーズに進行し、負極12に亜鉛を析出させることができる。
しかも、臭素吸着遮断層16に吸着された臭素は、負極12に析出して侵入した亜鉛を溶解するため、一液性の電力用電解液静止型亜鉛―臭素二次電池において問題となる負極12での亜鉛のデントライトの生成・成長を防止でき、充分に充電できる。
図1に示す電力用二次電池では、充電終了後に放置しておいても、電解液に溶解している臭素は、臭素吸着遮断層16に吸着されるため、負極12への臭素の到達を阻止し、負極12に析出している亜鉛と反応して生じる電力ロスを防止でき、充電後の蓄電容量の低下を可及的に防止できる。
また、図1に示す電力用二次電池の放電の際には、負極12でZn→Zn2++2eの電気化学反応が生じ、正極20でBr2+2e→2Br-の電気化学反応が生じる。この正極20での反応に用いられる臭素は、電解液に溶解されている臭素も用いられるが、大部分は臭素蓄積層18から供給される。
更に、臭素吸着遮断層16及び臭素蓄積層18は、亜鉛イオンや臭素イオンが通過でき、負極12及び正極20での反応をスムーズに進行し、充分に放電できる。
図1に示す電力用二次電池は、単一セルから成る小容量の小型電池であるが、複数セルから成る大容量の電力用大型二次電池としては、図2に示す電力用二次電池を採用できる。この図2に示す電力用二次電池は、矩形型の電池であって、図2(a)は電池の正面部分断面図であり、図2(b)は電池の側面断面図である。
図2に示す電力用二次電池は、図2(b)に示す様に、二個の単一セルA,Bがプラスチック製の矩形容器30内に収容されている。かかる単一セルA,Bでは、図2(b)に示す様に、矩形容器30の中央部に配設された亜鉛板から成る負極32と、矩形容器30の内壁面に設けられた帯状の黒鉛板から成る正極40とが設けられている。この負極32と正極40との間には、負極32から正極40の方向に多孔質炭素板34、ガラス繊維から成る不織布から成り、ガラス繊維間にシリカ粉末が充填された非導電性の臭素吸着遮断層36、及び黒鉛板から成る臭素蓄積層38が配設されている。
かかる負極32を形成する亜鉛板の一部が矩形容器30から突出して突出負極32aが形成され、正極40を形成する帯状の黒鉛板の一端部が矩形容器30から突出して突出正極40aが形成されている。
尚、図2に示す電力用二次電池を形成する負極32、臭素吸着遮断層36、臭素蓄積層38及び正極40の各々を形成する材料は、図1に示す電力二次電池を形成する負極12、臭素吸着遮断層16、臭素蓄積層18及び正極20と同一材料を用いることができる。
図2に示す電力用二次電池では、負極32、多孔質炭素板34、臭素吸着遮断層36、臭素蓄積層38及び正極40は、層状に形成されているため、その端面が露出する矩形容器30の内壁面で短絡するおそれがある場合がある。かかる場合には、矩形容器30の内壁面では、図2(a)に示す様に、ガラス繊維等の絶縁材料から成る絶縁層44を設けることによって、板状に形成された層同士の短絡を確実に防止できる。
また、図2に示す電力用二次電池では、図1に示す電力用二次電池に用いる電解液と同一組成の電解液を用いることができる。
但し、電解液に電気伝導性を向上する塩化カリウム等の電気伝導度向上剤を添加した場合には、充放電の際に、少量の水素が発生することがあるため、矩形容器30に水素パージ用の小孔42を開口しておくことが好ましい。
更に、図2に示す電力用二次電池でも、急激に臭素が発生して臭素吸着遮断層36及び臭素蓄積層38での吸収・吸着能力を上回った場合でも、外部に臭素が放出されないように、臭素吸収遮断層36及び臭素蓄積層38と矩形容器30との空間部30aには、臭素密閉分離遮断層46が形成されている。この臭素密閉分離遮断層46は、ガラス繊維の粉砕物、シリカ粉末及び電解液の混合物から成り、水素その他の気体を通すが、臭素を補足して臭素の通過を阻止できる。
以上、説明してきた電力用二次電池では、負極12、32は、亜鉛板を用いて形成しているが、亜鉛よりも耐食性に優れた黒鉛等の導電性材料を用いて形成してもよい。
また、図2に示す電力用二次電池では、矩形容器30を用いているが、円筒形容器を用いてもよい。
図1に示す電力用二次電池を作成した。かかる電力用二次電池を形成する際には、先ず、ガラス製の円筒電槽10の内周面に沿って厚さ0.25mmの亜鉛板から成る負極12を配置し、その一部を円筒電槽10の上面から突出して突出負極12aを形成した後、負極12の内周面に沿って活性炭素繊維フェルトを配置し、活性炭素繊維層14を形成した。
この活性炭素繊維層14の内側に、BET法で測定した表面積が1.5m2/gのガラス繊維から成る厚さ1.9mmの不織布[日本無機(株)製]を、シリカ粉末が縣濁されてい
る電解液に所定時間浸漬してから取り出すことによって、ガラス繊維間にシリカ粉末が充填され不織布から成る臭素吸着遮断層16を形成した。この不織布は、圧力20kg/dm2で加圧して得られたものである。
更に、臭素吸着遮断層16の内側に、黒鉛粉末を充填して臭素蓄積層18を形成した後、臭素蓄積層18の中心部近傍に棒状の黒鉛を挿入して正極20を形成した。この臭素蓄積層18を形成した黒鉛粉末は、トップサイズが0.9mmの粗粒人造黒鉛[昭和電工(株)製の「ショーカライザ−整粒S−」]と、トップサイズが30μmの黒鉛粉末[昭和電工(株)製の「UFG−30」]とを重量比5:1で混合したものを用いた。
この様に形成した臭素蓄積層18等に電解液を注ぎ込んだ。この電解液としては、臭化亜鉛(2mol/L)を含有する臭化亜鉛水溶液に、電気伝導性を向上する塩化カリウム(2mol/L)含有の塩化カリウム水溶液を体積比20%添加して得た電解液を用いた。
その後、臭素吸着遮断層16及び臭素蓄積層18と円筒電槽10との空間部10aには、ガラス繊維の粉砕物、シリカ粉末及び電解液の混合物から成る臭素密閉分離遮断層24を形成した後、小孔22,22・・が形成された蓋を円筒電槽10に被着して電池を完成した。
完成した図1に示す電力用二次電池に、20℃の室内において、その電極面積に対する電流密度を20mA/cm2で40分間の定電流充電した後、直ちに充填時と同一電流密度で端子電圧が1Vとなるまで放電した。図3に図1に示す電力用二次電池の充電及び放電曲線Cを示す。
また、充電終了後に約1時間放置した後に放電を行なった。その放電曲線Dを図3に併せて示す。
図3から明らかな様に、図1に示す電力用二次電池では、充電終了後に約1時間放置した場合でも自己放電によるロスは約5%であった。
また、かかる充電放電を10回繰り返して行なったが、負極12に亜鉛のデントライトの発生は観察されなかった。
実施例1において、臭素吸着遮断層16に代えて、BET法で測定した表面積が0.1m2/gのガラス繊維から成る厚さ1.9mmの不織布と、細孔径が1μm以下のポリオレフィン系樹脂から成る厚さ100μmの多孔質フィルムとから成るセパレータを用いた他は実施例1と同様にして電力用二次電池を形成した。
この電力用二次電池に、20℃の室内において、その電極面積に対する電流密度を20mA/cm2で40分間の定電流充電した後、直ちに充填時と同一電流密度で端子電圧が1Vとなるまで放電した。図4に、この電力用二次電池の充電及び放電曲線Eを示す。
また、充電終了後に約1時間放置した後に放電を行なった。その放電曲線Fを図4に併せて示す。
図4から明らかな様に、この電力二次電池では、充電終了後に約1時間放置した場合は、自己放電によるロスが約60%にも達した。
また、かかる充電放電を繰り返して行なったところ、4サイクル目に負極に亜鉛のデントライトが発生した。
本発明に係る電力用二次電池は、従来の電力用二次電池に比較して、充放電時の電荷保有時間は短いが、その構造及び動作システムが簡単であり、安価で且つ大容量の二次電池の製作が可能である。しかも、電力系統の電力を一次的に大量に貯蔵、放出できるため、電力系統の負荷平準化用二次電池、停電防止、非常用二次電池への適用が可能である。
例えば、本発明に係る電力用二次電池を、電力系統の負荷平準化用二次電池等に用いることによって、ニューヨークやカリフォルニアで発生した大停電を防止できることも可能である
更に、本発明に係る電力用二次電池は、鉛等の重金属を使用せず且つ電解液も中性であるため、自然にやさしい二次電池であり、自動車のバッテリーやソーラバッテリ、風力発電用にも適用できる。
本発明に係る電力用電解液静止型亜鉛―臭素二次電池の一例を説明するための断面図である。 本発明に係る電力用電解液静止型亜鉛―臭素二次電池の他の例を説明するための正面断面図及び側面断面図である。 図1に示す電力用電解液静止型亜鉛―臭素二次電池の充電及び放電について説明するグラフである。 比較例として示す電力用電解液静止型亜鉛―臭素二次電池の充電及び放電について説明するグラフである。 従来の電力用亜鉛―臭素二次電池の概要を説明する概略図である。 従来の電解液静止型亜鉛―臭素二次電池の断面図である。
符号の説明
10 円筒電槽
10a、30a 空間部
12a,32a 突出負極
12、32 負極
14、34 活性炭素繊維層
16、36 臭素吸着遮断層
18、38 臭素蓄積層
20、40 正極
20a,40a 突出正極
24,46 臭素密閉分離遮断層
30 矩形容器
22,42 小孔
44 絶縁層

Claims (5)

  1. 臭化亜鉛を含有する電解液に対して耐食性を有する正極と負極とを具備する一液性の電力用電解液静止型亜鉛―臭素二次電池であって、
    該負極の正極側に、BET法で測定した表面積が0.5m2/g以上のガラス繊維から成る不織布によって形成され、前記電解液中の臭素を吸着して負極への臭素の到達を阻止する非導電性の臭素吸着遮断層が設けられ、
    前記臭素吸着遮断層と正極との間に、無機材料によって形成され、充電の際に、前記正極で生じた臭素を吸収して蓄積する導電性の臭素蓄積層が設けられ、
    前記臭素吸着遮断層の、不織布を形成するガラス繊維間にシリカ粉末が充填されていることを特徴とする電力用電解液静止型亜鉛―臭素二次電池。
  2. 臭素吸着遮断層を形成する不織布が、BET法で測定した表面積が3m2/g以下の不織布である請求項1記載の電力用電解液静止型亜鉛―臭素二次電池。
  3. 臭素蓄積層が、黒鉛粒子から成る請求項1又は2記載の電力用電解液静止型亜鉛―臭素二次電池。
  4. 臭化亜鉛を含有する電解液に対して耐食性を有する正極と負極とを具備する一液性の電力用電解液静止型亜鉛―臭素二次電池であって、
    該負極の正極側に、BET法で測定した表面積が0.5m 2 /g以上のガラス繊維から成る不織布によって形成され、前記電解液中の臭素を吸着して負極への臭素の到達を阻止する非導電性の臭素吸着遮断層が設けられ、
    前記臭素吸着遮断層と正極との間に、無機材料によって形成され、充電の際に、前記正極で生じた臭素を吸収して蓄積する導電性の臭素蓄積層が設けられ、
    前記臭素吸着遮断層と負極との間に、活性炭素繊維層又は多孔質炭素板が設けられていることを特徴とする電力用電解液静止型亜鉛―臭素二次電池。
  5. 前記臭素吸着遮断層の、不織布を形成するガラス繊維間にシリカ粉末が充填されていることを特徴とする請求項4記載の電力用電解液静止型亜鉛―臭素二次電池。
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